| 【発明の名称】 |
固視微動量推定方法、装置、及びプログラム並びに該プログラムを記録した記録媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】村上 郁也 【住所又は居所】東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】被検者に対し一様運動検出課題を行わせることにより、その課題成績から固視微動量の推定値を得る固視微動量推定方法、装置並びに固視微動量推定プログラム及び該プログラムを記録した記録媒体の提供。
【解決手段】固視微動量推定装置αに、様々な方向や速度で運動する刺激を提示し、被検者Aの反応を運動検出閾xとして算出する検出閾計算部11と、検出閾計算部11より提示するよう指示された刺激を検査用動画像として生成処理を行う運動刺激生成部12と、運動刺激生成部12が生成した検査用動画像を表示する画面表示部13と、動画像を観察した被検者が検査結果を入力するための反応入力部14と、被検者Aより入力された検査結果を運動検出閾を用いて固視微動量へと変換する検出閾−固視微動量変換部15と、変換された固視微動量を出力する固視微動量出力部16とで構成される特徴的構成手段の採用。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検者に対し一様運動を行う刺激動画パターンを提示し、知覚課題を実施することにより、固視微動量の推定を可能とする固視微動量推定方法であって、 複数方向、複数速度で運動する刺激運動を、内部に設けられた記憶部に保持している刺激画像に取りこみ、刺激動画パターンとして生成処理する運動刺激生成過程と、 当該刺激動画パターンを画面に表示し前記知覚課題として前記被検者に提示する画像表示過程と、 当該被検者に選択させた当該知覚課題の同定結果を出力する反応入力過程と、 当該反応入力過程より受け取った当該知覚課題の当該同定結果の正答率をもとに運動検出閾として算出する検出閾計算過程と、 当該運動検出閾を線形変換式にあてはめ、当該運動検出閾を固視微動量に変換算出する検出閾−固視微動量変換過程と、 当該固視微動量の出力を行う固視微動量出力過程と、を順次実施する、 ことを特徴とする固視微動量推定方法。 【請求項2】 前記刺激画像は、 直径視角13.3度のランダムドットからなり、当該ランダムドットを、各ドット標準偏差視角8分の正規分布型の輝度勾配を持ち、ドット密度を3.5ドット/度2とする刺激パターンと、一様な平均輝度背景と、標準偏差視角40分の累積正規分布型のコントラスト変調により空間的にぼかした境界と、前記刺激パターンから10度の位置に定常的に設けられた固視点とで構成することにより、 前記被検者に、前記刺激動画パターン内の当該固視点を固視させつつ、前記刺激パターンの並進方向を選択回答させるよう生成処理される、 ことを特徴とする請求項1に記載の固視微動量推定方法。 【請求項3】 前記刺激動画パターンは、 複数の運動方向、複数の運動速度での動きを順不同で繰り返すものであり、 当該運動方向を45度刻みの8方向へ移動を設定するとともに、前記運動速度を5段階に設定することにより、 前記運動方向と前記運動速度の組み合わせによる刺激動画像を複数回被検者に対し提示するよう生成処理される、 ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固視微動量推定方法。 【請求項4】 前記運動検出閾の前記固視微動量への変換算出は、 予め複数の被検者に対し行う固視微動量の実験結果から前記運動検出閾と前記固視微動量間とに存在する前記線形変換式の関係を導き出し、 前記知覚課題の同定結果の正答率から検出した運動検出閾を当該線形変換式に代入し、前記被検者の前記固視微動量を算出することで行う、 ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の固視微動量推定方法。 