| 【発明の名称】 |
咀嚼困難者用おやつの素 |
| 【発明者】 |
【氏名】下橋 真人 【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内
【氏名】妻谷 勝弘 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号キユーピー株式会社内
【氏名】野口 愛 【住所又は居所】東京都府中市住吉町5丁目13番地の1キユーピー株式会社研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】高齢者や入れ歯の者等の咀嚼困難者がこんぶ等の褐藻類の可食部をおやつとして美味しく供食することのできる咀嚼困難者用おやつの素を提供することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため、本発明は、褐藻類の可食部を粉砕した粒度100メッシュパス〜170メッシュオンの粉体を主成分としてなることを特徴とする咀嚼困難者用おやつの素からなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 褐藻類の可食部を粉砕した粒度100メッシュパス〜170メッシュオンの粉体を主成分としてなる咀嚼困難者用おやつの素。 【請求項2】 褐藻類がこんぶである請求項1記載の咀嚼困難者用おやつの素。 【請求項3】 食塩、粉末醤油、粉末酢、粉糖又は化学調味料のいずれか一以上を配合して味付けされてなる請求項1又は2記載の咀嚼困難者用おやつの素。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、新規な咀嚼困難者用おやつの素に関する。 【背景技術】 【0002】 高齢者や入れ歯の者等の咀嚼困難者は、堅い食品を噛むことができず、また液状食品の場合には誤飲する事故を起こすおそれがある。したがって、その食品にはこれらの者が問題なく供食できるような工夫が必要である。 そのため従来においても、例えば、液状たん白質、糖類、脂質、ゼラチンやペクチン等のゲル化剤及びミネラルからなる乳化物を噴霧乾燥して粉末栄養組成物とし、これをお湯に戻してトロミをつけた流動食として供食すること(特許文献1)や、食肉を清水、食塩及び増粘多糖類とともにペースト状になるまで細切し、これを成型、加熱して軟らかい食肉製品にすること(特許文献2)が提案されている。 【0003】 しかしながら、こんぶ等の褐藻類の可食部は、アルギン酸と蛋白質等の成分によって細胞が構成された組織であり、この組織を物理的又は化学的手段で崩すとアルギン酸が溶出してくると同時に、多量の不溶性残渣が発生するので、これを特許文献1で用いている液状蛋白質のように乳化させたり、噴霧乾燥したりして粉末栄養組成物とすることはできない。また褐藻類の可食部は、特許文献2で用いている食肉のように他の原料とともにペースト状になるまで細切りできるものの、上記のようにアルギン酸が溶出してくるので、細切りにすればする程アルギン酸が溶出して得られる食品が必要以上に粘稠化して取扱いが困難となる。 このような状況から、こんぶ等の褐藻類の可食部は、その加工が意外と難しいので、これを咀嚼困難者用食品とする技術は未だ開発されていない。 【0004】 【特許文献1】特開2000−135070号公報 【特許文献2】特開2001−197870号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は高齢者や入れ歯の者等の咀嚼困難者がこんぶ等の褐藻類の可食部をおやつとして美味しく供食することのできる咀嚼困難者用おやつの素を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 この目的を達成するため、本発明は(1)褐藻類の可食部を粉砕した粒度100メッシュパス〜170メッシュオンの粉体を主成分としてなる咀嚼困難者用おやつの素、(2)褐藻類がこんぶである(1)記載の咀嚼困難者用おやつの素、(3)食塩、粉末醤油、粉末酢、粉糖又は化学調味料のいずれか一以上を配合して味付けされてなる(1)又は(2)記載の咀嚼困難者用おやつの素、からなるものである。 【発明の効果】 【0007】 本発明の咀嚼困難者用おやつの素は、湯戻しすると適度な粘度となって咀嚼困難者用のおやつに適しているばかりでなく、湯戻しによってこんぶ等の褐藻類の可食部の粉末からその呈味成分が溶出しておやつに特有の食味がつくので、特に年配の咀嚼困難者の味覚を満たすことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 以下、本発明の咀嚼困難者用おやつの素について説明する。なお、本発明において「%」と表示するのは「質量%」を、「部」と表示するのは「質量部」を意味する。 【0009】 本発明において「褐藻類の可食部」とは、こんぶ、わかめ、あらめ、かじめ、ひじき等の褐藻類の葉状部や茎部をいい、その市販品としては、例えば干しこんぶ、干しわかめ、干しくきわかめ等がある。 【0010】 また、本発明において「咀嚼困難者用おやつの素」とは、こんぶ等の褐藻類の可食部の粉体を主成分とする粉状物であって、これにお湯を加えて湯戻しするとトロ味のある流動食となり、この流動食を咀嚼困難者が支障なく供食できる食品を言う。なお、咀嚼困難者がこの食品をおやつとしてではなく、主食や副食として供食する場合も考えられるが、この場合も本発明ではおやつの範ちゅうに含まれるものとする。 【0011】 本発明の咀嚼困難者用おやつの素の主成分である褐藻類の可食部の粉体は、粒度100メッシュパス〜170メッシュオンのものを用いる。このような粒度の粉体を用いるのは、後述の実施例でも示すように、粒度が100メッシュパスより大きな粉体を用いると、おやつの素を湯戻ししても粉体がツブツブ状になって喉に引っかかりおやつをスムーズに飲み込めないため、咀嚼困難者がせっかくのこんぶ等の褐藻類の食味をあじわうことができないからである。