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【発明の名称】 穿刺用アダプタ
【発明者】 【氏名】徳本 直彦

【氏名】竹川 渉

【氏名】栗本 智広

【要約】 【課題】穿刺経路と走査面とが交差する場合においても走査面に対応する断層画像上において穿刺針の先端位置を確認できるようにする。

【解決手段】穿刺用アダプタ12はホルダ16とベースユニット14とによって構成され、ホルダ16は超音波探触子10を保持する。ベースユニット14に設けられたガイド機構24は穿刺針18を案内する。可動機構26はホルダ16の回転を許容する。すなわち超音波探触子10を揺動運動させることが可能であり、これに伴って走査面が揺動運動する。これにより走査面と穿刺経路との交点が走査面の運動に応じて穿刺経路上を運動することになる。ベースユニット14は台座として機能する。ベースユニット14に対して、プローブの送受波面が運動する運動領域の周囲に複数の突出脚を設ければ、体内の組織(例えば血管)の変形や潰れを防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の送受波を行う超音波探触子に対して取り付けられる穿刺用アダプタにおいて、
前記超音波探触子を保持するホルダと、
穿刺針を案内するガイド機構と、前記穿刺針の穿刺経路に対して超音波の送受波領域を相対的に移動させるために前記ホルダを運動可能に支持する可動機構と、を備えたベースユニットと、
を含むことを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項2】
請求項1記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記可動機構は、前記穿刺経路に対して前記送受波領域であるビーム走査面を交差させつつ、前記穿刺経路と前記ビーム走査面との交点が前記穿刺経路上に沿って浅い部位から深い部位まで移動するように、前記ホルダを運動させることを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項3】
請求項2記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記可動機構は、前記穿刺経路から隔てられた回転中心軸回りにおいて前記ホルダを揺動運動させることを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項4】
請求項3記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記可動機構は、前記穿刺経路上における浅い第1観測位置から深い第2観測位置までの範囲内に前記ホルダの揺動運動を規制することを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項5】
請求項1記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記ホルダは、前記超音波探触子の送受波面を露出させつつ前記超音波探触子を着脱自在に保持する部材であり、前記ベースユニットに対して分離可能に組み付けられることを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項6】
請求項1記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記ガイド機構は、前記穿刺針の保持及び開放を行う機構であり、前記ベースユニットに対して前記穿刺針を斜めに導くことを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項7】
請求項6記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記ガイド機構は、前記穿刺針を挿通するガイド孔を開閉するレバーを有し、前記レバーのスライド操作によって前記ガイド孔が開閉動作することを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項8】
請求項1記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記ガイド機構は、
固定片と、
前記穿刺針の保持及び開放のために、前記固定片に対してスライド運動するスライド片と、
を有し、
前記固定片と前記スライド片の一方には窪みが形成され、
前記固定片と前記スライド片の他方には、前記スライド片の前進時において前記窪みに落ち込み且つ前記スライド片の後進時において前記窪みから離脱する突起が設けられたことを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項9】
請求項1記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記ベースユニットは、被検体の体表面に当接される台座を有し、
前記台座は、前記超音波探触子の送受波面の運動領域を挟んで設けられた一対の脚部を有することを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項10】
請求項9記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記各脚部は、前記送受波面の運動方向に平行に伸長した平坦な当接面を有することを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項11】
超音波の送受波を行う超音波探触子に対して取り付けられ、断層画像観察下で対象血管に対して穿刺を行うための穿刺用アダプタにおいて、
前記超音波探触子を保持するホルダと、
被検体の体表面上に設置され、前記ホルダを運動可能に支持するベースユニットと、
を含み、
前記ベースユニットは、
前記被検体の体表面に当接される台座と、
前記対象血管に対してその軸方向に沿って斜め方向から穿刺針を導くためのガイド機構と、
前記超音波探触子によって形成される走査面がその各運動位置において前記穿刺針の穿刺経路及び前記対象血管を横切るように、前記超音波探触子を保持するホルダを運動可能に支持する可動機構と、
