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【発明の名称】 歩行補助装置用装着具
【発明者】 【氏名】島田 圭
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】平田 崇
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】ずれ難く快適な装着感が得られ、しかも体形差に容易に適応可能な歩行補助装置用装着具を提供する。

【解決手段】使用者の少なくとも股関節に対応する位置にトルク発生手段(トルクアクチュエータTA1)を概ね固定するための歩行補助装置用装着具(腰部支持具1)を、剛体からなる部分(基部1a)を有すると共に、左右の腸骨棘部(25)、左右の腸骨陵部(23)、および仙骨関節部(24)の5箇所に対応する部位に固定点を有し、且つ前方への開放部を備えるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の少なくとも股関節に対応する位置にトルク発生手段を概ね固定するための歩行補助装置用装着具であって、
剛体からなる部分を有すると共に、左右の腸骨棘部、左右の腸骨陵部、および仙骨関節部の5箇所に対応する部位に固定点を有し、且つ前方への開放部を備えることを特徴とする歩行補助装置用装着具。
【請求項2】
前記左右の腸骨棘部に対応する部分が前後に傾動可能であり、その遊端間が、着脱時は拡開し且つ装着時は狭くなることを特徴とする請求項1に記載の歩行補助装置用装着具。
【請求項3】
前記5箇所の固定点に対応するパッドを有することを特徴とする請求項1若しくは2に記載の歩行補助装置用装着具。
【請求項4】
左右の固定点、あるいは前後の固定点の位置調節手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の歩行補助装置用装着具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行補助装置用装着具に関し、より詳しく言うと、主に下肢機能が低下した人に筋力補助動力を加えるための歩行補助装置を下肢に装着する装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主として外傷や疾病、あるいは加齢による筋力低下で自力歩行が困難となった人のために、股関節や膝関節にトルクアクチュエータを装着し、トルクアクチュエータが発生する回転力で下肢の運動を補助するようにした歩行補助装置が種々提案されている。
【0003】
このような歩行補助装置を下肢に装着するための装着具として、軟質合成樹脂材で形成したコルセット様の腹帯をビンディングで腹部に固定するようにしたものが知られている(特許文献1を参照されたい)。
【特許文献1】特開2002−301124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記文献1に開示されたものは、骨格のない腹部に装着するものであるため、締め付け加減によって腹部の圧迫感が強くなり過ぎたり、緩んでアクチュエータのトルクを受け止めることができなくなったりするといった欠点がある上、腹部の比較的広い範囲を覆うものであるため、前屈運動や捻回運動が著しく阻害されるという不都合もあった。また、体形差に対する適応性が低いため、汎用化が困難であり、製作費用が嵩みがちであった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、ずれ難く快適な装着感が得られ、しかも体形差に容易に適応可能な歩行補助装置用装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明の請求項1は、使用者の少なくとも股関節に対応する位置にトルク発生手段(トルクアクチュエータTA1)を概ね固定するための歩行補助装置用装着具(腰部支持具1)を、剛体からなる部分(基部1a)を有すると共に、左右の腸骨棘部(25)、左右の腸骨陵部(23)、および仙骨関節部(24)の5箇所に対応する部位に固定点を有し、且つ前方への開放部を備えるものとした。
【0007】
また本発明の請求項2は、左右の腸骨棘部に対応する部分(開閉部1b)を前後に傾動可能とし、その遊端間を、着脱時は拡開し且つ装着時は狭くなるものとし、請求項3は、前記5箇所の固定点に対応するパッド(26・27)を有するものとし、さらに請求項4は、上記構成に加えて左右の固定点、あるいは前後の固定点の位置調節手段(伸縮機構21・摺動機構22)を備えるものとした。
【発明の効果】
【0008】
このような本発明の請求項1の構成によれば、フレームを剛体で構成するので、トルク発生手段の力の伝達効率を高めることができる。また、骨盤の体表面に比較的近い突出部、即ち皮下脂肪の比較的少ない部位で装着具を支持することができるので、位置合わせがやり易く、且つ体形の違いにあまり影響されずに高い安定性が得られる。しかも前腹部が開放されているので、装着時に腹腔への圧迫感を与えずに済む。特に請求項2の構成によれば、着脱容易性がより一層高められ、請求項3の構成によれば、接触圧を分散して装着時の快適性がより一層高められ、請求項4の構成によれば、体形の違いに対する適応性がより一層高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明が適用された外骨格型歩行補助装置の全体を示す斜視図であり、図2は、使用者への装着状態を示す側面図である。図1に示すように、この歩行補助装置は、使用者の腰部に装着される腰部支持具1と、使用者の左右の大腿部に装着される上下に長い棒状をなす大腿部支持具2と、使用者の左右の下腿部に装着される上下に長い棒状をなす下腿部支持具3と、使用者が履いた靴に装着される足部支持具4とからなっている。
【0011】
腰部支持具1は、図3に示すように、比較的剛性の高い部材で上面視略U字形(コの字形)に形成された基部1aと、基部1aの前端部に結合した弾性に富む薄板材で形成された左右一対の開閉部1bとからなり、全体として前方中央部が開放されたC字形をなしている。また基部1aの中央部には、左右方向への伸縮機構21が設けられ、左右の開閉部1bには、前後方向への摺動機構22が設けられており、これらは、使用者の体格に応じた適正寸法に設定した上で、例えばねじ手段などをもって固定されるようになっている。
