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【発明の名称】 筋出力・動作追従性評価訓練システム
【発明者】 【氏名】横井 孝志

【氏名】金子 文成

【氏名】菅原 順

【氏名】小峰 秀彦

【氏名】淺井 義之

【要約】 【課題】適切な筋出力・動作追従性の評価や訓練を行うことができる筋出力・動作追従性評価訓練システムを得る。

【解決手段】被訓練者は筋力トレーニングマシン等の負荷印加部2に対して筋力によって負荷を印可するに際して、負荷追従パタン出力部から周期的な負荷印加の目標を与え、この目標に対する被訓練者による追従負荷を付加追従時系列データ計測部3で計測する。評価手段では、負荷追従時系列データ計測部3により計測した被訓練者の印加負荷と、前記負荷追従パタン出力手段で出力した負荷追従パタンとの相違を数学的に検出して評価を行い、負荷条件設定部5では、その評価に従って負荷追従パタンの調節を行い出力する。負荷追従パタンの出力に際しては、振幅、周波数等を連続的に変更し、各種姿勢・運動制御機能、筋力発揮・調節機能、姿勢・動作協調機能の評価や訓練を、適宜フィードバックしながら行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被訓練者が筋出力や動作の発現、持続、調節によって負荷を印可する負荷印加手段と、
被訓練者に周期的な負荷印加の目標を与える負荷追従パタン出力手段と、
前記負荷印加手段に印可した被訓練者による前記目標に対する追従負荷を時系列に計測する負荷追従時系列データ計測手段と、
前記負荷追従時系列データ計測手段により計測した被訓練者の印加負荷と、前記負荷追従パタン出力手段で出力した負荷追従パタンとの相違を検出して評価を行う評価手段と、
被訓練者が出力した負荷追従パタンを目標負荷追従パタンと重ねて、あるいは個別に被訓練者に提示する手段と、
前記評価手段の評価に従って前記負荷追従パタンの調節を行い出力する負荷条件設定手段と、
を備えたことを特徴とする筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項2】
前記負荷追従パタン出力手段は、振幅、周波数を連続的に変更する周期的負荷の追従パタンを出力することを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項3】
前記負荷追従パタン出力手段として、振幅、周波数を連続的に変更できる任意の周期関数により設定する周期的負荷の追従パタンを出力することを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項4】
前記周期関数が次式で表される請求項3記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【数1】


但し A(t):外力等の振幅、B(t):ベースライン、T(t):基本周期
【請求項5】
前記負荷追従パタン出力手段は、力の大きさや発揮パタン、身体重心や足圧中心や身体部位の位置あるいは速度あるいはそれらのパタン、被訓練者の身体重心位置や足圧中心や身体部位の位置あるいは速度あるいはそれらのパタンの少なくともいずれかの目標負荷を時系列で提示出力することを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項6】
前記負荷追従パタン出力手段は、モニタ画面への周期的パタン表示、又は音圧や周波数が連続的かつ周期的に変化する音、または振幅や周波数が連続的周期的に変化する振動によって出力することを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項7】
前記評価手段は、前記負荷追従パタンを目標とする負荷への能動的追従性を、振幅、ベースライン或いは位相に現れる誤差やこれらの時間的な変化で定量化することを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項8】
前記評価手段は、目標周期負荷の波形X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力波形がY(t)であったとき、
目標波形の振幅Aoに対する被訓練者の出力振幅Aの比(A/Ao)により、力や動きの大きさの評価を行うことを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項9】
前記評価手段は、目標周期負荷の波形X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力波形がY(t)であったとき、
目標波形の基本周期Toに対する目標波形のピーク時と被訓練者の出力波形のピーク時のずれΔTの比(ΔT/To)により、力調節や動きの速さの指標を得ることを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項10】
前記評価手段は、目標周期負荷の波形X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力波形がY(t)であったとき、
