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【発明の名称】 米飯質改良剤
【発明者】 【氏名】中村 正明
【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内

【氏名】細見 知広
【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内

【氏名】木村 雅和
【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内

【要約】 【課題】飯粒同士の結着を防止・抑制してほぐれを改善した飯、冷えてもつやを有する飯、またはかかる飯を調製するための飯質改良剤を提供する。

【解決手段】ヒドロキシプロピルセルロース、或いは、ヒドロキシプロプルセルロースと水溶性へミセルロースを1:10〜10:1(重量比)の割合で含む飯質改良剤を、飯原料に配合するか、当該改良剤を用いて加熱処理穀類を処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とする飯質改良剤。
【請求項2】
さらに水溶性へミセルロースを含有し、ヒドロキシプロプルセルロースと水溶性へミセルロースとの割合が1:10〜10:1(重量比)であることを特徴とする請求項1記載の飯質改良剤。
【請求項3】
ほぐれ改良剤である、請求項1または2に記載する飯質改良剤。
【請求項4】
つや付与剤である、請求項1または2に記載する飯質改良剤。
【請求項5】
焦げ付き防止剤である、請求項1または2に記載する飯質改良剤。
【請求項6】
食感改良剤である、請求項1または2に記載する飯質改良剤。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の飯質改良剤を含む飯。
【請求項8】
請求項3に記載するほぐれ改良剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または請求項3に記載するほぐれ改良剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする飯のほぐれを改良する方法。
【請求項9】
請求項4に記載するつや付与剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または請求項4に記載するつや付与剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする飯のつや出し方法。
【請求項10】
請求項5に記載する焦げ付き防止剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または項5に記載する焦げ付き防止剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする飯の焦げ付き防止方法。
【請求項11】
請求項6に記載する食感改良剤を飯原料に配合して飯を調製することを特徴とする飯の食感の経時的劣化を抑制する方法。
【請求項12】
請求項3に記載するほぐれ改良剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または請求項3に記載するほぐれ改良剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする、ほぐれが改良された飯の製造方法。
【請求項13】
請求項4に記載するつや付与剤を飯原料に配合して飯を製造するか、または請求項4に記載するつや付与剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする、つやを有する飯の製造方法。
【請求項14】
請求項5に記載する焦げ付き防止剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または項5に記載する焦げ付き防止剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする、焦げ付きが防止された飯の製造方法。
【請求項15】
