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【発明の名称】 MRI装置
【発明者】 【氏名】神田 健一
【住所又は居所】東京都日野市旭が丘四丁目7番地の127 ジーイー横河メディカルシステム株式会社内

【要約】 【課題】スキャンタイムの延長が抑制されたMRI装置を実現する。

【解決手段】中央部から周辺部にかけて複数領域に区分されたkスペースの各領域(A,B,C,D)についてそれぞれ磁気共鳴信号を収集する信号収集手段と、それら磁気共鳴信号を用いた補間演算によって生成された信号に基づいて信号収集期間中における複数の時相の画像をそれぞれ再構成する画像再構成手段とを有するMRI装置であって、信号収集手段は、中央領域(A)についての信号収集を複数の周囲領域(B,C,D)についての信号収集を間に挟みながら複数回繰り返し、最終回の信号収集の後は中央領域に近い周囲領域(B)までについて信号を収集する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場、勾配磁場およびRF磁場を対象に印加し、中央部から周辺部にかけて複数領域に区分されたkスペースの各領域についてそれぞれ磁気共鳴信号を収集する信号収集手段と、それら磁気共鳴信号を用いた補間演算によって生成された信号に基づいて信号収集期間中における複数の時相の画像をそれぞれ再構成する画像再構成手段とを有するMRI装置であって、
前記信号収集手段は、中央領域についての信号収集を複数の周囲領域についての信号収集を間に挟みながら複数回繰り返し、最終回の信号収集の後は中央領域に近い周囲領域までについて信号を収集する、
ことを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
前記複数の時相は、前記周囲領域の信号収集を間に挟みながらの中央領域の信号収集の繰り返しにおける個々の領域の信号収集時相である、
ことを特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
【請求項3】
前記複数の時相は、前記周囲領域の信号収集を間に挟みながらの中央領域の信号収集の繰り返しにおける個々の領域の信号収集時相に必ずしも一致しない時相である、
ことを特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
【請求項4】
前記信号収集手段は、前記周囲領域の信号収集を間に挟みながらの中央領域の信号収集の繰り返しを、中央領域の信号収集が最終回となるように行う、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載のMRI装置。
【請求項5】
前記kスペースは3次元のkスペースである、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載のMRI装置。
【請求項6】
前記kスペースは2次元のkスペースである、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載のMRI装置。
【請求項7】
前記信号収集手段は、造影剤が注入された対象の磁気共鳴信号を収集する、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のMRI装置。
【請求項8】
前記複数の時相の画像について造影剤が注入される前の画像との差分画像をそれぞれ構成する差分画像構成手段、
を具備することを特徴とする請求項7に記載のMRI装置。
【請求項9】
前記差分画像に基づいてMIP画像を構成するMIP画像構成手段、
を具備することを特徴とする請求項8に記載のMRI装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置に関し、とくに、kスペース(space)を中央部から周辺部にかけて複数領域に区分した各領域について、中央領域の頻度を周囲領域よりも高めて繰り返し磁気共鳴信号を収集し、それら磁気共鳴信号を用いた補間演算によって生成された信号に基づいて、信号収集期間中の複数の時相の画像をそれぞれ再構成するMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIの一方式としてTRICKS(Time Resolved Imaging for Contrast Kinetics)がある。TRICKSでは、撮影の対象に関し、kスペースを中央部から周辺部にかけて複数領域に区分した各領域について、中央領域の頻度を周囲領域よりも高めて繰り返し磁気共鳴信号を収集し、それら磁気共鳴信号を用いた補間演算によって生成された信号に基づいて、信号収集期間中の複数の時相の画像をそれぞれ再構成するようにしている。この技法によれば時間分解能の高い画像が得られるので、体内に注入された造影剤の動態を撮影する場合等に利用される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第5,713,358号明細書(第7−10欄、図4−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
