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【発明の名称】 フライ用バッター及びフライ用バッターミックス並びにフライ食品
【発明者】 【氏名】村井 憲一
【住所又は居所】神奈川県厚木市緑ヶ丘5丁目1番3号 日本製粉株式会社開発本部加工技術研究所内

【氏名】中谷 裕子
【住所又は居所】神奈川県厚木市緑ヶ丘5丁目1番3号 日本製粉株式会社開発本部加工技術研究所内

【要約】 【課題】口溶けがよく、サクサク感があり油っぽくなく歯切れがよい食感を有するフライ食品を得ることができるバッター及びフライ用バッターミックス並びに前記フライ用バッターで具材を被覆しフライしたフライ食品を提供することを目的とする。

【解決手段】グルコシルセラミドを含有することを特徴とするフライ用バッター及びグルコシルセラミドを含有することを特徴とするフライ用バッターミックスである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコシルセラミドを含有することを特徴とするフライ用バッター。
【請求項2】
グルコシルセラミドを含有することを特徴とするフライ用バッターミックス。
【請求項3】
請求項1に記載のフライ用バッターで具材を被覆しフライしたことを特徴とするフライ食品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
グルコシルセラミドを含有することを特徴とするフライ用バッター及びフライ用バッターミックス並びにフライ食品に関する。
【背景技術】
【0002】
フライ食品の衣の品質改良を目的として複合脂質を使用する試みがなされている。
例えば、糖脂質としてモノガラクトシルモノグリセライド、ジガラクトシルモノグリセライド、モノガラクトシルジグリセライド、ジガラクトシルジグリセライドを0.1〜10重量部添加した小麦粉をてんぷら粉として使用することが知られている。
しかし、パンやケーキ等のベーカリー製品の比容積が顕著に増大し、かつソフトで風味のよい製品ができる効果は知られているが、てんぷら粉に使用した場合の効果に関しては知られていない(例えば特許文献1参照)。
また、フライした際の吸油量を抑制するため、平均粒径が250μm以下であり、かつ表面の疎水度がJIS K6223の吸油量測定法による吸油量として35g以下である疎水性微細粒子からなる吸油抑制能及び油脂代替能を有する食品添加剤が知られている。
前記疎水性微細粒子は、表面に疎水性物質が付着しているが、疎水性物質として、食品添加物として許容される脂肪酸、脂肪酸塩、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、リン脂質、糖脂質、シュガーエステル、ポリグリセリンエステルが使用されている。
しかし、糖脂質の具体的な種類や使用量は知られていない(例えば特許文献2参照)。
更に、電子レンジ等で再加熱した場合に口溶けの良好な天ぷらを得る目的でリン脂質としてスフィンゴミエリンを使用することが知られている(例えば特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−3750号公報
【特許文献2】特開2002−78443号公報
【特許文献3】特開2000−69925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、口溶けがよく、サクサク感があり油っぽくなく歯切れがよい食感を有するフライ食品を得ることができるバッター及びフライ用バッターミックス並びに前記フライ用バッターで具材を被覆しフライしたフライ食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、グルコシルセラミドを含有するバッターを使用することにより、口溶けがよく、サクサク感があり油っぽくなく歯切れがよいフライ食品を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、グルコシルセラミドを含有することを特徴とするフライ用バッターである。
また、グルコシルセラミドを含有することを特徴とするフライ用バッターミックスである。
更に、前記フライ用バッターで具材を被覆しフライしたことを特徴とするフライ食品である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフライ用バッターを使用したフライ食品は口溶けがよく、サクサク感があり油っぽくなく歯切れがよい食感を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するグルコシルセラミドとは、スフィンゴ糖脂質の1種であり複合脂質のうち糖脂質に分類される。
化学構造は、長鎖網のアルコールであるスフィンゴイド塩基のアミノ基に脂肪酸が結合したセラミド骨格にグルコースが結合したものである。
動物、植物、真菌類などに広く存在し、毒性は極めて低い。
グルコシルセラミドは動物、植物、真菌類から公知の抽出方法により得ることができる。
例えば、とうもろこし、米、小麦等の穀物を原料とし、抽出溶媒として、エタノール、含水エタノール、メタノール、含水メタノール、ヘキサン等を使用して、攪拌抽出、還流抽出、浸漬抽出等により得ることができる。
得られたグルコシルセラミドは常温で白色個体である。
【0008】
このように抽出して得られるグルコシルセラミドにはセラミド部位のスフィンゴイド塩基の構造の差異により、米、とうもろこしに多く含まれる4−トランス,8−シス−スフィンガジエニン、大豆に多く含まれる4−トランス,8−トランス−スフィンガジエニン、小麦、ライ麦に多く含まれる8−シス−スフィンゲニン等に分類できる。
【0009】
以下に、一例として2−ヒドロキシ脂肪酸残基が炭素数20からなる飽和脂肪酸で、スフィンゴイド塩基部位が4−トランス,8―シス−スフィンガジエニンの構造を示す。
【化1】


