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【発明の名称】 薬剤拡散装置
【発明者】 【氏名】福田 民郎

【氏名】阿部 壮一郎

【氏名】岩崎 智則

【氏名】岡田 賢哉

【氏名】原田 哲男

【要約】 【課題】防虫剤等を室内に拡散させる用途に適する薬剤拡散装置を改良するものであり、スイッチ操作が簡単であり、且つ手足が送風に触れることなくスイッチ操作を行うことができる薬剤拡散装置の開発を課題とする。

【解決手段】薬剤拡散装置1のケース部材2は、ベース部3と可動蓋部5によって構成されている。ケース部材2は、全体形状が偏平であり、上部側が緩やかに膨らみ、下部側が平坦に近い形をしている。排出用開口10は、ケース部材2の側面側に向かって開き、吸入用開口11は、ケース部材2の底面側に向かって開く。可動蓋部5を押すと可動蓋部5の全体がガイド棒12に沿って降下し、可動蓋部5の裏面側がオルタネートスイッチ61を押圧し、スイッチ61がオン状態となる。使用者が可動蓋部5の押圧をやめるとバネ15の力によって可動蓋部5は元の位置に復帰する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の面を底側にして設置されるケース部材を備え、当該ケース部材内に送風手段と薬剤保持部材が内蔵され、スイッチを操作することによって外部の空気をケース部材内に吸入し、薬剤を含有する空気をケース部材から排出する薬剤拡散装置において、前記ケース部材は外部の空気をケース部材の内部に吸入する吸入用開口と、薬剤を含有する空気をケース部材から外部に向かって排出する排出用開口があり、前記吸入用開口はケース部材の底面に設けられ、前記排出用開口はケース部材の側面側に設けられ、ケース部材の天面側にスイッチの押圧部があり、当該押圧部を押圧することによってスイッチがオンオフされることを特徴とする薬剤拡散装置。
【請求項2】
特定の面を底側にして設置されるケース部材を備え、当該ケース部材内に送風手段と薬剤保持部材が内蔵され、スイッチを操作することによって外部の空気をケース部材内に吸入し、薬剤を含有する空気をケース部材から排出する薬剤拡散装置において、前記ケース部材は外部の空気をケース部材の内部に吸入する吸入用開口と、薬剤を含有する空気をケース部材から外部に向かって排出する排出用開口があり、前記吸入用開口はケース部材の底面に設けられ、前記排出用開口はケース部材の側面側に設けられ、ケース部材の天面側の一部又は全部が上下に昇降可能であり、ケース部材の天面側を昇降させることによってスイッチがオンオフされることを特徴とする薬剤拡散装置。
【請求項3】
ケース部材の底面は湾曲しており、薬剤拡散装置を水平面に設置したとき、ケース部材の底面と設置面との間に空隙が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤拡散装置。
【請求項4】
ケース部材の天面側は、光を乱反射させて透過させる素材で滑らかに作られており、内部に発光部材があり、薬剤拡散装置の作動中は当該発光部材が発光することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤拡散装置。
【請求項5】
ケース部材は上から見た形状が略三角形であり、高さ方向に偏平であって中心に向かってなだらかに高くなる形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薬剤拡散装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤拡散装置に関するものである。本発明の薬剤拡散装置は室内に置かれるものであり、防虫剤等を室内に拡散させる用途に適するものである。
【背景技術】
【0002】
防虫剤を室内に拡散させる薬剤拡散装置が知られている。初期型の薬剤拡散装置は、例えば特許文献1の様にヒータを備えたものであり、液状の薬剤や、マットに含浸させた薬剤を加熱して蒸散させるものであった。
これに対して、近年、常温で揮発させて所定の防虫効果が得られる薬剤が開発され、当該薬剤に対しては、加熱することなく薬剤を拡散させる薬剤拡散装置が使用される。この種の薬剤拡散装置は、例えば特許文献2,3の様に内部に送風機を備え、薬剤保持部材に通風して薬剤を拡散させるものである。
【特許文献1】特開平5−244853号公報
【特許文献2】特開2002−209500号公報
【特許文献3】登録実用新案第3071760号公報
【0003】
