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【発明の名称】 農薬組成物
【発明者】 【氏名】栗田 和彦
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】山口 雄彦
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】安全性に優れ、殺虫効果、殺ダニ効果又は殺菌効果に優れた農薬組成物を提供する。

【解決手段】多価アルコール脂肪酸エステル系非イオン界面活性剤(A)と、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物系非イオン界面活性剤及び樹脂酸系非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上(B)とを含有する農薬組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価アルコール脂肪酸エステル系非イオン界面活性剤(A)と、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物系非イオン界面活性剤及び樹脂酸系非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上(B)とを含有する農薬組成物。
【請求項2】
(A)が、ソルビタン脂肪酸エステルである請求項1記載の農薬組成物。
【請求項3】
更に、陰イオン界面活性剤(C)を含有する請求項1又は2記載の農薬組成物。
【請求項4】
(A)の濃度が1000〜5000ppmである請求項1〜3の何れか1項記載の農薬組成物。
【請求項5】
殺虫、殺ダニ又は殺菌用である請求項1〜4の何れか1項記載の農薬組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項記載の農薬組成物を用いる、昆虫、ダニ又は菌の防除方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺ダニ剤、植物成長調節剤をはじめとする農薬は、乳剤、水和剤、粒剤、粉剤、フロアブル剤等の剤型にて使用されている。その際、農薬原体の効果を十分引き出すために、製剤物性上様々な工夫がなされているが、製剤上の工夫により農薬の効果を更に増強させることは困難な現状である。
【0003】
従来、界面活性剤は農薬の展着剤や農薬の効力を増強する成分として用いられている(特許文献1)。また、ソルビタン脂肪酸エステルを病害虫の防除薬剤に使用することも知られている(特許文献2、3、4)。
【特許文献1】特開平8−151302号
【特許文献2】米国特許第2374918号明細書
【特許文献3】特公昭61−23161号
【特許文献4】特公昭62−43968号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農薬には、目的とする殺生物効果に優れることに加え、人畜に対する毒性が低いこと、薬害が低いこと、残留性が低いこと、取り扱い性に優れること、入手が容易であることなどが望まれる。また、単一の薬効だけでなく、複数の薬効を有するものが有利な場合もある。
【0005】
本発明の課題は、安全性に優れ、殺虫効果、殺ダニ効果又は殺菌効果に優れた農薬組成物を得ることである。更に、これらの効果と共に、薬害の低い農薬組成物を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、多価アルコール脂肪酸エステル系非イオン界面活性剤(A)〔以下、(A)成分という〕と、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物系非イオン界面活性剤〔以下、(B1)成分という〕及び樹脂酸系非イオン界面活性剤〔以下、(B2)成分という〕から選ばれる1種以上(B)〔以下、(B)成分という〕とを含有する農薬組成物、及び該農薬組成物を用いる、昆虫(害虫)、ダニ又は菌の防除方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安全性に優れ、殺虫効果、殺ダニ効果又は殺菌効果に優れた農薬組成物が得られる。すなわち、本発明は、殺虫、殺ダニ又は殺菌用農薬組成物を提供する。更に、本発明によれば、これらの効果を有し、薬害の低い農薬組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<(A)成分>
多価アルコール脂肪酸エステル系非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0009】
なかでも、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルはモノ、ジ、トリエステルが何れも使用できるが、一般にはこれらの混合物が使用される。しかしながらモノエステル含量が25〜70重量%であるものが望ましい。また、エステルを構成する脂肪酸は、炭素数8〜22、更に炭素数8〜18の脂肪酸が好ましく、具体的にはカプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられる。(A)成分は、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートが好ましい。
【0010】
<(B)成分>
(B)成分のうち、(B1)成分の多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド(以下アルキレンオキサイドをAOと表記する)付加物系非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステルAO付加物、グリセリン脂肪酸エステルAO付加物、蔗糖脂肪酸エステルAO付加物等が挙げられる。
【0011】
(B1)成分としては、ソルビタン脂肪酸エステルAO付加物が好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルAO付加物は、ソルビタンにAOを付加させた後、脂肪酸でエステル化すること等の方法で製造される。付加させるAOとしては、エチレンオキサイド(以下EOと表記する)、プロピレンオキサイド(以下POと表記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと表記する)等が挙げられ、特にEOが好ましい。AOの平均付加モル数は、2〜30モル、更に5〜25モルが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルAO付加物においても、ソルビタン脂肪酸エステルと同様、モノ、ジ、トリエステルが何れも使用できるが、一般にはこれらの混合物が使用される。しかしながらモノエステル含量が25〜70重量%であるものが望ましい。また、エステルを構成する脂肪酸は、炭素数8〜22、更に炭素数8〜18の脂肪酸が好ましく、具体的にはカプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられる。(B1)成分は、ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数5〜30)ソルビタンモノオレエートが好ましい。
