トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 医療用X線画像用の多重解像度再構成のための方法及び配置
【発明者】 【氏名】マルティ・カルケ

【氏名】サムリ・シルタネン

【氏名】シモペカ・ヴァンスカ

【氏名】マティ・ラサス

【氏名】マーリア・ランタラ

【要約】 【課題】希薄な投影データを用いて従来の再構築アルゴリズムを使用する場合に起こる、物体の3次元再構成において直面する問題を克服する。

【解決手段】医療用X線撮影で被写体の3次元情報を生成する医療用X線機器の配置であって、この医療用X線機器の配置は、少なくとも2つの異なる方向から被写体をX線照射するX線源と、被写体の投影データを形成するためのX線照射を検出する検出器とを備える。この医療用X線機器の配置は、多重解像度表現を使用し、低減された多重解像度表現を形成するために前記多重解像度表現における係数の一部を消去し、被写体の3次元情報を生成するために前記低減された多重解像度表現においての係数に対する次式で表わされる損失、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用X線撮影における被写体の3次元情報を生成する方法であって、少なくとも2つの異なる方向から、前記被写体がX線照射され、前記被写体の投影データを形成するために、前記X線照射が検出される方法であって、
前記被写体のX線減衰係数が多重解像度表現を用いてモデル化され、
前記多重解像度表現における前記係数の一部が、低減された多重解像度表現を形成するために消去され、
前記投影データが、前記被写体の3次元情報を生成するために、前記低減された多重解像度表現における前記係数に対する損失、
【数1】


を最小限に抑えることに基づいて、規則化された再構成方法に利用されており、上記式において、fが、前記被写体内における前記X線減衰係数の値を含む前記被写体の画像ベクトルを表わし、mが投影データを表わし、Aが前記X線照射の減衰モデル行列を表わし、αは正の数を表わし、βが負でない数を表わし、gが関数を表わし、前記関数は、正の引数に対してゼロを返し、負の引数に対して正の値を返すものであり、‖f‖が、fの前記多重解像度表現におけるfの係数によって表現されたfの大きさを表わすことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記被写体の前記3次元情報が、2次元の再構成されたスライスの積み重ねとして与えられ、各2次元スライスの前記多重解像度表現が、ウェーブレット展開であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被写体の前記3次元情報が、2次元の再構成されたスライスの積み重ねとして与えられ、各2次元スライスの前記多重解像度表現が、カーブレット展開であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記被写体の3次元情報が、3次元の体積要素の集合における減衰値として与えられ、多重解像度表現が、3次元ウェーブレット展開であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記低減された多重解像度表現を形成する場合、所与の放射線写真を使用して第1の逆投影画像がコンピュータで計算され、次いで前記逆投影画像の多重解像度表現がコンピュータで計算され、前記多重解像度表現における絶対値が小さい係数が消去されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記低減された多重解像度表現を形成する場合、全ての所与の放射線写真の第1の多重解像度表現がコンピュータで計算され、次いで前記多重解像度表現における小さい係数が消去され、前記X線減衰係数の前記多重解像度表現においておそらくゼロでない係数の一時的画像を形成するために逆投影された残りの係数と、前記一時的画像に属さない前記X線減衰係数の前記多重解像度表現における全ての係数とが消去されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記低減された多重解像度表現を形成する場合、第1に、程度の最も粗いレベルNの前記多重解像度の係数のみを使用して再構成画像をコンピュータで計算し、第2に、前記再構成された画像の多重解像度表現をコンピュータで計算し、第3に、前記ウェーブレット係数が小さい前記画像の前記領域を選択し、前記領域からレベルN+1の多重解像度表現の係数を消去し、第4に、程度の最も粗いNの前記多重解像度表現の係数及びレベルN+1上の前記残りの係数を使用して再構成画像をコンピュータで計算し、第5に、所望の程度に達するまで上記のシーケンスを繰り返すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
測定データmが2以上の投影画像を含み、その投影画像が、全く従来の投影画像でないか、又は多数の従来の投影画像であり、また全く走査された投影画像でないか、又は多数の走査された投影画像であり、また全くトモシンセティック・スライスでないか、又は多数のトモシンセティック・スライスであるいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
医療用X線撮影における被写体の3次元情報を生成するための医療用X線機器の配置であって、少なくとも2つの異なる方向から前記被写体にX線照射するX線源と、前記被写体の投影データを形成するために、前記X線照射を検出する検出器とを備える、医療用X線機器の配置において、
多重解像度表現を使用して、前記被写体のX線減衰係数をモデル化する手段と、
低減された多重解像度表現を形成するために前記多重解像度表現における前記係数の一部を消去する手段と、
規則化された再構成方法に前記投影データを利用する手段であって、前記再構成方法は、前記被写体の3次元情報を生成するために、前記低減された多重解像度表現における前記係数に対する損失、
【数2】


