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【発明の名称】 X線断層撮影装置
【発明者】 【氏名】篠原 大

【氏名】槇 宏太郎

【要約】 【課題】本発明は、簡単な構造により、回転するX線撮影手段が被検体に接触するのを避けることができ、撮影作業の効率を向上させることができるX線断層撮影装置を得ることを目的とするものである。

【解決手段】X線撮影手段12は、スキャナカバー13により覆われている。スキャナカバー13は、スキャナ駆動部5の筐体に固定されている。即ち、スキャナカバー13は、非回転部に対して固定されている。回転体であるX線撮影手段12は、スキャナカバー13内の空間で回転される。スキャナカバー13は、X線撮影手段12の回転に伴って回転される全ての要素を覆っている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を支持する被検体支持手段と、
この被検体支持手段の上方に配置され、前記被検体にX線を照射するX線源と、このX線源と対向配置され前記被検体の透過X線を検出するX線検出器とを具備し、前記被検体の体軸を中心軸として前記被検体が配置される空間の外側で前記X線源と前記X線検出器を回転するように支持するX線撮影手段と、
このX線撮影手段が回転される回転空間と前記被検体配置空間との間に配置され、前記被検体と前記X線撮影手段との接触を防ぐためのカバー手段と
を備えたことを特徴とするX線断層撮影装置。
【請求項2】
前記カバー手段は、前記被検体配置空間に接して配置される第1カバー手段と、前記X線撮影手段の回転軌道を挟み前記第1カバー手段の外側に配置される第2カバー手段とを具備したことを特徴とする請求項1記載のX線断層撮影装置。
【請求項3】
前記第2カバー手段は、その全周に亘ってX線吸収材が配置されることを特徴とする請求項2記載のX線断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、X線照射部とX線検出器とを有するX線撮影手段が被検体配置空間の外側で回転されるX線断層撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のX線撮影装置においては、旋回アームの一端にX線源が設けられ、旋回アームの他端にX線検出器が設けられている。そして、旋回アームは、回転駆動ユニットにより回転される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−219127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のX線撮影装置では、撮影を行う際に、X線源及びX線検出器を含むスキャナが被写体の周囲を回転されるため、スキャナが被写体と接触する恐れがあり、接触が生じないように撮影位置決めの段階で十分に確認する必要があった。このため、撮影作業の効率が低下してしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構造により、回転するX線撮影手段が被検体に接触するのを避けることができ、撮影作業の効率を向上させることができるX線断層撮影装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るX線断層撮影装置は、被検体を支持する被検体支持手段と、この被検体支持手段の上方に配置され、被検体にX線を照射するX線源と、このX線源と対向配置され被検体の透過X線を検出するX線検出器とを具備し、被検体の体軸を中心軸として被検体が配置される空間の外側でX線源とX線検出器を回転するように支持するX線撮影手段と、このX線撮影手段が回転される回転空間と被検体配置空間との間に配置され、被検体とX線撮影手段との接触を防ぐためのカバー手段とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明のX線断層撮影装置は、被検体とX線撮影手段との接触を防ぐためのカバー手段を、X線撮影手段が回転される回転空間と被検体配置空間との間に配置したので、簡単な構造により、回転するX線撮影手段が被検体に接触するのを避けることができ、撮影作業の効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるX線断層撮影装置を示す構成図である。この例では、頭頚部の撮影のための座位型X線断層撮影装置を示している。図において、被検体1が座る被検体支持手段としての椅子2は、椅子支持部3により支持されている。また、椅子2は、椅子支持部3内に設けられた椅子駆動装置(図示せず)の駆動力により上下方向及び水平方向(前後左右方向)へ変位可能になっている。
【0009】
椅子支持部3の背部には、支柱4が設けられている。支柱4には、スキャナ駆動部5が支持されている。スキャナ駆動部5には、モータ(図示せず)等の機器が収容されている。また、スキャナ駆動部5は、椅子2の上方(真上)に配置されている。
【0010】
