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【発明の名称】 画像処理プログラム、装置及び方法
【発明者】 【氏名】宮崎 靖
【住所又は居所】東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株式会社日立メディコ内

【氏名】尾見 康夫
【住所又は居所】東京都千代田区内神田一丁目1番14号 株式会社日立メディコ内

【要約】 【課題】適応型フィルタ処理において複雑なパラメータを決定することなく、平滑化強度または強調化強度を容易にコントロールでき、モザイク状のパターンノイズの発生を抑制しながら画像ノイズを低減し、安定した高画質の医用画像を得ることができる画像処理プログラム、装置及び方法を提供する。

【解決手段】医用画像の着目画素毎に局所領域を設定する局所領域設定部11bと、局所領域の画素値の出現頻度を示すヒストグラムを生成するための画素値区間の区間幅及び区間数を決定するパラメータ決定部11dと、ヒストグラムを生成するヒストグラム生成部11eと、ヒストグラムにおいて作用区間を設定する作用区間設定部11fと、その作用区間に含まれる画素値区間毎に、その画素値区間の出現頻度を相対的な重みとして画素値区間の中央値に加重加算する処理を行なうフィルタリング部11gと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を読み込む読込ステップと、
前記医用画像に含まれる着目画素毎に局所領域を設定する局所領域設定ステップと、
前記局所領域毎に、その局所領域に含まれる画素値の出現頻度を示すヒストグラムを生成するための画素値区間の区間幅及び区間数を決定する決定ステップと、
前記局所領域を構成する画素のうち、前記各画素値区間に含まれる画素の数を計測して前記出現頻度を求め、前記ヒストグラムを生成する生成ステップと、
前記ヒストグラムにおいて、前記着目画素の画素値が属する前記画素値区間を含む少なくとも一つの前記画素値区間を作用区間として設定する作用区間設定ステップと、
前記作用区間に含まれる前記画素値区間毎に、その画素値区間の出現頻度を相対的な重みとして該画素値区間の中央値又は平均値のいずれか一つに加重加算した処理の結果である結果画素値を出力し、前記着目画素の画素値を前記結果画素値に置き換えるフィルタリングステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
前記決定ステップにおいて、前記ヒストグラムの生成対象となる画素値の範囲を示す処理範囲を設定し、
前記着目画素の画素値が前記処理範囲に属する場合には、前記生成ステップにおいて前記ヒストグラムを生成し、
前記着目画素の画素値が前記処理範囲に属さない場合には、前記生成ステップにおいて前記ヒストグラムを生成することなく、前記フィルタリングステップにおいて、前記着目画素に対応する画素値を結果画素値として出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
前記決定ステップにおいて、前記局所領域の画素値の標準偏差を算出し、その標準偏差に応じて区間幅及び区間数を決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記作用区間設定ステップにおいて、暫定作用区間を設定し、その暫定作用区間に含まれる各画素値区間の出現頻度を加算して合計頻度を算出し、その合計頻度に応じて前記暫定作用区間を構成する区間数を変更して実際の作用区間を決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
医用画像を読み込む読込手段と、
前記医用画像に含まれる着目画素毎に局所領域を設定する局所領域設定手段と、
前記局所領域毎に、その局所領域に含まれる画素値の出現頻度を示すヒストグラムを生成するための画素値区間の区間幅及び区間数を決定する決定手段と、
前記局所領域を構成する画素のうち、前記各画素値区間に含まれる画素の数を計測して前記出現頻度を求め、前記ヒストグラムを生成する生成手段と、
前記ヒストグラムにおいて、前記着目画素の画素値が属する前記画素値区間を含む少なくとも一つの前記画素値区間を作用区間として設定する作用区間設定手段と、
