| 【発明の名称】 |
シート用パッド |
| 【発明者】 |
【氏名】杉山 裕隆 【住所又は居所】愛知県安城市今池町3丁目1番36号 株式会社イノアックコーポレーション安城事業所内
【氏名】毛利 公成 【住所又は居所】愛知県安城市今池町3丁目1番36号 株式会社イノアックコーポレーション安城事業所内
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| 【要約】 |
【課題】乗員の体格差に拘わらずサイドサポートに係る圧力変動を小さくして、サイドサポート部から部分的に受ける荷重による異物感(側圧感)を低減し、また乗員の体格差によらず安定した姿勢安定度と、好適な乗り心地とを両立し得るシート用パッドと、これを製造する方法を提供する。
【解決手段】着座時に乗員の臀部が直接接触するセンターサポート部37と、このセンターサポート部37の両側に位置し、該乗員の大臀部側方を両側から保持するサイドサポート部38,38とからなるシート用パッドにおいて、前記センターサポート部37およびサイドサポート部38,38は、基本的に第1の発泡体16で構成され、前記第1の発泡体16よりも構造的強度を低く設定した一対の第2の発泡体18,18を前記センターサポート部37およびサイドサポート部38,38に跨って、かつ該サイドサポート部38,38側に向かってその厚みが大きくなるよう設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 着座時に乗員の臀部が直接接触するセンターサポート部(37)と、このセンターサポート部(37)の両側に位置し、該乗員の大臀部側方を両側から保持するサイドサポート部(38,38)とからなるシート用パッドにおいて、 前記センターサポート部(37)およびサイドサポート部(38,38)は、基本的に第1の発泡体(16)で構成され、 前記第1の発泡体(16)よりも構造的強度を低く設定した一対の第2の発泡体(18,18)を前記センターサポート部(37)およびサイドサポート部(38,38)に跨って、かつ該サイドサポート部(38,38)側に向かってその厚みが大きくなるよう設け、 乗員の着座によって掛かる荷重に伴って、前記第1の発泡体に先んじて第2の発泡体(18,18)が体型の大小に対応して変形することで、該乗員に加わるサイドサポート部(38,38)の圧力変動を小さくするよう構成した ことを特徴とするシート用パッド。 【請求項2】 前記第2の発泡体(18,18)におけるシート用パッド(12)外側に、剛性領域(40,40)が該第2の発泡体(18,18)と一体的に設けられている請求項1記載のシート用パッド。 【請求項3】 前記第2の発泡体(18)は、JASO B 408の荷重試験に準拠し、φ80の加圧板を使用した際の行き荷重値0.98MPaにおける撓み量となる戻り荷重値が、0.049〜0.490MPaの範囲に設定されている請求項1または2記載のシート用パッド。 【請求項4】 前記一対の第2の発泡体(18,18)は、前記センターサポート部(37)の幅方向の略中央部近傍で連続し、該略中央部近傍で線対称な形状をなすよう連結されている請求項1〜3の何れかに記載のシート用パッド。 【請求項5】 前記第2の発泡体(18)は、三次元網目構造体から構成されている請求項1〜4の何れかに記載のシート用パッド。 【請求項6】 前記シート用パッド(12)は、予め前記第2の発泡体(18,18)を成形型内に入れておくインサート成形によって製造される請求項1〜5の何れかに記載のシート用パッド。 【請求項7】 前記第1の発泡体(16)と第2の発泡体(18)との間には、その一部が重なった重複部(17)が形成され、これにより強固に一体化するようにされている請求項6記載のシート用パッド。 【請求項8】 前記剛性領域(40)は、重複部(17)から形成されている請求項7記載のシート用パッド。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明はシート用パッドの関し、更に詳細には、乗員が着座する際にサイドサポート部から部分的に受ける荷重による異物感(側圧感)を低減すると共に、該乗員の姿勢安定性を高めるようにしたシート用パッドに関するものである。 【背景技術】 【0002】 例えば乗用車等の乗員室内に設置されるシートは、図11に示す如く、乗員の下半身のホールドを図る座部30と、この座部30の後部に傾動可能に設置されて乗員の上半身のホールドをなす図示しない背もたれと、この上部に設置されて乗員の頭部を保護する図示しないヘッドレストとから基本的に構成され、座部30は発泡成形されたポリウレタンフォームのシート用パッド12にファブリックや合成皮革または皮革等の表皮14を貼込んで形成されている。