目標波形の基本周期Toに対する被訓練者の出力波形Tの周期の比(T/To)により、力調節や動きの速さの指標を得ることを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項11】
前記評価手段は、目標周期負荷の波形X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力波形がY(t)であったとき、
目標波形のベースラインBoと被訓練者の出力振幅Bとの差の目標波形の振幅Aoに対する比((B−Bo)/Ao)により、力発揮や動きの非対称性の評価を行うことを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項12】
前記評価手段は、目標周期負荷の波形X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力波形がY(t)であったとき、
目標周波数負荷の時系列曲線X(t)と被訓練者の出力の時系列曲線Y(t)の微分値により、最大速度、最大パワーの大きさや非対称性の評価を行うことを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項13】
前記評価手段は、目標周期負荷の波形X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力波形がY(t)であったとき、
X(t)とY(t)との間の相関係数Rを求めることにより、力調節や動き発現の全体的なパタンの正確さの評価を行うことを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項14】
前記評価手段は、目標周期負荷の波形X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力波形がY(t)であったとき、
X(t)からY(t)に回帰したときの回帰式Y=CX+Dを得ることにより、そのCによって区間全体で見たときの平均的な振幅の大きさの評価を行い、Dにより非対称性の評価を行うことを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項15】
目標とする負荷に姿勢や動作を能動的に追従させて、姿勢や動作の発現、持続、調節に関係した姿勢・運動制御機能、筋力発揮・調節機能、姿勢・動作協調機能やこれらの機能の持続性の少なくともいずれかを評価、訓練することを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項16】
前記システムを、姿勢や動作の発現、持続、調節に関係した筋力トレーニングシステム、運動制御機能訓練システム、身体機能維持回復訓練システム、リハビリテーション訓練システムの少なくともいずれかに適用することを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【請求項17】
前記評価手段で検出した前記相違を示すデータ、及び評価した評価データを収集してデータベース化し、個人内あるいは集団内での標準値や偏差を数値化して現状の機能や訓練効果等の評価精度を高め、個人内、個人間、集団間の客観的比較を可能にすることを特徴とする請求項1記載の筋出力・動作追従性評価訓練システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画面に表示した運動負荷の目標の指示パタン等にしたがって被訓練者が運動を行い、その運動の状態を検出して指示パタンとの相違を数学的に演算して評価を行い、被訓練者に提示する等の手法を用いることにより、姿勢や動作の発現、持続、調節に関係した人間の各部の筋力を適正に増強し、また各種筋肉を協調的に収縮・弛緩させる姿勢や動作の協調性能力、収縮・弛緩の繰り返しを持続させる能力を高めることができるようにした、筋出力・動作追従性評価訓練システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より筋力を増強するために各種の筋力トレーニング機器が開発され、用いられている。その多くのものは例えば下肢筋力を増強するために模擬自転車によって負荷の掛けられたペダルを踏み、或いは背筋力を増強するために重量物等で負荷したアームを揺動させる等の各種の手法がとられている。その際には例えば特開2004−267376号公報に示されるように、下肢筋力強化及び全身持久力強化を行いつつ、腕力や上腕筋力強化の運動を同時に行う機器を用い、被訓練者には自分自身の運動の状態がわかるように現在の各部の運動の状態を表示し、また各部の積算データ等を表示することも提案されている。
【0003】
