トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 回転血管撮影のための血管撮影X線診断装置
【発明者】 【氏名】トーマス ブルンナー

【氏名】クラウス クリンゲンベック‐レグン

【氏名】ミヒァエル マシュケ

【氏名】アロイス ネットリング

【氏名】エルンスト‐ペーター リュールンショップフ

【氏名】ベルンハルト ショルツ

【氏名】ベルント シュライバー

【氏名】ノルベルト‐カール シュトローベル

【氏名】カール ヴィーゼント

【氏名】ミヒァエル ツェラーホフ

【要約】 【課題】血管撮影X線装置の利点が、改善された軟部組織表示の診断学的可能性に組み合わされるように構成する。

【解決手段】患者用寝台テーブル(9)上にいる患者(10)の周りを円軌道上で移動可能なX線放射器(3)と、円軌道上でX線放射器(3)に対向配置された移動可能な画像検出器ユニット(4)と、回転血管撮影による多数の投影画像を撮影するためのディジタル画像システム(6,14)と、投影画像を3Dボリューム画像に再構成する画像処理装置(20)と、投影画像およびこの投影画像から再構成された3Dボリューム画像の軟部表示のための撮影システムにおける物理学的作用および/または不十分さを補正するための補正装置(19,21,22)とが設けれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者用寝台テーブル(9)上にいる患者(10)の周りを円軌道上で移動可能なX線放射器(3)と、
円軌道上でX線放射器(3)に対向配置された移動可能な画像検出器ユニット(4)と、
回転血管撮影による多数の投影画像を撮影するためのディジタル画像システム(6,14)と、
投影画像を3Dボリューム画像に再構成する画像処理装置(20)と、
投影画像およびこの投影画像から再構成された3Dボリューム画像の軟部表示のための撮影システムにおける物理学的作用および/または不十分さを補正するための補正装置(19,21,22)と、
を備えていることを特徴とする回転血管撮影のための血管撮影X線診断装置。
【請求項2】
補正装置(19,21,22)は、トランケーション補正、散乱X線補正、ブルーミング補正、リング状アーチファクト補正、ビームハードニング補正および低周波ドロップ補正のグループのうちから少なくとも1つの補正を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項3】
補正装置(19,21,22)は個別の補正プロセッサを有することを特徴とする請求項1又は2記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項4】
補正装置(19,21,22)は、撮影システムの較正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項5】
補正装置(19,21,22)は、ジオメトリ較正、歪み補正較正、強度較正および/またはゲイン較正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項6】
補正装置(19,21,22)は、トランケーション補正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項7】
補正装置(19,21,22)は、散乱X線補正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項8】
補正装置(19,21,22)は、ブルーミング補正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項9】
補正装置(19,21,22)は、低周波ドロップ補正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項10】
補正装置(19,21,22)は、リング状アーチファクト補正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項11】
補正装置(19,21,22)は、ビームハードニング補正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項12】
補正装置(19,21,22)は、患者(10)の動きの補正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至11の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項13】
