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【発明の名称】 浴槽用ハンドグリップ
【発明者】 【氏名】佐々木 健二
【住所又は居所】千葉県佐倉市大作2丁目5番地1 東陶バスクリエイト株式会社内

【要約】 【課題】ハンドグリップが取り付けられる浴槽側の取付面の少なくとも一方が曲面に形成された浴槽、又は両取付面が互いに平行でない浴槽に対しても取り付け可能で、入浴者の入浴形態、入浴姿勢、体格差等に影響されずに使用することができる浴槽用ハンドグリップを提供する。

【解決手段】入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、上記着座面の少なくとも一方は、対向する上記取付部位の形状に追従して湾曲する曲面に形成され、一方の着座面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、他方の着座面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設された取設されたインサートボルトとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、
上記着座面は、相互に平行ではない平面に形成され、
一方の着座面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、
他方の着座面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設された取設されたインサートボルトと、
を備えることを特徴とする浴槽用ハンドグリップ。
【請求項2】
入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、
上記着座面の少なくとも一方は、対向する上記取付部位の形状に追従して湾曲する曲面に形成され、
一方の着座面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、
他方の着座面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設された取設されたインサートボルトと、
を備えることを特徴とする浴槽用ハンドグリップ。
【請求項3】
入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、
上記着座面の少なくとも一方は、対向する上記取付部位の形状に追従して湾曲する曲面に形成され、
該曲面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該曲面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、該曲面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該曲面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートボルトと、
他方の着座面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該着座面の法線と一致し且つ上記インサートナット及びインサートボルトのいずれかの中心軸線と平行に上記取付部に埋設されたインサートボルトと、
を備えることを特徴とする浴槽用ハンドグリップ。
【請求項4】
入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、
上記着座面の少なくとも一方は、対向する上記取付部位の形状に追従して湾曲する曲面に形成され、
該曲面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該曲面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、及び該曲面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該曲面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートボルトと、
他方の着座面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該着座面の法線と一致し且つ上記インサートボルトの中心軸線と平行に上記取付部に埋設されたインサートボルトと、
を備えることを特徴とする浴槽用ハンドグリップ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽用ハンドグリップに係り、特にハンドグリップが取り付けられる浴槽側の取付面の少なくとも一方が曲面に形成された浴槽、又は両取付面が互いに平行でない浴槽に対しても取り付け可能なハンドグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般住戸の浴室や浴室ユニットに設置される浴槽として、近年、半身浴に利用される半身浴ステップ付きのものが提供されるようになっている。
【0003】
このタイプの浴槽には、例えば図11に示すように、浴槽101の長手方向の一端に、底部102より略170〜180mm高く、入浴者が腰掛けることができる半身浴ステップ103が設けられる。
【0004】