TRICKSでは、最後の時相用の信号収集が終わった後も補間演算用に最終の時相用に取得された領域以外の全ての領域の信号収集を行わなければならない。このため、信号収集に要する時間すなわちスキャンタイム(scan time)が延長されスキャン能率が低下する。
【0004】
そこで、本発明の課題は、スキャンタイムの延長が抑制されたMRI装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための本発明は、静磁場、勾配磁場およびRF磁場を対象に印加し、中央部から周辺部にかけて複数領域に区分されたkスペースの各領域についてそれぞれ磁気共鳴信号を収集する信号収集手段と、それら磁気共鳴信号を用いた補間演算によって生成された信号に基づいて信号収集期間中における複数の時相の画像をそれぞれ再構成する画像再構成手段とを有するMRI装置であって、前記信号収集手段は、中央領域についての信号収集を複数の周囲領域についての信号収集を間に挟みながら複数回繰り返し、最終回の信号収集の後は中央領域に近い周囲領域までについて信号を収集する、ことを特徴とするMRI装置である。
【0006】
前記複数の時相は、前記周囲領域の信号収集を間に挟みながらの中央領域の信号収集の繰り返しにおける個々の領域の信号収集時相であることが、個々の領域の信号収集時相の画像を得る点で好ましい。
【0007】
前記複数の時相は、前記周囲領域の信号収集を間に挟みながらの中央領域の信号収集の繰り返しにおける個々の領域の信号収集時相に必ずしも一致しない時相であることが、任意の時相の画像を得る点で好ましい。
【0008】
前記信号収集手段は、前記周囲領域の信号収集を間に挟みながらの中央領域の信号収集の繰り返しを、中央領域の信号収集が最終回となるように行うことが、スキャンタイムの延長を効果的に抑制する点で好ましい。
【0009】
前記kスペースは3次元のkスペースであることが、3D画像を撮影する点で好ましい。
前記kスペースは2次元のkスペースであることが、2D画像を撮影する点で好ましい。
【0010】
前記信号収集手段は、造影剤が注入された対象の磁気共鳴信号を収集することが、造影画像を撮影する点で好ましい。
前記複数の時相の画像について造影剤が注入される前の画像との差分画像をそれぞれ構成する差分画像構成手段を具備することが、非造影部分を除去する点で好ましい。
【0011】
前記差分画像に基づいてMIP画像を構成するMIP画像構成手段を具備することが、造影部位のみの透視像を得る点で好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、MRI装置が、静磁場、勾配磁場およびRF磁場を対象に印加し、中央部から周辺部にかけて複数領域に区分されたkスペースの各領域についてそれぞれ磁気共鳴信号を収集する信号収集手段と、それら磁気共鳴信号を用いた補間演算によって生成された信号に基づいて信号収集期間中における複数の時相の画像をそれぞれ再構成する画像再構成手段とを有するMRI装置であって、前記信号収集手段は、中央領域についての信号収集を複数の周囲領域についての信号収集を間に挟みながら複数回繰り返し、最終回の信号収集の後は中央領域に近い周囲領域までについて信号を収集するので、スキャンタイムの延長を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、本発明は発明を実施するための最良の形態に限定されるものではない。図1にMRI装置のブロック(block)図を示す。本装置は発明を実施するための最良の形態の一例である。本装置の構成によって、MRI装置に関する本発明を実施するための最良の形態の一例が示される。
【0014】
同図に示すように、本装置はマグネットシステム100を有する。マグネットシステム100は主磁場コイル(coil)部102、勾配コイル部106およびRFコイル部108を有する。これら各コイル部は概ね円筒状の形状を有し、互いに同軸的に配置されている。
【0015】
マグネットシステム100の概ね円柱状の内部空間(ボア:bore)に、撮像の対象1がクレードル(cradle)500に搭載されて図示しない搬送手段により搬入および搬出される。
【0016】
