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【発明の名称】 衣類用ハンガー
【発明者】 【氏名】荒木 忠志
【住所又は居所】山口県防府市鐘紡町4番1号 カネボウ合繊株式会社内

【氏名】岡田 芳夫
【住所又は居所】東京都港区海岸三丁目20番20号 カネボウ合繊株式会社内

【要約】 【課題】通常のハンガー形状でありながら、吸湿性能に優れ、繰り返しの使用も可能な衣類用ハンガーを提供する。

【解決手段】ハンガー形状を保持する部材と吸放湿性繊維を含有する中綿(5)とフック(3)からなる衣類用ハンガーにより解決される。さらに好ましい実施の態様としては、ハンガー形状を保持する部材が心棒に位置し(4)、吸放湿性繊維を含有する中綿(5)と通気性を有する表面材(2)とフックからなる衣類用ハンガー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンガー形状を保持する部材と吸放湿性繊維を含有する中綿とフックからなる衣類用ハンガー。
【請求項2】
ハンガー形状を保持する部材が心棒に位置し、吸放湿性繊維を含有する中綿と通気性を有する表面材とフックからなる請求項1に記載の衣類用ハンガー。
【請求項3】
肩部の太さが15mm〜80mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の衣類用ハンガー。
【請求項4】
前記中綿に使用する繊維の繊度が3dtex〜15dtexであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣類用ハンガー。
【請求項5】
前記表面材の表面に吸湿により色が変化する湿度センサを取り付けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衣類用ハンガー。
【請求項6】
前記吸放湿性繊維が架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩系繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣類用ハンガー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、掛けるだけで使用後の衣服から水分を除去することができる衣類用ハンガーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間はじっとしていても不感蒸泄により一日あたり850gの汗をかくと言われている。さらに、夏には通常の日常生活をするだけで一日6Lもの汗をかくと言われている。したがって、衣服は汗を吸収し、湿った状態となる。下着やTシャツなどの家庭で容易に洗濯できるもの、あるいはYシャツなどの毎日着替えるものはであれば大きな問題とはならない。しかし、スーツや背広、ジャケットなどの家庭での洗濯が容易でないもの、あるいは二日、三日と続けて着用するものの場合は、湿った衣服をそのままハンガーに掛けて洋服ダンスに入れると、翌日使用する際に湿気が抜けきれておらず、不快に感じるばかりか、他の使用していない衣服に湿気が移る恐れもある。さらには、このまま長期間放置しておくとカビが発生する恐れもある。
【0003】
そこで、特許文献1には、ハンガーに吸湿性を持たせ、そのハンガーに使用後の衣服を掛けることにより衣服が吸収した湿気を除去することのできる衣類用ハンガーが記載されている。しかしながら、ここで使用されている乾燥剤は繰り返しの使用ができないため、吸湿後は乾燥剤を交換する必要があった。
【0004】
また、特許文献2には天日乾燥により繰り返し使用のできる消臭除湿具が記載されている。消臭剤および除湿剤を担持させたシ−トをハンガーに掛け、その上に衣服を掛けて使用することにより、衣服から湿気および臭いを除去し、さらに天日に晒すことにより消臭および除湿機能が回復するものである。しかしながら、該消臭除湿具は粒状の消臭剤、除湿剤を大量に使用しているため、重量が重く、また、シートが破れた時に剤がこぼれ落ちるといった欠点がある。
【0005】
【特許文献1】実開昭62−136870号公報
【特許文献2】特開2002−165693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解消し、通常のハンガー形状でありながら、吸湿性能に優れ、繰り返しの使用も可能な衣類用ハンガーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、ハンガー形状を保持する部材と吸放湿性繊維を含有する中綿とフックからなる衣類用ハンガーにより解決され、さらにはハンガー形状を保持する部材が心棒に位置し、吸放湿性繊維を含有する中綿と通気性を有する表面材とフックからなる衣類用ハンガーにより解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の衣類用ハンガーに汗等を吸収した上着を掛けることにより、ハンガーが上着から水分を吸収し、翌日も快適に上着を着用することができる。さらに、上着から水分を吸収した後のハンガーは天日乾燥することにより吸湿力を再生することができ、繰り返して