補正装置(19,21,22)は、患者(10)の器官運動の補正を生じさせるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至12の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項14】
X線放射器(3)および画像検出器ユニット(4)はCアーム(2)のそれぞれの端部に配置されていることを特徴とする請求項1乃至13の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項15】
Cアーム(2)は床および/または天井に据付けられていることを特徴とする請求項1乃至14の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項16】
移動式Cアーム(2)が使用されることを特徴とする請求項1乃至13の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項17】
X線画像検出器(4)は平面型の長方形または正方形の半導体検出器であることを特徴とする請求項1乃至16の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【請求項18】
2平面装置を構成する2つのX線放射器−画像検出器ユニット(4)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至17の1つに記載の血管撮影X線診断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、患者用寝台テーブル上にいる患者の周りを円軌道上で移動可能なX線放射器と、円軌道上でX線放射器に対向配置された移動可能な画像検出器ユニットと、回転血管撮影による多数の投影画像を撮影するためのディジタル画像システムと、投影画像を3Dボリューム画像に再構成する画像処理装置とを備えた回転血管撮影のための血管撮影X線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
世界において最も頻発する病気の一つが、例えば卒中発作(Stroke)、動脈瘤あるいは腹部大動脈瘤(AAA)の如き血管の病気である。これらの病気の場合には迅速かつ確実な診断および即座に実行に移される治療が回復プロセスにとって特別に重要である。
【0003】
この種の病気の診断は画像作成方法によって支援される。まず第1に、脳の出血またはもはや血液を供給されない部分の正確な範囲を決定するために、CT検査が実施される。動脈瘤またはAAAの場合、血管変形がどのくらいの寸法および形状を有するかが求められる。コンピュータ断層撮影装置はこれらの関心のある軟部組織の良好な診断学的画像を提供するが、しかしCT装置は患者へのアクセスが不十分なために治療できない。従って、治療は一般にいつも血管撮影CアームX線システムの支援により実施される。従来の公知の血管撮影X線システムは最適な軟部分解能をもたらさず、このために例えば脳出血を見ることができない。
【0004】
これは、患者をCT検査後に、血管撮影X線検査を実施可能である場所に移動させなければならない。それによって患者治療のための貴重な時間が失われる結果となる。改善のためにコンピュータ断層撮影装置および血管撮影X線装置を共通な空間内に配置する構想が生まれた。この解決策は、患者が依然として移動させられなければならず、2つの比較的高価な装置が1つの治療にしか使用できないという欠点を有する。
【0005】
CアームX線装置による3D血管撮影のための最初の方法および装置は公知である。例えば、頭蓋および血管の3D撮影画像をワークステーション付きX線診断装置により作成することができる。この種のボリュームデータセット発生方法は公知である(例えば、特許文献1参照)。3D撮影画像を供給するCアームX線装置の他の例も公知である(例えば、非特許文献1、特許文献2および特許文献3)。移動式装置は一般に十分なX線出力を持たず、従って限定的にしか適しない。断層撮影画像の作成のためのCアームX線診断装置も公知である(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、公知のCアーム解決策の全てが微細な軟部組織(Softtissue)の最適な表示を欠いている。
【特許文献1】独国特許出願公開第10241184号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10047364号明細書
【特許文献3】独国特許第19950793号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10306068号明細書
【特許文献5】独国特許第19509007号明細書