スキャナ駆動部5には、スキャナアーム6が支持されている。スキャナアーム6は、スキャナ駆動部5により垂直な回転軸を中心として回転される。スキャナアーム6の回転軸の延長線は、椅子2に座ったときの被検体1の体軸とほぼ一致するようになっている。
【0011】
スキャナアーム6の一端には、X線焦点から円錐状のX線を被検体1へ向けて照射するX線管(X線源)7が搭載されている。X線管7の被検体1側には、照射するX線範囲を限定するコリメータ8が設けられている。X線照射部9は、X線管7及びコリメータ8を有している。
【0012】
スキャナアーム6の他端には、被検体1を透過した透過X線を検出するX線検出器(2次元検出器)10が搭載されている。X線検出器10は、被検体1が配置される被検体配置空間11を挟んでX線照射部9に対向している。また、X線検出器10は、被検体1を透過したX線の強度を検出することで透視画像データを得るようになっている。X線撮影手段(X線スキャナ)12は、X線照射部9とX線検出器10とを有し、スキャナ駆動部5により被検体配置空間11の外側で回転される。
【0013】
X線撮影手段12は、カバー手段としてのスキャナカバー13により覆われている。スキャナカバー13は、例えば図2に示すようにスキャナ駆動部5の筐体に固定されている。即ち、スキャナカバー13は、非回転部に対して固定されている。回転体であるX線撮影手段12は、スキャナカバー13内の空間で回転される。スキャナカバー13は、X線撮影手段12の回転に伴って回転される全ての要素を覆っている。なお、図1では、スキャナカバー13の断面を示している。
【0014】
また、スキャナカバー13は、第1カバー手段としての円筒状の内周カバー14と、内周カバー14の外側に配置された第2カバー手段としての円筒状の外周カバー15と、内周カバー14と外周カバー15との間の空間の底部を塞ぐ円環状の底部カバー16と、内周カバー14と外周カバー15との間の空間の頂部を塞ぐ円環状の頂部カバー17とを有している。頂部カバー17は、底部カバー16に対向するようにスキャナ駆動部5の周囲に設けられている。
【0015】
内周カバー14は、X線撮影手段12の回転軌道に沿ってX線撮影手段12の内周側に配置されている。また、内周カバー14は、被検体配置空間11に接して配置されている。さらに、内周カバー14は、例えばアクリル等のX線の吸収に影響の少ない材料により構成されている。外周カバー15は、X線撮影手段12の回転軌道に沿ってX線撮影手段12の外周側に配置されている。即ち、外周カバー15は、X線撮影手段12の回転軌道を挟み内周カバー14の外側に配置されている。また、外周カバー15は、例えばFRP等の材料により構成されている。さらに、図2に示すように、スキャナカバー13外へのX線の漏洩をより低減するため、外周カバー15には、例えば鉛等のX線吸収材15aが全周に亘って帯状に配置されている。底部カバー16及び頂部カバー17についても、例えばFRPにより構成されている。
【0016】
スキャナ駆動部5は、回転制御部18により制御される。椅子2の駆動は、椅子駆動制御部19により制御される。コリメータ8におけるX線照射範囲の調整は、コリメータ制御部20により制御される。
【0017】
X線照射部9、X線検出器10、回転制御部18、椅子駆動制御部19及びコリメータ制御部20は、画像処理部21に接続されている。画像処理部21は、X線撮影手段12により撮影された投影像を保存し断層像を再構成する。また、画像処理部21は、インタフェース22、メモリ23、ハードディスク24及びCPU(演算処理部)25を有している。インタフェース22は、X線投影像及び可視光撮影像の入出力を行うとともに、制御部18〜20との通信を行う。メモリ23には、画像データが一時的に格納される。ハードディスク24には、演算処理に必要な画像データが保存される。
【0018】
画像処理部21には、表示装置26及び外部入力装置27が接続されている。表示装置26には、X線撮影手段12により撮影された画像が表示される。画像処理部21への文字等の情報の入力は、外部入力装置27から行われる。
【0019】
次に、動作について説明する。X線照射部9及びX線検出器10が微小角度回転する毎に、X線管7からX線が照射され、被検体1を透過したX線の強度がX線検出器10によって検出される。この動作が全周分繰り返されると、100〜数100の透過X線強度データが収集される。
【0020】
X線検出器10で計測された透過X線強度データは、デジタル信号に変換された後、画像処理部21に送られる。X線検出器10から送られてきた透過X線強度データは、メモリ23に一旦格納され、その後ハードディスク24に保存される。
【0021】
投影像を表示する場合は、ハードディスク24に保存された透過X線強度データをメモリ23に読み出し、読み出されたデータを表示装置26に表示する。また、画像処理部21では、透過X線強度データの補正、フィルタリング処理及び3次元再構成演算が実行される。
【0022】