前記作用区間に含まれる前記画素値区間毎に、その画素値区間の出現頻度を相対的な重みとして該画素値区間の中央値又は平均値のいずれか一つに加重加算した処理の結果である結果画素値を出力し、前記着目画素の画素値を前記結果画素値に置き換えるフィルタリング手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
医用画像を読み込む読込ステップと、
前記医用画像に含まれる着目画素毎に局所領域を設定する局所領域設定ステップと、
前記局所領域毎に、その局所領域に含まれる画素値の出現頻度を示すヒストグラムを生成するための画素値区間の区間幅及び区間数を決定する決定ステップと、
前記局所領域を構成する画素のうち、前記各画素値区間に含まれる画素の数を計測して前記出現頻度を求め、前記ヒストグラムを生成する生成ステップと、
前記ヒストグラムにおいて、前記着目画素の画素値が属する前記画素値区間を含む少なくとも一つの前記画素値区間を作用区間として設定する作用区間設定ステップと、
前記作用区間に含まれる前記画素値区間毎に、その画素値区間の出現頻度を相対的な重みとして該画素値区間の中央値又は平均値のいずれか一つに加重加算した処理の結果である結果画素値を出力し、前記着目画素の画素値を前記結果画素値に置き換えるフィルタリングステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理プログラム、装置及び方法に係り、特に画像ノイズを低減する適応フィルタリング処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像の質を決める要素は様々あるが、一般的には解像度、コントラスト、ノイズ、偽像などがその指標として用いられる。
【0003】
空間解像度などの基本的な特性は、医用画像を取得する一連のハードウェアの性能に大きく依存する。例えば医療用の医用画像撮影機器の場合では、検出器の細かさ(開口幅)、サンプリング間隔、X線を用いたデバイスであれば焦点サイズなどである。ノイズは、ハードウェアの性能だけでなく、撮影環境や被検体にも依存する。
【0004】
また、医療用X線診断機器で大柄な患者を撮影する場合には、X線の減弱が大きいので、計測系のノイズの影響が無視できなくなる。一方、医療用X線診断機器でX線強度を強めて使用することは、被検体の放射線被曝の増大に繋がるといった問題がある。そこで、被検体の被曝量を増やさずに画像ノイズを低減することが望まれている。
【0005】
従来、このような要望に対して、画像処理によりノイズを低減する手法が種々提案されている。
【0006】
本発明者らは、特許文献1において、画像の局所領域の特徴量(標準偏差など)に応じてマトリクスサイズを変え、さらに、画素の濃度平均値からの濃度距離により画像フィルタリング係数を決定する手法について開示した。この手法はノイズ低減に大きな効果があり、被検体の被曝量の低減効果も期待できる。
【0007】
特許文献2では、ファジィ推論に基づいて画像フィルタの係数を可変する手法が開示されている。
【0008】
特許文献3では、ヒストグラム等化法に基づいて画素の出現頻度を平滑化することにより画像のコントラストを改善(改良)する手法が開示されている。
【0009】
特許文献4では、ヒストグラムを用いて背景濃度値を特定し、不要な背景情報を除去する手法が開示されている。
【0010】
また、非特許文献1には、エッジを確実に保存することが可能なエッジ保存型平滑化処理に関する手法が記載されている。この手法では、局所領域に複数のマスク設定を行ない、マスク内にエッジが含まれている場合は平滑化の度合いを弱めるなどの調整をする。
【特許文献1】特開2003−225234号公報
【特許文献2】特開平5−91532号公報
【特許文献3】特開平10−293843号公報
【特許文献4】特開2003−250046号公報
【非特許文献1】「画像解析ハンドブック」高木幹夫他、東京大学出版会 p542 エッジ保存型平滑化(Edge Preserving Smoothing)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の適応型フィルタは、フィルタを強くするとモザイク状のパターンノイズが現われて画質が不安定になったり、フィルタのパラメータの数が多いために制御が複雑になったりするという問題がある。また、非特許文献1のエッジ保存型平滑化処理に関する手法は、平滑化の強度を強めると、不自然な印象を処理画像全体に与えるという問題がある。
