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【発明の名称】 超音波診断装置および超音波診断装置の心電図同期トリガ信号を生成する方法
【発明者】 【氏名】倉俣 勝輝
【住所又は居所】栃木県大田原市下石上1385番地 東芝メディカルシステムズ株式会社本社内

【要約】 【課題】心電図同期トリガ信号が途中欠如しても、所定のタイミングで超音波診断画像を採取する超音波診断装置を提供すること。

【解決手段】心電図のR波同期信号により起動される第1〜第4のタイマ手段と、前記第1、及び第2のタイマ所定時間、第1第2の何れか短い方、何れか長い方の4つの所定時間の1つを設定し、所定時間経過後にトリガ起動信号を出力するトリガ生成タイミング手段と、前記第3のタイマの所定時間内に、前記トリガ起動信号が出力された場合に、擬似トリガ信号を生成、出力し、終了後に出力された場合は、何ら作動しない擬似トリガ生成手段と、前記第4のタイマ所定時間経過後に、前記擬似トリガ信号が入力された場合に、出力し、所定時間内に入力された場合は出力を阻止するトリガ出力抑制手段と、前記R波同期信号と、前記擬似トリガ信号とを加算した心電同期トリガ信号出力手段とを具備することを特徴とする超音波診断装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図信号波形の所定位相に同期したR波同期信号を出力する心電図トリガ手段と、
前記R波同期信号により起動され、予め設定される第1〜第4の所定時間をそれぞれ規定する第1〜第4のタイマ手段と、
前記第1及び第2のタイマ手段がそれぞれ規定する第1或いは第2の所定時間に対し、第1の所定時間、第2の所定時間、第1及び第2の何れか短い方の所定時間、及び第1及び第2の何れか長い方の所定時間の4つの所定時間の1つを予め設定して、この設定の所定時間の経過後にトリガ起動信号を出力するトリガ生成タイミング手段と、
第4の所定時間より長い前記第3のタイマ手段の規定する第3の所定時間が終了する以前に、前記トリガ起動信号が出力された場合に、このトリガ起動信号により擬似トリガ信号を生成、出力し、第3の所定時間の終了後に出力された場合は、何ら作動しない擬似トリガ生成手段と、
前記第4のタイマ手段の規定する第4の所定時間が経過した後に、前記擬似トリガ信号が入力された場合に、この擬似トリガ信号を出力し、第4の所定時間の終了以前に入力された場合は、擬似トリガ信号出力を阻止するトリガ出力抑制手段と、
前記心電図トリガ手段から出力されたR波同期信号と、前記トリガ出力抑制手段から出力された擬似トリガ信号とを加算した心電同期トリガ信号を、超音波画像取得の超音波の送受信駆動制御手段へ入力するトリガ信号加算出力手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記予め設定される第1〜第4の所定時間の少なくも1つが、入力操作手段により操作者がマニュアル入力して設定されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記予め設定される第1〜第4の所定時間の少なくも1つが、タイマ手段の起動される直前の複数の心拍周期を移動平均して得た平均心拍周期が設定されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記予め設定される第1〜第4の所定時間の少なくも1つが、タイマ手段の起動される直前の複数の心拍周期を移動平均して得た平均心拍周期に予め設定した係数を乗じて設定されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記予め設定される第1〜第4の所定時間の少なくも1つが、タイマ手段の起動される直前の複数の心拍周期を移動平均して得た平均心拍周期に入力操作手段により操作者がマニュアル入力して設定した係数を乗じて設定されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記トリガ出力抑制手段より出力される擬似トリガ信号により鳴動、或いは発光する擬似トリガ作動表示手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記トリガ出力抑制手段より出力される擬似トリガ信号により、超音波画像表示手段の表示部分の一部に、記号または異なる表示色により表示する擬似トリガ作動表示手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項8】