特許文献1に記載された薬剤拡散装置は、外形形状が四角柱形であり、室内に設置して使用される。これに対して特許文献2,3に開示された常温揮散性の薬剤を使用する薬剤拡散装置は、いずれもストラップやクリップが設けられており、持ち運び形である。特許文献2,3に開示された薬剤拡散装置では、スイッチを操作することによって送風機を起動するが、送風機を起動させるスイッチは、いずれも装置の側面に設けられている。またスイッチは、いずれもいわゆるスライドスイッチである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、寝苦しい夏の夜に、いずれともなく蚊が侵入することがある。この様な場合には、蚊が気になってとても眠ることはできない。この様な状況下においては薬剤拡散装置を起動させて薬剤を拡散し、蚊を追い払わざるを得ない。またこの様な状況の時は、多くの場合、とても眠い。そのため需要者の間では、布団等に潜った状態のままで枕元の薬剤拡散装置を操作したいという要求がある。
即ち市場において、布団等に潜った様な状態のままで簡単にオンオフすることができる薬剤拡散装置が求められている。
【0005】
しかしながら今日までにこの要求を満足する薬剤拡散装置は知られていない。
特許文献1に記載された様な薬剤拡散装置は、加熱部近傍に触れるおそれがあるので装置を乱暴に扱うことができず、また電源を外部コンセントに依存する場合が多く設置場所がコンセント付近に限定されるため使用者は布団やベットから起き上がり、照明を点灯して薬剤拡散装置を操作しなければならない。
【0006】
特許文献2,3に開示された薬剤拡散装置は、装置を起動するスイッチがスライドスイッチであるから、薬剤拡散装置を手で保持した状態でなければスイッチの操作を行うことができない。そのため特許文献2,3に開示された薬剤拡散装置であっても、使用者は布団やベットから起き上がり、照明を点灯して薬剤拡散装置のスイッチを操作しなければならない。
【0007】
また近年、清潔癖の強い人が増加したと言われている。極端な例として、人が触ったペンや電話機を使用することさえも嫌う者がある。
根拠の無いことではあるが、清潔癖が強い使用者は、薬剤拡散装置、または薬剤拡散装置から排気される風に手が触れることを嫌う。そのため棒や箒、或いは足で薬剤拡散装置を操作したいという要求がある。
【0008】
そこで本発明は、近年の上記した要求に応えるものであり、スイッチ操作が簡単であり、且つ手足が送風に触れることなくスイッチ操作を行うことができる薬剤拡散装置の開発を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、特定の面を底側にして設置されるケース部材を備え、当該ケース部材内に送風手段と薬剤保持部材が内蔵され、スイッチを操作することによって外部の空気をケース部材内に吸入し、薬剤を含有する空気をケース部材から排出する薬剤拡散装置において、前記ケース部材は外部の空気をケース部材の内部に吸入する吸入用開口と、薬剤を含有する空気をケース部材から外部に向かって排出する排出用開口があり、前記吸入用開口はケース部材の底面に設けられ、前記排出用開口はケース部材の側面側に設けられ、ケース部材の天面側にスイッチの押圧部があり、当該押圧部を押圧することによってスイッチがオンオフされることを特徴とする薬剤拡散装置である。
【0010】
本発明の薬剤拡散装置では、特定の面を底側にして設置される。即ち常識的な使用状態として、必然的に特定の面が下になるような形状をしている。また本発明の薬剤拡散装置では、ケース部材の天面側にスイッチの押圧部がある。そのためスイッチを操作する際に、手指は天面側から接近する。そのため手指に風が当たることはない。
一方、本発明の薬剤拡散装置では、ケース部材の内部に空気を吸入する吸入用開口と、薬剤を含有する空気をケース部材から外部に向かって排出する排出用開口があり、吸入用開口はケース部材の底面に設けられ、前記排出用開口はケース部材の側面側に設けられている。本発明の薬剤拡散装置では、前記した様に、スイッチを操作する際に、手指は天面側から接近するので、手指に風が当たることはない。
また本発明の薬剤拡散装置は、天面側のスイッチの押圧部を押圧することによってスイッチがオンオフされるので操作が極めて簡単である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、特定の面を底側にして設置されるケース部材を備え、当該ケース部材内に送風手段と薬剤保持部材が内蔵され、スイッチを操作することによって外部の空気をケース部材内に吸入し、薬剤を含有する空気をケース部材から排出する薬剤拡散装置において、前記ケース部材は外部の空気をケース部材の内部に吸入する吸入用開口と、薬剤を含有する空気をケース部材から外部に向かって排出する排出用開口があり、前記吸入用開口はケース部材の底面に設けられ、前記排出用開口はケース部材の側面側に設けられ、ケース部材の天面側の一部又は全部が上下に昇降可能であり、ケース部材の天面側を昇降させることによってスイッチがオンオフされることを特徴とする薬剤拡散装置である。