請求項6に記載する食感改良剤を飯原料に配合して飯を調製することを特徴とする、食感の経時的劣化が抑制された飯の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は飯質改良剤に関する。詳細には、本発明は、飯粒同士の結着を防止または抑制してほぐれを改良する作用を有する飯質改良剤(ほぐれ改良剤)、または飯の表面に光沢(つや)やテリを付与する作用を有する米飯質改良剤(つや付与剤)に関する。さらに本発明はこれらの飯質改良剤で処理されることにより、ほぐれ性(ばらけ性)または光沢(つや)に優れた飯、およびその製造方法に関する。本発明が対象とする飯として、例えば、調理米飯、冷凍米飯(冷凍調理米飯を含む)、無菌包装米飯(無菌包装調理米飯を含む)、などの加工米飯を好適に挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーやコンビニエンスストアなどで、弁当・おにぎりなどの業務用の加工米飯が多く販売されるようになってきており、これら加工米飯を大量生産する際には、炊きあがった米飯をほぐれやすくしたり、機械に付着するのを防ぐために種々の検討がなされている。かかる方法として、例えば飽和脂肪酸のジグリセリドを油相中に含むO/Wエマルジョンを炊飯または蒸煮時に配合するか、炊飯または蒸煮後に米飯に添加して混合する方法(例えば特許文献1など参照)が提案されている。
【0003】
しかし、この方法によると、改善効果が不十分であったり、風味に影響を及ぼしたり、焦げ付きが生じたり、褐色化されるといった着色の問題があったり等の点から加工米飯の品質を低下させてしまったり、工程が煩雑になってしまうという問題点がある。
【0004】
また従来、米飯の改質方法として、トレハロースを配合して米飯の味質(歯ごたえ、香り、色、外観(つや)、水分の保存性)を向上する方法(例えば、特許文献2参照)、炊飯前または炊飯後にペクチンを配合することにより、ふっくらとして美味しく、適度な粘りのある食感で、つやのある米飯を製造する方法(例えば、特許文献3参照)、炊飯前または炊飯後に、三糖類以上の重合度を有する非還元及び/または還元オリゴ糖を配合することにより、冷解凍時の老化を防止してつややテリなどの外観が良好な冷凍米飯を製造する方法(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開平5−316971号公報
【特許文献2】特開平7−250632号公報
【特許文献3】特開平10−313800号公報
【特許文献4】特開平6−141797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたもので、飯の品質を改良するための剤(飯質改良剤)、具体的には、飯粒同士が結着し団子状になるのを防止または抑制し、飯のほぐれ性を改良する剤(ほぐれ改良剤)、または飯粒に光沢(つや)を付与する剤(つや付与剤)を提供することを目的とする。さらに、本発明はかかる飯質改良剤(ほぐれ改良剤、つや付与剤)を用いることによって、飯粒同士が結着して団子状になるのが抑制されてほぐれ性が改良された飯、または表面に光沢(つや)のある飯、ならびにその調製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記に挙げられた飯の品質(飯質)を改良するべく鋭意研究を重ねた結果、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロプルセルロースと水溶性へミセルロースを1:10〜10:1(重量比)の割合で含む改良剤を、飯の原料に配合して飯を製造するか、またはこれらを含む溶液で炊飯等の加熱処理穀類を処理することによって、(1)飯粒同士が結着し団子状になるのを防止・抑制して、飯のほぐれを改良することができること、(2)飯粒の表面に光沢(つや)を付与することができることを見いだした。
【0007】
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、以下の態様を有する。
項1.ヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とする飯質改良剤。
項2.さらに水溶性へミセルロースを含有し、ヒドロキシプロプルセルロースと水溶性へミセルロースとの割合が1:10〜10:1(重量比)であることを特徴とする項1記載の飯質改良剤。
項3.ほぐれ改良剤である、項1または2に記載する飯質改良剤。
項4.つや付与剤である、項1または2に記載する飯質改良剤。
項5.焦げ付き防止剤である、項1または2に記載する飯質改良剤。
項6.食感改良剤(食感劣化抑制剤)である、項1または2に記載する飯質改良剤。
【0008】
項7.項1乃至6のいずれかに記載の飯質改良剤を含む飯。
【0009】
項8.項3に記載するほぐれ改良剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または項3に記載するほぐれ改良剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする飯のほぐれを改良する方法。
項9.項4に記載するつや付与剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または項4に記載するつや付与剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする飯のつや出し方法。