心電図に同期した超音波診断画像を取得する超音波診断装置の心電図同期トリガ信号を生成する方法であって、
心電図信号波形の所定位相に同期したR波同期信号を出力する心電図トリガ出力ステップと、
前記R波同期信号により起動され、予め設定される第1〜第4の所定時間をそれぞれ規定する第1〜第4のタイマ手段が作動する第1〜第4タイマパルスステップと、
前記第1及び第2のタイマ手段がそれぞれ規定する第1或いは第2の所定時間に対し、第1の所定時間、第2の所定時間、第1及び第2の何れか短い方の所定時間、及び第1及び第2の何れか長い方の所定時間の4つの所定時間の1つを予め設定して、この設定の所定時間の経過後にトリガ起動信号を出力するトリガ生成タイミング選択ステップと、
第4の所定時間より長い前記第3のタイマ手段の規定する第3の所定時間が終了する以前に、前記トリガ起動信号が出力された場合に、このトリガ起動信号により擬似トリガ信号を生成、出力し、第3の所定時間の終了後に出力された場合は、何ら作動しない擬似トリガ信号生成ステップと、
前記第4のタイマ手段の規定する第4の所定時間が経過した後に、前記擬似トリガ信号が入力された場合に、この擬似トリガ信号を出力し、第4の所定時間の終了以前に入力された場合は、擬似トリガ信号出力を阻止するトリガ出力抑制ステップと、
前記心電図トリガ手段から出力されたR波同期信号と、前記トリガ出力抑制手段から出力された擬似トリガ信号とを加算した心電同期トリガ信号を、超音波画像取得の超音波の送受信駆動制御手段へ入力するトリガ信号加算出力ステップと、
からなることを特徴とする心電図同期トリガ信号を生成する方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図に同期した超音波画像を得る超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓を含む循環機能の診断には、生体信号の一つである心電図波形の所定のタイミングに超音波診断画像を同期して取得し、これを表示する機能を備える超音波診断装置が一般的に使用される。また最近では、このような心臓機能や血行動態の超音波診断に、心電図波形に同期した超音波造影剤の注入による造影エコー手法、或いはこの造影剤に対するフラッシュ超音波による微小気泡の発泡誘発後に、心電図同期の超音波診断画像を観察するフラッシュエコー手法や、同様にして組織内血流の動態を超音波高調波信号により観察するハーモニックエコー手法などの機能を備える超音波診断装置も使用されている。
【0003】
これ等の循環動態を診断するための超音波診断装置には、心電図装置及び心電同期信号発生装置から成る心電同期ユニットが付加されて、これから出力される心電同期信号により、超音波診断装置本体部の超音波信号発生部が制御される。この制御は、造影剤の投与後で所望の臓器に流入する所定時間が経過した後に、心電図の例えばR波などに同期し、心電図の各時相の特徴的な時点において、超音波プローブ(探触子)からの超音波信号がこれ等の手法に特有の駆動パターンで放射することが行われる。一般的にはこの心電同期ユニットは、循環器用超音波診断装置では基本構成ユニットとして常備し、一般用超音波診断装置では、オプションユニットとして追加、具備されて、心電図に同期した超音波画像を取得することができる。
【0004】
これ等の手法に使用される超音波診断用造影剤は、超音波信号に対する有効な反射体となる微小気泡(マイクロバブル)を大量に混入した注射液で、1回の診断に使用できる投与回数は3回を限度とし、気泡持続の有効時間も約5分と短く、使用における制約がある。したがって、これ等の手法の実施には、熟練した手際の良い医師による超音波診断装置の操作に加えて、前述の制約の中で確実に超音波診断画像を取得するためには、超音波診断用造影剤の投与後には確実な心電図同期が行われることが要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上に述べたように、超音波診断用造影剤を使用して行われる超音波診断画像の採取では、造影剤の使用上の制約により頻回の投与が困難であり、造影剤の投与後の所定時間内に心電図信号に同期した所定の放射パターンによる超音波の駆動が必要となるので、心電図に同期するトリガ信号の欠如は、診断情報の欠落を来たすこととなり、大きな問題点となっていた。また、使用上の制約の範囲以内であっても、複数回の投与は、患者への身体的負担を増すことになると共に、造影剤の使用量が増えて診断コストの増大に繋がるため、心電図信号による同期トリガ信号を安定に得ることが不可欠であった。