【0012】
本発明の薬剤拡散装置は、特定の面を底側にして設置される。また本発明の薬剤拡散装置は、吸入用開口はケース部材の底面に設けられ、排出用開口はケース部材の側面側に設けられている。
そして本発明の薬剤拡散装置では、ケース部材の天面側の一部又は全部が上下に昇降可能であり、ケース部材の天面側を昇降させることによってスイッチがオンオフされる。そのためスイッチを操作する際に、手指は天面側から接近するので、手指に風が当たることはない。
また本発明の薬剤拡散装置は、ケース部材の天面側を押圧することによってスイッチがオンオフされるので操作が極めて簡単である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、ケース部材の底面は湾曲しており、薬剤拡散装置を水平面に設置したとき、ケース部材の底面と設置面との間に空隙が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤拡散装置である。
【0014】
本発明の薬剤拡散装置ではケース部材の底面は湾曲しており、薬剤拡散装置を水平面に設置したとき、ケース部材の底面と設置面との間に空隙が形成される。そのため空気導入側の流路抵抗が小さい。
【0015】
請求項4に記載の発明は、ケース部材の天面側は、光を乱反射させて透過させる素材で滑らかに作られており、内部に発光部材があり、薬剤拡散装置の作動中は当該発光部材が発光することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤拡散装置である。
【0016】
本発明の薬剤拡散装置では、ケースの天面側が光を乱反射させて透過させる素材で作られており、ケースの内部に発光部材が設けられている。そのため発光部材が発光すると、ケースの天面側がぼんやりと光り、幻想的である。またケース部材の天面側は滑らかに作られており、この滑らかに作られたケース自体の天面側を通して光を見る構成であるから、ケースの天面側に突起物が無い。即ち直接的にパイロットランプ等を設ける構成を採用する場合には、パイロットランプ自体の突起や、或いはパイロットランプを収納する部位のカバーが必要であり、どうしても表面に凹凸が生じる。そのため手さぐりで薬剤拡散装置を操作した時にランプの突起をスイッチと間違う。これに対して本発明の薬剤拡散装置は、ケースの天面側が平滑であるから、スイッチとランプを混同することがない。
【0017】
また請求項5に記載の発明は、ケース部材は上から見た形状が略三角形であり、高さ方向に偏平であって中心に向かってなだらかに高くなる形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の薬剤拡散装置である。
【0018】
本発明の薬剤拡散装置は、上から見た形状が略三角形であり、高さ方向に偏平であって中心に向かってなだらかに高くなる形状であるから、手に沿いやすい。そのため手さぐりで操作し易い。
【発明の効果】
【0019】
本発明の薬剤拡散装置は、天面側のスイッチの押圧部を押圧(請求項1)したり、天面側自体を昇降させる(請求項2)といった簡単な操作で装置をオンオフすることができる。またスイッチ操作の際に手足が送風に触れることないので、使用者に不快感を与えないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の薬剤拡散装置の斜視図である。図2は、図1の薬剤拡散装置の正面図、左右側面図及び平面図である。図3は、図1の薬剤拡散装置の底面図である。図4は、図1の薬剤拡散装置の断面図であり、(a)は通常時における状態を示し、(b)はスイッチを操作した時の状態を示す。図5は、図1の薬剤拡散装置の斜視図であり、可動蓋部を取り外した状態を示す。
【0021】
本発明の実施形態の薬剤拡散装置1は、ケース部材2を有し、その中に薬剤保持部材41、送風機30、オルタネートスイッチ61、電池20及び発光ダイオード(発光部材)60が内蔵されたものである。
ケース部材2は、図4の様にベース部3と可動蓋部5によって構成されている。ケース部材2の素材は樹脂であり、強い光は透過するが内部は見えない。また素材の表面はすりガラスや梨地加工された板の様に極めて微細な凹凸があり、光りを乱反射する。
