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【発明の名称】 漬け物液及び漬け物製造方法
【発明者】 【氏名】加藤 隆子
【氏名】森 敏彦
【氏名】中西 謙二
【課題】従来、漬け込みのため、長期の期間及び多くの労力を要していた漬け物の製造を、より短期の期間及び少ない労力で可能とする

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酒粕を酵素で処理して得られる液状物を含有する漬け物液。
【請求項2】
酵素がアミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ及びペクチナーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素である請求項1に記載の漬け物液。
【請求項3】
酵素がアミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ及びペクチナーゼからなる群から選択される2種以上の酵素である請求項1又は2に記載の漬け物液。
【請求項4】
さらにアミノ酸液、アルコール、甘味料及び糖液からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の漬け物液。
【請求項5】
漬け物原料を請求項1〜4のいずれかに記載の漬け物液で処理する漬け物の製造方法。
【請求項6】
漬け物原料が甘味料で処理されたものである請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
甘味料が砂糖である請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
漬け物原料が瓜である請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれかに記載の製造方法により製造された漬け物。
【請求項10】
請求項8に記載の製造方法により製造された粕漬け。
【請求項11】
請求項8に記載の製造方法により製造されたなら漬け。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、漬け物液、漬け物製造方法及び漬け物に関する。
【背景技術】
【0002】
なら漬けは、例えば白瓜をたて割り、ず抜き(種、わたを除く)、塩漬、塩分調整、下漬、中漬、上漬、仕上漬の順に処理することにより製造されていた。
【0003】
塩漬では、白瓜を塩水(10%程度)へ浸漬し上部に撒き塩をして重石をし、一晩漬け込み、余分な水分を除く作業(塩水取り)の後、塩水取りした瓜を容器に底面にしきつめ塩をまぶす。これを繰り返して上までしきつめて重石をし、空気を遮断して通常3ヶ月から1年間保存する作業(塩本漬)が行われる。
【0004】
塩分調整では、塩漬けによって塩度が20%以上となった瓜を水に浸漬して塩抜きをし、塩度を通常12〜14%程度に調整する。
【0005】
下漬では、塩分調整された瓜を中抜粕(前回のなら漬け製造時に中漬用として使用された粕)に2〜3ヶ月漬け込んだ後、下漬瓜を取り出す。使用された粕(下抜粕)は廃棄される。
【0006】
中漬では、下漬された瓜を上抜粕(前回のなら漬け製造時に上漬用として使用された粕)に1〜3ヶ月漬け込んだ後、中漬瓜を取り出す。使用済み粕(中抜粕)は、次回のなら漬け製造の下漬用粕として再使用される。
【0007】
上漬では、中漬された瓜を仕上抜粕(前回のなら漬け製造時に仕上漬用として使用された粕)に1〜3ヶ月漬け込んだ後、上漬瓜を取り出す。使用済み粕(上抜粕)は、次回のなら漬け製造において中漬用粕として再使用される。
【0008】
仕上漬では、上漬された瓜を、アルコール、砂糖、みりん等の調味料を加えた熟成粕に1〜3ヶ月漬け込んだ後、仕上漬瓜を取り出し、なら漬けとなる。使用済み粕(仕上抜粕)は、次回のなら漬け製造において上漬用粕として再使用される。
【0009】
このように、なら漬けの製造には長期の期間が必要であった。また、瓜を粕に漬ける際には、ず抜きをした瓜の腹(くぼみ)に粕がつきにくいため、人手で腹に粕をつける。また、漬け替え時には漬け込み容器をさかさに返すが瓜についた粕がとれにくいため、人手で粕を取り除いていた。この作業は漬け替えの度に必要となるため、作業者には負担であり、また人件費の点でも負担であった。
【0010】
このため、塩漬け材料を酒カス床に漬込む前に、ミリンを主体とする脱塩液に浸漬して脱塩することによって、漬込み回数を減らす方法(特許文献1)が報告されているが、より負担の少ないなら漬け製造方法の登場が望まれていた。
【特許文献1】特開2002−10734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来、漬け込みのため、長期の期間及び多くの労力を要していた漬け物の製造を、より短期の期間及び少ない労力で可能とする漬け物液の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、酒粕を酵素で処理して得られる液状物が漬け物液として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の漬け物液、漬け物製造方法及び漬け物を提供するものである。
項1.
酒粕を酵素で処理して得られる液状物を含有する漬け物液。
項2.
酵素がアミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ及びペクチナーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素である項1に記載の漬け物液。
項3.