を有することを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項12】
請求項11記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記可動機構は、前記ホルダを揺動運動させる機構であり、
前記穿刺経路は前記ホルダの揺動運動に関わらず不変であり、
前記揺動運動により、前記走査面と前記穿刺経路との交点が前記走査面の中心線上を一定深さ範囲内において移動することを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項13】
請求項11記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記台座は前記被検体の頸部に当接され、
前記対象血管は頸静脈であることを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項14】
超音波の送受波を行う超音波探触子に対して取り付けられる穿刺用アダプタにおいて、
前記超音波探触子を保持するホルダと、
穿刺針を案内するガイド機構と、前記穿刺針の穿刺経路に対して超音波の送受波領域を相対的に移動させるために前記ホルダを運動可能に支持する可動機構と、を備えたベースユニットと、
を含み、
前記ベースユニットは、前記超音波探触子の送受波面の運動領域の周囲に設けられ、被検体の表面に当接される丸みをもって下方に突出した複数の突出脚を有することを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項15】
請求項14記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記複数の突出脚は前記運動領域の4隅に対応した4つの位置に設けられたことを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項16】
請求項14記載の穿刺用アダプタにおいて、
前記複数の突出脚は、
前記運動領域の一方側に設けられた第1突出脚及び第2突出脚と、
前記運動領域の他方側に設けられた第3突出脚及び第4の突出脚と、
で構成され、
前記第1突出脚と前記第2突出脚との間には第1アーチ部が形成され、
前記第3突出脚と前記第4突出脚との間には第2アーチ部が形成され、
前記第1突出脚と前記第3突出脚との間には第3アーチ部が形成され、
前記第2突出脚と前記第4突出脚との間には第4アーチ部が形成された、
ことを特徴とする穿刺用アダプタ。
【請求項17】
請求項14記載の穿刺アダプタにおいて、
前記ベースユニットを前記被検体の表面へ押圧した状態では、前記複数の突出脚に押圧力が集中して、前記複数の突出脚に対して前記運動領域内における前記被検体の表面が相対的に盛り上がり、
前記盛り上がり状態において、前記超音波探触子の運動位置にかかわらず、前記超音波探触子の送受波面が前記被検体の表面に接触することを特徴とする穿刺アダプタ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は穿刺用アダプタに関し、特に、超音波探触子(プローブ)に装着されて穿刺針をガイドする穿刺用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像による観察下において穿刺を行うために穿刺用アダプタが利用される。穿刺用アダプタは一般に超音波探触子に対して着脱自在に装着され、穿刺に際して穿刺針を案内する。特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載された穿刺用アダプタは、超音波ビームの走査によって形成される走査面の上に穿刺経路が合致するように(含まれるように)穿刺針を案内するものである。具体的には、走査面の一方端側の上方に穿刺針の案内部が設けられ、そこから斜め方向に穿刺針が導かれる。その穿刺針は走査面上を移動することになる。この案内方式によれば、走査面に対応する断層画像上において、穿刺針が徐々に進入していく場合にそれを観察することが可能である。よって、ターゲット組織に対して適正な角度あるいは方位から穿刺を行うことを支援できる。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−92747号公報
【特許文献2】特開平4−303440号公報
【特許文献3】特開2001−120553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の穿刺方式では、穿刺経路を含む走査面上における組織構造は観察できるが、走査面の前後に存在する組織を観察しつつ穿刺を行うことはできない。例えば、人体の頸部内においては頸動脈及び頸静脈が隣接して走行しているが、頸静脈へのカテーテル挿入のためにその頸静脈に対しその軸方向に沿って斜め方向から穿刺針を差し込みたいような場合、頸動脈と頸静脈とを同時に断層画像で観察しつつ穿刺を行うことが望まれる。そのような要望のため、走査面の前方又は後方の上方に穿刺針の案内部を設定し、そこから斜め方向に、走査面を斜めに貫通する向きで穿刺針を案内することが考えられる。この構成によれば、断層画像上で各血管の横断面を観察できる。しかし、穿刺針の先端が走査面に到達してはじめてその位置を画像上で確認できるので、穿刺針の進入に際して、現在の先端位置を断層画像上で確認することはできない。上記の問題は、頸部への穿刺に限られず、他の部位に対して穿刺を行う場合にも同様に指摘される。
【0005】
本発明の目的は、走査面に対して斜めに交差(貫通)する方向に穿刺経路が設定されるような場合においても、超音波画像上で穿刺針の先端位置等を確認できるようにすることにある。
【0006】
