| 【発明の名称】 |
分岐構造を有する3〜4糖類の新規用途、これらの糖類を有効成分とする抑制剤、並びに飲食物 |
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【氏名】中西 泰介 【住所又は居所】茨城県鹿島郡神栖町東深芝6番地 昭和産業株式会社総合研究所鹿島研究センター内
【氏名】安武 望 【住所又は居所】茨城県鹿島郡神栖町東深芝6番地 昭和産業株式会社総合研究所鹿島研究センター内
【氏名】岡本 勝之 【住所又は居所】茨城県鹿島郡神栖町東深芝6番地 昭和産業株式会社総合研究所鹿島研究センター内
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カテキン類の苦味及び/又は渋みの抑制を目的とする分岐構造を有する3〜4糖類の使用。 【請求項2】 分岐構造を有する3〜4糖類を有効成分とするカテキン類の苦味及び/又は渋みの抑制剤。 【請求項3】 分岐構造を有する3〜4糖類を風味調整成分として含有するカテキン類含有飲食品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、分岐構造を有する3〜4糖類の新規な用途に関する。より詳しくは、分岐構造を有する3〜4糖類によって、カテキン類の苦味や渋みを抑制する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 ポリフェノールの一種であるカテキン類は、緑茶に含まれる有用成分である。近年、このカテキン類の生理作用に関する研究が急速に進展している。その研究成果として、カテキン類には、抗酸化作用、抗菌作用、脂質代謝改善作用、血圧上昇抑制作用、血糖値上昇抑制作用、消臭作用、抗アレルギー作用などがあることが明らかになってきている。 【0003】 このため、カテキン類の摂取量を増加させ、あるいは継続的な摂取の普及を図る目的から、カテキン類を機能性成分として意図的に添加配合した様々な飲食品が登場し始めている。この種の飲食品の中には、高濃度の茶カテキン類を配合した茶飲料も既に発売されている。 【0004】 しかしながら、カテキン類には特有の苦味や渋味があるため、風味バランスの観点を考慮すると、その配合量には限度を設定せざるを得ない。このことは、カテキン類含有飲食品の開発の障害となっている。 【0005】 特許文献1では、CGTaseによってカテキン類を配糖化する技術が提案されている。しかしながら、カテキン類を配糖化するには専用の設備が必要であり、手間もかかる。特許文献2では、サイクロデキストリンを用いる技術が提案されている。特許文献3や特許文献4には、オリゴ糖その他の糖類を配合することでカテキン類の渋味や苦味の低減を達成可能な技術が開示されている。 【特許文献1】特開平07−179489号公報。 【特許文献2】特開平10−4919号公報。 【特許文献3】特開2005−058209号公報。 【特許文献4】特開2000−287630号公報。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 上掲する従来技術によってカテキン類の苦味や渋味の抑制をある程度達成できたが、その効果の程度は充分とは言えず、また、カテキン類の苦味や渋味の抑制技術として汎用化できるような簡易技術とは言えないものであった。さらに、サイクロデキストリンを配合する従来の方法では、お茶の持つ「旨み」までも抑制してしまうという問題があり、特に飲料においては、この問題の解決は重要な技術的課題となっている。 【0007】 そこで、本発明は、お茶の旨味を損なわないようにしながら、カテキン類の苦味や渋味をより効果的に抑制できる簡易な汎用技術を提供することを主な目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本願発明者らは、糖類、とくにオリゴ糖に関する徹底かつ詳細な研究を推し進めている中で、分岐構造を有する3〜4糖類を含む非還元糖質及び/又は還元糖質が、カテキン類の苦味や渋みの抑制作用を有し、かつ、お茶の旨味などの風味を損なわないという優れた作用、機能を有することを突き止めた。 【0009】 そこで、本発明は、カテキン類の苦味及び/又は渋みの抑制を目的として、分岐構造を有する3〜4糖類を使用することを提案する。なお、本発明においては、分岐構造を有する3糖類と4糖類のいずれか一方又は両方を使用したり、含有させたりする構成のいずれも含む。 【0010】 また、本発明は、分岐構造を有する3〜4糖類を有効成分とするカテキン類の苦味及び/又は渋みの抑制剤を提供する。この抑制剤の形態は用途や目的に応じて適宜選択できるのであり、例えば、液体、粉体、顆粒状、ペースト状、エマルジョンなどの形態を採用できる。さらに本発明は、分岐構造を有する3〜4糖類を風味調整成分として含有するカテキン類含有飲食品を提供する。 【0011】 ここで、本発明に関連する主要な技術用語を定義付けする。 【0012】 まず、「分岐構造」は、α-1,4グルコシド結合のみからなる直鎖構造に対して、その糖鎖中にα-1,1グルコシド結合、α-1,2グルコシド結合、α-1,3グルコシド結合、α-1,6グルコシド結合などのα-1,4グルコシド結合以外の結合を有する構造を意味する。 【0013】 「分岐構造を有する3〜4糖類」とは、糖鎖中のいずれかに前記分岐構造を備える3糖あるいは4糖のオリゴ類を意味する。