を最小限に抑えることに基づいており、上記式において、fは、前記被写体内のX線減衰係数の値を含む前記被写体の画像ベクトルを表わし、mは投影データを表わし、Aは前記X線照射の減衰モデル行列を表わし、αは正の数を表わし、βは負でない数を表わし、gは関数を表わし、前記関すは、正の引数に対してゼロを返し、負の引数に対して正の値を返すものであり、‖f‖はfの前記多重解像度表現においてfの係数によって表現されたfの大きさを表わす、前記投影データを利用する手段とを備えることを特徴とする、医療用X線機器の配置。
【請求項10】
前記被写体の前記3次元情報が、2次元の再構成されたスライスの積み重ねとして与えられ、各2次元スライスの多重解像度表現が、ウェーブレット展開であることを特徴とする、請求項9に記載の医療用X線機器の配置。
【請求項11】
前記被写体の前記3次元情報が、2次元の再構成されたスライスの積み重ねとして与えられ、各2次元スライスの前記多重解像度表現が、カーブレット展開であることを特徴とする、請求項9に記載の医療用X線機器の配置。
【請求項12】
前記被写体の前記3次元情報が、3次元の体積要素の集合における減衰値として与えられ、前記多重解像度表現が、3次元ウェーブレット展開であることを特徴とする、請求項9に記載の医療用X線機器の配置。
【請求項13】
前記低減された多重解像度表現を形成する場合、第1の逆投影画像が前記所与の放射線写真を使用してコンピュータで計算され、次いで前記逆投影画像の多重解像度表現がコンピュータで計算され、前記多重解像度表現における絶対値が小さい係数が消去されることを特徴とする、請求項9に記載の医療用X線機器の配置。
【請求項14】
前記低減された多重解像度表現を形成する場合、全ての所与の放射線写真の第1の多重解像度表現がコンピュータで計算され、次いで前記多重解像度表現における小さい係数が消去され、前記X線減少係数の前記多重解像度表現においておそらくゼロでない係数の一時的画像を形成するために逆投影された残りの係数と、前記一時的画像に属さない前記X線減少係数の前記多重解像度表現における全ての係数とが消去されることを特徴とする、請求項9に記載の医療用X線機器の配置。
【請求項15】
前記低減された多重解像度表現を形成する場合、第1に、程度の最も粗いレベルNの前記多重解像度の係数のみを使用して再構成画像をコンピュータで計算し、第2に、前記再構成された画像の多重解像度表現をコンピュータで計算し、第3に、前記ウェーブレット係数が小さい前記画像の前記領域を選択し、前記領域からレベルN+1の多重解像度表現の係数を消去し、第4に、程度の最も粗いNの前記多重解像度表現の係数及びレベルN+1上の前記残りの係数を使用して再構成画像をコンピュータで計算し、第5に、所望の程度に達するまで上記のシーケンスを繰り返すことを特徴とする、請求項9に記載の医療用X線機器の配置。
【請求項16】
測定データmが2以上の投影画像を含み、その投影画像が、全く従来の投影画像でないか、又は多数の従来の投影画像であり、また全く走査された投影画像でないか、又は多数の走査された投影画像であり、また全くトモシンセティック・スライスでないか、又は多数のトモシンセティック・スライスであることを特徴とする、請求項9に記載の医療用X線機器の配置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
3次元X線撮影は、異なる方向から3次元(3D)物体の数個の1次元(1D)又は2次元(2D)投影画像を撮ることに基づく。1次元投影画像が密集した角度サンプリングによって物体のある2次元スライス(切片)の全周から得られる場合、スライスの内部構造を決定することができる。これは、コンピュータ断層撮影(CT)技術として知られ、今日この技術は医療で幅広く使用されている。CT技術の極めて重要な部分は、X線画像を引数として受け取り、3次元物体の体素表現を返す再構成アルゴリズムである。
【0003】
3次元物体のX線画像の集合は、(a)画像が制限された画角から撮られ、又は(b)少数の画像しかない場合、希薄な投影データと呼ばれている。希薄な投影データは、3次元物体を完全に表現する十分な情報を含んでいない。しかし、多くの実際の撮影状況では、希薄な投影データしか得られない。
【0004】
フィルタされた逆投影(FBP)、フーリエ再構成(FR)、又は代数的再構成法(ART)などの従来の再構成アルゴリズムは、希薄な投影データからは満足できる再構成をもたらさない。この理由には、密集した全角度のデータのサンプリングが必要であること、及び例えばX線減衰係数が負でないことなどの事前の情報を使用することが困難であることが含まれる。角度制限下のデータの場合、トモシンセシス(断層撮影、tomosynthesis)が、物体を透過する2次元スライスに沿った物体の再構成を生成するために応用できる。しかし、トモシンセティック・スライス(tomosynthetic slice)には、画質をかなり低めるぼやけが起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、希薄な投影データを用いて従来の再構築アルゴリズムを使用する場合に起こる、物体の3次元再構成において直面する問題を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このことは、医療のX線撮影で被写体の3次元情報を生成する方法によって達成され、その方法では、被写体が少なくとも2つの異なる方向からX線照射され、被写体の投影データを形成するために、前記X線照射が検出される。被写体の内側のX線減衰係数は、多重解像度の基底関数の線形結合によって表わされる。この多重解像度表現は、未知の係数を表わすのに基底関数を全て必要とはしないようなものである。事前の情報及びいくつかの測定の情報は、表現においてどの基底関数が不要であるかについての情報を与えるために結合され、それによって計算する上で経済的な多重解像度表現がもたらされる。前記投影データ及び前記多重解像度表現は、被写体の3次元情報を生成するために、前記多重解像度表現における係数に対する次の損失関数、
【0007】
【数3】


