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【発明の名称】 ドジョウの養殖方法
【発明者】 【氏名】渡邊 芳之助
【住所又は居所】大分県佐伯市大字長良365−1 伯扇工業株式会社内

【氏名】日高 暁彦
【住所又は居所】大分県佐伯市大字長良365−1 伯扇工業株式会社内

【氏名】渡邊 洋彦
【住所又は居所】大分県佐伯市大字長良365−1 伯扇工業株式会社内

【要約】 【課題】安定した出荷量の確保しつつ、美味なドジョウを高密度で養殖することを可能とする、ドジョウの養殖方法を提供する。

【解決手段】ドジョウの卵を授精させるための授精ステップと、受精卵からドジョウの稚魚を孵化させる孵化ステップと、25±1℃の間に水温を保持して上記稚魚を生育させる稚魚生育ステップと、該稚魚生育のステップの後、22±1℃の間に水温を保持して幼魚を生育させる幼魚生育ステップとを含み、水槽中の使用水中に寄生虫を混入させないようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドジョウの卵を授精させるための授精ステップと、受精卵からドジョウの稚魚を孵化させる孵化ステップと、25±1℃の間に水温を保持して上記稚魚を生育させる稚魚生育ステップと、該稚魚生育のステップの後、22±1℃の間に水温を保持して幼魚を生育させる幼魚生育ステップとを含み、水槽中の使用水中に寄生虫を混入させないようにしたことを特徴とするドジョウの養殖方法。
【請求項2】
上記授精ステップで、成熟した雌ドジョウに胎盤性性腺刺激ホルモンを投与し、該雌ドジョウから取り出した卵に、成熟した雄ドジョウから取り出した精子を混合し、ドジョウの受精卵を得るようにしたことを特徴とする請求項1のドジョウの養殖方法。
【請求項3】
上記孵化ステップで、受精卵の投入前に予めワムシ及び/又はミジンコを発生させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2のドジョウの養殖方法。
【請求項4】
孵化ステップと、稚魚生育ステップと、幼魚生育ステップとについて、同一水槽を用い、該同一水槽内で継続してドジョウを養殖することを特徴とする請求項1〜3のいずれかのドジョウの養殖方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ドジョウの養殖方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドジョウ(泥鰌、鰌、英名 Oriental weatherfish 又は loach、学名 Misgurnus anguillicaudatus)は、コイ目 ドジョウ科の淡水魚である。ドジョウは、どじょう鍋、どじょう汁等として食され、食感も良く、たんぱく質源、カルシウム源として優れている。
旧来、ドジョウは、一般的な水路などで捕獲することができ、積極的な養殖が行われるのは稀であった。しかし、そのような水路における水質の悪化等の要因により、旧来の方法では需要に応えにくくなっている。
【0003】
そこで、例えば、休耕中の水田を利用した養殖が行われている。しかし、水田からドジョウが逃げてしまうこと、ドジョウは、冬季土の中に潜ってしまうため、出荷に合わせて捕獲量を確保することが困難なこと、サギ等の鳥類の食餌となってしまうこと等の問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、安定した出荷量の確保しつつ、美味なドジョウを高密度で養殖することを可能とする、ドジョウの養殖方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ドジョウの養殖方法であって、ドジョウの卵を授精させるための授精ステップと、受精卵からドジョウの稚魚を孵化させる孵化ステップと、25±1℃の間に水温を保持して上記稚魚を生育させる稚魚生育ステップと、該稚魚生育のステップの後、22±1℃の間に水温を保持して幼魚を生育させる幼魚生育ステップとを含み、水槽中の使用水中に寄生虫を混入させないようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るドジョウの養殖方法は、その好適な実施の形態において、上記授精ステップで、成熟した雌ドジョウに胎盤性性腺刺激ホルモンを投与し、該雌ドジョウから取り出した卵に、成熟した雄ドジョウから取り出した精子を混合し、ドジョウの受精卵を得るようにしている。
【0007】
