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【発明の名称】 指圧用手袋及びその製造方法
【発明者】 【氏名】坂井 一仁
【住所又は居所】長野県上水内郡信州新町大字平水内3054−1 有限会社サンエスケミカル内

【要約】 【課題】編手袋であっても指圧用突起体を指部の所定位置に確実に固定し、指圧用突起体の離脱を招くことのない十分な固定強度を確保するとともに、製造工数の低減による製造コスト削減及び量産性向上を図る。

【解決手段】編手袋2における指部2a…の所定位置Xa…に指圧用突起体3…を有する指圧用手袋1において、少なくとも指部2a…に当接する基部4…を熱可塑性樹脂Rにより形成した突起本体部3m…を有するとともに、基部4…に熱可塑性樹脂Rにより一体形成し、かつ編手袋2の編目2i…に貫通させた一又は二以上のピン状の取付部4x,4y…の先端側を、熱で塑性変形させることにより、指圧用突起体3…を指部2a…に固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
編手袋における指部の所定位置に指圧用突起体を有する指圧用手袋において、少なくとも前記指部に当接する基部を熱可塑性樹脂により形成した突起本体部を有するとともに、前記基部に前記熱可塑性樹脂により一体形成し、かつ前記編手袋の編目に貫通させた一又は二以上のピン状の取付部の先端側を、熱で塑性変形させることにより、前記指圧用突起体を前記指部に固定してなることを特徴とする指圧用手袋。
【請求項2】
前記指圧用突起体は、全体を熱可塑性樹脂により一体形成することを特徴とする請求項1記載の指圧用手袋。
【請求項3】
前記指圧用突起体は、前記基部に他の部材を組合わせた前記突起本体部を有することを特徴とする請求項1記載の指圧用手袋。
【請求項4】
前記突起本体部は、前記基部と前記他の部材を一体又は着脱可能に構成することを特徴とする請求項3記載の指圧用手袋。
【請求項5】
編手袋における指部の所定位置に指圧用突起体を有する指圧用手袋の製造方法において、少なくとも前記指部に当接する基部を熱可塑性樹脂により形成し、かつ前記基部から前記編手袋の編目に貫通可能な一又は二以上のピン状の取付部を前記熱可塑性樹脂により一体形成した前記指圧用突起体を用意し、前記取付部を前記編目に貫通させた後、前記取付部の先端側を熱で塑性変形させることにより、前記指圧用突起体を前記指部に固定することを特徴とする指圧用手袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、編手袋における指部の所定位置に指圧用突起体を有する指圧用手袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手袋における指部の所定位置に指圧用突起体を設けた指圧用手袋は、例えば、特開2002−694号公報で知られている。
【0003】
同公報で開示される手袋型指圧効果付き保温保冷具(指圧用手袋)は、手袋の手の平側の5本の指の先と手の平の部分に、保温保冷剤を猫の肉球のような形状で取り付けたものである。この場合、保温保冷剤がそのままでは固定できないジェル状の場合には、温度が伝わりやすく保ちやすい材質のもので包んでから固着する。
【特許文献1】特開2002−694号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の指圧用手袋(手袋型指圧効果付き保温保冷具)及びその製造方法は、次のような問題点があった。
【0005】
第一に、突起部を手袋に対して容易に固着できない。特に、毛糸で編んだ編手袋のような場合、固着手段による方法は十分な固着強度を確保できないため、突起部の離脱を生じやすく、指圧により大きな力が付与される用途には不向きである。
【0006】
第二に、突起部を手袋に対して固着手段により固着する場合、何らかの接着手段が必要になるため、製造工程が煩雑で面倒になり、製造工数の増加等による製造コストの上昇を招くとともに、量産性にも難がある。
【0007】
