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【発明の名称】 体内特性センサ
【発明者】 【氏名】赤堀 幸宏
【住所又は居所】静岡県榛原郡榛原町静谷498−1 日機装株式会社静岡製作所内

【要約】 【課題】人体への液体の注入と、人体内の所定の特性の測定を1度に行うことができる体内特性センサを提供すること。

【解決手段】前記課題を解決するための発明は、人体に注入される液体が内部を流通可能に形成されてなる筒部材2と、前記筒部材2の外周部分に設けられ、人体内の所定の特性を感知可能に形成されてなるセンサ部材3と、前記センサ部材3からの信号を伝達可能な導電体4とを備えてなることを特徴とする体内特性センサ1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に注入される液体が内部を流通可能に形成されてなる筒部材と、
前記筒部材の外周部分に設けられ、人体内の所定の特性を感知可能に形成されてなるセンサ部材と、
前記センサ部材からの信号を伝達可能な導電体とを備えてなる
ことを特徴とする体内特性センサ。
【請求項2】
前記筒部材が、穿刺可能に形成されてなる
ことを特徴とする前記請求項1に記載の体内特性センサ。
【請求項3】
前記筒部材が、多孔質性材料で形成されてなる
ことを特徴とする前記請求項1または請求項2に記載の体内特性センサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、体内特性センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場において薬物を体内に投与する場合、使用する薬物が決まると、その薬物について得られている一般的データと、患者の臨床データに基づき動力学的モデルが立てられる。前記モデルに基づき薬剤の血中濃度が治療範囲に入るような投与計画が設定され、実際に薬剤が投与される。
【0003】
投与後の血中濃度の測定からモデルが補正され、再び適正な投与計画が設定される。設定された投与計画に基づき薬剤を投与し、投与後の血中濃度を測定して再び投与計画にフィードバックし、薬剤の投与量をコントロールする。このようなシステムは、すでに糖尿病治療システムにおいて実用化の研究が行われている。
【0004】
例えば、この糖尿病治療システムにおいては、インシュリン投与による血糖値の変化をグルコースセンサーでモニターする仕組になっており、インシュリン濃度は直接測定されることなく、インシュリン投与量を制御できる。
【0005】
ここで、例えば、薬剤の適切な注入量を知るために、連続的な生体情報をモニタリングする場合は、生体情報をモニタするモニタリング用のセンサーと、生体内へ薬剤を注入する薬剤注入用ポートとを備えた装置が必要であった(非特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】榊田 典治、外4名,「携帯型人工膵島の開発」,化学工業,平成14年12月,p.60−64
【0007】
しかしながら、非特許文献1記載の技術によれば、このモニタリング用のセンサー部分が大きいので、該センサー部分と薬剤注入用ポートは別個の装置からなり、穿刺が2回必要であった。このため、患者に身体的負担を強いていた。
【0008】
さらに、生体の接触部分が2箇所であるということは感染症を引き起こす可能性も大きくしていた。したがって、患者のQOLという点からも、穿刺を1回にすることが望ましかったが、そのためにはモニタリング用のセンサー部材と、薬剤注入用ポートを一体化する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の問題点を解消し、人体への液体の注入と、人体内の所定の特性の測定を1度に行うことができる体内特性センサを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、人体に注入される液体が内部を流通可能に形成されてなる筒部材と、前記筒部材の外周部分に設けられ、人体内の所定の特性を感知可能に形成されてなるセンサ部材と、前記センサ部材からの信号を伝達可能な導電体とを備えてなることを特徴とする体内特性センサであり、
請求項2に記載の発明は、前記筒部材が、穿刺可能に形成されてなることを特徴とする前記請求項1に記載の体内特性センサであり、
請求項3に記載の発明は、前記筒部材が、多孔質性材料で形成されてなることを特徴とする前記請求項1または請求項2に記載の体内特性センサである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前記筒部材と、前記センサ部材と、前記導電体とを備えてなることにより、筒部材を人体内へ挿入することで、筒部材内部を通って、液体が人体内に注入される。そして、同時に、筒部材に設けられたセンサ部材によって、人体内の所定の特性が測定される。ここで、測定された所定の特性は、導電体によって、信号として外部に伝達される。したがって、人体への液体の注入と、人体内の所定の特性の測定を1度に行うことができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記筒部材が、穿刺可能に形成されてなることにより、特に測定対象物が生体、特に人体である場合に好適である。
【0013】
