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【発明の名称】 体動検出装置、コンテンツ再生装置、体動検出方法およびコンテンツ再生方法
【発明者】 【氏名】牧野 堅一
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内

【要約】 【課題】動作が行われる周囲の環境や人間の動作上の“癖”などに左右されること無く、正確に、かつ、簡単にユーザの動作の周期についての情報を得ることができるようにする。

【解決手段】体動センサ1によりユーザの体動を計測し、その計測結果を時系列信号として周期性・周期検出部2に供給する。周期性・周期検出部2は、これに供給された時系列情報の所定位置から所定区間長の基準信号を切り出し、この基準信号とその近傍の同じ区間長の信号との相関の強さを検出する。この相関の強さに基づいて、判定手段により、体動が例えば歩行などの周期的なものか否か、周期的なものである場合にはその周期はどれ位かを判定できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体動を計測し、その計測結果を時系列信号として出力する計測手段と、
前記計測手段からの前記時系列信号の所定位置から所定区間長の基準信号を切り出し、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の時系列信号との相関の強さを検出する検出手段と、
前記検出手段からの検出出力に基づいて、前記体動の周期性の有無と周期との一方または両方を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする体動検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の体動検出装置であって、
前記計測手段は、複数の計測結果のそれぞれを時系列信号として出力するものであり、
前記計測手段からの複数の時系列信号から、前記検出手段に供給する検出処理用の時系列信号を形成する形成手段を備え、
前記検出手段は、前記形成手段からの検出処理用の前記時系列信号を用いて、相関の強さを検出する処理を行うものであることを特徴とする体動検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の体動検出装置であって、
前記検出手段は、自己相関係数R(τ)を算出することにより、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の信号との相関の強さを検出することを特徴とする体動検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の体動検出装置であって、
前記判定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)が、0<τ≦M(Mは自己相関係数の次数を決めるN以下の自然数)の範囲でピーク値となるτを特定し、隣接するピーク値間を前記計測手段からの前記時系列信号の周期とし、特定した前記τに基づいて求められるその時間周期を体動の周期とすることを特徴とする体動検出装置。
【請求項5】
請求項3に記載の体動検出装置であって、
前記判定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)が、0<τ≦M(Mは自己相関係数の次数を決めるN以下の自然数)の範囲でピーク値となるτのうち最小のものをτpとするとき、τpの整数倍の位置の、あるいは、当該τpの整数倍の近傍の位置の自己相関係数がピーク値であるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、前記体動が周期的な体動か否かを判定することを特徴とする体動検出装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の体動検出装置であって、
前記判定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)を0次の係数R(0)で正規化した値r(τ)が、所定の閾値より大きくなければ、前記自己相関係数R(τ)を有効なピーク値としないことを特徴とする体動検出装置。
【請求項7】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の体動検出装置であって、
前記検出手段においての処理の対象となる前記時系列信号のエネルギーを算出する算出手段を備え、
前記判定手段は、前記算出手段により算出された前記時系列信号のエネルギーが所定の閾値より小さい場合には、体動自体がないと判定することを特徴とする体動検出装置。
【請求項8】
コンテンツデータを再生処理する再生手段と、
体動を計測し、その計測結果を時系列信号として出力する計測手段と、
前記計測手段からの前記時系列信号の所定位置から所定区間長の基準信号を切り出し、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の時系列信号との相関の強さを検出する検出手段と、
前記検出手段からの検出出力に基づいて、前記体動の周期を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記体動の周期に合致するように、前記再生手段を制御して、前記コンテンツデータの再生速度を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項9】
請求項8に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記計測手段は、複数の計測結果のそれぞれを時系列信号として出力するものであり、
前記計測手段からの複数の時系列信号から、前記検出手段に供給する検出処理用の時系列信号を形成する形成手段を備え、
前記検出手段は、前記形成手段からの検出処理用の前記時系列信号を用いて、相関の強さを検出する処理を行うものであることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記検出手段は、自己相関係数R(τ)を算出することにより、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の信号との相関の強さを検出することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項11】
請求項10に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記特定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)が、0<τ≦M(Mは自己相関係数の次数を決めるN以下の自然数)の範囲で最大値となるτを特定し、隣接する最大値間を前記計測手段からの前記時系列信号の周期とし、その時間周期を体動の周期とすることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項12】
請求項10に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記特定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)が、0<τ≦M(Mは自己相関係数の次数を決めるN以下の自然数)の範囲で極大値となるτのうち最小のものをτpとするとき、τpの整数倍の位置、あるいは、その近傍の位置の自己相関係数がピーク値であるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、前記体動が周期的な体動か否かを特定することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記特定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)を0次の係数R(0)で正規化した値r(τ)が、所定の閾値より大きくなければ、前記自己相関係数R(τ)を有効なピーク値としないことを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項14】
請求項8、請求項9、請求項10、請求項11または請求項12に記載のコンテンツ再生装置であって、
前記検出手段においての処理の対象となる前記所定区間長の前記時系列信号のエネルギーを算出する算出手段を備え、
前記特定手段は、前記算出手段により算出された前記時系列信号のエネルギーが所定の閾値より小さい場合には、体動自体がないと判定することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項15】
体動を計測し、その計測結果を時系列信号として出力する計測ステップと、