またさらに、本発明に係るドジョウの養殖方法は、その好適な実施の形態において、上記孵化ステップで、受精卵の投入前に予めワムシ及び/又はミジンコを発生させるようにしている。
【0008】
上記孵化ステップと、稚魚生育ステップと、幼魚生育ステップとについて、各々、孵化水槽、養殖水槽といったように水槽を個別に用いることもできる。しかし、一般的には、同一水槽を用い、該同一水槽内で継続してドジョウを養殖する。
【0009】
なお、稚魚、幼魚、成魚の区別は、固体差もあり、必ずしも判然としない場合もある。しかし、各ステップは、以下のように区分けされる。
孵化ステップ: 孵化を主たる目的とするステップである。このステップでは、孵化直後の稚魚にワムシ及び/又はミジンコといった微生物を餌として与える。この孵化ステップで稚魚は、2mmから15mmにまで成長する。このステップは通常1週間程度で終了する。
稚魚生育ステップ: 微生物以外の養殖用の餌を与えながら、稚魚から幼魚に成長させるステップである。この稚魚生育ステップで稚魚は、30mm前後の幼魚に成長する。
幼魚生育ステップ: 同様に微生物以外の養殖用の餌を与えながら、稚魚生育ステップよりは低い温度で、ドジョウを幼魚から成魚に成長させるステップである。この幼魚生育ステップで幼魚は、10cmから15cmの成魚に成長し、出荷ができる状態となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定した出荷量の確保しつつ、美味なドジョウを高密度で養殖することを可能とする、ドジョウの養殖方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明に係るドジョウの養殖方法について、その実施の形態を、添付図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0012】
授精ステップ
本発明に係るドジョウの養殖方法では、まず、ドジョウの卵を人工的に授精させる。
受精卵は、雌ドジョウから採取した採取卵に雄ドジョウから採取した精子をかけ合わせることによって人工授精し、調製する。このように人工的に調製するのは、孵化ステップで、寄生虫が混入するのを避けるためである。一般的には、雌ドジョウの身体から取り出した卵と、雄ドジョウの身体から取り出した精子とを一般的なボール容器内で混合することによって受精卵を調製する。
寄生虫は、ギロダクチルス(Gyrodactylus)として知られている。
【0013】
上記のように人工授精する操作についてさらに説明を加える。
まず、人工授精に先立って、3〜4週間前から親ドジョウの水槽の水温を25±1℃まで上昇させる。なお、この水温が最適であるが、30℃未満の範囲で上昇させることもできる。これによって、親ドジョウの成熟を促進する。その親ドジョウのうち、卵を保持する雌ドジョウに胎盤性性腺刺激ホルモンを注射器により、個体ごとに注射する。投与量は、通常、30IL/体重(g)である。雌ドジョウに胎盤性性腺刺激ホルモンとしては、通常取り扱われているゴナトロピン3000(帝国農器製薬株式会社製)等を採用することができる。
【0014】
このような授精ステップを採用することによって、必要量の卵を確保し、かつ卵の成長を揃えて、一度に大量の採卵を行うことができる。
胎盤性性腺刺激ホルモン投与後、2〜3日後に十分に卵を持った雌ドジョウから卵を絞り出す。微量の麻酔薬で動きを鎮め、腹部を押さえて卵を取り出す。この操作では、雌ドジョウの身体は傷つかず、質の良い親ドジョウを長期間採用することができる。
【0015】
雄ドジョウからの精子は、精巣を直接取り出し、それを細かく裁断し、卵子と混ぜ合わせることができるようにする。
受精は、数分間で十分終了するので、前記したようにボール容器内でよく攪拌した後、水槽へ投下することにより次の孵化ステップに移行する。
【0016】
孵化ステップ
本発明に係るドジョウの養殖方法では、人工的に受精した受精卵を孵化水槽に投入し、該孵化水槽中でドジョウの稚魚を孵化させる。
なお、前記したように、孵化ステップと、稚魚生育ステップと、幼魚生育ステップとについて、各々、孵化水槽、養殖水槽といったように水槽を個別に用いることもできる。しかし、一般的には、同一水槽を用い、該同一水槽内で継続してドジョウを養殖する。本明細書の説明は、特にことわりのない限り、同一水槽のまま養殖を進める場合にも、また、ステップごとに水槽を変える場合にも適用される。
【0017】