【0008】
を最小限に抑えることに基づいて、規則化された再構成方法において利用され、上記式において、fは、被写体内におけるX線減衰係数の値を含む対象物の画像ベクトルを表わし、mは投影データを表わし、AはX線照射の減衰モデル行列を表わし、αは正の数を表わし、βは負でない数を表わし、gは関数を表わしており、前記関数は、正の引数に対してゼロを返し、負の引数に対して正の値を返すものであり、‖f‖は、fの多重解像度表現におけるfの係数によって表現されたfの大きさを表わす。
【0009】
本発明では、投影データは画像の集合であり、その場合各画像は、(i)X線源、被写体、検出器が静止して撮られた従来の投影画像、(ii)画像を形成するためにX線源を移動させ、検出器を移動させ、検出器の画素を移動させて撮られた、走査された投影画像、又は、(iii)被写体内のいくつかの鮮明な層を強調しその他の層を不鮮明にする曝露の間X線源、被写体、及び/又は検出器を移動させることによって達成されるトモシンセティック・スライスのいずれかである。例えば、パノラマ式の歯科用X線撮影デバイスは、歯列弧(dental arc)に沿った鮮明な層を有するトモシンセティック・スライスを生成する。
【0010】
本発明は、医療用X線撮影で被写体の3次元情報を生成する医療用X線機器の配置にも関係し、この医療用X線機器の配置は、少なくとも2つの異なる方向から被写体をX線照射するX線源と、被写体の投影データを形成するために、前記X線照射を検出する検出器とを備える。この医療用X線機器の配置は、多重解像度の基底関数の線形結合によって被写体の内側のX線減衰係数を表わす手段を備える。この多重解像度表現は、未知の係数を表わすのに基底関数を全て必要とはしないようなものである。事前の情報及びいくつかの測定の情報は、表現においてどの基底関数が不要であるかについての情報を与えるために結合され、それによって計算する上で経済的な多重解像度表現がもたらされる。前記投影データ及び前記多重解像度表現は、被写体の3次元情報を生成するために、前記多重解像度表現における係数に対する次の損失関数、
【0011】
【数4】