本発明の他の目的は、穿刺に際して生体内の広い範囲にわたって断層画像として観察を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、超音波の送受波を行う超音波探触子に対して取り付けられる穿刺用アダプタにおいて、前記超音波探触子を保持するホルダと、穿刺針を案内するガイド機構と、前記穿刺針の穿刺経路に対して超音波の送受波領域を相対的に移動させるために前記ホルダを運動可能に支持する可動機構と、を備えたベースユニットと、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、超音波探触子(プローブ)はホルダによって保持され、そのホルダがベースユニットにおける可動機構によって運動可能に支持される。ベースユニットに設けられたガイド機構は穿刺針を所定角度(又は選択された角度)で体内へ案内する。穿刺針を体内に差し込んでいる段階において、ホルダと共にそれを保持している超音波探触子を運動させれば、超音波探触子によって形成される送受波領域が生体内において運動し、超音波画像上で穿刺針(特にその先端)を観察することができる。例えば、送受波領域が二次元の走査面であってもそれを前後方向に運動させれば、結果として、三次元空間における各運動位置において断層画像を観察することができる。
【0009】
上記の超音波探触子は、送受波面が凸面となったコンベックスプローブであってもよいし、送受波面が平坦面となったリニアプローブなどであってもよい。もちろん、それ以外のプローブであってもよい。ホルダは超音波探触子と別体に構成されるが、ホルダを超音波探触子と一体化することも可能である。つまり、超音波探触子自体にベースユニットへの係合機構を設けるものである。ガイド機構は望ましくはベースユニットに対して所定の角度で傾斜した穿刺経路に沿って穿刺針を案内するものであるが、その穿刺角度を連続的にあるいは段階的に切り換える機構を設けるようにしてもよい。送受波領域は望ましくは二次元の走査面に相当し、その形状は矩形あるいは扇状などである。送受波領域が三次元領域である場合にも本発明に係る機構を適用できる。
【0010】
可動機構はホルダを所定の水平回転軸を中心として回転つまり揺動させるものであるのが望ましく、その場合に、超音波探触子の送受波面が常に体表面に密着するように回転軸の位置決めを行うのが望ましい。ホルダに対して超音波探触子を保持する位置が固定的に設定されていてもよいし、ホルダに対して超音波探触子の位置を相対的に可変できるようにしてもよい。また、超音波探触子のタイプごとに専用のホルダを用意しておいて、使用する超音波探触子のタイプに応じて、必要なホルダを選択的に利用するようにしてもよい。その場合には複数種類の超音波探触子についてベースユニットを共通利用できる利点がある。可動機構としては、上記の他に、超音波探触子を平行運動(スライド運動)させる機構、超音波探触子の垂直中心軸を回転軸として超音波探触子を回転運動させる機構、などをあげることができる。いずれの場合でも、穿刺経路に対して相対的に送受波領域を動かして広い範囲にわたって画像観察を行える。
【0011】
上記の可動機構は望ましくはユーザーによって駆動されるが、それを自動的に行わせるようにしてもよい。また、ホルダの運動位置つまり超音波探触子の運動位置を検出するセンサなどを設けるようにしてもよい。
【0012】
望ましくは、前記可動機構は、前記穿刺経路に対して前記送受波領域であるビーム走査面を交差させつつ、前記穿刺経路と前記ビーム走査面との交点が前記穿刺経路上に沿って浅い部位から深い部位まで移動するように、前記ホルダを運動させる。
【0013】
上記の可動機構により、超音波探触子を運動させて、断層画像上において、穿刺針の断面(特に先端の断面)を確認することができる。穿刺針の先端位置を確認する場合には、例えば、最初に超音波探触子を比較的早く大きく運動させ、断層画像上で穿刺針が特定された以後に、穿刺針の先端を探索するために超音波探触子のゆっくりとした往復運動が繰り返される。先端位置を特定した段階においては、断層画像上に先端と体内組織構造が現れることになり、穿刺針が穿刺対象組織へ正確に進んでいるか否かを確認できる。換言すれば、穿刺の安全性を高められる。なお、本発明に係るアダプタは上記以外にも多様な用途が考えられる。
【0014】
望ましくは、前記可動機構は、前記穿刺経路から隔てられた回転中心軸回りにおいて前記ホルダを揺動運動させる。上記の回転中心軸は、体表面から一定のオフセット距離だけ隔てられた位置に設定されるのが望ましいが、体表面上に回転中心軸を設定できるようにしてもよいし、例えば超音波探触子のタイプに応じてその位置を可変できるようにしてもよい。
【0015】
望ましくは、前記可動機構は、前記穿刺経路上における浅い第1観測位置から深い第2観測位置までの範囲内に前記ホルダの揺動運動を規制する。この構成によれば超音波探触子の運動を必要な範囲内に制限できる。その運動範囲を可変設定できるようにしてもよいし、穿刺針の傾斜角度を変更できる場合にはその傾斜角度に応じて運動範囲を可変設定するようにしてもよい。
【0016】
望ましくは、前記ホルダは、前記超音波探触子の送受波面を露出させつつ前記超音波探触子を着脱自在に保持する部材であり、前記ベースユニットに対して分離可能に組み付けられる。清掃、消毒、滅菌などのためには各部材が相互に分離可能とされているのが望ましい。また、オートクレーブ等の滅菌に耐え得る材料で各部材を構成するのが望ましい。
【0017】
望ましくは、前記ガイド機構は、前記穿刺針の保持及び開放を行う機構であり、前記ベースユニットに対して前記穿刺針を斜めに導く。穿刺後に穿刺針を開放できれば、穿刺針から超音波探触子及びアダプタを取り外すことが容易となり、また次のカテーテル挿入作業、試薬注入作業などが容易となる。
【0018】
望ましくは、前記ガイド機構は、前記穿刺針を挿通するガイド孔を開閉するレバーを有し、前記レバーのスライド操作によって前記ガイド孔が開閉動作する。超音波探触子を保持している片手で、そのレバーを操作できるように構成するのが望ましい。
【0019】
望ましくは、前記ガイド機構は、固定片と、前記穿刺針の保持及び開放のために、前記固定片に対してスライド運動するスライド片と、を有し、前記固定片と前記スライド片の一方には窪みが形成され、前記固定片と前記スライド片の他方には、前記スライド片の前進時において前記窪みに落ち込み且つ前記スライド片の後進時において前記窪みから離脱する突起が設けられる。
【0020】
上記構成において、スライド片が前進すると、突起が窪みにトラップされる。これにより、スライド片の位置を安定して保持できる。つまり、不用意にスライド片が後退運動して穿刺針の案内状態が解除されてしまう事態を回避できる。ユーザー力によりスライド片を後進させると、窪みから突起が離脱し、上記の保持状態が強制的に解除される。突起は弾性片の先端に設けるのが望ましい。