一方、老齢化或いは事故等により身体の一部が麻痺して運動障害を生じた人が、身体機能を維持し或いは回復するために、各種のリハビリテーション機器が開発され、用いられている。これらのリハビリテーション機器においては、例えば身体のバランス機能を高めるために、特開平11−9574号公報に示されているような装置が提案されている。この装置においては、重心動揺計上の被訓練者に対して身体姿勢変更の目標となるトレース図形を提示し、被訓練者がその目標に沿うように姿勢を変更して重心の移動を行い、被訓練者の重心移動のマーカ軌跡と前記トレース図形とを比較して評価を行うようにしている。また、例えば特開2003−52769号公報には上肢運動療法システムとして、ディスプレイに表示された目標動作軌跡に沿って平面上で手を動かし、被訓練者の手の動作軌跡と目標動作軌跡とを比較して評価を行うこと示されている。また、特開2004−344468号公報、特開2003−79683号公報、特開2003−79683号公報等の技術も提案されている。
【特許文献1】特開2004−267376号公報
【特許文献2】特開平11−9574号公報
【特許文献3】特開2003−52769号公報
【特許文献4】特開2004−344468号公報
【特許文献5】特開2003−79683号公報
【特許文献6】特開2003−79683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来より各種の筋力トレーニング機器、機能訓練機器が開発されているが、それらはいずれも被訓練者に対して目標値を提示し、筋力発揮の状態や最終的な積算データを表示して検査を行うことや機器自体の制御を主な目的とするものである。さらに従来は最大振幅やずれ量(誤差面積) 、軌道距離、運動周期、軌道速度 等で評価しており、力や動きをどのタイミングで、どう変えればよいかの指示を、評価値をもとに出せなかった。このためり、例えば腕の筋力トレーニングにおいて最初は筋力の発揮加速度を小さくして徐々に腕の移動速度を上昇させ、比較的小さな筋力の発揮状態で徐々に筋力を低下させ、次いで筋力の発揮加速度を先より大きくして腕の移動速度を速くし、先より大きな筋力の発揮状態で先より速く筋力を低下させる等の、筋力発揮のタイミング、大きさ、パタンや動作の速度を任意に設定し、筋力や動作の発現、持続、調節の発揮や動作を所望のパタンで行うようにトレーニングを行うことやその結果の適正な評価は出来なかった。
【0005】
特に、従来の装置においては、筋力発揮の目標パタンを与えることができても、その目標パタンに被訓練者が追従した程度を定量的、客観的に評価することは困難であり、このような定量的、客観的評価を行えないため、同じ被訓練者に対して次の筋力発揮の適切な目標パタンを与えることはできなかった。これまでは、トレーナー等が経験や勘によって目標パタンを与えており、客観データにもとづいた科学的なトレーニングとはほど遠いものであったため、各人の身体機能レベルにあった適切な筋力トレーニングを行うことが出来なかった。また、筋力の微妙な調節を行いながら次第にその能力を高めることは、トレーナの指導のもとでも極めて困難であった。
【0006】
この点について前記特許文献2には、高齢者や障害者の立位姿勢保持のリハビリテーションに際して、目標となるトレース図形を提示し、被訓練者がその目標に沿うように重心の移動を行い、被訓練者の重心移動のマーカ軌跡と前記トレース図形とを比較して評価を行うことが記載されている。しかし、その評価によって適切な目標パタンを与えることはできても、定量的評価の方法が未詳であるため、これを上記のような複雑な筋力の発揮や調節を訓練する各種の筋力トレーニングを行うシステムにそのまま適用して、も、リハビリテーション等において効果を得ることができない。このため、定量的な評価方法が可能な適切な筋出力・動作追従性評価訓練システムの開発が望まれている。
【0007】
したがって本発明では、能動的かつ周期的に低負荷を与え、訓練効果をリアルタイムで提示しながら、姿勢や動作の発現、持続、調節に関係した姿勢・動作制御、筋力の発揮・調節、姿勢・動作協調機能を同時に評価あるいは訓練することができ、非常に強度の低い負荷でも作動することができることにより高齢者や障害者、女性にも適し、特別なトレーナーを必要とせず、自宅で、あるいは施設で適切な訓練を行うことができるようにした筋出力・動作追従性評価訓練システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による筋出力・動作追従性評価訓練システムは上記課題を解決するため、被訓練者が筋力によって負荷を印可する負荷印加手段と、被訓練者に周期的な負荷印加の目標を与える負荷追従パタン出力手段と、前記負荷印加手段に印可した被訓練者による前記目標に対する追従負荷を時系列に計測する負荷追従時系列データ計測手段と、前記負荷追従時系列データ計測手段により計測した被訓練者の印加負荷と、前記負荷追従パタン出力手段で出力した負荷追従パタンとの相違を検出して評価を行う評価手段と、被訓練者が出力した負荷追従パタンを目標負荷追従パタンと重ねて被訓練者に提示する手段と、前記評価手段の評価に従って前記負荷追従パタンの調節を行い出力する負荷条件設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記負荷追従パタン出力手段が、振幅、周波数を連続的に変更する周期的負荷の追従パタンを出力することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記負荷追従パタン出力手段はとして、振幅、周波数を連続的に変更できる任意の周期関数により設定する周期的負荷の追従パタンを出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記周期関数が次式で表されることを特徴とする。