【0012】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたもので、適応型フィルタ処理において複雑なパラメータを決定することなく、平滑化強度又は強調化強度を容易にコントロールでき、モザイク状のパターンノイズの発生を抑制しながら画像ノイズを低減し、安定した高画質の医用画像を得ることができる画像処理プログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、医用画像を読み込む読込ステップと、前記医用画像に含まれる着目画素毎に局所領域を設定する局所領域設定ステップと、前記局所領域毎に、その局所領域に含まれる画素値の出現頻度を示すヒストグラムを生成するための画素値区間の区間幅及び区間数を決定する決定ステップと、前記局所領域を構成する画素のうち、前記各画素値区間に含まれる画素の数を計測して前記出現頻度を求め、前記ヒストグラムを生成する生成ステップと、前記ヒストグラムにおいて、前記着目画素の画素値が属する前記画素値区間を含む少なくとも一つの前記画素値区間を作用区間として設定する作用区間設定ステップと、前記作用区間に含まれる前記画素値区間毎に、その画素値区間の出現頻度を相対的な重みとして該画素値区間の中央値又は平均値のいずれか一つに加重加算した処理の結果である結果画素値を出力し、前記着目画素の画素値を前記結果画素値に置き換えるフィルタリングステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
なお、上記「決定ステップ」において決定する区間幅及び区間数は、局所領域の画素値に基づいて決めてもよいし、局所領域の画素値の平均値を算出し、その平均値と局所領域に含まれる各画素の画素値との差分値に基づいて区間幅及び区間数を求めてもよい。同様に、ヒストグラムは、局所領域の画素値に基づいて生成してもよいし、局所領域の画素値の平均値との差分値に基づいて生成してもよい。
【0015】
なお、上記「作用区間」は、本発明にかかる画素処理プログラムの目的に応じて決定される画素値区間であって、平滑化フィルタリングを目的とするときには平滑化区間として設定され、強調化フィルタリングを目的とするときには強調化区間として設定される。
【0016】
なお、上記「局所領域」は、暫定的に局所領域を設定し、その局所領域の画素値の標準偏差を算出し、その標準偏差に応じて局所領域のサイズを変更してもよい。
【0017】
また、本発明は、前記決定ステップにおいて、前記ヒストグラムの生成対象となる画素値の範囲を示す処理範囲を設定し、前記着目画素の画素値が前記処理範囲に属する場合には、前記生成ステップにおいて前記ヒストグラムを生成し、前記着目画素の画素値が前記処理範囲に属さない場合には、前記生成ステップにおいて前記ヒストグラムを生成することなく、前記フィルタリングステップにおいて、前記着目画素に対応する画素値を結果画素値として出力する、ことを特徴とする。
【0018】
なお、上記「処理対象範囲」は、前記区間幅に前記区間数を乗じて求めてもよいし、局所領域の画素値に基づいて決めてもよいし、局所領域の画素値の平均値を算出し、その平均値と局所領域に含まれる各画素の画素値との差分値に基づいてきめてもよい。
【0019】
また、本発明は、前記決定ステップにおいて、前記局所領域の画素値の標準偏差を算出し、その標準偏差に応じて区間幅及び区間数を決定する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記作用区間設定ステップにおいて、暫定作用区間を設定し、その暫定作用区間に含まれる各画素値区間の出現頻度を加算して合計頻度を算出し、その合計頻度に応じて前記暫定作用区間を構成する区間数を変更して実際の作用区間を決定する、ことを特徴とする。
【0021】
なお、上記「暫定作用区間」とは、合計頻度を算出するために決定する作用区間をいう。また、「実際の作用区間」とは、フィルタリングステップにおける処理対象となる作用区間をいう。「暫定作用区間」の合計頻度が適切である場合には、暫定作用区間と実際の作用区間とは同一になり、合計頻度が不適切である場合には、暫定作用区間と実際の作用区間とは区間数を変更することにより異なる区間になる。
【0022】
