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【発明の名称】 レギュラーコーヒー、コーヒー飲料およびコーヒーの加工方法
【発明者】 【氏名】内村 康徳
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区岩屋南町4番40号 石光商事株式会社内

【要約】 【課題】コーヒー豆の生産(取り入れ)から加工までに長期間経過してもコーヒー本来の味や香りが落ちにくく、また従来は有効に利用されていないパーチメントコーヒーの内果皮や銀皮の有効利用が図れるコーヒーの加工方法とその加工方法によるレギュラーコーヒーと同レギュラーコーヒーを用いたコーヒー飲料とを提供する。

【解決手段】内果皮および銀皮付きコーヒー豆であるパーチメントコーヒーを原料とし、脱穀を行わずに焙煎してレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉に加工するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内果皮および銀皮付きコーヒー豆であるパーチメントコーヒーを原料とし、脱穀を行わずに焙煎してレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉に加工することを特徴とするコーヒーの加工方法。
【請求項2】
内果皮および銀皮付きコーヒー豆であるパーチメントコーヒーを原料とし、焙煎した後に脱穀してレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉に加工することを特徴とするコーヒーの加工方法。
【請求項3】
原料として使用する前記パーチメントコーヒーを焙煎前に洗浄する請求項1または2記載のコーヒーの加工方法。
【請求項4】
請求項1または3記載のコーヒー加工方法にて焙煎しレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉に加工することにより、前記パーチメントコーヒーのパーチメントや銀皮をコーヒー豆の種子部分と混合していることを特徴とするレギュラーコーヒー。
【請求項5】
請求項1または3記載のコーヒーの加工方法により加工したレギュラーコーヒーを用いて抽出したことを特徴とするコーヒー飲料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、消費国内に輸入したパーチメントコーヒー(内果皮および銀皮付きのコーヒーの種子)に対し、脱穀を行わないまま焙煎してレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉に加工するコーヒーの加工方法およびその加工方法によるレギュラーコーヒーと同レギュラーコーヒーを用いたコーヒー飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にレギュラーコーヒーの加工は、グリーンコーヒー(内果皮および大部分の銀皮を取り除いたコーヒーの種子)の状態で長期にわたり流通したのちに、グリーンコーヒーを焙煎するのが一般的である。すなわち、コーヒーの加工は、例えば図1に示す手順に従って行われている(例えば特許文献1・2参照)。
【0003】
(1)コーヒー農園A’
コーヒーの栽培が行われ、コーヒーチェリーが収穫され、コーヒーへの精製処理が施され、内果皮の付いたパーチメントコーヒーまで加工される。
【0004】
(2)コーヒー輸出業者B’
前記パーチメントコーヒーをコーヒー農園から買い付けたコーヒー輸出業者において、脱穀・精選処理が施され、グリーンコーヒーとされる。それから、パッキングされ、例えば前記グリーンコーヒーを買い付けた消費国のコーヒー焙煎業者に輸出される。
【0005】
(3)コーヒー焙煎業者C’
買い付けたグリーンコーヒー(パッキングされている)を船便で輸送することで、消費国に輸入され、倉庫に搬入される。倉庫で保管された後、工場に搬入され、レギュラーコーヒーに加工され、消費者に出荷される。
【0006】
(4)消費者D’(例えば飲料工場)
レギュラーコーヒーを受け入れ、抽出するなどによりレギュラーコーヒー飲料の製造を行うことになる。さらに、以上の生産においては、パーチメントコーヒーの内果皮や銀皮(グリーンコーヒーとなる種子部分と内果皮の間にある薄い皮)にはグリーンコーヒーと異なる成分構成と独特の香味があるが、飲用には供されず廃棄されたり肥料として使用されたりしている。
【特許文献1】特開平6−343390号公報