一例を挙げれば、α-1,6グルコシド結合のみで構成されるイソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、α-1、4グルコシド結合とα-1,6グルコシド結合とで構成されるパノース(マルトースの非還元性末端グルコースにグルコースがα-1,6グルコシド結合した3糖)、イソパノース(マルトースの還元性末端グルコースにグルコースがα-1,6グルコシド結合した3糖)、イソマルトトリオシルグルコース、α-1,3グルコシド結合を一つ以上有する3糖類又は4糖類のニゲロオリゴ糖、α-1,2グルコシド結合を一つ以上有する3糖類又は4糖類のコウジオリゴ糖などを広く含み、また、以上の分岐オリゴ糖の還元物も含む。なお、これらの分岐構造を有する3〜4糖類は、カテキン類の苦味や渋味に係わる成分に対する包接効果を発揮することにより、これらの風味を抑制するものと推定される。本発明では、これらの分岐オリゴ糖を単独で、あるいは複数種組み合わせて用いてもよい。 【0014】 糖質又は糖組成物中の分岐構造を有する3〜4糖類の含有量は、重合度分布を求める排除型イオン交換系カラムと各重合度中の直鎖オリゴ糖と分岐オリゴ糖の比率を求めるアミン結合シリカカラムを利用した高速液体クロマトグラフィー法などによって測定することができる(食品化学新聞社「澱粉糖関連工業分析法」、p131〜138、1991)。 【0015】 「非還元糖」とは、アルドースの1位、またはケトースの2位、即ちアノマー炭素原子が置換を受けていない糖類組成物であり、「還元糖」は、前記置換を受けている糖類組成物である。 【0016】 「カテキン類」とは、フラボノイドの一種であり、3位に水酸基を持つ3-hydroxyflavanの誘導体とこれらの酸化、重合物を含む。中でも緑茶に含まれる茶カテキンは有名であり、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカトカテキンガレートの計8種類が知られている。 【発明の効果】 【0017】 本発明によれば、お茶の旨味などの風味を損なわないようにしながら、カテキン類の苦味や渋味を顕著に抑制できる。その結果、カテキン類の配合による風味低下の懸念を払拭できるので、カテキン類を高濃度で配合した飲食物の開発を促進することが可能となる。 【実施例1】 【0018】 まず、以下の実施例で使用した糖質試料を、次の「表1」に示す。 【0019】 【表1】
【0020】 グルコース(商品名「無水結晶ぶどう糖」昭和産業株式会社製)、ソルビトール(商品名「ソルビトール日研SP」日研化学株式会社製)、エリスリトール(商品名「エリスリトールEridexTM」日研化学株式会社製)、マルトース(商品名「サンマルトS」株式会社林原製)、マルチトール(商品名「マルビット」日研化学株式会社製)、トレハロース(商品名「トレハ」株式会社林原製)、β‐CD(商品名「デキシーパールβ‐100」塩水港精糖株式会社製)は、市販製品を用いた。また、その糖質は、市販オリゴ糖から分離・精製して得た。分岐オリゴ糖はイソマルト900(昭和産業株式会社製)を用い、分画、精製して得た。 【0021】 いずれもオルガノ社製の連続分取クロマト装置による分画処理後、YMC社製のODS分取クロマト装置などで繰り返し精製し、純度90%以上の非還元物試料を調整することにより取得した。この還元物試料については、前記非還元物試料を公知の方法(Starke 26 307-312.1974参照)に準じて還元し、前記ODS分取クロマト装置で精製し、純度90%以上の試料を調整することにより得た。 【実施例2】 【0022】 実施例1に示した糖質試料を用いて、カテキン類の苦味や渋味の抑制効果と旨味の残存程度についての官能評価試験を行なった。 【0023】 1.2mg/mlのカテキンを含む市販の茶飲料(商品名「カテキン緑茶」、サンガリア株式会社製)に各種糖質試料を5重量%(固形分換算)になるように添加した。 【0024】 官能評価は、熟練パネラー7名で行った。評価項目は、苦味抑制、渋味抑制、旨味残存の3項目である。評価は、前記茶飲料に砂糖を同量添加した「対照区」との間の相対評価を基に実施した。苦味や渋みの抑制については、強い効果がある場合を「○」、効果がある場合を「△」、効果がない場合を「×」とした。 また、旨みの残存については、失われていない場合を「○」、ほとんど失われていない場合を「△」、失われている場合を「×」とした。総合評価は、3項目中、○が3項目の場合を「◎」、○が2項目の場合を「○」、○が1項目の場合を「△」、×が一項目でもある場合と○の評価項目がない場合を「×」とした。この評価結果を、次の「表2」(非還元糖関連について)、「表3」(還元糖関連について)にまとめた。 【0025】 【表2】
【0026】 【表3】