そして座部30のシート用パッド12は、機能的に着座時の乗員を基本的に直接的に支持する座部30の幅方向の中央部に位置する、前部サポート部34および後部サポート部36からなるセンターサポート部37と、このセンターサポート部37の左右両側に配置され、乗員の姿勢を保持するサイドサポート部38,38とに大別されているが、製造コスト、乗り心地機能や座部30の形状の関係から材質的には一種類のポリウレタンフォームを当該形状に成形することで座部30を構成するシート用パッド12として使用している。 【0003】 そして乗員が直接接触するセンターサポート部37には、快適な乗り心地を達成するクッション性が要求され、サイドサポート部38,38には、例えばコーナーリング時の身体の揺れを抑える(姿勢安定度を高める)サイドサポート性が要求される。これらの特性は一種類、すなわち同一物性のポリウレタンフォームでは達成が困難である。そこで下記の[特許文献1]に記載の発明「クツシヨン体」等が案出されている。これはサイドサポート部の硬度をセンターサポート部の硬度よりも高く設定することで、乗り心地と安定性とを両立するようにしたものである。 【特許文献1】特公平7−106167号公報 【0004】 しかし実際上の問題として、乗員には体格差があり、センターサポート部およびサイドサポート部の位置が変更できない以上、体格の小さな乗員と大きな乗員との双方について乗り心地と姿勢安定度とを両立し得るシート用パッドとはなり得なかった。これに対し、[特許文献2]に記載の発明「自動車用シートクツションパッド」や、機構的にサイドサポート部等の位置を変化させ得るシート用パッドが案出されている。[特許文献2]に記載の発明「自動車用シートクツションパッド」は、サイドサポート部である両側隆起部のうち、それらの外側に内側部分及び接触部(センターサポート部)よりも発泡体硬度が高い部分を形成することで、体格の大きい着座者に対しても、身体を両外側から圧迫する側圧感を与えないようになっている。 【特許文献2】特開2001−25417号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし[特許文献2]に記載の発明「自動車用シートクツションパッド」の場合、サイドサポート性を司るサイドサポート部外側の位置は決定されているため、サイドサポート部によって達成される姿勢安定度が体格差によって一定せず、またセンターサポート部に相当する両側隆起部に内側部分および接触部については同一の硬度となっているため、体格差によって乗り心地の差違が発生してしまう。具体的には体格が小さく体重の軽い乗員の場合、クッション性が強く発現して圧迫感が強くなって乗り心地が悪化し、体格が大きく体重の重い乗員の場合、クッション性が弱く底付きした感触となり、やはり乗り心地が悪化してしまう。また機構的にサイドサポート部等の位置を変化させ得るシート用パッドの場合、細かい調整が可能となる程、多様な体格差に対応し得る一方で、そのための機構が複雑化して部品点数が増え、これによりシート構造が複雑化して製造コストの増大し、またその重量も嵩む状態となってしまう。 【課題を解決するための手段】 【0006】 前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係るシート用パッドは、着座時に乗員の臀部が直接接触するセンターサポート部と、このセンターサポート部の両側に位置し、該乗員の大臀部側方を両側から保持するサイドサポート部とからなるシート用パッドにおいて、 前記センターサポート部およびサイドサポート部は、基本的に第1の発泡体で構成され、 前記第1の発泡体よりも構造的強度を低く設定した一対の第2の発泡体を前記センターサポート部およびサイドサポート部に跨って、かつ該サイドサポート部側に向かってその厚みが大きくなるよう設け、 乗員の着座によって掛かる荷重に伴って、前記第1の発泡体に先んじて第2の発泡体が体型の大小に対応して変形することで、該乗員に加わるサイドサポート部の圧力変動を小さくするよう構成したことを特徴とする。 【発明の効果】 【0007】 以上説明した如く、本発明に係るシート用パッドによれば、その構造的強度を低くした第2の発泡体を、センターサポート部およびサイドサポート部に跨って、かつ該サイドサポート部側に向かってその厚みが大きくなるよう設けることで、乗員の体格差に拘わらずサイドサポートに係る圧力変動を小さくして、サイドサポート部から部分的に受ける荷重による異物感(側圧感)を低減した。