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【発明の名称】 創外固定器
【発明者】 【氏名】植竹 強
【住所又は居所】東京都文京区本郷3丁目19番6号 ケイセイ医科工業株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、従来にない作用効果を発揮する画期的な創外固定器を提供することを目的とする。

【解決手段】骨1に刺入されるピン3と、該ピン3を支持するピン支持部4,5を有し骨1に添設される基体2とから成る創外固定器であって、前記基体2をマグネシウム合金で形成したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨に刺入されるピンと、該ピンを支持するピン支持部を有し骨に添設される基体とから成る創外固定器であって、前記基体をマグネシウム合金で形成したことを特徴とする創外固定器。
【請求項2】
骨に刺入されるピンと、該ピンを支持するピン支持部を有し骨に添設される基体とから成る創外固定器であって、前記基体はマグネシウム合金で形成されエックス線透過性を発揮するように構成されていることを特徴とする創外固定器。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の創外固定器において、前記マグネシウム合金としてAZ31が採用されていることを特徴とする創外固定器。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の創外固定器において、前記ピンはマグネシウム合金と異なるエックス線透過性が低い他の金属で形成されていることを特徴とする創外固定器。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の創外固定器において、前記ピンは前記基体のエックス線透過性よりも低いエックス線透過性を発揮するように構成されていることを特徴とする創外固定器。
【請求項6】
骨に刺入されるピンと、該ピンを支持するピン支持部を有し骨に添設される基体とから成る創外固定器であって、前記基体はエックス線透過性を発揮するように構成され、前記ピンは前記基体のエックス線透過性よりも低いエックス線透過性を発揮するように構成されていることを特徴とする創外固定器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、骨折治療などに使用される創外固定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば骨折等により切離した骨を接合する治療に際しては、創外固定器が使用される。
【0003】
この創外固定器は、骨に添設される基体の両端部に、該骨に刺入されるピンを支持するピン支持部を設けた構成で、骨折により切離した骨の脇に基体を配置し、切離部を境界として、境界の右側の骨に刺入したピンを一方のピン支持部で支持するとともに、境界の左側の骨に刺入したピンを他方のピン支持部で支持するものであり、その後の骨の成長によって前記切離部が消失した後(骨折が治癒した後)、骨からピンを除去する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この創外固定器の装着時における骨に対するピンの刺入状況の確認や、治療の途中段階における切離部の治癒状況の確認などは、エックス線を照射するレントゲンにより確認することになるが、このレントゲンによる確認作業を行なった際、この創外固定器が邪魔となり確認したい箇所が良好に見えないなどの問題点があった。
【0005】
そこで、従来においても、基体をレントゲンの際に照射されるエックス線を透過する部材で構成された創外固定器が提案されている。
【0006】
しかしながら、このエックス線透過性の部材として種々の素材(樹脂や金属)が試されているが、従来から採用されている部材、例えば樹脂(ポリカーボネートなど)の場合、金属に比して軽量であるが強度が不十分であり、一方、金属(アルミ合金など)の場合、樹脂に比して強度はあるが透過性が不十分で、且つ、重量があって装着性が悪いなどの問題点が指摘されている。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決する、従来にない作用効果を発揮する画期的な創外固定器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
骨1に刺入されるピン3と、該ピン3を支持するピン支持部4,5を有し骨1に添設される基体2とから成る創外固定器であって、前記基体2をマグネシウム合金で形成したことを特徴とする創外固定器に係るものである。
【0010】