【0012】
また、(B)成分のうち(B2)成分である樹脂酸系非イオン界面活性剤としては、ロジンAO付加物が好ましい。ロジンAO付加物は、ロジンにAO、好ましくはEOを必須とするAOを平均で2〜50、好ましくは5〜40モル、更に好ましくは8〜30モル付加させて得られるものである。
【0013】
ここでロジンとは、主としてマツ科の植物から得られる樹脂油から、精油等の揮発性物質を留去した残留物中に存在する樹脂酸のことで、主成分としてアビエチン酸とその類縁体、ピマル酸等を含有する。ロジンは天然物由来のため多少構成成分や物性にばらつきがあるが、本発明では通常ロジンとして流通しているものであれば使用可能である。ロジンの中でもトールロジンとして流通しているものが特に好ましい。
【0014】
本発明の農薬組成物は、(A)成分と(B)成分の重量比が(A)/(B)=1/0.01〜1/5が好ましく、更に製剤安定性及び殺生効果の観点から、(A)/(B)=1/0.01〜1/1がより好ましい。また、本発明の農薬組成物は、(A)成分を1000〜5000ppm、更に1000〜2000ppmの濃度で含有することが好ましい。(A)成分をこの濃度で含有する組成物は、そのまま、あるいは(A)成分濃度が少なくとも1000ppmの濃度を維持するように適宜希釈して、農薬製剤として使用することができる。
【0015】
本発明者らは、上記(A)成分と(B)成分とを組み合わせると、害虫、ダニ又は菌を効果的に防除できることを見い出した。更には該3つの有害な生物のうち2つ以上、更には3つとも同時に効果的に防除することができる。従来、本発明の(A)成分や(B)成分は、単独で農薬として、あるいは農薬原体の補助成分等として農薬組成物に配合することは知られているが、これらを組み合わせて使用することはもとより、これらを併用した場合に、殺虫効果、殺ダニ効果又は殺菌効果に優れた農薬組成物が得られることは知られていなかった。該3つの薬効のうち、それぞれ単独ばかりでなく、2つ以上更には3つとも同時に複合的に機能する農薬組成物が、本発明では得られる。
【0016】
すなわち、本発明によれば、
(1):(A)成分と(B)成分とからなる殺虫剤
(2):(A)成分と(B)成分とからなる殺ダニ剤
(3):(A)成分と(B)成分とからなる殺菌剤
(4):(A)成分と(B)成分とからなる殺虫、殺ダニ剤
(5):(A)成分と(B)成分とからなる殺虫、殺菌剤
(6):(A)成分と(B)成分とからなる殺ダニ、殺菌剤
(7):(A)成分と(B)成分とからなる殺虫、殺ダニ、殺菌剤
が得られる。
【0017】
本発明の農薬組成物には、(A)成分、(B)成分以外の界面活性剤を併用することもできる。そのような界面活性剤としては、(A)成分、(B)成分以外の非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤、或いはそれらの混合物を用いることができる。併用する界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤が好ましい。
【0018】
陰イオン界面活性剤としては、モノ−及びジ−アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルファ−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、モノ−及びジ−アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホネートのホルムアルデヒド縮合物、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、オレフィニックスルホン酸塩、モノ及びジアルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノ及びジアルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノ及びジフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノ及びジアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ポリカルボン酸塩、脂肪酸塩、直鎖及び分岐アルキルポリオキシアルキレンエーテル酢酸又はその塩、アルケニルポリオキシアルキレンエーテル酢酸又はその塩、直鎖及び分岐アルキルアミドポリオキシアルキレンエーテル酢酸又はその塩、ステアリン酸及びその塩、オレイン酸及びその塩、N−メチル脂肪酸タウリド(taurides)、これらのうちの2種以上の混合物など(ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアミン塩を含む)がある。陰イオン界面活性剤としては、脂肪酸塩が好ましく、特にオレイン酸、ヒマシ油脂肪酸等の高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
【0019】
また、本発明の農薬組成物やその製剤中に必要に応じてキレート剤、pH調節剤、無機塩類、増粘剤等を加えてもよい。
【0020】
本発明の農薬組成物の製剤型は、乳剤、液剤、水和剤、フロアブル製剤等いずれでもよく、製剤型は問わない。従って、その製剤型に応じた他の添加剤、例えば乳化剤、溶剤、分散剤、担体等を含有するものであってもよい。
【実施例】
【0021】
実施例1
<農薬組成物>
表1、2に示す濃度(残部は水)で各成分を含有する農薬組成物を用いて、以下の方法で殺ダニ試験、殺虫試験、殺菌(防除価)試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0022】
(1)殺ダニ試験
ナミハダニ成虫を、インゲンのリーフディスクに1区30匹、3反復にてうえつけた後、24時間25℃にて培養させた。その後リーフディスク全体を農薬組成物に5秒間浸漬させ、農薬組成物から取り出して25℃で48時間放置後観察し、殺ダニ率を無処理区(水のみに浸漬、以下同様)の場合を基準にして求めた。
【0023】
【数1】