ベース部3と可動蓋部5の両者を組み合わせた状態における形状は、図1,2,3の通りである。即ちケース部材2は、あたかも帆立て貝の様に全体形状が偏平であり、上部側(可動蓋部5)が緩やかに膨らみ、下部側(ベース部3側)が平坦に近い形をしている。なお正確には、後記する様に、ケース部材2の底面は凹面である。
【0022】
ケース部材2を上から観察すると図1,2の様に概ね三角形である。ケース部材2の上面側は、前記した様に緩やかに膨らみ、なだらかに盛り上がっている。そしてケース部材2は、中央部6の高さが最も高い。
【0023】
ケース部材2の底面側は、図2の様に緩やかに湾曲している。即ち前記した様にケースは、上から見た形状が概ね三角形であり、その底面側に注目すると、3箇所の角の近傍部分が最も下部に位置し、中央に行くに従って緩やかに凹んでいる。そのため図4に示す様にケース部材2を設置すると、下部の中央部分に隙間(空隙)7ができる。また当該隙間7は図2(b,c,d,e)の様に四方に開放されている。
【0024】
ケース部材2は、全体的になだらかに盛り上がった形状ではあるが、前記した様に略三角形であるから、3方に側面部がある。即ちケース部材2は、全体的になだらかに盛り上がった形状であるため、天面と側面との境界は定かではないが、少なくとも三角形の辺方向から観察した時に側面と見なせる部位がある。そして本実施形態では、その内の一つの側面に図1,2の様に開口部10が設けられている。また底面部にも開口11が設けられている。前者の開口は、排出用開口10として機能し、後者の開口は、吸入用開口11として機能する。
【0025】
前者の排出用開口10は、ケース部材2の側面側に向かって開くものであり、長孔状である。後者の吸入用開口11は、ケース部材2の底面側に向かって開くものであり、複数のスリットによって構成され、スリット全体によって円形を構成している。
なおケース部材2の裏面側には裏蓋9があり、吸入用開口11は、裏蓋9に設けられている。裏蓋9は図示しないヒンジによって取り付けられており、開放可能である。
【0026】
前記した様に、ケース部材2は、ベース部3と可動蓋部5によって構成されており、図4の様にベース部3の上に可動蓋部5が被さっている。ケース部材2の内部について説明すると、図4,5の様に可動蓋部5の内面に3本のガイド棒(図4では1本のみ図示)12が設けられている。
一方、ベース部3側の内部には、内部ベース板13が設けられており、内部ベース板13には3個の孔14(図4では1個のみ図示、図5で2個のみを図示)が設けられている。そして可動蓋部5とベース部3は、ガイド棒12が孔14と係合することによって結合されている。即ち図4,5の様にベース部3側に孔14が設けられており、当該孔14にガイド棒12が挿入されている。またガイド棒12にはバネ15が装着されており、可動蓋部5をベース部3から離れる方向に付勢している。即ち可動蓋部5は、バネ15によって上方に付勢されている。ただし、ガイド棒12の先端にはストッパ16たる係止部が設けられており、ストッパ16がベース部3の一部(孔14の下面)と係合するので可動蓋部5が抜け去ることは無い。
手指によって可動蓋部5を下方向に押すと、可動蓋部5はガイド棒12に沿って沈む。手指を離すと可動蓋部5は元の位置に復帰する。
【0027】
次にケース部材2に内蔵された機器について説明する。ケース部材2の中には、前記した様に、薬剤保持部材41、送風機30、オルタネートスイッチ61、電池20及び発光ダイオード60が内蔵されている。
即ち前記した様に、内部ベース板13が設けられており、当該内部ベース板13を介して送風機30、オルタネートスイッチ61、電池20及び発光ダイオード60が取付けられている。
順次説明すると、内部ベース板13は一部が畝状に膨らんでおり、その内部に電池20が挿入されている。なお電池20は、ベース部材2の裏板9を開いて取り替える。
【0028】
また送風機30は、図5の様にケース部材2の内部の中央部に設けられており、さらに送風機30の下部に薬剤保持部材41が配されている。
図6(a)は、送風機30の内部を上側から観察した斜視図であり、同図(b)は、送風機30の内部を下側から観察した斜視図である。図7は、薬剤保持部材41の分解斜視図である。
送風機30は、ハウジング31に羽根部材32とモータ33が配置されて構成されている。