すなわち、本発明に係るドジョウの養殖方法では、好適な実施の形態で、受精卵を図1の水槽1に投入する。この水槽1で使用する水は、一般的な水道水、地下水を用いることができるが、孵化ステップでは、地下水が最も好適である。水槽1での孵化ステップでは、特段使用水の補充、循環を行うことは不要である。すなわち、もっぱらエアレーションのみ行い、溶存酸素を通常の4.0〜7.0mg/リットルを少なくとも維持するようにする。本発明では、河川水は使用しない。寄生虫(ギロダクチルス)の混入を避けるためである。
【0018】
受精卵の投入に先立って、水槽1には、ワムシ及び/又はミジンコといった微生物を発生させておく必要がある。孵化した直後の稚魚は、未だ口が小さくこのような微生物でなければ餌として摂取することが困難なためである。稚魚が摂取できる微生物であればワムシ及び/又はミジンコに限定されるものではない。
【0019】
一般的には、受精卵投入前、36時間から48時間の間に、例えば、淡水ワムシの元種を水槽1の使用水10m3当たり10から30グラム、濃縮クロレラを水槽1の使用水10m3当たり2リットルから3リットル投入する。その他の成分は原則として投入しない。予定外の微生物の発生を極力制限するためである。
【0020】
孵化直後の稚魚に十分な餌を供給することが不可欠であり、本発明の孵化ステップでは、孵化直後の稚魚に餌として上記した微生物を供給する。
【0021】
なお、水槽1中の水素イオン濃度は、pH7.0が最適であるが、弱酸性に振れる範囲は許容される、溶存酸素は4.0〜7.0mg/リットル、アンモニア態窒素は0〜0.2mg/リットル、亜硝酸態窒素は0〜0.15mg/リットル、硝酸態窒素は10〜50mg/リットル、リン酸態リンは0.7〜5.0mg/リットルに設定されるのが好ましい。このようなパラメータを監視するためのモニター装置を設けることが好適である。
【0022】
もっとも、一般的な地下水、水道水を使用する場合には、必ずしも、モニター装置で監視する必要はない。上記した範囲に監視なしで収まることが一般的だからである。ただし、使用する水源によっては、以上のようなパラメータを監視する必要がある。
【0023】
水温は、25±1℃に保つ。最も好適には、25℃であるが、そのプラスマイナス1℃の許容範囲がある。図1の実施の形態では、水槽1に、保温手段として、保温パイプ2を設けている。この保温パイプ2中には、ボイラ(図示せず)からの加温水を流す。水温は、図示しない温度計等の温度センサーによって監視し、一定温度となるようにコントロールする。このようなコントロールの仕方は、後の幼魚生育ステップでも同様である。
【0024】
水槽1での孵化ステップは、通常1週間で終了する。この期間で、孵化した稚魚は、個体差があるが、2mmから15mmとなる。
【0025】
稚魚生育ステップ
孵化ステップの後、稚魚を生育させる稚魚生育ステップに移行する。
生育させるための水槽1には、供給口3から使用水(地下水、水道水)を供給し、排出口4から使用水を排出する。使用水は、水の懸濁状況、残餌を見ながら、供給・排出を行う。なお、前記した保温パイプ2による加熱と、使用水の供給による冷却のバランスを取ることによって水温を制御することができる。なお、このステップでも河川水は使用しない。寄生虫の混入を避けるためである。なお、排出口4は、図1に示すように地上から40cmから50cm離して設置し、かつ図1に示すように先端が水槽1の壁面から30〜40cm突出するようにする。
【0026】
水槽1中の水素イオン濃度は、pH7.0が最適であるが、弱酸性の範囲も許容される。溶存酸素は4.0〜7.0mg/リットル、アンモニア態窒素は0〜0.2mg/リットル、亜硝酸態窒素は0〜0.15mg/リットル、硝酸態窒素は10〜50mg/リットル、リン酸態リンは0.7〜5.0mg/リットルに設定されるのが好ましい。このようなパラメータを監視するためのモニター装置を設けることが好適である。また、ドジョウの成育には、適度のにごりも必要であり、水槽1の底が見えない程度ににごりを保つ。
【0027】
もっとも、地下水、水道水を前記したように供給・入れ替えによって使用する場合には、必ずしも、モニター装置で監視する必要はない。上記した範囲に監視なしで収まることが一般的だからである。ただし、使用する水源によっては、以上のようなパラメータを監視する必要がある。
なお、水槽1中の水を循環させる手段を設けることもできる。
なおまた、寄生虫の有無もチェックする必要がある。寄生虫の有無は、肉眼、顕微鏡を用いた視認で確認することができる。
【0028】