【非特許文献1】Eulerほかによる「the Electromedica 1/02 “Initial clinical Experiences with the SIREMOBIL Iso−C3D”」、第48〜51頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた回転血管撮影のための血管撮影X線診断装置を、血管撮影X線装置の利点が、改善された軟部組織表示の診断学的可能性に組み合わされるように構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、投影画像およびこの投影画像から再構成された3Dボリューム画像の軟部表示のための撮影システムにおける物理学的作用および/または不十分さを補正するための補正装置により解決される。回転血管撮影のためのこの種の血管撮影X線診断装置は、実施された補正に基づいて、10ハンスフィールドユニット(HU)の差および10mmの大きさを有する対象の可視化も可能にする。補正装置は、別個の補正プロセッサであってもよいし、あるいは既存の補正プロセッサもしくはX線診断装置の画像システム内のソフトウェアモジュールであってもよい。
【0008】
本発明による装置によって実施される方法は、CTシステムにとっては公知の方法に似ているが、しかしCTシステムの場合にはX線放射器およびX線検出器が閉じたリング状のガントリ内で回転する。開いたCアームの使用は付加的な画像プロセッサと公知の画像プロセッサの特別な整合化および拡張とを必要とする。
【0009】
本発明による補正は、トランケーション補正、散乱X線補正、ブルーミング補正、リング状アーチファクト補正、ビームハードニング補正、低周波ドロップ補正のグループの中からもたらされる。
【0010】
本発明によれば、補正装置は別個の補正プロセッサを有する。
【0011】
補正装置が、例えばジオメトリ較正、歪み補正較正、強度較正および/またはゲイン較正を生じさせるように構成されていると有利である。
【0012】
補正装置は、患者の動きおよび/または患者の器官運動の補正を生じさせるように構成されていると有利であることがわかった。
【0013】
本発明に従って、X線放射器および画像検出器ユニットはCアームのそれぞれの端部に配置されているとよい。代替としてCアームは床および/または天井に据付けられてもよいし、あるいは移動式Cアームが使用されてもよい。
【0014】
X線画像検出器が平面型の長方形または正方形の半導体検出器、例えば、とりわけアモルファスシリコン(aSi)からなる平面型検出器(FD)であると有利である。
【0015】
2平面装置を構成する2つのX線放射器−画像検出器ユニットが設けられるのもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を図面に示された実施例に基づいて更に詳細に説明する。
図1は本発明によるX線診断装置を示し、
図2は図1によるX線診断装置による検査経過を示す。
【0017】
図1には、固定子1に回転可能に支持されたCアーム2を有するX線診断装置が示され、Cアーム2の端部にはX線放射器3およびX線画像検出器4が取付けられている。
【0018】
図示された固定子1の代わりに床架台および/または天井架台を使用することもできる。Cアーム2は、X線放射器3とX線検出器4との電子的カップリングが行なわれこの電子的カップリングが例えばコンピュータユニットによって制御されてX線放射器3およびX線画像検出器4に円形軌道を移動させるようにするいわゆる電子式Cアーム2に置き換えることもできる。
【0019】
X線画像検出器4は、とりわけアモルファスシリコン(aSi)から作られた平面型の長方形および/または正方形の半導体検出器であるとよい。
【0020】
高電圧発生装置5は、システム制御部6に接続され、X線放射器3を作動させる。更に、システム制御部6は、例えばaSi平面型検出器であるX線画像検出器4において撮影準備ができているとき、X線放射器3の同期制御のためにX線画像検出器4に接続される。同様にシステム制御部6は、例えば固定子1に収納されたCアーム2の回転電動機を制御し、Cアーム2の位置の検査信号を検出する。
【0021】
X線画像検出器4から読み出された画像データは、前処理ユニット7において処理され、システムデータバス8に更なる分配のために導かれる。システム制御部6および前処理ユニット7は画像システムの一部であってよい。更に、これらは分離されたハードウェアまたはソフトウェアとしてとして実現してもよい。
【0022】
X線放射器3のX線経路内において患者用寝台テーブル9上に患者10が横臥しており、患者10はX線の透過度に応じてX線の減弱を生じさせ、X線の減弱がX線画像検出器4によって検出される。
【0023】