酵素がアミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ及びペクチナーゼからなる群から選択される2種以上の酵素である項1又は2に記載の漬け物液。
項4.
さらにアミノ酸液、アルコール、甘味料及び糖液からなる群から選択される少なくとも1種を含有する項1〜3のいずれかに記載の漬け物液。
項5.漬け物原料を項1〜4のいずれかに記載の漬け物液で処理する漬け物の製造方法。
項6.
漬け物原料が甘味料で処理されたものである項5に記載の製造方法。
項7.
甘味料が砂糖である項6に記載の製造方法。
項8.
漬け物原料が瓜である項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
項9.
項5〜8のいずれかに記載の製造方法により製造された漬け物。
項10.
項8に記載の製造方法により製造された粕漬け。
項11.
項8に記載の製造方法により製造されたなら漬け。

漬け物液とは、一般に、漬け物原料と接触することによって、該原料を漬け物にする液である。本発明の漬け物液は、酒粕を酵素で処理して得られる液状物を含有することを特徴とする。また、本発明の漬け物の製造方法は、漬け物原料を前記漬け物液で処理することを特徴とする。また、本発明の漬け物は前記製造方法で製造されることを特徴とする。
【0014】
本発明の漬け物液は、塩分調整された漬け物原料(主として農産物)から漬け物(特に粕漬け、なら漬け)を製造する際に使用できる。本発明の漬け物液は、酒粕に水及び酵素を添加後撹拌して酵素反応を誘導し、酵素反応処理物を濾過して固形分を取り除くことによって得られる酒粕処理液を含有する。本発明の漬け物液の原料として使用される酒粕は特に制限されないが、熟成酒粕が好ましい。熟成酒粕(主としてペースト状)は、例えば、清酒を搾った残り粕である酒粕を容器に充填し約半年から1年熟成させたものである。一般的には、酒粕(主として板状及び固いペースト状)をタンクに入れアルコールをまきながら人が踏み込んで空気を適度に抜き、タンク上部を日よけカバーで覆い熟成させることによって製造される。本発明の漬け物液を製造する場合には酒粕に水を添加する。水の量は酒粕の0.05〜15倍(重量)が好ましく、0.4〜3倍(重量)がより好ましく、0.8〜1.5倍(重量)が最も好ましい。
【0015】
さらに酒粕には酵素が添加される。酵素の添加量は酒粕に対し0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.3〜0.5重量%である。
【0016】
ここで使用される酵素は、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ等であり、これらを組み合わせて使用することもできる。酵素としては市販の酵素製剤を使用することが可能である。例えば、アミラーゼを含有する酵素製剤としては液化酵素T、液化酵素6T、アミラーゼS「アマノ」35G、GODO BαA−T、GODO BαA、クライスターゼ、クライスターゼT、クライスターゼY、スピターゼHS.HK、リクィファーゼL45、ユニアーゼBM−8、ラクターゼSR等が挙げられ、プロテアーゼを含有する酵素製剤としてはオリエンターゼ20A、オリエンターゼ90N、ニューラーゼA、プロチンFA、デナプシン2P、プロテアーゼYP−SS、プロテアーゼN「アマノ」G、プロテアーゼNL「アマノ」G、プロチンP、ヌクレイシン、オリエンターゼ10NL、エンチロンNBS、プロレザーFG−F、プロチンA、ビオプラーゼSP−15FG、アロアーゼAP−10等が挙げられ、セルラーゼを含有する酵素製剤としてはセルロシンAL、セルロシンT2、セルロシンAC40、セルラーゼ”オノズカ”3S、セルラーゼY−NC、スミチームAC等が挙げられ、キシラナーゼを含有する酵素製剤としてはセルロシンHC、セルロシンTP25、セルロシンHC100、セルロシンB等が挙げられ、ペクチナーゼを含有する酵素製剤としてはセルロシンME、セルロシンPE60、セルロシンPEL等が挙げられる。好ましい酵素製剤は、液化酵素T、オリエンターゼ20A、セルロシンTP25、セルロシンT2であり、より好ましくはこれら4種の酵素製剤のうち2種以上を混合した混合酵素であり、より一層好ましくは3種以上を混合した混合酵素である。
【0017】
酵素処理温度は酒粕が液化する限り特に制限されないが、4〜100℃、好ましくは15〜90℃である。酵素処理時間は酒粕が液化する限り特に制限されないが、1分以上、好ましくは10分〜3日、より好ましくは10〜24時間である。
【0018】