透過X線強度データの補正は、ハードディスク24に保存された透過X線強度データをメモリ23に読み出し、CPU25によってX線検出器10の感度ムラに起因する透過X線強度データの乱れを補正する。また、フィルタリング処理では、周知のShepp-Logan filter等の補正フィルタを使用して、透過X線強度データ全体がCPU25内で処理される。
【0023】
3次元再構成演算では、補正及びフィルタリングを行って得られたデータから、被検体1を表示する領域中の3次元的なX線吸収係数分布がCPU25内で演算される。3次元再構成演算により、3次元再構成画像が作成される。再構成演算の具体例としては、周知のFeldkamp法によるコーンビーム再構成演算などが挙げられる。
【0024】
3次元再構成画像は、ハードディスク24等に保存可能である。3次元再構成画像を表示する場合は、ハードディスク24等に保存された3次元再構成画像をメモリ23に読み出し、メモリ23に読み出されたデータを表示装置26に表示する。また、ハードディスク24に保存されている3次元再構成画像をメモリ23に読み出し、CPU25によって再投影演算を行うことにより、3次元再投影画像が作成される。
【0025】
3次元再投影画像は、ハードディスク24等に保存可能である。3次元再投影画像を表示する場合は、ハードディスク24等に保存された3次元再投影画像をメモリ23に読み出し、メモリ23に読み出されたデータを表示装置26に表示する。
【0026】
このようなX線断層撮影装置では、非回転部に対して固定されたスキャナカバー13が被検体配置空間の周囲に配置されており、かつ回転体であるX線撮影手段12がスキャナカバー13内に収容されているので、簡単な構造により、回転するX線撮影手段12が被検体1に接触するのを避けることができ、撮影作業の効率を向上させることができる。
【0027】
また、スキャナカバー13には外周カバー15が設けられているので、X線撮影手段12の外側に位置する機器や人との接触も容易に避けることができる。
さらに、内周カバー14は、X線の吸収に影響の少ない材料により構成されているので、スキャナカバー13を設けたことによるX線検出精度の低下を防止することができる。 さらにまた、外周カバー15にX線吸収材15aを設けたので、スキャナカバー13の外部へのX線の漏洩を効率良く低減できる。
【0028】
実施の形態2.
次に、図3はこの発明の実施の形態2によるX線断層撮影装置の要部を示す構成図である。この例では、X線撮影手段12及びスキャナカバー13の下端部が椅子2の上端部よりも下方に位置している。即ち、被検体1が椅子2に座ったときの初期段階では、X線撮影手段12及びスキャナカバー13は、被検体1の上方に位置している。そして、X線撮影時には、椅子2が図3よりも上方の撮影位置へ移動され、被検体配置空間内に被検体1が配置される。また、X線撮影後には、椅子2が図3の初期位置に戻される。即ち、椅子2は、X線撮影手段12及びスキャナカバー13よりも下方の初期位置と、初期位置よりも上方の撮影位置との間で移動可能になっている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0029】
このようなX線断層撮影装置では、被検体配置空間の全周をスキャナカバー13により囲んでも、被検体1の椅子2への移動を容易にすることができる。
【0030】
なお、上記の例では椅子2を上下動可能にしたが、X線撮影手段12及びスキャナカバー13を初期位置と初期位置よりも下方の撮影位置との間で上下動可能としてもよい。
【0031】
実施の形態3.
次に、図4はこの発明の実施の形態3によるX線断層撮影装置の要部を示す構成図である。実施の形態3のスキャナカバー13は、内周カバー14を有しているが、実施の形態1、2で示したような外周カバー15、底部カバー16及び頂部カバー17は省略されている。スキャナ駆動部5から下方へ突出したスキャナアーム6の回転軸5aは、非回転部に対して固定されているとともに、スキャナアーム6を貫通している。そして、スキャナカバー13は、例えば回転軸5aの下端部に支持され固定されている。他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0032】
このように、内周カバー14のみを有するスキャナカバー13を用いても、構造をさらに簡素化しつつ、X線撮影手段12が被検体1に接触するのを避けることができる。
また、内周カバー14を構成するアクリル等の材料に透明な材料を使用することにより、スキャナカバー13が被検体1に与える閉塞感を低減することができる。
【0033】
実施の形態4.
次に、図5はこの発明の実施の形態4によるX線断層撮影装置のスキャナカバーを示す斜視図である。実施の形態4のスキャナカバー13には、開口部13aが設けられている。開口部13aは、スキャナカバー13の周方向の一部に設けられている。具体的には、開口部13aは、椅子2(図1)の正面、即ち被検体1の正面に位置するように配置されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0034】