【0006】
この発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、造影剤投与後に心電図同期トリガ信号が途中欠如しても、所定のタイミングで超音波診断画像の採取を維持する超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の超音波診断装置は、心電図信号波形の所定位相に同期したR波同期信号を出力する心電図トリガ手段と前記R波同期信号により起動され、予め設定される第1〜第4の所定時間をそれぞれ規定する第1〜第4のタイマ手段と、前記第1及び第2のタイマ手段がそれぞれ規定する第1或いは第2の所定時間に対し、第1の所定時間、第2の所定時間、第1及び第2の何れか短い方の所定時間、及び第1及び第2の何れか長い方の所定時間の4つの所定時間の1つを予め設定して、この設定の所定時間の経過後にトリガ起動信号を出力するトリガ生成タイミング手段と、第4の所定時間より長い前記第3のタイマ手段の規定する第3の所定時間が終了する以前に、前記トリガ起動信号が出力された場合に、このトリガ起動信号により擬似トリガ信号を生成、出力し、第3の所定時間の終了後に出力された場合は、何ら作動しない擬似トリガ生成手段と、前記第4のタイマ手段の規定する第4の所定時間が経過した後に、前記擬似トリガ信号が入力された場合に、この擬似トリガ信号を出力し、第4の所定時間の終了以前に入力された場合は、擬似トリガ信号出力を阻止するトリガ出力抑制手段と、前記心電図トリガ手段から出力されたR波同期信号と、前記トリガ出力抑制手段から出力された擬似トリガ信号とを加算した心電同期トリガ信号を、超音波画像取得の超音波の送受信駆動制御手段へ入力するトリガ信号加算出力手段とを具備することを特徴とするものである。
【0008】
さらに、上記本発明の第1〜第4のタイマ手段においては、前記予め設定される第1〜第4の所定時間の少なくも1つが、入力操作手段により操作者がマニュアル入力して設定されることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、上記本発明の第1〜第4のタイマ手段においては、前記予め設定される第1〜第4の所定時間の少なくも1つが、タイマ手段の起動される直前の複数の心拍周期を移動平均して得た平均心拍周期が設定されることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、上記本発明の第1〜第4のタイマ手段においては、前記予め設定される第1〜第4の所定時間の少なくも1つが、タイマ手段の起動される直前の複数の心拍周期を移動平均して得た平均心拍周期に予め設定した係数を乗じて設定されることを特徴とするものである。
【0011】
さらに、上記本発明の第1〜第4のタイマ手段においては、前記予め設定される第1〜第4の所定時間の少なくも1つが、タイマ手段の起動される直前の複数の心拍周期を移動平均して得た平均心拍周期に入力操作手段により操作者がマニュアル入力して設定した係数を乗じて設定されることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、上記本発明の超音波診断装置においては、前記トリガ出力抑制手段より出力される擬似トリガ信号により鳴動、或いは発光する擬似トリガ作動表示手段を具備したことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、上記本発明の超音波診断装置においては、前記トリガ出力抑制手段より出力される擬似トリガ信号により、超音波画像表示手段の表示部分の一部に、記号または異なる表示色により表示する擬似トリガ作動表示手段を具備したことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の心電図に同期した超音波診断画像を取得する超音波診断装置の心電図同期トリガ信号を生成する方法は、心電図信号波形の所定位相に