| 【発明の名称】 |
座席昇降式車椅子 |
| 【発明者】 |
【氏名】加瀬 円治 【住所又は居所】東京都北区豊島5−2−8 リョービ株式会社内
【氏名】東藤 雅春 【住所又は居所】東京都北区豊島5−2−8 リョービ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】座席昇降式車椅子の座り心地を改善する。
【解決手段】座席部18の前端が車椅子の機枠に対し枢軸26を介して連結され、座席部と機枠との間に設けられた伸縮装置20の伸縮により座席部が枢軸を支点に上下に回動しうるようする。座席部が前座部18aと後座部18bとに分割され、座席部が降下した際に前座部が車椅子の前方に向って下向きに傾斜し、後座部が前座部の後端から車椅子の後方に向って下向きに傾斜するように設けられる。座席部が下降した際は後座部が下向きに傾斜し、使用者の臀部の後座部への落とし込みが可能になるので、使用者の座り心地が向上し疲労が軽減される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 座席部の前端が車椅子の機枠に対し枢軸を介して連結され、座席部と機枠との間に設けられた伸縮装置の伸縮により座席部が枢軸を支点に上下に回動しうるようにした座席昇降式車椅子において、座席部が前座部と後座部とに分割され、座席部が降下した際に前座部が車椅子の前方に向って下向きに傾斜し、後座部が前座部の後端から車椅子の後方に向って下向きに傾斜するように設けられたことを特徴とする座席昇降式車椅子。 【請求項2】 請求項1に記載の座席昇降式車椅子において、前座部と後座部との間に両者間の角度を調整する角度調整装置が設けられたことを特徴とする座席昇降式車椅子。 【請求項3】 座席部の前端が車椅子の機枠に対し枢軸を介して連結され、座席部と機枠との間に設けられた伸縮装置の伸縮により座席部が枢軸を支点に上下に回動しうるようにした座席昇降式車椅子において、座席部の前端と車椅子の機枠との間に枢軸の高さ位置を調整する高さ調整装置が設けられたことを特徴とする座席昇降式車椅子。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、座席部が上下方向に回動しうる座席昇降式車椅子に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、車椅子の使用者の体格に合わせて座席部の傾斜角度を調整することができる車椅子が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。 【0003】 また、車椅子に乗り降りする際の使用者や介護者の負担を軽減するために、座席部を昇降させる装置を備えた車椅子が提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。 【0004】 【特許文献1】実開平2−13528号公報 【特許文献2】実用新案登録第3056977号公報 【特許文献3】実用新案登録第3068541号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 特許文献1に記載の車椅子は、単に座席部の傾斜角度を加減するだけであるから、座り心地の改善を図ることはできるが、車椅子に乗り降りする際の使用者や介護者の負担を軽減するまでには至らない。 【0006】 特許文献2に記載の車椅子は座席部が前後二分割され、後座部が上昇するようになっているので、使用者や介護者の負担軽減に資することができ、また、前座部は静止状態のままで後座部のみが上昇するようになっているので、後座部の上昇により使用者の臀部が後座部上を滑落しても前座部で受け止めることができる。しかし、後座部が降下すると前座部とともに平坦な座席部になるから、使用者の座り心地の改善を図ることは困難である。 【0007】 特許文献3に記載の車椅子は、座席部を昇降させて使用者や介護者の負担軽減に資することができるが、座席部が上昇したときに使用者の臀部が座席部から滑落しやすいという問題がある。座席部の傾斜が大きく、座っている者に腕の力がない場合はことに滑落しやすい。 【0008】 したがって、本発明は上記不具合を解消することができる座席昇降式車椅子を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、座席部(18)の前端が車椅子の機枠に対し枢軸(26)を介して連結され、座席部(18)と機枠との間に設けられた伸縮装置(20)の伸縮により座席部(18)が枢軸(26)を支点に上下に回動しうるようにした座席昇降式車椅子において、座席部(18)が前座部(18a)と後座部(18b)とに分割され、座席部(18)が降下した際に前座部(18a)が車椅子の前方に向って下向きに傾斜し、後座部(18b)が前座部(18a)の後端から車椅子の後方に向って下向きに傾斜するように設けられた座席昇降式車椅子を採用する。 