項10.項5に記載する焦げ付き防止剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または項5に記載する焦げ付き防止剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする飯の焦げ付き防止方法。
項11.項6に記載する食感改良剤(食感劣化抑制剤)を飯原料に配合して飯を調製することを特徴とする飯の食感の経時的劣化を抑制する方法。
【0010】
項12.項3に記載するほぐれ改良剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または項3に記載するほぐれ改良剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする、ほぐれが改良された飯の製造方法。
項13.項4に記載するつや付与剤を飯原料に配合して飯を製造するか、または項4に記載するつや付与剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする、つやを有する飯の製造方法。
項14.項5に記載する焦げ付き防止剤を飯原料に配合して飯を調製するか、または項5に記載する焦げ付き防止剤を用いて加熱処理穀類を処理することを特徴とする、焦げ付きが防止された飯の製造方法。
項15.項6に記載する食感改良剤(食感劣化抑制剤)を飯原料に配合して飯を調製することを特徴とする、食感の経時的劣化が抑制された飯の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飯質改良剤(ほぐれ改良剤)によれば、飯粒同士が結着し団子状になるのを防止でき、飯のほぐれ性を向上することができる。特に本発明の飯質改良剤(ほぐれ改良剤)によれば、冷えた状態または冷凍状態であっても良好なほぐれ改善効果を発揮することができる。また本発明の飯質改良剤(つや付与剤)によれば、飯粒につやを付与することができる。特に本発明の飯質改良剤(つや付与剤)によれば、飯が温かい場合のみならず、冷えた状態であっても良好なつや出し効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明が対象とする飯は、穀類〔米(ウルチ米や餅米を含む)、大麦、蕎麦、粟、稗等〕を原料として、これを加熱処理したものである。好ましくは米を加熱処理した米飯である。ここで加熱処理としては、特に制限されないが、炊く、蒸す、油ちょうする、煮る、炒める、高圧処理または電磁波処理等といった、穀類の澱粉をα化する任意の加熱処理を挙げることができる。好ましくは炊飯である。本発明が対象とする飯には、上記穀類を加熱処理(α化処理)したもの、または加熱処理と合わせて加工処理(調理)したものが含まれる。具体的には、白飯のほか;赤飯、おこわ、混ぜ飯、おにぎり、丼物、カレーライス、すし飯(にぎり寿司、巻寿司、ちらし寿司を含む)、炒飯、ピラフ、ドリア、リゾット、お粥、雑炊、お茶漬けなどの調理飯を挙げることができる。これらの飯は、その保存または流通形態を特に制限されるものではなく、常温、チルドまたは冷凍された状態のいずれの形態を有するものであってよい。また、本発明が対象とする飯は、上記の各保存・流通形態に応じて包装されていてもよく、例えば常温で保存されまた流通する飯として、無菌包装飯、レトルト処理飯などを挙げることができる。
【0013】
(1)ヒドロキシプロピルセルロースを含む飯質改良剤
本発明の飯質改良剤は、ヒドロキシプロピルセルロースを含むことを特徴とする。本発明の飯質改良剤によれば、前述するように飯粒同士が結着し団子状になるのを防止または抑制することにより、飯粒のほぐれ性やばらけ性を改善することができる。特にヒドロキシプロピルセルロースを含む本発明の飯質改良剤は、飯が冷えた状態また冷凍状態にあっても良好なほぐれ性を発揮することができる点で優れている。また、本発明の飯質改良剤によれば、飯粒の表面に光沢(つや)やテリを付与することができる。炊きたての飯粒は元来光沢があるが、冷めると徐々につやが消失する。この点、ヒドロキシプロピルセルロースを含む本発明の飯質改良剤は、飯粒が冷えた状態にあっても良好なつや出し効果を発揮することができる点で優れている。
【0014】
また、本発明の飯質改良剤は、加熱処理時に飯原料と同時に配合することにより、焦げ付きによる飯の褐変を防止することができる。このため、焦げ付きによる製品ロスを防止して、飯の生産性を上げることが可能となる。この点から、本発明の飯質改良剤は、焦げ付き防止剤として用いることもできる。
【0015】