同期したR波同期信号を出力する心電図トリガ出力ステップと、前記R波同期信号により起動され、予め設定される第1〜第4の所定時間をそれぞれ規定する第1〜第4のタイマ手段が作動する第1〜第4タイマパルスステップと、前記第1及び第2のタイマ手段がそれぞれ規定する第1或いは第2の所定時間に対し、第1の所定時間、第2の所定時間、第1及び第2の何れか短い方の所定時間、及び第1及び第2の何れか長い方の所定時間の4つの所定時間の1つを予め設定して、この設定の所定時間の経過後にトリガ起動信号を出力するトリガ生成タイミング選択ステップと、第4の所定時間より長い前記第3のタイマ手段の規定する第3の所定時間が終了する以前に、前記トリガ起動信号が出力された場合に、このトリガ起動信号により擬似トリガ信号を生成、出力し、第3の所定時間の終了後に出力された場合は、何ら作動しない擬似トリガ信号生成ステップと、前記第4のタイマ手段の規定する第4の所定時間が経過した後に、前記擬似トリガ信号が入力された場合に、この擬似トリガ信号を出力し、第4の所定時間の終了以前に入力された場合は、擬似トリガ信号出力を阻止するトリガ出力抑制ステップと、前記心電図トリガ手段から出力されたR波同期信号と、前記トリガ出力抑制手段から出力された擬似トリガ信号とを加算した心電同期トリガ信号を、超音波画像取得の超音波の送受信駆動制御手段へ入力するトリガ信号加算出力ステップとからなることを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の超音波診断装置によれば、心電図に同期した超音波診断画像の取得において、心拍に同期したR波同期トリガ信号が欠如しても、予め設定した条件に基づく所定のタイミングに擬似トリガ信号により、超音波診断画像の取得を中断することなく超音波画像表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本願発明の超音波診断装置の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0017】
図1は、心電図波形に同期した所定の超音波信号により超音波画像を表示する本実施形態の超音波診断装置の構成全体を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の超音波診断装置1は、大きくは、超音波信号の送受信並びに受信信号を画像信号に処理する本体部10、この本体部10の送受信する回路に接続した超音波プローブ30、画像を表示する表示部17、操作及び入力を行うキーボード18、そして被検者に貼着する電極25a〜25cを接続した心電同期トリガ部20から構成されている。
【0019】
本体部10の詳細は、一般的な超音波断層診断画像を取得する超音波診断装置の本体部分と同様で、超音波送受信駆動回路11、送受信駆動制御回路12、画像制御回路13、グラフィック処理回路14、ビデオ回路15、及び制御CPU(中央処理ユニット)16から構成される。また、表示部17はビデオ回路15に接続され、入力装置のキーボード18は制御CPU16に接続されている。
【0020】
本実施形態の心電同期トリガ部20の詳細は、電極25a〜25cが接続された心電図増幅トリガ回路21、この出力に接続した擬似トリガ信号発生回路22、心電図増幅トリガ回路21の出力及び擬似トリガ信号発生回路22の出力のそれぞれが入力されるトリガ信号OR回路23、及びキーボード18から設定条件を制御CPU16を介して擬似トリガ信号発生回路22に入力するための設定値入力インタフェース(I/F)24とから構成される。
【0021】
次に、本実施形態の超音波診断装置1の作用、動作の詳細を、図2及び図4を用いて説明する。図2は、本実施形態の超音波診断装置1を構成する心電図同期トリガ信号並びにこの心電図同期トリガ信号が欠如した場合に擬似トリガ信号を発生する心電図同期トリガ部20の構成を示すブロック図である。また、図4は、本実施形態の行う心電図同期トリガ信号、並びにこれが欠如した場合に擬似トリガ信号の発生における各処理出力の関係を示すタイミング図で、同図(a)は心電図R波に同期したトリガ信号が、同図(b)は本実施形態の作動による擬似トリガ信号が出力される場合のタイミング図である。
【0022】
