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【発明の名称】 ヘッドレスト
【発明者】 【氏名】横田 隆介
【住所又は居所】愛知県安城市今池町三丁目1番36号 株式会社イノアックコーポレーション安城事業所内

【要約】 【課題】表皮材の表面にヘッドレストステーの一対の脚部による皺が発生するのを未然に防止できるヘッドレストを提供する。

【解決手段】パッド部11を構成する表皮材12の生地13,13´の両端縁に形成された突出部13bに対して左右の二箇所に縫い目18,19,20,21を形成し、縫い目20,21によって挿通孔22を表皮材12の表面から内方に位置するように形成する。前記縫い目20を表皮材12の表面から所定距離だけ内方に離れた位置に形成し、挿通孔22に脚部28aの緊締部23を設け、挿通孔22の表皮材12側に脚部28aの緩挿部24を形成する。前記挿通孔22,22にヘッドレストステー28の脚部28a,28aを挿通して、スリット状の開口31が閉合する方向への緊張力を表皮材12に作用させたとき、前記緩挿部24によって脚部28aの押圧力が表皮材12に作用するのを無くして、表皮材12に皺が発生するの防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状をなす表皮材の内部にヘッドレストステーを配置するとともに、そのヘッドレストステーの一対の脚部を前記表皮材の底部の一対の挿通孔からそれぞれ突出させ、表皮材のスリット状の開口から、同表皮材の内部に発泡樹脂原料を注入して発泡膨張させたヘッドレストであって、
前記挿通孔を前記表皮材の生地の両端縁の縫い代に縫い目を形成することにより構成し、前記表皮材の表面内側に前記挿通孔を形成し、同挿通孔に対し前記ヘッドレストステーの脚部を緊締する緊締部を前記表皮材の表面から内側に離隔した位置に設け、同挿通孔の表皮側に前記ステーの脚部を緩く挿通させる緩挿部を形成したことを特徴とするヘッドレスト。
【請求項2】
請求項1において、前記表皮材には挿通孔間に位置するように前記スリット状の開口が設けられていることを特徴とするヘッドレスト。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記両挿通孔に前記脚部を挿通させることにより、前記開口が閉合する方向への緊張力が表皮材に作用するように両挿通孔間の間隔を両脚部の間隔よりも狭くなるように設定したことを特徴とするヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の座席に取り付けられるヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヘッドレストとしては、例えば特許文献1に開示されるような構成のものが知られている。すなわち、この特許文献1の従来構成においては、袋状の表皮材の底部両側に一対の挿通孔が形成されるとともに、両挿通孔間にスリット状の開口が形成されている。そして、表皮材の内部にヘッドレストステーが配置されるとともに、そのヘッドレストステーの一対の脚部が挿通孔から突出された状態で、表皮材の内部に開口から発泡樹脂原料が注入されて発泡膨張されることにより、ヘッドレストが形成されている。
【0003】
上記従来構成においては、図10に示すように、パッド部11の袋状の表皮材12を構成する生地13の両端縁にパッド部11の内方へ変向する縫い代13aが形成され、前記縫い代13aの左右両側2箇所に各一対の縫い目41,42が設けられている。これによって、ヘッドレストステーの脚部28aを挿通する挿通孔45,46と、発泡樹脂原料を注入するスリット状の開口47が形成されている。
【特許文献1】特開平9−95199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のヘッドレストは、発泡樹脂原料が漏出しないように前記挿通孔45,46が前記ヘッドレストステーの脚部28aを緊締しているので、逆に言えば挿通孔45,46に脚部28aが無理に挿通されているので、挿通孔45,46の開口端縁近傍の表皮材12の外表面に皺Sが発生して見栄えを悪くするという問題があった。
【0005】