患者10には、例えばECG電極および/または呼吸センサ(図示されていない。)である生理学的センサが取付けられている。このECG電極11は生理学的信号処理部12に接続されている。電圧供給ユニット13は個々の装置に必要な電圧を供給する。
【0024】
前処理ユニット7によって処理されたX線画像検出器4の信号の画像データは、X線画像のための画像処理ユニット14に導かれる。これは、一方では2D処理部15を介して2D−3D表示ユニット16に接続されている。この2D−3D表示ユニット16は入力ユニット17(ユーザI/O)および3D表示制御部18とともに再生ユニットを構成する。
【0025】
2D−3D表示ユニット16を観察する検査医師の頭部の動きに3D表示を合わせるために、頭部の動きセンサに対する受信器25が3D表示制御部18に接続されている。
【0026】
更に、画像処理ユニット14は、画像アーチファクトおよび画像のための補正ユニット19に接続されている。この補正ユニット19の出力信号は3D画像再構成部20を介して2D−3D表示ユニット16に3次元再生のために導かれる。
【0027】
システムデータバス8には補正ユニット21および位置センサインターフェース22も接続されている。位置センサインターフェース22は、患者の動きに対するセンサ24から出る信号のための受信器23と接続されている。センサ24は、患者用寝台テーブル9上にいる患者の動きを、例えば超音波の如き電磁波により認識し、これを例えば電波を介して受信器23に通報する。
【0028】
システムデータバス8には、外部へ向けた通信のためにDICOMインターフェース26が接続されている。DICOMインターフェース26は、データ線を介してHIS27と患者データを交換し、病院のイントラネットによるデータ線28を介してまたはインターネットを介して画像データを交換する。DICOMインターフェース26はMPPS機能(MPPS=Modality Performed Procedure Step、モダリティ実行済みプロシジャステップ)を有する。
【0029】
更に、画像データを画像処理ユニット14から取出すこと、および/またはDICOMインターフェース26を介して転送することを可能にするために、システムデータバス8には、前処理ユニット7から供給された画像データの中間記憶を行なう画像データメモリ29が接続されている。
【0030】
全てのプロセッサは個別のハードウェアまたはソフトウェアとして実現し、画像システムに組み込むことができる。
【0031】
従って、血管撮影X線診断装置は、端部にX線絞りを備えたX線放射器3およびX線画像検出器ユニット4を取付けられた少なくとも1つの回転可能に支持されたCアーム2と、高電圧発生装置5と、患者用寝台テーブル9と、放射器および検出器の架台1と、ディジタル画像システム14とを有する。付加的に、回転血管撮影法によって多数の投影画像が撮影されるのを可能にする画像処理プロセッサ20が使用される。これらの投影画像は画像処理プロセッサ20により3Dボリューム画像に再構成される。
【0032】
本発明によれば、投影画像の良好な軟部表示および投影画像から再構成された3Dボリューム画像を可能にする画像アーチファクトおよび補正プロセッサ19,21,22が設けられている。同時に、良好な細部分解能および患者へのアクセス性が得られるという血管撮影X線撮影装置の従来の長所はそのままとどめられている。
【0033】
X線放射器3およびX線画像検出器4を備えたCアーム2は、少なくとも180°、例えば180°+ファン角の角度範囲を移動し、矢継ぎ早に種々の投影からなる投影画像を撮影する。再構成はこれらの取得されたデータの部分範囲だけから行なうことができる。
【0034】
Cアーム2、X線放射器3およびX線画像検出器4からなる装置は床または天井に据付けることができる。代替として、特定の用途では移動式Cアームを使用することができる。
【0035】
X線画像検出器4はaSi平面型検出器であると好ましい。
【0036】
3D再構成のためにCアーム装置2〜4によって部分円運動中に3次元(3D)対象の2次元(2D)コーンビーム投影が撮影される。2D投影のこのセットから、例えばフェルドカンプ(Feldkamp)アルゴリズムにより、基礎をなす3D対象関数が算出もしくは評価される。Feldkampアルゴリズムは、L.A.Feldkamp,L.C.Davis,J.W.Kressにより「J.Opt.Soc.Am.A,Vol.1,No.6」の第612〜619頁に記載されている。「フィルタ補正逆投影法」の原理に基づくこの方法により、もちろん高々1つの断層、すなわち円運動の軌道内にある断層、つまり中央面を数学的に正確に計算することができるぐらいのものである。中央面の外側にある断層は近似的に計算されるだけである。