【請求項5】 一様運動を行う刺激動画パターンを提示する知覚課題を生成し、被検者の反応結果に基づき固視微動量の推定を可能とする固視微動量推定装置であって、 複数方向、複数速度で運動する刺激運動を提示するよう指示するとともに、前記被検者の正答率から運動検出閾を記録、検出する検出閾計算部と、 前記検出閾計算部より指示された刺激運動を内部に設けられた記憶部に保持している刺激画像に取りこみ、前記知覚課題用刺激動画パターンとして生成処理する運動刺激生成部と、 当該知覚課題を画面に表示する画像表示部と、 当該知覚課題の反応結果を、前記検出閾計算部に伝達する反応入力部と、 当該反応結果をもとに当該検出閾計算部によって検出された運動検出閾を線形変換式にあてはめ、前記固視微動量に変換する検出閾−固視微動量変換部と、 変換された当該固視微動量を出力する固視微動量出力部と、を具備する、 ことを特徴とする固視微動量推定装置。 【請求項6】 前記請求項5に記載の固視微動量推定装置に搭載するコンピュータに各部に対応して運動刺激生成手順、画像表示手順、反応入力手順、検出閾計算手順、検出閾−固視微動量変換手順、及び固視微動量出力手順を順次実行させる、 ことを特徴とする固視微動量推定プログラム。 【請求項7】 前記請求項6に記載の固視微動量推定プログラムにおける各処理手順を実行させる手続をコンピュータ読取可能に実録してなる、 ことを特徴とする固視微動量推定プログラムを記録した記録媒体。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、眼球の固視微動量推定方法、装置及びプログラム並びに該プログラムを記録した記録媒体に関し、詳しくは、被検者に一様な運動検出課題を行わせることにより、当該被検者に対し他覚的に眼球運動を測定することなく、その課題成績から固視微動量の推定値を導く固視微動量推定方法並びにその実施に直接使用される固視微動量推定装置、固視微動量推定プログラム及びこの固視微動量推定プログラムを記録した記録媒体に係る。 【背景技術】 【0002】 固視微動とは視覚対象の可視性を持続させるために必要不可欠な不随意的眼球運動で、健常者においてはその速度分布が速度ゼロを中心とする等方性二次元正規分布に従って常に生じている。その大きさには個人差があって、視覚対象の見え方の個人差を説明する重要な指標と考えられる。 【0003】 現在、眼球運動に伴って系統的に変化する眼科学的データの測定は、非特許文献1に表記されるように、電極による生体電位の測定や、眼球表面からの反射光の光学的測定、撮像した瞳孔形状の画像解析、サーチコイル付きコンタクトレンズを装着した眼球が発生磁場内部で回転する際に生じる誘導電流の測定など、眼科学的専用装置を用いて他覚的に行われていた。 【非特許文献1】斎田真也、「視覚情報処理ハンドブック」、朝倉書店、日本視覚学会、2000年9月、第9章、p.379−387 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、上記方法による測定は、何れにおいても被検者の眼球又は頭部に測定装置の一部を接触、または近接しておく必要があり、快適性や簡便性に欠け、非侵襲性や作業上の安全性が十分に保証されているわけでもない。 【0005】 また、固視微動は振幅が視覚10分以下の極めて微小かつランダムな眼球運動であるので、その計測のために必要な空間的、時間的解像度を持つ測定装置が自ずと限定されるとともに、当該測定装置を有する機関もごく限られた眼科的施設を除いて実施することが困難となる。 【0006】 さらに、測定装置が高解像度であるほど、固視微動が正確に測定できる反面、安全性など上記の欠点は増大する傾向にあり、固視微動量の大まかな推定値を得たい場合などにはオーバースペックでかつ高リスクである。 【0007】 ここにおいて、本発明の解決すべき主要な目的は、次の通りである。 即ち、本発明の第1の目的は、自覚的に検査を行い、被検者のリスクを軽減することを可能とする固視微動量推定装置、方法及びプログラム並びに該プログラムを記録した記録媒体を提供せんとするものである。 【0008】 本発明の第2の目的は、眼球運動の測定を専用の眼科学的装置を用いることなく簡便に固視微動量の推定値を得ることを可能とする固視微動量推定装置、方法及びプログラム並びに該プログラムを記録した記録媒体を提供せんとするものである。 【0009】 本発明の他の目的は、明細書、図面、特に特許請求の範囲の各請求項の記載から、自ずと明らかとなろう。 