第三に、単なる突起部を設けるに過ぎないため、指圧に係わる単純機能については確保できるものの、それ以外の発展的な他の機能については何ら想定されておらず、多機能性及び多様性において不十分である。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した指圧用手袋及びその製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る指圧用手袋1は、上述した課題を解決するため、編手袋2における指部2a…の所定位置Xa…に指圧用突起体3…を有する指圧用手袋において、少なくとも指部2a…に当接する基部4…を熱可塑性樹脂Rにより形成した突起本体部3m…を有するとともに、基部4…に熱可塑性樹脂Rにより一体形成し、かつ編手袋2の編目2i…に貫通させた一又は二以上のピン状の取付部4x…,4y…の先端側を、熱で塑性変形させることにより、指圧用突起体3…を指部2a…に固定してなることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、指圧用突起体3…は、全体を熱可塑性樹脂Rにより一体形成することができる。また、指圧用突起体3…は、基部4…に他の部材5…を組合わせた突起本体部3m…を設けて構成することもできる。この際、突起本体部3m…は、基部4…と他の部材5…を一体又は着脱可能に構成することができる。
【0011】
また、本発明に係る指圧用手袋1の製造方法は、上述した課題を解決するため、編手袋2における指部2a…の所定位置Xa…に指圧用突起体3…を有する指圧用手袋1を製造するに際し、少なくとも指部2a…に当接する基部4…を熱可塑性樹脂Rにより形成し、かつ基部4…から編手袋2の編目2i…に貫通可能な一又は二以上のピン状の取付部4x…,4y…を熱可塑性樹脂Rにより一体形成した指圧用突起体3…を用意し、取付部4x…,4y…を編目2i…に貫通させた後、取付部4x…,4y…の先端側を熱で塑性変形させることにより、指圧用突起体3…を指部2a…に固定するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明に係る指圧用手袋1及びその製造方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 毛糸等で編んだ編手袋2であっても、指圧用突起体3…を指部2a…の所定位置Xa…に確実に固定することができ、指圧により大きな力が付与される用途においても指圧用突起体3…の離脱を招くことのない十分な固定強度を確保できる。
【0014】
(2) 編手袋2に対して指圧用突起体3…を固着する固着手段(接着手段)を用いないため、製造工程を単純化することができ、もって、製造工数の低減による製造コスト削減を図れるとともに、量産性を向上させることができる。
【0015】
(3) 好適な態様により、全体を熱可塑性樹脂Rにより一体形成する指圧用突起体3…を用いれば、指圧用突起体3…を容易に製造することができ、更なるコストダウンに寄与できる。
【0016】
(4) 好適な態様により、突起本体部3m…を、基部4…と他の部材5…を一体又は着脱可能となるように組合わせた指圧用突起体3…を用いれば、指圧機能に係わる発展的な様々な付加価値を付けることができ、多機能性及び多様性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明の基本実施形態に係る指圧用手袋1の製造に用いる部材について、図2及び図5(a)を参照して説明する。
【0019】
指圧用手袋1の製造に際しては、左右一対の編手袋2…及び各編手袋2…に五個ずつ計十個の指圧用突起体3…を使用する。図2に、一方(右手)の編手袋2を示し、この編手袋2は、毛糸等の繊維で編んだ一般的な編手袋を用いることができる。したがって、他方(左手)の編手袋2も、左右対称となる点を除いて、一方(右手)の編手袋2と同じとなる。
【0020】
また、基本実施形態となる指圧用突起体3を、図5(a)に示す。この指圧用突起体3は、少なくとも指部2aに当接する基部4を熱可塑性樹脂Rにより形成する。図5(a)に示す基本実施形態では、この指圧用突起体3の全体を熱可塑性樹脂Rにより一体形成する。指圧用突起体3は、半球状に形成した突起本体部3mを有し、円形に表れる平坦面が基部4に含まれる。基部4(平坦面)には、この基部4から直角方向に突出し、編手袋2の編目2i…に貫通可能な二本のピン状の取付部4x,4yを熱可塑性樹脂Rにより一体形成する。取付部4x,4yは、基部4における180〔°〕対向位置に設ける。この場合、各取付部4x,4yは、編手袋2の繊維を痛めないように断面を円形に形成するとともに、編目2i…に挿入し易いように、先端を球面形成することが望ましい。
【0021】
