| 【発明の名称】 |
香味強化された魚節類 |
| 【発明者】 |
【氏名】玉田 靖子 【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町5−14 日本たばこ産業株式会社内
【氏名】伏見 善也 【住所又は居所】東京都大田区羽田旭町5−14 日本たばこ産業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、簡便かつ効果的に魚節類を製造することを課題とする。
【解決手段】海藻又は海藻からの抽出物を添加することによって、カビ付け工程を省いても枯れ節風味あるいは肉風味が付加できることを見出した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolのヘッドスペース濃度が0.9ppm〜10ppm、および/または、 1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolの添加量が0.9ppm〜108ppmであることを特徴とする枯れ節香気強化魚節類。 【請求項2】 2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineのヘッドスペース濃度が0.3ppm〜5.0ppm、および/または、 2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineの添加量が0.3ppm〜24ppmであることを特徴とする肉感強化魚節類。 【請求項3】 「1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolのヘッドスペース濃度が0.9ppm〜10ppm、および/または、 1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolの添加量が0.9ppm〜108ppm」かつ、 「2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineのヘッドスペース濃度が0.3ppm〜5.0ppm、および/または、 2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineの添加量が0.3ppm〜24ppm」であることを特徴とする魚節類。 【請求項4】 カビ付け工程に代えて海藻又は海藻抽出物を添加したことを特徴とする魚節類。 【請求項5】 海藻又は海藻抽出物がアオノリ又はひじきであることを特徴とする請求項4記載の魚節類。 【請求項6】 アオノリ抽出物がアルコールによる抽出であることを特徴とする請求項5記載記載の魚節類。 【請求項7】 ひじき抽出物が熱水による抽出であることを特徴とする請求項5記載の魚節類。 【請求項8】 魚節類製造工程において海藻又は海藻抽出物を添加することを特徴とする魚節類の製造方法。 【請求項9】 海藻又は海藻抽出物がアオノリ又はひじきであることを特徴とする請求項8記載の魚節類の製造方法。 【請求項10】 ライカイ時に添加することを特徴とする請求項8記載の魚節類の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 簡便かつ効果的に魚節類を製造することに関する。 【背景技術】 【0002】 伝統的な魚節類の製造方法としては、生の鮮魚もしくは冷凍魚を流水により解凍し、頭や内臓を除去する生切り工程、90℃〜100℃のお湯中もしくは海水で60〜120分 煮る煮熟工程、ブナ、ナラ、桜等の広葉樹を薪として煮熟した魚体を燻す焙乾工程、燻乾工程で得られた節に3〜6回カビを生やし、払い落とす操作を繰り返すカビ付け工程がある。 【0003】 カビ付け工程は、粗脂肪低減、呈味および香気成分の濃縮をするための工程で、結果として強い肉感と甘い風味・まろやかな風味を付加する。これを「枯れ節」といい、独特の風味が好まれ高級料亭等で使用されている。しかし、この工程は非常に時間と手間がかかるため得られる節は大変高価なものとして流通しているのが現状である。 【0004】 従来、枯れ節風味を付与するために、後発酵茶茶葉または後発酵茶茶葉抽出物を調味料製造途中に添加したり(特開2004−49131号公報(特許文献1))、魚節フレーバー組成物を調製するために、魚節エキスに酵母エキス・動植物蛋白分解物・香料および魚節分解香気成分から選ばれる香気・香味付与改良剤等を配合させることは知られていた(特開2004−135522号公報(特許文献2))。 【0005】 しかし、特許文献1のものは茶特有の風味が付与され、また枯れ節香気が付加されるにしても、肉感が付与されないという欠点があり、特許文献2のものは高価な製品となり大量に製造することは困難である。 