主磁場コイル部102はマグネットシステム100の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は概ね対象1の体軸の方向に平行である。すなわちいわゆる水平磁場を形成する。主磁場コイル部102は例えば超伝導コイルを用いて構成される。なお、超伝導コイルに限らず常伝導コイル等を用いて構成してもよい。また、マグネットシステムは、水平磁場方式のものに変えて、静磁場の方向が対象1の体軸に垂直は垂直磁場方式のものを用いるようにしてもよい。
【0017】
勾配コイル部106は、互いに垂直な3軸すなわちスライス(slice)軸、位相軸および周波数軸の方向において、それぞれ静磁場強度に勾配を持たせるための3つの勾配磁場を生じる。
【0018】
静磁場空間における互いに垂直な座標軸をx,y,zとしたとき、いずれの軸もスライス軸とすることができる。その場合、残り2軸のうちの一方を位相軸とし、他方を周波数軸とする。また、スライス軸、位相軸および周波数軸は、相互間の垂直性を保ったままx,y,z軸に関して任意の傾きを持たせることも可能である。本装置では対象1の体幅の方向をx方向とし、体厚の方向をy方向とし、体軸の方向をz方向とする。
【0019】
スライス軸方向の勾配磁場をスライス勾配磁場ともいう。位相軸方向の勾配磁場を位相エンコード(encode)勾配磁場ともいう。周波数軸方向の勾配磁場をリードアウト(read out)勾配磁場ともいう。リードアウト勾配磁場は周波数エンコード勾配磁場と同義である。このような勾配磁場の発生を可能にするために、勾配コイル部106は図示しない3系統の勾配コイルを有する。以下、勾配磁場を単に勾配ともいう。
【0020】
RFコイル部108は静磁場空間に対象1の体内のスピン(spin)を励起するための高周波磁場を形成する。以下、高周波磁場を形成することをRF励起信号の送信ともいう。また、RF励起信号をRFパルス(pulse)ともいう。
【0021】
励起されたスピンが生じる電磁波すなわち磁気共鳴信号は、RFコイル部108によって受信される。磁気共鳴信号は、周波数ドメイン(domain)すなわちフーリエ(Fourier)空間についてのサンプリング(sampling)信号となる。
【0022】
位相軸方向および周波数軸方向の勾配により、磁気共鳴信号のエンコードを2軸で行えば、磁気共鳴信号は2次元フーリエ空間についてのサンプリング信号として得られ、スライス勾配をも利用してエンコードを3軸で行えば3次元フーリエ空間についての信号として得られる。各勾配は、2次元あるいは3次元フーリエ空間における信号のサンプリング位置を決定する。以下、フーリエ空間をkスペース(k−space)ともいう。
【0023】
勾配コイル部106には勾配駆動部130が接続されている。勾配駆動部130は勾配コイル部106に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配駆動部130は、勾配コイル部106における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0024】
RFコイル部108にはRF駆動部140が接続されている。RF駆動部140はRFコイル部108に駆動信号を与えてRFパルスを送信させ、対象1の体内のスピンを励起する。
【0025】
RFコイル部108には、また、データ(data)収集部150が接続されている。データ収集部150は、RFコイル部108が受信した受信信号をディジタルデータ(digital data)として収集する。
【0026】
勾配駆動部130、RF駆動部140およびデータ収集部150にはシーケンス(sequence)制御部160が接続されている。シーケンス制御部160は、勾配駆動部130ないしデータ収集部150をそれぞれ制御して磁気共鳴信号の収集を遂行する。以下、磁気共鳴信号の収集をスキャンともいう。
【0027】
シーケンス制御部160は、例えばコンピュータ(computer)等を用いて構成される。シーケンス制御部160は図示しないメモリ(memory)を有する。メモリはシーケンス制御部160用のプログラム(program)および各種のデータを記憶している。シーケンス制御部160の機能は、コンピュータがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。マグネットシステム100ないしシーケンス制御部160からなる部分は、本発明における信号収集手段の一例である。
【0028】
データ収集部150の出力側はデータ処理部170に接続されている。データ収集部150が収集したデータがデータ処理部170に入力される。データ処理部170は、例えばコンピュータ等を用いて構成される。データ処理部170は図示しないメモリを有する。メモリはデータ処理部170用のプログラムおよび各種のデータを記憶している。