【特許文献2】特開2004−38822号公報(段落0002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来のコーヒーの加工方法では、産地から国内到着までに要する期間の例えば日本までなら平均3か月程度と長期間を要し、そして、レギュラーコーヒーに加工し、使用するまでに要する期間を加えると、例えば日本なら平均6か月に及ぶグリーンコーヒーの状態での長期間流通過程における熱や湿気の影響を受けて、風味が劣化するおそれがある。
【0008】
また、パーチメントコーヒーの内果皮や銀皮(うす皮)には、特有の香味や有効な成分があるが、これらは一般に脱穀処理により取り除かれているので、製品であるコーヒーに含まれることはなかった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、コーヒー豆の生産(取り入れ)から加工までに長期間経過してもコーヒー本来の味や香りが落ちにくく、また従来は有効に利用されていないパーチメントコーヒーの内果皮や銀皮の有効利用が図れるコーヒーの加工方法とその加工方法によるレギュラーコーヒーと同レギュラーコーヒーを用いたコーヒー飲料とを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明のコーヒーの加工方法は、内果皮および銀皮付きコーヒー豆であるパーチメントコーヒーを原料とし、脱穀を行わずに焙煎してレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉に加工することを特徴とする。
【0011】
上記の構成を有する本発明のコーヒーの加工方法によれば、パーチメントコーヒーのまま輸入された原料を、脱穀せずそのまま焙煎してレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉とするので、内果皮付きという形態で移動や保管を行うため、コーヒー香味の主要な部分である種子部分への熱や湿気の影響を抑えられ、風味が劣化する可能性を減じることができる。
【0012】
請求項2に係るコーヒーの加工方法は、内果皮および銀皮付きコーヒー豆であるパーチメントコーヒーを原料とし、焙煎した後に脱穀してレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉に加工することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載のコーヒーの加工方法によれば、パーチメントコーヒーのまま焙煎した後に内果皮や銀皮を剥く(脱穀する)ので、焙煎加工の直前まで内果皮付きという形態で移動や保管を行うため、コーヒー香味の主要な部分である種子部分への熱や湿気の影響を抑えられ、風味が劣化する可能性を減じるという請求項1の発明と同様の効果を奏するほか、従来のグリーンコーヒーの焙煎と同様に種子部分をほとんどの成分とするコーヒー製品を得ることができるという効果もある。
【0014】
請求項3に記載のように、原料として使用する前記パーチメントコーヒーを焙煎前に洗浄することができる。
【0015】
このようにすることで、焙煎前にパーチメントを洗浄し、パーチメントに付着している埃を落とせ、これによりすっきりした味わいが実現できる。
【0016】
請求項4に記載のレギュラーコーヒーは、請求項1または3記載のコーヒー加工方法にて焙煎しレギュラーコーヒー豆又はレギュラーコーヒー粉に加工することにより、前記パーチメントコーヒーのパーチメントや銀皮をコーヒー豆の種子部分に混合していることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載のコーヒー飲料は、請求項1または3記載のコーヒーの加工方法により加工したレギュラーコーヒーを用いて抽出したことを特徴とする。
【0018】
請求項4記載のレギュラーコーヒーおよび請求項5記載のコーヒー飲料によれば、パーチメントコーヒーのまま焙煎して外内果皮や銀皮といった、従来のグリーンコーヒーの焙煎では得られなかった部分を得てそれをコーヒー豆の種子部分とともに製品に混ぜ入れることができるので、風味や成分に対する要望に応じて、内果皮や銀皮の入ったコーヒー味を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記の構成からなるので、つぎのような優れた効果がある。すなわち、
