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【発明の名称】 魚釣用スピニングリール
【発明者】 【氏名】松橋 学
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内

【要約】 【課題】ロータの逆回転時に発生する振動に起因する諸問題を解決することができると共に、スプール往復動装置の耐久性、並びにロータ逆回転時におけるフリー性に優れた魚釣用スピニングリールを提供する。

【解決手段】ハンドル軸5の回転操作に応じて回転しスプール4に釣糸を案内する釣糸案内部3dを有するロータ3と、先端にスプール4が取り付けられたスプール軸12と、釣糸をスプール4に巻回するロータ正回転時にスプール軸12を前後往復動させる一方、釣糸をスプール4から引き出すロータ逆回転時にスプール軸12を前後往復動させないように動力伝達を行う一方向クラッチを有するスプール往復動装置13と、を備え、スプール往復動装置13は、スプール4の自重によるスプール軸12の不要な移動を規制する規制手段を備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル軸の回転操作に応じて回転しスプールに釣糸を案内する釣糸案内部を有するロータと、先端にスプールが取り付けられたスプール軸と、釣糸をスプールに巻回するロータ正回転時に前記スプール軸を前後往復動させる一方、釣糸をスプールから引き出すロータ逆回転時に前記スプール軸を前後往復動させないように動力伝達を行う一方向クラッチを有するスプール往復動装置と、を備え、前記スプール往復動装置は、スプールの自重による前記スプール軸の不要な移動を規制する規制手段を備えることを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】
前記スプール往復動装置は、ハンドル軸の回転操作に応じて回転しその周面に螺旋溝が形成されたウォームシャフトと、前記スプール軸の一端に固定され前記螺旋溝に係合する係合ピンを有する摺動子と、前記ハンドル軸の回転を前記ウォームシャフトに伝達するギヤと、を備え、前記一方向クラッチを前記ウォームシャフトと前記ギヤとの連結部分に配設することを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項3】
前記規制手段は、前記一方向クラッチによる動力伝達が許容される回転方向への前記ウォームシャフトの空回りを防止することで、スプールの自重による前記スプール軸の不要な移動を規制することを特徴とする請求項2に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項4】
前記規制手段は、前記ウォームシャフトと前記ギヤとの間にフリクションを発生させるフリクション発生部材で構成されることを特徴とする請求項3に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項5】
前記規制手段は、前記スプール軸の復動時の移動に用いられる前記螺旋溝の溝部の角度を、スプールの自重による前記スプール軸の移動に抗する角度とすることで、スプールの自重による前記スプール軸の不要な移動を規制することを特徴とする請求項3に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項6】
前記スプール往復動装置は、ハンドル軸の回転操作に応じて回転する駆動ギヤと、前記駆動ギヤにて駆動される従動ギヤと、前記従動ギヤと対向配置され係合突起を備えた制御体と、前記スプール軸の一端に固定され前記係合突起が係合する係合溝が形成された摺動子と、を備え、前記一方向クラッチを前記従動ギヤと前記制御体との間に配設することを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項7】
釣糸をスプールから引き出す前記ロータの回転に制動力を付与するロータ制動機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用スピニングリールに関し、特に、ハンドルの回転操作運動を、スプールの前後往復動に変換するスプール往復動装置をリール本体内に設けた魚釣用スピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、魚釣用スピニングリールは、ハンドルの回転操作で釣糸案内部を有するロータを回転させると共に、ハンドルの回転運動をリール本体内部に設けたスプール往復動装置により前後動方向に変換することで前後往復動するスプールに、ロータの釣糸案内部を介して釣糸が巻回される構成を有している。
【0003】
従来、このような魚釣用スピニングリールにおいて、リール本体に上方に向けて牽引可能に取り付けられた操作レバーの牽引操作や、リール本体の後部に設けた操作具の回転操作により、魚のヒットに伴う釣糸の繰り出しによって逆回転するロータに制動力を付与するロータ制動装置を備え、ロータの逆回転をフリーに行わせる一方、操作者の回転操作等により魚とのやり取りを可能とするものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【特許文献1】実公平1−20858号公報
