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【発明の名称】 カット豆腐の滅菌方法
【発明者】 【氏名】大西 守

【要約】 【課題】常法により製造したカット豆腐の腐敗・品質劣化を抑え、日持ちさせる事を目的としたものである。

【解決手段】カット豆腐製造後に包装して冷却し、常温で一定時間保存したものを熱水槽にて豆腐の中心温度が65℃に達してから30分間以上加熱して芽胞菌を滅菌する工程を施してカット豆腐の保存性を向上させる豆腐の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆を煮沸(一次加熱)して得られた豆乳ににがりを添加して凝固させて製造した絹ごし豆腐又は木綿豆腐を豆腐容器に密封し、冷水で冷却し、一定時間常温で保持した後低温で加熱(二次加熱)する工程からなることを特徴とするカット豆腐の日持ち処理方法。
【請求項2】
前記冷却した後加熱(二次加熱)するまでの保持時間が4時間以上14時間以内であることを特徴とするカット豆腐の日持ち処理方法。
【請求項3】
請求項1の二次加熱の温度が65℃以上、70℃以下で、加熱時間が1時間30分以上であることを特徴とするカット豆腐の日持ち処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はカット豆腐製造後に包装して冷却したものを低温にて加熱して芽胞菌を滅菌する工程を施してカット豆腐の保存性を向上させることを目的とした豆腐の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カット豆腐は原料大豆を水に浸漬した後煮沸(一次加熱)し、絞り機で豆乳を搾り取り、にがり等の凝固剤を加えて凝固させ、適当なサイズにカットしたものを容器に封入して製造される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
豆腐製造に使用される豆には栽培用土に起因した微生物が付着している場合が多い。原料の豆に存在していた微生物のうち栄養細胞型のものは原料の豆を煮沸(一次加熱)したときに滅菌されるが、芽胞を形成した微生物はこの煮沸工程後でも依然生存している。
【0004】
また多くのカット豆腐製造所ではカットされた豆腐を水晒し用水槽中に浮かばせたものを人の手により掬い取って容器に封入する操作が取られているため微生物の二次汚染を受けることが多く、10℃以下に保たれていたとしても3日後には一般生菌数が10の5乗個/g以上となる場合が多く、そのようなものは喫食には適しなくなる。
【0005】
また消費期限が3日以内といった短時間では消費者が当該豆腐を購入した場合早急に喫食しなければならなくなる。また喫食に適しなくなった豆腐は廃棄される。この自然界、産業界、及び消費者に与える無駄を防ぐためには豆腐の消費期限を延ばす以外に無いものと容易に予想がつく。
【0006】
但し、近年消費者の安全、安心といった意識の向上により、合成添加物を加えることによって消費期限を延長することには大いなる抵抗があり、防腐剤無添加、環境に優しい長期保存可能な豆腐が待ち望まれていた。
【0007】
特開平8−131111によるとカット豆腐中に存在する耐熱性胞子を滅菌するために、豆腐を容器に密封した後、胞子を栄養細胞型にする発芽処理工程として、60℃を超え100℃未満の温度帯で1分間以上60分間以下で処理する必要があるとされている。しかし豆腐中に含まれている微生物にとっては大豆の煮沸(一時加熱)時に一度加熱されておりいわゆる発芽刺激処理工程は既に通常の豆腐製造工程では完了している。又豆腐を製造した後の加熱が、次段階の殺菌加熱を含めると2回になり加熱及び冷却の工程が多くなってしまうという経済上の不備があった。
【発明を解決するための手段】
【発明の効果】
【0008】
乾燥状態の豆腐製造原料用大豆には微生物は栄養細胞及び芽胞として通常10の3乗個/g以上存在している。煮沸(一次加熱)直後の栄養細胞型一般生菌数はほぼ0個/gとなるが芽胞菌は観察される。従って煮沸された大豆より絞られた豆乳には芽胞菌が残存している場合が多い。
【0009】
通常は豆乳ににがりを加えて豆乳を固化させて絹豆腐又は木綿豆腐を製造後暖かいままで製品用容器に包装し4℃以下の冷却水に浸けて冷却後保存するホットクールという方法がとられている。この状態で保存された豆腐の中には芽胞菌が生存している場合が多く豆腐の日持ちを悪くしている原因となっている。
【0010】
