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【発明の名称】 外力制御方法、外力制御システム及び外力制御プログラム
【発明者】 【氏名】遠藤 洋介
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】原 律雄
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】動物に作用させる外力と動物の運動に伴って変動する運動変数との関係が目標とする関係となるように、この外力を制御し得る方法等を提供する。

【解決手段】人間の脚体に生じる筋電位xの測定値に基づき、外力関数f(x)-に従ってその脚体に与えられる外力fの値が設定され、この設定値に応じてモータ220の電流Iが制御され、装具222を介して外力fが脚体に与えられる。また、合力(膝関節回りの内的トルク及び外的トルクの和)Fが「運動変数」として測定される。さらに外力fの設定値及び合力Fの測定値に基づき、因子関数γ(f,F)に従って因子γの値が設定され、因子γの設定値とその目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε以上である場合、因子γの設定値がその目標値γに近づくように外力関数f(x)があらたに設定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋繊維の活動に伴って運動する動物に取り付けられた装具を介して、該動物に作用させる外力を制御する方法であって、
動物の身体に生じる筋電位xを測定する筋電位測定ステップと、
筋電位xの測定値に基づき、筋電位xを変数とする外力関数f(x)に従って装具を介して動物に作用させる外力fの値を設定する外力設定ステップと、
装具を介して外力fが作用している状態で動物の運動に伴って変動する運動変数yを測定する運動変数測定ステップと、
外力fの設定値及び運動変数yの測定値に基づき、外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って因子γの値を設定する因子設定ステップと、
因子γの設定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε未満であるか否かを判定する判定ステップと、
判定ステップにおいて該偏差δの大きさが該基準値ε以上であると判定された場合、因子γの設定値がその目標値γに近づくように外力関数f(x)をあらたに設定する外力関数設定ステップとを備えていることを特徴とする外力制御方法。
【請求項2】
外力関数設定ステップが、筋電位xと外力fとの関係を表す係数αの値を設定するとともに、係数αの設定値に基づき、筋電位x及び係数αを変数とする基礎関数F(x,α)に従って外力関数f(x)を設定するステップであることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項3】
外力関数設定ステップが、運動変数yの測定値及び因子γの目標値γに基づき、因子関数γ(f,y)に従って外力目標値fを求めるとともに、外力fが外力目標値fに近づくように外力関数f(x)を設定するステップであることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項4】
外力関数設定ステップが、外力fの最高測定値が、外力目標値fの最高値に近づくように外力関数f(x)を設定するステップであることを特徴とする請求項3記載の外力制御方法。
【請求項5】
最初の外力設定ステップの後、判定ステップが省略されて外力関数設定ステップが実行されることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項6】
運動変数測定ステップが、動物の内力及び外力の合力を運動変数yとして測定するステップであり、
因子設定ステップが、動物の内力及び外力の合力に対する外力fの比を因子γ(0≦γ<1)として設定するステップであることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項7】
運動変数測定ステップが、動物の運動に伴って変動する基礎運動変数を測定するとともに、基礎運動変数の測定値に基づき、該動物の挙動を表す逆動力学モデルに従って前記運動変数を測定するステップであることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項8】
動物の運動に伴って変動する基礎運動変数を測定した上で基礎運動変数の測定値に基づき、基礎運動変数と動物の運動状態との所定の対応関係に従って動物の運動状態を判定する運動状態判定ステップを備え、
運動変数測定ステップが、運動状態判定ステップにおいて判定された運動状態に基づき、動物の運動状態と運動変数との所定の対応関係に従って運動変数yを測定するステップであることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項9】
外力fを測定するステップを備え、
因子設定ステップが、外力fの設定値に代えて外力fの測定値と、運動変数yの測定値とに基づき、外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って因子γの値を設定するステップであることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項10】
動物の運動に伴って変動する基礎運動変数を測定した上で基礎運動変数の測定値に基づき、基礎運動変数と動物の運動状態との所定の対応関係に従って動物の運動状態を判定する運動状態判定ステップを備え、