【0021】
望ましくは、前記ベースユニットは、被検体の体表面に当接される台座を有し、前記台座は、前記超音波探触子の送受波面の運動領域を挟んで設けられた一対の脚部を有する。このような一対の脚部によって、比較的に広い面積で、しかも診断対象部位を避けてアダプタの当接を行えば、当接時の押圧力を分散して、生体内の臓器が潰されてしまったり、その形状が必要以上に変形してしまったりする問題を防止できる。望ましくは、前記各脚部は、前記送受波面の運動方向に平行に伸長した平坦な当接面を有する。この構成によれば、血管を穿刺対象とするような場合に血管を避けてその両側への当接を行える。もちろん、コ字状、口字状の当接面を構成するようにしてもよい。
【0022】
(2)また本発明は、超音波の送受波を行う超音波探触子に対して取り付けられ、断層画像観察下で対象血管に対して穿刺を行うための穿刺用アダプタにおいて、前記超音波探触子を保持するホルダと、被検者の体表面上に設置され、前記ホルダを運動可能に支持するベースユニットと、を含み、前記ベースユニットは、被検体の体表面に当接される台座と、前記対象血管に対してその軸方向に沿った斜め方向から穿刺針を導くためのガイド機構と、前記超音波探触子によって形成される走査面がその各運動位置において前記穿刺針の穿刺経路及び前記対象血管を横切るように、前記超音波探触子を保持するホルダを運動可能に支持する可動機構と、を有することを特徴とする。なお、上記の(対象血管の)軸方向に沿った斜め方向とは、血管軸を含む垂直面(例えば後に説明する図8の紙面に相当)を定義した場合に、その垂直面上に存在し、且つ、血管軸に斜めに交差する方向である。
【0023】
望ましくは、前記可動機構は、前記ホルダを揺動運動させる機構であり、前記穿刺経路は前記ホルダの揺動運動に関わらず不変であり、前記揺動運動により、前記走査面と前記穿刺経路との交点が前記走査面の中心線上を一定深さ範囲内において移動する。望ましくは、前記台座は前記被検体の頸部に当接され、前記対象血管は頸静脈である。
【0024】
上記構成によれば、対象血管(頸静脈)を基準として、体表面上にアダプタが位置決めされ、そのアダプタを用いて、対象血管に不必要に押圧力を与えることなく、穿刺及び超音波診断が行われる。特に、穿刺経路と直交する断面を断層画像として確認しつつ穿刺を行えるので、対象血管以外の血管が穿刺経路から外れていることなどを確認しつつ安全に穿刺を行える。なお、ホルダ及びベースユニットの一方又は双方を交換可能なように構成するのが望ましい。
【0025】
(3)また本発明は、超音波の送受波を行う超音波探触子に対して取り付けられる穿刺用アダプタにおいて、前記超音波探触子を保持するホルダと、穿刺針を案内するガイド機構と、前記穿刺針の穿刺経路に対して超音波の送受波領域を相対的に移動させるために前記ホルダを運動可能に支持する可動機構と、を備えたベースユニットと、を含み、前記ベースユニットは、前記超音波探触子の送受波面の運動領域の周囲に設けられ、被検体の表面に当接される丸みをもって下方に突出した複数の突出脚を有することを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、ベースユニットを被検体の表面に当接すると、複数の突出脚に押圧力が集中し、各突出脚によって被検体の表面が押し込まれる。同時に、複数の突出脚の相互間において被検体の表面が相対的に盛り上がって、被検体の表面が超音波探触子の送受波面に密着する。押圧力が超音波探触子の送受波面の直下に加えられないので、その直下に存在する血管等のターゲット組織が押圧力によって潰れてしまう問題を解消又は軽減できる。複数の突出脚はターゲット組織を跨いだ位置に設けられる。その個数は4個であるのが望ましいが、3個又はそれ以上の個数であってもよい。多数の突出脚を密集して形成すると、面押圧効果が発揮されて、生体内部のターゲット組織を変形してしまうあるいは潰してしまう可能性が高まるため、そのような問題が生じないように、複数の突出脚について個数や配列を設定するのが望ましい。各突出脚が丸みをもった先端面(当接面)を有していれば、生体に対して苦痛や違和感を与えることを防止できる。
【0027】
望ましくは、前記複数の突出脚は前記運動領域の4隅に対応した4つの位置に設けられる。望ましくは、前記複数の突出脚は、前記運動領域の一方側に設けられた第1突出脚及び第2突出脚と、前記運動領域の他方側に設けられた第3突出脚及び第4の突出脚と、で構成され、前記第1突出脚と前記第2突出脚との間には第1アーチ部が形成され、前記第3突出脚と前記第4突出脚との間には第2アーチ部が形成され、前記第1突出脚と前記第3突出脚との間には第3アーチ部が形成され、前記第2突出脚と前記第4突出脚との間には第4アーチ部が形成される。望ましくは、前記ベースユニットを前記被検体の表面へ押圧した状態では、前記複数の突出脚に押圧力が集中して、前記複数の突出脚に対して前記運動領域内における前記被検体の表面が相対的に盛り上がり、前記盛り上がり状態において、前記超音波探触子の運動位置にかかわらず、前記超音波探触子の送受波面が前記被検体の表面に接触する。
【0028】
上記構成においては、超音波探触子の送受波面よりも各突出脚の先端面が低い位置に設定されるのが望ましい。また、超音波探触子の送受波面よりも各アーチ部の天井面が高い位置に設定されるのが望ましい。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、走査面に対して斜めに交差(貫通)する方向に穿刺経路が設定されるような場合においても、超音波画像上で穿刺針の先端位置を確認できる。本発明によれば、生体内の広い範囲にわたって断層画像としての観察を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1には、本発明に係る穿刺用アダプタの好適な実施形態が示されており、図1はその側面図である。図2は穿刺用アダプタの正面図である。
【0032】
図1において、穿刺用アダプタ12は被検体の体表面上に当接して用いられるものであり、超音波探触子10に対して着脱自在に装着される。穿刺用アダプタ12はベースユニット14及びホルダ16を有している。ベースユニット14は後に説明するようにガイド機構24及び可動機構26を有している。ガイド機構24は穿刺針18を所定の傾斜角度で案内する機構である。