【課題を解決するための手段】 【0010】 まず、本発明方法においては、複数方向、複数速度で運動する刺激を提示するよう指示し、当該刺激に対する被検者の反応データから検出閾を算出する検出閾計算過程と、前記検出閾計算過程の指示に従い刺激動画像を生成する運動刺激生成過程と、生成された前記動画像を課題として被検者に対し提示する画像表示過程と、被検者からの前記課題の同定結果を前記検出閾計算過程に伝達する反応入力過程と、当該検出閾計算過程から出力された運動検出閾を固視微動量に変換する検出閾−固視微動量変換過程と、変換された当該固視微動量の出力を行う固視微動量出力過程とを順次実施する、という特徴的構成手法を講じる。 【0011】 また、本発明装置においては、複数方向、複数速度で運動する刺激を提示するよう指示し、当該刺激に対する被検者の反応データから検出閾を算出する検出閾計算部と、前記検出閾計算部の指示に従い刺激動画像を生成する運動刺激生成部と、生成された前記動画像を課題として被検者に対し提示する画像表示部と、被検者からの前記課題の同定結果を前記検出閾計算部に伝達する反応入力部と、当該検出閾計算部から出力された運動検出閾を固視微動量に変換する検出閾−固視微動量変換部と、変換された当該固視微動量の出力を行う固視微動量出力部とを具備する、という特徴的構成手段を講じる。 【0012】 一方、本発明プログラムにおいては、本発明装置に搭載したコンピュータに各部に対応して各処理手順を実行させる、という特徴的な構成手順を講じる。 【0013】 他方、本発明記録媒体においては、本発明プログラムにおける各処理手順を実践する手続をコンピュータ読取り可能に実録する、という特徴的構成手続を講じる。 【発明の効果】 【0014】 本発明によれば、眼球運動の測定にあたり、被検者に接触するなどの他覚的な生理学的データ測定用の眼科的測定装置を必要とすることなく、家庭用コンピュータ、もしくは、同等機材を用いて、簡便な知覚課題を自覚的に行わせるという検査方法により、被検者の固視微動量を推定することが可能となる。 【0015】 また、健常成人のみに限らず、生理学的データ測定用の眼科的測定装置を用いた固視微動量の推定が技術的あるいは倫理的に困難な、乳幼児や高齢者や視覚障害者などにおいても、固視微動量の検査を容易に行うことが可能となる。 【0016】 さらに、固視微動量に影響されて視覚感度や知覚的印象や神経心理学的症状が量的な違いを見せる状況がある場合においても、本発明を用いることにより、固視微動量の推定値を視力の一指標として視機能成績評価や神経疾患スクリーニングや視機能トレーニング、また視覚障害克服リハビリテーションなどに応用が利くという優れた効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 以下、本発明の実施の形態につき、添付の図面を参照しつつ、その装置例並びにこれに対応する方法例を説明し、これに引続き、その方法例を具現化するためのプログラム例及び記録媒体例を説明する。 【0018】 (装置例) まず、図1は本発明の装置例に係る固視微動量推定装置αの機能構成を示す図である。 【0019】 同図に示すように、本装置例に係る固視微動量推定装置αは、様々な方向や速度で運動する刺激を提示するよう指示し、被検者Aの反応を検出閾として算出する検出閾計算部11と、検出閾計算部11より指示された刺激を検査用動画像として生成処理を行う運動刺激生成部12と、運動刺激生成部12が生成した検査用動画像を表示する画面表示部13と、動画像を観察した被検者Aが検査結果を入力するための反応入力部14と、被検者Aより入力された検査結果を運動検出閾を用いて固視微動量へと変換する検出閾−固視微動量変換部15と、変換された固視微動量を出力する固視微動量出力部16とを具備して構成される。 【0020】 ここで、運動刺激生成部12は、検査用動画像を内部で仮想的に生成することが可能であるもの、例えば、コンピュータのRAM、ハードディスク等の記憶装置及びそれに対応したグラフィックス用のプログラムの組み合わせ等を利用し、また画面表示部13は、運動刺激生成部12からビデオ出力信号を用いて実際の動画像を画面に表示するものであって、CRTディスプレイなどを利用することにより、被検者Aに対し所定の課題を視覚的に示すように構成される。 【0021】 このとき、運動刺激生成部12と画像表示部13は基本的に独立であるが、それらを組み合わせた機能を持つ実物体の物理的駆動装置を持って代えても良い。 