外力関数設定ステップが、運動状態判定ステップにおいて判定された運動状態のそれぞれに応じた外力関数f(x)をあらたに設定するステップであることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項11】
判定ステップが、運動状態判定ステップにおいて判定された運動状態に従って、運動状態ごとに設定されている因子目標値γに基づき、前記偏差δの大きさが前記基準値ε未満であるか否かを判定するステップであり、
外力関数設定ステップが、運動状態判定ステップにおいて判定された運動状態に従って、運動状態ごとに設定されている因子目標値γに基づき、外力関数f(x)を新たに設定するステップであることを特徴とする請求項10記載の外力制御方法。
【請求項12】
判定ステップが、前記偏差δの正負の別に応じて異なる閾値εによって、該偏差δの大きさが閾値ε未満であるか否かを判定するステップであることを特徴とする請求項1記載の外力制御方法。
【請求項13】
筋繊維の活動に伴って運動する動物に取り付けられた装具を介して、該動物に作用させる外力を制御するシステムであって、
動物の身体に生じる筋電位xを測定する筋電位測定手段と、
筋電位測定手段による筋電位xの測定値に基づき、筋電位xを変数とする外力関数f(x)に従って装具を介して動物に作用させる外力fの値を設定する外力設定手段と、
装具を介して外力が作用している状態で動物の運動に伴って変動する運動変数yを測定する運動変数測定手段と、
外力設定手段による外力fの設定値及び運動変数測定手段による運動変数yの測定値に基づき、外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って因子γの値を設定する因子設定手段と、
因子設定手段による因子γの設定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε未満であるか否かを判定する判定手段と、
判定手段により該偏差δの大きさが該基準値ε以上であると判定された場合、因子γの設定値がその目標値γに近づくように、外力関数f(x)をあらたに設定する外力関数設定手段とを備えていることを特徴とする外力制御システム。
【請求項14】
筋繊維の活動に伴って運動する動物に取り付けられた装具を介して、該動物に作用させる外力を制御する機能をコンピュータに付与するプログラムであって、
動物の身体に生じる筋電位xを測定する筋電位測定機能と、
筋電位xの測定値に基づき、筋電位xを変数とする外力関数f(x)に従って装具を介した動物に作用させる外力fの値を設定する外力設定機能と、
装具を介して外力が作用している状態で動物の運動に伴って変動する運動変数yを測定する運動変数測定機能と、
外力fの設定値及び運動変数yの測定値に基づき、外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って因子γの値を設定する因子設定機能と、
因子γの設定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε未満であるか否かを判定する判定機能と、
判定機能により該偏差δの大きさが該基準値ε以上であると判定された場合、因子γの設定値がその目標値γに近づくように外力関数f(x)をあらたに設定する外力関数設定機能とをコンピュータに付与することを特徴とする外力制御プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、筋繊維の活動に伴って運動する動物に取り付けられた装具を介して、該動物に作用させる外力を制御する方法、システム、及び当該制御機能をコンピュータに付与するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行補助等の目的で人間に与えられる外力は、リハビリの進行状況等に応じて、その人間の随意により生じる内力との関係で適切なものに制御されることが好ましい。そこで、人間の身体に生じる筋電信号に基づいて関節トルクを測定し、この関節トルクに応じた適切な大きさのトルク(外力)をその人間に作用させることが考えられる。
【0003】
従来、足裏のつま先やかかと等に配置された圧力センサ等の出力から脚部の筋力を推測し、この筋力がある基準値よりも大きい場合、脚部の筋肉の負担軽減のため、脚部に取り付けられた機器を介して脚部に補助力を与える技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、人間の身体に生じる筋電信号を測定し、この筋電信号に基づいて当該動物の関節のトルク等を測定する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−105261号公報 0006〜0012段落、図1〜図4
【特許文献2】特開2001−286451号公報 0038〜0062段落
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記先行技術が単に採用されただけでは、筋肉の疲労度の変化や、発汗等による電極と身体との接触状態の変化等があった場合、同一の人間であっても筋電信号と関節トルクとの関係が変化し、筋電信号に基づいてこの人間に与えられる力が所望のものとはならないことが予測される。
【0005】