また、本発明は、医用画像を読み込む読込手段と、前記医用画像に含まれる着目画素毎に局所領域を設定する局所領域設定手段と、前記局所領域毎に、その局所領域に含まれる画素値の出現頻度を示すヒストグラムを生成するための画素値区間の区間幅及び区間数を決定する決定手段と、前記局所領域を構成する画素のうち、前記各画素値区間に含まれる画素の数を計測して前記出現頻度を求め、前記ヒストグラムを生成する生成手段と、前記ヒストグラムにおいて、前記着目画素の画素値が属する前記画素値区間を含む少なくとも一つの前記画素値区間を作用区間として設定する作用区間設定手段と、前記作用区間に含まれる前記画素値区間毎に、その画素値区間の出現頻度を相対的な重みとして該画素値区間の中央値又は平均値のいずれか一つに加重加算した処理の結果である結果画素値を出力し、前記着目画素の画素値を前記結果画素値に置き換えるフィルタリング手段と、を備える。
【0023】
また、本発明は、医用画像を読み込む読込ステップと、前記医用画像に含まれる着目画素毎に局所領域を設定する局所領域設定ステップと、前記局所領域毎に、その局所領域に含まれる画素値の出現頻度を示すヒストグラムを生成するための画素値区間の区間幅及び区間数を決定する決定ステップと、前記局所領域を構成する画素のうち、前記各画素値区間に含まれる画素の数を計測して前記出現頻度を求め、前記ヒストグラムを生成する生成ステップと、前記ヒストグラムにおいて、前記着目画素の画素値が属する前記画素値区間を含む少なくとも一つの前記画素値区間を作用区間として設定する作用区間設定ステップと、前記作用区間に含まれる前記画素値区間毎に、その画素値区間の出現頻度を相対的な重みとして該画素値区間の中央値又は平均値のいずれか一つに加重加算した処理の結果である結果画素値を出力し、前記着目画素の画素値を前記結果画素値に置き換えるフィルタリングステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、適応型フィルタリング処理において複雑なパラメータを決定することなく、平滑化強度又は強調化強度を容易にコントロールでき、モザイク状のパターンノイズの発生を抑制しながら画像ノイズを低減し、安定した高画質の医用画像を得ることができる画像処理プログラム、装置及び方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明に係る画像処理プログラム、装置及び方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態による画像処理プログラム、装置及び方法を用いた画像処理システムのハードウェア概略構成図である。画像処理システム1は、医用画像撮影装置2と、医用画像撮影装置2が撮影した医用画像を格納する医用画像データベース3と、画像処理装置10と、を備え、医用画像撮影装置2、医用画像データベース3、及び画像処理装置10は、ネットワーク4を介して互いに接続される。なお、以下では、医用画像撮影装置2としてX線CT装置2を例として説明する。
【0027】
画像処理装置10は、主として各構成要素の動作を制御する中央処理装置(CPU)11と、画像処理装置10の制御プログラムや医用画像データを読み出して作業領域となる主メモリ12と、画像処理装置10の制御プログラムや医用画像表示プログラムなどの各種アプリケーションソフトウェアや医用画像データなどが格納されるデータ記憶装置13と、表示用データを一時記憶する表示メモリ14と、この表示メモリ14からの医用画像データに基づいて医用画像を表示するディスプレイ15と、ディスプレイ15上のソフトスイッチを操作するためのマウス16、トラックボール、タッチパネル等のポインティングデバイスと、ポインティングデバイスのコントローラ16aと、各種パラメータ設定用のキーやスイッチを備えたキーボード17と、画像処理装置10をローカルエリアネットワーク、電話回線、インターネット等のネットワーク4に接続するためのネットワークアダプタ18と、上記各構成要素を接続するデータバス19とから構成される。データ記録装置13は、画像処理装置10に内蔵又は外付けされたメモリ、磁気ディスク等の記憶装置や、取り出し可能な外部メディアに対してデータの書き込みや読み出しを行う装置により構成される。
【0028】
次に、図2に基づいて画像処理装置10のCPU11が実行するプログラムについて説明する。図2は上記プログラムの構成を示すブロック図である。