また、骨1に刺入されるピン3と、該ピン3を支持するピン支持部4,5を有し骨1に添設される基体2とから成る創外固定器であって、前記基体2はマグネシウム合金で形成されエックス線透過性を発揮するように構成されていることを特徴とする創外固定器に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の創外固定器において、前記マグネシウム合金としてAZ31が採用されていることを特徴とする創外固定器に係るものである。
【0012】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の創外固定器において、前記ピン3はマグネシウム合金と異なるエックス線透過性が低い他の金属で形成されていることを特徴とする創外固定器に係るものである。
【0013】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の創外固定器において、前記ピン3は前記基体2のエックス線透過性よりも低いエックス線透過性を発揮するように構成されていることを特徴とする創外固定器に係るものである。
【0014】
また、骨1に刺入されるピン3と、該ピン3を支持するピン支持部4,5を有し骨1に添設される基体2とから成る創外固定器であって、前記基体2はエックス線透過性を発揮するように構成され、前記ピン3は前記基体2のエックス線透過性よりも低いエックス線透過性を発揮するように構成されていることを特徴とする創外固定器に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
マグネシウム合金は他の金属に比してエックス線を良好に透過するから、例えばピンの刺入状況の確認や骨の切離部の治癒状況の確認などが良好に行なえることになり、しかも、樹脂に比して強度性に秀れ、そして、他の金属に比しても強度性に秀れ且つ軽量で良好な装着状態が得られるなど極めて商品価値の高い画期的な創外固定器となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明は、例えば基体2の両端部にピン支持部4,5が設けられる創外固定器とした場合、例えば骨折等により切離した骨1を接合する治療に際しては、常法に従い、基体2を骨折により切離した骨1の脇に添設状態に配置し、切離部1cを境界として、境界の右側の骨1aに刺入したピン3を一方のピン支持部4で支持するとともに、境界の左側の骨1bに刺入したピン3を他方のピン支持部5で支持するものであり、その後の骨1の成長によって前記切離部1cが消失した後(骨折が治癒した後)、骨1からピン3を除去する。尚、ピン支持部4,5で支持した状態のピン3を骨1に刺入するようにしても良い。
【0018】
ところで、本発明に係る基体2はマグネシウム合金で形成されている。
【0019】
即ち、本願出願人は、種々の実験・研究を繰り返し行なった結果、マグネシウム合金は、その他の金属(例えばアルミ合金)に比し、エックス線透過性に秀れ、しかも、強度がありながら軽量であり、例えば骨折等により切離した骨1を接合する治療などの人体に装着して使用される創外固定器として最適な素材であることを確認し、よって、基体2をマグネシウム合金で形成している。
【0020】
従って、本発明によれば、装着時における骨1に対するピン3の刺入状況の確認や、治療の途中段階における骨1の切離部1cの治癒状況の確認など、レントゲンのエックス線を照射した際、良好な透過性を有する故に前述した種々の確認が良好に行なえることになり、しかも、強度性に秀れ且つ軽量故に装着性にも秀れることになる。
【実施例】
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、骨1に刺入されるピン3と、該ピン3を支持するピン支持部4,5を有し骨1に添設される基体2とから成る創外固定器であって、前記基体2をマグネシウム合金で形成したものである。
【0023】
具体的には、マグネシウムは、従来から創外固定器に採用されているその他の金属(例えばアルミ)に比してエックス線透過性に秀れており、図3に示すように強度(振動吸収性)があり、且つ、軽量である。
【0024】
但し、純粋なマグネシウムでは、基体2を構成したときにその強度が実施レベルに耐え得るものではない。
【0025】
そこで、本実施例では、基体2をマグネシウム合金で形成しており、このマグネシウム合金として日本金属株式会社製の図4に示す化学組成で構成されるAZ31を採用している。
【0026】
このAZ31(主にアルミニウム約3.0%,亜鉛約1.0%を含有)は、図5に示すようにアルミ合金(A5052)に比して強度があり軽い。
【0027】
本出願人は、実際にこのAZ31で基体2を形成した場合、このAZ31が基体2を形成する素材として非常に適していることを確認している。
【0028】
