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【発明の名称】 縫合糸牽引具
【発明者】 【氏名】鈴木 裕

【氏名】小城 康雅

【氏名】坂口 幸彦

【要約】 【課題】本発明の目的は、スタイレットを穿刺針のパイプ内に挿入する際の作業性を向上し、また術中の清潔性を維持できる縫合糸牽引具を提供することにある。

【解決手段】内腔を有する筒状部材1と、内腔に挿入され進退自在に前後進する棒状部材22と、棒状部材22の先端に形成された環状部材21と、を備えた縫合糸牽引具2であって、筒状部材1を、先端側より先の環状部材21へ移動させることにより、環状部材21を収納し、また、筒状部材1が、環状部材21先端部から脱落することを防止する脱落防止手段13を有するすることを特徴とする縫合糸牽引具2である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔を有する筒状部材と、
前記内腔に挿入され進退自在に前後進する棒状部材と、
前記棒状部材の先端に形成された環状部材と、
を備えた縫合糸牽引具であって
前記筒状部材を、先端側より先の環状部材へ移動させることにより、前記環状部材を収納することを特徴とする縫合糸牽引具。
【請求項2】
前記筒状部材が、前記環状部材先端部から脱落することを防止する脱落防止手段を有する請求項1に記載の縫合糸牽引具。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、縫合糸牽引具に関する。
【背景技術】
【0002】
口から栄養を摂取できない患者に、経静脈的栄養投与、鼻からチューブを胃等に挿入して行う経胃管的な栄養投与および胃瘻からの経腸的な栄養投与の3通りが行われている。
【0003】
近年では、経腸栄養剤と、その投与法の発達とにより、経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)による経腸栄養管理が頻繁に行われるようになってきた。
【0004】
PEGは、胃瘻の造設に先立って患者の腹壁と胃壁とを貫通する貫通孔が形成される。その貫通孔の形成に先立ち、動き易い胃壁を一時的に固定するため、それら腹壁と胃壁とを縫合糸により縫合することが行われるのが一般的である。
【0005】
このような縫合を行うための医療用器具としては、例えば縫合糸挿入用穿刺針と、それと平行に配置される縫合糸把持用穿刺針と、その縫合糸把持用穿刺針内に摺動可能に挿入される縫合糸牽引具(スタイレット)と、縫合糸挿入用穿刺針と縫合糸把持用穿刺針とをそれぞれの基端部において固定する固定部材とからなり、スタイレットにより前記縫合糸を把持するもの等が開示されている(特許文献1)。
【0006】
上述の医療用器具にも、スタイレットを穿刺針内に挿入する為の治具として、スリット付きのチューブが付設されているが、このスリット付きのチューブとスタイレットとは完全に別の部品で構成されている為、一度使用した後、清潔な場所に保管しておかなければ、再度スタイレットを穿刺針内に収納することが必要になった場合に使用できなくなってしまう。
【0007】
さらに、術者がスリット付きのチューブを不意に落としてしまう事があり、その取扱には注意が必要である。
【特許文献1】特開平04−226643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、縫合糸牽引具を穿刺針のパイプ内に挿入する際の作業性を向上し、また術中の清潔性を維持できる縫合糸牽引具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(2)に記載の本発明により達成される。
(1)内腔を有する筒状部材と、
前記内腔に挿入され進退自在に前後進する棒状部材と、
前記棒状部材の先端に形成された環状部材と、
を備えた縫合糸牽引具であって
前記筒状部材を、先端側より先の環状部材へ移動させることにより、前記環状部材を収納することを特徴とする縫合糸牽引具。
(2)前記筒状部材が、前記環状部材先端部から脱落することを防止する脱落防止手段を有する上記(1)に記載の縫合糸牽引具。
【発明の効果】
【0010】
縫合糸牽引具を穿刺針のパイプ内に挿入する際の作業性を向上し、また術中の清潔性を維持できる縫合糸牽引具を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の縫合糸牽引具に挿入されている筒状部材の正面図である。図2は、本発明の縫合糸牽引具に挿入されている筒状部材の上面図である。図3は、本発明の縫合糸牽引具に挿入されている筒状部材の断面図である。
【0013】
以下、各構成要素について説明する。
【0014】
図1〜3に示すように筒状部材1は、縫合糸牽引具(スタイレット)2の構成部材である棒状部材22の外径よりも大きい内径部11と、穿刺針のパイプ31の内径よりも大きい外径部12とで構成されている。
【0015】
内径部11は、スタイレット2上を摺動することで、弾性変形可能な材料で構成されたループ部分21を直線状態に変形させることができる。したがって、内径部11は、スタイレット2を構成する棒状部材22の外径よりも大きい内径で構成されれば特に限定されないが、例えば、棒状部材22の外径が0.6mmで形成される場合、筒状部材1の内径部11は、0.6mm以上であることが好ましい。これにより、スムーズにスタイレット2上を摺動でき、スタイレット2のループ部分21を直線状に変形することが可能になる。好ましくは0.6〜1.0mmが好ましい。内径部11が前記下限値未満であると筒状部材1の操作性、詳しくは摺動性が低下する場合があり、前記上限値を超えるとスタイレット2のループ部分21を変形させる力が弱まり、穿刺針3へのスタイレット2の挿入性を向上できなくなってしまう。