そこで、本発明は、動物に作用させる外力と動物の運動に伴って変動する運動変数との関係が目標とする関係となるように、この外力を制御し得る方法、システム及びその制御機能をコンピュータに付与するプログラムを提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の外力制御方法は、筋繊維の活動に伴って運動する動物に取り付けられた装具を介して、該動物に作用させる外力を制御する方法であって、動物の身体に生じる筋電位xを測定する筋電位測定ステップと、筋電位xの測定値に基づき、筋電位xを変数とする外力関数f(x)に従って装具を介した動物への外力fの値を設定する外力設定ステップと、装具を介して外力が作用している状態で動物の運動に伴って変動する運動変数yを測定する運動変数測定ステップと、外力fの設定値及び運動変数yの測定値に基づき、外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って因子γの値を設定する因子設定ステップと、因子γの設定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε未満であるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおいて該偏差δの大きさが該基準値ε以上であると判定された場合、因子γの設定値がその目標値γに近づくように外力関数f(x)をあらたに設定する外力関数設定ステップとを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の外力制御方法によれば、筋電位xの測定値に基づき、外力関数f(x)に従って外力fの値が設定され、外力fの設定値に応じて装具を介して動物に作用させる外力が制御される。また、装具を介して外力が作用している状態で動物の運動に伴い変動する運動変数yが測定され、外力fの設定値及び運動変数yの測定値に基づき、因子関数γ(f,y)に従って因子γの値が設定される。さらに因子γの設定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε未満であるか否かが判定され、偏差δの大きさが基準値ε以上であると判定された場合、因子γの設定値がその目標値γに近づくように外力関数f(x)があらたに設定される。偏差δには、ある時刻における偏差、複数時点又は連続時間にわたる平均偏差又は累積偏差等が含まれる。これにより、因子γの値がその目標値γに近づくように、外力fが制御される。
【0008】
外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って設定される因子γは外力f及び運動変数yの関係がどのようなものであるかを表している。また、因子γの目標値γは外力f及び運動変数yの目標となる関係がどのようなものであるかを表している。
【0009】
従って、本発明の外力制御方法によれば、動物の筋電位測定状態の変化等が生じても、外力fと運動変数yとの関係が、因子目標値γにより定まる目標関係(γ=γ(f,y))に近づくように、外力fが筋電位xに基づいて制御され得る。
【0010】
なお、筋電位xは一の筋電位及び複数の筋電位の組{x|i=1,2,・・}のいずれであってもよい。また、外力fは一の外力及び複数の外力の組{f|i=1,2,・・}のいずれであってもよい。さらに運動変数yは一の運動変数及び複数の運動変数の組{y|i=1,2,・・}のいずれであってもよい。また、因子γは一の因子及び複数の因子の組{γ|i=1,2,・・}のいずれであってもよい。
【0011】
また、本発明の外力制御方法は、外力関数設定ステップが、筋電位xと外力fとの関係を表す係数αの値を設定するとともに、係数αの設定値に基づき、筋電位x及び係数αを変数とする基礎関数F(x,α)に従って外力関数f(x)を設定するステップであることを特徴とする。
【0012】
本発明の外力制御方法によれば、因子γの設定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε以上となった場合、筋電位x及び外力fの関係を表す係数αの値が新たに設定される。また、係数αの新たな設定値に基づき、基礎関数F(x,α)に従って外力関数f(x)が新たに設定される。そして、筋電位xの測定値に基づき、新たな外力関数f(x)に従って動物に作用させる外力fが設定される。これにより、動物の筋電位測定状態の変化等が生じても、筋電位xと外力fとの最新の関係に基づき、外力fと運動変数yとの関係が目標関係に近づくように、外力fが筋電位xの測定値に基づいて制御され得る。なお、係数αは一の係数及び複数の係数の組{α|i=1,2,・・}のいずれであってもよい。
【0013】
さらに本発明の外力制御方法は、外力関数設定ステップが、運動変数yの測定値及び因子γの目標値γに基づき、因子関数γ(f,y)に従って外力目標値fを求めるとともに、外力fが外力目標値fに近づくように外力関数f(x)を設定するステップであることを特徴とする。
【0014】
本発明の外力制御方法によれば、動物の筋電位測定状態の変化等が生じても、筋電位xに基づいて設定され動物に作用させる外力fが、因子γの目標値γにより定まる目標関係(γ=γ(f,y))に応じた目標値fに近づくように制御され得る。
【0015】
また、本発明の外力制御方法は、外力関数設定ステップが、外力fの最高測定値が、外力目標値fの最高値に近づくように外力関数f(x)を設定するステップであることを特徴とする。
【0016】
本発明の外力制御方法によれば、外力fの最高測定値が、その目標値fの最高値に近づくように、動物に作用する外力fが制御され得る。なお、外力fの測定値及び目標値fの「最高値」には、それぞれ一定の時間帯における最高値のほか、外力fの測定値及び目標値fが周期変化する場合、各周期における外力fの測定値及び目標値fの最高値が含まれる。
【0017】
さらに本発明の外力制御方法は、最初の外力設定ステップの後、判定ステップが省略されて外力関数設定ステップが実行されることを特徴とする。
【0018】