さらに、本発明によれば、前記筒部材が、多孔質性材料で形成されてなることにより、筒部材内部を流通する液体を筒部材の外周方向からも浸透させるので、液体を人体内に、偏りなく注入することができる。なお、前記筒部材のセンサ部材が設けられた部分付近においては、多孔質に形成されている必要はない。前記筒部材のセンサ部材が設けられた部分付近も多孔質に形成されていると、筒部材内部を流通する液体によって、測定対象に影響を与え、人体の所定の特性の測定を精度良く行うことができない場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、この図面に記載された形態に限定されるものではない。
【0015】
[体内特性センサ]
なお、図1は、本発明における体内特性センサを示す概略図である。また、図2は、本発明における体内特性センサの断面を示す斜視図である。
【0016】
なお、本発明に係る体内特性センサは、本発明の目的を達成できるものであれば、すなわち、人体内の所定の特性を測定できるものであれば制限はなく、例えば、体内の所定の物質の濃度を測定可能な濃度センサ、体内の所定の部位の温度を測定可能な温度センサ、体内の酵素の種類、濃度等を測定可能な酵素センサ、体内の所定の物質を検出可能な化学センサ等を挙げることができる。
【0017】
本実施形態に係る体内特性センサ1は、筒部材2と、センサ部材3と、導電体4とを備えてなる。
【0018】
[筒部材]
筒部材2は、液体が内部を流通可能に形成されていればよい。筒部材2を構成する材質としては、例えば、SUS等を挙げることができ、多孔質セラミック等の多孔質性材料であることが好ましい。なお、筒部材2のセンサ部材3が設けられた部分付近においては、多孔質に形成されている必要はない。筒部材2のセンサ部材3が設けられた部分付近も多孔質に形成されていると、筒部材2内部を流通する液体、例えば、薬剤によって、測定対象に影響を与え、測定を精度良く行うことができない場合がある。
【0019】
筒部材2は、穿刺可能に形成されてなることが好ましい。穿刺可能に形成する例としては、筒部材2の先端が、はす形状に形成する例等を挙げることができる。なお、筒部材2の断面形状としては、特に制限はなく、人体に挿入する際に、妨げることのない断面形状であればよい。筒部材2の断面形状として、具体的には、円形、楕円形、多角形等を挙げることができる。
【0020】
[センサ部材]
センサ部材3は、筒部材2の外周部分に設けられ、人体内の所定の特性を感知可能に形成されてなるものであればよい。なお、当然のことながら、少なくとも、センサ部材3外側表面が、人体内の所定の特性を感知可能に形成されてなるものであればよい。ここで、センサ部材3は、体内特性センサ1全体としてみた場合に、体内特性センサ1表面から実質的に突出していないように形成されていることが好ましい。
【0021】
このように形成する例としては、例えば、筒部材2の外周部分にセンサ部材3を埋め込むようにして形成し、筒部材2の表面と、センサ部材3の表面とを面一にする例等を挙げることができる。また、体内特性センサ1表面から鋭角に突出しないように、例えば、なだらかな曲面を有するようにセンサ部材3および筒部材2の表面が加工されていてもよい。
【0022】
このようにセンサ部材3を形成すれば、体内特性センサ1を人体内に挿入する際に、センサ部材3が人体の体組織にひっかかることがないので、人体に傷みを与えることなく挿入することができる。
【0023】
前記センサ部材3は、測定する対象物により異なる。例えば、人体の血液中のグルコースを測定する場合には、センサ部材3は、酵素電極である。また、血液中の薬物量を測定する場合には、センサ部材3は、イオン選択性電極などを用いることができる。さらに、例えば、テオフィリン(気管支拡張薬)を測定する場合には、センサ部材3は、エンザイムイムノセンサーである。
【0024】
そして、例えば、セファロスポリン(抗生物質)を測定する場合には、センサ部材3は、微生物センサーである。なお、その他、各人体の所定の特性の測定に適したFET(電界効果トランジスター)センサーや光学センサ等を使用することもできる。
【0025】
[導電体]
導電体4は、センサ部材3からの信号を伝達可能であればよい。導電体4としては、金属等の公知の信号伝達物質を材質とするものであればよい。導電体4としては、例えば、フィルム状のものを使用することができる。導電体4は、図2に示されるように、筒部材2の外周部分であり、かつほぼ中央部分に設けられたセンサ部材3を筒部材2とで、挟み込むようにして装着されている。前記導電体4の装着時の形状は、体内特性センサ1自体が、例えば、人体内に挿入されることを妨げない形状であればよい。
【0026】
[体内特性センサの使用方法および作用]
体内特性センサ1の使用する際に、図1に示されるように、体内特性センサ1は、増幅器5、記録計6、および薬剤注入量制御装置7に接続されている。
【0027】
なお、増幅器5は、センサ部材3から導電体4を介して送られてくる信号を増幅するものであり、増幅された信号は記録計6へと送られる。
【0028】
記録計6は、増幅器5より増幅された信号を記録するものであり、その信号は薬剤注入量制御装置7へと送られる。
【0029】
薬剤注入量制御装置7は、記録計6より伝達された信号により、薬剤の最適注入量を算出し、体内特性センサ1の筒部材2に注入される薬剤の量を調整するものである。
【0030】
まず、体内特性センサ1を人体の所定の部位へ挿入する。人体の生体内に挿入された体内特性センサ1のセンサ部材3により、人体の所定の特性、例えば、血液中のグルコースが測定される。
【0031】