本実施形態で採用する送風機30は、底側から吸気し、側面側に排気するものである。従ってハウジング31は、底面側に吸気口を持ち、側面側に排気口を持つ。ハウジングの形状は、図5及び図6の二点鎖線の様に円形部35と方形部36が連続した形状である。そして円形部35の下面側が開放されており、吸気口として機能する。また方形部36の先端側についても開放されており、排気口39として機能する。排気口39には送風を方向づけるためのガイド桟34が設けられている。ハウジング31の他の面は閉塞している。
ハウジング31の排気口39の位置は、ケース部材の排出用開口10と一致する。
【0029】
羽根部材32は、シロッコファンやターボファンの様な回転軸を中心とする円周上に多数の小羽根38が配されたものである。モータ33は、羽根部材32の小羽根38に囲まれた位置に配置されている。
【0030】
また送風機30の吸気口に薬剤保持部材41が装着されている。
薬剤保持部材41は、薬剤含浸網46とこれを保持する枠体50によって構成されている。
本実施形態では、枠体50は外側枠47と内側枠48によって構成され、両者の間で薬剤含浸網46を挟み込む構造となっている。即ち外側枠47は、円環状の外周壁51を持ち、外周壁51の一方の端面に保持桟53が形成されたものである。保持桟53は、中心部に円部55を持ち、当該円部55から複数の保持桟53が放射状に延びている。
内側枠48は、前記した外側枠47と相似形であり、外側枠47よりも僅かに小さく、外側枠47の外周壁51内に内側枠48の外周壁56が嵌まり込む。即ち内側枠48は、外側枠47と同様に円環状の外周壁56を持ち、外周壁56の一方の端面に保持桟57が形成されたものであり、内側枠48の外周壁56の外径は外側枠47の外周壁51の内径に相当し、外側枠47の外周壁51内に内側枠48の外周壁56が嵌まり込む。そして外側枠47の保持桟53と内側枠48の保持桟57の間で薬剤含浸網46を挟む。
【0031】
薬剤含浸網46には防虫薬剤が含浸されている。ここで防虫薬剤とは殺虫剤と忌避剤との両方を含む概念である。本発明において防虫薬剤とは、常温で揮散性を有する有効成分を含有するものであり、該有効成分としてはピレスロイド系化合物、並びにその他の殺虫性化合物及び忌避性化合物を挙げることができる。
【0032】
ピレスロイド系化合物としては例えば、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル(1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(一般名:トランスフルスリン)、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル(1R)−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル(1R)−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル(1R)−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル(1R)−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(一般名:エンペントリン)、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートを挙げることができる。
【0033】
その他の殺虫性化合物及び忌避性化合物としては、例えば2,2−ジクロロビニルジメチルホスフェート等の有機リン化合物、N,N−ジエチル−m−トルアミド、カラン−3,4−ジオール等を挙げることができる。
【0034】
防除できる害虫の例としては、具体的には各種の有害昆虫を挙げることができ、特に有害飛翔性害虫、例えばアカイエカ、ネッタイイエカ、チカイエカ、コダカアカイエカ等のイエカ類、ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ、オオクロヤブカ等のヤブカ類、シナハマダラカ、コガタハマダラカ、ガンビアハマダラカ等のハマダラカ類、サシバエ類、ヌカカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、ヒメイエバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ブユ類、アブ類等の双翅目害虫、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等の膜翅目害虫が挙げられる。
【0035】