【0010】 また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の座席昇降式車椅子において、前座部(18a)と後座部(18b)との間に両者間の角度を調整する角度調整装置(31,32等)が設けられた座席昇降式車椅子を採用する。 【0011】 また、請求項3に係る発明は、座席部(38)の前端が車椅子の機枠に対し枢軸(26)を介して連結され、座席部(38)と機枠との間に設けられた伸縮装置(20)の伸縮により座席部(38)が枢軸(26)を支点に上下に回動しうるようにした座席昇降式車椅子において、座席部(38)の前端と車椅子の機枠との間に枢軸(26)の高さ位置を調整する高さ調整装置(34等)が設けられた座席昇降式車椅子を採用する。 【発明の効果】 【0012】 請求項1に係る発明によれば、座席部(18)が昇降可能であることにより使用者の乗り降りの際の労力が軽減されるのはもちろんのこと、座席部(18)が下降した際は後座部(18b)が後方へと下向きに傾斜し、使用者の臀部の後座部(18b)への落とし込みが可能になるので、使用者の座り心地が向上し疲労が軽減される。さらに、座席部(18)が下降した際に後座部(18b)が下向きに傾斜しているので、座席部(18)が上昇した際はその傾斜角が緩和され、したがって臀部の急激な滑落が防止され、使用者が立ち上がりやすくなる。 【0013】 請求項2に係る発明によれば、車椅子の使用者の体格、症状等に合わせて前座部(18a)と後座部(18b)との間の角度を自在に変更し車椅子をさらに使いやすくすることができる。 【0014】 請求項3に係る発明によれば、枢軸(26)の高さ位置を調整して座席部(18)の傾斜を加減し、車椅子の使用者の臀部の落とし込み深さを使用者の体格、症状等に合わせて自在に調整することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下、図面を参照して発明を実施するための最良の形態について説明する。 【0016】 <実施の形態1> 図1及び図2に示すように、車椅子は、その機枠の一部をなす左右一対のサイドフレーム1,2を有し、各サイドフレーム1,2にそれぞれ主輪3,4およびキャスター5が取り付けられる。 【0017】 各サイドフレーム1,2は、前部支柱6、後部支柱7、前後部の支柱6,7を連結する下部連結部材8および上部連結部材9とを備える。前部支柱6には、肘掛け10が取り付けられる。後部支柱7には、介助者が握るグリップ11が取り付けられる。下部連結部材8の前側にはフットレスト12が取り付けられる。 【0018】 左右のサイドフレーム1,2は、座席部18の下方において前後の折畳用X字形リンク装置を介して連結され、また、後部支柱7において柔軟な背もたれ13によって連結され、左右方向(幅方向)に折り畳み可能である。 【0019】 前後の折畳用X字形リンク装置はそれぞれX字形リンク14,15を備え、各X字形リンク14,15の下端部がそれぞれサイドフレーム1,2の下部連結部材8に回動自在に取り付けられる。また、前後のX字形リンク14,15の上端部は、車椅子の左右において連結バー16,17によって前後方向に連結される。前後のX字形リンク14,15の上端部は、連結バー16,17の前後部に回転可能に被せられたパイプ16a,17aに固着される。X字形リンク14,15を車椅子の左右方向に開くと、図2に示すように、左右の連結バー16,17がそれぞれ左右のサイドフレーム1,2の上部連結部材9に沿って停止し、着座可能な状態に保持される。また、X字形リンク14,15を左右方向に閉じると、左右の連結バー16,17が上方に持ち上げられ、両サイドフレーム1,2が左右方向に閉じ合わされる。 【0020】 座席部18はその前端において車椅子の機枠に対し枢軸26を介して連結される。具体的には、左右の連結バー16,17の先端部と左右の側縁バー21の先端部とにそれぞれパイプ16a,17a,21aが遊嵌される。そして、ブラケット17の下端がパイプ16a,17aの側面に固着され、ブラケット17の上端がパイプ21aの側面に車椅子の左右方向に伸びる枢軸26を介して連結される。これにより、座席部18は図2中実線で示す下降位置から二点鎖線で示す上昇位置へと自在に回動可能である。また、車椅子をその左右方向で折り畳むことが可能になる。 【0021】 座席部18は、その左右両側に配置される側縁バー21と、左右の側縁バー21間の中央部に配置される中間部材22と、中間部材22の左右から各側縁バー21に向かって伸びる翼部材23と、左右の側縁バー21間に掛け渡される柔軟なシート部材24とを具備する。 【0022】 左右の翼部材23は、左右の側縁バー21に対しては固着され、中間部材22に対してはヒンジ25を介して連結される。このため、左右の側縁バー21は翼部材23とともに中間部材22上で回動可能であり、これに伴いシート部材24が展開した状態から略V字形に折り畳まれる。 