本発明の外力制御方法によれば、最初の外力関数f(x)には、外力f及び運動変数yの現実の関係がまだ反映されていないため、外力fの最初の設定値が、外力f及び運動変数yの目標関係から離れたものとなる蓋然性が高いことに鑑み、前記判定を経ずに外力関数f(x)が新たに設定される。これにより、外力f及び運動変数yの関係が当該目標関係に迅速に近づくように、外力fが制御され得る。
【0019】
また、本発明の外力制御方法は、運動変数測定ステップが、動物の内力及び外力の合力を運動変数yとして測定するステップであり、因子設定ステップが、動物の内力及び外力の合力に対する外力fの比を因子γ(0≦γ<1)として設定することを特徴とする。
【0020】
さらに本発明の外力制御方法は、運動変数測定ステップが、動物の運動に伴って変動する基礎運動変数を測定するとともに、基礎運動変数の測定値に基づき、該動物の挙動を表す逆動力学モデルに従って前記運動変数を測定するステップであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の外力制御方法は、動物の運動に伴って変動する基礎運動変数を測定した上で基礎運動変数の測定値に基づき、基礎運動変数と動物の運動状態との所定の対応関係に従って動物の運動状態を判定する運動状態判定ステップを備え、運動変数測定ステップが、運動状態判定ステップにおいて判定された運動状態に基づき、動物の運動状態と運動変数との所定の対応関係に従って運動変数yを測定するステップであることを特徴とする。
【0022】
さらに本発明の外力制御方法は、外力fを測定するステップを備え、因子設定ステップが、外力fの設定値に代えて外力fの測定値と、運動変数yの測定値とに基づき、外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って因子γの値を設定するステップであることを特徴とする。
【0023】
本発明の外力制御方法によれば、外力fの測定値に基づいて因子γが設定されるので、外力fの測定値に生じうる外力fの設定値との偏差の影響を解消して動物に作用する外力fが制御され得る。
【0024】
また、本発明の外力制御方法は、動物の運動に伴って変動する基礎運動変数を測定した上で基礎運動変数の測定値に基づき、基礎運動変数と動物の運動状態との所定の対応関係に従って動物の運動状態を判定する運動状態判定ステップを備え、外力関数設定ステップが、運動状態判定ステップにおいて判定された運動状態のそれぞれに応じた外力関数f(x)をあらたに設定するステップであることを特徴とする。
【0025】
さらに本発明の外力制御方法は、判定ステップが、運動状態判定ステップにおいて判定された運動状態に従って、運動状態ごとに設定されている因子目標値γに基づき、前記偏差δの大きさが前記基準値ε未満であるか否かを判定するステップであり、外力関数設定ステップが、運動状態判定ステップにおいて判定された運動状態に従って、運動状態ごとに設定されている因子目標値γに基づき外力関数f(x)を新たに設定するステップであることを特徴とする。
【0026】
本発明の外力制御方法によれば、動物の運動状態に鑑みて、外力設定ステップにおいて設定され、動物の身体に作用する外力fを適切なものとすることができる。
【0027】
また、本発明の外力制御方法は、判定ステップが、前記偏差δの正負の別に応じて異なる閾値εによって、該偏差δの大きさが閾値ε未満であるか否かを判定するステップであることを特徴とする。
【0028】
本発明の外力制御方法によれば、因子γの設定値とその目標値γとの偏差δの正負に応じて、外力fを受けている動物の運動の不安定の程度が異なるような場合、この相違に鑑みて動物の運動が安定になるように外力fが制御され得る。
【0029】
前記課題を解決するための本発明の外力制御システムは、筋繊維の活動に伴って運動する動物に取り付けられた装具を介して、該動物に作用させる外力を制御するシステムであって、動物の身体に生じる筋電位xを測定する筋電位測定手段と、筋電位測定手段による筋電位xの測定値に基づき、筋電位xを変数とする外力関数f(x)に従って装具を介した動物への外力fの値を設定する外力設定手段と、装具を介して外力が作用している状態で動物の運動に伴って変動する運動変数yを測定する運動変数測定手段と、外力設定手段による外力fの設定値及び運動変数測定手段による運動変数yの測定値に基づき、外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って因子γの値を設定する因子設定手段と、因子設定手段による因子γの設定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε未満であるか否かを判定する判定手段と、判定手段により該偏差δの大きさが該基準値ε以上であると判定された場合、因子γの設定値がその目標値γに近づくように外力関数f(x)をあらたに設定する外力関数設定手段とを備えていることを特徴とする。
【0030】
本発明の外力制御システムによれば、動物の筋電位測定状態の変化等が生じても、外力fと運動変数yとの関係が、因子目標値γにより定まる目標関係(γ=γ(f,y))に近づくように、外力fが筋電位xに基づいて制御され得る。
【0031】
前記課題を解決するための本発明の外力制御プログラムは、筋繊維の活動に伴って運動する動物に取り付けられた装具を介して、該動物に作用させる外力を制御する機能をコンピュータに付与するプログラムであって、動物の身体に生じる筋電位xを測定する筋電位測定機能と、筋電位xの測定値に基づき、筋電位xを変数とする外力関数f(x)に従って装具を介した動物への外力fの値を設定する外力設定機能と、装具を介して外力が作用している状態で動物の運動に伴って変動する運動変数yを測定する運動変数測定機能と、外力fの設定値及び運動変数yの測定値に基づき、外力f及び運動変数yを変数とする因子関数γ(f,y)に従って因子γの値を設定する因子設定機能と、因子γの設定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが基準値ε未満であるか否かを判定する判定機能と、判定機能により該偏差δの大きさが該基準値ε以上であると判定された場合、因子γの設定値がその目標値γに近づくように外力関数f(x)をあらたに設定する外力関数設定機能とをコンピュータに付与することを特徴とする。