従って、これは、1つの円運動の際に、中央面の外側の断層を正確に計算するために必要とするデータを全て収集できるわけではないことに基づいている。この制限にもかかわらず、Feldkampアルゴリズムは現在のところ計算費用と結果との間の魅力的な妥協を提供している。数学的な見地から、より正確な結果が正確な3D再構成法により得られる。この場合に、特に関心をひくのは、例えば2003年発行の「Int.J.Math.Math.Sci.21」の第1305〜1321頁におけるA.Katsevichによる「A general scheme for constructing inversion algorithms for cone beam CT(コーンビームCTのための逆変換アルゴリズムを構成するための一般的基本構想)」から知られているような同様にフィルタ補正逆投影法に基づく効率のよい正確な3D再構成法である。
【0037】
3D画像再構成は例えばFeldkampアルゴリズムにより実行される。再構成のための他のアルゴリズムを使用してもよい。例えば3Dラドン逆変換(Grangeatアルゴリズム)、Defrise−Clackのフィルタ補正逆投影法、フーリエ法、あるいは、例えば「Society for Industrial and Applied Mathematics」(Philadelphia,2001)におけるF.Natterer,F.Wuebbelingによる「Mathematical Methods in Image Reconstruction(画像再構成における数学的方法)」において記載されているような反復法である。
【0038】
この場合に、もちろん付加的に焦点および検出器の理想的でない軌道曲線が考慮されなければならない。理想的でないCアームジオメトリおよび部分円運動を含められた再構成法は、「IEEE Trans.Med.Img.,Vol.19,No.5,2000」におけるK.Wiesentほかによる「Enhanced 3−D Reconstruction Algorithm for C−Arm Systems Suitable for Interventional Procedures(インターベンション処置に適したCアームシステムのための増強3D再構成アルゴリズム)」に記載されている。代替として、他の解析コーンビーム法、代数学的および/または統計学的再構成法を使用してもよい。
【0039】
アーチファクトおよび補正プロセッサは、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせとして構成することができる多数の部分プロセッサからなる。それぞれのプロセッサは個別に切り離し可能である。これらの補正が実行される順序は選択可能でありかつそれらのパラメータにて設定可能であるので、種々のパラメータを有する種々の検査様式が記憶され、例えば「Stroke(卒中発作)」の如き検査名の入力によって作動可能であり、画像処理部および画像/データ分配部を含むX線装置全体がネットワークを介してパラメータ化され、予め設定される。
【0040】
画像アーチファクトおよび画像のための補正ユニット19として、次のアーチファクトおよび補正プロセッサが使用される。
【0041】
撮影システムの較正プロセッサ
開始時に実行すべき撮影システムの較正は多数の部分からなる。
1.ジオメトリ較正:
ジオメトリ較正によりX線光学系、すなわちX線焦点の位置並びにX線画像検出器4の位置および方位が各投影に対して決定される。これは、高い空間分解能を持ちかつアーチファクトのない再構成を達成することができるために重要である。なぜならば、CアームX線システムが不安定性に起因して理想的な円軌道からのずれを有することがあるからである。
【0042】
2.平面型検出器には必要でない、X線イメージインテンシファイアだけの歪み補正:
X線イメージインテンシファイアの投影画像は、一部は地球磁場によって一部は電子光学系の不十分さによって生じる歪みを有する。これらの歪みは補正方法で除去される。
【0043】
3.強度較正:
強度較正により投影画像における各グレー値に強度Iおよび(対象不在時の強度I0の測定に基づく)線積分p=ln(I0/I)が割り付けられる。これらの線積分はそれぞれの再構成アルゴリズムに対する入力である。
【0044】
4.ゲイン較正:
いわゆる「フラットフィールドイメージ(Flat Field Image)」によりX線画像検出器4のゲイン較正が行なわれる。このゲイン較正は、再構成された画像内のアーチファクト(例えば、リング状アーチファクト)を生じさせる固定パターンノイズを抑制するために重要である。このために測定された各投影が「フラットフィールドイメージ」により補正される。
【0045】
トランケーション補正