【0027】 前掲する表2、表3に示された評価結果からわかるように、分岐構造を有する3〜4糖類及びその還元物では、苦味や渋味が抑制され、かつ旨味が残存していた。一方、単糖類、α-1,4グルコシド結合のみの直鎖オリゴ糖、α-1,4グルコシド結合以外の結合を有する5糖類以上の分岐オリゴ糖では、対照区と同等又はそれ以下の評価であり、β-サイクロデキストリンは、苦味と渋味の抑制効果はよかったが、旨味の減少が著しかった。 【実施例3】 【0028】 試験1。 実施例2で使用した市販茶飲料に市販のカテキン製剤(商品名:サンフェノン100S、太陽化学株式会社製)を、0.02%、0.04%、0.08%添加した緑茶サンプルを調整し、カテキン濃度と旨味の関連性を確認した。また、旨味のポジティブコントロールとして、0.15%グルタミン酸ナトリウムを用いた。旨味は味覚センサーを用いて測定した。 【0029】 味覚センサーは、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー社製の味識別装置SA402Bを用いた。測定は、7種のセンサーを用いて、30mMKCl+0.3mM酒石酸の基準液に対する各サンプルの出力を測定した。測定は計5回行い、その平均値をウエーバーの法則に即してセンサー出力から旨味へ変換した。 【0030】 測定結果を図1に示す。この図1に示すように、カテキン製剤を添加すると、グルタミン酸ナトリウムを添加したときと同様に旨味強度が増加された。また、その増加は添加濃度依存的であった。 【0031】 次に、糖質添加が旨味に与える影響について味覚センサーを用いて確認した。 【0032】 使用した糖質としては、分岐構造を有する非還元3〜4糖類を主成分として50%含有する糖質試料、β-サイクロデキストリン(商品名デキシーパール高純度品β-100、塩水港製糖株式会社製)を用いた。 【0033】 試験2。 無添加の「対照区」、非還元の分岐3〜4糖類を1.5%添加した「実施例区」、βサイクロデキストリンを0.5%添加した比較例区(β-CD区)を測定した結果を図2に示す。縦軸の数値が低いほど、旨味が低減することを意味する。対照区と比較してβ-CD添加区では、旨味成分の大幅な減少が確認されたのに対して、前記実施例区では、旨味の減少の程度は小さく、お茶の風味が残存するという優れた特性を有すると考えられた。 【実施例4】 【0034】 「カテキン強化抹茶ゼリー」による食品評価試験。 【0035】 500mLの水に50gのゼラチンを振り入れ、膨張後、電子レンジで約30秒加熱して溶解した。これに70℃のお湯2000mLを加えて混ぜた後、300mLのお湯に溶いた抹茶40g、市販のカテキン製剤(商品名:サンフェノン100S、太陽化学株式会社製)2gを加えて均一化させた、さらに、分岐構造を有する非還元3〜4糖類を主成分として50%含有する糖質試料300g、砂糖300gを加えてかき混ぜで、とろみが出た時点で容器に流し入れた。室温まで冷却後、冷蔵庫で一昼夜保存した。 【0036】 これをパネラー評価に供したところ、苦味と渋味が抑制され、かつ、お茶の旨味が感じられるという高い評価であった。 【実施例5】 【0037】 「カテキン強化抹茶ムース」による食品評価試験。 【0038】 水300mL、抹茶60g、カテキン製剤(商品名:サンフェノン100S、太陽化学株式会社製)1g、砂糖300g、分岐構造を有する非還元3〜4糖類を主成分として50%含有する糖質試料200g、膨張させたゼラチン50gを弱火で加熱溶解し、とろみがつく程度まで冷却した。これに牛乳800mLを加え、卵白1個と砂糖100gで調整したメレンゲと生クリーム1000mLをホイップしたホイップクリームを加え、軽く混ぜ合わせた。これを容器に流し込み、冷蔵庫で2時間冷却した。 【0039】 これをパネラー評価に供したところ、苦味と渋味が抑制され、かつ、お茶の旨味が感じられるという高い評価であった。 【産業上の利用可能性】 【0040】 本発明は、カテキン類の旨味を残しながら、苦味と渋味が抑制できる技術として利用できる。本発明に係る抑制剤は、カテキン類を配合する茶系飲料、果実飲料、炭酸飲料、野菜飲料、スポーツ飲料、乳清飲料、アルコール飲料その他の飲料、アイスクリーム、ゼリー、ムース、飴菓子、ガムなどの菓子、フィリング、健康食品、サプリメントなどに配合することができる。 【図面の簡単な説明】 【0041】 【図1】実施例3に係わる試験の結果を示す図(カテキン製剤の添加濃度に従って旨味強度が増大することを示す図面代用グラフ)である。 【図2】実施例3に係わる他の試験の結果を示す図(「対照区」、「実施例区」、比較例において旨味強度を測定した結果を示す図面代用グラフ)である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000187079 【氏名又は名称】昭和産業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区内神田2丁目2番1号
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| 【出願日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112874 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 薫
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| 【公開番号】 |
特開2006−280254(P2006−280254A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月19日(2006.10.19) |
| 【出願番号】 |
特願2005−103327(P2005−103327) |
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