また、よりリラックスした入浴を楽しめるように、入浴者が肘を置くことのできるアームレストを有する浴槽も多くなっている。半身浴ステップ付の浴槽では、例えば同図に示すように、半身浴ステップ103側の両側面104,104に、浴槽101天端のリム105とステップ103との高さ方向中間に段部が設けられ、半身浴アームレスト106が形成される。一方、ステップ103と反対側端部の両側面104,104には、リム105と底部101との高さ方向中間に段部が設けられ、底部102に腰を下ろして全身を湯に浸ける全身浴時に肘を置くことができる全身浴アームレスト107が形成される。
【0005】
半身浴アームレスト106は、全身浴アームレスト107より、ステップ103と底部102との高さの差だけ高い位置に設けられ、両者は、滑らかな曲線を描いた接続部108を介して接続されている。これにより、入浴者は、各自の体格や好みに合わせて、所望の位置に肘を置くことができる。
【0006】
さらに、入浴者が浴槽への出入り時に転倒することを防止するために、例えば図11に示すように、入浴者が把持することが可能なハンドグリップ109が設けられた浴槽も多々見られる。
【0007】
しかしながら、同図に示すように、ハンドグリップを垂直又は垂直に近い状態で取り付けると、浴槽101の一端に背を持たせ掛けた状態から背を起こして腰を上げる際には掴み易いものの、一旦立ち上がって浴槽を跨ぐ際には持ち難い。
【0008】
反対に、ハンドグリップ109を、浴槽の側面104の長手方向略中央に、リム105近くの高さで水平に取り付けると、浴槽101に入る時或いは出る時に立っている状態では掴み易いものの、浴槽101から腰を上げる際には、腕を肩より上に上げることもあって掴み辛い。さりとて、ハンドグリップ取付位置を低くすると、立ち上がった状態では腰を屈めて掴むことになり使い辛い。
【0009】
また、従来のハンドグリップは比較的寸法が短く、立ち上がる時や姿勢を変える場合の補助具としてハンドグリップを使用する場合に、入浴者の体格の大小や入浴姿勢によっては、遠すぎたり近すぎたりして容易にハンドグリップを握ることができないという問題もある。
【0010】
そこで、この問題に対応するために、寸法の長いハンドグリップが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この寸法の長いハンドグリップを採用することは、入浴者の座する位置が全身浴と半身浴とで異なるこのタイプの浴槽にあっては、全身浴及び半身浴の両方の入浴方法で使用でき、この問題解決には有効である。
【0011】
しかしながら、寸法の長いハンドグリップを、アームレストを有する浴槽に採用すると、半身浴アームレスト106と接近して、アームレスト106に肘を置く際邪魔になる。さりとて、アームレストの側面に取り付けると、取付位置が低くなって使い辛いばかりでなく、浴槽の有効幅が狭くなって窮屈になる。
【0012】
とすれば、寸法の長いハンドグリップを、アームレストの接続部上に接続部と一体となるように取り付けることが、アームレスト及び長いハンドグリップの機能を最も高めることができる方法といえる。この場合、ハンドグリップを浴槽の側面に取り付ける構造とすると、接続部との一体感が減殺されてアームレスト上に肘を置くときに目障りになるばかりでなく、ハンドグリップの取付部が側方から延出するので、その取付部を上から掴むことはできない。これを接続部上に取り付ける構造とすれば、取付部も上から掴め、接続部との一体感も高まり、且つハンドグリップとしての有効長さをより大きくすることができる。
【0013】
しかしながら、ハンドグリップの左右2箇所の取付部が接続部に当接する面は、両取付部間の距離が長いこともあって、必ずしも平行に形成されるとは限らない。また、ハンドグリップは、清掃性を重視して取り付けを望まない使用者もあり、ハンドグリップが取り付けられない場合でも意匠性が低下しないように、アームレストの接続部は滑らかな略S字状の曲線に形成される。このように、ハンドグリップの左右2箇所の取付部が接続部に当接する面の形状、曲率及び/又はこの面が指向する向き等も異なるので、ハンドグリップの取付構造に問題が生じる。
【0014】
すなわち、ハンドグリップ108の取付構造として、従来、図12(a)に示すように、内部にインサートナット112が仕込まれ、これに浴槽101の側面104に穿設された孔に挿入されたボルト113を螺合させて取り付けるものと、図12(b)に示すように、内部にインサートボルト110が仕込まれ、これを浴槽101の側面104に穿設された孔に挿入し、ナット111を螺合させて取り付けるものとがある。
【0015】
このうち、取付部に仕込まれるインサートボルト110は、浴槽の取付孔に2本のボルトを同時に挿入するために、互いに平行でなければならない(例えば、特許文献2参照。)。一方、インサートナット111を仕込むタイプの取付構造では、取付時にこそこのような問題は生じないが、ハンドグリップ製作時において、2本のインサートナットを金型に固定する2本のピンを引き抜くには、やはり両者を平行に仕込まなければならない。スライド型の金型を採用することによりこの問題を回避することは可能であるが、スライド型の金型は高価であるため、採用するにしても最小限の箇所に止めたい。
【特許文献1】特開平11−187982号公報
【特許文献2】特開平11−244172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