【特許文献2】実公平1−39194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような魚釣用スピニングリールにおいては、ロータの逆回転に連動してスプールが高速で前後往復動することとなる。このため、この前後往復動に応じて発生する振動が、操作者に不快感を与えると共に、釣糸を介して魚に違和感を与えて魚を暴れさせ、魚を取り逃がしたり釣糸を切断したりする原因となり、また、リール本体のネジ締結部に伝わってネジの緩みの原因となるという問題がある。
【0005】
また、ロータの逆回転に連動してスプールが高速で前後往復動するので、スプール往復動装置における変換係合部(例えば、ウォームシャフトとピン係合部や、係合突起と係合溝)の磨耗や、前後往復動の方向転換時の抵抗発生によるロータ逆回転時のフリー性の劣化を引き起こす原因となるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に鑑みて為されたものであり、ロータの逆回転時に発生する振動に起因する諸問題を解決することができると共に、スプール往復動装置の耐久性、並びにロータ逆回転時におけるフリー性に優れた魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用スピニングリールは、ハンドル軸の回転操作に応じて回転しスプールに釣糸を案内する釣糸案内部を有するロータと、先端にスプールが取り付けられたスプール軸と、釣糸をスプールに巻回するロータ正回転時にスプール軸を前後往復動させる一方、釣糸をスプールから引き出すロータ逆回転時にスプール軸を前後往復動させないように動力伝達を行う一方向クラッチを有するスプール往復動装置と、を備え、前記スプール往復動装置は、スプールの自重による前記スプール軸の不要な移動を規制する規制手段を備えることを特徴とする。
【0008】
上記した構成の魚釣用スピニングリールによれば、スプール往復動装置が、釣糸をスプールから引き出すロータの回転時にスプール軸を前後往復動させないことから、スプールの前後往復動に応じて発生していた振動を防止することができるので、振動に伴う操作者における不快感を除去すると共に、魚へ与える影響を低減することを通じて釣果を向上させることが可能となる。
【0009】
また、釣糸をスプールから引き出すロータの回転時にスプール軸の前後往復動が防止されることから、スプール往復動装置の前後往復動に変換する部材の磨耗を回避することができるので、スプール往復動装置の耐久性に優れたリールを提供することができる。また、スプールの前後往復動の方向転換時の抵抗発生によりロータの逆回転時におけるフリー性が劣化する事態を回避することができるので、ロータ逆回転時におけるフリー性に優れたリールを提供することができる。
【0010】
さらに、スプール往復動装置が備える規制手段によりスプールの自重によるスプール軸の不要な移動が規制されることから、操作者の意図と無関係なスプールの自重による不要な移動を防止することができるので、スプールの巻回胴部における糸巻き状態が悪化する事態を防止することができ、魚釣用スピニングリールにおける操作性を向上することが可能となる。
【0011】
上記構成において、スプール往復動装置は、例えば、ハンドル軸の回転操作に応じて回転しその周面に螺旋溝が形成されたウォームシャフトと、スプール軸の一端に固定され螺旋溝に係合する係合ピンを有する摺動子と、ハンドル軸の回転をウォームシャフトに伝達するギヤと、を備え、一方向クラッチをウォームシャフトとギヤとの連結部分に配設することが考えられる。この場合には、ウォームシャフトを使用したスプール往復動装置を有する魚釣用スピニングリールにおいて上述の効果を得ることが可能となる。
【0012】
また、上記構成において、スプール往復動装置が備える規制手段は、一方向クラッチによる動力伝達が許容される回転方向へのウォームシャフトの空回りを防止することで、スプールの自重によるスプール軸の不要な移動を規制することが好ましい。この場合には、スプール往復動装置が備える規制手段により、ウォームシャフトの空回りが防止されることから、ウォームシャフトの不要な回転が制限されるので、操作者の意図と無関係なスプールの不要な下方移動を防止することが可能となる。
【0013】
特に、上記構成において、スプールの自重によるスプール軸の不要な移動を規制する規制手段を、ウォームシャフトとギヤとの間にフリクションを発生させるフリクション発生部材で構成することが考えられる。この場合には、ウォームシャフトとギヤとの間に配設した規制手段としてのフリクション発生部材により、ウォームシャフトの空回りが防止されることから、ウォームシャフトの不要な回転が制限されるので、操作者の意図と無関係なスプールの不要な下方移動を防止することができる。
【0014】
また、上記構成において、スプール往復動装置が備える規制手段は、スプール軸の復動時の移動に用いられる螺旋溝の溝部の角度を、スプールの自重によるスプール軸の移動に抗する角度とすることで、スプールの自重によるスプール軸の不要な移動を規制するようにしても良い。この場合には、ウォームシャフトにおけるスプール軸の復動時の移動用の螺旋溝の溝部の角度を、自重によるスプールの下方移動に抗する角度としたことにより、ウォームシャフトの空回りが防止されることから、ウォームシャフトの不要な回転が制限されるので、操作者の意図と無関係なスプールの不要な下方移動を防止することができる。
【0015】
上記構成において、スプール往復動装置は、例えば、ハンドル軸の回転操作に応じて回転する駆動ギヤと、駆動ギヤにて駆動される従動ギヤと、従動ギヤと対向配置され係合突起を備えた制御体と、スプール軸の一端に固定され係合突起が係合する係合溝が形成された摺動子と、を備え、一方向クラッチを従動ギヤと制御体との間に配設することが考えられる。この場合には、駆動ギヤ及び従動ギヤを使用したスプール往復動装置を有する魚釣用スピニングリールにおいて上述の効果を得ることが可能となる。