【0012】
を最小限に抑えることに基づいて規則化された再構成方法において利用され、上記式において、fは、被写体内におけるX線減衰係数の値を含む対象物の画像ベクトルを表わし、mは投影データを表わし、AはX線照射の減衰モデル行列を表わし、αは正の数を表わし、βは負でない数を表わし、gは関数を表わしており、前記関数は、正の引数に対してゼロを返し、負の引数に対して正の値を返すものであり、‖f‖は、fの多重解像度表現におけるfの係数によって表現されたfの大きさを表わす。
【0013】
制限された角度のデータの場合、従来のCT再構成より優れる本発明の利益には、低減されたアーテファクトが含まれる。さらに、トモシンセシスより優れる本発明の利益には、低減されたアーテファクト、改善されたコントラスト、及び改善された画質が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実際の撮影状況では、X線像は、必ずしも人体の全方向から得られるものではない。人体は、撮影の幾何学的配置により、ある方向からしか見ることができないこともある。例えば、マンモグラフィ及び口内歯科撮影法では、X線検出器は、組織の後ろ側の固定された位置にあり、X線源は、検出器に対して移動する。この状態は、角度制限下の断層撮影と呼ばれている。また、医療の用途では、患者のX線量を減少させ撮影に必要な時間を短縮させるために、放射線写真の数を最小限に抑えなければならない。そのような状態は、希薄な投影データができることにつながる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、入力として希薄な投影データを使用する新しいタイプの三次元の医療用X線撮像法を生成するために、規則化された逆写像アルゴリズムが使用される。この新しい撮像法は、プロジェクション放射線写真(projection radiograph)と完全なコンピュータ断層撮影の中間のものである。
【0016】
X線撮影法の簡単な例が図1に示され、その例では、X線源2が、撮影されている被写体4の1つの側に配置されている放射線は被写体を通過し、反対側で検出器6によって検出される。X線源は例えば、歯科医の、歯科用パノラマ式X線機器の、外科用C形アーム式X線機器の、マンモグラフィ機器の、コンピュータ断層撮影装置の、又はその他の医療用X線機器の口内X線源のX線源であり、検出器6は、それらの装置のいくつかの検出器である。通常、検出器6は、2次元配列のほぼ点状の検出器と考えられ得るデジタル感知器である。
【0017】
撮影されている三次元の物体は、負でないX線減衰係数gによって形に表される。その値は、短い距離dx内を移動するX線の相対的な強度の損失を与える。
【0018】
【数5】


【0019】
X線照射は、被写体4に入るとき最初の強度Iを有し、その被写体を出るときより小さい強度Iを有する。下記の等式は、減衰則を示す。
【0020】
【数6】