なお、例示する指圧用突起体3の突起本体部3mは、直径Lwを12〔mm〕程度に、高さLhを7〔mm〕程度にそれぞれ選定した。また、熱可塑性樹脂Rは、加熱により軟化し、塑性変形する合成樹脂であれば、特に、その種類を問わず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の公知の熱可塑性樹脂を利用することができる。
【0022】
次に、上述した基本実施形態に係る指圧用手袋1の製造方法について、図1〜図4を参照して説明する。
【0023】
まず、図3に示すように、指圧用突起体3を、編手袋2における指部2aの所定位置Xaに装着(仮止)する。この場合、指圧用突起体3の取付部4x,4yを、矢印Ha方向から指部2aにおける編目2i…に表側から貫通させる。編目2i…に貫通させた指圧用突起体3を図3に仮想線3sで示す。
【0024】
次いで、指部2aに指圧用突起体3を装着した状態で、編手袋2(指部2a)を裏返しにする。これにより、突起本体部3mは、図4に示すように、裏返した指部2aの内部側に収容されるとともに、取付部4x,4yは、裏返した指部2aの外部側に突出する。そして、裏返した指部2aの内部側に支持プレート21を挿入し、図4に示すように、支持プレート21の上面に突起本体部3mを当接させるとともに、この状態で、加熱した鏝ブロック22を矢印Hb方向から取付部4x,4yの先端に押し当てることにより、取付部4x,4yを熱により塑性変形させる。この場合、鏝ブロック22の下面を平坦面とすることにより、二つの取付部4x,4yを同時に塑性変形させることができる。なお、鏝ブロック22の温度は、取付部4x,4yを良好に塑性変形させることができ、かつ編手袋2の繊維に悪影響を及ぼさない適度な温度を選定する。塑性変形した取付部4x,4yを図4に仮想線4xs,4ysで示す。
【0025】
この後、裏返した指部2a(編手袋2)を元の状態に戻す。塑性変形した取付部4xs,4ysは、図1に示すように偏平に押し潰された形状となるため、指圧用突起体3は指部2aに確実かつ安定に固定される。この場合、取付部4xs,4ysは、偏平となるため、手に編手袋2を嵌めた場合であっても、特に違和感を生じることはない。なお、必要により、指部2aの内面にシール等を貼り付けることにより取付部4xs,4ysを覆ってもよい。以上、一つの指部2aについて指圧用突起体3を取付ける場合を説明したが、残りの指部2b,2c,2d及び2eにおける所定位置Xb,Xc,Xd及びXeに対しても同様に指圧用突起体3…を取付けることができる。これにより、最終的には、図2に示す指圧用手袋1を得ることができる。
【0026】
よって、このような基本実施形態に係る指圧用手袋1及びその製造方法によれば、毛糸等で編んだ編手袋2であっても、指圧用突起体3…を指部2a…の所定位置Xa…に確実に固定することができ、指圧により大きな力が付与される用途においても指圧用突起体3…の離脱を招くことのない十分な固定強度を確保できる。また、編手袋2に対して指圧用突起体3…を固着する固着手段(接着手段)を用いないため、製造工程を単純化することができ、もって、製造工数の低減による製造コスト削減を図れるとともに、量産性を向上させることができる。特に、上述した基本実施形態に係る指圧用手袋1は、全体を熱可塑性樹脂Rにより一体形成する指圧用突起体3…を用いるため、指圧用突起体3…を容易に製造することができ、更なるコストダウンに寄与できる利点がある。
【0027】
次に、変更実施形態に係る指圧用突起体3について、図5(b)〜(d)を参照して説明する。
【0028】
図5(b)に示す指圧用突起体3は、基部4に他の部材5を組合わせて構成したものであり、特に、基部4と他の部材5を一体に構成したものである。このような指圧用突起体3は、指圧用突起体3を成形する際に、他の部材5をインサート成形により一体化することができるし、基部4を成形した後、他の部材5を組付けて一体化することもできる。したがって、この指圧用突起体3は、指部2aに当接する基部4を熱可塑性樹脂Rにより形成するも、他の部材5は、用途や目的等に合わせた様々な素材や形態により形成することができ、例えば、人体に良いとされる磁気を発するマグネット,遠赤外線を発するセラミックス,良好な指圧効果を発揮するゴム等を利用することができる。
【0029】
この変更実施形態に係る指圧用突起体3を用いれば、指圧機能に係わる発展的な様々な付加価値を付けることができ、多機能性及び多様性を高めることができる利点がある。なお、その他の構成及び形状等は、図5(a)に示した指圧用突起体3と同様に形成することができる。このため、図5(b)において、図5(a)と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0030】