【0029】
CPU11は、プログラムである画像読込部11a、局所領域設定部11b、特徴量算出部11c、パラメータ決定部11d、ヒストグラム生成部11e、作用区間設定部11f、フィルタリング部11g、表示制御部11h、を実行する。これらのプログラムは、データ記憶装置13に格納され、CPU11が適宜主メモリ12に読み出して実行する。
【0030】
画像読込部11aは、医用画像データベース3やデータ記憶装置13、またはX線CT装置2から医用画像を読み込む。以下、「医用画像」を「画像」とする。なお、本実施形態では、画素値は濃度値である。
【0031】
局所領域設定部11bは、画像に含まれる着目画素毎に局所領域を設定する。
【0032】
特徴量算出部11cは、局所領域の濃度値の局所特徴量(平均値、分散、標準偏差、最高値、最低値など)を算出する。
【0033】
パラメータ決定部11dは、特徴量算出部11cにより算出された局所特徴量に基づいて、局所領域の濃度値の出現頻度を示すヒストグラムのパラメータである区間幅、区間数、中央値等を決定する。
【0034】
ヒストグラム生成部11eは、パラメータ決定部11dにより決定されたパラメータに基づいて、局所領域のヒストグラムを生成する。
【0035】
作用区間設定部11fは、ヒストグラムにおいて、後述する適応フィルタリング処理の対象となる作用区間を設定する。
【0036】
フィルタリング部11gは、作用区間設定部11fで設定した作用区間の適応フィルタリング処理を行ない、処理結果を示す結果画素値を着目画素値に置き換えて出力する。
【0037】
表示制御部11hは、処理結果をディスプレイ15に表示するための表示制御を行う。
【0038】
次に図3に基づいて、以上のように構成された画像処理装置10における適応フィルタリング処理について説明する。図3は、適応フィルタリング処理の流れを示すフローチャートである。CPU11はこのフローチャートに従って画像処理装置10を制御する。
【0039】
(ステップS1)
S1では、画像読込部11aが、医用画像データベース3やデータ記憶装置13、またはX線CT装置2から画像を読み込む(S1)。
【0040】
(ステップS2)
S2では、局所領域設定部11bが、画像に含まれる着目画素毎に局所領域のマトリクスサイズを設定する(S2)。なお、マトリクスサイズは任意であり、画像内でマトリクスサイズを一定にしても、着目画素毎にマトリクスサイズを変更してもよい。
【0041】
(ステップS3)
S2では、特徴量算出部11cが、局所領域毎に画素濃度の平均値、標準偏差、分散、微分値、といった局所領域の特徴を示す特徴量を算出する(S3)。
【0042】
濃度値の標準偏差は、局所領域の濃度値分布が広いか狭いかを示す。X線CT医用画像の場合、濃度値分布が大きい場合は、骨などの高X線吸収体の近傍、すなわち濃度変化の大きいエッジ部分であり、濃度値分布が小さい場合は、軟部組織領域などの微妙な濃度変化を持つ領域である。
【0043】
また、濃度値の微分値は、局所領域の濃度値の変化量を示す。微分値が大きい場合には局所領域内におけるエッジの存在が示唆される。エッジの存在が示唆される場合には、局所領域のマトリクスサイズを変更してもよい。
【0044】
(ステップS4)
S4では、パラメータ決定部11dが、局所領域に含まれる濃度値の出現頻度を示すヒストグラムを生成するための前処理として、ヒストグラムパラメータを算出する。具体的には、S1で求めた画素濃度の平均値、標準偏差などの局所特徴量に基づいてヒストグラムパラメータである区間数と区間幅を決定する(S4)。
【0045】
ヒストグラムの区間数は、局所領域の画素濃度のばらつきを何段階に分けて頻度を数えるか、という階級数である。区間幅は、ヒストグラムの1区間すなわち1つの階級がどれだけの濃度値の範囲を持つかという、1区間あたりの濃度値の幅を示す。
【0046】
(ステップS5)
S5では、後述するS7ヒストグラムの生成対象となる濃度値の範囲を示す処理範囲Wが設定される (S5)。処理範囲Wの濃度値の幅は、区間幅(一区間あたりの濃度幅)に処理範囲W内の区間数を乗じることにより求められる。
【0047】
なお、処理対象範囲Wは、局所領域の濃度値に基づいて決めてもよい。着目画素の濃度値が特定の濃度値、例えば骨のCT値に対応する濃度値の場合には、ヒストグラムの生成処理がなされず、濃度値がそのまま保存されてもよい。