【0021】
上記式において、最初の強度Iは、較正によって分かり、被写体の後ろの強度Iは、投影画像内の対応するポイント値から分かる。したがって、測定されたデータ内の1画素値は投影画像の場合(i)1つの線Lに沿った整数gを表す。
【0022】
上記のモデルにおいて、X線がその方向を変えることになる散乱現象、又は低エネルギーの光子が高エネルギーの光子よりもより容易に減衰されることになるX線スペクトル上の減衰の依存関係は、考慮されない。
【0023】
医療用の撮影において、X線源及びデジタルセンサの幾何学的な配置は、診断職務及び設備に従って変わる。図3A及び図3Bは、異なる撮影状態から生じる断層データのタイプを示す。明確にするために、2次元の例が示されており、3次元において同様な状態が考えられる。本発明の好ましい実施形態では、放射線量は、粗い角変数のサンプリングを使用して低減される。図3A及び図3Bはそれぞれ、全角度の場合及び制限された角度の場合の測定における密集した角度のサンプリングを示す。図3C及び図3Dは、同様に全角度の場合及び制限された角度の場合の測定の粗い角度サンプリングを示す。
【0024】
測定を数式的にモデル化する場合、X線減衰モデル及び観測は、線形であると仮定され得る。このモデルは、以下の式で表される。
m=Af+e,
上記式において、mは測定された画素値を表し、fは被写体の画像ベクトルを表わし、eは、測定ノイズを表す確率的誤差である。Aは、X線減衰過程をモデル化する線形演算子である。Aはデータを集めるために様々な方式でモデル化することができる。例えば、Aは、2以上の測定値による集合をモデル化でき、その場合、測定値の一部は従来の投影画像であることができ、測定値の一部は走査された投影イメージであることができ、測定値の一部は、トモシンセティック・スライスであることができる。従来の投影画像は、図1に示すように、曝露中に、X線源2、被写体4、及び検出器6を固定したままにすることにより得られる。走査された投影画像は図2Aに示すように、曝露中に検出器6及びその画素を移動させながらX線源2及び被写体4を固定したままにすることにより得られる。トモシンセティック・スライスは図2Bに示すように、曝露中に検出器6、その画素、及びX線源2を移動させながら被写体4を固定したままにすることで得られ、その場合、被写体の内側の層が鮮明に示され、鮮明な層から離れた層が不鮮明で重ね合わされた画像を形成する。また、Aは、図4に示された不連続のペンシル・ビーム・モデル又はラドン変換をモデル化することができる。
【0025】
図5には、本発明による方法の基本的なフローチャートが示される。この方法の工程500では、被写体は少なくとも2つの異なる方向からX線照射される。この方法の工程502では、前記X線照射は、被写体の投影データを形成するために検出される。この方法の工程504では、前記投影データは、X線減衰係数の多重解像度の表現を使用することに基づいて、規則化された再構成方法に利用される。
【0026】
一般の再構成方法とは異なる規則化された再構成方法は、測定ノイズに敏感でない所与の測定データから再構成を生成する。前記被写体はデータのみによっては完全に規定されず、規則化されない再構成方法は測定ノイズに極端に敏感な再構成をもたらす傾向があるので、希薄な投影データからの被写体の再構成では規則化が非常に重要である。
【0027】
再構成方法は、2つの考えに基づいている。第1に、未知の減衰係数fは、次の式で表される。
【0028】
【数7】