酵素処理によって得られる漬け物液に、必要に応じて甘味料、アルコール、アミノ酸、糖液などを添加することが可能である。甘味料としては、砂糖、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、水飴、アセスルファムK、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリンNa、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、甘草などを使用できる。甘味度を高いものを使用すると、歩留まりが良く、肉厚のある漬け物とすることができる。甘味料の添加量は砂糖の場合、漬け物液に対して1〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。砂糖以外の他の甘味料を使用する場合には、砂糖の甘味度と他の甘味料の甘味度とを比較し、他の甘味料の甘味度×使用量が、砂糖の甘味度×使用量と一致する量を目安として使用することができる。
【0019】
アルコールとしては工業用アルコール、日本酒、焼酎などを使用できる。アルコールの添加量は漬け物液のアルコール濃度が0.5〜15%、好ましくは3〜10%となる量である。
【0020】
アミノ酸液はタンパク質の加水分解物であり、植物性タンパク質加水分解物、動物性タンパク質加水分解物が好ましい。また、アラニン、グリシン、グルタミン酸Naなどのアミノ酸液も好ましい。アミノ酸の添加量は漬け物液に対して0.01〜15重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0021】
糖液は、漬け物原料に砂糖等の甘味料をまぶすことによって漬け物原料から液体がにじみ出て、この液体に甘味料に混ざったものであり、漬け物原料の旨味等が含まれている。ここで使用される甘味料としては砂糖、アセスルファムK、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリンNa等が例示され、好ましくは砂糖である。糖液の添加量は漬け物液に対して0〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0022】
さらにその他の添加物として塩、みりん等を加えることが可能である。好ましい漬け物液は、酒粕の酵素処理液に、甘味料、アルコール、アミノ酸液及び糖液からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分を添加したものであり、より好ましい漬け物液は、酒粕の酵素処理液、甘味料、アルコール、アミノ酸液及び糖液を含有するものである。
【0023】
漬け物原料を本発明の漬け物液で処理することによってなら漬けを製造できる。漬け物原料はなら漬けになるものであれば特に制限されない。主として農産物であるが水産物、畜産物なども使用可能である。漬け物原料としては瓜、キュウリ、大根、守口大根、西瓜、生姜、牛蒡、筍、ソーメン瓜、人参、メロン、玉葱、ラッキョウ、茄子、小茄子、ひょうたん、柿、セロリ、わさび、かぶ、梅、こんにゃく、まくわ瓜、かぼちゃ、ヘチマ、ゴーヤ、ながいも、みょうが、青トマト、はやとうり、山菜、ワラビ、ふきのとう、ふき、しめじ等の農産物、ふぐ、うに、くらげ、さわら、鮭、たら、きんき、数の子、すじこ、ぶり、たらこ、するめ、まながつお、あこうだい、ほっき貝、しいら、えび、いくら、いか、たこ、わかめ等の水産物、牛肉、豚肉、ラム等の畜産物が挙げられる。このましい漬け物原料は、瓜、キュウリ、大根、守口大根、西瓜、生姜、牛蒡、筍、ソーメン瓜、人参、メロン、玉葱、ラッキョウ、茄子、小茄子、ひょうたん、柿、セロリ、わさび、かぶ、梅、こんにゃく等の農産物、ふぐ、うに、くらげ、さわら、鮭、たら、きんき、数の子等の水産物であり、より好ましい漬け物原料は瓜、きゅうり、守口大根、西瓜、生姜であり、より一層好ましい漬け物原料は瓜である。瓜としては、黒門縞瓜、青大縞瓜、青縞瓜(カリモリ)等の縞瓜、たから越瓜、はかた越瓜、かすが越瓜等の越瓜、さぬき白瓜、沼目白瓜、東みどり、よかうり、阿波みどり、桂瓜、桂大瓜、東京大瓜、沼目大瓜、高田大瓜、久留米瓜、あさじ瓜等の白瓜、青はぐら瓜、白はぐら瓜、若だんな、青大将等のはぐら瓜、くろうり等のくろ瓜、北海甘あじ瓜とうのあじ瓜、はやとうり等のはやと瓜等が挙げられる。
【0024】
漬け物原料から必要に応じて種、皮、骨等を除去し、塩分調整を行う。塩分濃度は漬け物原料により異なるが、通常1〜20%、好ましくは3〜10%である。特に、漬け物原料が瓜の場合は1〜14%、好ましくは4〜7%である。塩分調整方法は、例えば漬け物の製造の際に行われる調製方法を採用することができる。例えば、漬け物原料に塩を添加し重石等の重量物で加圧して塩漬けする。塩漬けを効率的に行うため、塩漬けの前処理として水抜きをすることが有効である。水抜きにより漬け物原料の水分が減少するため塩漬け時の水分を低下させることができるためである。水抜き方法としては塩水取りが例示される。塩水取りは、例えば10%程度の塩水に漬け物原料を浸漬し重石等の重量物で加圧して一晩漬け込み水分を減少させる方法である。