また乗員の体格差によらず安定した姿勢安定度と、好適な乗り心地とを両立し得る効果も奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 次に本発明に係るシート用パッドにつき、好適な実施例として座部を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお図11を参照して説明した従来技術で既出の同一部材については、同じ符号を付して示し、その詳細説明は省略する。実施例に係るシート用パッド12は、図1に示す如く、座部30をなし、乗員が着座することにより直接接触する前部サポート部34および後部サポート部36からなるセンターサポート部37と、このセンターサポート部37の両側に位置し、該乗員のサイドサポートによる姿勢の保持、すなわち姿勢安定性を高めるサイドサポート部38,38と、これらセンターサポート部37およびサイドサポート部38,38の下側に、センターサポート部37およびサイドサポート部38,38に跨るように配置され、サイドサポート部38側に向かってその厚みが大きくなるように設定される一対の第2の発泡体18,18とから構成されている。更に第2の発泡体18,18の外側、すなわちシート用パッド12の幅方向外側には、第2の発泡体18,18と一体的とされた状態で、シート用パッド12の縦方向に対する剛性、すなわち座部30上に着座した乗員からの荷重に対して、第2の発泡体18,18より高い構造的強度詳細は後述[0014])を示して、その形状を保持しようと作用する剛性領域40,40が備えられている。 【0009】 ここでセンターサポート部37およびサイドサポート部38,38は、基本的に第1の発泡体16から構成される、所謂モノフォーム構造となっており、この第1の発泡体16については、通常のシート用パッド12を構成するポリウレタンフォームの如き公知かつシート用パッドに好適な物性とされた発泡体が使用されている。またその物性値である硬度または反発弾性率等は、製造されるシート用パッド12が使用される車両の用途、例えばスポーティカー用途や、ラグジュアリーカー用途に合わせて配合組成を変化させて好適に制御されている。また図2に示す如く、センターサポート部37の下部に第1の発泡体16に比較して高硬度となっている第3の発泡体を配置して第1の発泡体16と積層することで、モノフォーム構造で達成が困難であった乗り心地、ホールド性および乗り降り容易性といった相反する物性を併有させることも可能である。 【0010】 一方で第2の発泡体18,18は、センターサポート部37およびサイドサポート部38,38に跨るように配置され、乗員の体格の大小に関わらず対応的に変形し、その効果、具体的には側圧感の低減と姿勢安定性の向上とを発揮するように構成されている(図1(a)参照)。また第2の発泡体18,18は、サイドサポート部38側に向かってその厚みが大きくなる、すなわちシート用パッド12の幅方向に沿って切断した際の断面形状がセンターサポート部37からサイドサポート部38に向かって厚みが増大する、例えば略三角形状とされている(図1(b)参照)。なお略三角形状においては、各端が丸みを帯びた形状となっていても問題はない。この形状により、乗員の体格の大小に対応した変形が可能となり、後述([0015]〜[0020])する作用により体格の大小に関わらず側圧感の低減と、姿勢安定性の向上とが達成されている。 【0011】 そして第2の発泡体18は、第1の発泡体16よりも構造的強度を低く設定されている。ここでいう構造的強度とは、第2の発泡体18の骨格構造等に由来する強度のことであり、第1の発泡体16と第2の発泡体18とを積層している部位において上方から荷重を掛けた際に、第2の発泡体18が第1の発泡体16より先に変形する状態となっていれば問題ない。具体的には硬度または圧縮強度等の物性値で現すことが可能である。そしてこれらの物性値は、発泡体をなす弾性率、骨格強度、セル径、セルの分布または骨格におけるセル膜の有無(通気性)等によって変動する値であるため、これら各構造が第1の発泡体16に比較して硬度等を小さくするものであればよい、本実施例においては、通気性が高く、セル膜が完全に除去されているポリウレタンからなる三次元網目構造体が採用されている。また着座に際して臀部および大腿部の側面への、サイドサポート部38,38からの圧力変動の低減を考えた場合、加えられる荷重に比例して撓む量が増大する領域が大きい、すなわち収縮率が大きい(圧縮率が高い)物性が好ましい。 【0012】 更に第2の発泡体18は、図3に示す如く、JASO B 408の荷重試験に準拠し、φ80の加圧板を使用した際の行き荷重値0.98MPa(10kgf/cm2)における撓み量となる戻り荷重(以下、単に戻り荷重と云う)値が、0.049〜0.49MPa(0.5〜5.0kgf/cm2)、好適には0.049〜0.392MPa(0.5〜2.0kgf/cm2)の範囲に設定されている。