実際の各X線撮影装置は有限のサイズのX線画像検出器を有する。従って、X線画像検出器の寸法を上回る投影を有する対象は、もはや完全に検出することができず、いわゆる不完全投影が生じる。不完全投影からの3D対象関数の正確な再構成は、たとえ基礎をなすアルゴリズムがこれを原理的に完全に撮影された投影において可能にしても、一般に不可能である。例えば、B.Ohnesorge,T.Flor,K.Schwarz,J.P.Heiken,K.T.Baeによる「“Efficient correction for CT image artifacts caused by objects extending outside the scan field of view(走査視野の外側に広がる対象によって引き起こされるCT画像アーチファクトの効果的な補正)”,Med.Phy,vol.1,pp39−46,2000」に記載されているような外挿法が知られている。より正確な解決策を得ようとする場合には、一般にアプリオリ情報、例えばCTデータセットが頼りである(「K.Ramamurthi,J.L.Prince,“Tomographic Reconstruction for Truncated Cone Beam Data Using Prior CT Information(先行CT情報を使用する不完全コーンビームデータのための断層撮影再構成)”,MICCAI(2),134−141,2003」参照)。
【0046】
散乱X線補正
X線撮影法と違ってCT再構成における散乱X線(Scatter)は、信号/雑音比の悪化を招くばかりでなく、付加的に、量的精度も低コントラストの識別性も強く阻害することのある、例えば「カッピング」並びに棒状アーチファクトまたはシェーディングアーチファクトの如き対象依存性のグレー値変造をもたらす。
【0047】
1列または複数列からなる検出器アレイを有する通常のCT装置の場合、スリット状のコリメータによって散乱X線を実際上もはや画像に作用しないように十分に低減することができる。しかしながら、平面型検出器を有するCTの場合、照射された物体横断面全体が散乱X線源として働き、平面型検出器に到達する散乱X線の強さが減弱のない1次X線の強さを上回ることさえあり得る。散乱X線除去用グリッドの使用によって散乱X線の割合は確かに選択的に低減できるが、しかし依然として画像への作用があり、従って無視することができない(散乱割合は、頭部撮影の場合に約25%、胸部、骨盤または腹部撮影の場合に50%以上までになる。)。
【0048】
散乱X線補正方法は、2つの構成要素、すなわち検出器面における散乱X線分布の評価方法と補正アルゴリズムからなる。散乱X線の評価のために、例えば「Proc.SPIE,Vol.4682,2002」の第774〜781頁におけるR.Ning,X.Tang,D.L.Conover.による「X−ray scatter suppression algorithm for cone beam volume CT(コーンビームボリュームCTのためのX線散乱抑制アルゴリズム)」において、公知のビーム停止法を用いた測定方法が提案されているが、しかしこの方法は、われわれの見解によれば、取扱い可能性の理由から、病院の仕事の流れにとってほとんど得策でない。他の方法は、十分な精度でもって測定および/またはモンテカルロシュミレーション計算に適合化されて著しい画像改善をもたらす計算モデルに基づいている。投影画像上で直接に使用しかつ米国特許第5666391号明細書から公知である計算モデルまたはボリューム再構成からの情報も利用することを許しかつ独国特許出願第102004029009.1に記載されている計算モデルが存在する。
【0049】
ブルーミング補正
Cアームシステムにおいて使用されるX線画像検出器のビット深さは、今のところ現代のCT検出器に比べて比較的小さい(CT検出器の場合の18〜20ビットに対して、CCDカメラについては12ビット、平面型検出器については14ビット)。このために、投影においてかなり頻繁にブルーミングを生じ、これが再び再構成にアーチファクトをもたらす。このブルーミングアーチファクトは投影値の外挿によってく切り落とし(クリッピング)を回避して低減することができる。
【0050】
低周波ドロップ
X線画像検出器における散乱光によって投影画像内に、数学的に点像分布関数を用いた畳み込み処理に相当するバックグラウンドが生じる。このバックグラウンドが再構成された画像内に(散乱X線に類似の)アーチファクトをもたらし、投影データの相応の逆畳み込み(デコンボリューション)演算によって補正可能である。
【0051】
リング状アーチファクト補正