【0025】
塩漬け後の漬け物原料の塩分濃度が高すぎる場合には漬け物原料を水に浸漬し塩抜きをおこなうことで所望の塩分濃度に調整することができる。
【0026】
塩分調整された漬け物原料は本発明の漬け物液で処理されることによって漬け物となる。なお、本発明の漬け物液処理の前に、塩分調整された漬け物原料を甘味料で処理し、糖漬けとすることが好ましい。甘味料で処理することによって、漬け物により多様な味を付与できるからである。甘味料としては、砂糖、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、水飴、アセスルファムK、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリンNa、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、甘草等が例示される。好ましいのは砂糖、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、水飴、アセスルファムK、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、サッカリンNaである。処理する方法は、塩分調整された漬け物原料に甘味料をまぶす方法、塩分調整された漬け物原料を甘味料を含有する水に浸漬する方法などが例示される。甘味料をまぶす方法では、漬け物原料から出る液体に甘味料が溶解するため時間の経過と共に浸漬に近い状態となる。
【0027】
甘味料の使用量は、砂糖をまぶす場合、塩分調整された漬け物原料の1〜100重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは20〜40重量%である。
【0028】
また、甘味料を含有する水に浸漬する場合は、漬け物原料に対して浸漬液を通常1〜300重量%、好ましくは20〜150重量%、さらに好ましくは40〜100重量%使用する。この場合、浸漬液中の甘味料濃度は、甘味料として砂糖を使用する場合、漬け物原料と浸漬液の総重量に対して通常1〜90重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは20〜40重量%である。なお、甘味料を含有する水が漬け物原料に対して少ない場合、上記の甘味料をまぶす方法の場合と同様に、漬け物原料から液体が出てくるため時間の経過と共に浸漬されることとなる。
【0029】
砂糖以外の他の甘味料を使用する場合には、上記の漬け物液に添加可能な甘味料の場合と同様に、砂糖の甘味度と他の甘味料の甘味度とを比較し、他の甘味料の甘味度×使用量が、砂糖の甘味度×使用量と一致する量を使用することができる。
【0030】
甘味料処理の時間は特に制限されないが、漬け物原料が瓜の場合、通常1〜2日で適度に脱水された糖漬けとなる。また、甘味料処理温度は、通常0〜100℃、好ましくは3〜30℃、より好ましくは5〜10℃である。
【0031】
塩分調整された漬け物原料又は糖漬けを本発明の漬け物液に浸漬することによって漬け物を製造する。漬け物液は、漬け物液に含有される酒粕処理液の量が被処理物に対して10〜120重量%、好ましくは30〜50重量%となる量を使用する。なお、被処理物に糖漬けを使用する場合、糖漬け時に生じる糖液を漬け物液に添加することが製造される漬け物の風味の点で好ましい。
【0032】
浸漬時間は漬け物が製造できる限り特に制限されないが、通常1日から1ヶ月、好ましくは3日から14日である。浸漬温度は、通常0〜100℃、好ましくは3〜40℃であり、より好ましくは5〜30℃である。
【0033】
前記のように浸漬することによって、本発明の漬け物が製造される。本発明の漬け物は酒粕を使用した漬け物(例えば粕漬け、なら漬け)に特有の風味を有する。このため、本発明の漬け物は粕漬け、なら漬け等として食することができる。
【発明の効果】
【0034】
従来長期の期間及び多くの労力を要していた漬け物の製造方法をより短期の期間及び少ない労力で漬け込むことを可能とする漬け物液を提供することができる。また、この漬け物液を使用して製造された漬け物は、酒粕を利用した漬け物に特有の風味を有し、粕漬け、なら漬け又はこれら漬け物の代替食品として利用することができる。特になら漬けの従来製造法では、漬け込み工程において2〜5回の漬け直しを必要とするため漬け込み期間が数ヶ月〜1年程度必要であったが、本発明の漬け物液を使用することによって漬け込み期間を短縮することが可能となる(例えば漬け込み期間1ヶ月以内)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