【0022】 また、反応入力部14は動画像を観察した被検者Aが、刺激運動はどの方向に向いていたかをボタン押下にて反応し、その反応データを検出閾計算部11に伝達するものであり、8方向に対応した専用のボタン装置などでも良いが、例えば、コンピュータ用のマウス、キーボードの数字キーの配置、又はゲーム機等に用いられるジョイスティックなどを適切に利用することにより直感に訴えた反応入力を促すことが可能となる。 【0023】 さらに、検出閾−固視微動量変換部15は、一様運動検出課題に係る検出閾計算部11から出力された運動検出閾の変換を行うものであり、検出閾−固視微動量変換装置15によって変換された固視微動量は固視微動量出力部16において出力される。 【0024】 (方法例) 続いて、以上のように構成された固視微動量推定装置αに適用される方法例について、図2の刺激パターン画像の構成図、図3の刺激動画パターンの概念図、及び図4の運動検出閾、固視微動量の変換式直線の説明図をもとに説明する。 【0025】 まず、上記装置例を用いて固視微動量を検出する場合には、予め視知覚実験を実施して多数の被検者Aの標本を採取し、相関図を描き線形回帰分析を行うことにより、課題成績と固視微動量との間に生じる線形変換式を導き出し、本発明による一様運動検出課題の各被検者Aの反応結果を導き出された線形変換式にあてはめることにより当該被検者Aの固視微動量の推定を行うことを前提とする。 【0026】 上記変換式取得手段に関しては、非特許文献2に記載の視知覚実験に基づく標本の採取を実施し、相対運動手がかりのない一様運動を検出する課題の成績をみたとき、当該課題の成績と、固視微動量間に生じる正の線形相関を利用し、線形変換式を得ることが可能となる。 【非特許文献2】Ikuya Murakami,"Correlations between fixation stability and visual motion sensitivity",Vision Research,April 2004,44,p.751-761 【0027】 まず、検出閾計算部11は、被検者Aに対する刺激を提示するよう指示し、運動刺激生成部12に対し出力する。この場合の運動方向の刺激は、いくつかの異なる方向、例えば45度刻みの8方向に対し、刺激運動が何れの方向に動いていたように見えたかを選択可能とさせる課題とするものとする。 【0028】 また、運動速度の刺激は、いくつかの異なる速度、例えば対数軸上に等間隔に設定した5段階の速度の何れかで動くものとすれば、各速度における正答率を上記運動方向の選択方法から得ればよい。 【0029】 次に、運動刺激生成部12は、図2に示す刺激画像β1を運動刺激生成部12の内部に設けられた(図示しない)記憶部に保持しており、検出閾計算部11より受け取った刺激運動を刺激画像β1に適用することにより、図3に示す刺激動画パターンβ2を生成する(運動刺激生成過程)。 【0030】 ここにおける視角刺激とする画像は、ランダム・ドット・パターンで提示されたパターン21を直径視角13.3度で表したものであり、背景22には一様な平均輝度背景を使用する。パターン21と背景22の間の境界23には標準偏差視角40分の累積正規分布型のコントラスト変調により空間的にぼかしたものを使用する。 【0031】 パターン21における各ドットは標準偏差視角8分の正規分布型の輝度勾配を持ち、ドット密度は3.5ドット/度2とするとともに、Michelsonコントラストは99%とし、刺激パターン中心25から右側視角10度の位置に、固視点24を定常的に設けることとする。 【0032】 運動刺激生成部12によって、上記記憶部に保持している刺激画像β1に検出閾計算部11より受け取った刺激運動を適用することにより生成された刺激動画パターンβ2は、アンチエイリアス処理されているためサブピクセル・アニメーションが可能であって、刺激パターン21と境界23が一貫し並進運動を行う。 【0033】 次に図3を用いて、刺激動画パターンβ2の並進運動について説明する。 【0034】 刺激動画パターンβ2の運動方向は、刺激パターン中心25を中心として図3の(a)に図示された矢印のように、45度刻みの上下左右及び、左右斜角の8方向への運動が可能となる。また、運動速度は、1.2,2.3,4.7,9.4,18.8min/sの5段階とし、刺激運動の提示時間は0.85sとする。 