【数1】


但し A(t):外力等の振幅、B(t):ベースライン、T(t):基本周期
【0012】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記負荷追従パタン出力手段が、力の大きさや発揮パタン、身体重心、足圧中心や身体部位の位置あるいは速度あるいはそれらのパタン、被訓練者の身体重心位置や身体部位の位置あるいは速度あるいはそれらのパタンの少なくともいずれかの目標負荷を時系列で提示出力することを特徴とする。
【0013】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記負荷追従パタン出力手段は、モニタ画面への周期的パタン表示、又は音圧や周波数を変えた周期的音、振幅や周波数を変えた振動によって出力することを特徴とする。
【0014】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記評価手段が、前記負荷追従パタンを目標とする負荷への能動的追従性を、振幅、ベースライン或いは位相に現れる誤差で定量化することを特徴とする。
【0015】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記評価手段は、目標周期負荷の波形X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力波形がY(t)であったとき、目標波形の振幅Aoに対する被訓練者の出力振幅Aの比(A/Ao)により、力や動きの大きさの評価を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、目標波形の基本周期Toに対する目標波形のピーク時と被訓練者の出力波形のピーク時のずれΔTの比(ΔT/To)により、力調節や動きの速さの指標を得ることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、目標波形の基本周期Toに対する被訓練者の出力波形Tの周期の比(T/To)により、力調節や動きの速さの指標を得ることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、目標波形のベースラインBoと被訓練者の出力振幅Bとの差の目標波形の振幅Aoに対する比((B−Bo)/Ao)により、力発揮や動きの非対称性の評価を行うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、目標周波数負荷の時系列曲線X(t)と被訓練者の出力の時系列曲線Y(t)の微分値により、最大速度、最大パワーの大きさや非対称性の評価を行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、X(t)とY(t)との間の相関係数Rを求めることにより、力調節や動き発現の全体的なパタンの正確さの評価を行うことを特徴とする。
【0021】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、X(t)からY(t)に回帰したときの回帰式Y=CX+Dを得ることにより、そのCによって区間全体で見たときの平均的な振幅の大きさの評価を行い、Dにより非対称性の評価を行うことを特徴とする。
【0022】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、目標とする負荷に姿勢や動作を能動的に追従させて、姿勢や動作の発現、持続、調節に関係した姿勢・運動制御機能、筋力発揮・調節機能、姿勢・動作協調機能やこれらの機能の持続性の少なくともいずれかを評価、訓練することを特徴とする。
【0023】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記システムを、姿勢や動作の発現、持続、調節に関係した筋力トレーニングシステム、運動制御機能訓練システム、身体機能維持回復訓練システム、リハビリテーション訓練システムの少なくともいずれかに適用することを特徴とする。
【0024】