また、ハンドグリップは、半身浴アームレストより高くなってはアームレストがその役割を果たせなくなってしまうので、アームレストの最上部から高くならない形状にしなければならない。そうすると、ハンドグリップは、半身浴アームレストから全身浴アームレストへ向かって略水平方向に延出する形状と成らざるを得なくなるが、これが新たな問題を生み出す。
【0017】
まず、このような取付形状にするには、取付部分を薄くしなければならないが、そうすると、インサートナットは、インサートボルトよりも仕込み高さが必要となるので、インサートナットを仕込む高さを確保することが困難となる。
【0018】
また、寸法の長いハンドグリップでは、ハンドグリップが取り付いた状態で、左右に揺する方向に働くモーメントも大きくなるので、これに対抗するために、取付面を大きくしたい。この場合、ハンドグリップが取り付けられる浴槽との密着性を上げるために、少なくとも特に取付面が大きくなる半身浴アームレスト側の取付部では、2箇所で固定したい。とすれば、これら3本のインサートボルト又はインサートナットの位置関係、平行関係も問題となる。
【0019】
この問題は、単に半身浴ステップ及びアームレストを備える浴槽に対して寸法の長いハンドグリップを取り付ける場合に限られず、複雑な形状を有する浴槽に、ハンドグリップを取り付ける場合全般に共通するものであるが、今までは、同一平面上にある2箇所で固定する、或いは、同一の中心、曲率の同一曲面上にある2箇所で固定する等単純な取付構造しか検討されなかった。
【0020】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ハンドグリップが取り付けられる浴槽側の取付面の少なくとも一方が曲面に形成された浴槽、又は両取付面が互いに平行でない浴槽に対しても取り付け可能で、入浴者の入浴形態、入浴姿勢、体格差等に影響されずに使用することができる浴槽用ハンドグリップを提供することを目的とするものである。
【0021】
本発明はまた、取付面の少なくとも一方が曲面に形成され、且つ大きい取付面を必要とする浴槽に対しても取り付け可能な浴槽用ハンドグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る浴槽用ハンドグリップは、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、上記着座面は、相互に平行ではない平面に形成され、一方の着座面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、他方の着座面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設された取設されたインサートボルトとを備えるものである。
【0023】
そして、本発明に係る浴槽用ハンドグリップは、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、上記着座面の少なくとも一方は、対向する上記取付部位の形状に追従して湾曲する曲面に形成され、一方の着座面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、他方の着座面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該着座面の法線と一致するように上記取付部に埋設された取設されたインサートボルトとを備えるものである。
【0024】
また、上述した課題を解決するために、請求項3に係る浴槽用ハンドグリップは、入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、上記着座面の少なくとも一方は、対向する上記取付部位の形状に追従して湾曲する曲面に形成され、該曲面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該曲面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、該曲面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該曲面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートボルトと、他方の着座面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該着座面の法線と一致し且つ上記インサートナット及びインサートボルトのいずれかの中心軸線と平行に上記取付部に埋設されたインサートボルトとを備えるものである。
【0025】
さらに、上述した課題を解決するために、請求項4に係る浴槽用ハンドグリップは、入浴者が把持可能な形状に成形された把持部と、該把持部の両端から延出した取付部の端部がそれぞれ浴槽の対応する取付部位に当接する着座面とを有する浴槽用ハンドグリップにおいて、上記着座面の少なくとも一方は、対向する上記取付部位の形状に追従して湾曲する曲面に形成され、該曲面に雌ねじ部が開口しその中心軸線が該曲面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートナットと、該曲面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該曲面の法線と一致するように上記取付部に埋設されたインサートボルトと、他方の着座面に雄ねじ部が突出しその中心軸線が該着座面の法線と一致し且つ上記インサートボルトの中心軸線と平行に上記取付部に埋設されたインサートボルトとを備えるものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る浴槽用ハンドグリップによれば、ハンドグリップが取り付けられる浴槽側の取付面の少なくとも一方が曲面に形成された浴槽、又は両取付面が互いに平行でない浴槽に対しても取り付け可能で、入浴者の入浴形態、入浴姿勢、体格差等に影響されずに使用することが可能となる。