【0035】 次に、運動刺激生成部12は、作成された刺激動画パターンβ2を画像表示部13に出力し、画像表示部13は受け取ったデータをビデオ出力信号を用いて実際の動画像として画面に表示する(画像表示過程)。 【0036】 被検者Aと画像表示部13となるCRTディスプレイ等のモニタとの距離は54cmとし、被検者Aは、画像表示部13に表示される刺激動画パターンβ2の固視点24を固視しつつ刺激運動を観察してその運動方向を同定し、反応入力部14に同定結果をボタン等で押下する。 【0037】 図3の(b)は、刺激パターン21が右方向への並進を行った場合の例であり、被検者は刺激パターン21と境界23が中心部から右方向への運動を行ったことを察知すれば反応入力部14の右方向を指し示すボタンを押下する。 【0038】 上記手順により反応入力部14は、被検者Aにより入力された同定結果を検出閾計算部11に伝達し(反応入力過程)、検出閾計算部11は運動検出閾の推定を行う(検出閾計算過程)。ここにおける運動検出閾の推定には、非特許文献3に示される恒常法を用いる。 【非特許文献3】和田陽平、大山正、今井省吾、「感覚・知覚 心理学ハンドブック」、誠信書房、第3章、P.38−54 【0039】 すなわち、5段階の速度の各々において約30回の繰り返し試行を行って正答率を算出し、正答率を速度の関数として描き、以下の標準的S字形状曲線を描く変形累積ワイブル関数の数式にあてはめ、関数上で正答率53.3%をもたらす速度を求め、これをもって各被検者Aにおける運動検出閾xと定義する。この場合zは正答率、sは速度、b、cは自由パラメータとする。 【0040】 【数1】
【0041】 ここで、検出された運動検出閾xを固視微動量yとして変換するために、予め被検者Aに対し、固視点を固視している際の水平軸上の眼球運動を赤外線リンバス・アイトラッカー装置にて1kHzの時間解像度で記録し、帯域1−31Hzのバンドパス・フィルタを通過させた後、CRTモニタと同一の時間解像度における眼球運動の瞬間速度を計算して、これをヒストグラム化し、正規分布であてはめを行うとする。 【0042】 上記あてはめにおける標準偏差をもって固視微動量の目標とし、このようにして各被検者Aにおいて求めた運動検出閾xと固視微動量yとの対を、被検者A間相関図として描き、固視微動量yの関数として運動検出閾xを線形回帰した結果、以下の相関関数r、線形変換式直線x=f(y)、相関の有意性検定pが導き出されることとなる。 【0043】 【数2】
【0044】 すなわち、固視微動量yと、運動検出閾xを比較した場合、求められた運動検出閾xをほぼ10倍したものが、固視微動量yに相当するということが判明し、図4のグラフに図示されるように固視微動量と運動検出閾の間には比例の関係が生じることが明らかとなる。 【0045】 検出閾−固視微動量変換部15は線形変換式直線fを利用して、導き出された運動検出閾xを固視微動量yへと変換し(検出閾−固視微動量変換過程)、固視微動量出力部16へと伝達する。例えば、図4に矢印で図示したように、ある被検者Aの運動検出閾xが0.1deg/sであったとすると、0.1deg/sの場合にもたらす線形変換式直線fとの該当点aの位置の固視微動量yを横軸に求めると、推定値0.89deg/sを得ることができる(固視微動量出力過程)。 【0046】 ただし、運動検出閾xが非特許文献3に記載された視知覚実験の被検者集団のものと比べて顕著に高い場合、つまり図4の線形変換式直線fの点線部分に対応する結果が出た場合、回帰直線を外挿することに起因する恒常誤差の危険性を考慮しなければならない。 【0047】 また、全く異なる条件で検査を行いたい場合には、その条件にて多数の被検者Aを用いて事前に上記のような視覚実験を追試し、当該条件における回帰直線を新たに推定しておかなければならない。 【0048】 上記実験条件においては、運動検出閾xに影響を与えるものが、本質的に、心理物理学的測定法の種類でなく刺激観察条件、例えば、刺激サイズ、提示時間などであることはいうまでもなく、刺激観察条件が同一であるならば、心理物理学的測定法は恒常法よりもはるかに簡便なものであっても構わない。 【0049】 また、本方法例を利用するために、医療・保健機関、学校などで簡便な実施方法としては、ランドルト環を用いた視力測定の方法に準じた極限法下降系列の8肢強制反応の繰り返し試行の方法を援用すれば、本検査における運動検出閾xはランドルト視力の測定に要するのと同等の測定時間と作業労力で測定することが可能となる。 