前記計測ステップにおいて計測して得た前記時系列信号の所定位置から所定区間長の基準信号を切り出し、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の時系列信号との相関の強さを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいての検出結果に基づいて、前記体動の周期性の有無と周期との一方または両方を判定する判定ステップと
を有することを特徴とする体動検出方法。
【請求項16】
コンテンツデータを再生処理する再生ステップと、
体動を計測し、その計測結果を時系列信号として出力する計測ステップと、
前記計測ステップにおいて計測して得た前記時系列信号の所定位置から所定区間長の基準信号を切り出し、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の時系列信号との相関の強さを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいての検出結果に基づいて、前記体動の周期を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定した前記体動の周期に合致するように、前記再生ステップにおいての前記再生処理を制御して、前記コンテンツデータによるコンテンツの再生速度を制御する制御ステップと
を有することを特徴とするコンテンツ再生方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、歩行動作などの周期的な体動を検出する装置、方法、これらを利用してコンテンツの再生を行う装置、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ユーザの歩数を正確に計測したり、人間の動作や行動を自動認識したり、あるいは、ユーザの動きに音楽のテンポを合わせて一体感を得られるようにしたりするなどのために、ユーザの動作(体動)を正確に検出する必要性が生じており、体動の検出に関する技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、加速度センサを用いて歩行動作を含む体動の検出を行うようにし、閾値判定によって歩行動作の検出を行うようにする技術であって、歩行動作のバリエーションに応じて適切な閾値が設定出来る仕組を備えた歩数計についての技術が開示されている。また、特許文献2には、加速度センサの信号を周波数領域の特徴量に変換し、予め動作と関連づけて蓄積された特徴量とのパターン比較(特徴量のパターン比較)により動作を認識する技術が開示されている。
【0004】
上記の特許文献1、特許文献2は以下の通りである。
【特許文献1】特開平02−161932号公報
【特許文献2】特開平10−113343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に人間の身体に装着した加速度センサの信号の閾値判定によって人間の動作の特定を行う場合、予め決められているような固定的な閾値では床面の状態など環境要因の影響や動作の“癖”などの個人差的な要因の影響を受けやすい。
【0006】
このため、上述した特許文献1に記載の技術のように適切な閾値をユーザが選択する方法が有効となる。しかしながら、期待する加速度よりたまたま過大もしくは過小な信号が入力されると、それが直接過剰検出や検出漏れにつながるため、加速度センサ出力の閾値に基づいて体動を判定しようとする方法の場合には信号レベルの変動に原理的に脆弱であるといえる。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載の技術の場合、加速度センサから出力されるセンサ信号を特徴量に変換し、この変換した特徴量と登録された特徴量との比較によって体動の種類を認識するので、特徴量パターンを数多く用意しておくことにより認識率も向上する。しかしながら、逆に考えれば、予め登録されている動作以外は検出が不可能であり、特徴量パターンが適切に準備されていない状態では十分な認識率を得られない可能性もある。
【0008】
このように、従来から、加速度センサから出力されるセンサ信号を用いて人間の動作(体動)を検出しようとする場合、閾値の設定が困難であったり、想定外の動作の検出が原理的に困難であったりするなどの問題があった。
【0009】
また、上述もしたように、ユーザの動きに音楽のテンポを合わせて一体感を得られるようにするために、ユーザの体動の周期を検出しようとする場合、音楽の再生時において、リアルタイムにユーザの体動を検出してその周期を正確に把握することができなければならないので、リアルタイム性、正確性に加え、処理の負荷ができるだけ少ない方が好ましい。
【0010】
以上のことにかんがみ、この発明は、上記問題点を一掃し、動作が行われる周囲の環境や人間の動作上の“癖”などに左右されること無く、正確に、かつ、簡単にユーザの動作の周期についての情報を得ることができるようにする装置、方法、これらを用いてコンテンツ再生する装置、方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の体動検出装置は、
体動を計測し、その計測結果を時系列信号として出力する計測手段と、
前記計測手段からの前記時系列信号の所定位置から所定区間長の基準信号を切り出し、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の時系列信号との相関の強さを検出する検出手段と、
前記検出手段からの検出出力に基づいて、前記体動の周期性の有無と周期との一方または両方を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
この請求項1に記載の発明の体動検出装置によれば、計測手段によりユーザの体動が計測され、その計測結果が時系列信号として検出手段に供給される。そして、検出手段により、これに供給された時系列情報の所定位置から所定区間長の基準信号が切り出され、この基準信号とその近傍の同じ区間長の信号との相関の強さが検出される。この相関の強さに基づいて、判定手段により、例えば、体動が例えば歩行などの周期的なものか否か、周期的なものである場合にはその周期はどれ位かが判定される。
【0013】
このように、体動を時系列信号として情報処理し解析するという手法を用いて、体動が周期的なものか否かなどについて判定することができるので、外部環境や人間の動作上の“癖”などに左右されること無く、正確かつ簡単に、ユーザの動作(体動)について、その動作の周期性などについて判定することができるようにされる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明の体動検出装置は、請求項1に記載の体動検出装置であって、
前記計測手段は、複数の計測結果のそれぞれを時系列信号として出力するものであり、
前記計測手段からの複数の時系列信号から、前記検出手段に供給する検出処理用の時系列信号を形成する形成手段を備え、
前記検出手段は、前記形成手段からの検出処理用の前記時系列信号を用いて、相関の強さを検出する処理を行うものであることを特徴とする。
【0015】
この請求項2に記載の発明の体動検出装置によれば、計測手段は、例えば、複数のセンサ手段により、または、2次元あるいは3次元などの多軸のセンサ手段により構成され、複数の時系列信号を出力するようにされる。計測手段からの複数の時系列信号は、形成手段により1つの検索処理用の信号にまとめられ、検出手段に供給され、相関の強さが検出するようにされる。
【0016】
このように、異なる複数の時系列信号から形成される信号を検出処理の対象とすることにより、種々の要素を含む信号を用いて体動の相関の強さを検出することができ、より詳細な情報を用いて正確に、計測手段からの時系列信号における所定区間単位の相関の強さを把握することができるようにされる。したがって、外部環境や人間の動作上の“癖”などに左右されること無く、より正確に、かつ、簡単にユーザの動作が周期的なものか否かを判定することができるようにされる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明の体動検出装置は、請求項1または請求項2に記載の体動検出装置であって、
前記検出手段は、自己相関係数R(τ)を算出することにより、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の信号との相関の強さを検出することを特徴とする。
【0018】
この請求項3に記載の発明の体動検出装置によれば、検出手段においては、ランダム変動の解析に用いられる自己相関係数を算出することによって、計測手段によって計測されたユーザの体動に応じた時系列信号が解析される。
【0019】
これにより、時系列信号に外部環境や人間の動作上の“癖”に起因する多様性があっても前記基準信号との相関さえ検出されれば適切な体動検出が可能であり、また突発的な異常値が発生した場合であっても、その異常値をいわば平均化することによって影響を受けないようにすることができるようにされ、相関の強さを適正かつ正確に、しかも迅速に検出することができるようにされる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明の体動検出装置は、請求項3に記載の体動検出装置であって、