本体部10における超音波画像の取得並びにその出力についての作用、動作は、超音波断層診断画像を取得、出力する一般的な超音波診断装置の本体部分と同様に行われる。その概略は、超音波送受信駆動回路11が超音波プローブ30に超音波駆動信号を送信し、その反射超音波信号による受信信号を受信処理する。送受信駆動制御回路12は、超音波駆動のタイミングや駆動電圧、受信信号の電子走査や電子収束の制御などを処理する。送受信駆動制御回路12で処理された受信信号は、画像制御回路13により1フレームの画像信号に構成処理される。さらに、グラフィック処理回路14により、種々の表示モードや表示画像の種類に対応する表示画面の構成が行われる。ビデオ回路15は、表示部17の信号方式に対応する映像信号を出力する。一方、制御CPU(中央処理ユニット)16が、超音波診断装置1全体の制御、すなわち送受信駆動制御回路12、画像制御回路13、グラフィック処理回路14に接続し、これ等を制御している。また、入力装置のキーボード18は、制御CPU16に接続されて、操作者により超音波診断装置1を制御する操作入力や種々の設定、条件などが入力される。
【0023】
本実施形態の超音波診断装置1は、図1に示すように本体部10の送受信駆動制御回路12に心電同期トリガ部20のトリガ信号OR回路23を接続して、これから出力されるトリガ信号により、心電図に同期した超音波画像を取得する。このトリガ信号OR回路23は、心電図増幅トリガ回路21が出力する心電図R波トリガ信号と、或いは心電図R波トリガ信号が所定時間で出力されず欠如した場合に、擬似トリガ信号発生回路22が出力する擬似トリガ信号を加算して、出力し、これが心電図同期トリガ信号として送受信駆動制御回路12に入力される。
【0024】
以下に、心電同期トリガ部20の作用、動作の詳細を説明する。
【0025】
心電同期トリガ部20の詳細な構成を図示した図2に示すように、心電図増幅トリガ回路21から出力される心電図のR波に同期した心電同期信号41(以降本願では、心電図R波に同期したトリガ信号をR波トリガ信号と特に呼ぶ)が、トリガOR回路23及び擬似トリガ信号発生回路22へ入力される。図4には心電図増幅トリガ回路21から出力される信号の波形41を示し、同図(a)には心電図波形40の全てのR波40aに同期するR波トリガ信号の波形41aを、同図(b)には、R波の欠如した波形40bに対し、同期信号が出力されない心電図増幅トリガ回路21の出力の波形41bを、それぞれ示す。
【0026】
図2の詳細な構成図で示すように、擬似トリガ信号発生回路22では、この心電図増幅トリガ回路21から出力されるR波トリガ信号の入力により、マスク時間設定回路229、最大時間設定回路221、平均設定回路A222、及び指定設定回路B223の4個のタイマパルス回路が起動し、それぞれ所定時間のタイマパルス信号を出力する。
【0027】
マスク時間設定回路229は、心電図増幅トリガ回路21より心電図のR波に同期した心電同期信号(R波トリガ信号)が出力された後に、心電図同期の特性上から前の心電同期信号に引き続いて発生する不合理なR波同期信号或いは擬似トリガ信号を抑制する所定時間を、タイマパルス信号45を出力して設定する。
【0028】
また、最大時間設定回路221は、R波トリガ信号が所定時間内で出力されない場合に生成した擬似トリガ信号が、心電図同期の特性上から不合理な過大遅延で生成されることを抑制する所定時間を、タイマパルス信号42を出力して設定する。この抑制する所定時間は、デフォルト設定値の他に、例えば移動平均心拍数に所定の係数を乗じた心拍数など、または本体10に接続しているキーボード18からマニュアル入力され、制御CPU16及び設定値I/F(インタフェース)24を介してマニュアル設定24bに入力することもできる。図4に示すように、これ等のタイマパルス信号は、R波の有無により、それぞれ波形45a、42a、及び波形45b、42bで出力される。
【0029】
一方、平均設定回路A222、及び指定設定回路B223は、心電図増幅トリガ回路21からR波による心電同期信号の出力(R波トリガ信号)が所定時間までに無い場合に、異なる条件による2種類のタイマのタイミングにより擬似トリガ信号の発生タイミングを設定する。平均設定回路A222の生成条件は、最後にR波トリガ信号を出力した以前の心拍数を移動平均した移動平均心拍周期(移動平均心拍数の逆数値)の時間が設定される。この移動平均するサンプル心拍数は、デフォルト設定の心拍数の他に、本体10に接続しているキーボード18からマニュアル入力され、制御CPU16及び設定値I/F(インタフェース)24を介して移動平均のサンプル心拍数設定24bに設定することもできる。一方、指定設定回路B223の生成条件は、固定した心拍周期時間(心拍数の逆数)値をデフォルト設定する、或いはキーボード18から指定値(周期時間或いは心拍数)を直接入力し、マニュアル設定24cに設定して、擬似トリガ信号の発生タイミングをこの指定時間の経過後に設定することができる。