しかも、前記挿通孔45,46に脚部28aを挿通させることにより、前記スリット状の開口47が閉合する方向への緊張力が生地13に作用するように、両挿通孔45,46間の間隔が両脚部28aの間隔よりもやや狭くなるように設定されている。このため、皺の発生が一層助長される。特に、前記脚部28aはパッド部11に対し図10の鎖線で示すように傾斜して取り付けられることも多く、その場合には傾斜により押される側の表皮材12に大きな皺Sが発生し易いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、表皮材の表面にヘッドレストステーの一対の脚部によって皺が発生するのを未然に防止することができるヘッドレストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、袋状をなす表皮材の内部にヘッドレストステーを配置するとともに、そのヘッドレストステーの一対の脚部を前記表皮材の底部の一対の挿通孔からそれぞれ突出させ、表皮材のスリット状の開口から、同表皮材の内部に発泡樹脂原料を注入して発泡膨張させたヘッドレストであって、前記挿通孔を前記表皮材の生地の両端縁の縫い代に縫い目を形成することにより構成し、前記表皮材の表面内側に前記挿通孔を形成し、同挿通孔に対し前記ヘッドレストステーの脚部を緊締する緊締部を前記表皮材の表面から内側に離隔した位置に設け、同挿通孔の表皮側に前記ステーの脚部を緩く挿通させる緩挿部を形成したことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記表皮材には挿通孔間に位置するように前記スリット状の開口が設けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記両挿通孔に前記脚部を挿通させることにより、前記開口が閉合する方向への緊張力が表皮材に作用するように両挿通孔間の間隔を両脚部の間隔よりも狭くなるように設定したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記表皮材の表皮から内側の前記挿通孔を前記ヘッドレストステーの脚部を緊締するように狭く形成し、同挿通孔の表皮側に前記ステーの脚部を緩く挿通させる緩挿部を形成した。このため、ヘッドレストステーの一対の脚部を前記挿通孔に挿通した場合に、前記脚部により表皮材の表面が押されることがないので、皺が発生するのを未然に防止することができる。又、前記挿通孔を前記ヘッドレストステーの脚部を緊締するように狭く形成したので、発泡樹脂原料が表皮材の外部に漏洩することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化したヘッドレストの一実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
図1に示すように、ヘッドレストのパッド部11の外周面を形成する表皮材12は、例えば所定形状に裁断した三枚の生地13,13′,13″の両端縁をそれぞれ縫着するとともに、その生地13〜13″の左右両端部に別の生地14,15を縫製して、全体として袋状となるように縫着した後に、表裏を反転させて形成されている。
【0011】
前記生地13,13′,13″のうちパッド部11の底部(図1の上側)側において相互に縫着される生地13,13′の端縁には、それぞれ帯状の縫い代13a,13aが形成されると共に、両縫い代13a, 13aの中央部にはそれぞれ突出部13bが形成されている。前記縫い代13a,13aは、縫い目16によって縫製されている。
【0012】
前記突出部13bの左右両側端縁は、互いに平行な縫い目18と該縫い目18の先端(パッド部11の内部側)に直交して接続される縫い目19とによって縫着されている。又、突出部13bは前記縫い目19の一端に折り返し状に直交して接続される縫い目20によって縫製されている。さらに、前記突出部13bは、前記縫い目20から所定間隔隔てた位置において該縫い目20,20と平行な縫い目21,21によって縫製されている。
【0013】
前記縫い目20,20は表皮材12の表面から所定距離だけ内方へ離隔した位置に設けられ、前記縫い目21,21は突出部13bの高さ方向全域に設けられている。前記縫い目20,20と、縫い目21,21とによって、ヘッドレストステー28の一対の脚部28aを挿通するための挿通孔22が形成されている。前記挿通孔22は、その内周面が図4に示すように前記ヘッドレストステーの脚部28aを緊締するように狭く形成され、緊締部23となっている。前記縫い目18と縫い目21の間の前記縫い目20が形成されていない部分、つまり挿通孔22の表皮材12の表皮側には、図1,5に示すように前記脚部28aを緩く挿通する緩挿部24が形成されている。
【0014】
前記両縫い目21,21間には、発泡成形時に発泡樹脂原料をパッド部11の内部に注入するためのスリット状の開口31が形成されている。
図4に示すように、前記両緊締部23,23の間隔Dは、ヘッドレストステー28を挿通孔22,22に挿通する以前において、前記ヘッドレストステー28の脚部28aの間隔Lよりもやや短く設定されている。そして、前記挿通孔22,22に、脚部28a,28aを挿通したとき、前記スリット状の開口31が閉合する方向への緊張力が表皮材12に作用するようにしている。