また、前述したようにマグネシウムは、その他の金属に比して秀れたエックス線透過性を有する金属であるが、実際に創外固定器に用いる場合には、その厚みや形状によってもエックス線の透過性の高低を調整し得るものであり、合金組成を適宜調整することでもエックス線の透過性の高低を調整し得る。
【0029】
マグネシウム合金としては、AZ31の他、AZ21(主にアルミニウム約2.0%,亜鉛約1.0%を含有),AZ61(主にアルミニウム約6.0%,亜鉛約1.0%を含有),AZ80(主にアルミニウム約8.5%,亜鉛約0.5%を含有),AZ91(主にアルミニウム約9.0%,亜鉛約1.0%を含有),HK31(主にトリウム約3.2%,ジルコニウム0.7%を含有),HM21(主にトリウム約2.0%,マンガン約0.8%を含有),M1(主にマンガン1.2%を含有),ZE10(主に亜鉛約1.2%,RareEarthMetal約10.17%を含有),ZH11(主に亜鉛約0.5%,トリウム0.75%を含有),ZK10(主に亜鉛約1.3%,ジルコニウム約0.6%を含有),ZK30(主に亜鉛約3.0%,ジルコニウム約0.6%を含有),ZK60(主に亜鉛約5.5%,ジルコニウム約0.4%を含有),ZM21(主に亜鉛約2.2%,マンガン約1.2%を含有),LA141(主にリチウム約14.0%,アルミニウム約1.0%を含有)などでも良い。
【0030】
また、本実施例では、ピン3はマグネシウム合金と異なるエックス線透過性が低い他の金属(ステンレス、チタン合金)で形成されている。
【0031】
従って、レントゲンのエックス線を照射した際、骨1に対するピン3の刺入状況の確認が良好に行なえることになる。
【0032】
また、ピン3は、前記基体2のエックス線透過性よりも低いエックス線透過性を発揮するように構成しても良い。例えば、ピン3を基体2と同じマグネシウム合金で形成しても、マグネシウム合金の合金組成の調整や、ピン3そのものの厚さや形状設定などによりエックス線透過性を基体2のエックス線透過性よりも低くすることもできる。尚、マグネシウム合金と異なる他のエックス線透過性の低い金属で形成しても同様である。
【0033】
従って、ピン3をエックス線透過性が低い構成とした場合、ピン3が邪魔(影)になって治癒状況の確認が良好に行なえない場合が生じ得るが、この点、ピン3を基体2のエックス線透過性よりも低いエックス線透過性を発揮する構成とすることで、骨1に対するピン3の刺入状況の確認が確実に行なえるとともに、このピン3が邪魔(影)にならず骨1の切離部1cの治癒状況の確認も良好に行なえることになる。
【0034】
別実施例として、骨1に刺入されるピン3と、該ピン3を支持するピン支持部4,5を有し骨1に添設される基体2とから成る創外固定器であって、前記基体2はエックス線透過性を発揮するように構成され、前記ピン3は前記基体2のエックス線透過性よりも低いエックス線透過性を発揮するように構成されるようにしても良い。
【0035】
つまり、レントゲン撮影を行なった場合、基体2は全く透けて見えない(写らない)程度から、裏側の物(骨1の切離部1cなどの治癒状況の確認を行なう部位)が透けて見える程度のエックス線透過性を有していれば良く、一方、ピン3は、骨1への刺入状況の確認が行なえる程度のエックス線透過性を有しつつ、裏側の物(骨1の切離部1cなどの治癒状況の確認を行なう部位)が透けて見える程度のエックス線透過性を有する必要がある。この場合、基体2及びピン3夫々を形成する素材はマグネシウム合金だけでなく、その他の金属であっても樹脂であっても適宜採用し得るものである(但し、前述したように創外固定器として採用する素材としてはマグネシウム合金が望ましい。)。
【0036】
従って、基体2をエックス線透過性を発揮するように構成すると共に、ピン3を前記基体2のエックス線透過性よりも低いエックス線透過性を発揮するように構成することで良好な使用状態が得られることになる。
【0037】
尚、本実施例で言うエックス線透過性とは、レントゲン撮影を行なった際に、裏側にある物が透けて見えるか否かの度合いを示し、エックス線透過性を発揮するとは裏側にある物が透けて見えるという程度の意味である(エックス線が100%透過するという意味に限定されるものではない。)。また、本実施例で言うエックス線透過性の高低とは裏側にある物が透けて見える際の見え易さの違い(度合い)を指す意味である。
【0038】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0039】
基体2は、図1に図示したように骨1に添設される添設部6と、この添設部6の両端部(若しくはその近傍でも良い。)に設けられ、該骨1に刺入されるピン3を支持するピン支持部4,5とで構成されており、一方のピン支持部4は、複数のピン3を支持し且つ切離した骨1を囲繞する構成であり、該ピン支持部4により支持されるピン3は、切離した骨1に放射状に刺入可能に構成されているものである。