【0016】
さらに、上述の構成に加えて、釣糸をスプールから引き出すロータの回転に制動力を付与するロータ制動機構を備える場合には、ロータの逆回転時に発生していた振動が除去されるので、ロータ制動機構に対する操作に集中することが可能となり、魚とのやり取りをより一層楽しみながら魚釣りを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ロータの逆回転時に発生する振動に起因する諸問題を解決することができると共に、スプール往復動装置の耐久性、並びにロータ逆回転時におけるフリー性に優れた魚釣用スピニングリールが得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体的な構成を示している。
【0020】
図1に示すように、本発明に係る魚釣用スピニングリールのリール本体1には、釣竿に装着されるリール脚2が一体形成されており、その前方には回転可能に支持されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後動可能に支持されたスプール4が配設されている。
【0021】
ロータ3は、スプール4の周囲を回転する一対の腕部3aを備えており、各腕部3aの夫々の前端部には、ベール3bの基端部を取り付けたベール支持部材3cが釣糸巻取り位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されている。なお、ベール3bの一方の基端部は、ベール支持部材3cに一体的に設けられた釣糸案内部3dに取り付けられている。
【0022】
リール本体1内には、ハンドル軸5が回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル6が取り付けられている。また、ハンドル軸5には、巻取り駆動機構が係合しており、この巻取り駆動機構は、ハンドル軸5に一体回転可能に装着された駆動ギヤ(フェースギヤ)7と、この駆動ギヤ7に噛合すると共にハンドル軸5と直交する方向に延出し、内部に軸方向に延出する空洞部が形成されたピニオン8とを備えている。
【0023】
ピニオン8は、一対の前後に配置した軸受け9を介してリール本体1内に回転可能に支持されている。また、スプール4側に向けて延出しており、その先端部において、ロータ3が取り付けられている。ピニオン8には、その中間部分に一方向クラッチ10が取り付けられており、リール本体1の外部に設けられたレバー11を回動操作することで一方向クラッチ10を作動させ、ハンドル6(ロータ3)の釣糸繰出し方向の逆回転を防止する公知の逆転防止装置を構成するようになっている。
【0024】
ピニオン8の内部に形成された空洞部には、ハンドル軸5と直交する方向に延出し、先端側にスプール4を装着したスプール軸(メインシャフト)12が軸方向に移動可能に挿通されている。また、ピニオン8には、スプール4(スプール軸12)を前後往復動させるためのスプール往復動装置13が係合している。
【0025】
スプール往復動装置13は、リール本体1内に回転可能に支持され、スプール軸12と平行に延出するウォームシャフト14と、スプール軸12の基端部に抜け止め固定された摺動子15と、ウォームシャフト14の端部に取り付けられ、ピニオン8と噛合するギヤ16とを備えている。ウォームシャフト14とギヤ16との間には、ハンドル6の釣糸巻取り方向の回転における回転駆動力のみをウォームシャフト14に伝達すべく、後述する一方向クラッチ17が配設されている。
【0026】
摺動子15は、スプール軸12に対して、ビス等によって回り止め固定される本体15aを備えており、この本体15aにはウォームシャフト14の外周面に形成された螺旋溝14aと係合する係合ピン15bが保持されている。ウォームシャフト14が回転駆動されると、摺動子15は、係合ピン15bを介して前後方向に往復駆動される。
【0027】
このような構成を有する魚釣用スピニングリールにおいて、ハンドル6により巻取り操作を行うと、ロータ3が巻取り駆動機構を介して回転駆動されると共に、スプール4がスプール往復動装置13を介して前後往復動されるので、釣糸は、釣糸案内部3dを介してスプール4の巻回胴部4aに均等に巻回されるようになっている。
【0028】
次に、上記したスプール往復動装置13のギヤ16内に配設した一方向クラッチ17の構成及び作用について説明する。図2は、スプール往復動装置13のギヤ16周辺の拡大図であり、図3は、図2に示すA−A線に沿った断面図である。なお、以下の説明では、図2の左方側からみた状態で時計回り方向の回転を正転と呼び、反時計回り方向の回転を逆転と呼ぶものとする。
【0029】
操作者がハンドル6を釣糸巻取り方向に回転させると、これに応じて駆動ギヤ7が図2に示す矢印B方向に回転駆動し、ピニオン8を介してギヤ16は逆転駆動される。一方、魚による釣糸の繰り出しによりロータ3が逆転駆動されると、これに応じてピニオン8を介してギヤ16は正転駆動される。
【0030】
図3に示すように、一方向クラッチ17は、ギヤ16の内側に回り止めされた状態で収容される外輪21と、この外輪21とウォームギヤ14との間に配置される転がり部材22と、この転がり部材22に一定方向の付勢力を付与するバネ23と、このバネ23の付勢力による転がり部材22の移動を規制する保持部材24とから構成される。外輪21には、各転がり部材22の大きさに応じて楔領域とフリースペースが設けられ、ギヤ16の回転方向に応じて転がり部材22が両者間を移動するように構成されている。