【0029】
データ処理部170はシーケンス制御部160に接続されている。データ処理部170はシーケンス制御部160の上位にあってそれを統括する。本装置の機能は、データ処理部170がメモリに記憶されたプログラムを実行することによりを実現される。
【0030】
データ処理部170は、データ収集部150が収集したデータをメモリに記憶する。メモリ内にはデータ空間が形成される。このデータ空間はkスペースに対応する。データ処理部170は、kスペースのデータを逆フ−リエ変換することにより画像を再構成する。データ処理部170は、本発明における画像再構成手段の一例である。
【0031】
データ処理部170には表示部180および操作部190が接続されている。表示部180は、グラフィックディスプレー(graphic display)等で構成される。操作部190はポインティングデバイス(pointing device)を備えたキーボード(keyboard)等で構成される。
【0032】
表示部180は、データ処理部170から出力される再構成画像および各種の情報を表示する。操作部190は、使用者によって操作され、各種の指令や情報等をデータ処理部170に入力する。使用者は表示部180および操作部190を通じてインタラクティブ(interactive)に本装置を操作することが可能である。
【0033】
図2に、スキャン用のパルスシーケンス(pulse sequence)の一例を示す。このパルスシーケンスは3Dグラディエントエコー(3 Dimensional Gradient Echo)法によるパルスシーケンスである。
【0034】
同図において、(1)はRF信号のシーケンスを示す。(2)−(4)はいずれも勾配磁場のシーケンスを示す。(2)はスライス勾配およびスライス方向の位相エンコード勾配、(3)は周波数エンコード勾配、(4)は位相エンコード勾配勾配である。なお、静磁場は一定の磁場強度で常時印加されている。
【0035】
先ず、α°パルスによるスピン励起が行われる。α°励起はスライス勾配Gsliceの下での選択励起である。α°励起後に、スライス方向の位相エンコード勾配Gslice、周波数エンコード勾配Gfreqおよび位相エンコード勾配Gphaseが所定のシーケンスで印加され、エコーが読み出される。なお、エコー信号は中心エコーで代表する。
【0036】
このようなパルスシーケンスが、繰り返し時間TRで所定回数繰り返され、そのつど、エコーが読み出される。繰り返しのたびにエコーの位相エンコードが変更され、所定回数の繰り返しによって、3次元kスペース全体についてのエコー信号収集が行われる。このようなエコーデータを3次元逆フーリエ変換することにより3D画像が再構成される。
【0037】
なお、スライス方向の位相エンコードを行わないときは、2次元kスペースについてのエコー信号収集が行われる。このようなエコーデータを2次元逆フーリエ変換することにより2D画像が再構成される。
【0038】
本装置では、kスペースの信号収集は、kスペースを中心部から周辺部にかけて複数の領域に区分してできる各領域ごとに行う。領域区分の一例を図3に示す。同図に示すように、互いに垂直な3軸kx,ky,kzを持つ3次元kスペースは、例えば、中央領域A、その周囲の領域B、さらにその周囲の領域C、さらにまたその周囲の領域Dの4つに区分される。中心領域Aの中心軸はkxである。中心軸kxは周波数エンコード軸である。他の2軸ky,kzはいずれも位相エンコード軸である。なお、kスペースの区分数は4に限らず適宜でよい。
【0039】
kスペースが2次元のkスペースであるときの区分の一例を図4に示す。同図に示すように、互いに垂直な2軸kx,kyを持つ2次元のkスペースは、例えば、中央領域A、その周囲の領域B、さらにその周囲の領域C、さらにまたその周囲の領域Dの4つに区分される。中心領域Aの中心軸はkxである。中心軸kxは周波数エンコード軸である。他の1軸kyは位相エンコード軸である。なお、kスペースの区分数は4に限らず適宜でよい。
【0040】
このように区分されたkスペースについての信号収集および画像再構成の動作の一例を図5に模式的に示す。動作は時間軸に沿って左からに右へ進行する。以下同様である。同図に示すように、最初のスキャンで全領域A,B,C,Dについての信号収集が行われる。その後に造影剤注入準備等のためのポーズ(pause)期間があり、ポーズ期間終了後にスキャンが再開される。
【0041】
なお、最初に全領域A,B,C,Dについて信号収集を行うためのスキャンは省略可能である。ただし、造影剤注入前の画像を必要とするときは、このスキャンを行うことが好ましい。また、これら領域の信号を後述の補間演算に利用できる点でも好ましい。
【0042】