パーチメントコーヒーの状態で輸入された原料を脱穀しないで焙煎することから、フレッシュで風味劣化の少ないコーヒーの味覚を作り出し、焙煎後は風味や成分に対する要望に応じて内果皮や銀皮を除去したり、逆に内果皮や銀皮の入ったバラエティに富む製品とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0021】
2年前に輸入し常温保管していたガテマラ産のパーチメントコーヒー20kgを内果皮つきのまま富士珈機製の焙煎機に投入し、およそ10分間加熱したときには従来のグリーンコーヒーを焙煎するときと同様にピチッピチッという豆が弾ける音が聞こえ始め、さらに約5分後に排出し、常温まで冷却して焙煎加工を終えた。内果皮部分は焙煎前は白っぽかったが薄茶色に変色し、中の種子部分は従来のグリーンコーヒーを焙煎したときと同様に弾けて膨張し、コゲ茶色に変色した。
【0022】
煎りあがり品の質量は約16kgであり、投入量との差(4kg)は水分蒸発やその他成分の揮発、埃として吸引装置から排出されたものと考察された。焙煎品を内果皮や銀皮部分、種子部分も含めて微細粉砕して色を計るとL*値は23.9であった。
【0023】
上記焙煎品を、内果皮つきのまま粉砕し、そのコーヒー粉30gをペーパードリップで熱湯抽出し、コーヒー抽出液(コーヒー飲料))450ccを得て、これを抽出液1とした。
【0024】
上記焙煎品の内果皮と銀皮を除去し、従来のコーヒー豆(種子が大部分)の形状に加工し、それを粉砕した粉24gをペーパードリップで熱湯抽出し、コーヒー抽出液450ccを得て、これを抽出液2とした。
【0025】
比較用として、上記の焙煎品の原料であるパーチメントコーヒーを産地ガテマラで脱穀し2年前に同時輸入して常温保管していたグリーンコーヒーを卓上焙煎機で焙煎し、それを粉砕した粉24gをペーパードリップで熱湯抽出し、コーヒー抽出液450ccを得た。これを抽出液3とした。
【0026】
なお、抽出液1に使用したコーヒー量が他より6g多いのは、内果皮と銀皮部分がコーヒー抽出液香味の濃度感にあまり寄与しないため、使用量を増やして抽出液1,2,3の飲用時の濃度感をそろえるためである。
【0027】
抽出液3には、長時間経過した水洗式精製コーヒーを原料としたレギュラーコーヒーによく見られる後味の渋さが強めに感じられた。これはグリーンコーヒーの状態で約2年間ほど常温保管された経時変化の影響が大きいものと考察された。
【0028】
しかし、抽出液1と2には、そのような味はあまり感じられなかった。これはパーチメント状態での保管と使用であったため、経時変化の影響が相対的に弱かったためと考察された。
【0029】
また、抽出液1と抽出液2には風味の差がはっきり存在し、抽出液1には果実風の味が口当たりに感じられるやわらかな風味、抽出液2には本来のガテマラ豆らしい酸味と苦味のシャープな風味が感じられた。
【0030】
このように、パーチメントのまま焙煎することで従来方法より風味劣化の少ないコーヒーを加工できること、内果皮や銀皮の香味や成分を生かしたコーヒーを加工できることが確認できた。
【0031】
なお、脱穀で除去されたパーチメントや銀皮は、茶のように抽出されて飲用に供されたり、堆肥として利用できる。
【0032】
さらに、前記加工方法によりコーヒーの成分を構成するクロロゲン酸の減少を抑制できることを確認する試験については、上記特許文献2において発明の実施例として記載されている。これによれば、コーヒー生産国から日本までのコンテナ輸送中の過酷な温度変化に対するコーヒー豆の劣化をパーチメント状態にすることで抑制する効果があると判断されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】パーチメントコーヒーからレギュラーコーヒーとされるまでの一般的な加工処理の流れの説明図である。
【出願人】 【識別番号】594203830
【氏名又は名称】石光商事株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区岩屋南町4番40号
【出願日】 平成16年9月10日(2004.9.10)
【代理人】 【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実

【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一

【公開番号】 特開2006−75105(P2006−75105A)
【公開日】 平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願番号】 特願2004−263962(P2004−263962)