【0032】
本発明の外力制御プログラムによれば、動物の筋電位測定状態の変化等が生じても、外力fと運動変数yとの関係が因子目標値γにより定まる目標関係(γ=γ(f,y))に近づくように、筋電位xに基づいて外力fを制御する機能をコンピュータに付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の外力制御方法、外力制御システム及び外力制御プログラムの実施形態について図面を用いて説明する。
【0034】
図1は本発明の一実施形態における外力制御システムの構成説明図であり、図2は筋電位の測定方法説明図であり、図3は本発明の一実施形態における外力制御方法の説明図であり、図4は本発明の一実施形態における外力制御方法の実験結果の説明図である。
【0035】
本発明の一実施形態における外力制御システムの構成について図1及び図2を用いて説明する。
【0036】
図1に示されている外力制御システム100は、人間(動物)の左右の膝部に配置されたモータ(原動機)220から、左右の大腿部及び下腿部にそれぞれ装着された装具222を介して左右脚体に与えられる膝関節回りの外的トルク(外力)を制御するものである。モータ220は、腰部に取り付けられるケース202に収納されたバッテリ200を電源として作動する。
【0037】
また、外力制御システム100は、筋電位測定ユニット110と、合力測定ユニット(運動変数測定手段)120と、因子設定ユニット130と、判定ユニット140と、外力関数設定ユニット150と、外力設定ユニット160と、モータ電流制御ユニット170とを備えている。各ユニットは、ハードウェアとしてのCPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータ10と、ソフトウェアとしてメモリに格納されている本発明の「外力制御プログラム」とにより構成されている。マイクロコンピュータ10は、バッテリ200を電源として作動し、ケース202の内部に収納されている。
【0038】
筋電位測定ユニット110は、図2(a)に示されているように人体表面のうち内側広筋、外側広筋及び大腿直筋(伸筋)の部位にそれぞれ取り付けられた伸筋側表面電極111と、図2(b)に示されているように人体表面のうち半腱様筋及び大腿二頭筋(屈筋)の部位にそれぞれ取り付けられた屈筋側表面電極112とを通じて筋電位xを測定する。
【0039】
合力測定ユニット120は、人間の胸部の傾斜角速度に応じた信号を出力する胸部ジャイロセンサ121と、胸部の前後方向の加速度に応じた信号を出力する胸部前後加速度センサ122と、腰部の傾斜角速度に応じた信号を出力する腰部ジャイロセンサ123と、腰部の前後方向の加速度に応じた信号を出力する腰部前後加速度センサ124と、腰部の上下方向の加速度に応じた信号を出力する腰部上下加速度センサ125と、股関節の屈曲角度に応じた信号を出力する股関節角度センサ126と、膝関節の屈曲角度に応じた信号を出力する膝関節角度センサ127とを備えている。合力測定ユニット120は、各センサ121〜127の出力、ひいては人間の胸部の傾斜角速度等の「基礎運動変数」の測定値に基づき、人間の挙動を表す逆動力学モデルを用いて、人間の随意により脚体に生じる膝関節回りの内的トルク(内力)と、膝部分に設けられたモータ220により脚体に与えられる膝関節回りの外的トルク(外力)との和である合力Fを「運動変数」として測定する。モータ220の動力は、モータ220に連結されて膝部から上方及び下方にそれぞれ延設された剛性部材224と、この剛性部材224に連結され大腿部及び下腿部にそれぞれ装着されたサポータ(装具)222と、膝部から下方に延設された剛性部材224に連結された靴226とを介して脚体に与えられる。逆動力学モデルはマイクロコンピュータ10のメモリにより記憶保持されている。
【0040】
なお、図5に示されているように、センサ121〜125が省略され、靴226の底部に、足底に作用する床反力に応じた信号を出力する床反力センサ128が設けられ、股関節角度センサ126、膝関節角度センサ127及び床反力センサ128の出力に基づき、逆動力学モデルに従って合力Fが測定されてもよい。
【0041】
因子設定ユニット130は、外力設定ユニット160による外力fの設定値及び合力測定ユニット120による合力Fの測定値に基づき、外力f及び合力(運動変数)Fを変数とする因子関数γ(f,F)に従って因子γを設定する。
【0042】
判定ユニット140は、因子γの測定値と、その目標値γとの偏差δの大きさが、閾値ε(>0)未満であるか否かを判定する。因子γの目標値γはマイクロコンピュータ10のメモリにより記憶保持されている。また、因子γの目標値γはケース202に設けられているボタン(図示略)を通じて、人間(ユーザ)の意思に応じて調節され得る。
【0043】
外力関数設定ユニット150は、合力Fの測定値及び因子目標値γの積として外力目標値fを設定するとともに、外力fの設定値と外力目標値fとが一致するように筋電位x及び外力fの関係を表す係数αを設定する。また、外力関数設定ユニット150は、因子設定ユニット130による因子γの設定値及び係数αの設定値に基づき、基礎関数F(x,α,γ)に従って筋電位xの関数である外力関数f(x)を設定する。