また、本発明による他の筋出力・動作追従性評価訓練システムは、前記筋出力・動作追従性評価訓練システムにおいて、前記評価手段で検出した前記相違を示すデータ、及び評価した評価データを収集してデータベース化し、個人内あるいは集団内での標準値や偏差を数値化して現状の機能や訓練効果等の評価精度を高め、個人内、個人間、集団間の客観的比較を可能にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明による筋出力・動作追従性評価訓練システムは上記のように、被訓練者に筋出力の周期的な負荷印加の目標を与えるので、目標の筋力負荷と被訓練者による筋力負荷との差異を数学的に解析して正確に評価することができ、しかもその評価に従って前記負荷追従パタンの調節を行い新たな目標負荷としてフィードバックして出力することにより、被訓練者の筋出力状態に応じて適正な目標負荷を与えることができる。このように、能動的かつ周期的に低負荷を与え、訓練効果をリアルタイムで提示しながら姿勢・運動制御、筋力の発揮・調節、姿勢・動作協調機能を同時に評価あるいは訓練することができ、非常に強度の低い負荷でも作動することができることにより高齢者や障害者、女性にも適し、特別なトレーナーを必要とせず、自宅で、あるいは施設で適切な評価や訓練を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は適切な筋出力・動作追従性評価訓練を行うことができるようにするため、被訓練者が筋力によって負荷を印可する負荷印加手段と、被訓練者に周期的な負荷印加の目標を与える負荷追従パタン出力手段と、前記負荷印加手段に印可した被訓練者による前記目標に対する追従負荷を時系列に計測する負荷追従時系列データ計測手段と、前記負荷追従時系列データ計測手段により計測した被訓練者の印加負荷と、前記負荷追従パタン出力手段で出力した負荷追従パタンとの相違を検出して評価を行う評価手段と、被訓練者が出力した負荷追従パタンを目標負荷追従パタンと重ねて被訓練者に提示する手段と、前記評価手段の評価に従って前記負荷追従パタンの調節を行い出力する負荷条件設定手段とを備えることにより実現した。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明による筋出力・動作追従性評価訓練システムのシステム構成図であり、図示の実施例においてはモニタ画面からなる表示部1に、被訓練者に対して追従すべき負荷パタンであって教師負荷パタンともいえる周期負荷パタンを表示する。特にこの負荷追従パタンは周期負荷とすることにより、後述するように被訓練者が負荷した負荷パタンとの数学的処理が可能となる。
【0028】
負荷印加部2は、例えば被訓練者が模擬自転車のペダルを踏み、或いは筋力トレーニングマシンを動かし、或は重心動揺計上で両足位置を変えた立位状態から身体を前後、左右、上下等に動かす等の運動を行うことにより、被訓練者が各種機器に対して負荷を付与する部分であり、被訓練者が前記表示部1に表示された負荷追従パタンにできる限り追従するように、自分自身の身体部位を動かして計測部にその情報を与える。
【0029】
負荷追従時系列データ計測部3は、前記負荷印加部2に印可された負荷である被訓練者の運動情報を計測する部分であり、例えば筋活動電位、外力、関節の角度や角速度、加速度、更にはそれらと組み合わせて身体重心の前後、左右、上下の位置や速度等の筋活動や姿勢や運動の制御に係る計測項目のいずれか、あるいは複合的な計測を可能とする。データ処理部4においては、前記負荷追従時系列データ計測部3で計測した負荷追従データをリアルタイム処理し、表示部1に表示されている教師負荷パタンとの差異の検出、またその差異に基づいて教師負荷の調節のためのデータを得る。
【0030】
負荷条件設定部5においては、前記データ処理部4において得られた教師負荷に基づいて、力・位置、振幅、周波数、これらの時間変化等を演算して設定し、またその負荷を与える訓練時間等も演算し設定する。その際の所定の周期をもつ教師負荷は、例えば図1中に示すような式で表されるものを用いることができる。このような演算結果は必要に応じて前記データ処理部4にもフィードバックし、より適正な教師負荷の調節を行うことが出来るようにする。更にその設定値を表示部1に出力し、モニタ画面にその負荷追従パタンを表示する。なお、前記データ処理部4で教師負荷が得られたときには、そのデータが周期負荷であって、そのまま負荷追従パタンとして利用することができるときには、そのデータを表示部1に直接出力してモニタ画面に表示するようにしてもよい。また、図1に示す例のように、データ処理部4のデータによって評価を行い提示をする評価結果提示部6を備え、更にその評価結果を蓄積して長期間の時系列データを求めるようにしてもよい。
【0031】
上記のような目標周期負荷パタンの設定に際しては、例えば図2に示すような周期負荷を設定することができ、これは下記の数式で表される。なお、このような周期負荷パタンはこの式に限らず、矩形波を含め数式で明確に表すことができるならば種々の周期パタンに設定してもよい。また、ランダム波に所定の周期波を加えた波形等を用いてもよい。
【数2】


但し A:外力等の振幅
B:ベースライン(平均強度など)
T:基本周期
Z:周期の変化率に関する値
【0032】
上記式においては、目標とする筋力の全体強度をベースラインBで設定し、筋力変化の範囲を外力等の振幅Aで設定し、一連の周期負荷パタンの初期周期をTで設定し、周期変化の程度をZで設定することとなるが、これらの変数を総合的に調節するとともに、この関数で得られる複雑なグラフの中で、時間軸tの範囲を任意に選択することにより、所望のパタンの周期負荷を得ることができる。
【0033】