前記判定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)が、0<τ≦M(Mは自己相関係数の次数を決めるN以下の自然数)の範囲でピーク値となるτを特定し、隣接するピーク値間を前記計測手段からの前記時系列信号の周期とし、特定した前記τに基づいて求められるその時間周期を体動の周期とすることを特徴とする。
【0021】
この請求項4に記載の発明の体動検出装置によれば、判定手段においては、自己相関係数R(τ)のピーク値に基づいて、体動の周期が特定され、体動が周期的なものか否かが判定するようにされる。これにより、自己相関係数のピーク値を基準として、正確に体動の周期性の有無を判定することができるようにされる。
【0022】
なお、この明細書において、ピーク値という文言は、変化する値が上昇から下降に転じる直前の値であって、最大のものを意味する。そして、ピーク値は、周期的に変動する時系列信号の場合には周期的に発生する。
【0023】
また、請求項5に記載の発明の体動検出装置は、請求項3に記載の体動検出装置であって、
前記判定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)が、0<τ≦M(Mは自己相関係数の次数を決めるN以下の自然数)の範囲でピーク値となるτのうち最小のものをτpとするとき、τpの整数倍の位置の、あるいは、当該τpの整数倍の近傍の位置の自己相関係数がピーク値であるか否かを判別し、この判別結果に基づいて、前記体動が周期的な体動か否かを判定することを特徴とする。
【0024】
この請求項5に記載の発明の体動検出装置によれば、判定手段においては、自己相関関数R(τ)のピーク値に基づいて、体動の1周期の長さが値τpとして特定され、この整数倍の位置、あるいは、その近傍にピーク値が存在するか否かを判別することによって、体動に規則正しい周期性があるか否かが判断される。これにより、より正確に体動が周期的なものか否かを判別することができるようにされる。
【0025】
また、請求項6に記載の発明の体動検出装置は、請求項4または請求項5に記載の体動検出装置であって、
前記判定手段は、前記検出手段からの前記自己相関係数R(τ)を0次の係数R(0)で正規化した値r(τ)が、所定の閾値より大きくなければ、前記自己相関係数R(τ)を有効なピーク値としないことを特徴とする。
【0026】
この請求項6に記載の体動検出装置によれば、体動が周期的なものか否かを判別するための情報として用いられる自己相関係数R(τ)は、0次の係数R(0)によって正規化される。これにより、体動の強度の違いなどから起こる信号の振幅の変動によらずに適切にピーク値の位置を特定し、的確に体動の周期性の有無を判別したり、その周期を特定したりすることができるようにされる。
【0027】
また、請求項7に記載の発明の体動検出装置は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の体動検出装置であって、
前記検出手段においての処理の対象となる前記時系列信号のエネルギーを算出する算出手段を備え、
前記判定手段は、前記算出手段により算出された前記時系列信号のエネルギーが所定の閾値より小さい場合には、体動自体がないと判定することを特徴とする。
【0028】
この請求項7に記載の発明の体動検出装置によれば、まず、算出手段によって、処理対象の時系列信号のエネルギーが算出され、この算出されたエネルギーが閾値よりも小さい場合には、体動自体がないと判定するようにされる。これにより、ユーザの体が静止しているような場合に無駄に体動検出を行うことなく、また、信号が非常に小さい場合の誤検出を防止するなどのことができるようにされる。
【0029】
また、請求項8に記載の発明のコンテンツ再生装置は、
コンテンツデータを再生処理する再生手段と、
体動を計測し、その計測結果を時系列信号として出力する計測手段と、
前記計測手段からの前記時系列信号の所定位置から所定区間長の基準信号を切り出し、前記基準信号とその近傍の前記所定区間長の時系列信号との相関の強さを検出する検出手段と、
前記検出手段からの検出出力に基づいて、前記体動の周期を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記体動の周期に合致するように、前記再生手段を制御して、前記コンテンツデータによるコンテンツの再生速度を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0030】
この請求項8に記載の発明のコンテンツ再生装置によれば、計測手段によりユーザの体動が計測され、その計測結果が時系列信号として検出手段に供給される。そして、検出手段により、これに供給された時系列情報の所定位置から所定区間長の基準信号が切り出され、この基準信号とその近傍の同じ区間長の信号との相関の強さが検出される。
【0031】
この相関の強さに基づいて、判定手段により体動の周期が特定される。そして、特定された体動の周期と再生手段によって再生されるコンテンツの再生速度が合致するように、制御手段によって再生手段が制御するようにされる。
【0032】
これにより、ユーザは、自己の体動とコンテンツの再生速度が一致することにより、再生されるコンテンツとの一体感を感じることができると共に、コンテンツの再生速度を変えるために運動の速度を変えたり、一定の強度の運動、例えば、一定の速さのウォーキングを持続させるための意識付けに利用したりすることができるようにされる。
【発明の効果】
【0033】
第1の発明によれば、外部環境や人間の動作上の“癖”などに左右されること無く、正確に、かつ、簡単にユーザの動作についての情報を得て、これを利用するのことができる。すなわち、従来の体動検出装置のように動作と関連づけられた特徴量を事前に蓄積して臆などの必要が無いので、広く一般的に周期的な体動(リズミカルなユーザの動き)を検出することが可能となる。
【0034】
第2の発明によれば、音楽のリズムと人間の体の動きのリズムとを連動させるようにすることができ、従来型の再生機器では出来なかった音楽の楽しみ方が可能となる。すなわち、音楽と人間の動きの一体感が得られたり、逆に音楽の再生速度を変更させるために体を動かしたりするなどのことが可能になる。したがって、聴き飽きてしまった音楽も体の動きと連動する速度で再生されることによって新たな発見があったりなどの効果が期待出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態にいては、この発明による装置、方法を携帯型の音響再生装置(以下、単に音響再生装置という。)に適用した場合を例にして説明する。
【0036】
[音響再生装置について]
図1は、この実施の形態の音響再生装置を説明するためのブロック図である。図1に示すように、この実施の形態の音響再生装置は、体動センサ1と、周期性・周期検出部2と、音楽データ蓄積部3と、再生速度決定部4と、音楽再生制御部5と、音響信号再生部6と、スピーカあるいはヘッドホンやイヤホンなどの音響変換器7と、操作部8と、表示部9とを備えたものである。
【0037】
体動センサ1は、ユーザの体(身体)に装着するようにされ、ユーザの体の動き(体動)を検し、これに応じた電気信号を出力するものである。具体的には、加速度センサや角速度センサなどを用いることが可能である。体動センサ1として加速度センサを用いることにより、体の動きとその強度に応じて変化する電圧出力を得ることができる。この実施の形態の音響再生装置においては、体動センサ1として例えば加速度センサを用いるものとする。
【0038】
なお、体動センサ1の装着位置は、当該体動センサ1がぶれるとノイズの原因となるためユーザの体にできるだけ密着する方がよく、なおかつユーザの体の動きを阻害しない事が望ましい。例えば、ユーザの頭部に装着されるヘッドホン本体に体動センサ1を装着するようにすることができる。このようにした場合には、ユーザの負担や違和感が少なくて済む。また、体動センサ1をヘッドホンに装着した場合は、ユーザの頭の動きのほかに、上半身や体幹部の動きを反映したセンサ出力が得られる。
【0039】
また、この実施の形態の音響再生装置の体動センサ1は、ある程度定常的な信号入力が無いと検出されないため、リズムが頻繁に変わる動きよりも、歩行などある程度一定のリズム(一定の周期)が維持される動きの検出に適したものである。ここで、周期とは、繰り返し行われる動作の開始点と終了点との時間間隔を意味している。
【0040】
体動センサ1からのセンサ出力は、周期性・周期検出部2に供給される。周期性・周期検出部2は、体動センサ1からのセンサ出力を解析することによって、ユーザの体動は周期性のあるものか、周期性のある体動である場合には、その周期はどれ位かを検出し、検出した周期を示す情報を再生速度決定部4に供給する。
【0041】