また、図5(c)に示す指圧用突起体3は、図5(a)と同様に、全体を熱可塑性樹脂Rにより一体形成するも、突起本体部3mの形状を異ならせたものである。即ち、より効果的な指圧作用を得るために、円盤状に形成した基部4の上面に、五つの半球状の小突起3s…を一体形成したものである。このように、突起本体部3mの形状は、目的や用途等に応じて任意に選定することができる。この変更実施形態に係る指圧用突起体3を用いれば、図5(a)の場合と同様、全体を熱可塑性樹脂Rにより一体形成することができるため、指圧用突起体3…を容易に製造することができ、更なるコストダウンに寄与できる利点がある。なお、その他の構成及び形状等は、図5(a)に示した指圧用突起体3と同様に形成することができる。このため、図5(c)において、図5(a)と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0031】
さらに、図5(d)に示す指圧用突起体3は、基部4に他の部材5を組合わせて構成するも、特に、基部4と他の部材5を着脱可能に構成したものである。この指圧用突起体3は、円盤状に形成した基部4の上面中央に、直角に起立するネジ部4nを一体形成するとともに、この基部4におけるネジ部4nに螺合するネジ孔部4wを有する他の部材5の組合わせからなり、ネジ部4nとネジ孔部4wの螺着により、基部4と他の部材5を着脱することができる。これにより、目的や用途等に応じて他の異なる部材5と交換することができる。
【0032】
この変更実施形態に係る指圧用突起体3を用いれば、図5(b)の場合と同様に、指圧機能に係わる発展的な様々な付加価値を付けることができ、多機能性及び多様性を高めることができるとともに、より付加価値が高められる利点がある。なお、その他の構成及び形状等は、図5(a)に示した指圧用突起体3と同様に形成することができる。このため、図5(d)において、図5(a)と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0033】
以上、各種実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、指圧用突起体3に設ける取付部4x,4yは、二つの場合を示したが、三つ以上であってもよいし、一つの場合を排除するものではない。また、指圧用突起体3は、各指部2a…の全部(5本)に設けた場合を示したが、一部(選択した一本又は二本以上)に設けても良いし、各指部2a…に二以上の指圧用突起体3を設けてもよい。さらに、各指部2a…に取付ける指圧用突起体3…は、それぞれ同一形状(同一形態)の突起本体部3m…を用いてもよいし、異なる突起本体部3m…を用いてもよい。この場合には、使用時に様々な指圧作用を使い分けることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の基本実施形態に係る指圧用手袋の一部を示す断面側面図、
【図2】同指圧用手袋の外観正面図、
【図3】同指圧用手袋の製造方法の説明図、
【図4】同指圧用手袋の製造方法の他の説明図、
【図5】(a)は基本実施形態に係る指圧用突起体の断面正面図及び底面図、(b)は変更実施形態に係る指圧用突起体の平面図及び断面正面図、(c)は変更実施形態に係る指圧用突起体の平面図及び正面図、(d)は変更実施形態に係る指圧用突起体の平面図及び一部断面正面図、
【符号の説明】
【0035】
1 指圧用手袋
2 編手袋
2a… 指部
2i… 編目
3… 指圧用突起体
3m… 突起本体部
4… 基部
4x… 取付部
4y… 取付部
5… 他の部材
Xa… 所定位置
R 熱可塑性樹脂
【出願人】 【識別番号】500309964
【氏名又は名称】有限会社サンエスケミカル
【住所又は居所】長野県上水内郡信州新町大字平水内3054―1
【出願日】 平成17年3月24日(2005.3.24)
【代理人】 【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂

【公開番号】 特開2006−263133(P2006−263133A)
【公開日】 平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願番号】 特願2005−85336(P2005−85336)