【0040】
添設部6は、棒ネジ状の第一添設部材7及び第三添設部材9と、該第一添設部材7及び第三添設部材9と螺合される筒状の第二添設部材8とから構成されている。第一添設部材7及び第三添設部材9に対して第二添設部材8を回動せしめることで、該第二添設部材8の両端部から該第一添設部材7及び第三添設部材9が突没し、これにより添設部6を伸縮することができる。
【0041】
前記ピン支持部4,5は、第一添設部材7及び第三添設部材9に夫々連設されている。
【0042】
第一添設部材7に連設されているピン支持部4(以下、第一ピン支持部4という。)は、添設部6の延設方向と交叉する方向に延びる半環状ピン支持部4が採用されている。
【0043】
この半環状ピン支持部4は、骨折部位を囲繞できるよう形状、例えば、腕の橈骨遠位端(手首付近)の粉砕骨折を治療する為に添設部6を腕に添設した際、該半環状ピン支持部4が手首付近を囲繞できる形状のものが採用されている。
【0044】
尚、図面では、半環状ピン支持部4としてく字状のものを図示したが、例えば、三日月状、Cリング状等、様々なものが採用可能である。
【0045】
第一ピン支持部4として、例えば、手首付近の全周囲を囲繞できる環状ピン支持部4を採用しても良いが、この構成では、添設部6を腕に添設する際に手を環状ピン支持部4に通さねばならず、この分だけ、添設作業が厄介となる。特に、膝等の骨折の際には、足を環状ピン支持部4に通すことが大変厄介となる。
【0046】
半環状ピン支持部4は二枚の半環状支持板10a,10bから成り、この二枚の半環状支持板10a,10b間に複数のピン3を任意の間隔で挟持できるように構成されている。
【0047】
この二枚の半環状支持板10a,10bは、調整ネジ11の操作によって間隔を広狭可能に構成されている。二枚の半環状支持板10a,10bの間隔を狭めれば、ピン3の挟持が可能となり、また、該間隔を広げれば、ピン3の挟持を解除することができる。
【0048】
調整ネジ11は、半環状ピン支持部4の両端部の近傍の合計二カ所に設けられている。各調整ネジ11を夫々調整することにより、二枚の半環状支持板10a,10bの間隔を場所ごとに微調整でき、よって、全てのピン3を良好な挟持圧によって支持することができる。
【0049】
また、前記調整ネジ11が螺合するネジ孔12は、二枚の半環状支持板10a,10bの内の一方の半環状支持板10bにのみ設けられ、他方の半環状支持板10aには該調整ネジ11が貫通する貫通孔13のみが設けられている。この構成により、厄介な製造工程である前記ネジ孔12の穿設は、一方の半環状支持板10bに対してのみ行えば良いことになり、生産性が良好となる。
【0050】
また、二枚の半環状支持板10a,10bの対向内面には、摩擦部14(具体的には微細凹凸)が夫々設けられている。この摩擦部14の存在により、二枚の半環状支持板10a,10bはピン3を極めて良好に支持することができる。
【0051】
この第一ピン支持部4と前記第一添設部材7とは、該第一添設部材7に対して該第一ピン支持部4が屈曲及び旋回動できるように連設されている。
【0052】
また、第一ピン支持部4は第一添設部材7に着脱自在に連設されている。
【0053】
具体的には、第一添設部材7の端部には球部7aが設けられ、この球部7aが第一ピン支持部4の中央部に当接し、該球部7aは該第一ピン支持部4と挟持体15とによって挟持されている。挟持体15は、ナット状の部材で構成され、前記第一添設部材7が挿通されるネジ孔15aと前記球部7aに被嵌当接する当接部15bとが設けられている。第一ピン支持部4(半環状支持板10b)の中央部には挟持体15が螺着する螺子突部16が設けられ、この螺子突部16の先端面は、第一添設部材7の球部7aを受ける球受け面16aが設けられている。
【0054】
第一添設部材7を挟持体15に挿通させて第二添設部材8に螺着し、この状態で挟持体15を第一ピン支持部4の螺子突部16に螺着せしめると、球部7aを挟持体15が前記第一ピン支持部4側(球受け面16a)に押圧し、これにより挟持体15と該第一ピン支持部4とで前記第一添設部材7の球部7aを挟持する。
【0055】
挟持体15を弛めれば、該挟持体15と第一ピン支持部4との挟持作用が低下し、該第一ピン支持部4は、前記球部7aを支点に傾動したり旋回動したりすることができる。
【0056】
即ち、この第一ピン支持部4の傾動及び旋回動により、該第一ピン支持部4は第一添設部材7に対して屈曲及び旋回動できることになる。
【0057】
また、この構成により、挟持体15を除去することにより、第一ピン支持部4と第一添設部材7との連設を解除し、第一ピン支持部4を別の構成の第一ピン支持部4に取り替えることも可能となる。
【0058】
一方、第三添設部材9に連設されているピン支持部5(以下、第二ピン支持部5という。)は、添設部6の延設方向に延びる棒状ピン支持部5が採用されている。