【0031】
具体的には、釣糸巻取り操作に応じてギヤ16が逆転駆動(図3で反時計回り方向)されると、その駆動力は、一方向クラッチ17に伝達される。このとき、一方向クラッチ17の転がり部材22はバネ23の付勢力により楔領域に移行するため、ギヤ16の駆動力を一方向クラッチ17を介してウォームシャフト14に伝達する(なお、ウォームシャフト14は逆転駆動される)。一方、魚による釣糸の繰り出しに応じてギヤ16が正転駆動(図3で時計回り方向)されると、その駆動力は、一方向クラッチ17に伝達される。このとき、一方向クラッチ17の転がり部材22は、バネ23の付勢力に抗して外輪21のフリースペースに移行するため、ギヤ16の駆動力をウォームシャフト14に伝達することはない。
【0032】
このように、ピニオン8と噛合するギヤ16とウォームシャフト14との間に一方向クラッチ17を介在させ、釣糸をスプール4から引き出す方向のロータ3の逆転時における回転駆動力をウォームシャフト14に伝達しないようにしているので、魚により釣糸が繰り出された場合でもウォームシャフト14が回転することはない。このため、スプール4が前後往復動することもないので、従来、このスプール4の前後往復動に応じて発生していた振動を防止することが可能となる。この結果、この振動に起因して発生していた諸問題を全て解決することが可能となる。
【0033】
すなわち、スプール4の前後往復動に応じて発生していた振動による操作者における不快感を除去することができるので、快適なロータ3の逆転による釣糸の繰り出し操作を行うことが可能となる。また、当該振動により釣糸を介して魚に違和感を与えるのを防止することができるので、この違和感により魚を暴れさせ、魚を取り逃がしたり釣糸を切断したりする事態を回避することができる。この結果、魚への影響を極力小さくすることができるので、釣果を向上させることが可能となる。さらに、当該振動によりリール本体1に締結されたネジが緩む事態を回避することができるので、リール本体1のメンテナンス等に要するコストや時間を低減することが可能となる。
【0034】
また、ロータ3が逆回転した場合でもウォームシャフト14が回転しないため、スプール往復動装置13における螺旋溝14aと係合ピン15bとが、従来のようにスプール4の前後往復動に応じて磨耗する事態を回避することができるので、当該スプール往復動装置13の耐久性を向上させることが可能となる。さらに、ロータ3が逆回転した場合でもウォームシャフト14が回転しないため、スプール4の前後往復動の方向転換時の抵抗発生によりロータ3の逆回転時におけるフリー性が劣化する事態を回避することができるので、快適に釣糸の繰り出し操作を行うことが可能となる。
【0035】
また、実施の形態1に係る魚釣用スピニングリールにおいては、ウォームシャフト14とギヤ16との間に一方向クラッチ17を配設することで、釣糸の繰り出しによるロータ3の逆転時の回転方向へのウォームシャフト14の回転を防止する。しかし、ロータ3の正転時の回転方向へのウォームシャフト14の回転(反時計方向の回転)は規制されることがないため、例えば、釣竿を水平状態から引き起こした場合にスプール4の自重によりウォームシャフト14が当該回転方向に空回りし、スプール4が操作者の意図と無関係に移動する事態が発生し得る。
【0036】
図4は、釣竿を水平状態から引き起こした場合におけるスプール往復動装置13のギヤ16周辺の拡大図である。なお、図4においては、スプール4が上端側(図1に示す左端側)寄りの位置に配置された場合について示している。
【0037】
図4に示すように、釣竿を水平状態から引き起こした場合において、スプール4が上端側寄りの位置に配置されていると、自重によりスプール4が下方移動しようとするため、摺動子15の係合ピン15bに負荷がかかる。スプール4が下方移動しようとする場合、ロータ3は正転するようになっている。上記構成においては、ロータ3の正転時の回転方向へのウォームシャフト14の回転が規制されていない。このため、スプール4の自重による負荷がかかると、係合ピン15bが螺旋溝14aに沿って下降していき、ウォームシャフト14を、図4に示す矢印A方向(図4を上方から見た場合における反時計方向)に回転させる。この結果、スプール4が操作者の意図と無関係に下方移動する。
【0038】
このように操作者の意図と無関係にスプール4が移動する場合には、スプール4の巻回胴部4aにおける糸巻き状態が悪化するなど、魚釣用スピニングリールにおける操作面に悪影響を及ぼし得るため、可能な限り除去することが望ましい。このため、実施の形態1に係る魚釣用スピニングリールにおいては、スプール往復動装置13に、自重によるスプール4の不要な移動を規制する規制部材を備える。かかる規制部材を用いて上述のようなウォームシャフト14の空回りを防止することで、自重によるスプール4の下方移動を規制する。
【0039】
ウォームシャフト14の空回りを防止するためには、例えば、ウォームシャフト14とギヤ16との間に、規制部材として機能するフリクションを発生させる部材(以下、「フリクション発生部材」という)を配設しても良く、また、ウォームシャフト14の周面に形成される螺旋溝14aの角度を調整することでウォームシャフト14自体を規制部材として機能させても良い。以下、フリクション発生部材を配設した場合の例について説明した後、螺旋溝14aの角度を調整した場合の例について説明する。