【特許文献1】特開2004−49131号公報 【特許文献2】特開2004−135522号公報 【特許文献3】特開平08−47366号公報 【特許文献4】特開平3−236737号公報 【非特許文献1】「水産学」74巻・水産物のにおいp78 【非特許文献2】「食品香料ハンドブック」日本香料学会編 食品化学新聞社発行(平成2年2月15日) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、簡便かつ効果的に魚節類を製造することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、海藻又は海藻からの抽出物を添加することによって、カビ付け工程を省いても枯れ節風味あるいは肉風味が付加できることを見出した。 【0008】 すなわち、本発明は (1) 1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolのヘッドスペース濃度が0.9ppm〜10ppm、および/または、1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolの添加量が0.9ppm〜108ppmであることを特徴とする枯れ節香気強化魚節類、 (2) 2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineのヘッドスペース濃度が0.3ppm〜5.0ppm、および/または、2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineの添加量が0.3ppm〜24ppmであることを特徴とする肉感強化魚節類、 (3) 「1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolのヘッドスペース濃度が0.9ppm〜10ppm、および/または、1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolの添加量が0.9ppm〜108ppm」かつ、「2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineのヘッドスペース濃度が0.3ppm〜5.0ppm、および/または、2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineの添加量が0.3ppm〜24ppm」であることを特徴とする魚節類、 (4) カビ付け工程に代えて海藻又は海藻抽出物を添加したことを特徴とする魚節類、 (5) 海藻又は海藻抽出物がアオノリ又はひじきであることを特徴とする(4)記載の魚節類、 (6) アオノリ抽出物がアルコールによる抽出であることを特徴とする(5)記載の魚節類、 (7) ひじき抽出物が熱水による抽出であることを特徴とする(5)記載の魚節類、 (8) 魚節類製造工程において海藻又は海藻抽出物を添加することを特徴とする魚節類の製造方法、 (9) 海藻又は海藻抽出物がアオノリ又はひじきであることを特徴とする(8)記載の魚節類の製造方法、 (10) ライカイ時に添加することを特徴とする(8)記載の魚節類の製造方法 に関するものである。 【0009】 従来、鰹を3枚、もしくは5枚に下ろした魚肉をすり身状あるいは細切れに加工したものに、乾燥昆布と乾燥椎茸を小片状または粉末状に加工したものを適量加え、成形・煮熟・焙乾し、旨味の付加された削り節用の魚節の製造方法が知られている(特開平08−47366号公報(特許文献3))。しかし、この公報記載のものは、「要約」にも記載されているように、単に「かつお、昆布、椎茸の三種良好な風味を含有した濃厚な旨味の強い削り用魚節」を作ることにあり、カビ付け工程を省いても枯れ節風味を付加するような発想のものではない。 【0010】 また、特開平3−236737号公報(特許文献4)の特許請求の範囲には、「鰹節製造加工工程の煮熟工程において、生(なま)の魚体を煮熟する際、鰹・えび・魚介類・椎茸・昆布・魚醤・鶏肉スープ・牛肉スープ・大豆麹抽出液等の各種調味液によってそれぞれ煮熟し、予め魚体に味付けの後、煤乾・かび付けの工程に進む鰹節の製造法。」が記載されている。しかし、この公報記載のものも各種調味液によって味付けするだけのもので、カビ付け工程を省いても枯れ節風味を付加するような発想のものではない。 【0011】 本発明において「海藻」とは、緑藻としてアオノリ、褐藻としてワカメ、コンブ、ヒジキ、紅藻としてアサクサノリ、テングサ等が好ましいが、特にアオノリ及びヒジキがより効果的である。ヒジキは長ヒジキ、芽ヒジキのいずれでもよい。 