【0059】
棒状ピン支持部5は、筒状体17と、この筒状体17に貫通されるスライド体18とから成り、この筒状体17及びスライド体18夫々に設けた孔17a,18aにピン3を貫通させて挟持できるように構成されている。
【0060】
具体的には、スライド体18の両端部には螺子突部18b,18cが形成され、スライド体18を筒状体17に配した際、筒状体17の一端部から突出状態となる一方の螺子突部18bにナット部材19を螺着することでスライド体18は筒状体17に抜け止め状態となるように構成されている(筒状体17の一端部にはスライド体18の螺子突部18bのみの貫通を許容する図示省略の径小開口部が形成されている。)。
【0061】
この状態で、ナット部材19を螺動させると、スライド体18は筒状体17内を移動することになり、筒状体17及びスライド体18夫々に設けた孔17a,18aに貫通するピン3を挟持することができ、反対方向にナット部材19を螺動させれば、ピン3の挟持を解除することができる。
【0062】
この第二ピン支持部5と前記第三添設部材9とは、前記第一ピン支持部4と前記第一添設部材7との連設と同様、該第三添設部材9に対して該第二ピン支持部8が屈曲及び旋回動できるように連設されている。
【0063】
また、第二ピン支持部5は第三添設部材9に着脱自在に連設されている。
【0064】
具体的には、第三添設部材9の端部には球部9aが設けられ、この球部9aが第二ピン支持部5の端部に当接し、該球部9aは該第二ピン支持部5と挟持体20とによって挟持されている。挟持体20は、ナット状の部材で構成され、前記第三添設部材9が挿通されるネジ孔20aと前記球部に被嵌当接する当接部(図示省略)とが設けられている。第二ピン支持部5の端部には挟持体20が螺着する前述した螺子突部18cが設けられ、この螺子突部18cの先端面は、第三添設部材の球部を受ける球受け面18c’が設けられている。
【0065】
第三添設部材9を挟持体20に挿通させて第二添設部材8に螺着し、この状態で挟持体20を第二ピン支持部5の螺子突部18cに螺着せしめると、球部9cを挟持体20が前記第二ピン支持部5側(球受け面18c’)に押圧し、これにより挟持体20と該第二ピン支持部5とで前記第三添設部材9の球部9aを挟持する。
【0066】
挟持体20を弛めれば、該挟持体20と第二ピン支持部5との挟持作用が低下し、該第二ピン支持部5は、前記球部9aを支点に傾動したり旋回動したりすることができる。
【0067】
即ち、この第二ピン支持部5の傾動及び旋回動により、該第二ピン支持部5は第三添設部材9に対して屈曲及び旋回動できることになる。
【0068】
また、この構成により、挟持体20を除去することにより、第二ピン支持部5と第三添設部材9との連設を解除し、第二ピン支持部5を別の構成の第二ピン支持部5に取り替えることも可能となる。
【0069】
本実施例の調整ネジ11は、同一の工具(例えば六角レンチ)によって螺動操作できるものが採用されている。
【0070】
本実施例は、特に手首付近、具体的には腕の橈骨遠位端の粉砕骨折を発症した際の治療に使用するもので、以下、その使用方法を説明する。
【0071】
先ず、骨折により多数の小片状に切離した骨1の全てにピン3を夫々刺入する。この際、一方向からピン3を夫々刺入するだけでは全ての切離した骨1aに刺入することができず、該ピン3を所定間隔を置いた放射状とすることで全ての切離した骨1への刺入が可能となる(図2参照)。
【0072】
また、切離した骨1を良好に固定する為、該切離した骨1aの近傍の骨1b、具体的には橈骨の骨折していない部分にもピン3を刺入する。
【0073】
続いて、添設部6を腕の近傍に位置せしめ、第一ピン支持部4で前記切離した骨1aに刺入したピン3を支持し、第二ピン支持部5で前記橈骨1bに刺入したピン3を支持する。
【0074】
この際、第一ピン支持部4は、二枚の半環状支持板10a,10bから成る構成が採用されているから、前記所定間隔を置いて放射状となっている複数のピン3の全てを良好に挟持して支持することができる。
【0075】
また、当然ながら第二ピン支持部5も、前記橈骨1aに刺入したピン3の全てを良好に挟持して支持することができる。
【0076】
また、第一ピン支持部4で支持するピン3の並設方向と第二ピン支持部5で支持するピン3の並設方向とに合わせて、添設部6に対して第一ピン支持部4や第二ピン支持部5を屈曲若しくは旋回動することにより、やはり全てのピン3を良好に挟持して支持することができる。
【0077】
また、第一添設部材7や第二添設部材9を回動させることによっても、第一ピン支持部4や第二ピン支持部5を骨1に刺入したピン3の位置に合わせることができ、よって、該ピン3を良好に挟持して支持することができる。
【0078】