このようなX線断層撮影装置では、スキャナカバー13に開口部13aが設けられているので、被検体1に与える閉塞感を低減することができる。また、被検体1の椅子2への移動を容易にすることができる。
【0035】
実施の形態5.
次に、図6はこの発明の実施の形態5によるX線断層撮影装置のスキャナカバーを示す斜視図である。実施の形態5のスキャナカバー13には、開口部13aを開閉する開閉扉31が設けられている。図7は図6の開口部13aを開閉扉31により閉じた状態を示す斜視図である。
【0036】
このようなX線断層撮影装置では、被検体1が椅子2へ移動する際には開口部13aが開放され(図6)、X線撮影時には開口部13aが開閉扉31により閉じられる(図7)。また、撮影後に被検体1が椅子2から離れる場合には、開口部13aが再び開放される。従って、被検体1の椅子2への移動を容易にすることができるとともに、撮影中のX線の漏洩を防止することができる。
【0037】
実施の形態6.
次に、図8はこの発明の実施の形態6によるX線断層撮影装置の要部を示す構成図、図9は図8のスキャナカバー13を示す斜視図である。実施の形態6のスキャナカバー13は、外周カバー15の下部に設けられ被検体配置空間11の下部を囲む下部カバー32をさらに有している。即ち、スキャナカバー13により、被検体1全体の周囲がカバーされている。
【0038】
下部カバー32には、開口部32aが設けられている。開口部32aは、スキャナカバー13の周方向の一部に設けられている。具体的には、開口部13aは、椅子2(図1)の正面、即ち被検体1の正面に位置するように配置されている。また、スキャナカバー13には、開口部32aを開閉する開閉扉33が設けられている。図10は図9の開口部32aを開閉扉33により閉じた状態を示す斜視図である。他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0039】
このようなX線断層撮影装置では、スキャナカバー13に下部カバー32を設けたので、被検体1の全体の周囲をカバーすることができ、X線の漏洩をより確実に防止することができる。
また、スキャナカバー13に開口部32aと開閉扉33とを設けたので、被検体1の椅子2への移動を容易にすることができるとともに、撮影中のX線の漏洩を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施の形態1によるX線断層撮影装置を示す構成図である。
【図2】図1のスキャナカバーを示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるX線断層撮影装置の要部を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3によるX線断層撮影装置の要部を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4によるX線断層撮影装置のスキャナカバーを示す斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態5によるX線断層撮影装置のスキャナカバーを示す斜視図である。
【図7】図6の開口部を開閉扉により閉じた状態を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態6によるX線断層撮影装置の要部を示す構成図である。
【図9】図8のスキャナカバーを示す斜視図である。
【図10】図9の開口部を開閉扉により閉じた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 被検体、2 椅子(被検体支持手段)、9 X線照射部、10 X線検出器、11 被検体配置空間、12 X線撮影手段、13 スキャナカバー(カバー手段)、14 内周カバー(第1カバー手段)、15 外周カバー(第2カバー手段)、15a X線吸収材。
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成16年8月9日(2004.8.9)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照

【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治

【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利

【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七

【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順

【公開番号】 特開2006−43350(P2006−43350A)
【公開日】 平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願番号】 特願2004−232481(P2004−232481)