【0012】 また、「海藻抽出物」とは、上記の海藻を熱水で抽出、あるいはアルコールで抽出してもよいが、特に枯れ節風味を付与するには高濃度のアルコールでの抽出が好ましく、肉風味を付与するには熱水による抽出が好ましい。 【0013】 海藻又は海藻抽出物の添加量としては、あまり多く添加すると海藻特有の臭いが付与され、少なすぎると枯れ節風味や肉風味が失われるため、適量とし原料魚の0.1〜0.8%が効果的であり、特に0.3〜0.6%程度が最も効果を発揮できる添加量である。 【0014】 更に、本発明において海藻又は海藻抽出物を添加したことにより、カビ付け工程を省いても枯れ節風味や肉風味を付与できる理由を追求したところ、特殊な成分が増強されていることが判明した。すなわち、枯れ節風味を強調するには、1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolを増強することが効果的であり、肉風味を強調するには2-ethylpyrazine、2,6-dimethylpyrazine、3-ethylpyridineを増強することが有効であることが判った。 【0015】 海藻又は海藻抽出物の添加時期は、特に限定するものではないが、節そのものに添加したり、海藻抽出物を顆粒ダシ・液体エキス等の調味料製造時に添加することができる。更に好ましくは冷凍原料魚を解凍し次のライカイ時に添加するとよい。 【0016】 なお、本発明における「魚節類」とは、鰹節をはじめまぐろ節、さば節、そうだ節等 各種の節類が含まれる。 【0017】 以下に、上記の結論を導き出す実験及び本発明の魚節類を使用しためんつゆ、味噌汁で本発明の効果を検証した結果を示す。 【発明の効果】 【0018】 本発明により、手間と時間を要するカビ付け工程を省くことができ、品質的にもカビ付けしたものと遜色ない魚節類を製造することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 (実験1) 鰹節香味強化キー成分の検索実験 従来枯れ節香気成分として、以下のような成分が知られている(「水産学」74巻・水産物のにおいp78(非特許文献1))。 【0020】 1)1-penten-3-ol 2)cis-2-penten-1-ol 3)n-hexanol 4)1-octen-3-ol 5)cis,cis,2,5-octadien-1-ol 6)cis,cis-1,5,8-undecatrien-3-ol 7)2,6-dimethoxyphenol 8)2,6-dimethoxy-4-ethylephenol 9)1,2-dimethoxy-4-methylbenzen 10)1,2-dimethoxy-4-ethylbenzen 【0021】 また、肉感香気成分として、以下のような成分が知られている(「水産学」74巻・水産物のにおいp78(非特許文献1))。 11)3-methylpyrizine 12)dimethylpyrizine 13)3-ethylpyridine 14)3-methoxypyrizine 15)2,4,6-trimethylpyrizine 16)2,3- dimethylpyrizine 17)2,6-dimethylpyrazine 18)2-ethylpyrazine 19)2-ethyl-5-methylpyrazine 20)tetramethylpyrazine 【0022】 そこで本発明者等は、これら全ての成分の種々の組み合わせについて、どの成分が特に香気を強化するかについて官能検査を行った。 【0023】 官能検査の対象は、以下の比較例1、比較例2、比較例3のサンプルをそれぞれφ0.65の大きさに粉砕し、容積100ccフタ付き耐熱瓶に入れ、比較例3に上記成分を0.001%添加し、評価サンプルを得た。 【0024】 (比較例1) 原料魚を常法により生切りをし、3枚に下ろしたフィレを98℃の湯中で90分間煮熟し、骨抜き、12日間燻乾し得られた節を荒本節とした。 (比較例2) 比較例1により得られた荒本節に6回カビ付けをした節を本枯れ節とした。 (比較例3) 半解凍した鰹原料魚を3枚におろし、フードカッターでミンチ状とし、これを成型機で成型した。これを蒸気で中心温度85℃以上になるまで加熱した。これを定法に従い焙乾し練り節とした。 【0025】 官能検査は、官能検査専門者8人により合計24種の組み合わせを検査した。その結果を下記に示す。評価は5段階評価とした。〇印は良で、◎は最良である。 まず、鰹節香味強化キー成分のうち、枯れ節感の評価を行った結果を示す。 