本発明で用いられるヒドロキシプロピルセルロースは、天然に広く存在するセルロース(パルプ)を原料とし、これを水酸化ナトリウムで処理した後、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤と反応して得られる非イオン性の水溶性セルロースエーテルである。ヒドロキシプロピルセルロースの粘度としては特に制限されないが、2重量%水溶液に調製した場合の室温(25℃)時の粘度として、1〜100,000mPa・s程度を挙げることができる(測定条件;BL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数6rpm、25℃)。好ましくは1〜10,000mPa・s、より好ましくは1〜1,000mPa・s、さらに好ましくは1〜100mPa・sである。
【0016】
このようなヒドロキシプロピルセルロースは商業上入手することができ、例えば、ハーキュリーズ社製のクルーセル(KLUCEL:商標、以下同じ)LF、クルーセルEF、クルーセルGF、クルーセルJF(以上、いずれも商品名)などを使用することができる。
【0017】
中でも、特に飯粒のほぐれを改良する場合は、粘度の低いヒドロキシプロピルセルロースを用いることが好ましい。具体的には、2重量%水溶液に調製した場合の室温(25℃)時の粘度として30mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下を有するヒドロキシプロピルセルロースを使用するのが好ましい(測定条件;BL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数6rpm、25℃)。
【0018】
また、飯へのつや付与効果を期待する場合にも、同様に粘度の低いヒドロキシプロピルセルロースを用いることが好ましい。具体的には、2重量%水溶液に調製した場合の室温(25℃)時の粘度として15mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下を有するヒドロキシプロピルセルロースを使用するのが好ましい(測定条件;BL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数6rpm、25℃)。
【0019】
特に、焦げ付き防止効果を期待する場合は、粘度の低いヒドロキシプロピルセルロースを用いることが好ましい。具体的には、2重量%水溶液に調製した場合の室温(25℃)時の粘度として15mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下を有するヒドロキシプロピルセルロースを使用するのが好ましい(測定条件;BL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数6rpm、25℃)。
【0020】
特に、食感改良効果(食感劣化抑制効果)を期待する場合は、粘度の低いヒドロキシプロピルセルロースを用いることが好ましい。具体的には、2重量%水溶液に調製した場合の室温(25℃)時の粘度として30mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下を有するヒドロキシプロピルセルロースを使用するのが好ましい(測定条件;BL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数6rpm、25℃)。
【0021】
本発明の飯質改良剤は、ヒドロキシプロピルセルロースを含むものであればよく、その限りにおいてヒドロキシプロピルセルロースだけからなるものであってもよいし、他の成分を含有するものであってもよい。他の成分としては、例えば、(1)ほぐれ効果を主目的として本発明の飯質改良剤を用いる場合、他の成分としてヒドロキシプロピルセルロース以外の水溶性セルロースエーテル(メチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロースが好ましい)などを挙げることができる。また(2)つや出し効果を主目的として本発明の飯質改良剤を用いる場合、他の成分としてプルラン、ヒドロキシプロピルセルロース以外の水溶性セルロースエーテル(メチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロースが好ましい)を挙げることができる。かかる他の成分を含有する場合、飯質改良剤100重量%中に含まれるヒドロキシプロピルセルロースの含有量としては、(1)(2)のいずれの場合でも、99〜10重量%、好ましくは99〜50重量%、より好ましくは99〜90重量%を挙げることができる。
【0022】
なお、飯質改良剤としてヒドロキシプロピルセルロースを用いる場合の上記効果以外の利点としては、ほぐれ改善およびつや付与効果を期待して油分を添加する場合と比べて油浮きがなく低カロリーの飯が得られることを挙げることができる。また、豆類に由来する水溶性ヘミセルロースを併用する場合と比べてアレルゲンフリーであるという点も挙げることができる。