【0029】
上記式において、係数cは、実数であり、ψは多重解像度を基準にした基底関数である。適切な多重解像度の基準には、ウェーブレット、カーブレット(curvelet)、リジレット(redgelet)及びその他の多くのものが含まれる。第2に、多重解像度表現(24)のいくつかの係数が非ゼロ値をとることが可能にされる。第2の考えの背後にある論理的説明は、以下の通りである。減衰係数の最も興味深い特徴は、異なる組織のタイプの間の境界にある。一般的には、減衰係数は、そのような境界曲線から離れて平滑である。ウェーブレット展開では、ゼロから最も顕著に逸脱する係数は、境界曲線の付近に位置する基底関数に一致することが知られている。したがって、再構成の質は、多重解像度表現における小さい係数がゼロと入れ替っても低下すると思われない。この方法の重要な点は、適切な基準に基づくと再構成過程の前に、ほとんどのウェーブレット係数がゼロにされることである。
【0030】
ゼロに定められることになるウェーブレット係数を選択する少なくとも3つの可能な基準がある。次にこうした3つの基準が詳細に説明される。〔第1の消去基準〕所与の放射線写真を使用して逆投影画像BPをコンピュータで計算し、BPの多重解像度表現をコンピュータで計算し、絶対値が小さい全ての係数をゼロに定める。図11は、第1の消去基準の基本的なフローチャートを示す。この方法の工程1100では、被写体は少なくとも2つの異なる方向からX線照射される。この方法の工程1102では、前記X線照射は、前記被写体の投影データを形成するために検出される。この方法の工程1104では、前記投影データは、被写体の再構成を形成するために逆投影にされる。この方法の工程1106では、前記逆投影再構成は多重解像度表現に変換される。この方法の工程1108では、前記多重解像度表現の一部は、閾値の規定に従って消去される。この方法の工程1110では、前記被写体の多重解像度に基づいた再構成が前記部分的に消去された多重解像度表現に基づいてなされる。
【0031】
〔第2の消去基準〕全ての投影画像の多重解像度表現をコンピュータで計算し、小さい係数をゼロに定め、残りの係数を再構成領域内に逆投影する。再構成では、逆投影された係数の組をゼロとは異なるようにする。係数を選択するための追加の基準は、係数が2以上の投影画像において生じるようにすることができる。図12は、第2の消去基準の基本的なフローチャートを示す。この方法の工程1200では、被写体は、少なくとも2つの異なる方向からX線照射される。この方法の工程1202では、前記X線照射が前記被写体の投影データを形成するために検出される。この方法の工程1204では、前記投影データは多重解像度表現に変換される。この方法の工程1206では、前記投影データの前記多重解像度表現の一部は、閾値の規定に従って消去される。この方法の工程1208では、前記投影データの前記部分的に消去された多重解像度表現は、前記被写体の部分的に消去された多重解像度表現を形成するため逆投影される。この方法の工程1210では、前記被写体の多重解像度表現に基づいた再構成が前記被写体の前記部分的に消去された多重解像度表現に基づいてなされる。
【0032】
〔第3の消去基準〕程度の最も粗いレベルN(例えばレベル1から4)の多重解像度の係数のみを使用して被写体の多重解像度に基づいた再構成を第1にコンピュータで計算する。〔工程1〕再構成の多重解像度表現をコンピュータで計算する。〔工程2〕多重解像度の係数が大きい被写体の領域を選択し、こうした領域のみから多重解像度の係数の次のレベルを持っていく。〔工程3〕多重解像度に基づいた再構成をレベルN+1の多重解像度の係数を用いてコンピュータで計算する。所望のレベルに達するまで工程1、2、3を繰り返す。図13は、第3の消去の基準の基本的なフローチャートを示す。方法の工程1300では、被写体は少なくとも2つの異なる方向からX線照射される。方法の工程1302では、前記X線照射は、前記被写体の投影データを形成するために検出される。この方法の工程1304では、開始レベルj及び停止レベルjendが選択され、指数jがjに定められる。この方法の工程1306では、前記被写体の多重解像度に基づいた再構成は、前記レベルの消去された表現に基づいて多重解像度のレベルjからjになされる。この方法の工程1308では、停止基準が検証され、それが満たされなければ、指数jは1つだけ増加される。この方法の工程1310では、前記被写体の前記再構成は、レベル{j,・・・,j}で前記被写体の多重解像度表現を形成するために変換される。方法の工程1312では、前記被写体の前記多重解像度表現の一部は、閾値の規定に従ってレベルjで消去される。前記停止基準が満たされるまで、工程1312から工程1306までのフローが続く。
【0033】
3つの消去基準のみが上記に示されたが、可能な消去基準の組はそれに限定されず、開示された本発明の着想内で多くの形で多様であることができることを理解されたい。
fに関する多重解像度表現においていくつかの係数を消去した後に、下記の損失関数が残りの係数に関して最小限に抑えられる。
【0034】
【数8】