【0026】 比較例1 3.0 比較例2 4.9 1)、2)、7)、8)の組み合わせ 4.2 〇 3)、4)、7)、8)の組み合わせ 4.1 〇 5)、6)、7)、8)の組み合わせ 3.3 1)、2)、9)、10)の組み合わせ 3.3 3)、4)、9)、10)の組み合わせ 2.0 5)、6)、9)、10)の組み合わせ 1.0 【0027】 以上の結果から、5)、6)、9)、10)は甘すぎて違和感のある香気で、ビニル臭もすると判定し、1)、2)、3)、4)、7)、8)についての組み合わせを検討した。 【0028】 1)、2)、7)の組み合わせ 4.3 〇 3)、4)、7)の組み合わせ 4.4 〇 1)、2)、8)の組み合わせ 3.4 3)、4)、8)の組み合わせ 3.7 【0029】 以上の結果から8)を混和すると違和感があり若干スミレ様香気があると判定した。そこで8)を除いた組み合わせを検討した。 【0030】 1)、2)、7)の組み合わせ 4.2 〇 3)、4)、7)の組み合わせ 4.3 〇 1)、4)、7)の組み合わせ 4.9 ◎ 2)、3)、7)の組み合わせ 4.0 〇 【0031】 以上の結果から枯れ節香気成分としては1)、4)、7)の組み合わせ、すなわち1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenolの組み合わせが最も好ましいとの結論に達した。 【0032】 次に、鰹節香味強化キー成分のうち、肉感の評価を行った結果を示す。 【0033】 比較例1 3.0 11)、12)、17)、18)の組み合わせ 3.1 13)、14)、17)、18)の組み合わせ 4.0 〇 15)、16)、17)、18)の組み合わせ 3.3 11)、12)、19)、20)の組み合わせ 1.5 13)、14)、19)、20)の組み合わせ 1.9 15)、16)、19)、20)の組み合わせ 2.3 【0034】 以上の結果から19)、20)は違和感があり、11)、12)、15)、16)もビニル臭さ、合成香料臭さ等の異臭がすることから、13)、14)、17)、18)についての検討を行った。 【0035】 13)、14)、17)の組み合わせ 4.0 〇 13)、14)、18)の組み合わせ 4.1 〇 13)、17)、18)の組み合わせ 4.8 ◎ 14)、17)、18)の組み合わせ 4.4 〇 【0036】 以上の結果から、肉感香気成分としては、13)、17)、18)の組み合わせ、すなわち3-ethylpyridine、2,6-dimethylpyrazine、2-ethylpyrazineの組み合わせが最も好ましいことが判った。 【0037】 (実験2) 香味強化キー成分の有効範囲の確認 実験1の比較例1の荒本節粉砕物が入った瓶中に、1-penten-3-ol、1-octen-3-ol、2,6-dimethoxyphenol、3-ethylpyridine、2,6-dimethylpyrazine、2-ethylpyrazineをそれぞれ0.5ppm〜40ppmまで添加量を振り、官能試験により適正値、限界値を定めた。また、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる測定を行った。 【0038】 添加量については表1に、またヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる結果を表2にまとめた。さらに官能検査の結果を表3に示した。 【0039】 ヘッドスペースガスクロマトグラフィーの測定条件は次の通りである。 1)使用装置 GC GC−3900(HITACHI) データプロセッサ V Station(GLサイエンス) ヘッドスペース濃縮装置 CP4010(COROMPACK) 2)サンプル捕集条件 キャリアーガス N2 150ml/min 30min 40℃ ガラス捕集管 GL チューブ内径4mm TENAX TA20/30 70mg 3)分析条件 カラム TC−WAX:0.25mm×60m(0.9ml/min) N2 昇温条件 イニシャル温度 50℃(hold 5min) 3.0/min 〜230℃ 検出器 FID 検出温度 230℃ 【0040】 【表1】
【0041】 【表2】
【0042】 【表3】
【0043】 表1、2及び表3の結果をみると、試薬添加量が0.5ppm以下では添加効果は認められず、最も良い結果を示したのは、表1のDの添加量のものであった。 【0044】 (実験3)香気成分含有食品の探索・選択 1.枯れ節香気成分含有食品 実験1で得られた枯れ節香気に関与している3つの香気成分のうち少なくとも1つを含む食品について、食品化学新聞社発行の「食品香料ハンドブック」(非特許文献2)を参考にピックアップしてみた。探索した結果を表4に示す。 【0045】 【表4】