なお、薬剤含浸網46には、防虫薬剤と共に、常温で揮散性を有する有効成分を含有する芳香剤を保持させてもよい。芳香剤の含有量は任意であるが、芳香剤が有効に揮散し得る期間を防虫薬剤の有効成分が有効に揮散し得る期間に合わせると、芳香剤の芳香の強さを指標として防虫薬剤の有効成分の残量を確認することができる。
【0036】
なお本発明の薬剤保持部材は、上記した実施形態に限定されるものではなく、薬剤含浸網46に代わってハニカム構造や、線状、格子状構造を採用してもよい。さらに薬剤保持部材は、液溜部と芯を有して液溜部に溜められた薬液を毛細管現象によって吸い上げて空気と触れさせる構成や、薬剤を固形化してその表面から薬剤を昇華させるものであってもよい。
【0037】
送風機30の羽根部材32は、前記した様に回転軸を中心とする円周上に多数の小羽根38が配されたものであるため、空気は羽根部材32の中心側から吸い込まれ、周方向に排出される。本実施形態では、羽根部材32の下部に薬剤保持部材41が重なっているため、吸入の際に空気が薬剤保持部材41を通過する。
【0038】
また送風機30のハウジング31の上には発光ダイオード(発光部材)60が設けられている。発光ダイオード(発光部材)60の位置は、ケース部材2の中心に相当する。従ってケース部材2の最も高い位置の裏側の直近部に発光ダイオード60がある。
【0039】
またハウジング31の近傍にオルタネートスイッチ61が設けられている。オルタネートスイッチ61は頂部を下に向かって押圧することによってオンオフが切り替わるスイッチである。従ってオフ状態の時にオルタネートスイッチ61の頂部を押すとスイッチがオン状態となる。またオン状態の時に頂部を押すとオフになる。
オルタネートスイッチ61の頂部は、図4の様にケース部材2の可動蓋部5の裏面の近傍に位置している。従って可動蓋部5が降下すると、オルタネートスイッチ61が押圧される。
【0040】
次に本実施形態の薬剤拡散装置1の使用方法について説明する。
薬剤拡散装置1はケース部材2のベース部3を下にし、可動蓋部5を上にした状態で使用される。即ち薬剤拡散装置1のケース部材2は可動蓋部5側が盛り上がっているので、常識的な使用状態として、必然的にベース部3を下にし、可動蓋部5を上にした状態で設置される。
【0041】
そして薬剤拡散装置1を使用する際には、可動蓋部5を押す。ここで本実施形態の薬剤拡散装置1は、全体形状が偏平な三角形であり、中央が盛り上がった形状であるから、上面側の形状は手に沿い、押し心地がよい。
また手指によって可動蓋部5を押す場合には、可動蓋部5の天面部分を押圧することになるが、本実施形態の薬剤拡散装置1は、天面側に風が出入りする排出口や吸入口はない。そのため本実施形態の薬剤拡散装置1は、天面近傍に清潔感がある。
即ち天面近傍に排出用開口等がある場合は、排出用開口の周辺に薬剤が付着しているのではないかという不信感を使用者に与える。また天面近傍に吸入用開口がある場合は、埃が付いている場合が多い。これに対して本実施形態の薬剤拡散装置1は、天面側に排出用開口も吸入用開口も無いから、薬剤や埃が付着しているかの不信感を与えない。また本実施形態の薬剤拡散装置1は、天面部分が平滑であるから、雑巾等で拭きやすく、埃を拭いやすいのでより一層の清潔感がある。
そのため清潔癖のある使用者でも安心して天面部に触れて装置を起動することができ、布団の中から手を延ばして起動するのにも躊躇はない。
【0042】
可動蓋部5が押圧されると可動蓋部5の全体がガイド棒12に沿って降下する。その結果、可動蓋部5の裏面側がオルタネートスイッチ61を押圧し、スイッチ61がオン状態となる。また使用者が可動蓋部5の押圧をやめるとバネ15の力によって可動蓋部5は元の位置に復帰する。
【0043】
可動蓋部5の裏面側がオルタネートスイッチ61を押圧し、スイッチ61がオン状態となると、送風機30のモータ33と、発光ダイオード60に通電される。
モータ33に通電されて送風機30が回転すると、室内の空気がケース部材2の底面に設けられた吸入用開口11からケース部材2内に吸入される。ここで本実施形態の薬剤拡散装置1は、ケース部材2の底面に設けられた吸入用開口11から空気を吸い込むものであるが、ケース部材2の底面は緩やかに凹んでいて下部の中央部分に隙間(空隙)7ができ、さらにこの隙間7は四方に開放されているから吸気の際の抵抗は低い。
空気は、送風機30に吸い込まれる際に薬剤保持部材41と接し、当該空気に気化した薬剤が混合される。そして薬剤を含む空気がケース部材2の側面側に開口する排出用開口10から排出され、室内の害虫等が駆除される。
【0044】