【0048】
(ステップS6)
S6では、着目画素の濃度値がS5で設定した処理範囲Wに含まれるかどうかを判定される(S6)。濃度値が処理範囲Wに含まれていなければ、S7に進む。濃度値が処理範囲Wに含まれていれば、S8に進む。
【0049】
(ステップS7)
S7では、着目画素の濃度値がS2で求めた処理範囲Wに含まれていない場合に、その濃度値は保存される。保存された濃度値は画像処理を行った結果を表す結果画素値として着目画素の座標位置に出力される (S7)。
【0050】
(ステップS8)
S5では、ヒストグラム生成部11eが局所領域のヒストグラムを生成する(S8)。ヒストグラム生成部11eはS4で求めたヒストグラムの区間数、区間幅に従って各区間に含まれる画素の数を計測し、区間毎に出現頻度を求める。
【0051】
なお、上記S4乃至S7の処理は、局所領域の画素値の平均値を算出し、その平均値と局所領域に含まれる各画素の画素値との差分値に基づいて行なわれてもよい。以下、「局所領域の画素値の平均値と局所領域に含まれる各画素の画素値との差分値」を「差分値」とする。
【0052】
すなわち、S4における区間幅と区間数とは差分値に基づいて設定されてもよい。同様にS5における処理範囲は、差分値に基づいて設定されてもよい。同様にS7におけるヒストグラムは、差分値に基づいて生成されてもよい。
【0053】
図4は、局所領域のヒストグラムの例を示す図である。ヒストグラムの横軸は、差分値に基づく区間(濃度区間)である。縦軸は、各区間に含まれる画素の出現頻度を示す。図中の処理範囲Wは、S5で設定した処理範囲であり、ヒストグラムにおいて少なくとも1つの階級を含む。
【0054】
(ステップS9)
S9では、作用区間設定部11fは、ヒストグラムにおいて着目画素の画素値が属する区間を含む少なくとも一つの区間を作用区間として設定する(S9)。なお、作用区間は、目的に応じて決定される画素値区間である。作用区間は、平滑化フィルタリングを目的とするときには平滑化区間として設定され、強調化フィルタリングを目的とするときには強調化区間として設定される。
【0055】
作用区間設定部11fは、着目画素の濃度値が所属する区間を求める。そして作用区間設定部11fは、後述するS10における適応フィルタリング処理を行なう作用区間を設定する。例えば、着目画素の濃度値が区間mに属していて作用区間数を3と設定した場合、作用区間は区間m−1、m、m+1の3区間であり、この3区間が処理対象となる(図4参照)。
【0056】
(ステップS10)
S10では、フィルタリング部11gが、作用区間に含まれる区間毎に、その区間の出現頻度を相対的な重みとしてその区間の中央値に加重加算した処理の結果である結果画素値を出力し、着目画素の濃度値を結果画素値に置き換える処理を行う(S10)。
【0057】
区間の中央値をMとすれば、結果画素値Rは次式で求められる。中央値とは各区間の中央の濃度値を示し、例えば区間mの濃度値範囲が10〜15であった場合は12・5となる。
【0058】
【数1】



【0059】
各区間の頻度C(m−1)、C(m)、C(m+1)を相対的な重みとしてそれぞれの区間中央値M(m−1)、M(m)、M(m+1)に乗じ、その総和を求める。そして、その総和を3区間の頻度の総和で除する。なお、中央値Mの変わりに区間の平均値を用いても良い。
【0060】
また上記では例として、作用区間をm−1、m、m+1、区間数を3としたが、エッジの存在等を考慮して予め任意に設定できる。
【0061】
そしてフィルタリング部11gは、結果画素値Rを着目画素の座標位置に出力する。
【0062】
(ステップS11)
S11では、画像の最終画素までステップS2からS10までの処理が施されたかどうか判定される(S11)。最終画素まで処理が施されていなければS2に戻る。最終画素まで処理が施されていれば、S12に進む。
【0063】
(ステップS12)
S12では、表示制御部11hが画像を表示し(S12)、終了する。
【0064】
本実施の形態により、数式1に示すように作用区間を設定するので、平滑化強度又は強調化強度を容易にコントロールできる。また出現頻度を重み付けして処理を行なうのでパターンノイズの発生を抑えながらノイズを低減し、エッジを保存しながら医用画像を自然な印象に保つことができる。
【0065】
<第二実施形態>