この実施の形態においては、ユーザの体動の中でも、周期性のある体動を検出するようにしている。周期性のある体動には、例えば、ウォーキング、ジョギング、ランニング、屈伸運動、腹筋運動、腕の振りなど、所定の動作が一定の周期で繰り返し行われるような種々のいわゆるリズミカルに行われる動きが含まれる。
【0042】
そして、詳しくは後述もするが、この音響再生装置の周期性・周期検出部2は、動作が行われる周囲の環境や人間の動作上の“癖”などの影響を受けることなく、周期的な動作が行われているか否かを判別し、周期的な動作が行われているときにはその周期をも検出することができるようにしていいる。
【0043】
音楽データ蓄積部3は、ハードディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、MD(Mini Disc(登録商標))などの光磁気ディスク、フラッシュメモリなどの半導体メモリなどの記録媒体を備えたドライブである。この実施の形態の音響再生装置において、音楽データ蓄積部3は、記録媒体として小型のハードディスクが搭載されたハードディスクドライブであるものとする。
【0044】
そして、音楽データ蓄積部3には、この音響再生装置において再生する種々の音楽(楽曲)の音楽データ(デジタルデータ)と、各音楽データに対応してその音楽のテンポに関する情報が記録保持されている。音楽データとしては、デジタル化されただけの音楽信号そのもの、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データなどの楽譜に相当する形式のデータ、PCM(Pulse Code Modulation)データなどのサンプリングされた波形データ、ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)方式やMP3(MPEG1 Audio Layer 3)方式などの符号化方式で処理されたビットストリームなどの種々の形式のものがある。
【0045】
また、各音楽データに対応するテンポに関する情報は、例えば、四分音符換算で幾つ音符が存在するかといった数値で表現される。なお、曲の途中でテンポが変化する楽曲もあるため、テンポの変わり目の時刻とそのテンポの持続時間といった、時間に関する情報も付加される。
【0046】
また、各音楽データに対応するテンポに関する情報は、音楽データがMIDIデータである場合にはテンポ情報として通常記録されている情報を用いればよい。また、音楽データが、MIDIデータ以外の例えばPCMデータなどの音響波形に基づくデータであれば、その音楽データについて予め解析を行うことによってテンポに関する情報を定めておき、これを楽曲に付随するメタデータの形で記憶保持するようにする。なお、音声データの再生時においてリアルタイムに当該音声データを分析するなどしてテンポに関する情報を算出し、これを用いるようにすることも可能である。
【0047】
そして、再生速度決定部4は、周期性・周期検出部2からの体動の周期と、音楽データ蓄積部3から取得する再生中の音楽データについてのテンポに関する情報とに基づいて、再生中の音楽データの再生速度を決定し、この決定した再生速度で音楽データの再生を行うように音楽再生制御部5に対して指示を出す。
【0048】
具体的には、一番最近に周期性・周期検出部2から供給を受けた体動の周期(体動のサンプル周期)をL1とし、デジタル信号のサンプリング周波数をFsとし、体動の一周期を四分音符の長さとして、体動をテンポTbに換算すると、Tb=60Fs/L1となる。このとき、再生速度決定部4は、現在の再生位置の音楽データの再生テンポをTmとしたとき、通常の再生速度と比較してTb/Tm倍(Tm分のTb倍)の速度で音楽データを再生するように音楽再生制御部5に対して指示を出す。
【0049】
なお、再生速度が音楽として聴きとれないほど極端に変化するのでは音響再生装置としては適切でない。そこで、例えば、Tb<Tm/2の場合(TbよりTm/2の方が大きい場合)には、再生速度係数X=0.5とし、Tb>2Tmの場合(Tbの方が2Tmより大きい場合)には、再生速度係数X=2とし、これ以外の場合、すなわち、Tb≧Tm/2かつTb≦2Tmの場合(TbがTm/2以上で、かつ、Tbが2Tm以下である場合)には、再生速度係数X=Tb/Tmとして、X倍速で再生するように制御することによって、再生速度を通常の再生速度の0.5倍速から2倍速までの範囲に限定することが可能である。
【0050】
なお、上述したように、この明細書において、記号“>”、“<”、“≧”、“≦”のそれぞれは、数学における不等号として用いており、2つの値や式の大小関係を示すためにもちいている。また、言うまでも無く、記号“=”は、数学における等号として用いており、2つの値や式が等しいことを示すためにもちいている。
【0051】
そして、音楽再生制御部5は、操作部8を通じてユーザから指示された音楽データを音楽データ蓄積部3から読み出して再生する処理を行い、処理後の音楽データを音響信号再生部6に供給する。この場合、音楽再生制御部5は、再生速度決定部4からの指示に応じた再生速度となるように、再生速度の制御を行う。
【0052】
音楽再生制御部5においては、再生対象の音楽データがMIDIデータである場合には、再生速度の変更は、当該MIDIデータのテンポに関するパラメータを変更するだけでよい。しかし、再生対象の音楽データがPCMデータなどの音響波形に基づくデータである場合には、再生対象の音楽データ(音響波形信号)を加工するなどして音響波形信号の時間軸上の伸縮を行ったうえで、再生を行うようにする。
【0053】
音響信号再生部6は、音楽再生制御部5からの音楽データから再生用のアナログ音声信号を形成する。例えば、音楽再生制御部5からの音楽データがMIDIデータである場合には、当該MIDIデータのパラメータにしたがって再生用のアナログ音声信号を形成し、これを音響変換器7に供給する。また、音楽再生制御部5からの音声データが、上述したように加工処理された音声データである場合には、D/A(Digital/Analog)変換するなどの処理を行って、再生用のアナログ音声信号を形成し、これを音響変換器7に供給する。
【0054】
これにより、スピーカやヘッドホンなどである音響変換器7からは、ユーザにより指定され音楽データ蓄積部3から読み出された再生対象の音声データに応じた音楽(楽曲)が放音するようにされる。
【0055】
また、音楽再生制御部5に接続された表示部9は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイなどの薄型の表示素子を備え、例えば、再生可能な音声データについての情報や、再生速度についての情報、操作ガイダンスなどの種々の操作メッセージを表示することができるものである。
【0056】
なお、図示しないが、この実施の形態の音響再生装置には、例えば、パーソナルコンピュータなどの外部機器との接続を可能にするための入出力端子や外部I/Fを備え、パーソナルコンピュータなどの外部機器から音楽データの提供を受けて、これを音楽データ蓄積部3に記録するなどのことができるようにされる。
【0057】
そして、上述もしたように、ユーザは、操作部8を通じて指示情報を入力することにより、音楽データ蓄積部3に蓄積されている多数の音楽データの中から目的とする音楽(楽曲)の音楽データを選択し、その選択した音声データについて、再生して聴取することができるようにされる。もちろん、早送り、早戻し、停止、一時停止などの種々の処理を行うことも可能である。
【0058】
また、この実施の形態の音響再生装置は、携帯型のものであり、例えば、ウォーキングやジョギングなどの運動をしながら音楽を聴取するために利用される場合もある。このようにユーザが何らかの運動をしながら利用する場合、そのユーザの運動(ユーザの体動)が、体動センサ1によって検知され、これが電気信号として周期性・周期検出部2に供給され、ユーザの体動が周期的なものか、周期的なものである場合にはその周期はどれ位かが検出される。
【0059】
そして、再生速度決定部4において、再生中の音楽データの再生速度(テンポ)が、周期性・周期検出部2において検出されたユーザの体動の周期に合致(一致)するように、再生中の音楽データの再生速度が決定され、この決定された再生速度に従って、音楽再生制御部5によって音楽データが再生される。
【0060】
これにより、ユーザは自分の体動の周期に合致するように音楽データを再生することができるので、再生される音楽に対して一体感を感じることができるなど、新たな態様で音楽データを利用することができる。また、再生される音楽に合わせて、周期的な体動の周期を維持して、当該周期的な体動を無理なく継続させることができ、運動効率を上げるなどのことができるようにされる。
【0061】
[体動の周期性の有無、体動の周期の検出について]
次に、この実施の形態の音響再生装置の体動センサ1および周期性・周期検出部2よって行われるユーザの体動が周期的なものか否かの検出および周期的な体動である場合の周期の検出について説明する。図2は、この実施の形態の音響再生装置の体動センサ1、周期性・周期検出部2の構成を説明するためのブロック図である。また、図3は、周期性・周期検出部2において行われる処理において用いられる計算式を示す図である。