【0033】
ホルダ16は超音波探触子10を保持する部材であり、図示されるように超音波探触子10の先端部20がホルダ16によって保持されている。先端部20内には本実施形態において複数の振動素子を円弧状に配列してなる1Dアレイ振動子が設けられている。そのアレイ振動子を電子リニア走査することによって扇状の走査面(ビーム走査面)が形成される。すなわち、いわゆるコンベックス走査が行われる。ただし、本発明は他のタイプの超音波探触子が用いられる場合においても当然に適用することができる。
【0034】
超音波探触子10の送受波面22は体表面に当接されるものであり、その送受波面22は音響レンズなどによって構成される。可動機構26により、ホルダ16は所定の回転軸を中心として回転運動することが可能である。ホルダ16が回転運動すると、そのホルダ16によって保持された超音波探触子10も回転運動すなわち揺動運動することになり、これに伴って、超音波探触子10によって形成される走査面も揺動運動する。したがって、ホルダ16の回転角度を所望の位置に設定することにより、被検体内において所望の位置に走査面を設定することが可能となる。また、走査面をその前後方向に移動させて生体内構造や穿刺針の先端をサーチすることが可能となる。
【0035】
本実施形態に係る穿刺用アダプタ12は特に頸静脈に対して穿刺を行う場合に好適なものである。そのような穿刺を行う場合、被検体における頸部に穿刺用アダプタ12が設置され、ガイド機構24によって案内された穿刺針18が頸静脈に対してその軸方向に沿って斜め方向から差し込まれる。そのような穿刺過程において超音波探触子10を揺動運動させれば、上述したように走査面の前後方向にわたって生体内の構造、特に穿刺針の先端位置の観察を行うことが可能となる。
【0036】
図2にはガイド機構24の詳細が示されている。ガイド機構24は、固定片としての一方片38と、スライダとしての他方片39とを有しており、一方片38に対して他方片39がスライド運動可能である。他方片39にはレバー42が連結されており、レバー42の図においてY方向のスライド走査により一方片38と他方片39の相対位置を変えることができる。レバー42がY方向の前進端に到達した状態では、ガイド孔36が構成される。このガイド孔36は穿刺針18を案内する通路として機能する。具体的には、一方片38には一方溝が形成され、他方片39には他方溝が形成され、それらの両溝が互いに合致した状態においてガイド孔36が構成される。図2に示されるように、ベースユニット14は台座30を有しており、特にY方向において送受波領域を挟んでその両側に設けられた一対の脚部32,34が設けられている。
【0037】
各脚部32,34の下面はX方向に伸長した当接面32A,34Aとされており、それらの当接面32A,34Aが生体表面上に当接される。送受波面22の他にそのような当接面32A,34Aが当接されることにより生体への押圧力は分散され、その結果、例えば生体内における穿刺対象となる臓器の変形などの問題を回避することが可能となる。すなわち、押圧力の分散によって生体内の構造状態をできる限り保全できるという利点がある。ただし、送受波面22は可能な限り生体表面に密着している必要があり、それは超音波探触子10の運動によっても維持される必要がある。したがって、送受波面22の形状や高さとの関係において一対の脚部32,34の下方への突出量を設定するようにするのが望ましい。あるいは、一対の脚部32,34の突出量に合わせて超音波探触子10の下方への突出量を適正にあるいは任意に設定できるように構成するのが望ましい。ちなみに、超音波診断時においては必要に応じて超音波探触子10の全体が滅菌カバーによって覆われることになる。送受波面22と体表面との間には音響カップリングを良好にするためにゼリーなどの音響伝搬媒体が塗布される。
【0038】
図2に示されるように、レバー42が超音波探触子10の先端部近傍に設けられており、超音波探触子10を把持した手によってそのレバー42を操作することが可能である。すなわち例えば親指と人差指とによって超音波探触子10を把持した状態において余っている中指あるいは薬指などを用いてレバー42を操作することができる。このような構成によれば、片手で超音波探触子の保持及びレバー操作を行って、もう一方の手によって穿刺針18の操作を行えるという利点がある。
【0039】
図3には、穿刺経路と走査面との関係が表されている。超音波探触子10は垂直軸Qに対して、図示されるように左右方向に傾斜運動をすることが可能であり、一方側に最も傾斜した状態における走査面がS1で表され、他方側に最も傾斜した位置における走査面がS2によって表されている。すなわち超音波探触子10は角度範囲R2にわたって揺動運動することができる。ちなみにR1は一方の傾斜端にある超音波探触子10の傾き角度を表している。その角度R1に対して角度R3をもって穿刺経路Uの角度が設定されている。その穿刺経路Uは超音波探触子10の運動によっても常に固定されている。ちなみに、R1は例えば15度であり、R2は例えば40度であり、R3は例えば20度である。このような数値関係においては、体表面に対して例えば45度の角度で穿刺経路Uが設定されることになる。
【0040】
図3においてL1は送受波面の頂点から回転中心軸Oまでの距離を表している。また一方の傾斜端に相当する走査面S1と穿刺経路Uとの交点がP1で表されており、他方の傾斜端に相当する走査面S2と穿刺経路Uとの交点がP2で表されている。交点P1は送受波面から距離L3の深さに設定されており、交点P2は送受波面から距離L2の深さに設定されている。この関係から理解されるように、超音波探触子10を揺動運動させると、すなわち走査面を揺動運動させると、穿刺経路U上において上記の交点が移動することになり、その移動範囲はWである。つまり、従来においては走査面の前後方向については組織構造の観察を断層画像上において行えなかったが、本実施形態では、走査面自体を前後方向に運動させることにより走査面の前後方向にわたって画像観察を行うことが可能である。すなわち、走査面と交差関係にある穿刺経路上において、穿刺針の進入度合いつまり先端位置を容易に画像上で特定することが可能となる。