薬剤拡散装置1の起動中は、発光ダイオード60が光り、図8の様に頂部の中心部6が幻想的に光る。即ち本実施形態では、発光ダイオード60はケース部材2の内部であって、頂部の壁の近傍で発光する。また頂部の壁は、光が乱反射するものであるから、発光ダイオードの光軸の中心部分が輝き、さらにその周辺が淡く光る。そのため幻想的な雰囲気となる。図8は、図1の薬剤拡散装置の駆動時の斜視図であり、内部で発光ダイオードが発光した時の様子を示す。
【0045】
薬剤拡散装置1を停止する場合には先と同様に可動蓋部5の天面部分を押圧し、可動蓋部5の全体を押し下げて内部のオルタネートスイッチ61を押圧する。
ここで薬剤拡散装置1を停止する前は、当然に薬剤拡散装置1が駆動しており、薬剤拡散装置1の周囲に空気の動きがあるが、使用者の手指に空気が触れることは少ない。即ち本実施形態では、前記した様に天面側に排出口も吸入口も無いから、天面側から手指を近接しても手指に風が当たることはない。
また排出用開口11は側面にあるから、通常の使用方法による場合は使用者の手指に空気が触れることは少ない。また布団の中から手を延ばすような場合を想定しても、使用者の手指に風が触れることは少ないと言える。即ち通常の使用者や、特に清潔癖の使用者は、薬剤を含む空気が触れることを嫌う。そのため布団の近傍に薬剤拡散装置1を置いて使用する場合は、通常、排出用開口11を外側に向けて設置する。そのため布団の中から手を延ばしても、排出用開口11は使用者に対して反対側を向いており、手指に風があたることはない。
【0046】
以上の説明は通常の使用方法であるが、本実施形態の薬剤拡散装置1はスリッパで踏みつけたり、箒や新聞紙で押圧する様な方法であってもオンオフすることができる。即ち本実施形態の薬剤拡散装置1は、可動蓋部5の全体がスイッチの押圧部として機能し、押圧可能面積が極めて広い。そのため箒や新聞紙で押圧する様な場合であっても押圧部を外すことがなく、確実にスイッチが機能する。
【0047】
以上説明した実施形態は、最も好ましい形状、構造について説明したが、デザインその他については任意であり、図9に示す様な形状でもよい。即ち図9は、本発明の他の実施形態の薬剤拡散装置の斜視図である。
図9に示す薬剤拡散装置70は、全体形状が高さの低い円柱状であり、側面に排出用開口71が設けられ、底に吸入用開口(図示せず)が設けられている。
また先の実施形態の様にケース部材の上側の全体が昇降してスイッチのオンオフがなされることが望ましいが、図9に示す薬剤拡散装置70の様に、一部の押圧部72を押圧することによってスイッチのオンオフがなされるものであってもよい。
即ち図1等に開示された薬剤拡散装置1は、ケース部材2の天面全体がスイッチの押圧部として機能しているが、天面部の一部だけが押圧部として機能するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態の薬剤拡散装置の斜視図である。
【図2】図1の薬剤拡散装置の正面図、左右側面図及び平面図である。
【図3】図1の薬剤拡散装置の底面図である。
【図4】図1の薬剤拡散装置の断面図であり、(a)は通常時における状態を示し、(b)はスイッチを操作した時の状態を示す。
【図5】図1の薬剤拡散装置の斜視図であり、可動蓋部を取り外した状態を示す。
【図6】(a)は、送風機の内部を上側から観察した斜視図であり、同(b)は、送風機の内部を下側から観察した斜視図である。
【図7】薬剤保持部材の分解斜視図である。
【図8】図1の薬剤拡散装置の駆動時の斜視図であり、内部で発光ダイオードが発光した時の様子を示す。
【図9】本発明の他の実施形態の薬剤拡散装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 薬剤拡散装置
2 ケース部材
3 ベース部
5 可動蓋部
7 隙間(空隙)
10 排出用開口
11 吸入用開口
12 ガイド棒
30 送風機
41 薬剤保持部材
60 発光ダイオード(発光部材)
61 オルタネートスイッチ
70 薬剤拡散装置
71 排出用開口
72 押圧部
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【出願日】 平成17年5月12日(2005.5.12)
【代理人】 【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆

【公開番号】 特開2006−314253(P2006−314253A)
【公開日】 平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願番号】 特願2005−140077(P2005−140077)