【0062】
図2に示すように、この実施の形態の音響再生装置の体動センサ1は、3軸(X軸、Y軸、Z軸)の加速度センサによって構成されたものであり、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれのユーザの体動を検知し、この検知した体動に応じたアナログ時系列信号を出力する。体動センサ1からの3軸のそれぞれのセンサ出力(アナログ時系列信号)は、周期性・周期検出部2に供給される。
【0063】
周期性・周期検出部2は、図2に示すように、A/D(Analog/Digital)変換部21と、演算処理部22とを備えたものである。A/D変換部21は、3軸のそれぞれのセンサ出力用に、A/D変換器211、212、213を備えている。また、演算処理部22は、CPU(Central Processing Unit)221と、ROM(Read Only Memory)222と、RAM(Random Access Memory)223とがCPUバス224を通じて接続され、マイクロコンピュータの構成とされたものである。
【0064】
そして、図2に示したように、X軸のセンサ出力はA/D変換器211に、Y軸のセンサ出力はA/D変換器212に、Z軸のセンサ出力はA/D変換器213に供給される。A/D変換器211、212、213のそれぞれにおいては、体動センサ1から供給された対応する軸のセンサ出力をデジタル時系列信号に変換し、これらを演算処理部22に供給する。
【0065】
演算処理部22は、A/D変換部21からの各軸のデジタル時系列信号をCPU221からの割り込み動作などにより取り込み、RAM223などにデジタル時系列信号として蓄積するようにする。そして、演算処理部22は、CPU221からの割り込み動作などの所定のタイミングでRAM223に蓄積されたデジタル時系列信号を解析対象となるデジタル時系列信号として、詳しくは後述もするように、三次元空間における加速度ベクトルのノルムを計算し、これをRAM223の記憶領域に一次元の時系列データX(n)として格納し、x(n)を分析して周期性を判定する。このように、3軸のセンサを用い、加速度ベクトルのノルムを分析対象とすることによって、動きの向きや体動センサ1を装着する向きによらずに、運動の検出が可能となる。
【0066】
具体的には、演算処理部22は、解析対象となるデジタル時系列信号の所定位置から所定区間長の基準信号を切り出し、この切り出した基準信号とその近傍の所定区間長の信号との相関の強さを順次に求め、この相関の強さに基づいて、体動の周期性の有無、周期性がある場合にはその周期を判定するようにしている。
【0067】
この実施の形態においては、ユーザの体動が同じ動きを繰り返すようなものであるかどうかを、上述もしたように、加速度センサによって構成される体動センサ1から得られる時系列信号の周期性を検出することにより判定するために、閾値の設定値が検出精度に大きな影響を及ぼしたり、ユーザの体動の“癖”の影響を受けたりすることなく、かつ、ユーザの体動の種類に限定されることもないようにして、ユーザのリズミカルな体の動き(体動)を検出することができるようにしている。
【0068】
周期性の有無の判定や周期を判定する方法としては、例えば、移動平均法、これを発展させた指数平滑法、多項式回帰分析、スペクトル密度を用いた解析など、ランダム変動の解析に用いられる種々の統計的あるいは数学的な時系列分析方法を用いることが可能である。しかし、この実施の形態においては、自己相関係数R(τ)を用いて、周期性の有無の判定や周期を判定するようにしている。
【0069】
自己相関係数R(τ)は、図3に示した(1)式によって求められる値である。つまり、自己相関係数R(τ)は、固定サンプル長N分のデジタル時系列信号の切り出しを行ってN次元ベクトルの基準信号とし、切り出しを行った区間近傍でもNサンプルの時系列信号を切り出すとともに基準信号との内積を取り、内積の値の大小により区間信号の相関を求めることに相当する。
【0070】
換言すれば、図3に示した(1)式において、関数x(n)は、周期性の有無および周期の検出対象となる体動センサ1からのセンサ出力に応じたデジタル時系列信号である。そして、自己相関係数R(τ)は、デジタル時系列信号x(n)において、値(変数)n=0〜N−1までを基準信号(所定位置“0”から所定区間長“N”の基準信号)とし、この基準信号と、この基準信号と同じ区間長を持ち、基準信号に対して値τだけずれた(離れた)相関検出対象信号であるデジタル時系列信号x(n−τ)との相関の強さを表すものである。このように、値τは、基準信号に対する相関検出対象信号のずれ量、すなわち基準信号と相関検出対象信号との間の距離(時間差)に相当するものであり、例えばサンプル数によって表されるものである。
【0071】
そして、自己相関係数R(τ)は、デジタル時系列信号x(n)から切り出すようにした基準信号と、基準信号と同じ区間長を持ち基準信号に対して値τだけ離れたデジタル時系列信号x(n−τ)との相関が強ければ(相関が高ければ)大きな値となり、逆に相関が弱ければ(相関が低ければ)小さな値となるものである。
【0072】
したがって、値(変数)τを0〜Mまで変化させた場合の自己相関係数R(τ)の値の変化が周期的なものであれば、ユーザの体動は周期的なものであると判定することができる。そして、ユーザの体動が周期的なものである場合には、値τを0〜Mまで変化させた場合の自己相関係数(自己相関関数)R(τ)の隣接するピーク値間の長さが、ユーザの体動の1周期分の長さであると判定することができる。
【0073】
なお、上述もしたように、この明細書においてピーク値という文言は、値が変化する場合にその変化の頂点の値を意味する。換言すれば、変化する値が上昇から下降に転じる直前の値であって、最大のものであり、値が周期的に変化する場合、その値は1周期毎にピーク値となる。
【0074】
また、図3にも示したように、値(変数)τ、値(変数)M、値(変数)nは、0≦τ≦M≦Nと言う関係にあり、値Mは、自己相関係数の次数(区間長に相当)を決めるN以下の自然数である。
【0075】
そして、この実施の形態の音響再生装置の体動センサ1は、上述もしたように、3軸の加速度センサであり、3軸それぞれのセンサ出力を周期性・周期検出部2に供給する。このため、各軸のセンサ出力のそれぞれについて、図3の(1)式にしたがって自己相関係数を求め、それぞれの周期性を調べることが可能である。
【0076】
しかし、各軸のセンサ信号それぞれについて周期性を調べるのでは、処理の負荷が大きくなったり、最終的にユーザの体動の周期性を判定する場合の処理が複雑になったりすることがある。そこで、この実施の形態の音響再生装置においては、各軸のセンサ出力から周期性や周期を検出するために用いるデジタル時系列信号を形成する。
【0077】
具体的には、これは、センサの軸数LをL=2もしくは3としたとき、各軸の時系列データをxi(n)[1≦i≦L]とした場合に、図3の(2)式によって算出されるデジタル時系列データx(n)を周期性や周期を検出するために用いるデジタル時系列信号とする。端的に言えば、この実施の形態においては、加速度ベクトルのノルム、すなわち各軸のセンサ出力のA/D変換後の値の2乗和の平方根を取ることによって形成した信号を体動の周期性や周期を検出するために用いるデジタル時系列信号としている。
【0078】
なお、図3の(2)式によって、周期性や周期を検出するために用いるデジタル時系列信号を形成する方法は一例であり、多軸の体動センサを用いる場合には、何らかのデジタル的もしくはアナログ的な演算によって一次元の時系列信号に変換し、その周期性や周期を調べるようにすればよい。
【0079】
もちろん、演算処理部22の処理能力が高い場合などにおいては、多軸のセンサを用いる場合にそれぞれの軸のセンサ出力ごとに周期性を調べるようにし、その内の1つ、あるいは、各軸のセンサ出力ごとの周期性の検出結果に基づいて、ユーザの体動の周期性の有無および周期を特定するようにしてもよい。
【0080】
また、ここでは多軸の体動センサを用いる場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、ユーザの異なる部位に複数のセンサを取り付ける場合など、すなわち、複数のセンサを用いる場合には、同様にして一次元の時系列信号に変換し、その周期性や周期を調べるようにすればよい。
【0081】
なお、自己相関係数R(τ)を計算するための基準信号や演算対象信号である所定区間長の信号の切り出しは、直前の周期判定(リズム判定)の結果などに基づいて、1周期分切り出す方法も考えられる。しかし、この実施の形態においては、より簡便な方法として一定の間隔と幅で信号を機械的に切り出す方法を用いるようにしている。一定の幅で切り出した信号を用いるようにした場合には、その信号区間長の信号の周期性の強弱やその周期が自己相関係数に反映されることを利用することができる。