【0023】
本発明の飯質改良剤の飯への適用方法は、当該改良剤が最終的に飯に配合される方法であれば特に限定はされない。好ましくは、当該改良剤を飯の原料に配合して一緒に加熱処理する方法、加熱処理した穀類(好ましくは米飯)を当該改良剤を用いて処理する方法を挙げることができる。
【0024】
具体的には、以下の方法を例示することができる。
1.予め水洗したあとの生の穀類(好ましくは米)に、飯質改良剤を添加して水加減し、必要に応じて他の原料を配合して、炊飯や蒸煮などの加熱処理をする。
2.加熱処理した穀類(好ましくは炊いた米飯)を、飯質改良剤または飯質改良剤を水に溶解或いは分散させた溶液で表面処理する。
3.予め調味液に飯質改良剤を溶解または分散しておき、これを加熱処理した飯(好ましくは炊いた米飯)に添加して調味付け及び表面処理を同時に行う。
4.加熱処理した穀類(好ましくは炊いた米飯)を、飯質改良剤を溶解または分散させた油を用いて調理する。
【0025】
斯くして、飯粒のほぐれ性やばらけ性を改良すること(特に飯が冷えた状態でのほぐれ改良)、飯粒につやを付与してつや出しすること(特に飯が冷えた状態でのつや出し)が可能となる。なお、上記2および3でいう「表面処理」としては、制限されないが、塗布(被覆)、浸漬、および噴霧処理が含まれる。
【0026】
上記の処理方法の中でも、2〜4の方法は本発明の飯質改良剤を飯粒の表面に付着させる方法の例示であり、特にほぐれ改良およびつや付与に有効である。1の方法によると、飯質改良剤を飯内部に最もよく浸透させることができ、ほぐれ改良効果およびつや付与効果に加え、飯が経時的にボソボソした食感になるのを抑制して弾力性を維持するのに有効である。このため、本発明の飯質改良剤は、経時的に米飯の食感(弾力性)が劣化するのを抑制するために使用される食感改良剤(食感劣化抑制剤)として用いることもできる。
【0027】
本発明の飯質改良剤の飯への添加量は、適用する飯の種類やその製法(加工方法を含む)によって異なり、それに応じて適宜調整することができる。例えば、飯質改良剤を飯原料に配合して一緒に加熱処理して飯を調製する場合(上記1の方法の場合)、生穀類100重量部に対するヒドロキシプロピルセルロースの割合が、0.001〜5重量部程度、好ましくは0.05〜3重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部となるような割合で添加することができる。
【0028】
また、飯質改良剤を用いて加熱処理穀類を表面処理して飯を調製する場合(上記2〜4の方法の場合)、処理液中のヒドロキシプロピルセルロースの濃度が0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%となるように飯質改良剤を用いることができる。
【0029】
(2)ヒドロキシプロピルセルロースおよび水溶性ヘミセルロースを含む飯質改良剤
本発明の飯質改良剤は、ヒドロキシプロピルセルロースに加えて水溶性ヘミセルロースを含有するものであってもよい。ヒドロキシプロピルセルロースと水溶性ヘミセルロースとを併用する場合、これらの配合割合(重量比)としては、ヒドロキシプロピルセルロース:水溶性へミセルロース=1:10〜10:1の割合、好ましくは1:9〜9:1の割合を挙げることができる。これらをヒドロキシプロピルセルロース100重量部に対する水溶性へミセルロースの割合に換算すると10〜1000重量部、好ましくは約10〜900重量部となる。当該水溶性へミセルロースの割合として、より好ましくは20〜250重量部、さらに好ましくは100〜200重量部である。
【0030】
かかる飯質改良剤によれば、ヒドロキシプロピルセルロースが有する上記の飯質改良効果(飯粒のほぐれ改良効果、飯粒のつや付与効果、焦げ付き防止効果、食感改良効果(食感劣化抑制効果))をより一層向上することができる。中でも、水溶性ヘミセルロースとヒドロキシプロピルセルロースとを組み合わせて用いることによって、温時のみならず、飯が冷えた状態または冷凍状態であっても、良好にほぐれ改善効果を発揮することができる。
【0031】
本発明で用いられる水溶性ヘミセルロースは、油糧種子(大豆、パーム、椰子、コーン、綿実等)または穀類(米、小麦等)や豆類(小豆、エンドウ豆、大豆等)を原料とし、それらから通常の方法で油脂、タンパク質および澱粉質を除いた穀又は粕を用いて、それらを酸性乃至アルカリ性の条件下、好ましくは各々のタンパク質の等電点付近のpHで、好ましくは80℃以上130℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下で加熱分解して水溶性画分を分画した後、そのまま乾燥するか、又はさらに、例えば活性炭処理、樹脂吸着処理或いはエタノール沈殿処理して疎水性物質もしくは低分子物質を除去して乾燥することによって得ることができる。