【0044】
外力設定ユニット160は、筋電位測定ユニット110による筋電位xの測定値に基づき、外力関数設定ユニット150により設定された最新の外力関数f(x)に従って外力fを設定する。
【0045】
モータ電流制御ユニット170は、外力設定ユニット160による外力fの設定値に応じて、バッテリ200からモータ220への供給電流を制御することで、モータ220から装具222を介して脚体に与えられる外力fを制御する。
【0046】
前記構成の外力制御システム100により実施される外力制御方法について図3及び図4を用いて説明する。
【0047】
まず、ケース202に設けられているON/OFFスイッチ(図示略)がOFFからONに切り替えられると制御が開始され、外力関数f(x)の設定回数nが「0」にリセットされるとともに(S1)、タイマ(図示略)の計測時間tが「0」にリセットされる(S2)。
【0048】
また、筋電位測定ユニット110が伸筋側表面電極111及び屈筋側表面電極112のそれぞれを通じて、筋繊維の活動により生じ人間の歩行運動等に伴い変動する筋電位xの値を測定する(S3)。筋電位xには、伸筋側表面電極111を通じて測定される伸筋電位xi+(i=1(内側広筋),2(外側広筋),3(大腿直筋))と、屈筋側表面電極112を通じて測定される屈筋電位xj−(j=1(半腱様筋),2(大腿二頭筋))とが含まれる。筋電位測定ユニット110による伸筋電位xi+及び屈筋電位xj−の測定値は、伸筋側表面電極111及び屈筋側表面電極112により検出された筋電信号が、フィルタ、増幅器を経た上でA/D変換され、絶対値化された後、ローパスフィルタに通されたものである。
【0049】
また、外力設定ユニット160が、筋電位x=(x1+,x2+,x3+,x1−,x2−)の測定値に基づき、筋電位xを変数とする外力関数f(x)に従って外力fを設定する(S4)。最初の外力関数f(x)は、経験則等に基づいて予め次式(1)のように設定され、マイクロコンピュータ10のメモリにより記憶保持されているものである。
【0050】
f(x)=h(x,α)γ
≡(Σαi+i+MAi++Σαj−j−MAj−)γ・・(1)
式(1)において係数α=(α1+,α2+,α3+,α1−,α2−)は筋電位x及び外力fの関係を表すものである。また、係数αi+,αj−は正負が逆の係数であり、その比は例えばαi+:αj−=1:−1/3と設定されている。MAi+は伸筋のモーメントアーム、すなわち、関節の回転中心と伸筋の骨への付着位置との距離であり当該関節の屈曲角度に応じて変動する。同様に、MAj−は屈筋のモーメントアーム、すなわち、関節の回転中心と屈筋の骨への付着位置との距離であり、当該関節の屈曲角度に応じて変動する。伸筋のモーメントアームMAi+及び屈筋のモーメントアームMAj−は同等であると仮定されてもよい。
【0051】
さらにモータ電流制御ユニット170が、外力設定ユニット160による外力fの設定値に応じて、モータ220の電流Iを制御する(S5)。これにより、モータ220の動力が装具222を介して伝達され、人間の脚体に当該設定値に一致する外力(膝関節回りの外的トルク)fが与えられる。
【0052】
また、合力測定ユニット120が、センサ121〜127による基礎運動変数、すなわち胸部の傾斜角度及び前後方向の加速度と、腰部の傾斜角度、前後方向の加速度及び上下方向の加速度と、股関節角度と、膝関節角度との測定値に基づき、人間の挙動を表す逆動力学モデルを用いて合力F、すなわち膝関節回りの内的トルク及び外的トルクの和を測定する(S6)。逆動力学モデルを用いた合力Fの測定方法は、特開2003−89083号公報等に開示されているものが採用されれば足りるので、本願明細書ではその詳細については説明を省略する。合力Fは、膝関節の伸展方向、すなわち、下腿部を前方に向かわせる方向を正として定義される。
【0053】
また、因子設定ユニット130がタイマの計測時間tが所定時間t以上になったか否かを判定する。所定時間tは、tがt(i≠0)より長いとか、tがt(i≠0)より短いとかいうように外力関数f(x)の設定回数nに応じて相違してもよく、当該回数nとは無関係に同一であってもよい。この時間tが所定時間t未満であると判定された場合(S7・・NO)、筋電位xの測定(S3)、外力fの設定(S4)、モータ電流の制御(S5)及び合力Fの測定(S6)が繰り返し実行される。一方、この時間tが所定時間tに至ったと判定された場合(S7・・YES)、因子設定ユニット130が外力fの設定値(S4参照)及び合力Fの測定値(S6参照)に基づき、次式(2)で表される因子関数γ(f,F)に従って因子γを設定する(S8)。
【0054】
γ(f,F)=f/F ・・(2)
式(2)に従って設定される因子γは、合力Fを生じさせる際に人間の脚体に与えられる外力fを定めるものであり、外力fにより動作が補助(アシスト)されることから「アシスト比」と呼ばれ得るものである。
【0055】
さらに判定ユニット140が外力関数f(x)の累積設定回数nが0であるか否かを判定する(S9)。この回数nが0であると判定された場合(S9・・YES)、外力関数設定ユニット150が、外力目標値fを設定し(S11)、筋電位x及び外力fの関係を表す係数αを設定し(S12)、外力関数f(x)を設定する(S13)。
【0056】
一方、この回数nが0ではないと判定された場合(S9・・NO)、判定ユニット140が因子γの設定値とその目標値γとの偏差δの大きさが閾値ε(>0)以上であるか否かを判定し(S10(判定ステップ))、偏差δの大きさが閾値ε以上であると判定された場合(S10・・YES)、外力関数設定ユニット150が、外力目標値fを設定し(S11)、筋電位x及び外力fの関係を表す係数αを設定し(S12)、外力関数f(x)を設定する(S13)。偏差δには、一の時点における偏差、複数時点又は連続時間にわたる平均偏差又は累積偏差等が含まれ得る。