【0035】
上記式において、fは、被写体内のX線の減衰係数の値を含む被写体の画像ベクトルを表わし、mは投影データを表わし、AはX線照射の減衰モデル行列を表わし、αは正の数を表わし、βは負でない数を表わし、gは関数を表わしており、この関数は、正の引数に対してゼロを返し、負の引数に対して正の値を返すものであり、‖f‖はfの多重解像度表現においてfの係数によって表わしたfの大きさを表わす。
【0036】
本発明の第1の好ましい実施形態では、歯科の放射線医学への適用を示した。
X線投影画像は、歯科の放射線利用で伝統的に用いられている。しかし、ある種の診断職務は、2次元の放射線写真で得られるよりも組織の3次元構造のより正確な知識を必要とする。
【0037】
図7には本発明の好ましい第1の実施形態を示す口内X線機器5の装置が示される。これは、本発明が利用されることが可能な医療用X線機器5の装置の1つの例に過ぎないことに留意することが重要である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態における医療用X線機器5は、例えば歯科用のパノラマ式X線機器、外科用C形アーム式X線機器、コンピュータ断層撮影装置、又はマンモグラフィ機器である。
【0039】
本発明の第1の好ましい実施形態で使用される検出器6の例は、電荷結合素子(CCD)技術に基づき、4096の濃淡値のダイナミックレンジを有する。有効な撮影領域の寸法は、34mm・26mmであり、分解能は、872・664画素である。曝露後、各画素は、画素の領域に衝突するX線量子の数に対応する整数値を有する。
【0040】
別の検出器には、その他のデジタルの口内センサ、デジタル化されたX線フィルム、又は検出されたX線光子をデジタル画像に変換するその他の口内感知素子が含まれる。
本発明の好ましい第1の実施形態では、関節腕装置3がX線源2を正しい位置に移動させる。X線照射は、曝露ボタン12を押すことによって開始する。X線源2は、例えば患者の歯である被写体4をX線照射する。検出器6は、X線照射を検出する。X線照射を検出することによって得られる画像情報は、通信リンク16によってコンピュータ14に送られる。2以上のX線画像が上記に述べたように撮られる。コンピュータは、画像情報を本発明に従って処理するためにソフトウェア手段15を備える。複数のコンピュータ14が存在することができ、同様に複数のコンピュータ14内にソフトウェア手段15が存在することができる。例えば、第1のコンピュータ14は、X線撮影に使用されるコンピュータである。第2のコンピュータ14は、本発明に従って画像情報を処理するのに使用されるコンピュータである。第2のコンピュータ14を実際の医療用X線機器5から遠く離れて有することができる。簡単のため、図6には1つのコンピュータ14のみが示される。
【0041】
本発明の好ましい第1の実施形態(図7)では、歯科医のX線装置は、組織のX線減衰係数の多重解像度表現の使用に基づく規則化された再構成方法に関連する入力として用いられる、1組の2次元投影画像を撮るために使用される。そのような設備には、口内X線ユニット及びデジタル口内センサを含まれる。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、3次元の問題点が、それぞれがzの一定の値によって定義される平面と一致する2次元の問題点の積み重なりに変えることができる。ここで図7がまさに、xy平面すなわちz=0の平面における状態を示す。検出器内の各列は、そのような2次元の問題点と一致する。この手法は、X線源が非ゼロ値zに関する正確な平面内で移動しないので小さな近似誤差につながり、この誤差は無視される。
【0043】
次に、2次元の断層撮影のモデル化の問題点が説明される。次の式、
m(i)=Ax(i)+e(i),
を第i番目の2次元の断層撮影の問題に与える。ここで、ベクトルm(i)は、7つの放射線写真のそれぞれから第i番目の列の読みを含む。ベクトルx(i)は、撮影されている被写体4の3次元表現xのi番目のスライスである。次に、x(i)は、2次元配列の画素である。好ましい実施形態では、行列Aは、X線減衰に対する2次元のペンシル・ビーム・モデルからのものである。これは、図4に示されている。そこでは、被写体4の未知の2次元スライスが小さな画素10に分割され、行列Aは、各画素内のX線の経路の長さを含む。
【0044】
被写体4の数学的なモデル化、すなわち事前の情報を取り入れることは、2次元スライスに関して次に説明される。簡単のため、スライスの指数iは固定され、そのままには示されない。
【0045】
ここで多重解像度表現がウェーブレット展開になるように選択される。φとψをそれぞれある1次元多重解像度の分析の正規直行のスケーリング及びウェーブレット関数にする。次いで、2次元では、
【0046】
【数9】