【0032】
例えば原料として大豆を用いる場合、上記油脂、タンパク質および澱粉質を除いた穀又は粕として、豆腐、豆乳及び分離大豆タンパク質を製造するときに副生するオカラを利用することができる。
【0033】
こうして得られた水溶性ヘミセルロースは、平均分子量が数万〜数百万であり、その組成のおよそ8割以上が多糖類で、その他、粗灰分、粗タンパクおよび水分を含有している。また、構成糖としてはガラクトースが最も多く、次いでウロン酸およびアラビノース、その他キシロース、フコース、ラムノースおよびグルコースがあげられる。
【0034】
本発明で用いられる水溶性ヘミセルロースの原料としては上記のものがあげられるが、溶解性や工業性の面から、豆類由来、特に大豆、なかでも子葉由来のものが好ましい。この水溶性ヘミセルロースは商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−700、SM−1200(いずれも商品名)等を挙げることができる。
【0035】
本発明の飯質改良剤は、ヒドロキシプロピルセルロースと水溶性ヘミセルロースとを1:10〜10:1(重量比)(ヒドロキシプロピルセルロース100重量部に対して水溶性ヘミセルロース10〜1000重量部)、好ましくは1:9〜9:1(重量比)(ヒドロキシプロピルセルロース100重量部に対して水溶性ヘミセルロース約10〜900重量部)の割合で含むものであればよく、その限りにおいてヒドロキシプロピルセルロースと水溶性ヘミセルロースの2成分からなるものであってもよいし、他の成分を含有するものであってもよい。他の成分としては、例えば、(1)ほぐれ効果を主目的として本発明の飯質改良剤を用いる場合、他の成分としてヒドロキシプロピルセルロース以外の水溶性セルロースエーテル(メチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロースが好ましい)などを挙げることができる。また(2)つや出し効果を主目的として本発明の飯質改良剤を用いる場合、他の成分としてプルラン、ヒドロキシプロピルセルロース以外の水溶性セルロースエーテル(メチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロースが好ましい)を挙げることができる。かかる他の成分を含有する場合、飯質改良剤100重量%中に含まれるヒドロキシプロピルセルロースの含有量としては、(1)(2)のいずれの場合でも、5〜90重量%、好ましくは5重量%以上90重量%未満を挙げることができる。より好ましくは25〜70重量%、さらに好ましくは25重量%以上50重量%未満を挙げることができる。
【0036】
本発明の飯質改良剤の飯への適用方法は、当該改良剤が最終的に飯に配合される方法であれば特に限定はされず、前述するように、当該改良剤を飯の原料に配合して一緒に加熱処理する方法(例えば上記1の方法)、当該改良剤を用いて加熱処理穀類を処理する方法を挙げることができる(例えば上記2〜4の方法)。
【0037】
本発明の飯質改良剤の飯への添加量は、飯の種類やその調製方法(加工方法を含む)によって異なり、それに応じて適宜調製することができるが、例えば、飯質改良剤を飯原料に配合して一緒に加熱処理する場合(上記1の方法の場合)、生穀類100重量部に対するヒドロキシプロピルセルロースと水溶性ヘミセルロースの総量の割合として0.001〜2重量部程度、好ましくは、0.01〜1重量部、更に好ましくは、0.1〜1重量部となるような割合で添加することができる。
【0038】
また、飯質改良剤を用いて加熱処理穀類を処理して飯を製造する場合(上記2〜4の方法の場合)、処理液中のヒドロキシプロピルセルロースと水溶性ヘミセルロースの総量の濃度が0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%となるように飯質改良剤を用いることができる。
【0039】
(3)飯質改良剤を用いて調製される飯およびその製造方法
本発明は、また上記(1)および(2)の飯質改良剤を用いて調製される飯を提供する。 かかる飯は、上記飯質改良剤を飯原料に配合して一緒に加熱処理するか、または当該改良剤を用いて加熱処理穀類を処理することによって製造することができる。
【0040】
具体的には、以下の方法を例示することができる。
1.予め水洗したあとの生の穀類(好ましくは米)に、飯質改良剤を添加して水加減し、必要に応じて他の原料を配合して、炊飯や蒸煮などの加熱処理をする。
2.加熱処理した穀類(好ましくは炊いた米飯)を、飯質改良剤または飯質改良剤を水に溶解或いは分散させた溶液で表面処理する。