【0015】
前記表皮材12の内部には、前記スリット状の開口31から発泡樹脂原料が注入されて、樹脂原料が表皮材12の内部全域に図2に示すように発泡膨張されて発泡樹脂原料32が充填されている。
【0016】
この実施形態では、前記縫い目20の長さは、例えば5mm〜20mmの範囲に設定されている。前記突出部13b,13bの突出長さ寸法を15mm、縫い目20,20の長さ寸法を5mm、縫い目21,21の長さ寸法を20mm、前記縫い目21,21の間隔を100mm、突出部13b,13bの幅寸法を180mmに設定している。
【0017】
次に、前記表皮材12にヘッドレストステー28を組み付ける方法を説明すると、最初に単体の表皮材12に形成された一方の緩挿部24及び挿通孔22(緊締部23)からヘッドレストステー28の一方の脚部28aの先端部をパッド部11の内部に挿入し、その脚部28aの先端部を他方の挿通孔22(緊締部23)及び緩挿部24から表皮材12の外部に突出させ、他方の脚部28aを前記一方の挿通孔22(緊締部23)及び緩挿部24に挿通する。その後、表皮材12の内部に開口31から発泡樹脂原料32が注入されて発泡膨張されることにより、ヘッドレストが製造される。
【0018】
上記実施形態のヘッドレストによれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記表皮材12の表面から内側に離隔した位置に前記挿通孔22を形成し、同挿通孔22の表皮側に前記ステーの脚部28aを緩く挿通させる緩挿部24を形成した。このため、前記脚部28aにより表皮材12の表面が強く押されることがないので、皺が発生するのを未然に防止することができる。この結果、表皮材12の外表面の見栄をよくすることができる。又、前記ヘッドレストステー28の脚部28a,28aが緊締部23,23に挿通されて該緊締部23,23が互いに離隔する方向に移動されても、ステーが傾斜するタイプのヘッドレストであっても、緩挿部24,24には、脚部28a,28aの押圧力が作用しないので、脚部28a,28aの付近の表皮材12の表面に皺が発生するのを防止することができる。
【0019】
(2)上記実施形態では、緩挿部24を前記表皮材12の表面側に設けたので、緊締部23へヘッドレストステー28の脚部28aを最初に挿入する作業を容易に行うことができる。
【0020】
(3)上記実施形態では、前記緊締部23を設けたので、発泡成形時にウレタン等の発泡樹脂が挿通孔22,22から外部に漏洩するのを防止することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0021】
○図6に示すように、前記外側の縫い目20の先端部にさらに縫い目33を形成してもよい。この場合には緊締部23への脚部28aの挿入を容易に行うことができる。
○図7に示すように、前記縫い目18,19を省略し、前記縫い目16,20の一端を縫い目35によって接続するようにしてもよい。この場合には緊締部23への脚部28aの挿入をさらに容易に行うことができる。
【0022】
○図8に示すように、前記縫い目20を表皮材12の外表面に行くに従い脚部28aから離隔するように傾斜させたり、図9に示すように、前記縫い目20を表皮材12の外側に行くに従い脚部28aに接近するように傾斜させたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明のヘッドレストを具体化した一実施形態を示す下側から見た斜視図。
【図2】図1のヘッドレストの横断面図。
【図3】要部の拡大断面図。
【図4】図3の1−1線断面図。
【図5】図3の2−2線断面図。
【図6】この発明の別例を示す部分断面図。
【図7】この発明の別例を示す部分断面図。
【図8】この発明の別例を示す部分断面図。
【図9】この発明の別例を示す部分断面図。
【図10】従来のヘッドレストの斜視図。
【符号の説明】
【0024】
D,L…間隔、12…表皮材、13,14,15…生地、13a…縫い代、18,19,20,21,33,35…縫い目、22…挿通孔、23…緊締部、24…緩挿部、28…ヘッドレストステー、28a…脚部、31…開口。
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅南2丁目13番4号
【出願日】 平成17年1月31日(2005.1.31)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠

【公開番号】 特開2006−204783(P2006−204783A)
【公開日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願番号】 特願2005−24332(P2005−24332)