【0027】
本発明に係る浴槽用ハンドグリップによれば、また、取付面の少なくとも一方が曲面に形成され、且つ大きい取付面を必要とする浴槽に対しても取り付けることができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る浴槽用ハンドグリップの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る浴槽用ハンドグリップ9を備える浴槽1の概要を示す斜視図であり、図2はその平面図、図3は浴槽1の長手方向縦断面図、図4は同短手方向縦断面図である。
【0029】
浴槽1は、入浴者が全身浴を享受するときに腰を下ろせる底部2の四周から側面4が上方に立ち上げられ、その上端は外方に拡開してリム3が形成される。そして、浴槽1の長手方向の一端に、底部2より略170〜180mm高く、入浴者が半身浴を享受するときに腰掛けることができる半身浴ステップ3が設けられる。この半身浴ステップ3は、全身浴時の足置きとしても利用される。
【0030】
浴槽1の半身浴ステップ3と対向する側の側面4頂部は、リム5との接続部が緩やかに傾斜してヘッドレスト20が形成され、全身浴時にリラックスした姿勢で入浴できるようになっている。
【0031】
また、浴槽1には、よりリラックスした入浴を楽しめるように、入浴者が肘を置くことのできるアームレストが設けられている。半身浴ステップ3側の両側面4,4には、浴槽1天端のリム5から一段低いところに段差状の平坦面が設けられ、半身浴ステップ3に腰掛ける半身浴時に入浴者が肘を置くことができる半身浴アームレスト6が形成される。
【0032】
一方、ステップ3と反対側端部の両側面4,4には、リム5と底部1との高さ方向中間に段差状の平坦面が設けられ、底部2に腰を下ろす全身浴時に入浴者が肘を置くことができる全身浴アームレスト7が形成される。
【0033】
半身浴アームレスト6は、全身浴アームレスト7より、半身浴ステップ3と底部2との高さの差だけ高い位置に設けられ、両者は、滑らかな曲線を描いた接続部8を介して接続されている。これにより、入浴者は、各自の体格や好みの姿勢に合わせて、所望の位置に肘を置くことができ、安定した姿勢で入浴することが可能となる。
【0034】
さらに、入浴者が浴槽1への出入り時に転倒することを防止する等のために、入浴者が容易に把持することができるハンドグリップ9が設けられる。本発明を構成するこのハンドグリップ9について、図5を参照して説明する。図5(a)はハンドグリップ9の上面図、図5(b)は同側面図、図5(c)は同じく下面図である。
【0035】
ハンドグリップ9は、図5(b)に示すように、中央において入浴者が把持可能な形状に成形された把持部9aと、この把持部9aの端部から延出して、浴槽1の全身浴アームレスト7側へ取り付けられる下側取付部9bと,同じく半身浴アームレスト6側に取付られる上側取付部9cとにより構成され、全体としてアーチ状に形成される。
【0036】
ハンドグリップ9は、半身浴ステップ3側の取付部9cと半身浴アームレスト6とが略同等高さとされるとともに、取付部9cがアームレスト6の表面とほぼ連続した滑らかな曲面となるように形成される。このように形成されることにより、半身浴アームレスト6に肘を置いた姿勢で、手先で自然にハンドグリップ9を握ることができ、さらにリラックスした姿勢での入浴が可能となる。
【0037】
また、浴槽1の半身浴ステップ3側に設けた半身浴アームレスト6に肘を置いた姿勢でハンドグリップ9を把持することが可能なことから、半身浴時の入浴者の姿勢が効果的に安定するだけでなく、半身浴からの立ち座りが自然にできて安心して入浴することができる。さらに、浴槽1への出入りに際してもハンドグリップ9を握ることができるので、姿勢が安定し、よりスムーズ且つ安全に浴槽1に出入りすることができる。
【0038】
また、ハンドグリップ9を握ることにより、姿勢を安定させることができるので、半身浴時における腰の滑り込み等も防止され、安心して入浴することができる。
【0039】
一方、ハンドグリップ9の他端、すなわち下側取付部9bは、全身浴アームレスト7の表面に対し一定の角度を持って立ち上がるような位置関係に固定される。
【0040】
入浴者が全身浴に際し、底部2に腰を落としている際に、全身浴アームレスト7に肘を置けば、手先はハンドグリップ9の下側取付部9b近傍に位置することになり、自然にハンドグリップ9を握ることができる。そして、立ち上がった後は、ハンドグリップ9を握った手を把持部9aに沿って上側取付部側へと滑らせれば、全身浴からの立ち座りが自然にできて安心して入浴することができる。
【0041】
一方、入浴者が、浴槽1の底部2に着座して全身浴する場合、半身浴ステップ3を足置きとして使用することができる。この際、全身浴アームレスト7に肘を置いてハンドグリップ9を把持することによって、全身浴時の姿勢が安定する。したがって、よりリラックスした入浴感を得ることができる。