また、添設部6の伸縮によっても、第一ピン支持部4や第二ピン支持部5を骨1に刺入したピン3の位置に合わせることができる。
【0079】
尚、本実施例は、橈骨遠位端の粉砕骨折を発症した際、該粉砕骨折によって切離した骨1aとその他の橈骨1bとにのみピン3を刺入する構成の為、骨折の治癒がある程度完了した後、該ピン3によって切離した骨1aを固定したまま、手首の屈伸や指を使用した仕事等のリハビリを行うことができる。即ち、骨折の治療を続けながら、リハビリを行うことができる。
【0080】
また、本実施例は、基体2をマグネシウム合金で形成しているから、装着時における骨1に対するピン3の刺入状況の確認や、治療の途中段階における骨1の切離部1cの治癒状況の確認など、レントゲンのエックス線を照射した際、基体2は良好な透過性を有する故に前述した種々の確認が良好に行なえることになる。
【0081】
また、骨折の治癒がある程度完了した段階からリハビリを開始できる為、治癒を行う際に手首等を全く動かさない期間が短く、よって、手首や指の筋肉の衰えは少なく、リハビリ期間を短縮することができる。
【0082】
骨折が完全に治癒した後、骨1からピン3を抜く。
【0083】
本実施例は上述のように構成したから、マグネシウム合金は他の金属に比してエックス線を良好に透過するから、例えばピンの刺入状況の確認や骨の切離部の治癒状況の確認などが良好に行なえることになり、しかも、樹脂に比して強度性に秀れ、そして、他の金属に比しても強度性に秀れ且つ軽量で良好な装着状態が得られるなど極めて商品価値の高い画期的な創外固定器となる。
【0084】
また、本実施例は、マグネシウム合金としてAZ31が採用されているから、秀れた作用効果を発揮する創外固定器となる。
【0085】
また、本実施例は、一方向からピン3を刺入するだけでは全ての切離した骨1aに該ピン3を刺入できないような骨折でも、放射状にピン3を配設することで該全ての切離した骨1aにピン3を刺入し、該ピン3を一個の創外固定器で全て固定して治癒を良好に達成できる実用性に秀れた創外固定器となる。
【0086】
また、第一ピン支持部4は、放射状に配設されたピン3を任意の間隔で支持できるから、切離した骨1aの状態に応じてピン3を最適な状態に刺入し、且つ、該骨1を固定して治癒を行うことができる。
【0087】
また、第一ピン支持部2は添設部6に対して屈曲したり旋回動したりできるから、この点においても切離した骨1aの状態に応じてピン3を最適な状態に刺入し、且つ、該骨1aを固定して治癒を行うことができる。
【0088】
また、第二ピン支持部5も添設部6に対して屈曲したり旋回動したりできるから、この点においても切離した骨1aの状態に応じてピン3を最適な状態に刺入し、且つ、該骨1bや切離した骨1aを固定して治癒を行うことができる。
【0089】
また、添設部6は伸縮自在であるから、この点においても切離した骨1aや該切離した骨1aを固定する為の骨1bの状態に応じてピン3を最適な状態に刺入し、且つ、固定して治癒を行うことができる。
【0090】
また、第一ピン支持部4は半環状ピン支持部10a,10bが採用されているから、手首等に被嵌する作業で該半環状ピン支持部10a,10bを簡単に骨折部位の周囲に配設することができ、よって、ピン3の支持作業を容易に行うことができる。
【0091】
尚、本実施例は、特に腕の橈骨遠位端の粉砕骨折を治療する場合について説明したが、例えば、膝,肘等、他の骨折を治癒する場合にも採用することができる。
【0092】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施例を示す分解斜視図である。
【図2】本実施例の使用状態説明図である。
【図3】マグネシウムとその他の金属との物理的性質を説明する説明図である。
【図4】AZ31の化学組成図である。
【図5】マグネシウムとその他の金属との機械的特性を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0094】
1 骨
2 基体
3 ピン
4 ピン支持部
5 ピン支持部
【出願人】 【識別番号】000105279
【氏名又は名称】ケイセイ医科工業株式会社
【住所又は居所】東京都文京区本郷3丁目19番6号
【出願日】 平成16年10月18日(2004.10.18)
【代理人】 【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛

【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄

【公開番号】 特開2006−110222(P2006−110222A)
【公開日】 平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願番号】 特願2004−302706(P2004−302706)