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【発明の名称】 ソース用油脂組成物
【発明者】 【氏名】今村 陽子
【住所又は居所】大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株式会社阪南事業所内

【氏名】横溝 太
【住所又は居所】大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株式会社阪南事業所内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急冷捏和すれば可塑性を示す油脂と卵黄含有物を急冷捏和することを特徴とするソース用油脂組成物。
【請求項2】
油脂と卵黄含有物が重量部比50:50〜99:1である請求項1、記載のソース用油脂組成物。
【請求項3】
水分、塩分を更に添加することを特徴とする請求項1、2記載のソース用油脂組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ソース用油脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、油脂を含有する各種のソースが市場にあり、これらのソースにはハンバーグソースやパスタソースなどがあり、上かけして用いたり、フィリングに用いたり、食材と和えて食するものである。これらのソースにおける油脂は、旨み、のど越し、乳化、艶、食材の結着防止などの役割を担っており、必要原料である。
【0003】
しかしながらペースト状ソースにおいては、油脂における色々な問題が生じている。例えば、パスタソースには、美味しさを出すために卵、野菜、肉、魚介類等が使用され、保存期間を長くするために、加熱殺菌が行われている。その際、加熱により油脂と卵、野菜等の具材に含まれる水分の乳化状態が壊れ、固液分離が起こり、外見上商品不良となる問題が生じている。特に、液体油を使用した場合、固液分離が著しく、固体脂を用いた場合は、固液分離よりもパスタ麺と和えて食した際、パスタ麺が冷めた時、固体脂も固化してしまい食感を悪化させる問題がある。
【0004】
液体油を用いた場合の固液分離防止方法として多糖類、例えば水飴、澱粉、デキストリン等、増粘剤、例えばキサンタンガム、グアガム等、乳化剤、たん白加水分解物等を添加することがあるが、これらの多糖類、増粘剤、乳化剤、たん白加水分解物等を添加することは、製造工程が複雑化する上、ペースト状ソースの風味への影響が大きく、美味しさの点で問題が残る。また、コスト的にも商品への影響が大きいものである。
また、加熱殺菌による乳化状態の破壊を防止する方法についても現状解明されていない。
【0005】
卵黄を使用した乳化油脂(特許文献1)があるが、この乳化油脂は混合したものであり、急冷捏和したものではなく、ペースト状態のソースの固液分離防止効果を有するものではない。また、油脂と卵を急冷捏和して得られる油脂組成物(特許文献2)があるが、ホイップドクリームと同様な口融けと風味を与え、バタークリームと同様な保存性、加工性を有するクリーム用油脂組成物であって、そのまま起泡するものであり、ペースト状態のソースにしたり、そのために加熱したりするものではなかった。
【特許文献1】特開平09−234002号公報
【特許文献2】特開昭57−026540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明による油脂組成物を用いれば、ソースの安定な乳化状態が得られ、乳化剤等を使用せずに簡易に固液分離のない、美味しく、安価なペースト状態のソースを得ることが出来る。
【0007】
従って本発明は、油脂、卵黄含有物を急冷捏和したソース用油脂組成物を使用することで、化学合成品や乳化剤などの大幅な減少、及び作業性向上、工程の簡易化・簡略化を解決でき、1.商品外観向上(価値向上)、2.旨みの向上(スムーズなフレーバーリリースの発現)のソース用油脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、油脂、卵黄含有物を急冷捏和したソース用油脂組成物を使用することで、従来のペースト状態のソースでは解決出来なかった液体油の固液分離を防止することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、急冷捏和すれば可塑性を示す油脂と卵黄含有物を急冷捏和することを特徴とするソース用油脂組成物である。油脂と卵黄含有物が重量部比50:50〜99:1であり、水分、塩分を更に添加するソース用油脂組成物である。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したとおり、従来のペースト状態のソースに比べ本発明のソース用油脂組成物を用いることにより、ペースト状態のソースの固液分離を防止でき、商品外観及び旨みを向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で言う、ソースは、常温域で粘稠性を有する流動状のソースのことを言い、例えば、ミートソース、トマトソース、ボンゴレソース、クリームソース等のパスタソース、また、デミグラスソースやホワイトソースなどのハンバーグソース、その他ピザソース、生魚肉用ソースなども含まれる。
【0012】
本発明のソース用油脂組成物とは、上記で挙げられたソース中に使用される油脂組成物であり、油脂と卵黄含有物を急冷捏和されたものである。
【0013】
本発明のソース用油脂組成物に用いる油脂としては、急冷捏和すれば可塑性を有する油脂を用いる。急冷捏和すれば可塑性を油脂の調整法は公知の何れの方法でもよく、その可塑性を有する油脂は市販品を用いてもよい。その原料としては例えば、パーム油、菜種油、大豆油、ひまわり油、コーン油、綿実油、サフラワー油、米糠油、ヤシ油、パーム核油等、及びこれらの硬化油、エステル交換油、分別油等の単独または複数を調合したものが利用でき、特に限定されない。
【0014】