【0042】
このように、把持部9aの形状は、下側取付部9bから上側取付部9cに亘って緩やかな曲率の弓形に成形されており、入浴姿勢や入浴者の身長差に対して幅広く対応可能で、把持部9aのどの部分においても使用感が良好である。
【0043】
下側取付部9b及び上側取り付け部9cの端部が浴槽1の対応する取付部位に当接する面は、図5(b)及び(c)に示すように、浴槽1の対向する取付部位の形状に追従して湾曲して、それぞれ下側着座面9d、上側着座面9eが形成される。これら下側着座面9d、上側着座面9eは、その全面で浴槽1側の取り付け部位と当接する。
【0044】
下側取付部9bには、下側着座面9dにその雌ねじ部12aが開口するインサートナット12が埋設される。このインサートナット12の中心軸線は、下側着座面9dのその部位の法線と一致するように設けられている。
【0045】
また、上側取付部9cには、上側着座面9eにその雌ねじ部12aが開口するインサートナット12と、同じくその雄ねじ部10aが突出するインサートボルト10が埋設される。これらインサートナット12及びインサートボルト10の中心軸線は、下側着座面9dのそれぞれが位置する部位の法線と一致するように設けられている。
【0046】
そして、下側着座面9dのインサートナット12は、ハンドグリップ9が浴槽1に取設され、その浴槽1が所定の位置に水平に載置された状態における鉛直線Vからθ1傾斜して取り付けられ、上側着座面9eのインサートボルト10もこの傾斜角θ1に合わせて取り付けられる。この平行関係は、先に上側着座面9eのインサートボルト10の傾斜角を決定し、下側着座面9dのインサートナット12の傾斜角をそれに合わせることによって確保してもよい。
【0047】
このとき、上側着座面9eのインサートナット12の傾斜角は、上側着座面9eが曲面であるため、インサートボルト10の傾斜角θ1と等しくなることはなく、上側着座面9eのインサートナット12は、異なる傾斜角θ2で取り付けられる。
【0048】
次に、ハンドグリップ9の浴槽1への取り付け手順を、図6を参照して説明する。取り付け前に、準備作業として、パッキン14が、雄ねじ部10a及び雌ねじ部12aに当たる部分を除いて、下側着座面9d及び上側着座面9eに貼着される。
【0049】
そして、インサートボルト10の雄ねじ部10aを、浴槽1の半身浴アームレスト6近傍に穿設された取付孔19に挿入し、この雄ねじ部10aに、浴槽1裏面から、座金15及び座金パッキン16を外嵌した後、ナット11を螺嵌させてインサートボルト10を固定する。
【0050】
インサートナット12の場合、取付孔19に、浴槽1裏面からボルト13を挿通してこれを保持しつつ、インサートナット12をその位置まで持って行く作業が必要となるが、このようにインサートボルト10を使用すれば、ハンドグリップ9の取り付け位置を容易に確定することができる。
【0051】
インサートボルト10が固定されれば、続いて、下側着座面9d及び上側着座面9eのインサートナット12を固定する。このとき、インサートナット12は、取付孔19上にあるので、浴槽1裏面から、座金15及び座金パッキン16が外嵌されたボルト13を雌ねじ部12aに容易に螺合させることができる。
【0052】
次に、着座面の少なくとも一方が曲面に形成される場合における、下側着座面9d及び上側着座面9eの固定方法の関係について説明する。この両者の固定方法としては、図7(a)に示すように、2本のインサートボルト10を用いる第1の方法、同図(b)に示す2本のインサートナット12を用いる第2の方法、及び、同(c)に示すように、インサートボルト10とインサートナット12とを併用する第3の方法とがある。
【0053】
第1の方法では、位置決めが容易であるという長所はあるももの、2本のインサートボルト10,10が、必ず略同じ傾斜角θ1で固定されなければならないという短所もある。この傾斜角がある程度以上大きく異なると、2つの雄ねじ部10a,10aを同時に取付孔19,19に挿入することができなくなるからである。
【0054】
これに対し、第2の方法ではこのような問題は生じず、少々傾斜角が異なっても取り付けることは可能である。但し、ハンドグリップ9の製作時において、傾斜角が異なると通常の金型では脱型することができないので、スライド金型を採用せざるを得なくなり、これはコストアップに直結する。
【0055】
また、ボルト13をインサートナット12に堅固に固定するには、両者を一定以上の長さで螺合させる必要があり、そのため、インサートナット12自体にも一定以上の長さが要求される。したがって、図7(b)に示すように、取付部に十分な高さを取れない場合には採用することができない。本実施形態の上側取り付け部9cがこの場合に当たる。
【0056】
その点、第3の方法は、図7(c)に示すように、取付部の高さが制限される側にインサートボルトを配置することにより、傾斜角を同一にする必要性もなければ、位置決めも容易となり、第1及び第2の方法の長所を併せ持つ方法であるといえる。
【0057】
続いて、本実施形態における上側取付部9cの場合のように、その着座面が大きいことから、2本以上のインサートボルト10及び/又はインサートナット12を必要とするときの固定方法について説明する。このときの固定方法としては、図7に示した場合と同様に、図8(a)に示す2本のインサートボルト10を用いる第1の方法、同図(b)に示す2本のインサートナット12を用いる第2の方法、及び、同(c)に示すように、インサートボルト10とインサートナット12とを併用する第3の方法とがある。