【0030】
平均設定回路A222、及び指定設定回路B223の2種のタイマパルス回路のタイムアップに対し、これ等を組み合わせた4種類のタイミングの何れかが、擬似トリガを出力するタイミングとして擬似トリガタイミング条件回路225により設定される。この4種類の設定の何れか、すなわち、移動平均値(A)、固定指定値(B)、何れかの早い時間(短い方の周期、AorB)、何れか遅い時間(長い周期、AandB)から1つが、操作者が予めキーボード18などの入力指定手段で、制御CPU16及び設定値I/F24を介して、マニュアル設定24dに指定し、これが選択、設定される。
【0031】
擬似トリガタイミング条件回路225は、この指定された条件のタイミングにおいて、この出力に接続する擬似トリガ生成タイミング回路226へ出力する。擬似トリガタイミング条件回路225の出力の波形は、例えば図4(a)では指定設定回路B223の心拍周期を直接設定した例の波形43aを示しており、同図(b)では両設定のor(タイミングのどちらに対しても作動する)が採られて、早くタイムアップした設定が先に作動する場合の波形43bを示す。この出力により、擬似トリガ生成タイミング回路226から擬似トリガを出力する。
【0032】
次にこの擬似トリガは、最大時間設定回路221による擬似トリガ信号の出力が許可される時間範囲(タイマがオン)内のタイムアップ前であるか、否かが判定されて、範囲内であれば擬似トリガ発生回路227から擬似トリガ信号44が出力される。この擬似トリガ信号44は、図4のタイミング図に示すように、同図(a)のR波に同期するR波トリガ信号が連続して得られる場合、あるいは同図(b)のR波が欠如してR波トリガ信号が出力されない場合でも、所定のタイミング条件がタイムアップした時点で、且つ最大時間設定のタイムアップ前であれば、何れの場合であっても、それぞれ波形44aあるいは波形44bのように出力される。一方、範囲外(タイムアップ後)であった場合は、擬似トリガ発生回路227において、同期信号として不合理と判定し、擬似トリガ信号の出力を阻止し、擬似トリガ信号は出力されない(図示なし)。
【0033】
さらにこの擬似トリガ発生回路227から出力された擬似トリガ信号は、マスク時間設定回路229の設定するR波トリガ信号出力後の所定時間を経過して出力されたことが、トリガ出力抑制回路228において、マスク時間設定回路229のタイマパルス波形45と比較して判定され、トリガOR回路23へ入力される。
【0034】
この判定は、図4(b)に示すタイマパルス波形45bのホールド中(Hレベル)に擬似トリガ信号波形44bのホールド(Hレベル)が生じなければ、「是」と判定してトリガOR回路23から擬似トリガ信号が出力される。また所定時間の経過がない場合、例えば同図(a)に示すように、擬似トリガ信号44のタイマパルス波形44aが、正常なR波トリガ信号41a’の発生直後に生成される場合では、R波トリガ信号41a’によるマスク時間設定回路229のタイマパルス波形45a’が、心電R波トリガ信号に引き続いて不合理に発生したとして、トリガ出力抑制回路228において擬似トリガ信号を出力することが抑止されて、トリガOR回路23の出力波形46aには正常なR波トリガ信号41a’に基づく心電同期信号が出力される。
【0035】
したがって、トリガOR回路23からは、心電図増幅トリガ回路21が正常に心電図のR波を検知し、これから出力されるR波トリガ信号と、擬似トリガタイミング条件回路225が設定した所定時間(タイマパルスのタイミング)まで心電図R波トリガ信号が出力されず欠如した場合に、擬似トリガ信号発生回路22が生成した擬似トリガ信号とがそれぞれ入力され、これ等を加算(OR)して出力する。
【0036】