【0040】
図5は、フリクション発生部材を配設した場合におけるスプール往復動装置13のギヤ16周辺の拡大図である。図5においては、ウォームシャフト14とギヤ16との間にフリクション発生部材としてOリング25(弾性ゴムリング)を取り付けた場合について示している。なお、フリクション発生部材は、ウォームシャフト14の空回りを防止するフリクションを発生させることができれば良く、Oリング25に限らず、リーフスプリングやコイルスプリングなどの部材で構成しても良い。
【0041】
このように、ウォームシャフト14とギヤ16との間にフリクション発生部材で構成される規制部材を配設し、ウォームシャフト14の空回りを防止するようにしたので、ウォームシャフト14の不要な回転を防止し、操作者の意図と無関係なスプール4の不要な下方移動を防止することができる。この結果、スプール4の巻回胴部4aにおける糸巻き状態が悪化する事態を未然に防止することができ、魚釣用スピニングリールにおける操作性を向上することが可能となる。
【0042】
一方、図6は、螺旋溝14aが形成される角度を調整した場合におけるウォームシャフト14の拡大図である。図6に示す螺旋溝14aにおいては、スプール4(スプール軸12)の往動時の移動(リール本体1の前方向(図1に示す左方向)側への移動)に用いられる往動用溝部141と、スプール4の復動時の移動(リール本体1の後方向(図1に示す右方向)側への移動)に用いられる復動用溝部142との間において、ウォームシャフト14に対する角度を変えている。なお、釣竿を引き起こした場合において、自重によりスプール4が移動する際には、これらの溝部のうち、係合ピン15bが復動用溝部142を通って下降することとなる。
【0043】
本実施形態においては、復動用溝部142における、ウォームシャフト14の延出方向と直交する方向に対する角度(以下、「復動用溝部142の角度」という)を、往動用溝部141における、ウォームシャフト14の延出方向と直交する方向に対する角度(以下、「往動用溝部141の角度」という)以下の大きさとしている。具体的には、復動用溝部142の角度を自重によるスプール4の下方移動に抗する角度とし、往動用溝部141の角度を復動用溝部142の角度以上の大きさとしている。
【0044】
復動用溝部142の角度は、スプール4がスムーズに復動することを前提として、自重によるスプール4の下方移動に抗することができれば、どのような値にしても良いが、例えば、8〜11度で構成される。一方、往動用溝部141の角度は、復動用溝部142と同様に、スプール4がスムーズに往動することを前提として、復動用溝部142の角度以上の大きさであれば、どのような値にしても良いが、例えば、16〜22度で構成される。
【0045】
なお、スプール4が自重で下方に移動しないように、復動用溝部142の角度が形成されていれば良く、往動用溝部141の角度を、例えば、復動用溝部142の角度(8〜11度)と同様に形成しても良い。
【0046】
このように、ウォームシャフト14の周面に形成される復動用溝部142の角度を、自重によるスプール4の下方移動に抗する角度としたので、ウォームシャフト14の不要な回転を防止し、操作者の意図と無関係なスプール4の不要な下方移動を防止することができる。この結果、スプール4の巻回胴部4aにおける糸巻き状態が悪化する事態を未然に防止することができ、魚釣用スピニングリールにおける操作性を向上することが可能となる。
【0047】
また、これらのような構成を維持しつつ、更なる優れた効果を得るために適宜、新たな部材をスプール往復動装置13に追加するようにしても良い。例えば、ウォームシャフト14における一方向クラッチ17の連結部分を補強する部材を追加するようにしても良い。
【0048】
すなわち、上記構成においては、ロータ3の逆転時の回転方向へのウォームシャフト14の回転を防止すべく、ウォームシャフト14とギヤ16との間に一方向クラッチ17を配設している。一方向クラッチ17との連結部分は、釣糸巻取り時の駆動力伝達の役目上、ある程度の強度が要求されるため、例えば、ウォームシャフト14をステンレス(SUS)や炭素工具鋼(SK)などの高強度の材料で構成する必要がある。しかし、このような材料でウォームシャフト14を構成した場合にはウォームシャフト14自体の重量が大幅に増加する事態が発生し得る。
【0049】
このようなウォームシャフト14の重量の増加を回避すべく、ウォームシャフト14における一方向クラッチ17の連結部分を補強する部材を追加することは、ウォームシャフト14の重量の増加を最小限に抑えつつ、一方向クラッチ17との連結部分の強度を得ることが可能となるため、実施の形態として好ましい。ウォームシャフト14における一方向クラッチ17の連結部分を補強するには、例えば、当該連結部分に高強度の補強部材を圧入することで実現することが可能である。
【0050】
図7は、ウォームシャフト14に高強度の補強部材を圧入した場合におけるスプール往復動装置13のギヤ16周辺の拡大図である。図7においては、ウォームシャフト14における一方向クラッチ17の連結部分に補強部材としてカラー26を圧入した場合について示している。このようなカラー26としては、例えば、ステンレス(SUS)や炭素工具鋼(SK)などの高強度の材料で設けることが好ましい。
【0051】