さりとて、その粒度が170メッシュオンより小さな粉体を用いた場合は、おやつの素を湯戻しするとき、この粉体がダマになってしまい湯戻しが困難になるからである。 【0012】 これに対して、粒度100メッシュパス〜170メッシュオンの粉体を用いたおやつの素は、たやすく湯戻りすると共に、湯戻ししたおやつをスムーズに飲み込めるので、咀嚼困難者がこんぶ等の褐藻類の呈味成分の溶出したおやつを味わうことができる。 【0013】 本発明で用いる粒度が100メッシュパス〜170メッシュオンの褐藻類の可食部の粉体は、次のようにして製造することができる。まず、干しこんぶ、干しわかめ、干しくきわかめ等の乾燥した褐藻類の可食部を原料として用意し、次にこれをチップ状の小片に切断した後ハンマーミルやコーヒーミル等の粉砕機にかけて粉末化し、最後に、得られた粉体を常法によりふるいにかけてその粒度が100メッシュより大きな粉体と170メッシュより小さな粉体を取り除けば、目的の粉体を得ることができる。また、あらめ、かじめ、ひじき等の可食部の比較的小さな褐藻類を原料とする場合、これらの乾燥品をそのまま粉砕機にかけ、以降は上記こんぶ等と同じ方法で目的の粉体を得ればよい。 なお、本発明で使用するふるいのメッシュ番号はTyler規格によるものであり、JISZ8801−1966における目開きとの対応関係は以下のとおりである。
メッシュ番号 目開き(μm) 42 350 60 250 80 177 100 149 150 105 170 88 200 74 【0014】 本発明のおやつの素は、以上に述べたこんぶ等の褐藻類の粉体のみをそのまま製品としても差し支えないが、この粉体に食塩、粉末醤油、粉末酢、粉糖又はグルタミン酸ソーダ等の化学調味料等のいずれか一以上を配合して味付けすると、その加工食品としての商品価値を向上させることができる。これらの添加物は粉状であり、またお湯に易溶であるからおやつの素の湯戻しに支障がないばかりでなくおやつの食味を一段と向上させることができるからである。なおこれらの添加物の配合量は特に制限はないが、こんぶ等の褐藻類の可食部の粉体100部に対して100部以下程度とすると食味上好ましいおやつが得られる。 【0015】 本発明の咀嚼困難者用おやつの素を供食するには、おやつの素1部に対して4〜5部のお湯(80〜95℃)を加え、これを攪拌して湯戻しし、おやつの品温が60℃付近になったときに供食すると美味しく味わうことができる。 つまり、この湯戻しによって、こんぶ等の褐藻類の可食部の粉体から呈味成分が溶出し、配合した調味料の呈味とあいまっておやつに特有の食味がつき、これにより、咀嚼困難者がおやつを昔なつかしい味として美味しく味わうことができる。 【実施例】 【0016】 [実施例1] 市販の干しこんぶ(マコンブ)を20〜30mmのチップ状に切断し、これをハンマーミルで粉砕してこんぶの粉体を得た。そして得られた粉体を電磁式ふるい振とう器(三田村理研工業(株)製)に通して100メッシュパス〜170メッシュオンの粉体を採取した。 次に、採取したこんぶの粉体4kgに、別に用意した粉末酢0.5kg、粉糖(砂糖)2kg及びグルタミン酸ソーダ1kgを加えてよく混合攪拌した後、得られた混合物を小袋に8gずつ充填・密封して、酢こんぶ風味の製品(咀嚼困難者用おやつの素)を得た。 【0017】 [実施例2] 市販の干しこんぶ(ミツイシコンブ)を用いて、実施例1に準じてチップ状にした後、粉砕し、さらに電磁式ふるい振とう器に通して100メッシュパス〜170メッシュオンの粉体を採取した。 次に、採取したこんぶ粉体4kgに、別に用意した食塩0.5kgと粉末醤油0.5kgを加えてよく混合攪拌した後、得られた混合物を小袋に7gずつ充填・密封して味付こんぶ風味の製品(咀嚼困難者用おやつの素)を得た。 【0018】 [試験例1] 市販のこんぶ(実施例1のものと同じ)をコーヒーミルで粉砕してこんぶの粉体を得た。次にこの粉体を電磁式ふるい振とう器(実施例1のものと同じ)に通して、表1に示す7種類の粒度の異なるこんぶの粉体を採取した。 次に、上記各こんぶの粉体16gに、それぞれ各別に粉末酢2g、粉糖(砂糖)8g及びグルタミン酸ソーダ4gを加えて混合し、7種類のおやつの素を試作した。 そして、得られた各おやつの素30gをそれぞれ200ml用のビーカーに入れ、これに85℃のお湯120mlを加えて、攪拌棒でよく攪拌して、おやつの素の湯戻り性を調べた。 【0019】 次に、湯戻りさせたおやつが60℃になったところでその粘度(トキメックB型粘度計使用、ローターTC、4回転、60S)を測定した後、よく訓練したパネラー5名に60℃のおやつを試食させて食べやすさを観察したところ、表1の結果が得られた。 【0020】 【表1】
【0021】 表1より、粒度100メッシュパス〜170メッシュオンのこんぶの粉体を用いたおやつの素は湯戻り性がよく、またこれにより得られるおやつは粘度が2.1×104〜4.0×104mPa・sであるから適切なトロ味を有する。さらにはこのおやつは喉にひっかからずにスムーズに飲み込むことができるので、咀嚼困難者用として適していることが理解できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001421 【氏名又は名称】キユーピー株式会社 【住所又は居所】東京都渋谷区渋谷1丁目4番13号
|
| 【出願日】 |
平成16年7月26日(2004.7.26) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2006−34149(P2006−34149A) |
| 【公開日】 |
平成18年2月9日(2006.2.9) |
| 【出願番号】 |
特願2004−217181(P2004−217181) |
|