【0010】
得られた、グルコシルセラミドの組成は、含水エタノール等で分解処理し、スフィンゴイド塩基、脂肪酸及び糖の組成をガスクロマトグラフィーで分析することにより求めることができる。
【0011】
得られた、グルコシルセラミドの各組成の分析結果の一例を表1に示す。
【表1】


【0012】
上記表中、16h:0とは、2−ヒドロキシ脂肪酸の炭素原子数が16で炭素-炭素二重結合が0であることを表し、N.D.とは検出しなかったことを示す。
【0013】
本発明で使用するグルコシルセラミドの、抽出原料、抽出方法は、特に限定されず、上記の原料や方法により抽出したものを使用できる。
また、保存性や取り扱いの利便性を向上させるため界面活性剤、賦形剤、潤沢剤、佐剤、皮膜形成剤、分散剤などを添加したものも使用することができ、市販品も使用することができる。
グルコシルセラミドの使用量は特に限定されないが、天ぷら等の衣が外観上現れる製品では揚げ色が暗く付く傾向があるので使用量はバッター中加水前のグルコシルセラミド以外の原料100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
さらに好ましくは0.01〜5質量部である。
グルコシルセラミドの使用方法は、フライ時のバッターにグルコシルセラミドが含有されていればよく、あらかじめ他のバッター原料とミックスして使用できる他、バッター製造時の加水に懸濁して使用することもできる。
【0014】
本発明のバッターは、グルコシルセラミドを含有することに特徴があり、グルコシルセラミド以外は公知のフライ用バッターに使用する原料を使用できる。
使用できる原料としては、穀粉類及び/又は澱粉類、デキストリン、植物蛋白質、乳化剤、卵粉、増粘多糖類、膨張剤、食物繊維、油脂類、塩、糖類、調味料、香辛料、着色料、香料、ビタミン類、ミネラル類等が挙げられる。
また、本発明のグルコシルセラミドを含有するバッターの調製方法は特に限定がなく従来公知の方法が使用できる。
【0015】
本発明のグルコシルセラミドを含有するバッターミックスの製造方法は特に限定されず、前記バッター原料を均一に混合できればよく、リボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用することができる。
【0016】
バッターで具材を被覆する方法は特に限定がなく従来公知の方法が使用でき、打ち粉、ブレッダー等を併用することもできる。
【0017】
本発明のフライ食品のフライ方法は特に限定がなく従来公知の方法が使用でき、フライ食品の種類としては、天ぷら、とんかつ、コロッケ、かきあげ、唐揚げ等を挙げることができる。
前記フライ食品は、冷蔵、冷凍保管でき、電子レンジ等で解凍加熱しても良好な食感を有する。
【実施例】
【0018】
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1〜3]
[コロッケ]
表2の実施例1〜3に示すバッター原料をV型ミキサーで均一に混合し本発明のグルコシルセラミドを含有するフライ用バッターミックスを得た。
上記フライ用バッターミックスに水を200質量部加えバッターを調製した。
20〜25gの冷凍コロッケ中種を前記調製したバッターで被覆しさらに、パン粉を付けて冷凍した。
前記冷凍品を解凍することなく170℃のサラダ油中で4分30秒間フライして本発明のコロッケを得た。
[比較例1〜2]
実施例1において、配合を表2のとおり変更した以外は実施例1と同様にしてコロッケを得た。
【0019】
【表2】


【0020】
上記表中、増粘多糖類は、キサンタンガムとグアガム=1:1の混合物である。
膨張剤は、重曹:酸性ピロ燐酸ナトリウム=6:4の混合物である。
以下の実施例、比較例においても同様である。
【0021】
前記コロッケを10名のパネラーによりフライしてから5分経過後及び2時間経過後に以下の基準により評価を行った。
食感
5点・・・口溶けが非常によく、サクサク感が非常にあり、油っぽくなく歯切れが非常によい
4点・・・口溶けがよく、サクサク感があり、油っぽくなく歯切れがよい
3点・・・普通
2点・・・口溶けが悪く、サクサク感がなく、油っぽく歯切れが悪い
1点・・・口溶けが非常に悪く、サクサク感が全く無く、非常に油っぽく歯切れが非常に悪い
【0022】
得られた評価結果を表3に示す。
【表3】