このようにして得られた目標周期負荷を例えば図3に示すような、筋力トレーニングマシン11の利用に適用する際には、被訓練者の前に設置したモニタ12の画面にこの目標周期負荷を表示し、被訓練者13はその負荷曲線に沿って所定の筋力を、図1の負荷印加部2に相当するトレーニングマシン11に対して負荷することにより運動を行う。その際の負荷筋力は、図1の負荷追従時系列データ計測部3に相当する筋力負荷計測装置14で計測を行い、そのデータをパソコン15に入力する。パソコン15では図1のデータ処理部4及び負荷条件設定部5の機能を行うソフトウエアに基づいて、所定の処理及び設定が行われる。
【0034】
ここで行われる処理としては前記図1の説明で述べたように、目標とする負荷への能動的追従性を、目標負荷としての力の大きさと被訓練者がそれに対応するように負荷した筋力とをリアルタイムで時系列的に提示し、振幅や位相に現れる誤差で定量化し、各種姿勢・運動制御機能、筋力発揮・調節機能、姿勢・動作協調機能の評価処理が行われる。これらの処理に際しては、多数のデータを収集してデータベース化し、標準値やその標準値からどれだけ離れているかを数値化して、フィードバック用のデータとする。
【0035】
その際に行われる追従性評価は例えば図4に示すように、画面に表示される目標周期負荷X(t)に対して被訓練者による負荷印加部への出力がY(t)であったとき、目標波形の振幅Aoに対する被訓練者の出力振幅Aの比(A/Ao)により力や動きの大きさの評価が可能となる。また、目標波形の基本周期Toに対する目標波形のピーク時と被訓練者の出力波形のピーク時のずれ(ΔT/To)によって、力発揮や動きのタイミング評価を行うことができる。また、目標波形の基本周期Toに対する被訓練者の出力波形Tの周期の比(T/To)によって、力調節や動きの速さの指標を得ることができる。また、目標波形のベースラインBoと被訓練者の出力振幅Bとの差の目標波形の振幅Aoに対する比((B−Bo)/Ao)によって、力発揮や動きの非対称性の評価を行うことができる。また、目標周波数負荷の時系列曲線X(t)と被訓練者の出力の時系列曲線Y(t)の微分値によって、最大速度、最大パワーの大きさや非対称性の評価を行うことができる。また、前記X(t)とY(t)との間の相関係数Rを求めることによって、力調節や動き発現の全体的なパタンの正確さの評価を行うことができる。また、X(t)からY(t)に回帰したときの回帰式Y=CX+Dを得ることによって、そのCにより区間全体で見たときの平均的な振幅の大きさの評価を行うことができ、更にDにより非対称性の評価を行うことができる。
【0036】
本発明においては上記のように、被訓練者の運動負荷の目標を各種波形等で提示し、追従性を数学的に演算して評価することができるようになるものであるが、この装置における上記のような評価訓練機構を、従来の装置の評価訓練機構として組み込むことができる。これにより、従来の各種トレーニングマシーンやリハビリテーション装置に新しい機能を加え、訓練・評価装置としての付加価値を格段に高めることもできる。
【0037】
即ち、上記のような本発明による装置を用い、前記先行技術の特許文献1に記載されたような運動機能検査装置として用い、画面に目標の周期パタンをスクロール可能に表示し、荷重中心測定手段で被訓練者の重心位置を検出して、両者のずれを数学的に計算して評価を行うこともできる。その際に、単に被訓練者の前後左右方向の重心位置の移動を検出するだけでなく、荷重中心測定手段によって重心位置の高さやその変化も検出可能である。このため、単なる座位だけでなく被訓練者がしゃがみ、次いで立つという鉛直上下の動作を繰り返す運動についても、目標の周期パタンと被訓練者の運動の周期パタンとを数学的に比較し、その動作のタイミングや速度、加速度の評価を行い、訓練を行うようにすることもできる。その際には所定の姿勢の維持のために各種の筋肉の個々の力、各筋肉の総合的な協調運動が必要となるので、姿勢制御や筋出力調節の有効な訓練システムとすることもできる。また、全身の位置や姿勢、腕の位置や姿勢、腕や脚による力の発揮や調節に対しても適用可能である。しかも目標負荷と被訓練者の出力負荷とを上記のような数学的な形式によって比較し評価するため、目標負荷との差をより正確にフィードバックすることができ、従来提案されているものよりも更に高精度、高機能のシステムとすることができる。更に、上記のような数学的な形式による比較や評価によって、従来提案されているものよりも定量性、客観性の高い評価訓練システムとすることができる。
【0038】
更にはその荷重中心測定手段の被訓練者が立つ台を大きくし、あるいは複数個とし被訓練者がその上で両足を前後、左右等の任意の位置に開いて置き、能動的な姿勢変更を容易にした状態で、前後左右、或いは上記のようなしゃがみ立ちの動作をモニタに表示されるパタンに従って行うようにしてもよい。更にウォーキングマシンのように台を連続可動ベルトとし、被訓練者が歩行や走行を行う動作についても前記と同様のトレーニングを行うことができ、健常者のトレーニングのほか、歩行障害者のリハビリテーション装置として有効に利用することができる。また、特に本発明によるシステムは、機能障害の患者や機能の低い高齢者から、ある程度機能の高い高齢者を初め、健常成人に至るまで広い範囲の人々が利用することができる。また、目標周期パターンとしてフィードバックする情報を、身体の位置だけでなく、関節角度、あるいはそれらの動きの速度や、筋活動(筋電位)、力の大きさとすることにより、訓練や評価の対象或いは機能を種々に設定することができる。