【0046】 表4の結果を基にして、アオノリ、サクラエビ、コーヒー、コンブ、シイタケ、お茶(4種)及び大豆について煮熟検討した。 【0047】 検討方法は、生の鰹を生切りし3枚に下ろしたフィレを、上記各食品を原料魚の0.5重量%添加した98℃の湯中で90分間煮熟した。そして定法に従い焙乾することで荒節を得た。得られた荒節を粉末にし、98℃の湯中に3%に相当する荒節粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0048】 この出し汁を良く訓練された官能評価者8名により官能検査を行った結果及びヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる結果を表5に、またそのコメントを表6に示す。 【0049】 なお、官能検査は、枯れ節感が強いものを5、弱いものを1とする5段階評価で行った。 【0050】 【表5】
【0051】 【表6】
【0052】 全員がアオノリを添加した節が枯れ節と一番良く似ている香気が付加されていると評価した。 【0053】 2.肉感香気成分含有食品 実験1で得られた肉感香気に関与している3つの香気成分のうち少なくとも1つを含む食品について、食品化学新聞社発行の「食品香料ハンドブック」(非特許文献2)を参考にピックアップしてみた。探索した結果を表7に示す。 【0054】 【表7】
【0055】 表7の結果を基にして、醤油、肉3種、酵母エキス及び酵母残渣について煮熟検討した。 検討方法は、上記1の方法と同様に行った。 【0056】 この出し汁を良く訓練された官能評価者8名により官能検査を行った結果及びヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる結果を表8に、またそのコメントを表9に示す。 なお、官能検査は肉感が強いものを5、弱いものを1とする5段階評価で行った。 【0057】 【表8】
【0058】 【表9】
【0059】 全員がヒジキを添加した節が一番肉感香気が付加されていると評価した。 【0060】 (実験4) アオノリ及びヒジキの最適添加量の検討 1.アオノリの添加量 生の鰹を生切りし3枚に下ろしたフィレを、原料魚の0.05〜1.1重量%のアオノリを添加した98℃の湯中で90分間煮熟した。そして定法に従い焙乾することで荒節を得た。得られた荒節を粉末にし、98℃の湯中に3%に相当する荒節粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0061】 実験3と同様に官能評価者による官能検査結果及びヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる結果を表10に、また官能検査のコメントを表11に示す。 【0062】 【表10】
【0063】 【表11】
【0064】 表10及び表11から、原料魚に対して0.1〜0.8重量%添加すれば良好な香味が得られるが、0.2〜0.7重量%であれば更に好ましい結果が得られ、0.5重量%であれば最も好ましい結果が得られることがわかる。ただし、これは限界値を示すものではなく、風味的に最も好ましい添加量を定めるものである。 【0065】 2.ヒジキの添加量 生の鰹を生切りし3枚に下ろしたフィレを、原料魚の0.05〜1.1重量%のヒジキを添加した98℃の湯中で90分間煮熟した。そして定法に従い焙乾することで荒節を得た。得られた荒節を粉末にし、98℃の湯中に3%に相当する荒節粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0066】 実験3と同様に官能評価者による官能検査結果及びヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる結果を表12に、また官能検査のコメントを表13に示す。 【0067】 【表12】
【0068】 【表13】
【0069】 表12及び表13から、原料魚に対して0.1〜1.0重量%添加すれば肉感が得られるが、0.4〜0.8重量%であれば更に好ましい結果が得られ、0.5重量%であれば最も好ましい結果が得られることがわかる。ただし、これは限界値を示すものではなく、風味的に最も好ましい添加量を定めるものである。 【0070】 (実験5) アオノリ及びヒジキの添加方法の検討 アオノリ及びヒジキについて、そのままあるいは抽出物のいずれが適当か、また抽出方法の最適なものは何かということについて検討した。 【0071】 検討方法は、3枚に下ろし、小骨・皮を取り除いていない原料魚に、原料魚の0.5重量%のアオノリ及びヒジキ(それぞれについて、98℃達温後でアルコール抽出2時間後、熱水抽出30分後に全て液重量が20%になるまで濃縮したもの)を添加し、フードカッターでミンチ状とし、これを成形機にて成形した。形状は縦15cm、横10cm、厚さ1.5cmとした。これを蒸気で中心温度85℃以上になるまで加熱した。これを定法に従い焙乾することで練り節とした。得られた練り節を粉末にし、98℃の湯中に3%に相当する練り節粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0072】 実験3と同様に官能評価者による官能結果及びコメントを、アオノリについて表14及び表15、ヒジキについて表16、表17に示す。 【0073】 【表14】