以下の実施例において使用した酵素は以下の通りである。
アミラーゼ:枯草菌(Bacillus subtilis)由来のアミラーゼ製剤
プロテアーゼ:糸状菌(Aspergillus niger)由来のプロテアーゼ製剤
セルラーゼ:糸状菌(Trichoderma viride)由来のセルラーゼ製剤
キシラナーゼ:糸状菌(Trichoderma viride)由来のキシラナーゼ製剤
実施例1:酒粕の酵素処理液の製造
熟成した酒粕(500g)を同重量の水で50%に希釈し、酒粕重量に対し各々0.5重量%の量の表1に示す酵素製剤を添加後よく撹拌し、45℃で一晩(アミラーゼを含むものについては45℃一晩→55℃半日→80℃一晩)酵素反応させ、酵素処理液(1000g)を得た。なお、処理後に固体の酒粕重量は、酵素処理後の処理液を遠心分離(7500rpm、15分間)して得られた固形の酒粕の重量である。また、酵素製剤を添加せずに同様にして酒粕の水処理液(表1の番号4)を、比較として作成した。
【0037】
【表1】


【0038】
実施例2:漬け物の製造
漬け物製造の一例のフローチャートを図1に示す。塩分濃度約8%に調整された塩瓜を縦半分に切断した。この切断片に瓜重量に対し30%の上白糖をまぶし、冷蔵(10℃)で1日間糖漬けを行った。糖漬け中に瓜から水分がしみ出し、瓜が水分(糖液)中に浸漬された状態となった。その後、糖液と瓜を分離した。一方、実施例1で製造した酒粕酵素処理液1(40重量%)、砂糖(20重量%)、95%アルコール(5.7重量%)、アミノ酸液(4.3重量%)及び先に分離した糖液(30重量%)を添加して漬け物液を調製した。ビニール袋に瓜と、瓜1g当たり1.2mLとなる量の漬け物液とを入れて、袋の口をシールし、熱処理(80℃20分)後、常温で7日間つけ込みを行ってなら漬けを製造した。
【0039】
実施例3:糖漬けに使用する甘味料による影響
糖漬けに使用した上白糖に代えて表2に示す甘味料を使用した以外は、実施例2と同様にして漬け物を製造した。糖漬け後と漬け込み後の歩留まりと糖度(Brix)を測定した。また、漬け込み後には塩度も測定した。なお、甘味料の添加量は、甘味度が砂糖を30重量%使用した場合(実施例1)と同等になるように調整した。
【0040】
【表2】


【0041】
脱水しすぎると(例えば、最終歩留約65%以下になると)漬け物の食感がバリバリと固く、ソフトな歯切れがなくなる。最も脱水されやすく、最終歩留が最も低くなった砂糖30重量%添加の場合であっても、最終歩留は約72%であり、製品として十分に耐えられる食感であった。
【0042】
実施例4:本発明漬け物の官能試験
実施例3の表2の砂糖のみ添加の場合と同様にして製造された本発明の漬け物と、従来のなら漬け及び粕漬けとを15人(男8人、女7人)のパネラーに試食してもらい、表3に示す項目にて5点満点で評価してもらった。
【0043】
【表3】


【0044】
本発明の漬け物は、塩味に関しては3製品とも程よい強さ、甘味やアルコールに関してはなら漬に比べ粕漬け、本発明漬け物が控えめになっている。香りは原料臭がなく酒粕の香りがあり、色づきはなら漬に近いが、歯切れはソフト感が少ない。なお、なら漬は塩味が少なく甘味があり、酒粕の熟成した風味のあるベッコウ色でシャリとしたソフトな歯切れのあるものである。粕漬けも同様に塩味が少なく甘味があるが、なら漬に比べると味(甘味とアルコール)はやや薄く、酒粕の風味は強くなく、色は原料色に少し茶色く色づいた程度である。本発明の漬け物は、甘味、アルコールが粕漬けよりもしっかりし、なら漬同程度であり、また歯切れのソフト感は少なくほぼなら漬けと粕漬けの中間的なものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、実施例1における漬け物製造の工程を示したチャートである。
【出願人】 【識別番号】500188901
【氏名又は名称】マルキン忠勇株式会社
【識別番号】592197108
【氏名又は名称】徳島県
【出願日】 平成16年7月20日(2004.7.20)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二

【識別番号】100076510
【弁理士】
【氏名又は名称】掛樋 悠路

【識別番号】100099988
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 健治

【公開番号】 特開2006−25740(P2006−25740A)
【公開日】 平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願番号】 特願2004−211826(P2004−211826)