【0082】
但しその場合に、自己相関係数の最大値を求めるだけで信号の周期性の判定や周期の決定を行うような単純な方法では、周期的でない信号を周期性があると誤判定するなどの問題が生じる。そこで、真に周期性のある信号であるかの判定を行うための機構が備わっていることが望ましい。
【0083】
すなわち、ユーザの体動の周期は、上述もしたように、値τを0〜Mまで変化させた場合の自己相関係数(自己相関関数)R(τ)の隣接するピーク値間の長さを1周期の長さであると特定することができるが、その前にユーザの体動が周期的なものか否かを正確に判定できることが望ましい。
【0084】
そこで、この実施の形態の音響再生装置においては、自己相関係数R(τ)が、0≦τ≦Mの範囲でピーク値となる値τのうち最小のもの(原点(値τ=0)に一番近いピーク値に対応する値τ)を値τpとし、この値τpの整数倍の位置、あるいは、値τpの整数倍の近傍の位置にピーク値が存在するか否を調べることによって、体動が周期的なものか否かを判別するようにしている。
【0085】
具体的には、値kを図3の(3)式を満たす範囲の自然数とし、値Δ(デルタ)を小さな自然数としたときに、図3の(4)式を満たす範囲のτのうち、自己相関係数R(τ)がピーク値であるかどうかをチェックし、それに基づいて体動の周期性の判定および体動の周期の判定(特定)を行う。
【0086】
換言すれば、上述もしたように、周期的に変動する値の場合、1周期ごとにピーク値が到来するので、1周期の長さとみなした値τpの整数倍の位置、あるいは、その近傍にピーク値が存在すれば、ユーザの体動は周期的なものであると判定することができ、値τpの長さを1周期の長さと特定することができる。
【0087】
そして、この実施の形態の音響再生装置においては、図3の(5)式に示すように、求めた自己相関係数R(τ)を、自己相関係数R(0)で正規化した値r(τ)を求め、このr(τ)が予め決められる閾値以上でない場合には、ピーク値としては用いないようにする。このように正規化を行うのは、体動の強度の違いなどから起こる信号の振幅の変動に影響されることなく、自己相関係数のピーク値の判定を適切に行うためである。
【0088】
すなわち、華奢な女性がすり足で歩いた場合と、屈強な男性がのっしのっしとあるいた場合とではセンサ信の振幅は異なる。したがって、正規化しない自己相関係数に対して固定的な閾値により周期を判定するようにした場合には、上述の例の場合には女性の方だけが信号の周期性の如何にかかわらず検出から漏れてしまうことになる。このような検出信号の振幅の変動に影響を受けないために、正規化を行うのである。
【0089】
なお、上述のようにして、ユーザの体動の周期性の有無や周期の検出を行う前に、体動センサ1からのセンサ出力のエネルギーPが、所定レベル以上か否かを判別するようにして、所定レベル以上である場合においてのみ、ユーザの体動の周期性の有無や周期の検出を行うようにしてもよい。ここで、センサ出力のエネルギーとは、信号区間の時系列サンプルの二乗和であり、0次の自己相関係数R(0)をエネルギーPとしてもよい。
【0090】
このように、センサ出力のエネルギーPを処理を行うか否かの判断基準として用いることによって、ユーザが明らかに静止している場合などにおいて、無駄にユーザの体動の周期性の有無の検出などを行うことがないようにすることができる。
【0091】
この実施の形態の周期性・周期検出部22おいては、上述のように種々の演算を行って、ユーザの体動の周期性の有無を判定したり、ユーザの体動が周期的なものである場合には、その周期を特定したりすることができるようにしている。
【0092】
次に、この実施の形態の周期性・周期検出部2の演算処理部22において行われるユーザの体動の周期性の有無の検出処理および周期の特定処理について、図4〜図6のフローチャートを参照しながら説明する。まず、処理の全体について説明する前に自己相関係数の算出処理について説明する。
【0093】
図4は、自己相関係数R(τ)の算出処理を説明するためのフローチャートである。この図4に示す処理、および、図5、図6を用いて後述する処理は、いずれも周期性・周期検出部2の演算処理部22において実行される処理である。
【0094】
自己相関係数R(τ)を計算する場合、演算処理部22は、値(変数)τをゼロクリア(初期化)し(ステップS1)、値(変数)n、および、自己相関係数R(τ)をゼロクリア(初期化)する(ステップS2)。そして、R(τ)=R(τ)+x(n)x(n−τ)なる演算を行い(ステップS3)、値nに対して1をインクリメントする(ステップS4)。
【0095】
そして、値nが、値Nより小さいか否か、すなわち、切り出した所定の区間長の信号の全てについて(ステップS3)の演算を行ったか否かを判断し(ステップS5)、小さいと判断した場合には、所定区間長の信号の全てを対象として自己相関係数R(τ)を計算する処理は終了していないので、ステップS3からの処理を繰り返す。すなわち、ステップS3からステップS5によって形成されるループが、自己相関係数R(τ)を計算する処理であり、図3の(1)式の演算を行う処理である。
【0096】
そして、ステップS5の判断処理において、値nが値N以上になったと判断した場合には、所定区間長の信号の全てを対象する自己相関係数R(τ)の計算が終了したので、値τに1をインクリメントし(ステップS6)、値τが値Mより小さいか否かを判断する(ステップS7)。すなわち、基準信号x(n)と、信号x(n−0)から信号x(n−M)までの各信号との間で自己相関係数を求める処理が終了したか否かを判断するようにしている。
【0097】
ステップS7の判断処理において、値τが値Mより小さいと判断したときには、インクリメントされて新たな値となった値τを用い、基準信号x(n)と信号x(n−τ)との間の自己相関係数を求めるために、ステップS2からの処理を繰り返す。また、ステップS7の判断処理において、値τが値M以上であると判断したときには、一連の自己相関係数の算出処理、すなわち、基準信号x(n)と、信号x(n−0)から信号x(n−M)までの各信号との間で自己相関係数を求める処理が終了したので、この図4に示した自己相関係数の算出処理を終了する。
【0098】
このようにして、体動センサ1からのセンサ出力に基づいて、ユーザの体動についての自己相関係数R(τ)を算出することができるようにされる。
【0099】
なお、自己相関係数の計算に必要なx(n)は、実際にはN+Mサンプルあれば十分であり、メモリ領域節約のため長さN+Mのリングバッファに格納されることになる。しかし、説明を簡単にするため、図4においてはリングバッファに関する操作は適切に行われるものとして省略した。
【0100】
次に、自己相関係数R(τ)を用いて行うユーザの体動の周期性の有無の検出処理および周期の特定処理について、図5、図6のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図5、図6に示す処理は、この実施の形態の音響再生装置において、音楽データ蓄積部3に蓄積されている音楽データの再生時において、周期性・周期検出部2のCPU221の割り込み動作などにより、周期性・周期検出部2の主に演算処理部22において、適宜のタイミングで行われる処理である。
【0101】
まず、演算処理部22は、体動センサ1から供給され、A/D変換部21でデジタル時系列信号に変換されて、演算処理部22のRAM223に蓄積されたセンサ出力x(n)を用い、図4に示したフローチャートに示した処理にしたがって自己相関係数R(τ)を計算する(ステップS101)。
【0102】
そして、演算処理部22は、信号エネルギー(0次の自己相関係数R(0))と予め設定された閾値TRを比較し(ステップS102)、0次の自己相関係数R(0)>閾値TRを満たさなければ(自己相関係数R(0)が、閾値TR以下である場合には)、ユーザの体動そのものが無く静止しているものと判定し、体動は無しと判定する。
【0103】
この閾値判定は、上述もしたように、明らかに静止をしている時に無駄な計算をしないようにするとともに、信号レベルが非常に小さい時の誤検出を防止するためのものである。したがって、閾値TRを必要以上に大きな値に設定すると検出漏れの原因となるため、閾値TRは体動検出の精度に影響をおよぼさない程度のできるだけ小さな値に設定することが望ましい。
【0104】
ステップS102の判定処理において、0次の自己相関係数R0>閾値TRの条件を満たすと判定した場合には、値(変数)τに“1”をセットし(ステップS103)、自己相関係数R(τ)を0次の自己相関係数R(0)で正規化した係数r(τ)を算出する(ステップS104)。
【0105】
そして、演算処理部22は、値τに1をインクリメントし(ステップS105)、値τは、値Mよりも小さいか否かを判断する(ステップS106)。ステップS106の判断処理において、値τが値Mより小さいと判断したときには、ステップS104からの処理を繰り返す。ステップS106の判断処理において、値τが値Mより小さくない(値τが値M以上である)と判断した場合には、値τに“2”をセットし、値(変数)nに“0”をセットする(ステップS107)。