このように、ウォームシャフト14に高強度の補強部材を圧入し、一方向クラッチ17との連結部分を補強した場合には、ウォームシャフト14における当該連結部分以外の部分をアルミニウム(Al)やチタンなどの軽量の材料で構成することが可能となる。この結果、ウォームシャフト14の重量の増加を最小限に抑えつつ、一方向クラッチ17との連結部分の強度を得ることが可能となる。
【0052】
以上、本発明に係る魚釣用スピニングリールの実施系形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々変形することが可能である。上記した実施形態においては、ウォームシャフト14を使用したスプール往復動装置13について示しているが、例えば、組み付けられるスピニングリールの構成に応じて、スプール往復動装置13の構成については、適宜変形することが可能である。例えば、所謂ギヤオシレート方式のスプール往復動装置に適用することが可能である。
【0053】
以下、図8及び図9を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、これらの図において、図8は、第2の実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体的な構成を示す図であり、図9は、図8に示すA−A線に沿った断面図である。また、以下に説明する実施形態では、上記した第1の実施形態と同様な構成要素については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0054】
図8に示すリール本体1には、スプール4(スプール軸12)を前後動するスプール往復動装置30が組み込まれている。このスプール往復動装置30は、ハンドル軸5に一体回転可能に設けられた駆動ギヤ31(ハンドル軸5に一体形成されているのが好ましい)と、リール本体1に回転可能に支持され、駆動ギヤ31に噛合する従動ギヤ32とを有している。
【0055】
この従動ギヤ32に対向する位置に、リール本体1に回転可能に支持される制御体33が取り付けられている。制御体33には、中心より偏芯した端部表面に係合突起33aが形成されている。この係合突起33aは、スプール軸12の後端部にビス止めされた摺動子34に形成された係合溝35内に係合されている。この結果、ハンドル6の巻取り操作によって駆動ギヤ31を介して従動ギヤ32及び制御体33が回転駆動されると、係合突起33aは、所定の回転軌跡を移動しながら係合溝35内を案内され、これに伴ってスプール軸12(スプール4)を前後往復動に変換させる。
【0056】
図9に示すように、制御体33は、リール本体1から突出形成された突出軸1aに対して回転自在に取り付けられ、この突出軸1aが形成される壁面との間に従動ギヤ32を挟んだ状態で取り付けられている。突出軸1aに取り付けられた制御体33と従動ギヤ32の支持部との間には、後述する一方向クラッチ36が配設されている。この一方向クラッチ36は、実施の形態1に係る一方向クラッチ17と同様の構成を有し、ハンドル6の釣糸巻取り方向の回転における回転駆動力のみを制御体33に伝達するものであり、その詳細な説明は省略する。
【0057】
このような構成を有する魚釣用スピニングリールにおいて、ハンドル6により巻取り操作を行うと、ロータ3が巻取り駆動機構を介して回転駆動される共に、スプール4がスプール往復動装置30を介して前後往復動されるので、釣糸は、釣糸案内部3dを介してスプール4の巻回胴部4aに均等に巻回されるようになっている。
【0058】
次に、上記したスプール往復動装置30の一方向クラッチ36の作用について説明する。なお、以下の説明では、図8の手前側からみた状態(図9の左方側からみた状態)で時計回り方向の回転を正転と呼び、反時計回り方向の回転を逆転と呼ぶものとする。
【0059】
操作者がハンドル6を釣糸巻取り方向に回転させると、これに応じて駆動ギヤ31が逆転駆動される。駆動ギヤ31が逆転駆動されると、これに応じて従動ギヤ32が正転駆動され、その駆動力は、一方向クラッチ36に伝達される。このとき、一方向クラッチ36の転がり部材は楔領域に移行する構成を採るため、駆動力を制御体33に伝達する(なお、制御体33は正転駆動される)。制御体33が正転駆動されることで、係合突起33aが係合溝35内を所定の回転軌跡を移動しながら案内され、これに伴ってスプール軸12(スプール4)が前後往復動を行う。
【0060】
一方、魚による釣糸の繰り出しによりロータ3が釣糸繰出し方向に回転すると、ピニオン8を介して駆動ギヤ7及び駆動ギヤ31が正転駆動される。駆動ギヤ31が正転駆動されると、これに応じて従動ギヤ32が逆転駆動され、その駆動力は、一方向クラッチ36に伝達される。このとき、一方向クラッチ36の転がり部材は、フリースペースに移行する構成を採るため、駆動力を制御体33に伝達することはない。このため、係合突起33aが移動することもないため、スプール軸12(スプール4)が前後往復動を行うこともない。
【0061】
このように、制御体33に摺動子34に形成された係合溝35内に係合する係合突起33aを設けると共に、従動ギヤ32と制御体33との間に一方向クラッチ36を介在させ、ロータ3の逆転時における回転駆動力を制御体33に伝達しないようにしているので、魚により釣糸が繰り出された場合でも制御体33が回転することはない。このため、スプール4が前後往復動することもないので、従来、このスプール4の前後往復動に応じて発生していた振動を防止することが可能となる。この結果、従来、この振動に起因して発生していた諸問題を全て解決することができ、実施の形態1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0062】