3.予め調味液に飯質改良剤を溶解または分散しておき、これを加熱処理した穀類(好ましくは炊いた米飯)に添加して調味付け及び表面処理を同時に行う。
4.加熱処理した穀類(好ましくは炊いた米飯)を、飯質改良剤を溶解または分散させた油を用いて調理する。
【0041】
かかる操作以外は、飯の種類に応じて慣用の方法に従って調製することができる。なお、飯質改良剤の適用量については、(1)および(2)で説明した通りである。
【0042】
斯くして調製される本発明の飯は、飯粒のほぐれ、特に冷えた状態や冷凍状態での飯粒のほぐれが改善されており、さらに冷えた状態でもつやを備えている。また、飯質改良剤を配合することで焦げ付きが防止されるため製造ロスがない。さらに、特に1の方法で調製される本発明の飯は、ほぐれ改良効果およびつや付与効果に加え、飯が経時的にボソボソした食感になるのが抑制されて冷時でも適度な弾力性を備えている。
【0043】
従って、本発明は、ほぐれが改良された飯(特に冷時のほぐれが改良された飯)を製造する方法を提供するものでもある。かかる方法は、別の角度から、飯についてほぐれを改良する方法ということもできる。また、本発明はつやを有する飯(特に冷時でもつやを有する飯)を製造する方法を提供するものでもある。かかる方法は、別の角度から、飯についてつやを出す方法ということもできる。さらに本発明は焦げ付きにくい飯を製造する方法を提供するものでもある。かかる方法は、別の角度から、飯の焦げ付きを抑制する方法ということもできる。さらにまた本発明は食感(弾力性)の経時的劣化が抑制された飯(食感劣化抑制飯)を製造する方法を提供するものでもある。かかる方法は、別の角度から、飯の食感の劣化を抑制する方法または飯の弾力性を維持する方法ということもできる。
【0044】
本発明の飯は、前記飯質改良剤を使用して調製されることを特徴とするが、本発明の効果に悪影響を与えない限度において、他の増粘安定剤、例えば、キサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カードラン、アラビアガム、カラヤガム、ガティガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タラガム、プルラン、ペクチン、ラムザンガム、ヒドロキシプロピルセルロース以外の水溶性セルロースエーテル(メチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロースなど)等の多糖類系の増粘安定剤を併用して調製することもできる。また、卵白タンパク質、小麦タンパク質、血漿タンパク質、乳清タンパク質などのタンパク質系の改良剤などを併用して調製することができる。
【0045】
本発明の飯は、前記の他に、卵白、卵黄、鶏卵(全卵)、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチンの中から選ばれる少なくとも1種または2種以上を適量併用して調製されてもよく、食感改良に有効である。
【0046】
また、前記以外の飯に使用する原料としては、例えば牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉類、ジャガイモ、人参、玉葱等の野菜類、バター、生クリーム等の乳脂肪分やラード、豚脂、牛脂等の動物油脂、植物油脂などの油脂、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、サワークリームなどの乳原料など、公知の原料を挙げることができる。
【実施例】
【0047】
以下に、実験例及び実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、文中、「%」は「重量%」を意味する。また、ヒドロキシプロピルセルロースに関して記載する粘度は、2重量%水溶液に調製した場合の室温(25℃)時の粘度を意味する(測定条件;BL型回転粘度計、ローターNo.1〜4、回転数6rpm、25℃)。
【0048】
実験例1:おにぎり;ほぐれ効果の評価
表1に示す処方に従って、20℃の水に飯質改良剤として水溶性ヘミセルロースまたは/およびヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を添加し、攪拌機にて10分間攪拌溶解して、これをよく研いだ白米に加え、電子炊飯ジャー(National製SR-MA10)にて炊飯した。
【表1】


【0049】
炊き上がった米飯をおにぎり成形型に70g入れておにぎりを作り、(1)炊き上がった直後、(2)室温下で放冷した後、(3)5℃の冷蔵庫で一晩保存した後、および(4)冷凍した翌日電子レンジで加熱解凍した際の、ほぐれおよび食感を評価した。結果を表2に示す。なお、ほぐれの評価は下記の基準に従って行った。