たとえX線画像検出器4を綿密に較正しても、個々の検出器ピクセルの測定データは測定誤差および変動を含む。これらの誤差は再構成された画像内にリング状アーチファクトをもたらす。適切な(半径方向および環状に作用する)フィルタの使用によって対象画像からリング画像を切り取ることができる。まず、とりわけ原画の半径方向の中央値フィルタリングおよびこれに続く引き算によってリング状アーチファクトが検出される。他の半径方向の平滑フィルタリングを同様に使用することもできる。環状方向におけるこの画像の平滑によってそれに含まれるノイズ成分が除去される。引続いて、このようにして得られたリング画像が原画から引き算される。
【0052】
ビームハードニング(Beam Hardening)補正
吸収性の対象の透過時におけるX線の硬化は、「H.Barrett,W.Swindellの“Radiological Imaging”,Vol.2,Chap.7」によれば、アキシャル画像において画素が画像中央に向かって減少するグレー値を用いて再構成されることを生じさせる。いわゆる皿状作用は均一な画像印象を妨害する。皿状作用は、投影データが想定された単一エネルギーのX線に換算されるならば回避される。この換算は、軟部組織については前処理再構成ステップにおいて、そして例えば骨および金属のような高密度の対象については後処理再構成ステップにおいて行なわれ、それぞれのステップは後続の第2の画像再構成をともなう。
【0053】
患者動きの動き補正プロセッサ
この解決策は、存在する2D撮影からの動きの算出に基づいてもよいし、あるいは患者に取付けられた動き検出器を介して動きが検出されて画像補正に利用されてもよい。米国特許第6233476号明細書および米国特許出願公開第2001/0031919号明細書から、医療機器の電磁式位置測定に関連した患者動き補償用の動きセンサが知られている。患者に取付けられた動きセンサ24は、好ましくはケーブルなしで、例えばブルートゥースで実現される。
【0054】
拍動する心臓による器官運動の補正(ECGゲーティング)
このために患者のECG(心電図)が記録され、画像システムの補正ユニットに導かれる。相応の補正アルゴリズムによってモーションアーチファクトを画像再構成から取除く計算が行なわれる。
【0055】
呼吸によって引き起こされたモーションアーチファクトの除去プロセッサ
呼吸アーチファクトの除去のためには、相応のセンサによって呼吸振幅および周波数を求めて画像処理ユニットにおいて補正計算部に導く胸帯を使用するとよい。補正計算部はモーションアーチファクトを画像情報から取除く計算をする。代替として、振幅および周波数がECG信号の包絡線から算出され、画像処理ユニットの補正ユニット19に導かれてもよい。相応の計算によってモーションアーチファクトを画像再構成から取除く計算が行なわれる。
【0056】
本発明による血管撮影X線診断装置による検査経過は、次の図2に示されたステップからなる。
a)入力:
手動またはデータインターフェース、例えばDICOMを介して、患者の予約、確認および登録。
b)位置決め:
検査テーブル上での患者の横臥および位置決め。
c)撮影:
少なくとも2つの投影撮影による少なくとも180°の回転血管撮影法による撮影(投影個数および角度範囲の増大は画質を改善する)。
d)補正:
本発明による補正プロセッサによるアーチファクト補正。
e)3D再構成:
3Dボリューム画像の再構成。
f)3D表示:
表示装置または投影装置への3Dボリューム画像の表示。
g)治療:
とりわけ最小侵襲の治療処置の実行。
h)治療は成功か?:
ステップc)〜f)の繰り返しによる治療処置のチェック。
i)書類作成:
組み込まれた計算ユニット上での診断および治療の書類作成。
j)出力:
患者の退去、とりわけ医療データネットワーク(例えばDICOM−MPPS)を介する書類作成された診断および治療データの発送および保管。
【0057】
分解能の要求が低い用途への代替的な構成として、X線画像を個別の断層撮影方法で僅かな投影から作成することが提案される。特に、最初の3D画像データセットは高分解能にて発生させられたからである。個別の断層撮影方法は独国特許第10224011号明細書に記載されている。これは、患者および医師が僅かなX線被曝にさらされるだけであるという利点を有する。
【0058】
これらの撮影は付加的に造影剤の投与によって支援されるとよい。選択的に撮影はDSA(減算処理型血管造影)方式でまたはDSAなしで実施することができる。
【0059】
画像システムは、3D撮影画像の表示のために、3Dディスプレイ、とりわけ平面型画面を含む。この解決策は、例えば3D眼鏡のような補助手段なしに3次元観察を可能にする。
● 付加的に観察者は位置センサを備えたヘッドバンドまたは普通の眼鏡をつけることができるので、相応のプロセッサを介して観察者の注視方向が3D対象の観察方向と同期化される。観察者の注視方向および画像対象の追跡の決定の例が米国特許第5646525号明細書に記載されている。