なお、実施の形態2に係る魚釣用スピニングリールにおいても、釣竿を水平状態から引き起こした場合にスプール4の自重により制御体33の回転が許容されている回転方向に空回りし、スプール4が操作者の意図と無関係に移動する事態が発生し得る。この場合には、スプール4の巻回胴部4aにおける糸巻き状態が悪化するという問題が実施の形態1と同様に発生する。このため、実施の形態2に係る魚釣用スピニングリールにおいても、このような制御体33の空回りを防止することで、自重によるスプール4の下方移動を規制する。
【0063】
制御体33の空回りを防止する手法としては、どのような構成を採用しても良いが、例えば、図9に示すように、従動ギヤ32の側面と制御体33の側面とが対向する部分に形成される空間にフリクション発生部材(例えば、弾性Oリング37)を配設することが考えられる。なお、フリクション発生部材は、制御体33の空回りを防止するフリクションを発生させることができれば良く、弾性Oリング37に限らず、リーフスプリングやコイルスプリングなどの部材で構成しても良いのは実施の形態1と同様である。
【0064】
このように、従動ギヤ32の側面と制御体33の側面とが対向する部分に形成される空間にフリクション発生部材を配設し、制御体33の空回りを防止するようにしたので、制御体33の不要な回転を防止し、操作者の意図に無関係なスプール4の下方移動を防止することができる。この結果、スプール4の巻回胴部4aにおける糸巻き状態が悪化する事態を未然に防止することができ、魚釣用スピニングリールにおける操作性を向上することが可能となる。
【0065】
また、このような制御体33の空回りを防止するフリクション発生部材を維持しつつ、或いは、このフリクション発生部材の代わりに、自重によるスプール4の移動に伴う摺動子34の移動を規制する部材をスプール往復動装置30に追加するようにしても良い。
【0066】
摺動子34の移動を規制する部材としては、どのような部材を採用しても良いが、例えば、摺動子34を、スプール4の往動時の移動方向(リール本体1の前方向(図8に示す左方向))側に付勢する付勢部材を配設しても良く、また、リール本体1の筐体内部に傾斜面を設けておき、この傾斜面と一定領域で摺接する弾性部材を摺動子34の下端部に取り付けておいても良い。以下、付勢部材を配設した場合の例について説明した後、リール本体1の筐体内部に設けた傾斜面と摺接する弾性部材を摺動子34の下端部に取り付けた場合の例について説明する。
【0067】
図10は、付勢部材を配設した場合におけるスプール往復動装置30の周辺の要部断面図である。図10においては、摺動子34を案内するガイド38にコイルばね39を取り付けた場合について示している。なお、付勢部材の種別としては、コイルばね39に限定されるものではなく、その取り付け位置などを含めて適宜変更が可能である。コイルばね39は、スプール4の自重による下方移動に抗する付勢力を有している。
【0068】
なお、付勢力を作用させるコイルばね39は、スプール4の自重とスプール往復動装置30の動力伝達効率等を考慮して通常の釣糸巻取り操作に支障をきたさず、スプール4の自重による下方移動を規制できる程度のばね力を有するものが選定される。
【0069】
このように、摺動子34を、スプール4の往動時の移動方向側に付勢するコイルばね39を配設したので、自重によるスプール4の移動に伴う摺動子34の移動を防止し、操作者の意図と無関係なスプール4の下方移動を防止することができる。この結果、スプール4の巻回胴部4aにおける糸巻き状態が悪化する事態を未然に防止することができ、魚釣用スピニングリールにおける操作性を向上することが可能となる。
【0070】
図11は、リール本体1の筐体内部に設けた傾斜面と一定領域で摺接する弾性部材を摺動子34の下端部に取り付けた場合におけるスプール往復動装置30の周辺の要部断面図である。図11においては、リール本体1の筐体内部であって、摺動子34の下方領域に配置される部分に傾斜面40を設ける一方、この傾斜面40と対向配置され、当該傾斜面とリール本体1の前方側の一定領域で摺接する弾性部材41を摺動子34の下端部に取り付けた場合について示している。
【0071】
傾斜面40は、スプール4の往動時の移動方向(リール本体1の前方向(図8に示す左方向))側に向かって僅かにせり上がるように傾斜しており、摺動子34が一定位置よりもリール本体1の前方向側に移動すると、弾性部材41が摺接するようになっている。弾性部材41が傾斜面40と摺接すると、弾性部材41が有する弾性力により摺動子34の移動が規制される。これにより、釣竿を引き起こした場合において、スプール4が一定位置よりも上方側寄りの位置に配置された場合には、摺動子34がその位置で停止することとなる。
【0072】
なお、上記のように摺動子34の移動を規制する傾斜面40は、スプール4の自重とスプール往復動装置30の動力伝達効率等を考慮して通常の釣糸巻取り操作に支障をきたさず、スプール4の自重による下方移動を規制できる程度の傾斜角度が選定される。また、弾性部材41はスプール4の自重とスプール往復動装置30の動力伝達効率等を考慮して通常の釣糸巻取り操作に支障をきたさず、スプール4の自重による下方移動を規制できる程度の弾性力を有するものが選択される。
【0073】