【0050】
<ほぐれ評価>
○;とてもほぐれやすい △;ややほぐれやすい ×;ほぐれにくい
【0051】
【表2】


【0052】
表2に示す通り、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を使用して調製した米飯(実施例1および2)は、温時と冷時の別に拘わらず、飯粒同士の結着が抑制されておりほぐれ易かった。特にコントロールや比較例の米飯に比して、冷時におけるほぐれ改善効果が顕著であった。水溶性ヘミセルロースのみを使用して調製した米飯(比較例1)は、温時にはほぐれ効果を示すものの、前述するようにヒドロキシプロピルセルロースを使用して調製した米飯(実施例1および2)と比べて冷時におけるほぐれ改善性が有意に低かった。
【0053】
また、食感(弾力性)についても、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を使用して調製した米飯(実施例1および2)は、温時と冷時の別に拘わらず、適度に弾力性を有していた。特にコントロールや比較例の米飯に比して、冷時においても弾力性を維持しており、またコントロールの米飯に比して、電子レンジによる解凍後においても弾力性を維持していた。
【0054】
実験例2:炊飯米;外観のツヤ効果の評価
表3に示す処方に従って、20℃の水に水溶性ヘミセルロースまたは/およびヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を添加し、攪拌機にて10分間攪拌溶解して飯質改良剤含有溶液を調製した後、この溶液によく研いだ白米に加え、電子炊飯ジャー(National製SR-MA10)にて炊飯した。炊き上がった米飯を冷凍して冷凍米飯を調製した。対照(コントロール)として、飯質改良剤を一切加えない以外は上記と同様の方法で白米を炊飯した。
翌日電子レンジで解凍して、外観の光沢(ツヤ)について、解凍直後(温時)及び室温放置2時間後(冷時)に評価を行った。結果を表3に合わせて示す。
【0055】
【表3】


【0056】
表3に示すとおり、炊飯の光沢について、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を用いて調製した米飯(実施例3〜5)は、温時、冷時ともに良好な光沢を示した。特にその効果はヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の使用量を増すに従って、またヒドロキシプロピルセルロース(HPC)と水溶性ヘミセルロースとを併用することによって有意に増大した。これに対して、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を使用しないで調製した米飯(比較例2〜3)は、温時では通常の米飯(コントロール)と同様にツヤはあるものの、冷時ではツヤがなくなっていた。
【0057】
実施例6:炊き込みご飯の調製
下記の表4に示す処方に従って、20℃に調製した水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を添加し、攪拌機にて10分間攪拌溶解して、これをよく研いだ白米に加え、ついで具材、醤油、だし汁をあわせ、常法通りに炊飯した。得られた炊き込みご飯は、ほぐれ性が良好であるとともに、炊飯窯への焦げ付きを防止することができ、また、炊飯の炊飯窯へのくっつきが少なく、釜から炊飯が取り出しやすかった。よって、炊飯の廃棄率も少なくなり、製品ロスを最小限に留めることが出来る。
【0058】
対照(コントロール)として、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を加えない以外は上記実施例6と同様の方法で炊き込みご飯を調製したが、炊飯窯への焦げ付きが多く、また、かまへの炊飯の付着が多く、付着部分について炊飯から米が取り出しにくく、ロスが多くなった。
【0059】
【表4】


【出願人】 【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1丁目1番11号
【出願日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二

【識別番号】100076510
【弁理士】
【氏名又は名称】掛樋 悠路

【識別番号】100108084
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 睦子

【公開番号】 特開2006−311848(P2006−311848A)
【公開日】 平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願番号】 特願2005−269137(P2005−269137)