この稚魚生育ステップは、孵化ステップの後、通常25日から35日、通常30日経過するまでの期間行う。この間にドジョウは、30mm前後の幼魚に成長する。
水槽1では、25±1℃に水温を保持する。最も好適には、25℃であるが、許容される範囲は、そのプラスマイナス1℃である。水槽1中には、泥は一切投入しない。寄生虫の混入を防ぐためである。
【0029】
水槽1には、例えば、粒状の餌を投入する。稚魚による消費の状態を監視しながら、自動給餌器5から供給する。
天然のドジョウは、雑食性で、ユスリカの幼虫などを主に摂食する。本発明では、稚魚生育ステップで、アユ稚魚用の餌(クランブル:粒状の餌)、金魚のえさとして使用されているもの等を採用する。本発明者は、このような既存のえさで十分養殖できることを確認した。
稚魚の口の成育状態を見て粒状の餌の粒径を大きくする。粒径の小さいものほどコスト的負担が大きいためである。
【0030】
なお、ドジョウは、腸が短く、一度に大量の餌を消費することはできない。そこで、残餌を監視しながら、給餌量を調整する。一般的には、1時間ごとに自動給餌器5から終日散布する。
【0031】
また、水槽1には、エアレーションノズル6から空気又は酸素を注入し、溶存酸素等を前記した好適な範囲に保つ。
【0032】
水槽1には、遮光ネットを設けることが好適である。この遮光ネットによって、 可視光を遮光し、かつ上記した範囲ににごりを保つことによって、いわゆる背黒銀腹といった順調な生育を期待することができる。なお、ドジョウの養殖にあたって太陽光は不要であり、遮光ネットではなく代替する手段で遮光してもよい。
なお、このように遮光することで、水草、コケの発生を防ぐこともできる。
【0033】
幼魚生育ステップ
稚魚生育ステップの後、幼魚を生育させる幼魚生育ステップに移行する。
幼魚生育ステップで採用する水槽は、先行するステップで用いた水槽1を採用する。通常は、孵化ステップ、稚魚生育ステップの水槽中でそのまま幼魚成育ステップに移行する。
【0034】
水槽1には、稚魚生育ステップと同様の匹数を生育させる。水槽1には、供給口3から使用水(地下水、又は水道水)を供給し、排出口4から使用水(地下水、又は水道水)を排出する。使用水は、100リットル/日から2000リットル/日の割合で、水量が一定となるようにする。稚魚生育ステップについて説明したように、使用水は、水の懸濁状況、残餌を見ながら、供給・排出を行う。なお、前記した保温パイプ2による加熱と、使用水の供給による冷却のバランスを取ることによって水温を制御することができる。なお、水槽1では、河川水は使用しない。寄生虫の混入を避けるためである。
【0035】
水槽1中の水素イオン濃度は、pH7.0が最適であるが、弱酸性であれば許容される。溶存酸素は4.0〜7.0mg/リットル、アンモニア態窒素は0〜0.2mg/リットル、亜硝酸態窒素は0〜0.15mg/リットル、硝酸態窒素は10〜50mg/リットル、リン酸態リンは0.7〜5.0mg/リットルに設定されるのが好ましい。このようなパラメータを監視するためのモニター装置を設けることが好適である。
【0036】
もっとも、水道水を前記したように供給・入れ替えによって使用する場合には、必ずしも、モニター装置で監視する必要はない。上記した範囲に監視なしで収まることが一般的だからである。ただし、使用する水源によっては、以上のようなパラメータを監視する必要がある。
なお、水槽1中の水を循環させる手段を設けることもできる。
なおまた、寄生虫の有無もチェックする必要がある。寄生虫の有無は、肉眼、顕微鏡を用いた視認で確認することができる。
【0037】
この幼魚生育ステップは、稚魚生育ステップの終了後、3ケ月から4ケ月の期間行う。この間にドジョウは、10cmから15cmに成長する。
水槽1では、22±1℃の間に水温を保持する。最も好適には、22℃であるが、許容される範囲は、そのプラスマイナス1℃である。水槽1中には、泥は一切投入しない。寄生虫の混入を防ぐためである。
【0038】
水槽1には、例えば、粒状の餌を投入する。幼魚による消費の状態を監視しながら、自動給餌器5から供給する。
天然のドジョウは、雑食性で、ユスリカの幼虫などを主に摂食する。本発明では、幼魚生育ステップで、アユ稚魚用の餌(クランブル:粒状の餌)、金魚のえさとして使用されているもの等を採用する。本発明者は、このような既存のえさで十分養殖できることを確認した。
幼魚の口の成育状態を見て粒状の餌の粒径を大きくする。粒径の小さいものほどコスト的負担が大きいためである。
【0039】