【0024】
(2)殺虫試験
モモアカアブラムシ成虫を、インゲンのリーフディスクに1区30匹、3反復にてうえつけた後、24時間25℃にて培養させた。その後リーフディスク全体を農薬組成物に5秒間浸漬させ、農薬組成物から取り出して25℃で48時間放置後観察し、殺虫率を無処理区の場合を基準にして求めた。
【0025】
【数2】


【0026】
(3)殺菌試験
キュウリ灰色かび病菌の胞子懸濁液(107個/ml)をキュウリの幼苗に1ポット当たり10mlずつ散布し、25℃、90%相対湿度下に1日放置した。農薬組成物を、1ポット当たり5mlずつ散布した。その後25℃、85%相対湿度下にて培養し、病斑数を数え、無処理区に対する防除価を以下の計算式により算出した。
【0027】
【数3】


【0028】
【表1】


【0029】
【表2】


【0030】
なお、比較品1−7〜1−9は、便宜的に、(A)成分/その他の成分の重量比を(A)/(B)重量比として示した。
【0031】
実施例2
<農薬組成物>
表3に示す濃度(残部は水)で各成分を含有する農薬組成物を用いて、以下の方法で大豆に対する薬害試験を行った。結果を表3に示す。
【0032】
<薬害試験>
大豆幼苗(本葉1〜2葉期)5株に農薬組成物を十分量、噴霧器で撒布する。農薬組成物の撒布7日後に肉眼観察により、褐変薬害の程度を1株ごとに下記の基準で評価し、5株の平均として求めた。
・薬害判定基準
×:枯死(75%以上の褐変)
+++:50%以上75%未満の褐変
++:25%以上50%未満の褐変
+:5%以上25%未満の褐変
±:0%超5%未満の褐変
−:健全(薬害無し)
【0033】
【表3】


【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成16年11月15日(2004.11.15)
【代理人】 【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡

【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦

【識別番号】100091845
【弁理士】
【氏名又は名称】持田 信二

【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌

【公開番号】 特開2006−137728(P2006−137728A)
【公開日】 平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願番号】 特願2004−330592(P2004−330592)