● 代替または追加として、独国特許第10036143号明細書に記載されているように、2Dもしくは3D撮影が投影装置(Beamer)によって2Dまたは3D表示にて投影面、例えば検査室の壁に投影されるとよい。
【0060】
検査装置は、MPPS(=Modality performed Procedure Step)を含めたDICOMインターフェース26を有し、これは全ての画像情報および患者データを処理することができる。
【0061】
この装置により通常の2DX線検査のほかに3D再構成を行なうことができる。
【0062】
患者用寝台テーブル9がX線を透過させるテーブル板と次の特性の少なくとも1つとを備えると有意義である。
● 縦方向傾斜
● 全ての移動の電動支援
● 90°までの傾斜能力
● 横方向傾斜
● 付属部品の固定レール(付属部分は上記システムの少なくとも1つであり得る)
【0063】
例えばメドラード(Medrad)社およびタイコ・ヘルスケア(Tyco Healthcare)社の造影剤注入器を組み込むと望ましい。
【0064】
更に、患者の生体機能の監視のための患者モニタリングシステムを組み込むとよい。それにより、患者生体パラメータの定められた限界を下回る/上回るときアラームが発生される。例えば麻酔通風機のような麻酔適用のためのサブシステムを組み込むのもよい。
【0065】
提案された解決策は、今日では多数の医療装置で実施される診断および治療が唯一のシステムでより確実かつ迅速に実施されるという利点を有する。この解決策により装置による治療の計画、案内および監視が可能である。
【0066】
X線画像検出器4としての平面型検出器の代わりに、例えばCCDカメラを連結されたX線イメージインテンシファイアも使用することができる。それにより本発明による回転血管撮影法は確かに実施するのがむずかしくなる。なぜならば、X線イメージインテンシファイアの場合、付加的になおもX線イメージインテンシファイアの幾何学的な歪みに基づく円形の画像縁に歪みを有する円形画像が形成されるからである。これは、画像再構成アルゴリズムの適合化を必要とし、付加的な歪み補正を必要とする。
【0067】
本発明による装置は血管撮影X線診断装置による血管撮影コンピュータ断層撮影(ACT)を適用することによって血管撮影検査の診断上の可能性を改善する。それにより、血管撮影進行中にCTに類似の画像を作成することができる。
【0068】
神経血管の治療は常に合併症による悪化の危険を負っている。動脈瘤の破損による局部出血は、本発明による装置によって血管撮影時に可視化することができる。更に、脳室系が生理学的なプロセスの診断支援のために表示される。ドレナージ処置中の配置の案内並びに観察も可能にされる。
【0069】
本発明による装置は、腹部の処置において、穿刺およびドレナージの際にも優れた診断学およびインターベンション検査を可能にする。
【0070】
腫瘍学上の適用のために本発明による装置はあらゆる体内部分における腫瘍の可視化を可能にするので、例えば塞栓症または剥離のような腫瘍の生検または治療の実施のための全く新しい方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明によるX線診断装置の実施例を示すブロック図
【図2】図1によるX線診断装置による検査経過を示す流れ図
【符号の説明】
【0072】
1 固定子
2 Cアーム
3 X線放射器
4 X線画像検出器
5 高電圧発生装置
6 システム制御装置
7 前処理ユニット
8 システムデータバス
9 患者用寝台テーブル
10 患者
11 ECG電極
12 信号処理部
13 電圧供給ユニット
14 画像処理ユニット
15 2D処理部
16 2D−3D表示ユニット
17 入力ユニット
18 3D表示制御部
19 補正ユニット
20 3D画像再構成部
21 較正ユニット
22 位置センサインターフェース
23 受信器
24 センサ
25 受信器
26 DICOMインターフェース
27 HIS
28 データ線
29 画像データメモリ
【出願人】 【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【出願日】 平成17年11月24日(2005.11.24)
【代理人】 【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖

【公開番号】 特開2006−150080(P2006−150080A)
【公開日】 平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願番号】 特願2005−338152(P2005−338152)