【0041】
次に、穿刺用アダプタ12についてより詳細な説明を行うことにする。図4には、ベースユニット14からホルダ16を取り外した状態を示している。すなわち、それらの部材は分離可能である。これは、消毒、清掃、滅菌処理などにおいて各部品の分離が必要なためである。
【0042】
まずベースユニット14について説明すると、ベースユニット14は左右方向に一定間隔を隔てて配置されたサイドプレート40,42を有しており、それらの前方及び後方には両者間に跨ってフロントプレート44及びバックプレート46が設けられている。すなわちそれらのプレート40〜46によって四角形状のフレームが構成されている。サイドプレート40,42には一定の傾斜角度をもって溝48,50が形成されており、それらの溝48,50の底部分には軸孔48A,50Aが形成されている。
【0043】
フロントプレート44には上述したガイド機構24における一方片38が連結されている。図4においては、一方片38から他方片39が退避した状態が示されており、すなわちガイド孔が開いた状態にある。ベースユニット14の後側には回転軸82によって回転自在に支持されたストッパ80が設けられている。このストッパ80はサイドプレート42に形成された溝84内に落とし込まれるものであり、その状態においてはホルダ16の奥側への回転運動が規制される。つまり、ホルダ16の一部分がストッパ80に衝突し、それ以上回転運動が規制されることになる。ちなみに、ストッパ80を溝84から離脱させればホルダ16の更なる回転運動が可能となり、その状態において以下に説明するようにベースユニット14に対してホルダ16を取り外したり組み込んだりすることが可能となる。
【0044】
ホルダ16は超音波探触子を受け入れる収容部60を有している。収容部60は上部開口及び下部開口を有し、下部開口から図1及び図2を用いて説明したように超音波探触子の送受波面が突出(露出)する。ホルダ16の左右端には軸62,64が設けられている。軸62,64は図示されるように断面が部分的に矩形状となった軸であり、それらの軸62,64は一定の角度状態をもって溝48,50に差し込まれる。軸62,64が溝48,50の一番奥まで進行すれば、上述した軸孔48A,50Aによって軸62,64の回転運動が許容される。軸62,64の外側にはそれぞれ円形板66,68が設けられている。なお、収容部60を有するホルダ本体は金具70に取付けられており、金具70には上述した軸62,64が固定的に設けられている。
【0045】
図5〜図7には、穿刺用アダプタの斜視図が示されており、図5は穿刺用アダプタを斜め前方から見た斜視図であり、図6は穿刺用アダプタを斜め後方から見た斜視図であり、図7は穿刺用アダプタを下方から見た斜視図である。図7に示されるように、一対の脚部32,34は送受波面の運動領域を挟んでその両側に互いに隔てられて設けられており、その下面は当接面32A,34Aである。一対のスキー板のようにそれらの当接面32A,34Aが被検体表面に当接されるならば、送受波面の運動空間の下方に存在する血管に対して押圧力が集中してしまう問題を防止できる。
【0046】
次に、図8及び図9を用いて本実施形態に係る穿刺用アダプタの使用例について説明する。まず、ホルダに対して超音波探触子がセットされ、超音波探触子を保持したホルダがベースユニットに組み付けられる。そしてその組み付け状態において穿刺用アダプタが例えば人体の頸部に当接され、その状態が維持される。ホルダをセットした後にホルダに超音波探触子をセットしてもよい。この場合に、穿刺経路が例えば頸静脈の軸方向に沿って斜め方向から適正に穿刺が行われるように、その姿勢や位置が調整される。そのような調整にあたっては超音波画像を観察するようにしてもよい。穿刺用アダプタの位置決めが完了した状態において、上述したガイド機構を利用して穿刺が実施される。この場合において穿刺針は徐々に体内に差し込まれていくが、その場合において図8に示されるように超音波探触子10の揺動角度を適宜変更することにより穿刺経路U上における各位置の断面を断層画像上において観察することが可能となる。ちなみに、図8において符号86は体表面を表しており、符号90は穿刺対象となる頸静脈を表している。頸静脈90に近接して走行している頸動脈については図8において示されていない。
【0047】
以上のように、穿刺が行われている過程において超音波探触子10を揺動運動させ、具体的には、大きな揺動運動において穿刺針の先端位置を発見し、更にその発見した位置の近傍において超音波探触子10をゆっくりと往復運動させることにより、確実に穿刺針の先端位置を確認することが可能となる。そして穿刺針の先端位置との関係において生体内の各臓器との位置関係を容易に把握することが可能となる。すなわち頸静脈に対して適正な方位で穿刺が行われているかの確認及び誤って他の血管へ穿刺方向が設定されてしまっていないことを確認できる。
【0048】
図8におけるA点、B点のそれぞれの点を通過する走査面に対応する断層画像が図9に示されている。図9において(A)はA点に対応する断層画像であり、(B)はB点に対応する断層画像を示している。図8に示した位置関係から理解されるように、走査面自体が揺動運動するため断層画像上において観察される構造は若干変化する。
【0049】
(A)に示されるように、断層画像94A上には頸静脈の断面98Aと頸動脈の断面100Aとが表されており、その場合において符号96で示されるようなマーカーが断層画像に表示されている。すなわちこのマーカーは穿刺経路に相当するものである。符号102Aは穿刺針の先端に相当する像を示している。この段階においてはL10で示されるような深さまで穿刺針の先端が到達しており、これに対して頸静脈の中心までの距離はL12である。
【0050】
(B)にはB点に対応する断層画像94Bが示されており、この断層画像94B上においても頸静脈の断面98B及び頸動脈の断面100Bが表されている。ここで頸静脈の中心までの深さはL16であり、その断層画像94Bには穿刺針の先端に相当する像102Bが表されている。その深さはL14であり、その時点においては頸静脈に対して穿刺針の先端が到達したことが表されている。
【0051】