【0057】
具体的には、外力関数設定ユニット150は合力(運動変数)Fの測定値F及び因子目標値γの積として外力目標値fを設定する(S11)。また、外力関数設定ユニット150は外力fの最高設定値(S4参照)が外力目標値f(S11参照)の最高値fmaxに一致するように、すなわち外力fの設定値が最高となるときの筋電位xの測定値、及び因子γの測定値を用い、次式(3)で表される等式が成立するように係数α=(α1+,α2+,α3+,α1−,α2−)を設定する(S12)。
【0058】
tmax
=(Σαi+i+MAi++Σαj−j−MAj−)γ/(1−γ) ・・(3)
そして、外力関数設定ユニット150は係数αの設定値と、因子γの測定値とに基づき、次式(4)で表される基礎関数F(x,α,γ)に従って、外力関数f(x)を設定する(S13)。
【0059】
F(x,α,γ)
=h(x,α)γ/(1−γ)
≡(Σαi+i+MAi++Σαj−j−MAj−)γ/(1−γ)・・(4)
外力関数f(x)の設定後、その設定回数nが1つ増加され(S14)、前記ON/OFFスイッチ(図示略)がONからOFFに切り替えられていない場合(S15・・NO)、タイマの計測時間tが0にリセットされ(S2)、筋電位xの測定(S3)以降の処理が繰り返し実行される。
【0060】
図4に示されている前記外力制御方法の実験結果によれば、制御開始直後における外力fの設定値(破線)が、外力関数f(x)の設定(S12)によって、外力目標値f(実線)に徐々に近づいていくことが確認された。
【0061】
前記外力制御方法を実施する外力制御システム100によれば、前記偏差δの大きさが基準値ε以上であると判定された場合(S10・・YES)、外力fの設定値(S4参照)が外力目標値f(S11参照)に一致するように外力関数f(x)が設定される(S13)。また、外力関数f(x)は、外力f及び合力Fの関係を表す因子γの設定値(S8参照)と、筋電位x及び外力fの関係を表す係数αの設定値(S12参照)とに基づき、基礎関数F(x,α,γ)(式(4)参照)に従って設定される。これにより、表面電極111及び112と脚体との接触状態等に変化が生じた場合でも、筋電位x、外力f及び合力Fの最新の関係に基づき、外力fと合力Fとの関係が因子目標値γにより定まる目標関係(γ=γ(f,F)=f/F)に一致するように、外力fが筋電位xに基づいて制御され得る。
【0062】
また、最初の外力関数f(x)には、外力f及び合力Fの現実の関係がまだ反映されていないため、外力fの最初の設定値が、外力f及び合力Fの目標関係から離れたものとなる蓋然性が高いことに鑑み、外力関数f(x)の設定回数nが「0」のとき、判定ステップ(S10)が省略されて外力関数f(x)が設定される。これにより、外力f及び合力Fの関係が当該目標関係に迅速に近づくように、外力fが制御され得る。
【0063】
なお、前記実施形態では外力制御の対象となる動物が人間であったが、他の実施形態として当該動物がサル、キリン等の哺乳類や魚類等、筋繊維の活動に伴って運動するあらゆる動物であってもよい。
【0064】
また、前記実施形態では複数(3つ)の伸筋電位xi+及び複数(2つ)の屈筋電位xj−が測定されたが、他の実施形態として一の伸筋電位x及び一の屈筋電位xが測定されてもよく、複数の伸筋電位xi+及び一の屈筋電位xが測定されてもよく、一の伸筋電位x及び複数の屈筋電位xj−が測定されてもよい。また、これら3つの他の実施形態のそれぞれにおいて式(1)及び(4)に含まれる関数h(x,α)が次式(5)〜(7)により定義されてもよい。
【0065】
h(x,α)≡αMA+αMA ・・(5)
h(x,α)≡Σαi+i+MAi++αMA ・・(6)
h(x,α)≡αMA+Σαj−j−MAj− ・・(7)
さらに前記実施形態では合力測定ユニット120が膝関節角度センサ127等の出力、ひいては膝関節角度、角速度等の「基礎運動変数」に基づいて運動変数としての合力F、すなわち、内力(人間の随意的な膝関節トルク)及び外力(人間の脚体に与えられる膝関節トルク)の和が測定されたが(S6参照)、他の実施形態として合力測定ユニット120が人間の動作を撮影するカメラ(図示略)の映像に基づき外力Fが測定される等、さまざまな方法で外力F(運動変数)が測定されてもよい。
【0066】
前記実施形態では人間の随意により脚体に生じる膝関節回りの内的トルク(内力)と、モータ220により装具222を介して脚体に与えられる膝関節回りの外的トルク(外力)との和である合力Fが「運動変数」として測定されたが、他の実施形態として股関節、足関節、肘関節、肩関節等、膝関節以外の関節回りの内的トルク及び外的トルクの合トルクや、膝関節等の関節角度、関節角速度、関節角加速度、関節トルクの変化率、又はこれらの組合せ等が「運動変数」として測定されてもよい。
【0067】
前記実施形態では式(2)で表される形の因子関数γ(f,F)=f/Fに従って因子γが設定(算出)されたが(S8)、他の実施形態としてこれとは異なる形の外力f及び合力Fの因子関数γ(f,F)に従って因子γが設定されてもよい。
【0068】
前記実施形態では因子γの設定(S8)に際して外力fの設定値(S4参照)が用いられたが、他の実施形態として装具222に取り付けられたひずみゲージ(図示略)の出力や、モータ220の電流を測定する電流センサ(図示略)等の出力に基づき外力fが測定され、因子γの設定に際して外力fの測定値が用いられてもよい。当該他の実施形態によれば、外力fの測定値に基づいて因子γが設定されるので、外力fの測定値に生じうる外力fの設定値との偏差の影響を解消して人間の脚体に与える外力fが制御され得る。