発明者らは鋭意研究を続けた結果、カット豆腐を製造した後、容器に包装して冷却したものを二次加熱して芽胞菌を殺菌して保存性を向上させることを目的とした長期保存可能な豆腐の製造方法を開発した。
【0011】
包装後の冷却は25℃以下、好ましくは20℃から25℃の温度となってから4時間以上14時間以内、好ましくは5時間から8時間保存する。一次加熱のときに生き残った芽胞菌はこの冷却及び保存過程で芽胞を開き栄養細胞型になる。常温で長時間保存すると菌によっては毒素を産生し蓄積する場合があるので当該発芽促進処理は14時間以上行なわない方がよい。
【0012】
次いで、カット豆腐が製品用容器に包装されたままで豆腐の中心温度が60℃以上、好ましくは65℃から70℃となるよう低温で加熱する。加熱時間は20分以上40分以内、好ましくは30分から35分間の加熱が滅菌程度及び味覚に対して最も良い結果となる。つまり加熱時間を40分より長くしたり、75℃以上で処理したものは微生物は全く検出されないが、3日から4日経過すると豆腐容器中に封入された水に豆腐成分が溶け出し濁ってくる。これは75℃以上では大豆蛋白質が加熱変性され、豆腐内に須が入り保水性が減少するために、豆腐内に保持されていた水が溶け出してきたときに蛋白質成分が一緒に溶出されてきているためと考えられる。
【0013】
特開平8−131111によると耐熱性胞子の発芽工程は菌叢により1分間以上180分未満の多段階に設定するとあるが、製造中の豆腐にどのような微生物が存在しているかは判定できないため発芽工程時間を菌叢別に選択することは実用上不可能である。また菌の発芽、増殖が最大になるには6時間から8時間が必要であり180分ではまだ発芽を完了していない菌が多数残存してしまう事となる。
【0014】
加熱殺菌時間は豆腐の中心温度が65℃以上になってから30分間必要であり、又加熱温度が70℃以上を保っていると大豆タンパク質の熱変性が強く起こり製品の舌触りが悪くなる。加熱殺菌工程時間は200gから400g程度の豆腐の場合70℃の加熱水槽中に投入後ほぼ60分でその中心温度が65℃に到達する。その後30分間加熱すれば栄養細胞型となった菌の殺菌は完了する。
【0015】
豆腐製造は多種多様な形態の工場で行なわれているが殺菌目的の加熱、冷却の温度、時間は普遍性を持たせたほうが産業上の有用性が大きく増加する。
【0016】
いわゆるホットクール製法に従ってカット豆腐を容器に包装後、冷却せず直ちに二次加熱を施しても製品の消費期限を延長することは出来る。但しこの場合は3〜4日間は一般生菌数を10の3乗個/g以下に保つことは出来るが5日目以降になると微生物の増殖が顕著になる。
【0017】
特に豆乳を豆腐に添加して製品容器に封入した豆乳入り豆腐は加熱滅菌すると豆乳蛋白質が熱変性を起こして色が濃くなり、時には黄色から橙色を呈する場合もある。
【0018】
これを防止するためには二次加熱を60℃以上、65℃以下に押さえ、加熱時間も20分以内にする必要がある。この場合の一般生菌数の増加は10℃保存後5日目で10の3乗個/g以上になってしまう。これを防止するためには二次加熱終了後再び4℃以下の冷却水で冷却後、常温で4時間から8時間保存後、三次加熱として60℃から65℃以内で20分程度再度加熱すれば8日保存後でも一般生菌数を10の3乗個/g以下に保つことが出来、かつ豆乳の変色も最小限に抑えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
常法により製造されたカット豆腐を4℃の冷水に漬け、中心温度が25℃以下になった後室温で6時間放置したものを70℃の熱水槽に浸漬し1時間30分加熱した(製造例1)ものを10℃で12日間保存し一般生菌数を計測した。
【0020】
対象として、常法により製造し冷却した豆腐(製造例2)及び常法により製造し冷却操作を施していない豆腐(製造例3)を70℃の熱水槽に浸漬し1時間30分加熱したものを上記と同様に試験した。
(製造例1)冷却後6時間放置した後、加熱する滅菌処理方法(12日間保存)


(製造例2)非加熱滅菌の豆腐(コントロール)


(製造例3)容器包装直後に加熱する滅菌処理方法(12日間保存)


【出願人】 【識別番号】505107941
【氏名又は名称】久我 享三
【出願日】 平成17年3月11日(2005.3.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−246873(P2006−246873A)
【公開日】 平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願番号】 特願2005−111362(P2005−111362)