【0012】
腰部支持具1の側部前端および大腿部支持具2の上端には、左右の股関節にトルクを付与するトルクアクチュエータTA1(図2)を取り付けるための左右一対の股関節アクチュエータベース5が設けられている。また大腿部支持具2の下端および下腿部支持具3の上端には、左右の膝関節にトルクを付与するトルクアクチュエータTA2(図2)を取り付けるための左右一対の膝関節アクチュエータベース6が設けられている。
【0013】
大腿部支持具2の股関節アクチュエータベース5並びに膝関節アクチュエータベース6との連結部は、回動軸が前後方向に延在するヒンジ7a・7bを介して屈曲自在に連結されている。また下腿部支持具3の膝関節アクチュエータベース6並びに足部支持具4との連結部も、回動軸が前後方向に延在するヒンジ8a・8bを介して屈曲自在に連結されている。そして大腿部支持具2及び下腿部支持具3は、上下に伸縮可能にされると共に、使用者の体格に応じた適正寸法に設定した上で、例えばねじ手段などをもってその長さが固定されるようになっている。
【0014】
各アクチュエータベース5・6に個々に取り付けられるトルクアクチュエータTA1・TA2は、クラッチ及び減速機付き電動モータからなり、腰部支持具1並びに大腿部支持具2の下端のそれぞれにモータハウジングが固定され、大腿部支持具2並びに下腿部支持具3の各上端のそれぞれにロータが固定される。これにより、股関節並びに膝関節の運動に対応した補助的なトルクが、腰部支持具1の側部前端と大腿部支持具2の上端との連結部および大腿部支持具2の下端と下腿部支持具3の上端との連結部に与えられる。なお、両トルクアクチュエータTA1・TA2は、それぞれ対応する各アクチュエータベース5・6に対して反復着脱可能なねじ手段などを介して取り付けられており、保守・整備の簡略化が図られている。
【0015】
大腿部支持具2の上下方向中間位置には、一対の弾性C字形部材を適宜な上下間隔をおいて連結してなる大腿部結合クリップ9が、所定範囲を上下に摺動可能に結合している。また下腿部支持具3の上下方向中間位置にも、一対の弾性C字形部材を適宜な上下間隔をおいて連結してなる下腿部結合クリップ10が、所定範囲を上下に摺動可能に結合している。
【0016】
下腿部支持具3と足部支持具4との連結部11は、左右方向に延在する軸上で回動可能になっており、足首の運動に追従可能になっている。
【0017】
腰部支持具1の中央部には、図示されない上肢との結合部が設けられる背当て板12が取り付けられている。なお、制御回路やバッテリー等の補機類は、背当て板12に取り付けられる。
【0018】
このような構成の歩行補助装置を使用者の下肢に装着するには、先ず、腰部支持具1の一対の開閉部1bを、弾性変形させつつ水平面上で前方へ傾動させることによってその遊端間を拡開し、使用者の腰部Hに装着する(図3参照)。腰部Hの後背面に背当て板12が当接したところで両開閉部1bを放せば、両開閉部1bは材料自体の弾性でその遊端間を閉じる。これにより、図3に示したように、左右の腸骨陵部23(骨盤側面端点)から仙腸関節24(脊柱と骨盤の接合点)の後背面に対応する部位にU字形をなす基部1aが当接し、左右の腸骨棘部25(骨盤前面端点)に対応する部位に左右一対の開閉部1bが弾発力を伴って当接し、使用者の腰骨のところに腰部支持具1が位置決めされる。
【0019】
ここで腰部支持具1と使用者の腰部Hとの接触部に、分割型のパッド26a〜26eを介設したり(図4参照)、一体型のパッド27を使用者の腰部Hに巻き付けたり(図5参照)すると、腰部支持具1の腰回りに対する接触圧を分散し、装着時の快適性をより一層高めることができる。またパッドの圧縮変形で体形差を吸収し得るので、パッドを個人別に製作すれば、腰部支持具1自体はある程度標準化することができるので、製造コストの低減に寄与することができる。
【0020】
次に、大腿部結合クリップ9並びに下腿部結合クリップ10の開放端側を拡開し、使用者の大腿部並びに下腿部の外側方から使用者の大腿部並びに下腿部に各クリップ9・10を抱着させることにより、大腿部支持具2並びに下腿部支持具3が使用者の脚部に装着される。この時、クラッチを切って両トルクアクチュエータTA1・TA2をフリーにしておけば、大腿部支持具2並びに下腿部支持具3の上下各端部がヒンジ7a・7b・8a・8bから側方へ折れ曲がるので、椅子に腰掛ける等した体勢で歩行補助装置を脚部に容易に装着することができる。
【0021】
各クリップ9・10は、対応する各支持具2・3に対して上下方向に摺動可能に結合しているので、使用者の大腿部並びに下腿部と、これらに対応する各支持具2・3との間に運動時にずれが生じても、太もも並びにふくらはぎに対して各クリップ9・10は位置ずれを起こさないので、装着時の違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用された歩行補助装置の装着具の全体斜視図である。
【図2】歩行補助装置の装着状態を示す側面図である。
【図3】腰部支持具の装着状態を示す上面図である。
【図4】分割型パッドを介装した状態を示す腰部支持具の上面図である。
【図5】一体型パッドを介装した状態を示す腰部支持具の上面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 腰部支持具(歩行補助装置用装着具)
1a 基部(剛体からなる部分)
1b 開閉部(左右の腸骨棘部に対応する部分)
21 伸縮機構
22 摺動機構
23 腸骨陵部
24 仙骨関節部
25 腸骨棘部
26・27 パッド
TA1 トルクアクチュエータ(トルク発生手段)
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成16年9月7日(2004.9.7)
【代理人】 【識別番号】100089266
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 陽一

【公開番号】 特開2006−75226(P2006−75226A)
【公開日】 平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願番号】 特願2004−260072(P2004−260072)