【0039】
上記のような本発明による装置は、筋力トレーニングマシンとして有効に利用することができる。その際には、従来の筋力トレーニングマシンににおいて被訓練者が同じ動作を単調に繰り返すことによって生じていた飽きを、本装置を用いることによって防ぐことができる。被訓練者が前記のような画面表示に忠実に従うよう努力しながら動作を行うことによって集中力を高め、飽きを防止することができ、しかも数学的に演算された正確な評価がなされるので、被訓練者はそのマシンに信頼を寄せて継続的な質の高い訓練を行うことができる。このような集中力の高進や飽きの防止は、特に高齢者の痴呆予防に効果的であることが知られており、病院や各種施設に設置して痴呆予防の装置として利用してもよい。
【0040】
また、上記実施例においては目標周期パターンをモニタの画面に表示する例を示したが、例えば視覚障害者のために目標周期パターンをチクタク音等の音で出力し、被訓練者がその音に追従する運動を行い、両者の比較によって前記と同様に数学的に評価を行うようにしてもよい。あるいは振幅や周波数が連続的周期的に変化する振動源を対象者が関知できる部位あるいは場所においてこれによって目標周期パターンを出力してもよい。
【0041】
更に、前記実施例においては図2に示すように負荷の強弱の周期パターンを与える例を示したが、それ以外に振幅の中心線を左右或いは上下運動の中心線とし、各種運動の左右或いは上下運動の目標値として示せば、上記の評価に加えて姿勢や動作の制御における左右差の評価を行うすこともできる。
【実施例2】
【0042】
図5には本発明による筋出力・動作追従性評価訓練システムを、立位姿勢追従性評価訓練システムに適用した例を示す。同図(b)に示すように、2台の動揺計23、24を備えた計測台22に被験者30が載り、前後、左右、上下の力をA/D変換BOX25を介してPC本体21に入力する。PC本体ではこの力信号を位置情報に変換し、リアルタイムで表示し、教師信号時系列データと比較しながら姿勢や動作を修正できるようにする。
【0043】
計測時間は30秒から20分程度とし、計測した8chの反力時系列データ、位置に換算した時系列データ、教師信号時系列データについては時刻を同期させた形で計測終了後ファイル名をつけて保存する。センサ位置情報、被験者情報も保存する。図示実施例ではプロジェクタ26により表示スクリーン27
【0044】
PC本体21にはこのシステム作動のためのソフトウエアを備え、計測条件を設定し、教師信号の条件を設定し、被験者初期レベルの計測と設定を行った後は、重心位置の計測とリアルタイム表示を行い、教師信号と計測信号により評価を行う。このシステムにより、例えば図6に示すような表示刺激パターンを用いる。このパターンは図示する式により得られる。このパターンをプロジェクタにより表示部に表示し、被験者の動作による受信位置をこの表示部に重ねて表示することにより、被験者はこのパターンに沿って体重移動を行う。図7にはこのような目標パタンと被験者の計測値パタンとを重ねて表示した例を示す。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明による筋出力・動作追従性評価訓練システムは、健康福祉産業、リハビリテーション関連産業等において、身体機能訓練システム、運動制御機能訓練システム、リハビリテーション訓練システム、動作協調性訓練システム等の多様な用途にも適用できる。また負荷の与え方や評価の方法は高齢者健康増進事業、介護予防事業、アミューズメント業界への適用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】本発明における目標負荷のパタン設定例を示す図である。
【図3】本発明を適用する筋力トレーニングマシンの例である。
【図4】本発明における目標周期負荷と被訓練者の出力例を示す図である。
【図5】本発明を適用する立位姿勢追従性評価訓練システムを示す図であり、(a)は全体概要図、(b)はシステムブロック図である。
【図6】図5のシステムにおける表示刺激パタンの例を示す図である。
【図7】同システムにおける目標パタンと被験者の計測値パタンの例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 表示部
2 負荷印加部
3 負荷追従時系列データ計測部
4 データ処理部
5 負荷条件設定部
【出願人】 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【出願日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−192258(P2006−192258A)
【公開日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願番号】 特願2005−355445(P2005−355445)