なお、ドジョウは、腸が短く、一度に大量の餌を消費することはできない。そこで、残餌を監視しながら、給餌量を調整する。一般的には、1時間ごとに自動給餌器5から終日散布する。
【0040】
また、水槽1には、エアレーションノズル6から空気又は酸素を注入し、溶存酸素等を前記した好適な範囲に保つ。
【0041】
水槽1には、遮光ネットを設けることが好適である。この遮光ネットによって、 可視光を遮光し、かつ上記した範囲ににごりを保つことによって、いわゆる背黒銀腹といった順調な生育を期待することができる。なお、ドジョウの養殖にあたって太陽光は不要であり、遮光ネットではなく代替する手段で遮光してもよい。
なお、このように遮光することで、水草、コケの発生を防ぐこともできる。
【実施例1】
【0042】
4週間前から親ドジョウの水槽の水温を25℃まで上昇させた。これによって、親ドジョウを成熟させた。卵を保持した雌ドジョウ12匹に、胎盤性性腺刺激ホルモンとしてゴナトロピン3000(帝国農器製薬株式会社製)を注射器により、注射した。投与量は、30IL/体重(g)であった。
3日後に雌ドジョウから卵を絞り出した。微量の麻酔薬で動きを鎮め、腹部を押さえて卵を取り出した。
【0043】
雄ドジョウから、精巣を直接取り出し、それを細かく裁断し、卵子と混ぜ合わせることができるようにしたものを、卵と共に、ボール容器内でよく攪拌した。
【0044】
一方、受精卵調製の36時間前に、淡水ワムシの元種を水槽の使用水(地下水)10m3当たり30グラム、濃縮クロレラを水槽の使用水(地下水)10m3当たり3リットル投入した。これによって、ワムシを水槽中に十分発生させておいた。
【0045】
受精卵50gを2000リットルの地下水を貯えた上記水槽に投入した。
水温は、加温することによって25℃に保った。
【0046】
水槽での孵化ステップは、1週間で終了した。この期間で、孵化した稚魚は、 5から15mmとなった。
【0047】
孵化ステップの後、稚魚を生育させる稚魚生育ステップに移行した。寄生虫の有無を目視することによってチェックした。期間中寄生虫は、検出されなかった。
この稚魚生育ステップは、孵化後30日経過するまでの稚魚の期間行った。この間にドジョウは、30mm前後に成長した。
水槽では、水温を25℃の±1℃の範囲に保った。
【0048】
水槽には、クランブルをドジョウの生育状態を監視しながら投入した。
水槽には、遮光ネットを張った。
【0049】
稚魚生育ステップの後、幼魚を生育させる幼魚生育ステップに移行した。
稚魚生育ステップの水槽中でそのまま幼魚成育ステップに移行した。
【0050】
この幼魚生育ステップは、稚魚生育ステップの終了後、3ケ月の期間行った。水温条件を除き、稚魚生育ステップと同様の生育条件を保った。養殖水槽は、22℃の±1℃の範囲に保った。
この間にドジョウは、10cmから15cmに成長した。得られたドジョウは、背黒銀腹の順調な外貌を呈し、美味であった。収穫量は、400kgであった。
【産業上の利用分野】
【0051】
本発明に係るドジョウの養殖方法では、上記したように一切、薬、ワクチンを使用しておらず、食の安全性を大きく高めることができる。また、ドジョウの種を単一に保って生産でき、個別の河川、地域に生息するドジョウのうち最高品質のものに絞って養殖することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るドジョウの養殖方法で使用する水槽の一実施の形態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 水槽
2 保温パイプ
3 供給口
4 排出口
5 自動給餌器
6 エアレーションノズル
【出願人】 【識別番号】503286686
【氏名又は名称】伯扇工業株式会社
【住所又は居所】大分県佐伯市大字長良365−1
【出願日】 平成17年6月9日(2005.6.9)
【代理人】 【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一

【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一

【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男

【公開番号】 特開2006−340656(P2006−340656A)
【公開日】 平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願番号】 特願2005−169134(P2005−169134)