ここでこの撓み量と戻り荷重値との関係は、所謂反力を示すものであり、この値が0.049MPa未満であると、第2の発泡体18が存在しない部位よりも構造的強度が低くなり過ぎて、当該部位に圧迫感が発生して良好なクッション性の発現が阻害される。また荷重に対する反力が小さくなり、その結果、撓みに対する形状復元が遅く、乗員の姿勢安定性が低下したり、所謂へたりやすい状態となり、永久圧縮歪みが悪化して、耐久消費財として問題が発生する。一方0.49MPaを超えると、第2の発泡体18として第1の発泡体16より構造的強度が低い場合であっても、着座による荷重に対する反力が大きくなり、臀部および大腿部側面に部分的な圧迫感、すなわち側圧感を感じることになる。また0.392MPaを超える場合、本発明が目的とする圧力変動を小さなものとする反力は達成されるものの、官能的に知覚できる程度の圧力差が残ってしまう。なおここでは、乗員の平均的な体重等を考慮し、行き荷重0.98MPa時の撓み量を評価基準とした。 【0013】 また第1の発泡体16と第2の発泡体18との間には、その境界が重複した重複部17が存在している。この重複部17により、第1の発泡体16と第2の発泡体18とは一体化された構成となっている。このような構成は、予め第2の発泡体18を座部30の外部輪郭形状と合致する内部輪郭形状を有する成形型内に設置し、ここに第1の発泡体16の発泡原料を注入する、所謂公知のインサート成形の採用によって達成される。すなわちインサートされた第2の発泡体18の骨格内に、第1の発泡体となる発泡原料が入り込んで含浸された状態となり、これが発泡・硬化することで重複部17が形成される。そして発泡原料の発泡圧、粘度およびその注入位置(☆実施例に係る重複部17は、剛性領域40と、それ以外に部位で厚みが異なるため、「注入位置」の要素を加えました。実際的な手法等で付記したい内容があれば御指示下さい。)の制御により、重複部17の厚みが決定される。殊に本実施例では、第2の発泡体18が三次元網目構造体、すなわち内部に流動体が入り込み易い骨格だけの構造となっているため重複部17の厚みは、厚く設定することが可能である。 【0014】 そして本実施例における剛性領域40,40は、第1の発泡体16と第2の発泡体18の境界に重複した重複部17の一部(第2の発泡体18におけるシート用パッド12の幅方向外側)として構成されている。すなわちインサートされた第2の発泡体18の骨格内に、第1の発泡体16となる発泡原料を入り込ませて含浸させることで剛性領域40,40を形成している。すなわち剛性領域40,40において、その構造的強度は第1の発泡体16単独または第2の発泡体18単独の状態より高くなっている。本実施例において重複部17は、第2の発泡体18の外縁部の全域に亘って形成されており、剛性領域40,40以外の部位においても、重複部17が存在している(図1(b)参照)。この剛性領域40,40以外の重複部17は、後述する剛性領域40,40の作用を高める役割(後述[0017])と、通常状態で掛けられる荷重程度で第1の発泡体16と第2の発泡体18とが分離しないように、充分に一体化した状態とする役割とを担っている。 【0015】 (実施例の作用) 以下に実施例に係る座部30をなすシート用パッド12の作用を説明する。本発明に係るシート用パッドは、乗員の体格の大小によってその作用が異なるため、先ず基準となる標準的な乗員がシート用パッド12に着座した際の作用を説明する。標準的な体格の乗員の着座前後のシート用パッド12の状態を説明すると、図4および図5に示す如く、全く撓んで変形していない状態の第2の発泡体18,18および剛性領域40,40(図4(a)および図5(二点鎖線)参照)が、第2の発泡体18,18においては乗員の着座部位に対応して下側に撓んで変形し、剛性領域40,40においては撓んで変形した第2の発泡体18,18によってセンターサポート部37側(図5においては左側)に引っ張られるように撓むことになる(図4(b)および図5(実線)参照)。 【0016】 このような変形により、(a)センターサポート部37の中央部近傍においては、通常の第1の発泡体16から構成されるシート用パッド12と何等変わらない状態、すなわちシートとして初期設定された充分なクッション性を発現することになる(図4(b)におけるa参照)。