【0106】
このステップS103からステップS107までの一連の処理(2)では、自己相関係数R(τ)を0次の自己相関係数R(0)で正規化することにより、ほぼ−1.0から1.0の範囲の値を取り、信号の周期性が強い時に、その信号周期および周期の整数倍の位置に近い正の値を取る正規化された自己相関係数r(τ)を得るようにしている。
【0107】
次に、正規化された自己相関係数r(τ)がピーク値であるか否かを判定するための値fを求める計算を行う(ステップS108)。ステップS108で求められる値fは、係数r(τ)がピーク値である場合には“0”より大きくなるが、係数r(τ)がピーク値でない場合には“0”以下になるものである。
【0108】
そして、演算処理部22は、ステップS108で求めた値fが“0”より大きく、かつ、係数r(τ)が1.0未満の値を取る予め決められた閾値Tτより大きいか否かを判断する(ステップS109)。ステップS109の判断処理において、値fが“0”より大きく、かつ、係数r(τ)が閾値Tτより大きいと判断した場合には、レジスタc(n)にτをセットし、値nに1をインクリメントする(ステップS110)。
【0109】
ステップS109の判断処理において、値fが“0”より大きく、かつ、r(τ)が閾値Tτより大きいという条件を満足しないと判断した場合、または、ステップS110の処理の後においては、値τに1をインクリメントし(ステップS111)、値τが値M−1よりも小さいか否かを判断する(ステップS112)。ステップS112の判断処理において、値τが値M−1よりも小さいと判断した場合には、ステップS108からの処理を繰り返す。
【0110】
すなわち、ステップS108からステップS112までの一連の処理(3)は、信号の過渡期やノイズ性の信号などではr(τ)が突発的に大きな値となる事があり得ることを考慮し、値Tτを1.0未満の正の値をとる閾値として、r(τ) がピーク値であり、かつr(τ)>Tτの条件を満たすτを求めて小さい方から順にc(0)、c(1)、…、c(n)とするものである。すなわち、一連の処理(3)は、ピーク値を取る値τを小さい順にレジスタc(0)、c(1)、…、c(n)に格納するものである。
【0111】
ステップS112の判断処理において、値τが値M−1より小さくない(値τが値M−1以上である)と判断した場合には、図6に示した処理に進み、値nが“0”よりも大きいか否かを判断する(ステップS113)。ステップS113の判断処理において、nが“0”以下であると判断した場合には、一連の処理(3)において、ピーク値が1つも検出できなかったと判別することができ、ユーザの体動は無いと判断する。
【0112】
ステップS113の判断処理において、値nは“0”より大きいと判断した場合には、値iに“1”をセットし(ステップS114)、c(i)をc(0)で割り算した値から、c(i)をc(0)で割り算して得た値の整数部分を減算して小数点以下の値dを求める(ステップS115)。
【0113】
そして、演算処理部22においては、ステップS115で求めた値dが、予め決められた閾値Δ(デルタ)よりも小さいか否かを判断する(ステップS116)。このステップS116は、ピーク値の位置を示す値τが順次に格納されたc(0)、c(1)、c(2)、c(3)、…のそれぞれについて、c(0)の整数倍、若しくは、整数倍の近傍に位置するか否かを判断するする処理である。
【0114】
ステップS116の判断処理において、値dが閾値Δ(デルタ)以上であると判断したときには、周期的な体動は発生していないと判断する。ステップS116の判断処理において、値dが閾値Δ(デルタ)よりも小さいと判断したときには、値iに1をインクリメントし(ステップS117)、値iは値nより小さいか否かを判断する(ステップS118)。
【0115】
すなわち、ステップS114からステップS118までの一連の処理(4)は、一連の処理(3)によって求めたc(1)、c(2)、c(3)、…のそれぞれが、すべてc(0)を整数倍した値の近傍であるかを調べ、もしc(0)の整数倍から大きく外れるものがみつかったら、体動センサ1からのセンサ出力は周期的な信号ではないと判定でき、その逆の場合には周期的な信号であると判定することができる。
【0116】
そして、ステップS118の判断処理において、値iが値nより小さくない(値iは値n以上である)と判断したとき、体動センサ1からのセンサ出力は周期的なものか否かの判断を終了していないので、ステップS115からの処理を繰り返す。
【0117】
ステップS118の判断処理において、値iが値n以上になったと判断したときには、c(0)をA/D変換のサンプリング周波数Fで割り算し、これに単位併せのために“1000”を掛け算することによって、体動の周期T(ms(ミリ秒))を求める(ステップS119)。この場合には、周期的な体動があり、その体動の周期はT(ms)であると特定することができる。すなわち、図6に示した処理(5)(ステップS119の処理)は、周期的な体動の周期を求める(特定する)処理である。
【0118】
図4〜図6のフローチャートを用いて説明したように、この実施の形態の音響再生装置の周期性・周期検出部22おいては、体動センサ1からのセンサ出力についての自己相関係数を算出し、この算出した自己相関係数に基づいて、ユーザの体動があるか否か、また、体動がある場合には周期的か否か、周期的である場合にはその周期はどれ位かを適切かつ迅速に検出することができるようにされる。
【0119】
図7、図8は、正規化した自己相関係数R(τ)をプロットしたグラフの例を説明するための図である。図7、図8に示した例の場合には、サンプリング周波数Fs=1000Hz、M=N=2048サンプルとして、自己相関係数R(0)で正規化した自己相関係数r(τ)を計算している。グラフでは、上記の「r(τ)がピーク値であり、かつr(τ)>Tτ」においてTr=0.1としたときに、条件を満たす係数の位置を点線で示している。
【0120】
図7の方は、ランダムに点線が並んでいるので周期性無しと判定される。一方、図8の方はc(0)=506のほぼ整数倍の位置に並んでいるため「周期性あり」と判定され、その周期は506msと算出される。
【0121】
体動周期の検出頻度をT(ms(ミリ秒))に1回とすると、体動の回数Kは、K=K+(Ts/Tb)のように検出されるごとに毎回蓄積していくことで数えることができ、このKをディスプレイに表示したりすることも可能である。
【0122】
このようにして、ユーザの体動が周期的なものである場合には、周期性・周期検出部2においてユーザの体動の周期が検出され、これが用いられて、再生中の音楽データの再生速度が変更され、ユーザの体動に合致するテンポで当該音楽データが再生するようにされる。
【0123】
これにより、ユーザは自分の体動と再生されている音楽(楽曲)の再生テンポを一致させることができるようにされ、再生される音楽に対して一体感を感じたり、再生される音楽に合わせてウォーキングやジョギングなどを行うことによって、比較的長い時間にわたって継続することが難しいウォーキング、ジョギング、ランニングなどの有酸素運動をリズムを維持して無理なく持続させるために利用したりするなどのことが可能になる。
【0124】
なお、上述した実施の形態の音響再生装置においては、体動センサを例えばユーザによって使用されるヘッドホンに装着するものとして説明したが、これに限るものではない。ユーザの体動を検出可能な種々の位置に体動センサを装着することが可能であるし、ユーザの体の複数の場所に体動センサを装着するようにしてもよい。
【0125】
また、上述した実施の形態の音響再生装置は携帯型のものであり、体動センサ1を音響再生装置内部に搭載するようにしてもよい。ユーザは通常、携帯型の再生装置を衣服のポケットや鞄に入れて持ち運ぶが、衣服のポケットは勿論、鞄も体の動きにほぼ連動した動きの軌跡をたどるため、体に装着したのとほぼ同等なセンサ出力を得ることが出来る。この場合のセンサ出力は、どこに装置を持つかで多少の変動はあるが、少なくとも体幹部の動きを反映した出力は得られる。
【0126】
また、この場合、音響再生装置は通常ある程度の密度と質量を持ち、ヘッドホンなどと比較して体幹部の動きと無関係な微小振動を起こしにくいため、装置内部に搭載したセンサの信号には微小振動によるノイズ成分が乗りにくいという利点もある。
【0127】
また、磁気ディスクを搭載した携帯型装置の場合は、磁気ディスクの保護のために落下検出を行う目的で加速度センサを搭載する場合があり、この場合にはその加速度センサのセンサ信号を体動検出のためにも用いることによって、製造コストを抑制することが可能である。
【0128】