【0047】
であって、これがスケーリング関数であり、また、
【0048】
【数10】


【0049】
であって、これらが3つのタイプのウェーブレット関数である。また、
【0050】
【数11】


【0051】
が与えられ、これらによって、縮尺化された、拡張された、変換された関数が与えられる。ここで、指数jは縮尺に、kは空間の配置に、lはウェーブレットのタイプに関連付けられ、l=1、2、3である。関数fのウェーブレット展開は、次式で表わされる。
【0052】
【数12】


【0053】
第1の消去基準が用いられる。第1の好ましい実施形態で用いられるノルムは、次式で表わされる。
【0054】
【数13】


【0055】
上記式において、p、q及びsは、数である。インビトロのヒトの頭部のファントム(phantom)から集められた希薄な投影データからの結果が図9に示される。
本発明の好ましい第2の実施形態では、本発明は、マンモグラフィ撮影(図8)に利用されている。そこでの被写体4は、ヒトの胸部であり、医療X線機器5の装置が全範囲のデジタル・マンモグラフィ装置である。断面は、角度制限下の方向の集合からX線照射され、再構成は、第1の好ましい実施形態に対して近似的に計算される。マンモグラフィの被検物から収集された希薄な投影データからの結果は、図10に示される。
【0056】
本発明の好ましい第1及び第2の実施形態では、基本的な方法の工程は、図11のフローチャートによって示されたものと同じである。第2の好ましい実施形態における本発明の利用は、異なる医療用のX線撮影の用途を除いて、本発明の第1の実施形態によって、及び本出願のその他の箇所に述べられているものと同様であり、異なる医療用X線機器及び異なる被写体によるそれらの違いがX線撮影されることになる。
【0057】
本発明は、添付図に示された例を参照して上記に述べられたが、本発明はそれに限定されず、開示された本発明の着想内で多くの形で多様であることができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来のX線投影画像の取得を示す図である。
【図2】2種類のデータを示し、図2Aは投影画像を形成するために曝露中に幅の狭い検出器が移動する、走査された投影画像であり、図2Bは被写体内に鮮明な層を形成するために曝露中にX線源及び検出器が移動するトモシンセティック・スライスを示す図である。
【図3】異なるタイプの投影データを示し、図3Aは各黒点が1つの投影画像を撮るためのX線源の位置を表わす、密集した全角にわたるデータの図であり、図3Bは各黒点が1つの投影画像を撮るためのX線源の位置を表わす、密集した角度制限下のデータの図であり、図3Cは各黒点が1つの投影画像を撮るためのX線源の位置を表わす、希薄な全角にわたるデータの図であり、図3Dは各黒点が1つの投影画像を撮るためのX線源の位置を表わす、希薄な角度制限下のデータの図である。
【図4】「ペンシル・ビーム」X線減衰モデルを示す図である。
【図5】本発明による方法の基本フローチャートである。
【図6】本発明の1つの好ましい実施形態を示す口内X線機器の配置を示す図である。
【図7】デジタル口内センサでの歯科の角度制限下の断層撮影の測定の幾何学的配置を示す図である。
【図8】マンモグラフィ機器でのマンモグラフィの角度制限下の断層撮影の測定の幾何学的配置を示す図である。
【図9】第1の好ましい実施形態での頭部のファントムの3次元再構成の結果を示し、左の欄は、頭部のファントムの歯を透過するトモシンセティック・スライスを示し、右の欄は、本発明によって生成された対応するスライスを示す図である。
【図10】第2の好ましい実施形態でのマンモグラフィの被検物の3次元再構成の結果を示し、左の欄は、被検物を透過するトモシンセティック・スライスを示し、右の欄は、本発明により生成された対応するスライスを示す図である。
【図11】本発明の1つの好ましい実施形態を示す閾値方法の基本フローチャートである。
【図12】本発明の1つの好ましい実施形態を示す閾値方法の基本フローチャートである。
【図13】本発明の1つの好ましい実施形態を示す閾値方法の基本フローチャートである。
【出願人】 【識別番号】505072764
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・フィンランド・オサケユキテュア
【出願日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫

【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎

【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰

【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男

【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行

【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄

【公開番号】 特開2006−187608(P2006−187608A)
【公開日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願番号】 特願2005−369164(P2005−369164)