【0023】 座席部18における中間部材22の左右からは支承片22aが左右に突出する。図1に示すように、両翼部材23が左右に展開すると、各支承片22aがその先端で両翼部材23を支持する。 【0024】 座席部18と車椅子の機枠との間には、伸縮装置20が設けられる。この伸縮装置20の伸縮により座席部18が枢軸26を支点に上下に回動しうる。具体的には、座席部18は図2中実線で示す下降位置と二点鎖線で示す上昇位置との二位置間で回動自在であり、また、この二位置間の所望の中間位置で停止可能である。 【0025】 伸縮装置20は車椅子の機枠に対し、支持部材19を介して保持される。すなわち、前後のX字形リンク14,15における各交差部の枢ピン14a,15a間に支持部材19が掛け渡され、座席部18と支持部材19との間に伸縮装置20が介装される。 【0026】 支持部材19は、その底板と、底板の前後端から立ち上がる支持板19a,19bとを備え、支持板19a,19bが前後のX字形リンク14,15における各交差部の枢ピン14a,15aに各々連結される。これにより、支持部材19は枢ピン14a,15aを支点にして左右方向に揺動可能である。 【0027】 伸縮装置20は、具体的には電動アクチュエータであり、そのシリンダ部が支持部材19の底板にピン結合され、ロッド部20aが上記中間部材22にピン結合される。図1乃至図4に示すように、伸縮装置20が縮状態にあると座席部18が上部連結部材9と略同じ高さの位置へと降下し、伸状態にあると座席部18が肘掛け10に達する程度の高さの位置へと上昇しかつ前方にやや傾斜する。 【0028】 図2に示すように、座席部18は前座部18aと後座部18bとに分割され、座席部18が実線で示す位置に降下した際に前座部18aが車椅子の前方に向って下向きに傾斜し、後座部18bが前座部18aの後端から車椅子の後方に向って下向きに傾斜するように設けられる。 【0029】 具体的には、上記左右の側縁バー21の前部が車椅子の前方に向って下向きに傾斜し、後部が前部の後端から車椅子の後方に向って下向きに傾斜しており、この左右の側縁バー21間に柔軟なシート部材24が掛け渡される。より具体的には、左右の側縁バー21の前部は側縁バー21の全長の1/4以下の長さとされ、後部が3/4以上の長さとされる。このように座席部18の全体が「へ」の字状となることから、利用者の臀部の落とし込みが可能になる。 【0030】 また、前座部18aの傾斜より後座部18bの傾斜の方が緩やかであり、後座部18bは図2中二点鎖線で示すように座席面が上昇して最上位置に到達しても、車椅子利用者の臀部が座席部18から滑り落ちない程度の角度の傾斜とされる。前座部18aと後座部18bとの間の山型の傾斜角度は望ましくは150〜170度の範囲内である。これにより、座席部18が上昇して肘掛け10の近傍に到達したとき前座部18aは急傾斜面となるが、後座部18bは臀部が滑り落ちない程度の角度になり、車椅子利用者にとって立ち上がり易くなる。 【0031】 次に、上記構成の車椅子の作用について説明する。 【0032】 図1及び図2に示すように、伸縮装置20を縮めると、座席部18が枢軸26を支点に下方に回動し、側縁バー21の後端が連結バー16,17の上に載ることにより座席部18が着座位置に保持される。 【0033】 座席部18が下降した状態では、後座部18が下向きに傾斜し、使用者の臀部の後座部18bへの落とし込みが可能になる。使用者の臀部は後座部18bに乗り、大腿の膝寄りの裏側と前座部18aとの間には多少の隙間が形成される。これにより、使用者の座り心地が向上し疲労が軽減される。 【0034】 伸縮装置20を伸ばして座席部18を上昇させると、図1及び図2中二点鎖線で示すように、座席部18が枢軸26を支点にして上方に回動し、後側が高くなるように傾斜する。同時に、支持部材19に連結された伸縮装置20も前傾する。 【0035】 このように座席部18が上昇し前傾状態で前方に迫り出すと、着座した使用者は容易に降車可能となる。また、座席部18が下降した状態で後座部18bが下向きに傾斜していることから、座席部18が最上位置まで上昇しても後座部18bの傾斜は比較的緩やかである。従って、腕に力のない者であっても臀部の急激な滑落が防止され、容易に立ち上がって車椅子から降りることができる。 【0036】 車椅子を折り畳む際は、X字形リンク14,15を左右方向に閉じ合わせる。折畳状態において、サイドフレーム1,2間に連結バー16,17、座席部18の翼部材23、側縁バー21等が挟み込まれる。 【0037】 <実施の形態2> この実施の形態2では、実施の形態1における前座部18aと後座部18bとの間に両者間の角度を調整する角度調整装置が設けられる。具体的には、図3(A)(B)に示すように、上記左右の側縁バー21の前部と後部とが切り離され、前後部間に角度調整可能な継手が設けられる。