スキャン再開は、例えば、造影剤注入に同期して行われる。再開後のスキャンは、同図に示すように、例えば、各領域についてA−B−A−C−A−D−A−B−・・・の順序で信号収集を行うスキャンとなっている。各領域から収集された信号は、この順序で時相が異なる。以下、各領域の時相を領域時相ともいう。また、領域ごとの信号収集時間を領域時間ともいう。
【0043】
このスキャンは、中央領域Aについての信号収集を、複数の周囲領域B,C,Dについての信号収集を間に挟みながら複数回行うスキャンとなる。このようなスキャンにより、中央領域Aについて最も短い時間間隔で信号収集が行われる。したがって、中央領域について時間分解能が最も高い信号を得ることができる。なお、信号収集の順序は図示の順序に限らず、中央領域Aについて最も短い時間間隔で信号収集可能な適宜の順序であってよい。
【0044】
画像再構成は、例えば領域時相ごとの画像を得るように行われる。なお、画像の時相は領域時相ごとに限らず任意の時相としてよい。画像再構成には全領域の信号が用いられる。ただし、各領域時相では1つの領域の信号しか収集されていないので、それ以外の領域については、前後の時相で収集された同じ領域の信号から補間された信号が用いられる。補間には例えばリニア(linear)補間演算が用いられる。以下同様である。画像再構成のための信号の利用関係を矢印線で示す。以下同様である。
【0045】
同図に示すように、領域時相Aの画像すなわちイメージナンバー(image number)1の画像は、この時相で収集した中央領域Aの信号と、前後の時相でそれぞれ収集した周囲領域B,C,Dの信号からの補間信号を用いて再構成される。
【0046】
次の領域時相Bの画像すなわちイメージナンバー2の画像は、図6に示すように、この時相で収集した周囲領域Bの信号と、前後の時相でそれぞれ収集した中央領域A、周囲領域C,Dの信号からの補間信号を用いて再構成される。以下、これに準じて、イメージナンバー3以降の画像が再構成される。
【0047】
再構成画像は、信号収集が3次元のkスペースについて行われたときは3D画像となり、2次元のkスペースについて行われたときは2D画像となる。再構成された各時相の画像について、造影剤注入前の画像との差分が求められる。差分画像は、造影部分のみについての画像となる。差分画像が3D画像のときはMIP(Maximum Intensity Profection)処理によってMIP画像が求められる。これによって、造影部位のみの透視像を得ることができる。
【0048】
差分画像はデータ処理部170によって構成される。データ処理部170は、本発明における差分画像構成手段の一例である。MIP画像はデータ処理部170によって構成される。データ処理部170は、本発明におけるMIP画像構成手段の一例である。
【0049】
最後の時相の画像として、例えば図7に示すように、最後の領域時相Aの画像すなわちイメージナンバー9の画像を再構成するときは、この時相で収集した中央領域Aの信号と、前後の時相でそれぞれ収集した周囲領域Bの信号、および、前の時相で収集した周囲領域C,Dの信号を用いて再構成される。すなわち、補間は周囲領域Bについてのみ行い、周囲領域C,Dについては行わない。このため、周囲領域C,Dについては最終回の信号収集後に信号収集を行う必要がない。
【0050】
以上の、イメージナンバー1から9までの画像を得るまでの動作をまとめて示せば、図8のようになる。ただし、途中は省略してある。同図に示すように、イメージナンバー1から9までの画像は、9つの領域時間の和に相当する期間についての画像となる。この期間をイメージタイム(image time)という。
【0051】
これらの画像の再構成に用いる信号を収集するために、10の領域時間の和に相当する期間にわたってスキャンが行われる。この期間をスキャンタイムという。スキャンタイムはイメージタイムより1領域時間だけ長いものとなる。すなわち、イメージタイムから見たスキャンタイムの延長は1領域時間となる。
【0052】
kスペースの区分が偶数(ここでは4)で画像の最後の画像のイメージナンバーが奇数のときは、最後の画像の時相に相当する領域時相は、常に中央領域Aの時相となる。したがって、スキャンタイムの延長は常に1領域時間となる。これに対して、イメージナンバーが偶数のときは必ずしもこうはならないので工夫が必要である。
【0053】
例えば、最後の画像として、図9に示すように、領域時相Bの画像すなわちイメージナンバー8の画像を再構成するときは、この時相で収集した周囲領域Bの信号と、前後の時相でそれぞれ収集した中央領域Aの信号からの補間信号を用いて再構成される。すなわち、補間は中央領域Aについてのみ行い、周囲領域C,Dについては行わない。このため、周囲領域C,Dについて最終回の信号収集後に信号収集を行う必要がない。この場合は、たまたま、イメージタイムから見たスキャンタイムの延長は1領域時間となる。