センサ部材3から導電体4を介して、信号が増幅器5に送られる。増幅器5に送られた信号は、増幅器5により増幅される。増幅された信号は、記録計6へと送られる。記録計6に送られた信号は、記録計6に記録される。
【0032】
また、記録計6に送られた信号は、薬剤注入量制御装置7へ送られる。薬剤注入量制御装置7へ送られた信号に基づいて、薬剤注入量制御装置7は、人体の所定の特性、例えば、血液中のグルコース量を算出する。
【0033】
算出された人体の所定の特性、例えば、血液中のグルコース量に基づいて、薬剤注入量制御装置7は、薬剤の最適注入量を算出する。
【0034】
最適注入量の薬剤が、筒部材2に送られる。筒部材2に送られた薬剤は、筒部材2を通って、人体内に注入される。
【0035】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)筒部材2と、センサ部材3と、導電体4とを備えてなることにより、筒部材2を人体の生体内へ挿入することで、筒部材2内部を通って、薬剤が注入される。そして、同時に、筒部材2に設けられたセンサ部材3によって、人体の所定の特性、例えば、血液中のグルコースが測定される。ここで、注入された薬剤による人体の所定の特性の変化が、測定する人体の部位によって、差が生じる可能性があり、そして、この人体の所定の特性値が安定するまでの時間差が測定部位により生じることがある。この筒部材2に設けられたセンサ部材3によって、体内特性センサ1が挿入された状態のままで、血液中のグルコースが測定される。そして、測定された血液中のグルコースは、導電体4によって、信号として外部に伝達される。したがって、上記したように、人体への薬剤の注入と、人体における血液中のグルコースの測定を1度の穿刺で行うことができる。
【0036】
(2)筒部材2が、穿刺可能に形成されてなることにより、特に、測定対象物が人体である場合に好適である。
【0037】
(3)筒部材2が、多孔質性材料で形成されてなることにより、筒部材2内部を流通する薬剤を筒部材2の外周方向からも浸透させるので、薬剤を人体内に、偏りなく注入することができる。なお、筒部材2のセンサ部材3が設けられた部分付近においては、多孔質に形成されている必要はない。筒部材2のセンサ部材3が設けられた部分付近も多孔質に形成されていると、筒部材2内部を流通する液体、例えば、薬剤によって、測定対象に影響を与え、例えば、人体における血液中のグルコースの測定を精度良く行うことができない場合がある。
【0038】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。
【0039】
第1の変形例として、例えば、図3に示されるように、体内特性センサ1Aにおいては、筒部材2の外周部分の先端部分にセンサ部材3Aが設けられている。また、筒部材2は、形状記憶合金で形成され、かつ未使用時には、先端に向かって、鋭角を成す形状に形成されてなる。
【0040】
このようにすれば、上記の効果に加えて、例えば、人体内に体内特性センサ1Aを挿入した後は、体内の温度が、センサ部材3Aおよび筒部材2の温度を上昇させる。その結果、筒部材2が鋭角を成す形状から、人体内中に開放する形状へと変化する。このように、筒部材2が人体内中に開放されることによって、センサ部材3Aが人体内中に露出され、即ち人体内の測定対象物に接触しやすくなるという利点がある。
【0041】
第2の変形例として、例えば、図4に示されるように、体内特性センサ1Bにおいては、筒部材2Bの先端部分および基端部分が中央部分に対して縮径した形状に形成されてなる。
【0042】
このようにすれば、上記の効果に加えて、筒部材2Bの基端部分も縮径していることで、例えば、人体内に体内特性センサ1Bを挿入した後は、筒部材2Bの基端部分で、係止され、人体内で、固定をすることができる。その結果、ある一定の部位を測定する際に、測定対象物の変動を少なくするため、より正確な測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明における体内特性センサを示す概略図である。
【図2】図2は、本発明における体内特性センサの断面を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明における体内特性センサの第1の変形例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明における体内特性センサの第2の変形例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1 体内特性センサ
2 筒部材
3 センサ部材
4 導電体
5 増幅器
6 記録計
7 薬剤注入量制御装置
1A 体内特性センサ
3A センサ部材
1B 体内特性センサ
2B 筒部材

【出願人】 【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区恵比寿3丁目43番2号
【出願日】 平成16年12月17日(2004.12.17)
【代理人】 【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹

【公開番号】 特開2006−167304(P2006−167304A)
【公開日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願番号】 特願2004−366599(P2004−366599)