この継手は、側縁バー21の前後部から突出して重なり合うアーム28,29と、アーム28,29間に通してアーム28,29同士を締め付けたり緩めたりする締結具であるボルト30と、アーム28,29の重畳面にボルト30を囲むように環状に形成された噛合歯であるセレーション31,32とを具備する。 【0038】 セレーション31,32は図3(C)に示すような多数の鋸歯を円盤面上に有する。このセレーションに代えて図3(D)に示すようなラチェット歯33を採用することも可能である。 【0039】 ボルト30を緩めてセレーション31,32の噛み合いを解き、左右の側縁バー21の前部と後部とを所望の角度関係に設定したところで再びボルト30を締め付けるようにするとその位置でセレーション31,32が噛み合う。これにより、左右の側縁バー21の前部と後部とが所望の角度関係に固定され、座席部18における前座部18aと後座部18bとの間の角度が車椅子利用者の体格、症状等に適合するように調整される。 【0040】 <実施の形態3> 図4に示すように、この実施の形態3における車椅子では、座席部38の前端と車椅子の機枠との間に枢軸26の高さ位置を調整する高さ調整装置が設けられる。 【0041】 高さ調整装置は、実施の形態1におけるブラケット27に対応する部材として左右の連結バー16,17に対し車椅子の上下方向で位置変更可能なブラケット34を備える。ブラケット34の上端に座席部の側縁バー36の前端が枢軸26を介して連結される。このブラケット34には車椅子の上下方向及び前後方向に複数個の通孔35が形成される。いずれかの高さの通孔35に通した固定ボルト37が連結バー17に螺合することにより、ブラケット34が所望の高さ位置に固定され、座席部38の傾斜が一定に保持される。 【0042】 固定ボルト37を通孔35から抜いてブラケット34の高さを変更し、その高さが決定したところで固定ボルト37を該当する通孔35に通し、連結バー17にブラケット34を締め付けることにより、座席部18の傾斜を加減することができる。着座する利用者の臀部の下方への落とし込みが浅い場合はブラケット34を高く設定した上でブラケット34を連結バー17に固定し、落とし込みが深過ぎたときはブラケット34を低く設定する。また、伸縮装置20を図示しないスイッチで操作し伸縮量を加減することによっても、座席部38の傾斜を加減することができる。たとえば、座席部38の傾斜のおおまかな調整は予め介助者等がブラケット34の位置を変えることで行った後、細かい調整は車椅子利用者自身が伸縮装置20を操作することにより実施することができる。かくて、使用者の臀部の落とし込み深さが車椅子利用者の体格、症状等に合わせて適正に調整される。 【0043】 なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば上記実施の形態3では座席部38が平坦に形成されているが、この座席部に代えて実施の形態1,2の屈曲した座席部18を用いることも可能である。 【図面の簡単な説明】 【0044】 【図1】本発明の実施の形態1に係る座席昇降式車椅子の座席部降下時の正面図である。 【図2】図1に示す車椅子の側面図である。 【図3】(A)は本発明の実施の形態2に係る座席昇降式車椅子の部分切欠側面図、(B)は(A)中、B−B線矢視断面図、(C)は噛合部の歯の形状を示す展開断面図、(D)は他の噛合部の歯の形状を示す展開断面図である。 【図4】本発明の実施の形態3に係る座席昇降式車椅子の部分切欠側面図である。 【符号の説明】 【0045】 18…座席部 18a…前座部 18b…後座部 20…伸縮装置 26…枢軸 31,32…セレーション 34…ブラケット 38…座席部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006943 【氏名又は名称】リョービ株式会社 【住所又は居所】広島県府中市目崎町762番地
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| 【出願日】 |
平成17年5月19日(2005.5.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083839 【弁理士】 【氏名又は名称】石川 泰男
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| 【公開番号】 |
特開2006−320580(P2006−320580A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月30日(2006.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願2005−147197(P2005−147197) |
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