第二実施形態では、S9における作用区間を適宜調整する。作用区間を適応型にする方法には種々考えられる。例えばCT画像の場合は、画素値は組織毎に絶対値で定義されているので、作用区間を組織毎に適宜設定する方法が考えられる。その他、以下で例として説明するヒストグラム頻度に基づく方法がある。
【0066】
図5は、第二実施形態に係わる処理の流れを示すフローチャートである。以下、図5に従って、第二実施形態の処理を説明する。
【0067】
(ステップS501乃至S508)
S501乃至S508では、S1乃至S8と同様の処理を行い、局所領域のヒストグラムを算出する。着目画素の濃度値が処理範囲Wに含まれない場合はS513に進み、着目画素の濃度値を結果画素値Rとして着目画素の座標位置に出力する(S501乃至S508)。
【0068】
(ステップS509)
S509では、暫定作用区間が設定される(S509)。「暫定作用区間」は、作用区間の合計頻度算出のために暫定的に設定される作用区間である。
【0069】
(ステップS510)
S510では、暫定作用区間内の合計頻度が算出される(S510)。
【0070】
(ステップS511)
S511では、S510で仮設定した暫定作用区間の合計頻度が適切かどうか判定される(S511)。例えば、暫定作用区間の合計頻度が9であれば9画素の平均効果が得られ、すなわち3×3画素のマトリクスフィルタの平滑化効果と同程度になる。したがって、合計頻度に応じて暫定作用区間を変更することで平滑化の度合いを適切にすることができる。
【0071】
暫定作用区間の合計頻度は、例えば、3×3画素のマトリクスフィルタの平滑化効果と同程度の効果を期待する場合は9以上、4×4画素のマトリクスフィルタの平滑化効果と同程度の効果を期待する場合は16以上、などと設定する。
【0072】
暫定作用区間の合計頻度が適切である場合は、暫定作用区間と実際の作用区間とは同一になり、S512に進む。暫定作用区間の合計頻度が不適切である場合は、S509に戻る。
【0073】
(ステップS512)
S512では、S10と同様にフィルタリング部11gが、数式1を用いてフィルタリング処理を行ない、結果画素値Rを着目画素の座標位置に出力する(S512)。
【0074】
(ステップS513乃至514)
S513乃至514では、S11乃至S12と同様に、画像の最終画素までステップS502からS512までの処理が施こされたかどうか判定され(S513)、最終画素まで処理が施こされていなければS502に戻る。最終画素まで処理が施こされていれば、表示制御部11hは画像を表示し(S514)終了する。
【0075】
本実施の形態により、暫定作用区間を合計頻度に応じて設定するので、平滑化強度または強調化強度の度合いを適切に変えることができる。また出現頻度を重み付けして処理を行なうのでパターンノイズの発生を抑えながらノイズを低減し、エッジを保存しながら医用画像を自然な印象に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明のハードウェア構成図
【図2】本発明のプログラムブロック図
【図3】フィルタリング処理例を示すフローチャート
【図4】局所領域ヒストグラムを説明する例図
【図5】第二実施形態の処理例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0077】
1…医用画像処理システム、2…医用画像撮影装置、3…医用画像データベース、4…ネットワーク、10…画像処理装置、11…CPU、12…主メモリ、13…データ記憶装置、14…表示メモリ、15…ディスプレイ、16…マウス、16a…コントローラ、17…キーボード、18…ネットワークアダプタ、19…データバス
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【住所又は居所】東京都千代田区外神田四丁目14番1号
【出願日】 平成17年6月10日(2005.6.10)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三

【公開番号】 特開2006−340992(P2006−340992A)
【公開日】 平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願番号】 特願2005−171207(P2005−171207)