【0074】 【表15】
【0075】 【表16】
【0076】 【表17】
【0077】 表14、表15、表16及び表17に示された結果から、鰹節の枯れ節感が強いのはアオノリをアルコール95%で抽出したものであり、肉感が強いのはヒジキを熱水で抽出したものであることが判る。 【実施例1】 【0078】 アオノリ・ヒジキ香味強化節(鰹)出し汁評価 半解凍した鰹原料魚を3枚に下ろし、フードカッターでミンチ状とし、原料魚の0.5重量%のアオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)(それぞれアルコール抽出2時間後、熱水抽出30分後に全て液重量が20%になるまで濃縮したもの)を添加し、練り節サンプルを得た。得られた練り節をそれぞれφ0.65の大きさに粉砕し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した。また、この練り節の粉砕物を98℃の湯中に3%に相当する粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0079】 実験3と同様に官能検査した結果及びヘッドスペースガスクロマトグラフィーの測定結果を表18に示す。また官能検査のコメントを表19に示す。 【0080】 【表18】
【0081】 【表19】
【0082】 表18及び表19に示された結果から、アオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)を添加した練り節の肉感が極めて強いということがわかる。 【実施例2】 【0083】 アオノリ・ヒジキ香味強化節(マグロ)出し汁評価 実験1の比較例1及び比較例2の方法で原料魚にマグロを用い、荒本節及び本枯れ節を作成した。また、比較例3と同様にフードカッターでミンチ状とし、マグロ原料魚の0.5重量%のアオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)(それぞれアルコール抽出2時間後、熱水抽出30分後に全て液重量が20%になるまで濃縮したもの)を添加し、練り節サンプルを得た。この練り節の粉砕物を98℃の湯中に3%に相当する粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0084】 実験3と同様に官能検査した結果を表20に示す。また官能検査のコメントを表21に示す。 【0085】 【表20】
【0086】 【表21】
【0087】 表20及び表21に示された結果から、アオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)を添加した練り節の肉感が極めて強いということがわかる。 【実施例3】 【0088】 アオノリ・ヒジキ香味強化節(宗田鰹)出し汁評価 実施例2と同様に荒本節及び本枯れ節を作成した。また、実施例1と同様にフードカッターでミンチ状とし、宗田鰹原料魚の0.5重量%のアオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)(それぞれアルコール抽出2時間後、熱水抽出30分後に全て液重量が20%になるまで濃縮したもの)を添加し、練り節サンプルを得た。この練り節の粉砕物を98℃の湯中に3%に相当する粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0089】 実験3と同様に官能検査した結果を表22に示す。また官能検査のコメントを表23に示す。 【0090】 【表22】
【0091】 【表23】
【0092】 表22及び表23に示された結果から、アオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)を添加した練り節の肉感が極めて強いということがわかる。 【実施例4】 【0093】 アオノリ・ヒジキ香味強化節(鯖)出し汁評価 実施例3と同様に原料魚に鯖を用い、荒本節及び本枯れ節を作成した。実施例1と同様にフードカッターでミンチ状とし、鯖原料魚の0.5重量%のアオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)(それぞれアルコール抽出2時間後、熱水抽出30分後に全て液重量が20%になるまで濃縮したもの)を添加し、練り節サンプルを得た。得られた練り節をそれぞれφ0.65の大きさに粉砕し、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した。また、この練り節の粉砕物を98℃の湯中に3%に相当する粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0094】 実験3と同様に官能検査した結果及びヘッドスペースガスクロマトグラフィーの測定結果を表24に示す。また官能検査のコメントを表25に示す。 【0095】 【表24】