【0050】 (プログラム及び記録媒体例) 以上の方法から明らかなように、本装置例に係る固視微動量推定装置αは、コンピュータの基本構成を搭載具備しているため、本発明で具現化しようとする所要の機能は、ソフトウェア・プログラムにより構成することができる。 【0051】 即ち、所要の固視微動量推定プログラムを構成するに際しては、固視微動量推定装置αの構成要素のうちハードウェア要素を除く各部11〜16に対応する、即ち、前述した運動刺激生成過程、画像表示過程、反応入力過程、検出閾計算過程、検出閾−固視微動量変換過程、固視微動量出力過程からなる固視微動量推定方法を実行するプログラム手順からなる固視微動量推定プログラムを記録すればよい。 【0052】 また、記録媒体を構成するに際しては、コンピュータ読み取り可能な、CD−ROMなどの任意の記録媒体に、上記各プログラム手順からなる固視微動量推定プログラムを実行する手続を実録すればよい。 【0053】 以上、本発明の実施形態につき、その装置例及びこれに対応する方法例、プログラム例、このプログラムを記録する記録媒体例を挙げて説明したが、本発明は、必ずしも上述した手段及び手法並びに手順及び手続にのみ限定されるものではなく、前述した効果を有する範囲内において、適宜、変更実施することが可能なものである。 【0054】 例えば、本実施形態例においては、被検者Aに提示する刺激パターン画像を提示する部位を固視微動量推定装置α内の画像表示部13として説明したものの、例えば、画像表示部13に代え、テレビ受像機やコンピュータの画面(CRTやLCD)等のモニタを映像表示装置として用いるのも良く、同様に、被検者Aが検査反応を入力する手段とする反応入力部14に関しても、それに代えコンピュータに附属するキーボード、マウス等の外部接続装置を使用することも可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0055】 【図1】本発明の装置例に係る固視微動量推定装置の構成を示す機能ブロック図である。 【図2】本発明の方法例に係る運動刺激生成部により生成される刺激画像の構成図である。 【図3】本発明の方法例に係る刺激運動パターン画像2における運動方向を指し示すものであり、(a)は刺激パターンの移動可能方向を示す概念図であり、(b)は刺激パターンが右方向へ並進した場合の画像の変化を示す概念図である。 【図4】本発明の方法例に係る被検者における運動検出閾と固視微動量との対を変換式直線グラフとして示す説明図である。 【符号の説明】 【0056】 α…固視微動量推定装置 β1…刺激画像 β2…刺激動画パターン f…変換式直線 x…運動検出閾 y…固視微動量 a…該当点 11…検出閾計算部 12…運動刺激生成部 13…画像表示部 14…反応入力部 15…検出閾−固視微動量変換部 16…固視微動量出力部 21…刺激パターン 22…背景パターン 23…境界 24…固視点 25…刺激パターン中心
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004226 【氏名又は名称】日本電信電話株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区大手町二丁目3番1号
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| 【出願日】 |
平成16年12月17日(2004.12.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071113 【弁理士】 【氏名又は名称】菅 隆彦
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| 【公開番号】 |
特開2006−167276(P2006−167276A) |
| 【公開日】 |
平成18年6月29日(2006.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願2004−365916(P2004−365916) |
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