この実施形態の変形例として、擬似トリガ信号で超音波画像を取得したことを操作者に認知させるために、擬似トリガ信号が出力されるトリガ出力抑制回路228の出力に、鳴動装置或いは発光装置を接続し、これ等による音響、或いは光の表示を行う。また、同じくトリガ出力抑制回路228の出力により、超音波画像を表示する図1に示す表示部17の画面上に、記号或いは表示色の異なる表示をしても、操作者に擬似トリガ信号により作動している状況を認知させることができる。また、この超音波画像データがシネメモリなどに取り込まれて記録されている場合には、トリガ出力抑制回路228の出力により、この超音波画像及び心電図波形の各データに、擬似トリガ信号の作動を示すマーキングデータを付加して、再生時に擬似トリガに依る同期であることを示す表示を行う。
【0037】
本実施形態によれば、心電図に同期した超音波診断画像の取得において、心拍に同期したR波同期トリガ信号が欠如しても、予め設定した条件に基づく所定のタイミングに擬似トリガ信号により、超音波診断画像の取得を中断することなく超音波画像表示が可能となる超音波画像診断装置を提供できる。
【0038】
(他の実施形態)
次に本発明の他の実施形態を、図3に示すフローチャートにより説明する。図3は、心電図に同期する超音波診断画像を取得する超音波診断装置1の送受信駆動制御回路12に対し、図1に示す心電図同期トリガ部20が本実施形態の心電同期信号を出力する信号処理の手順を示すフロー図である。
【0039】
本実施形態においては、超音波診断装置1が超音波診断画像を取得する手順は、一般的な超音波診断装置における通常の超音波診断画像を取得する場合と同様の手順により取得される。超音波診断装置1が心電図に同期する超音波診断画像を取得するには、被検者の心電図信号から心電図増幅トリガ回路21で検知した信号に対し、以下の手順で処理した心電同期信号を、送受信駆動制御回路12に入力して、超音波画像データを取得しこれを表示する。
【0040】
一般的に心電図検出ユニットと呼ばれる本実施形態における心電図増幅トリガ回路は、被検者に貼着した心電図電極が採取した心電図信号の波形の特徴から、心電図R波を検出し、R波トリガ信号を出力する。図3のフロー図に示すように本実施形態の処理手順において、先ず、ステップS10で、心電図同期信号回路、すなわち心電図増幅トリガ回路21からR波トリガ信号の出力を監視している。
【0041】
次に、R波トリガ信号が出力されたタイミングで、予めそれぞれ異なる所定時間を設定したタイマを同時に起動し、そのタイマパルスにより所定時間の経過を判定する4つのステップS21、S22、S31、S33を並行して行うと共に、このR波トリガ信号はトリガ信号を加算(OR)出力するステップS36において、これを出力する処理がおこなわれて、R波トリガ信号が送受信駆動制御回路12へ入力される。
【0042】
ステップS21、S22では、予め設定した所定時間の移動平均トリガ信号タイマA及び時間指定トリガ信号タイマBそれぞれをR波トリガ信号が起動する。ステップS21の移動平均トリガ信号タイマAでは、タイマの起動以前の数心拍の心拍周期を移動平均して得た平均心拍周期を所定時間として設定したタイマである。また、ステップS22の時間指定トリガ信号タイマBでは、心拍周期或いは心拍数(逆数が心拍周期となる)を指定して、これを所定時間に設定したタイマである。この移動平均を行う心拍数、或いは心拍周期の指定は、システム内にデフォルト値として設定されている他に、超音波診断装置1の操作者が入力手段を操作してマニュアル設定することもできる。
【0043】
ステップS23において、ステップS21及びS22の結果、すなわちそれぞれタイマのタイムアップのタイミングが組み合わせられ、タイマA、タイマB、タイマAorタイマB(タイマA、Bの何れか早い)、タイマAandタイマB(タイマA、Bの何れか遅い)の4種の選択肢として設定されており、本実施形態の起動時にステップS11で予め指定されたこれ等の選択肢の一つの処理が設定されて、R波トリガ信号の出力後の所定時間の経過した時点に処理結果、すなわちタイマパルスのタイムアップを出力する。この所定時間の経過をステップS24において判定し、選択されたタイマのタイムアップのタイミングになれば、ステップS25へ進めて、このステップにおいてR波トリガ信号に代わる擬似トリガ信号を発生する。
【0044】