【0058】
第1の方法は、着座面が曲面であるため傾斜角を同一にすることはできないので採用するを得ず、第2の方法でも、着座面が曲面であるため傾斜角は必ず異なり、スライド金型の採用が必須となる外、取付部の高さ制限の問題もある。したがって、ここでもインサートボルト10とインサートナット12との併用が最も優れたものとなる。
【0059】
以上より、上述した二つのケースを組み合わせた場合、すなわち、着座面の少なくとも一方が曲面に形成され、且つ、その着座面に2本のインサートが必要とされる場合においては、図6に示したインサートの組み合わせが最適であるといえる。なお、下側取付部9bのインサートナット12を、図9に示すように、インサートボルト10とすることも可能である。
【0060】
このように、3本のインサートボルト/インサートナットの組み合わせとしては八つの場合があるが、実用できるのは、これら二つの場合に限られる。但し、上側取付部9cに高さの制限がなければ、上側取付部9cのインサートボルト10とインサートナット12とを入れ替えることは可能である。
【0061】
これをさらに発展させた、両方の着座面が曲面に形成され、且つ、両方の着座面に2本のインサートが必要とされる場合はどうか。この場合は、図10に示すように、それぞれの着座面には、1本のインサートボルト10と1本のインサートナット12とが埋設され、両着座面間の関係では、2本インサートボルト10,10の傾斜角の同一が最優先されることになる。このとき、2本のインサートナット12,12の傾斜角の同一性は必ずしも要求されないが、スライド金型の採用を回避することができるので、同一とすることが望ましい。
【0062】
以上に説明した実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0063】
例えば、本実施形態においては、浴槽のハンドグリップ取付面が曲面に形成された場合を例に採って説明したが、取付面の形状はこれに限られず、両取付面が互いに平行でない場合にも採用することができる。
【0064】
また例えば、本実施形態においては、半身浴ステップとアームレストを有する浴槽に取り付けるハンドグリップを例に採って説明したが、取り付けられる浴槽はこれに限られず、平面形状が円形の浴槽や、或いは複雑な形状に形成されたプールに取り付けられるハンドグリップ等にも採用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る浴槽用ハンドグリップを備える浴槽の実施形態の概要を示す斜視図。
【図2】図1に示された浴槽の平面図。
【図3】図1に示された浴槽のA−A矢視図。
【図4】図1に示された浴槽のB−B矢視図。
【図5】本実施形態に係る浴槽用ハンドグリップの(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は下面図。
【図6】本実施形態に係る浴槽用ハンドグリップの取付詳細図。
【図7】浴槽用ハンドグリップの取付構造の例を示す図で、(a)はインサートボルト2箇所、(b)はインサートナット2箇所、(c)はインサートボルト/インサートナットを用いた取付状態を示す図。
【図8】浴槽用ハンドグリップの一方の着座面に対し2箇所で固定する場合の例を示す図で、(a)はインサートボルト2箇所、(b)はインサートナット2箇所、(c)はインサートボルト/インサートナットを用いた取付状態を示す図。
【図9】本実施形態に係る浴槽用ハンドグリップの変形例を示す図。
【図10】本実施形態に係る浴槽用ハンドグリップの他の変形例を示す図。
【図11】従来の浴槽用ハンドグリップの取付状態の一例を示す図で、(a)は平面図、(b)は浴槽の縦断面図。
【図12】従来の浴槽用ハンドグリップの取付構造を示す図であり、(a)はインサートナットを用いる場合、(b)はインサートボルトを用いる場合をそれぞれ示す図。
【符号の説明】
【0066】
1 浴槽
2 底部
3 半身浴ステップ
4 側面
5 リム
6 半身浴アームレスト
7 全身浴アームレスト
8 接続部
9 ハンドグリップ
9a 把持部
9b 下側取付部
9c 上側取付部
9d 下側着座面
9e 上側着座面
10 インサートボルト
10a 雄ねじ部
11 ナット
12 インサートナット
12a 雌ねじ部
13 ボルト
14 パッキン
15 座金
16 座金パッキン
19 取付孔
20 ヘッドレスト
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号
【出願日】 平成17年2月28日(2005.2.28)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三

【識別番号】100077757
【弁理士】
【氏名又は名称】猿渡 章雄

【識別番号】100122253
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 潤一

【公開番号】 特開2006−238942(P2006−238942A)
【公開日】 平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願番号】 特願2005−54905(P2005−54905)