そして(b)乗員の下方に第2の発泡体18,18が存在するセンターサポート部37およびサイドサポート部38,38については、第2の発泡体18,18が第1の発泡体16に先んじて撓んで変形するため、当該部位においては乗員がより下側に沈んだ状態となり、第1の発泡体16だけの場合に較べて、第2の発泡体18,18上方の臀部および大腿部に掛かる圧力が均質化、すなわち圧力変動が小さくなると共に、その絶対値も小さくなるため側圧感が低減された状態となる(図4(b)におけるb参照)。また第2の発泡体18,18の存在により、サイドサポート部38,38における臀部および大腿部側面部位の段差が大きく発現し、その結果、姿勢安定性も向上する。 【0017】 更に本実施例について存在する(c)剛性領域40,40は、乗員の着座による荷重により撓んで変形した第2の発泡体18,18によってセンターサポート部37側に引っ張られるように撓むため、サイドサポート部38,38に沈み込んだ状態となっている乗員に対して、サイドサポート部38,38によって両側から挟み込まれる力が付勢される(図4(b)におけるc参照)。これは乗員に対して積極的なサイドサポートがなされることを意味する。なおこの力は、第2の発泡体18,18によって発生して、当該部位、すなわち臀部および大腿部側面を広い領域に亘って付勢されるものであるため、部分的な力とはならず側圧感を感じることはない。また剛性領域40,40が存在しない場合であっても、サイドサポート部38,38等における臀部および大腿部側面部位の段差は発生するため、姿勢安定性についての問題は生じない。 【0018】 なお本実施例の如く、第2の発泡体18,18の外縁部全域に重複部17が存在する場合、剛性領域40,40以外の部分、殊に乗員の着座による荷重によって下方に撓む変形を受ける部位の重複部17(第2の発泡体18上に位置する重複部17)の作用により、剛性領域40,40にはセンターサポート部37側に引っ張る力がより強く働くことになる。すなわち図6に示す差違が生ずる。具体的に第2の発泡体18の上方に構造的強度が高い重複部17が存在しない場合、構造的強度が低い第2の発泡体18の下方への撓みによる変形によって剛性領域40,40がセンターサポート部37側に引っ張られる(図6(a参照))ことになるが、第2の発泡体18は構造的強度が低いため、その伸びも大きく、下方への撓みによる変形を効率的に剛性領域40,40に伝達し得ない。これに対して本実施例の場合には、乗員の着座による荷重によって下方に撓む変形を受ける部位の重複部17の構造的強度が高いため、当該部位の下方への撓みによる変形が、より直接的に剛性領域40,40に伝達し、その結果、センターサポート部37側への変形が大きく発現する。従って、乗員に対するサイドサポート部38,38からの挟み込みがより強くなる。 【0019】 次に乗員の体格の小さな乗員の場合、基本的にセンターサポート部37だけに荷重が掛かり、サイドサポート部38,38に対して殆ど接触して側圧感が発生することがないが、サイドサポート部38,38により臀部および大腿部を側方から支持されないため、姿勢安定性に劣ることになる。すなわち図7に示す如く、標準的な体格に比較して第2の発泡体18,18の変形が小さくなると共に、剛性領域40,40の作用に伴ったサイドサポート部38,38による挟み込みが殆どない状態となる。しかしセンターサポート部37においては、第1の発泡体16の下側に第2の発泡体18が配されているため、これまで以上のクッション性が発現されると共に、第2の発泡体18,18の沈み込みによって、センターサポート部37における乗員の側面部位には段差が発生して姿勢安定性は高まることになる。また第1の発泡体16の下側への第2の発泡体18の配置により、乗員が側圧感を感じることはない。 【0020】 一方、乗員の体格の大きな乗員の場合、サイドサポート部38,38に対しても大きく荷重が掛かる図8に示す如く、着座によって荷重が掛かるセンターサポート部37およびサイドサポート部38,38の大部分の領域で第2の発泡体18,18が、その体格に応じて大きく撓んで変形し、第1の発泡体16による反力を低減するように作用する。従って、サイドサポート部38,38についても下方に大きく撓むと共に、第2の発泡体18,18の作用によって乗員から掛かる荷重が広い領域に分散されるようになり、その結果、臀部および大腿部側面への圧力変動が小さい状態、すなわち側圧感を感じない状態となっている。また体格が大きな乗員においては、サイドサポート部38,38による姿勢安定性が低下することが考えられるが、本実施例においては体格故の第2の発泡体18,18の大きな変形により、センターサポート部37における乗員の側面部位の段差も大きくなるため、姿勢安定性が損なわれることもなく、更に本実施例においてはサイドサポート部38,38が剛性領域40,40の作用により、大きくセンターサポート部37側に引っ張られるように撓むことによるサイドサポート性の大きな向上も期待できる。 