【0096】 【表25】
【実施例5】 【0097】 アオノリ・ヒジキ香味強化節(鰯)出し汁評価 実施例4と同様に荒本節及び本枯れ節を作成した。また、実施例1と同様にフードカッターでミンチ状とし、鰯原料魚の0.5重量%のアオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)(それぞれアルコール抽出2時間後、熱水抽出30分後に全て液重量が20%になるまで濃縮したもの)を添加し、練り節サンプルを得た。この練り節の粉砕物を98℃の湯中に3%に相当する粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 【0098】 実験3と同様に官能検査した結果を表26に示す。また官能検査のコメントを表27に示す。 【0099】 【表26】
【0100】 【表27】
【実施例6】 【0101】 アオノリ・ヒジキ香味強化節(ムロアジ)出し汁評価 実施例5と同様に荒本節及び本枯れ節を作成した。また、実施例1と同様にフードカッターでミンチ状とし、鰯原料魚の0.5重量%のアオノリ(アルコール95%抽出)及びヒジキ(熱水抽出)(それぞれアルコール抽出2時間後、熱水抽出30分後に全て液重量が20%になるまで濃縮したもの)を添加し、練り節サンプルを得た。この練り節の粉砕物を98℃の湯中に3%に相当する粉末を添加し、30分間保持し速やかに濾過し出し汁を調製した。 この官能検査の結果を表28に示す。また官能検査のコメントを表29に示す。 【0102】 【表28】
【0103】 【表29】
【実施例7】 【0104】 アオノリ香味強化節 液体エキス評価 前記の本枯れ節粉砕品、練り節粉砕品及び練り節粗砕品(アオノリ95%アルコール抽出練り節)25重量%をφ5に粉砕し、2時間50%エタノールにて抽出し、得られた残渣に水60%、食塩10%を加え0.5時間熱水抽出し、再び濾過、アルコール抽出して得られた濾液と混合したものを液体エキスとした。 【0105】 これを3%の濃度に希釈したものを液体エキス3%出し汁官能評価サンプルとした。この実験で作成した出し汁を、練り節及び枯れ節と比較し、官能評価を行ったところ、表30及び表31の結果が得られ、液体エキス3%出し汁の風味及びて呈味が極めて強く好ましいと評価された。 【0106】 【表30】
【0107】 【表31】
【実施例8】 【0108】 ヒジキ香味強化節 液体エキス評価 練り節粗砕品(ヒジキ熱水抽出練り節)を実施例7と同様に加工し、液体エキス3%出し汁官能評価サンプルを得た。この実験で作成した出し汁を、練り節と比較し、官能評価を行ったところ、表32及び表33の結果が得られ、液体エキス3%出し汁の風味及び呈味が極めて強く好ましいと評価された。 【0109】 【表32】
【0110】 【表33】
【実施例9】 【0111】 アオノリ及びヒジキ香味強化節 液体エキス評価 前記の練り節粗砕品(アオノリ95%アルコール抽出、ヒジキ熱水抽出練り節)を実施例8と同様に加工し、液体エキス3%出し汁官能評価サンプルを得た。この実験で作成した出し汁を、ブランク及び枯れ節と比較し、官能評価を行ったところ、表34及び表35の結果が得られ、液体エキス3%出し汁の風味及び呈味が極めて強く好ましいと評価された。 【0112】 【表34】
【0113】 【表35】
【実施例10】 【0114】 アオノリ香味強化節 顆粒ダシ評価 前記の練り節粉砕品及び練り節粗砕品(アオノリ95%アルコール抽出練り節)をより細かな粉砕機により60Mesh以下のスケールまで微粉砕した。食塩((財)塩事業センター製)33%・グルタミン酸(日本たばこ産業(株)製)25%・砂糖(新三井製糖(株)製)8.3%・乳糖(和光純薬工業(株)製)8.3%・水8.3%を添加し混和・攪拌、顆粒形成機にて顆粒状に成型80℃1時間加熱・乾燥を行い、この実験で作成した出し汁を官能評価した。その結果を表36及び表37に示す。 【0115】 【表36】
【0116】 【表37】