【0023】
実施例1〜実施例3は、フライしてから5分後、2時間後でも、非常に良好な食感であった。パン粉の食感もさくさくとしていた。
比較例1はグルコシルセラミドに分散剤として使用されていたサイクロデキストリンの添加効果を確認したものである。
サイクロデキストリンのみを添加した場合には、グルコシルセラミドを添加した場合の食感改良効果は認められなかった。
比較例2は糖脂質であるガラクトシルセラミドの食感改良効果を確認したものである。
比較例1よりは食感改良効果が認められるが、グルコシルセラミドの食感改良効果には及ばなかった。
【0024】
[実施例4〜6]
[イカ天ぷら]
表4に示す原料に水120質量部を加え本発明のバッターを調製した。
20gのイカの切り身に馬鈴薯澱粉で打ち粉をした後、前記バッターで被覆して165℃で1分間フライし、イカ天ぷらのプレプライ品を得た。
前記イカ天ぷらのプレプライ品を−40℃で急速冷凍して1ヶ月間、−18℃で冷凍保管した。
1ヶ月保管後前記イカ天ぷらのプレプライ品を解凍せずそのまま170℃で4分間フライして、本発明のイカ天ぷらを得た。
【0025】
[比較例3〜5]
実施例4において、配合を表4のとおり変更した以外は実施例1と同様にしてコロッケを得た。
【0026】
【表4】


【0027】
フライ後すぐに10名のパネラーにより食感と外観の評価を行った。
食感の評価基準は前記実施例1と同様に行った。
外観の評価基準を以下に示す。
外観
5点・・・揚げ色が明るい黄色で非常によい
4点・・・揚げ色が薄めの黄色でよい
3点・・・普通
2点・・・揚げ色がやや濃い目の褐色で悪い
1点・・・揚げ色が濃い褐色で非常に悪い
【0028】
得られた評価結果を表5に示す。
【表5】


【0029】
実施例4〜5は非常に良好な食感であった。
ただし、実施例6は、食感は非常に良好であるが、揚げ色が劣る傾向であった。
比較例3〜4は、グルコシルセラミドに分散剤として使用されていたサイクロデキストリンの添加効果を確認したものである。
サイクロデキストリンのみを添加した場合には、グルコシルセラミドを添加した場合の食感改良効果は認められなかった。
比較例5は糖脂質であるガラクトシルセラミドの食感改良効果を確認したものである。
比較例3、4よりは食感改良効果が認められるが、グルコシルセラミドの食感改良効果には及ばなかった。
本発明のバッターはプレフライ後冷凍保存して再度油ちょうした場合にもその効果が認められた。
【0030】
[実施例7〜9]
[唐揚げ]
表6に示す原料に水100質量部を加え本発明のバッターを調製した。
20〜23gの鶏肉に前記バッターを付けて、170℃のサラダ油中で3分30秒間フライして本発明の唐揚げを得た。
前記の唐揚げを-40℃で急速凍結して−30℃で1週間冷凍保存した後解凍してさらに2週間4℃で冷蔵保存した。
【0031】
[比較例6〜8]
実施例7において、配合を表6のとおり変更した以外は実施例7と同様にして唐揚げを得て冷蔵保存した。
【0032】
【表6】


【0033】
上記表中、香辛料類はブラックペッパー:ガーリックパウダー=3:1の混合物である。
【0034】
前記冷蔵保存した唐揚げを電子レンジで再加熱して10名のパネラーにより食感と外観の評価を行った。
食感の評価基準は前記実施例1と同様である。
外観の評価基準を以下に示す。
外観
5点・・・揚げ色が明るい褐色で非常によい
4点・・・揚げ色が少し薄めの褐色でよい
3点・・・普通
2点・・・揚げ色が少し濃い目の褐色で悪い
1点・・・揚げ色が濃い褐色で非常に悪い
【0035】
得られた評価結果を表7に示す。
【0036】
【表7】


【0037】
実施例7〜9は非常に良好な食感及び外観であった。
ただし、実施例9は、食感は非常に良好であるが、揚げ色が暗く劣る傾向であった。
比較例6〜7は、グルコシルセラミドに分散剤として使用されていたサイクロデキストリンの添加効果を確認したものである。
サイクロデキストリンのみを添加した場合には、グルコシルセラミドを添加した場合の食感改良効果は認められなかった。
比較例8は糖脂質であるガラクトシルセラミドの食感改良効果を確認したものである。
比較例6、7よりは食感改良効果が認められるが、グルコシルセラミドの食感改良効果には及ばなかった。
本発明のバッターは冷凍・冷蔵保存後電子レンジで再加熱した場合にもその効果が認められた。

【出願人】 【識別番号】000231637
【氏名又は名称】日本製粉株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目27番5号
【出願日】 平成17年4月20日(2005.4.20)
【代理人】 【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣

【公開番号】 特開2006−296284(P2006−296284A)
【公開日】 平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願番号】 特願2005−122354(P2005−122354)