【0021】 なおサイドサポート部38,38に対しても大きく荷重が掛かる体格の大きな乗員の場合、前述した[特許文献1]および[特許文献2]に記載の発明においては、サイドサポート部38,38がセンターサポート部37から亀裂等の発生により分離してしまうことが考えられる。これに対し、特開2002−159376号公報に記載の発明「シートクッション」が案出されている、この発明「シートクッション」は、センターサポート部37に相当するメイン部と、サイドサポート部38,38に相当するサイド部との接合部を複雑に入り組んだ状態とすることで、亀裂の発生をなくすものであるが、この[特許文献1]〜[特許文献3]の各発明については、センターサポート部37とサイドサポート部38,38との接合部が乗員が着座する表面部に露出してしまうため、完全な対応とは云えない。これに対し、本発明に係るシート用パッドは、2種類の発泡体は使用するが、その表面部は第1の発泡体16だけしか露出していないモノフォーム構造であるため、このような問題が発生する余地はない。 【0022】 (別の実施例) 前述の実施例において剛性領域40,40は、第1の発泡体16および第2の発泡体18の間に形成される重複部17の一部であったが、第1の発泡体16および第2の発泡体18とは全く異なり、かつ2つの発泡体16,18よりもその構造的強度が高くされた部材を使用することも可能である。例えば、剛性領域40,40となる部材を、第2の発泡体18,18と共に成形型内([0013]参照)に載置し、ここに第1の発泡体16の発泡原料を注入すればよい。この場合、第2の発泡体18,18と剛性領域40,40とは、乗員の着座による荷重によって分離しない程度の接着力等によって接合されている必要がある。 【0023】 (変更例) 前述の実施例においては、センターサポート部37およびサイドサポート部38,38に跨って一対の第2の発泡体18,18が配置されているが、図9に示す如く、一対の第2の発泡体18,18を連続した1つの第2の発泡体18として、すなわちセンターサポート部37の幅方向の略中央部近傍で連続し、該略中央部近傍で線対称な形状をなすよう連結された状態として配置するようにしてもよい。基本的に本発明においては、乗員の下方に位置する第2の発泡体18,18の厚みを制御することによっても、体格の大小への対応性を発現させているが、第2の発泡体18における厚みの変動をより緻密に制御することで、体格差に対してより細かな対応が可能となる。また前述([0013])したインサート成形による製造においては、一度に第2の発泡体18を成形型内に設置できるため、製造コスト低減の効果も期待できる。 【0024】 (実験例) 以下に実施例に係るシート用パッドを座部として使用したシートについての実験例を示す。なお本発明はこの実験例に限定されるものではない。 【0025】 (実験1) 圧力変動について JASO B 408の荷重試験に準拠し、φ80の加圧板を使用した際の行き荷重0.98MPa(10kgf/cm2)における撓み量となる戻り荷重値が、0.245MPa(2.5kgf/cm2)に設定された実施例に係る第2の発泡体と、0.588MPa(6kgf/cm2)に設定された比較例に係る第2の発泡体とを夫々左右の所定位置に配置して図1に示す構造となるシート用パッドを製造した。そしてこのシート用パッドを座部として使用し、ここに体重80kgの男性を乗員として着座させた際の圧力変動を観察した。ここで圧力変動は、圧力分散測定システム(商品名 Clinscat;ニッタ製)を使用して圧力分布として、着座時にシート用パッドに接触する大腿部から臀部にかけての圧力(kPa)を測定することで評価した。 【0026】 (実験1の結果) 圧力分布の結果を図10に示す。ここて図8の右側は実施例に係る第2の発泡体を使用した部位の結果であり、左側は比較例に係る第2の発泡体を使用した部位の結果である。この結果から、比較例においてはその圧力が2.99kPa(22.4mmHg)を超える領域が臀部および大腿部側面の広い範囲で認められ、更に一部では3.20kPa(24.0mmHg)を超えて臀部直下と同等の高い圧力となっていることが確認され、当該部位に高い側圧感が発生していることが確認できる。これに対して本発明に係る実施例については、最大でも2.67kPa(20.0mmHg)未満となっており、圧力が小さくなり、均質化されて、側圧感が殆どない状態であることが確認された。 