【0069】
前記実施形態ではタイマの計測時間tが所定時間tに達するごとに因子γが設定(算出)されたが(S7,S8参照)、他の実施形態として外力制御システム100が、脚体下部の上下方向の加速度に応じた信号を出力する脚部上下加速度センサと、脚部上下加速度センサの出力に基づいて脚体の接地回数を計測するカウンタとを備え、因子設定ユニット130がカウンタによる計測回数が所定回数に達するごとに因子γが設定(算出)されてもよい。
【0070】
前記実施形態では外力関数f(x)の設定回数nが0である場合は判定ステップ(S10)が省略されたが、他の実施形態として当該回数nとは無関係に(回数nが0であっても)判定ステップが実行されてもよい。
【0071】
前記実施形態では外力fの最高設定値が外力目標値fの最高値ftmaxに一致するように係数αが設定されたが(S11,S12参照)、他の実施形態として外力fの設定値の一定期間又は複数時点における外力fの設定値の平均値や累積値が一定期間又は複数時点における外力目標値fの平均値や累積値に一致するように係数αが設定されてもよい。
【0072】
本発明の他の実施形態として、胸部ジャイロセンサ121、胸部前後加速度センサ122、腰部ジャイロセンサ103、腰部前後加速度センサ124及び腰部上下加速度センサ125が省略されるとともに、外力制御システム100が、股関節角度センサ126の出力及び膝関節角度センサ127の出力に基づき、人間の運動状態を判定する運動状態判定ユニットを備え、また、合力測定ユニット120が、運動状態判定ユニットにより判定された運動状態に基づき、メモリにその運動状態と対応付けられて記憶保持されている合力Fを読み取ってもよい(測定してもよい)。
【0073】
当該他の実施形態において、運動状態の具体的な判定方法としては、特開2003−116893号公報等により開示されているものが採用されれば足りるので、本願明細書ではその詳細については説明を省略する。運動状態判定ユニットは、当該方法に従って人間の運動状態が、人間が平地又は傾斜がほとんど無視できるようななだらかな地面を歩行している「平地歩行状態」、階段や坂道を下がる「下降歩行状態」。階段や坂道を上がる「上昇歩行状態」、椅子から立ち上がる「椅子立ち上がり状態」及び起立状態から椅子に座る「椅子座り状態」等、複数の運動状態のうちいずれであるかを判定する。
【0074】
本発明の他の実施形態として、外力制御システム100が運動状態判定ユニットを備え、運動状態判定ユニットにより判定された運動状態に基づき、運動状態ごとに設定され、メモリにより記憶保持されている基礎関数F(x,α,γ)に従って外力関数f(x)を設定してもよい(S12)。また、さらに他の実施形態として、外力制御システム100が運動状態判定ユニットを備え、判定ユニット140が運動状態判定ユニットにより判定された運動状態に従って、運動状態ごとに設定され、メモリにより記憶保持されている因子目標値γに基づき判定を行い(S10)、外力関数設定ユニット150が運動状態判定ユニットにより判定された運動状態に従って、運動状態ごとに設定された因子目標値γに基づき係数αを設定した上で外力関数f(x)を設定してもよい(S11,S12)。
【0075】
当該実施形態によれば、ユーザ(人間)の運動状態に鑑みて、ユーザの脚体に与えられる外力fを適切なものとすることができる。
【0076】
本発明の他の実施形態として判定ユニット140が、偏差δの正負の別に応じて異なる閾値εによって、偏差δの大きさが閾値ε未満であるか否かを判定してもよい。当該実施形態によれば、因子γの設定値とその目標値γとの偏差δの正負に応じて、外力fを受けている動物の運動の不安定の程度が異なるような場合、この相違に鑑みて動物の運動が安定になるように外力fが制御され得る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態における外力制御システムの構成説明図
【図2】筋電位測定方法の説明図
【図3】本発明の一実施形態における外力制御方法の説明図
【図4】本発明の一実施形態における外力制御方法の実験結果の説明図
【図5】本発明の他の実施形態における外力制御システムの構成説明図
【符号の説明】
【0078】
10・・マイクロコンピュータ、100‥外力制御システム、110‥筋電位測定ユニット、111‥伸筋側表面電極、112‥屈筋側表面電極、120‥合力測定ユニット(運動変数測定手段)、121‥胸部ジャイロセンサ、122‥胸部前後加速度センサ、123‥腰部ジャイロセンサ、124‥腰部前後加速度センサ、125‥腰部上下加速度センサ、126‥股関節角度センサ、127‥膝関節角度センサ、128・・床反力センサ、130‥因子設定ユニット、140‥判定ユニット、150‥外力関数設定ユニット、160・・外力設定ユニット、170・・モータ電流制御ユニット、200・・バッテリ、202・・ケース、220・・モータ(原動機)、222・・サポータ(装具)
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成16年12月16日(2004.12.16)
【代理人】 【識別番号】100077805
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 辰彦

【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏

【公開番号】 特開2006−167223(P2006−167223A)
【公開日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願番号】 特願2004−365056(P2004−365056)