【0054】
しかし、最後の画像として、図10に示すように、領域時相Cの画像すなわちイメージナンバー10の画像を再構成するときは、中央領域Aの信号および周囲領域Bについての補間を行うために、それら2つの領域について信号収集を行わなければならない。このため、イメージタイムから見たスキャンタイムの延長は2領域時間となる。イメージナンバーが12でその時相が領域時相Dとなる場合(図11)も同様である。
【0055】
このような事態を回避するために、例えば図12に示すように、ポーズ後のスキャン再開は例えば周囲領域Bから始める。このようにすれば、偶数のイメージナンバーに相当する領域時相は常に中央領域Aの時相となる。したがって、補間用には周囲領域Bの信号だけを収集すればよく、イメージタイムから見たスキャンタイムの延長は1領域時間となる。スキャン開始を周囲領域CまたはDから行う場合も同様である。
【0056】
以上のように、最後の時相の画像の再構成に際しては、kスペースの中央領域Aとそれに近い周囲領域Bだけについて補間を行うので、イメージタイムから見たスキャンタイムの延長は1領域時間となり最小化される。
【0057】
一般に、再構成画像のコントラスト(contrast)は主として中央領域の信号によって定まり、周囲領域の信号は中央からの隔たりに応じて寄与度が減少するので、上記のように、補間領域を中央領域Aとそれに近い周囲領域Bについて限定しても、全領域について補間したときと遜色のない画像を得ることができる。
【0058】
このことを図13によって示す。同図は、造影剤濃度の時間変化(破線)に対応する再構成画像のコントラストの時間変化(実線)を示す。同図の(a)は全ての時相の画像を全領域補間によって画像再構成した場合であり、(b)は中央領域のみの補間によって画像再構成した場合であり、(c)は中央領域およびそれに近い周囲領域の補間によって画像再構成した場合である。
【0059】
同図から明らかなように、全領域補間(a)に比べて、中央領域のみの補間(b)は造影剤濃度の変化に対するコントラストの追従性が劣るが、中央領域およびそれに近い周囲領域の補間(c)は全領域補間とほとんど差異がない。なお、中央領域に近い周囲領域とは、kスペースの区分数をNとしたとき、概ね中央領域からN/2番目までの領域をいう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を実施するための最良の形態の一例のMRI装置のブロック図である。
【図2】パルスシーケンスの一例を示す図である。
【図3】3次元のkスペースの区分の一例を示す図である。
【図4】2次元のkスペースの区分の一例を示す図である。
【図5】信号収集および画像再構成の動作の一例を示す図である。
【図6】信号収集および画像再構成の動作の一例を示す図である。
【図7】信号収集および画像再構成の動作の一例を示す図である。
【図8】信号収集および画像再構成の動作の一例を示す図である。
【図9】信号収集および画像再構成の動作の一例を示す図である。
【図10】信号収集および画像再構成の動作の一例を示す図である。
【図11】信号収集および画像再構成の動作の一例を示す図である。
【図12】信号収集および画像再構成の動作の一例を示す図である。
【図13】造影剤濃度変化に対する画像コントラストの変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0061】
1 対象
100 マグネットシステム
102 主磁場コイル部
106 勾配コイル部
108 RFコイル部
110 受信コイル部
130 勾配駆動部
140 RF駆動部
150 データ収集部
160 シーケンス制御部
170 データ処理部
180 表示部
190 操作部
500 クレードル
【出願人】 【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国・ウィスコンシン州・53188・ワウケシャ・ノース・グランドヴュー・ブールバード・ダブリュー・710・3000
【出願日】 平成16年10月28日(2004.10.28)
【代理人】 【識別番号】100085187
【弁理士】
【氏名又は名称】井島 藤治

【識別番号】100090424
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 信重

【公開番号】 特開2006−122301(P2006−122301A)
【公開日】 平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願番号】 特願2004−313652(P2004−313652)