また、加速度センサの軸数は特に問わないが、軸数が多い方が向きによらず様々な動作が検出できる。一方で、多軸の信号をそのまま用いるのでは信号処理が複雑になってしまう。しかし、上述もしたように、例えば互いに直交するM軸(1≦M≦3)のセンサの各軸の信号のそれぞれを、図3の(2)式にしたがって1つの時系列信号を作り出し、これを用いて周期性の解析を行うようにすることによって、複数軸のそれぞれのセンサ出力を考慮した体動の周期性の有無の検出と周期性がある場合にはその周期の検出とを行うことができる。
【0129】
なお、図3の(2)式にしたがって求める値は、M次元空間における加速度ベクトルのノルムに相当する量であり、M次元で表現された加速度ベクトルと比較すると、方向に関する情報が欠落したものとなる。しかし、当該M次元空間における加速度ベクトルのノルムに相当する量を調べただけでは動きの種類などの特定は困難であるが、この発明の場合には、体動リズムを検出できればよいため十分である。
【0130】
また、周期性の有無や周期の検出対象となる時系列信号は、図3の(2)式により求められるものに限るものではなく、例えば、xi(n)の2乗和、すなわち、xi(n)の2乗の値のi=1からLまでの総和を周期性の有無や周期の検出対象となる時系列信号とするなど、センサ出力(周期性・周期検出部2への入力信号)を用いた種々の演算により形成することが可能である。
【0131】
また、体動センサ1は、上述もしたように、加速度センサや角速度センサなど動きを反映する信号波形が得られるものであればどのようなものであっても用いることが可能である。特に、複数の回転方向もしくは軸方向の動きを検出するセンサを用いることで、動作の種類のみならず体動の方向に関する依存性も無くすことが可能である。
【0132】
また、信号波形の周期性を調べるための演算は、体動センサ1から得られる信号波形をA/D変換して得られる時系列そのものを用いて行ってもよいが、何らかの演算によって他のパラメータの時系列に変換し、その時系列の周期性を調べるようにしてももちろんよい。
【0133】
また、上述した実施の形態の音響再生装置においては、リズミカルな体動(周期性のある体動)が検出された場合にのみそのテンポと一致するような速度で音楽を再生するようにし、例えば、屋内で座るなどして静止した状態である場合など、リズミカルな体動が検出されないときは通常の速度で音楽を再生するようにして、静止した状態でも適正に利用できることは言うまでも無い。
【0134】
また、音楽データの再生を行う前に、ユーザの体動の周期を検出するようにし、その検出した体動の周期と同じ周期の再生テンポを有する音楽データを音楽再生制御部5などが自動選局するようにすることも可能である。このため、再生している音楽データの再生テンポを、検出されるユーザの体動の周期に応じて変更する再生音楽のテンポ変更モードと、前もって検出されるユーザの体動の周期と同じ再生テンポの音楽データを自動的に検索して再生する再生音楽のテンポ検索再生モードとを設けることにより、それぞれのモードを使い分けるようにすることができる。
【0135】
なお、音楽データの再生速度を変更する場合、再生対象の音声データが符号化されている場合はデコード処理によって波形データに戻したうえで、例えば、D/A(Digital/Analog)コンバータのサンプリング周波数を変更することによって変更することが可能である。但し、その場合は再生される楽音のピッチが変化してしまうため、波形の時間軸上の圧縮/伸長を行う技術としてPICOLAなどを用いることにより、ピッチを変えずに再生速度だけを変更するようにすることができる。
【0136】
なお、上述の波形の時間軸上の圧縮/伸長を行う技術であるPICOLAについての詳細は、「http://keizai.yokkaichi-u.ac.jp/ ikeda/research/picola-jp.html」に開示されている。
【0137】
また、ユーザの体動の周期性・周期の検出は、上述した自己相関系数を用いる場合のほか、閾値判定により一定以上の強度の運動が検出されることを検出し、その間隔を体動の周期することによって求める方法がある。これは、例えば、ある閾値Xを連続して越える区間内にあり、かつその区間で最大値となるサンプル位置を満たすサンプル位置を求め、その条件を満たす互いに隣接するサンプル位置とのサンプル数を過去に向かって順にサンプル数L1、L2、…とすると、これらLk(k=1、2、…)がほぼ一定の値となっていれば信号に周期性があると判定し、Lkをそれぞれの区間の周期とすることで実現できる。
【0138】
サンプル数Lkがほぼ一定であるか否かの判定は、例えば連続するM個のサンプル数Lkがある一定の誤差範囲に収まっていることを条件にする方法がある。例えば、
(1−Δ)L1≦Lk≦(1+Δ)L1 (2<k<M,0<Δ<1)
とし、Δ=0.1とすれば、Lkが全てL1の10%以内の誤差範囲に収まっているという条件に相当する。
【0139】
このようにして、閾値を用いたユーザの体動の周期性および周期の検出を行うようにすることも可能である。しかし、図1〜図8を用いて説明した実施の形態のように、ユーザの体動の周期性の有無や周期を検出する場合に、自己相関係数を用いることによって、上述もしたように、ユーザの動きの“癖”などに影響を受けることなく、ユーザの体動の周期性の有無や周期を検出することができる。
【0140】
また、ユーザの運動を検出する方法としては、加速度センサや加速度センサの他、ひずみゲージなどの物理的な運動を電気信号に変換する種々のセンサを用いたり、あるいは、筋電などの生体信号から人の動きを検出するようにしたりすることもできる。
【0141】
また、ユーザの自然な体動を自動検出するものに限ることなく、より簡便には、押しボタンなどのスイッチを一定間隔で人が手足で押下し、その周期を算出することによりこれをユーザの体動の周期として用いるようにすることも可能である。このようにした場合には、再生される音楽データの再生速度をゲーム感覚で変更するなどのことができるようにされる。
【0142】
また、音楽の再生速度の変更は、検出した体動リズムに音楽の再生速度を杓子定規に合わせるのではなく、たとえば変更可能な速度に制限をもたせるなど、音楽として不自然にならないような機構を備えるようにすることももちろん可能である。
【0143】
また、図2を用いてその構成例を説明し、図3〜図6を用いてその動作例を説明した周期性・周期検出部2のみを、体動検出装置あるいは体動検出回路として構成し、これを提供するようにすることももちろん可能である。このようにした場合には、例えば、歩数計に搭載することによって、歩数のカウント誤差を低減し、正確に歩数のカウントが可能な信頼性の高い歩数計を実現することができる。また、ランニングマシンなどのいわゆるフィットネスマシンに搭載することによって、ユーザの体動の周期性の有無や周期を検出して、ユーザにかける負荷を制御したり、動作リズムを変化させるように制御したりすることが可能なフィットネスマシンを実現することができる。
【0144】
また、上述した実施の形態においては、音楽データの再生速度を変更する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。ユーザの体動の周期に応じて再生速度の変更可能なデータは、話音声などの音楽データ以外の音声データや、動画像データなどであってももちろんよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】この発明の一実施の形態が適用された音響再生装置の一実施の形態を説明するためのブロック図である。
【図2】図1に示した音響再生装置の体動センサ1、周期性・周期検出部2を説明するためのブロック図である。
【図3】周期性・周期検出部2で用いられる演算式を説明するための図である。
【図4】自己相関係数の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】体動の周期性の有無および周期の検出処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5に続くフローチャートである。
【図7】周期性のない自己相関係数のグラフの例について説明するための図である。
【図8】周期性のある自己相関係数のグラフの例について説明するための図である。
【符号の説明】
【0146】
1…体動センサ、2…周期性・周期検出部、3…音楽データ蓄積部、4…再生速度決定部、5…音楽再生制御部、6…音響信号再生部、7…音響変換器、8…操作部、9…表示部、21…A/D変換部、211、212、213…A/D変換器、22…演算処理部、221…CPU、222…ROM、223…RAM、224…CPUバス
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号
【出願日】 平成17年3月22日(2005.3.22)
【代理人】 【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美

【公開番号】 特開2006−262973(P2006−262973A)
【公開日】 平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願番号】 特願2005−81680(P2005−81680)