一方、ステップS31では、心電図のR波により心電同期信号(R波トリガ信号)が出力された後に、心電図同期の特性上から前の心電同期信号に引き続いて発生する不合理なR波同期信号、またはR波トリガ信号が所定時間の経過をしても出力されない場合に生成した擬似トリガ信号を、予め設定した所定時間が経過するまで抑制するR波トリガ信号判定タイマを起動する。そして、ステップS32で、この所定時間の経過中のタイマ「オン」では、ステップS26において、前述のステップS21〜S24により生成した擬似トリガ信号の出力を阻止する。一方、所定時間の経過後は、ステップS26の擬似トリガ信号の阻止は行わない。
【0045】
また、ステップS33では、R波トリガ信号が所定時間の経過をしても出力されない場合に生成した擬似トリガ信号が、心電図同期の特性上から予め設定した所定時間を過ぎた不合理な過大遅延で生成されることを抑制する最大待ち時間信号タイマを起動する。そして、ステップS34で、この所定時間内であるタイマ「オン」の経過中では、後述するステップS23においてステップS21或いはS22により生成された2種のトリガ信号タイマの出力を、これのタイムアップを判定するステップS24へ進める。またステップS34において、タイマ「オフ」すなわち所定時間の経過後になっている場合では、ステップS21或いはS22により生成された2種のトリガ信号タイマの出力をステップS25で生成した擬似トリガ信号を、ステップS25aにおいて出力しないように、トリガ阻止を行う。
【0046】
ステップS36では、ステップS10で出力されたR波トリガ信号と、ステップS21、S22において設定した2種のタイマの予め指定した組み合わせによるタイミングで、且つステップS31、S33の設定したタイマのタイミング条件に適合して生成されステップS26の処理の結果である擬似トリガ信号が、加算(OR)処理されて、これ等を共に出力し、本体10の送受信駆動制御回路12へ入力する。
【0047】
超音波画像診断装置において、本実施形態の方法によれば、心電図に同期した超音波診断画像の取得において、心拍に同期したR波同期トリガ信号が欠如しても、予め設定した条件に基づく所定のタイミングに擬似トリガ信号により、超音波診断画像の取得を中断することなく超音波画像表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の超音波診断装置の構成全体を示すブロック図。
【図2】本実施形態の心電図同期トリガ部の詳細な構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態の心電図同期トリガ部における信号処理を示すフロー図。
【図4】本実施形態の各処理処理における出力の関係を示すタイミング図。
【符号の説明】
【0049】
1・・・超音波診断装置、
10・・・本体部、
11・・・超音波送受信駆動回路、
12・・・送受信駆動制御回路、
13・・・画像制御回路、
14・・・グラフィック処理回路、
15・・・ビデオ回路、
16・・・制御CPU(中央処理ユニット)、
17・・・表示部、
18・・・キーボード、
20・・・心電同期トリガ部、
21・・・心電図増幅トリガ回路、
22・・・擬似トリガ信号発生回路、
23・・・トリガ信号OR回路、
24・・・設定値入力インタフェース(I/F)、
24a、24c、24d・・・マニュアル設定、
24b・・・移動平均の心拍数設定、
25a、25b、25c・・・電極、
30・・・超音波プローブ、
40、41,42,43,45,46・・・波形、
221・・・最大時間設定回路、
222・・・平均設定回路A、
223・・・指定設定回路B、
225・・・擬似トリガタイミング条件回路、
226・・・擬似トリガ信号発生回路、
227・・・擬似トリガ発生回路、
228・・・トリガ出力抑制回路、
229・・・マスク時間設定回路。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
【住所又は居所】栃木県大田原市下石上1385番地
【出願日】 平成17年3月28日(2005.3.28)
【代理人】 【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所

【公開番号】 特開2006−271485(P2006−271485A)
【公開日】 平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願番号】 特願2005−91457(P2005−91457)