また、本発明のソース用油脂組成物に用いる卵黄含有物は、卵黄を含有するものであれば特に限定はなく、例えば、液状の全卵、液状の卵黄が例示できる。特に、卵黄の使用が好ましく、乳化力の向上、及び呈味性が良好となる。
【0015】
本発明のソース用油脂組成物中の水分は、卵黄含有物に存在する水分と水系の調味液(醤油、ソース、果汁等)に由来するものがあるが、急冷捏和への水の影響を考慮して、油脂組成物中の水分含量は1-10重量%が好ましい。また、ソースの美味しさを良好にするため、ソース用油脂組成物を調整後、調味料を適宜添加するなど、必要に応じてソースとして適した水分含量に調製する。
【0016】
本発明のソース用油脂組成物に含まれる塩分は、調味液由来のものの他、通常の食塩でよい。食塩は添加しなくても油脂組成物としての機能は得られるが、卵黄含有物に対して10重量%程度添加した場合、さらに乳化安定性が良好な結果を得ることが出来る。
【0017】
以上の原料を用いる本発明のソース用油脂組成物中の油脂と卵類は重量部比率で、50:50〜99:1、より好ましくは、70:30〜97:3である。これに対して適当量の調味料、食塩、水を加え、水分が油脂組成物中1-10重量%、塩分が卵黄含有物の10%程度となるようにすることが好適である。油脂と卵黄含有物の比率において油脂が50重量部より少ないと、卵黄含有物の比率が極めて大きくなるため、ソースに用いる油脂の使用量が少なくなり、減少分を該油脂組成物以外に別途添加することになり、別途添加した油脂の分離が起こりやすくなる。また、油脂と卵黄含有物の比率において油脂が99重量部より多いと、卵類の比率が極めて小さくなるため、卵類の乳化力が不十分となり、ペースト状態のソースに用いた時、油脂の分離が起こりやすくなる。
【0018】
本発明のソース用油脂組成物は、卵黄含有物・調味液・塩・水を溶解混合し、これを十分に溶解した油脂に投入し、急冷捏和することで得られる。製造工程中の殺菌は、通常のマーガリン製造工程に準じるが、配合中の卵黄含有物の変性に影響を及ぼさないように調整されれば、方式や条件は特に限定しない。また、急冷捏和の装置としては、例えば、パーフェクタ、コンビネータ、オンレータなどがあり、いずれを用いても良い。急冷捏和の条件は、最終的に目標とするソース用油脂組成物の物性(硬さ)により、流量、ピンマシーンの回転数や出口品温で調整すればよい。
【0019】
通常、油脂と卵を使用した市販のソースは、保存期間を長くする為に加熱殺菌している。本発明のソース用油脂組成物を使用したソースの場合、加熱殺菌しても従来のソースと比べ、固液分離防止効果も優れている。加熱殺菌は、低温(約80℃)で数分、高温(約120℃)で数秒程度行うことが出来る。
【0020】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の実施例はこれに限られるものではない。
【実施例】
【0021】
〔油脂組成物の調製〕
<調製品1>
急冷捏和すると可塑性を有する市販の油脂(商品名:「BST」(不二製油(株)製))97部を65℃に加温し、十分溶解しておき、これに65℃に加温した殺菌卵類(キユーピー(株)製)3部、水2.4部、食塩0.3部の混合溶解液を加え混合した。10分間攪拌混合した後、パーフェクタにて急冷捏和した。このときのパーフェクタの条件は出口温度15℃、ピンマシーン回転数200rpm、流量1000kg/hrであった。こうして得られた油脂組成物の水分は3.94重量%、塩分は0.29重量%であり、これを調製品1とした。
【0022】
<調製品2>
市販の油脂を53部、卵黄を47部、食塩を4.7部に変え、水は無添加とし、調製品1と同様に急冷捏和して調製品2を得た。このときの塩分濃度は4.49重量%、水分は24.6重量%であった。
【0023】
<調製品3>
市販の油脂を100部、食塩を0.3部、水を4.1部に変え、卵類を使用せず、調製品1と同様に急冷捏和して調製品3を得た。このときの塩分濃度は0.29重量%、水分は3.93重量%であった。
【0024】
<調製品4>
市販の油脂を100部、食塩を0.3部、水を2.5部に変え、卵類を使用せず、調製品1と同様に急冷捏和して調製品4を得た。このときの塩分濃度は0.29重量%、水分は2.43重量%であった。
【0025】
<調製品5>
市販の油脂を97部、卵黄を3部、水を2.4部に変え、食塩を使用せず、調製品1と同様に急冷捏和して調製品5を得た。このときの塩分濃度は0重量%、水分は3.95重量%であった。
【0026】
〔パスタソースへの利用〕
調製品1で得られた油脂組成物64.6部に牛乳(森永乳業(株)製)を16.1部投入し、十分に混合攪拌した後に粉末チーズ(生ナチュラルチーズ:六甲バター(株)製)を16.1部、食塩3.2部を混合し、簡易なカルボナーラソースを得た。同様に調製品2〜5の油脂組成物についても下表のようにカルボナーラソースを作成し、テスト1〜5のいずれもがほぼ同じ水分、塩分濃度なるように調整した。またテスト3のみ卵黄含有物を用いないので油脂で増量した。以上の各ソースをそれぞれレトルトパウチに40gずつ充填しシールした後、85℃10分間、湯煎により加熱殺菌し、流水冷却し品温を室温に戻した。
【0027】
<表1>


【0028】
以上のとおり、従来のペースト状ソースに比べ本発明のソース用油脂組成物を用いることにより、ペースト状ソースの固液分離を防止でき、商品外観及び旨みを向上させることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000236768
【氏名又は名称】不二製油株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区西心斎橋2丁目1番5号
【出願日】 平成16年7月8日(2004.7.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−20585(P2006−20585A)
【公開日】 平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願番号】 特願2004−202418(P2004−202418)