したがって、穿刺経路に対して走査面を交差設定する場合において、その走査面を固定的に設定するとその走査面に穿刺針の先端が到達して初めてその像が描かれることになるが、本実施形態によれば穿刺の各過程において走査面を移動させて穿刺針の先端をサーチすることができ、また穿刺経路と各臓器の位置関係を容易に把握することが可能となる。したがって三次元超音波診断を行った場合と同様の情報を得られることになり、簡便でありながら安全性を高められるという利点がある。
【0052】
ちなみに、上記のホルダ及びベースユニットは超音波探触子のタイプなどに応じてそれぞれ複数種類用意しておいてもよい。また上記実施形態においては穿刺針の穿刺角度が固定されていたが、その角度を可変する機構を設けるようにしてもよい。上記の実施形態においては一対の脚部によって対象となる血管が潰れないように押圧分散を行ったが、そのような一対の脚部に相当する他の構造を採用するようにしてもよい。例えば、四角形の枠状の当接面、四角形の内で一辺が除去された形態を有する当接面、などを採用するようにしてもよい。更に、超音波探触子の運動方式としては、上記のような揺動方式に限られず、例えば平行運動方式や回転運動方式などを採用することも可能である。穿刺状態では、 例えばカテーテルの注入や薬剤の注入など所定の処置が行われる。
【0053】
図10及び図11には他の実施形態に係る穿刺用アダプタ110が示されている。穿刺用アダプタ110は、図1及び図2などを用いて説明した実施形態と同様に、ベースユニット103及びホルダ104によって構成される。ベースユニット103はガイド機構112及び可動機構114を有している。ガイド機構112は上記の実施形態と同様の構造を有している。
【0054】
ベースユニット103における2つのサイドプレート116,118には図示されるようにそれぞれ軸孔120,122が形成されている。ちなみに符号124は以下に説明するホルダ104の一方方向の運動を規制するストッパである。
【0055】
ホルダ104は、図示されるように、上部125から下方に二股に分かれた2つのアーム126,128を有している。2つのアーム126,128は通常の状態において一定の間隔をもって隔てられている。それぞれのアーム126,128は弾性変形するものであり、すなわち両者の間隔を狭めることも可能である。各アーム126,128の下端部には外側に向けて円形の凸部132,134が設けられている。ホルダ104内における空洞130はプローブ収容空間として機能する。
【0056】
ホルダ104にプローブをセットする前の段階において、ホルダ104における2つのアーム126,128が互いに近接する方向に変形され、その状態においてベースユニット103における軸孔120,122に凸部132,134が差し込まれる。その状態が図11に示されている。なお、ベースユニット103に対してホルダ104を装着した状態においては上記の実施形態と同様に回転軸を中心としてホルダ104を揺動運動させることができる。その一方側への倒れ込み運動はフロントプレートへの当接により規制され、後方側への倒れ込み運動は図10に示したストッパ124によって規制される。
【0057】
ホルダ104単体をベースユニット103にセットし、その後においてホルダ104へプローブがセットされる。図10及び図11に示されるようにホルダ104における内部空間130はその前方からアプローチしてプローブを装着できるように構成されており、すなわちプローブの下部を最初にホルダ104内部(フック140A,140Bの中)に差し込んだ上でプローブの上部をホルダ104の上部に形成されたクリップ142に差し込むことによってそのプローブを確実に保持することが可能となる。
【0058】
図10及び図11に示した実施形態によれば、2つのアーム126,128の弾性作用を利用して簡便にホルダ104をベースユニット103にセットすることが可能である。もちろん、それ以外の構成も採用することが可能であり、いずれにしても穿刺針との相対的な位置関係において超音波探触子を運動可能なように保持する機構を採用すればよい。
【0059】
次に、図12乃至図16を用いて更に他の実施形態について説明する。図12は、穿刺用アダプタ200の斜視図である。
【0060】
図12において、穿刺用アダプタ200は、ベースユニット202及びホルダ204を有する。ホルダ204は後に図13等に示すプローブを着脱可能に保持する。ベースユニット202は台座として機能するものであり、それが生体の表面に当接される。ベースユニット202は可動機構208及びガイド機構206を備えている。可動機構208はベースユニット202に対してホルダ204を回転させるための機構である。ガイド機構206は図示されていない穿刺針を案内する機構である。
【0061】
ベースユニット202は、プローブの送受波面が運動する矩形の運動領域210を間において設けられた一対の脚部(一対のサイドプレート)212,214を有する。また、一対の脚部212,214間に設けられたフロントプレートとしての固定片218、及び、一対の脚部212,214間に設けられたバックプレート216を有する。脚部212は、その両端に一対の突出脚212A,212Bを有する。これと同様に、脚部214は、その両端に一対の突出脚214A,214Bを有する。つまり、矩形の運動領域210の4つの隅に対応して、運動領域210の周囲に4つの突出脚212A,212B ,214A,214Bが設けられている。各突出脚212A,212B ,214A,214Bは生体側に向かって突出しており、その先端面としての当接面は生体に対して苦痛あるいは違和感を与えないように丸みをもっている。その形態は半円筒状あるいは半球状である。突出脚の個数は、ターゲット組織に必要以上の変形を与えない条件に従って任意の個数に設定できるが、特に望ましくは4つである。
【0062】
脚部212において、一対の突出脚212A,212B間にはアーチ状の溝(窪み)220Aが形成されており、脚部214においても一対の突出脚214A,214B間にアーチ状の溝(窪み)220Bが形成されている。また、バックプレート216において、一対の突出脚212B ,214B間にもアーチ状の溝(窪み)220Dが形成されている。更に、フロントプレートとしての固定片218に関しても、一対の突出脚212A ,214A間にアーチ状の溝(窪み)220Cが認められる。