【0117】 その結果、(アオノリ95%アルコール抽出練り節)顆粒ダシ3%出し汁の風味及び呈味が極めて強く好ましいと評価された。 【実施例11】 【0118】 ヒジキ香味強化節 顆粒ダシ評価 練り節粗砕品(ヒジキ熱水抽出練り節)を実施例10と同様に加工し、顆粒ダシ3%出し汁官能評価サンプルを得、評価したところ表38及び表39のような結果が得られた。そして、(ヒジキ熱水抽出練り節)顆粒ダシ3%出し汁の風味及び呈味が極めて強く好ましいと評価された。 【0119】 【表38】
【0120】 【表39】
【実施例12】 【0121】 アオノリ及びヒジキ香味強化節 顆粒ダシ評価 前記の練り節粗砕品(アオノリ95%アルコール抽出、ヒジキ熱水抽出練り節)を実施例10と同様に加工し、液体エキス3%出し汁官能評価サンプルを得た。この実験で作成した出し汁を、練り節及び枯れ節と比較し、官能評価を行ったところ、表40及び表41の結果が得られ、液体エキス3%出し汁の風味及び呈味が極めて強く好ましいと評価された。 【0122】 【表40】
【0123】 【表41】
【実施例13】 【0124】 めんつゆ試作評価 実験5で作成した節砕品を98℃の湯中に3%に相当する粉末を添加し30分間保持し、速やかに濾過した出し汁45%、濃厚醤油(キッコーマン(株)製)8%、みりん(キッコーマン(株)製)0.8%、砂糖(新三井製糖(株)製)2.0%、水50%を混合し、これをそばかけつゆとした。これを10名により官能評価を行った結果を表42に示す。 【0125】 【表42】
【0126】 表42から、枯れた香気の強さに関して、アオノリ(95%アルコール抽出)とブランク(練り節)とを比較した結果、アオノリ(95%アルコール抽出)=3.5点、ブランク(練り節)=3.2点で、t検定を行ったところ危険率5%以下で、有意差のあるものであった。 また、枯れ節と比較しても大差のない結果が得られた。 【0127】 肉感の強さに関しては、ヒジキ(熱水抽出)とブランク(練り節)と比較した結果、ヒジキ(熱水抽出)=3.5点、ブランク(練り節)=3.1点であり、t検定を行ったところ危険率1%以下で、有意差のあるものであった。 【0128】 また、好ましさにおいては、アオノリ(95%アルコール抽出)・ヒジキ(熱水抽出)節が最も良く、鰹節の枯れ節感と肉感が適度に付加され、風味及び呈味が極めて強く好ましいという結果が得られた。 【実施例14】 【0129】 味噌汁試作評価 実施例10、11で作成した顆粒ダシ1%、味噌(宮坂醸造(株)製)7%、水92%を混合・混和し加熱、85℃まで加熱しこれを味噌汁とした。これを10名により官能評価を行った結果を表43に示す。 【0130】 【表43】
【0131】 表43より、枯れた香気の強さに関して、アオノリ(95%アルコール抽出)とブランク(練り節)とを比較したところ、アオノリ(95%アルコール抽出)=3.2点、ブランク(練り節)=2.3点であった。この結果についてt検定を行ったところ危険率1%以下で、有意差のあるものであった。また、枯れ節と比較しても大差のない結果が得られた。 【0132】 肉感の強さに関しては、ヒジキ(熱水抽出)とブランク(練り節)と比較した結果、ヒジキ(熱水抽出)=3.5点、ブランク(練り節)=2.7点であり、t検定を行ったところ危険率5%以下で、有意差のあるものであった。 【0133】 また、好ましさにおいては、アオノリ(95%アルコール抽出)・ヒジキ(熱水抽出)節が最も良く、鰹節の枯れ節感と肉感が適度に付加され、風味及び呈味が極めて強く好ましいという結果が得られた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004569 【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社 【住所又は居所】東京都港区虎ノ門二丁目2番1号
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| 【出願日】 |
平成17年1月7日(2005.1.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773 【弁理士】 【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100107168 【弁理士】 【氏名又は名称】安田 徹夫
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| 【公開番号】 |
特開2006−187254(P2006−187254A) |
| 【公開日】 |
平成18年7月20日(2006.7.20) |
| 【出願番号】 |
特願2005−2291(P2005−2291) |
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