トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 短下肢装具
【発明者】 【氏名】▲高▼塚 博

【要約】 【課題】下肢痙性麻痺者には、両側支柱付短下肢装具が広く用いられている。この短下肢装具は、抵抗なく可動する底背屈角度を設定でき、両側の支柱により側方安定性、耐久性とも優れているが、踵接地期に足関節は底屈しない構造のため、踵接地期から足底全接地期までの歩行が不自然であった。

【解決手段】従来の両側支柱付短下肢装具では固定されていたシャンクとあぶみ間に板ばねを配置し、靴のヒール部分に空間を設けることにより、あぶみが可動できるようにした。これにより、踵接地期には足関節が底屈するが、足底全接地期以後は底屈を許さない短下肢装具を実現した。また板ばねの選択、ヒールの空間部分に交換可能または弾力特性を調整できるクッション材を配置することにより、痙性麻痺の状態に合わせた最適な底屈角度一抵抗モーメント特性が得られ、本短下肢装具により、自然な歩行に近づけることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳卒中、脊髄損傷などの痙性麻痺により、足部に内反・尖足を生じる。歩行を可能または歩き易くする為に、足関節の内外反と底屈を制限する短下肢装具が用いられ、屋外歩行には、両側支柱付短下肢装具が広く用いられている。両側支柱付短下肢装具は、足関節の底背屈の可動範囲を調整することは可能であるが、調整した角度より底屈させることは不可能な構造になっている。痙性麻痺者では、歩行周期の踵接地期から足底全接地期までに装具に強い底屈モーメントが生じる。本装具は、この強い底屈モーメントに対しては、底屈を許し、足底全接地期以後の歩行周期では底屈を制限することにより、より自然な歩行に近づけるものであり、その機構を靴底部分に設けた下肢装具。
【請求項2】
請求項1の機能を得るために、装具のシャンクとあぶみの間に板バネを設け、シャンクが可動するように、靴のヒールの一部に空間を設けた下肢装具。
【請求項3】
請求項2の機構に、底屈制動の強さを調整することを目的に、ヒールの空間部分のシャンクと靴底の間にクッション材(ゴム、エアークッションなど)を挿入する構造にした下肢装具。
【請求項4】
請求項1、2、3の機構に加え、踵接地期には足関節の底屈が滑らかに生じ、足底全接地期以降には強い底屈制動がかかる機構として、あぶみの上部と連結されたエアーバックをヒール後部に設けたものである。踵接地期にはエアーバック内の圧力が高まり、連結されたあぶみ上部のエアーバックが拡張し、あぶみを下方へ下げることにより足関節が底屈し、足底全接地期にはエアーバック内圧が戻り、請求項1,2,3の機構により強い底屈制動がかかるようにした下肢装具。
【請求項5】
請求項2の板ばねに変えて、シャンクとあぶみを蝶番で連結し、請求項3、4の機構と合わせることにより、請求項1の効果を得る下肢装具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は下肢痙性麻痺者の歩行をより自然な歩行に近づけることを目的とした下肢装具である。
【背景技術】
【0002】
従来、下肢痙性麻痺者に用いられている短下肢装具には、プラスチック性のくつべら型短下肢装具、足継手付プラスチック性短下肢装具、両側支柱付短下肢装具などがあるが、これらの装具は、足関節の底屈を制限するため、歩行周期の踵接地期から足底全接地期までの歩行が不自然であった。
【0003】
踵接地期に足関節の底屈を許すために、足継手に摩擦抵抗や油圧機構などを用いた短下肢装具が開発されているが、いずれも足底全接地期以降の底屈制動が不十分であり、中等度から高度の下肢痙性麻痺者には用いられない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
下肢痙性麻痺者の短下肢装具には、▲1▼抵抗なく可動する底背屈角度を自由に設定できる、▲2▼踵接地期に生じる強い底屈モーメントに対しては足関節の底屈を許す、▲3▼足底全接地期以後は底屈を強く制限するという異なった三つの特性が必要であるが、従来の技術は、足継手部分を工夫したものであり、一種類の継手で三特性を得ることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
下肢痙性麻痺者の短下肢装具に要求される上記の三特性を得るために、両側支柱付短下肢装具の足継手とは別に、踵接地期に底屈を可能にする機構を靴底部分に設けたものである。
【0006】
図1の短下肢装具のシャンク1とあぶみ2の間に板バネ3を設け、靴のヒール4の一部に空間5を設けることにより、踵接地期の底屈モーメントにより、図3のようにシャンクとあぶみの角度が開き、足関節を底屈できるようにしたものである。
【0007】
また、ヒールの空間部分5にシャンク1と靴底の間にクッション材6(ゴム、エアークッションなど)を挿入することにより、下肢痙性麻痺者の痙性の状態に応じて、底屈制動の強度を調整できるようにしたものである。
【0008】
図4、図5は、あぶみ2の上部と連結されたエアーバック7をヒール後部に設けることにより、踵接地期にはエアーバック内の圧力が高まり、連結されたあぶみ上部のエアーバックが拡張し、あぶみ2が下がることにより、足関節が底屈する。足底全接地期にはエアーバック内圧が戻り、板バネ3、クッション材6により強い底屈制動がかかるようにしたものである。
【0009】
また、板バネ3に変え、シャンク1とあぶみ2を蝶番で連結することにより、同様な機能を有することも可能である。
【発明の効果】
【0010】
従来の両側支柱付短下肢装具の足継手が有する▲1▼抵抗なく可動する底背屈角度を自由に設定できる機能に加えて、▲2▼踵接地期に生じる強い底屈モーメントに対しては足関節の底屈を許す、▲3▼足底全接地期以後は底屈を強く制限する本発明の機構により、中等度から高度の下肢痙性麻痺者に対しても、自然に近い歩行を可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0012】
図において、1は靴底に固定されているシャンクである。従来の短下肢装具は、シャンク1およびあぶみ2は固定され、靴底およびヒールに密着し、シャンクとアブミ間の可動性はなく、足関節の底屈はできない構造である。
【0013】
本発明は、シャンク1とあぶみ2とは板バネ3により連結し、靴のヒール部分に空間を設けることにより、シャンクとアブミ間に可動性を持たしたものである。
【0014】
この可動性により、歩行周期の踵接地期に作用する強い底屈モーメントが働いた時には、足関節の底屈が可能になる。
【0015】
適切なバネ定数の板バネを選ぶことにより、痙性麻痺の状態に応じた、最適な底屈角度一抵抗モーメント特性を得ることが可能である。
【0016】
また、交換可能または弾力特性が調整可能なクッション材6(ゴム、エアークッションなど)をヒールの空間部分に配置することにより、短下肢装具完成後においても、底屈角度一抵抗モーメント特性を容易に調整することができる。
【0017】
さらに、あぶみ2の上部と連結されたエアーバック7をヒール後部に設けることにより、踵接地期にはエアーバック内の圧力が高まり、連結されたあぶみ上部のエアーバックが拡張し、なめらかに足関節を底屈させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の側面図
【図2】図1のA−A矢視図
【図3】図1の底屈時の図
【図4】ヒール後部にエアーバックを設け、底屈をなめらかにする機構
【図5】図4の底屈時の図
【符号の説明】
【0019】
1 シャンク
2 あぶみ
3 板ばね
7 クッション
8 エアーバック
【出願人】 【識別番号】505019242
【氏名又は名称】▲高▼塚 博
【出願日】 平成16年12月11日(2004.12.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−167374(P2006−167374A)
【公開日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願番号】 特願2004−382456(P2004−382456)