【0016】
外径部12は穿刺針3のパイプ31の内径よりも大きい外径で構成される。これにより、筒状部材1が穿刺針のパイプ31内に挿入されてしまい、患者の体内に脱落してしまう危険性を防止することができる。例えば、穿刺針のパイプ31の内径が1.2mmで形成される場合、筒状部材1の外径部12は、1.2mm〜2.0mmであることが好ましい。外径部12は穿刺針の穿刺針のパイプ31の内径よりも大きい外径で構成されれば特に限定されないが、穿刺針3のハブ32内に収納される形状で構成されるのがさらに好ましい。このように形成されることで、スタイレット2と穿刺針3の嵌合を妨害することなく、穿刺針3の先端から突出されるスタイレット2のループ部分21の変形も防止できる。
【0017】
さらに、外径部12には筒状部材1がスタイレット2から脱落することを防止する為の脱落防止手段13が付設されていることが好ましい。脱落防止手段13としては特に限定されないが、例えば、筒状部材1の一端と、スタイレット2を紐状の部材で結びつけるだけで良い。または、筒状部材1の内径部11をテーパ状に形成し、さらにスタイレット2のループ部分21の根元に突起を設けることで、スタイレット2から筒状部材1が完全に分離されることを防止することができる。これにより、一度、筒状部材1を使用した後、再度スタイレット2を穿刺針3内に挿入する必要性の発生に備えて、筒状部材1を清潔な場所に保管しおく必要もなく、さらに、術者が筒状部材1を不意に落としてしまうこともないため、何度でも筒状部材1を使用してスタイレット2のループ部分21を変形させることができる。
【0018】
さて、このような筒状部材1を構成する材料としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂材料、シリコーン等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0019】
次に、筒状部材1の作用について図4〜図6を用いて説明する。具体的にはスタイレット2のループ部分21を弾性変形させ、穿刺針のパイプ31内に挿入する方法について説明する。
(1)図4に示すように、まず、筒状部材1がスタイレット2の棒状部材22に位置されている。この時、スタイレット2のループ部分21は環状に形成されている為、穿刺針のパイプ31内には挿入できない状態にある。
(2)次に、図5に示すように筒状部材1を摺動させ、スタイレット2のループ部分21を直線状態に変形させる。このように、スタイレット2のループ部分21を直線状状態に変形させることで、簡単にスタイレット2のループ部分21を穿刺針のパイプ32内に誘導することができる。
【0020】
以上で、筒状部材1の操作方法は終了である。上述したように、一度、穿刺針3からスタイレット2を引き抜いた場合も、筒状部材1には脱落防止手段13が付設されている為、筒状部材1を清潔な場所に保管しおく必要もなく、さらに、術者が筒状部材1を不意に落としてしまうこともないため、何度でも筒状部材1を使用して上記(1)(2)の操作を繰り返し使用することができる。
【0021】
以上、本発明の縫合糸牽引具を図示の実施形態の基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
例えば、脱落防止手段については同様の機能を生じえる任意の構成のものと置換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の縫合糸牽引具は、スタイレットを穿刺針のパイプ内に挿入する際の作業性を向上し、また術中の清潔性を維持することができる。特に、スタイレットから縫合糸牽引具が完全に分離されることがないため、縫合糸牽引具を清潔な場所に保管しおく必要もなく、さらに、術者が不意に落としてしまうこともないため、何度でも縫合糸牽引具を使用してスタイレットのループ部分を変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例となる縫合糸牽引具に挿入された筒状部材を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例となる縫合糸牽引具に挿入された筒状部材の上面図である。
【図3】本発明の実施例となる縫合糸牽引具に挿入された筒状部材の断面図である。
【図4】本発明の実施例となる縫合糸牽引具に挿入された筒状部材でスタイレットのループ部分を変形させる前の模式図である。
【図5】本発明の実施例となる縫合糸牽引具に挿入された筒状部材でスタイレットのループ部分を変形させた後の模式図である。
【図6】本発明の実施例となる縫合糸牽引具に挿入された筒状部材の外径部が穿刺針のハブ内に収納されるように形成された他の実施例の模式図である。
【符号の説明】
【0025】
1 筒状部材
11 内径部
12 外径部
13 脱落防止手段
2 縫合糸牽引具(スタイレット)
21 ループ部分
22 棒状部材
3 穿刺針
31 穿刺針のパイプ
32 穿刺針のハブ

【出願人】 【識別番号】598111216
【氏名又は名称】鈴木 裕
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【出願日】 平成17年3月17日(2005.3.17)
【代理人】 【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治

【公開番号】 特開2006−255201(P2006−255201A)
【公開日】 平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願番号】 特願2005−78106(P2005−78106)