なお、図11においては、弾性部材41が傾斜面40と摺接して摺動子34の移動が規制された状態におけるスプール往復動装置30と、弾性部材41と傾斜面40との摺接が解除され、摺動子34の移動が規制されていない状態におけるスプール往復動装置30とを示している。
【0074】
このように、摺動子34の下方領域に配置される筐体内部に傾斜面40を設け、この傾斜面40と一定領域で摺接する弾性部材41を摺動子34の下端部に取り付けたので、自重によるスプール4の移動に伴う摺動子34の移動を防止し、操作者の意図に無関係なスプール4の下方移動を防止することができる。この結果、スプール4の巻回胴部4aにおける糸巻き状態が悪化する事態を未然に防止することができ、魚釣用スピニングリールにおける操作性を向上することが可能となる。
【0075】
なお、以上の説明においては、一般的なオープンフェース型の魚釣用スピニングリールについて説明しているが、本発明は、ロータ3の逆転時にスプール4を前後往復動させないようにする必要があるリールであれば、クローズドフェース型のリールにも適用することが可能であり、上述した優れた効果を得ることが可能となる。
【0076】
特に、魚による釣糸の繰り出しに応じて逆回転するロータ3に制動力を付与するロータ制動装置を備え、意図的にロータ3の逆回転をフリーに行わせる一方、操作者のロータ制動装置に対する操作により魚とのやり取りを可能とする、上述した従来技術の特許文献1(実公平1−20858号公報)に開示された所謂レバーブレーキリールにおいては、上述した優れた効果に加え、更に顕著な効果を得ることが可能となる。
【0077】
すなわち、レバーブレーキリールにおいては、釣糸を繰り出す量は操作者のロータ制動装置に対する操作に依存することとなるが、本発明を適用することでロータ3の逆転時に発生していた振動が除去されるので、ロータ制動装置に対する操作に集中することが可能となり、魚とのやり取りをより一層楽しみながら魚釣りを行うことが可能となる。
【0078】
また、以上の説明において、スプール往復動装置13(30)に配設される一方向クラッチ17(36)は、上記構成に限定されることなく、他の構成を有する一方向クラッチを適用することが可能である。例えば、ラチェットと爪とを組み合わせて一方向クラッチを構成しても良いし、又、巻バネの締付力を利用して構成するようにしてもよい。このように変更した場合においても、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、ロータの逆回転時に発生する振動に起因する諸問題を解決することができると共に、スプール往復動装置の耐久性、並びにロータ逆回転時におけるフリー性に優れた魚釣用スピニングリールを提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体的な構成を示す図。
【図2】スプール往復動装置のギヤ周辺の拡大図。
【図3】図2に示すA−A線に沿った断面図。
【図4】釣竿を水平状態から引き起こした場合におけるスプール往復動装置のギヤ周辺の拡大図。
【図5】フリクション発生部材を追加した場合におけるスプール往復動装置のギヤ周辺の拡大図。
【図6】螺旋溝が形成される角度を調整した場合におけるウォームシャフトの拡大図。
【図7】ウォームシャフトに高強度の補強部材を圧入した場合におけるスプール往復動装置のギヤ周辺の拡大図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体的な構成を示す図。
【図9】図8に示すA−A線に沿った断面図。
【図10】付勢部材を配設した場合におけるスプール往復動装置周辺の要部断面図。
【図11】リール本体の筐体内部に設けた傾斜面と一定領域で摺接する弾性部材を摺動子の下端部に取り付けた場合におけるスプール往復動装置周辺の要部断面図。
【符号の説明】
【0081】
1 リール本体
3 ロータ
4 スプール
5 ハンドル軸
7 駆動ギヤ
12 スプール軸
13 スプール往復動装置
14 ウォームシャフト
14a 螺旋溝
141 往動用溝部
142 復動用溝部
15 摺動子
16 ギヤ
17 一方向クラッチ
25 フリクション発生部材(Oリング)
26 補強部材(カラー)
30 スプール往復動装置
31 駆動ギヤ
32 従動ギヤ
33 制御体
33a 係合突起
34 摺動子
35 係合溝
36 一方向クラッチ
39 コイルばね
40 傾斜面
41 弾性部材
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
【出願日】 平成17年6月9日(2005.6.9)
【代理人】 【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司

【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章

【識別番号】100101889
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 俊郎

【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義

【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅

【公開番号】 特開2006−340657(P2006−340657A)
【公開日】 平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願番号】 特願2005−169190(P2005−169190)