【0027】 (実験2) 戻り荷重値および乗員の体格と、圧力変動とについて 下記の表1の戻り荷重値となるよう配合等を調整して製造した第2の発泡体を使用し、図1に示す構造となる戻り荷重値0.0392、0.0490、0.2950、0.4900および0.5880MPa(0.4、0.5、2.5、5.0および6.0kgf/cm2)毎に体重40、60または80kgの男性を乗員として着座させた際の圧力変動を観察した。ここで圧力変動は、実験1に従って測定し、圧力分布の幅が2.99kPa(22.4mmHg)未満では○、2.99kPa(22.4mmHg)〜3.63kPa(27.2mmHg)の範囲ではは△、3.63kPa(27.2mmHg)を超える場合ではでは×として評価し、更に各戻り荷重値毎に、○:体格差がない、×:体格差がある、によって体格差評価を行なった。 【表1】
【0028】 (実験2の結果) 前述した測定方法に従い得られた表1に併記する。この表1から分かる通り、戻り荷重値を本発明で記載した範囲内とした第2の発泡体を使用することで、側圧感を低減した好適なシート用パッドが得られることが確認された。 【産業上の利用可能性】 【0029】 この発明は、従来技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、乗員の体格差によらずサイドサポート部による側圧感を低減し、姿勢安定性を高めるため、自動車用の座部のシートパッドとして好適であり、当該操作が考えられる乗り物や各種オペレーター、楽器奏者用のシート用パッド等の採用にも有意義である。また座り心地自体も快適化するため、一般的なシートに広く利用し得る。 【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】本発明の好適な実施例に係るシート用パッドを用いた座部についての、(a)平面図と、(b)b−b線で切断した断面図である。 【図2】センターサポート部の下部に異なる硬度の発泡体を積層させた構造のシート用パッドを示す断面図である。 【図3】実施例に係るシート用パッドの撓み量と戻り荷重値との関係を示すグラフ図である。 【図4】実施例に係るシート用パッドに標準的な体格の乗員が、(a)着座する前と、(b)着座した後の様子を断面的に示す状態図である。 【図5】図4におけるサイドサポート部近傍を拡大した断面図である。 【図6】重複部がある場合と、ない場合の差違を示す説明図である。 【図7】実施例に係るシート用パッドに体格の小さな乗員が着座した際の様子を断面的に示す状態図である。 【図8】実施例に係るシート用パッドに体格の大きな乗員が着座した際の様子を断面的に示す状態図である。 【図9】変更例に係るシート用パッドを用いた座部についての断面図である。 【図10】実験1の説明図であって、本発明に記載された戻り荷重値を達成する第2の発泡体(右側)を備えるシート用パッドと、本発明に記載された戻り荷重値を達成しない第2の発泡体(左側)を備えるシート用パッドとを使用した座部の圧力分布図である。 【図11】従来技術に係るシート用パッドの座部についての概略斜視図である。 【符号の説明】 【0031】 12 シート用パッド 16 第1の発泡体 17 重複部 18 第2の発泡体 37 センターサポート部 38 サイドサポート部 40 剛性領域
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| 【出願人】 |
【識別番号】000119232 【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション 【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅南2丁目13番4号
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| 【出願日】 |
平成16年11月4日(2004.11.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076048 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 喜幾
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| 【公開番号】 |
特開2006−130006(P2006−130006A) |
| 【公開日】 |
平成18年5月25日(2006.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願2004−321093(P2004−321093) |
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