使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ハンガー形状とは、衣服の形態を損なうこと無く衣服を吊り下げられるハンガーの形状を言い、通常のハンガーの形状や、ズボンやスカートを吊り下げられる形状のものも含まれる。
【0010】
ハンガー形状を保持する部材としては、ハンガーの形状を保持し得れば良く、例えばハンガーの中心部に心材として位置する心棒の形態や、ハンガーの形状を保持しながら同時に衣服と直接接し維持する外装に位置する外骨格形態、あるいは、心棒と外骨格形態との中間形態でもよい。ハンガー形状を保持する部材の素材は特に限定することなく、形状が保持できるものであればよい。例えば、木またはプラスチック、金属などが使用できる。
【0011】
ハンガー形状を保持する部材が心棒の形態を取る場合、例えば図1および図2に示すような吸放湿性繊維を含有する中綿と通気性を有する表面材とフックからなる衣類用ハンガーとするのがよく、衣服の除湿を通気性を有する表面材を通して行うこととなる。
【0012】
ハンガーの形状を保持する部材が外骨格形態をとる場合、その内部に吸放湿性繊維を含有する中綿を位置させるのがよく、衣服の除湿を外骨格形態の部材を通して行うこととなる。この場合、外骨格形態の部材は、例えば図3および図4に示すようなメッシュ構造や細孔構造、一部オープン構造などの通気可能な形態を取る。
【0013】
ハンガーの形状を保持する部材が心棒と外骨格形態との中間形態をとる場合としては、例えばハンガーの肩部の上面がハンガーの形状を保持する部材であり、下面が吸放湿性繊維を含有する中綿と通気性を有する表面材からなるものが挙げられる。
【0014】
中綿に使用する吸放湿性繊維とは、周囲の湿度環境に応じて吸湿・放湿を行なう繊維である。好ましくは20℃、95%RHにおける吸湿率と20℃、40%RHにおける吸湿率の差が40重量%以上のものである。吸湿率の差が40重量%以上の場合は湿った衣服からの湿気をよく吸収し、吸収した湿気を天日乾燥により容易に放湿することができる。
【0015】
なお、上記「吸湿率」とは、各条件下で繊維を24時間放置して吸湿させた時の重量とその繊維の絶乾質量との差をその繊維の絶乾質量で除したときの値である。また、「RH」とは「相対湿度」の意味である。
【0016】
上記特性を備えた吸放湿性繊維の例としては、架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩系繊維、アクリル繊維の表面を後加工により加水分解した繊維などがあげられる。これらの繊維は単独でまたは2種以上を併用してもよい。
【0017】
吸放湿性繊維の市販品としては、例えばカネボウ合繊(株)製、商品名「ベルオアシス」や東洋紡績(株)製、商品名「N−38」等が挙げられる。特にベルオアシスは20℃、95%RHにおける吸湿率が140重量%、40%RHにおける吸湿率が22重量%で、その差が100重量%を超え、さらに該繊維は吸湿速度と放湿速度がほぼ同じであり、吸湿した湿気を短時間で放湿させることが可能である。
【0018】
中綿中の吸放湿性繊維の含有率は任意であるが、好ましくは20〜90重量%である。この範囲内であれば優れた吸放湿性能を発揮することができる。さらに好ましくは30〜70重量%である。
【0019】
中綿に使用する吸放湿性繊維以外の繊維の種類は特に限定しない。合成繊維、天然繊維
、再生繊維等、全ての繊維を使用することができる。また、中空繊維、難燃繊維、消臭繊維、防カビ繊維等の機能性繊維を使用することにより、それぞれの機能を付与することもできる。これらの繊維は2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
中綿に使用する繊維の繊度は特に限定しないが、好ましくは3〜15dtexである。この範囲内であれば繊維の絡みがよく、また、繊維のへたりが少ないため衣服を掛けた場合にも衣服内の空間を保持することができる。さらに好ましい範囲は6〜12dtexである。
【0021】
中綿の形状としては吸放湿性繊維とその他の繊維を混綿したものをそのまま使用することもできるが、玉綿状あるいは不織布状が好ましい。
【0022】