【0063】
上記のガイド機構206は、固定片218、スライド片222、レバー226などを有する。ここで、スライド片222には、後に図15を用いて詳述するように、弾性小片224が一体的に設けられている。本実施形態では、固定片218は金属で構成され、スライド片222は加工便宜のため樹脂で構成されている。
【0064】
図13及び図14には、図12に示した穿刺用アダプタ200にプローブ228を装着した状態が示されている。図13は正面図であり、図14は側面図である。脚部212,214における各突出脚の先端面のレベル230よりもプローブの送受波面のレベル232が高い位置に設定されている(例えば8mm高い位置に設定されている)。また、そのレベル232よりもアーチ状の溝の天井面のレベル234の方が若干高い位置に設定されている。
【0065】
穿刺用アダプタ200を生体表面236に当接する過程では、各突出脚の先端面(当接面)が生体表面236を押圧することになる。同時に、送受波面の運動領域210及び各アーチ状の溝の中に、生体表面236が相対的に盛り上がった状態で入り込む。これにより、プローブ228の送受波面が生体表面236に密着する。この場合、プローブ228が回転しても、良好な密着性を維持できる。符号237は体内において走行する血管(例えば頸静脈)を示している。その血管237の軸方向に走査面が交差するように、穿刺用アダプタ200が体表面236上に位置決めされている。具体的には、上記の一対の脚部212,214が血管237に跨って位置決めされる(図13)。当接時の押圧力は主に4つの突出脚に分散してそれらから生体表面236へ与えられ、つまりその部分に応力(押圧力)が集中する。運動領域210(特に送受波面の直下)には大きな押圧力が加わらないので、送受波面と生体表面236との密着性を確保しつつも、血管237の変形や潰れの問題を軽減又は解消できる。なお、図14において、血管237が存在している位置は、いずれかの脚部の直下ではなく、2つの脚部の中間位置の直下である。図1に示した実施形態でも、血管の変形や潰れをある程度緩和できたが、この実施形態によれば、より効果的にその問題に対処できる。
【0066】
図15には、ガイド機構206の拡大図が示されている。ガイド機構206は上述したように固定片218及びスライド片222を有する。固定片218にはスライド溝218Aが形成されている。スライド溝218Aの一端にはそれよりも深い半球状の窪みが形成されている。スライド片222は、一方側部分240と他方側部分242を備え、一方側部分240には弾性小片224が設けられている。弾性小片224の一端部224Aには固定片218側に向かって突出した半球状の突起250が設けられ、弾性小片224の弾性作用によってその突起が固定片218側に常時押しつけられている。弾性小片224の他方端224Bはスライド片222に一体化されている。符号246は穿刺針を差し込むための開口縁を示している。レバー226はスライド片222に連結され、その操作によってスライド片222を進退運動させることができる。
【0067】
図16には、スライド片222の動作が示されている。スライド片が前進端まで移動した状態では、符号224−1で示されるように、弾性小片224の弾性作用によって、突起250が窪み218Aに落ち込んで(トラップされて)、スライド片の位置が保持される。その状態でガイド孔に穿刺針が差し込まれる。ユーザーがスライド片を後退運動させると、突起250が窪み218Bから離脱してスライド溝218A内をスライドする。その状態では、ガイド孔が開かれて(ガイド溝が露出して)、穿刺状態にある穿刺針を残して、プローブと共に穿刺用アダプタを横方向(奥側)にずらして、穿刺針を穿刺用アダプタから分離することができる。上記のガイド機構によれば、突起250と窪み218Bの係合によってスライド片の不用意な動きを防止して、穿刺中に穿刺針が誤って開放されてしまうことを防止できる。よって、安全性を高められる。上記構成において、各突出脚の先端形態としては各種の形態を採用できるが、生体に対して苦痛や違和感を与えないように、丸みをもって突出した形態を採用するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る穿刺用アダプタの側面図である。
【図2】本発明に係る穿刺用アダプタの正面図である。
【図3】走査面の揺動運動と穿刺経路との関係を説明するための説明図である。
【図4】穿刺用アダプタの分解斜視図である。
【図5】穿刺用アダプタを斜め前方から見た斜視図である。
【図6】穿刺用アダプタを斜め後方から見た斜視図である。
【図7】穿刺用アダプタを斜め下方から見た斜視図である。
【図8】穿刺に伴う超音波探触子の操作を説明するための図である。
【図9】各穿刺段階における超音波画像の内容を示す説明図である。
【図10】他の実施形態に係る穿刺用アダプタの斜視図である。
【図11】ベースユニットに対してホルダを装着した状態を示す斜視図である。
【図12】更に他の実施形態に係る穿刺用アダプタの斜視図である。
【図13】図12に示した穿刺用アダプタの正面図である。
【図14】図12に示した穿刺用アダプタの側面図である。
【図15】ガイド機構206の拡大図である。
【図16】ガイド機構の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
10 超音波探触子、12 穿刺用アダプタ、14 ベースユニット、16 ホルダ、18 穿刺針、24 ガイド機構、26 可変機構。
【出願人】 【識別番号】504265938
【氏名又は名称】徳本 直彦
【識別番号】390029791
【氏名又は名称】アロカ株式会社
【出願日】 平成17年5月30日(2005.5.30)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二

【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純

【公開番号】 特開2006−43427(P2006−43427A)
【公開日】 平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願番号】 特願2005−156728(P2005−156728)