中綿には必要に応じて、例えば粉末あるいは粒状の難燃剤、消臭剤、抗菌剤、防カビ剤等の各種の添加剤を添加することもできる。
【0023】
表面材に使用する素材は通気性のあるものであればよく、例えば、合成繊維、天然繊維、再生繊維等からなる織編物や不織布、あるいはプラスチックに通気孔を開けたものなどがあげられる。
【0024】
本発明の衣類用ハンガーは肩部の太さが15〜80mmの範囲内であることが好ましい。肩部の太さが15〜80mmの範囲内であると衣類を掛けた際に衣類の内側に適度な空間を保持することができるため衣類内での空気の循環を確保でき、効率的に吸湿を行なうことができる。さらに好ましい範囲は25〜60mmである。
【0025】
本発明の衣類用ハンガーには吸湿の度合いにより色が変化する湿度センサを取り付けてもよく、センサを付けることによりハンガーの乾燥時期を容易に確認することが可能となる。湿度センサとしては、二塩化コバルト、臭化コバルト、塩化ニッケル等の感湿剤を織編物、不織布あるいは紙などの布帛に塗布したものが使用できる。二塩化コバルトを使用した場合は乾燥時には青色を呈し、吸湿により淡赤色に変化する。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例を図1〜4を用いて詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
図1はハンガー形状を保持する部材が心棒の形態を取る場合の一例である。図1において1は衣類用ハンガー本体である。2は心棒および中綿を包んでいる通気性を有する表面材、3はフックである。ハンガー本体の肩部の太さは40mmとした。表面材2には目付け170g/mのアクリル製ニットを使用した。
【0028】
次に、図1の切欠部を有する形態を示したものである図2を用いて、本実施例の内部構造を説明する。
【0029】
4は形態保持のために使用される心棒、5は吸放湿性繊維を含有する中綿である。心棒4には木材を使用した。また、中綿5にはカネボウ合繊(株)製高吸放湿性繊維「ベルオアシス」10dtex、51mmとレギュラーポリエステル6.7dtex、51mmを50:50の混合比で混綿したものを直径10mm程度の玉綿状にしたものを使用した。
【0030】
(実施例2)
図3はハンガーの形状を保持する部材が外骨格形態をとる場合の一例である。図3にお
いて1は衣類用ハンガー本体である。6は中綿を覆っている通気孔を有する外骨格形態の表面材、7は外骨格形態の表面材に設けられたメッシュ状通気孔、3はフックである。ハンガー本体の肩部の太さは50mmとした。表面材6にはポリプロピレンを使用した。メッシュ状通気孔7は楕円形状とし、長軸を40mm、短軸を10mmとした。また、メッシュは1mm角の格子状とした。
【0031】
次に、図3の切欠部を有する形態を示したものである図4を用いて、本実施例の内部構造を説明する。
【0032】
5は吸放湿性繊維を含有する中綿である。中綿5には実施例1と同様の組成・形状のものを使用した。
【0033】
本実施例は以上の構成であり、上着を掛けて使用する。上着を掛けるのみで上着から水分を吸収し、翌日も快適に上着を着用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の衣類用ハンガーは主に一般家庭で使用する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態にかかる一実施例の正面図
【図2】図1の切欠部を有する正面図
【図3】本発明の他の実施形態にかかる一実施例の正面図
【図4】図3の切欠部を有する正面図
【符号の説明】
【0036】
1 衣類用ハンガー本体
2 通気性を有する表面材
3 フック
4 心棒
5 吸放湿性繊維を含有する中綿
6 通気孔を有する外骨格形態の表面材
7 外骨格形態の表面材に設けられたメッシュ状通気孔
【出願人】 【識別番号】000000952
【氏名又は名称】カネボウ株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区墨田五丁目17番4号
【識別番号】596154239
【氏名又は名称】カネボウ合繊株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区梅田一丁目2番2号
【出願日】 平成16年8月19日(2004.8.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−55304(P2006−55304A)
【公開日】 平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願番号】 特願2004−239105(P2004−239105)