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【発明の名称】 スピニングリール
【発明者】 【氏名】北島 啓吾
【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内

【氏名】落合 浩士
【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内

【氏名】井上 豊
【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内

【要約】 【課題】スピニングリールにおいて、ロータの回転効率の低下をさらに抑える。

【解決手段】ピニオンギア12は、中間部12iと後部12fとが、それぞれ転がり軸受からなる第1支持部14a及び第2支持部14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。スプール軸15は、ピニオンギア12の内周部を貫通しており、筒状部12bの前部12aより前方及び筒状部12bの後部12fより後方のスプール軸15外周は、それぞれ第3支持部14c及び第4支持部14dによって回転自在に支持されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿に装着され、釣り糸を前方に繰り出し可能なスピニングリールであって、
前記釣竿に装着され、ハンドルを有するリール本体と、
前記リール本体に前後方向に沿って移動可能に装着されたスプール軸と、
前記スプール軸の前端に装着され、外周に前記釣り糸が巻き付けられるスプールと、
前記スプールの外周側に回転可能に設けられ、前記釣り糸を前記スプールに巻き付けるロータと、
前記リール本体に回転自在に支持され、前記ハンドルが回転不能に装着されたフェースギアと、
内周部に前記スプール軸が隙間をあけて貫通する筒状部と、前記筒状部の後部外周に設けられ前記フェースギアに噛み合う歯部と、前記筒状部の前部外周に設けられ前記ロータに回転不能に装着される装着部とを有するピニオンギアと、
前記ロータを前記装着部に固定するために前記筒状部の前端から装着されるナット部材と、
前記リール本体に装着され、前記筒状部の外周を回転自在に支持する第1支持部と、
前記リール本体に装着され、前記第1支持部より後方に配置され、前記筒状部の外周を回転自在に支持する第2支持部と、
前記リール本体に装着され、前記筒状部の前端部より前方の前記スプール軸外周を支持する第3支持部と、
前記筒状部の後端部より後方の前記スプール軸外周を支持する第4支持部と、
を備えたスピニングリール。
【請求項2】
前記第2支持部は、前端内周部が前記筒状部の後端部を支持する位置に配置され、
前記第4支持部は、前記第2支持部の後端内周部に装着されている、請求項1に記載のスピニングリール。
【請求項3】
前記第4支持部は、後端部が前記第2支持部の後端部より前側に位置するように配置されている、請求項2に記載のスピニングリール。
【請求項4】
前記第2支持部は、前記筒状部の前記歯部より前部を支持する位置に配置され、
前記第4支持部は、リール本体に装着されている、請求項1に記載のスピニングリール
【請求項5】
前記第1支持部及び前記第2支持部は、転がり軸受である、請求項1から4のいずれか1項に記載のスピニングリール。
【請求項6】
前記第4支持部は、滑り軸受である、請求項1から5のいずれか1項に記載のスピニングリール。
【請求項7】
前記第4支持部は、合成樹脂製の部材である、請求項6に記載のスピニングリール。
【請求項8】
前記スプール軸及び前記ピニオンギアは、ステンレス合金製の部材である、請求項1から7のいずれか1項に記載のスピニングリール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スピニングリール、特に、釣竿に装着され、釣り糸を前方に繰り出し可能なスピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
スピニングリールは、一般に、釣竿の軸方向に沿う軸回りに釣り糸を巻き取るリールである。スピニングリールは、ハンドルを有し釣竿に装着されるリール本体と、リール本体に前後移動自在に装着されたスプールと、スプールに釣り糸を案内するロータと、ハンドルの回転に連動してロータを回転させるロータ駆動機構とを備えている。
【0003】
このロータ駆動機構は、ハンドルに回転不能に装着されたフェースギアと、フェースギアに噛み合うピニオンギアとを有している。ピニオンギアは、リール本体の前後に沿って配置された真鍮製の筒状体であり、リール本体に回転自在に支持されている。
【0004】
ピニオンギアの外周後部には、フェースギアに噛み合う歯部が形成されている。また前部外周には、ロータを回転不能に装着するための装着部が形成されている。この装着部には、雄ねじ部が形成されており、この雄ねじ部にロータを固定するためのナット部材が装着されている。ピニオンギアの内周部には、スプールを先端に装着したスプール軸が貫通しており、スプール軸は、ピニオンギアの内周部に前後移動自在に支持されている。これにより、スプール軸は、ピニオンギアを介してリール本体に前後移動自在に装着される。また、スプール軸は、ステンレス合金製の部材であり、ピニオンギアの内周面の全長に接触して支持されている。
【0005】
このような構成のスピニングリールでは、スプール軸がピニオンギアの内周面の全長で支持されているので、スプールに大きな負荷が作用してスプール軸が撓んだ時に、ピニオンギアの内周部とスプール軸との接触圧力が増加してスプール軸とピニオンギアとの摩擦力が増加することがある。両者の摩擦力が増加するとピニオンギアが回りにくくなり、ロータの回転効率が低下し釣り糸の巻き上げ効率が低下する。
【0006】
そこで、このような不具合を解消するために、ピニオンギアの内周面とスプール軸との間に隙間をあけるとともに、ピニオンギアの前後部内周側でスプール軸を軸方向移動可能に支持するための1対の支持部を設けたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。このような構成にすることにより、スプール軸が撓んでもスプール軸とロータとの摩擦力が増加しにくくなり、このためロータの回転効率の低下を抑えることができる。
【特許文献1】特開平11−206287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来のスピニングリールでは、ピニオンギアの前後部内周側でスプール軸を支持するための1対の支持部を設けることにより、ピニオンギアの内周面とスプール軸との間に隙間が生成されているので、スプール軸が撓んでもスプール軸とピニオンギアとの摩擦力が増加しにくくなる。
【0008】
しかし、ピニオンギアの前後部内周側には1対の支持部が設けられているので、ピニオンギアの支持部とスプール軸の外周部とが接触するようになっている。ここでは、スプール軸が前後移動すると、ピニオンギアの支持部とスプール軸の外周部とが摺接するようになっているので、ピニオンギアの支持部とスプール軸の外周部との接触圧力が増加してスプール軸とピニオンギアとの摩擦力が増加するおそれがある。スプール軸とピニオンギアとの摩擦力が増加すると、ピニオンギアが回りにくくなり、このためロータの回転効率がさらに低下するおそれが生じる。
【0009】
本発明の課題は、スピニングリールにおいて、ロータの回転効率の低下をさらに抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明1に係るスピニングリールは、釣竿に装着され釣り糸を前方に繰り出し可能なスピニングリールであって、釣竿に装着されハンドルを有するリール本体と、リール本体に前後方向に沿って移動可能に装着されたスプール軸と、スプール軸の前端に装着され外周に釣り糸が巻き付けられるスプールと、スプールの外周側に回転可能に設けられ釣り糸をスプールに巻き付けるロータと、リール本体に回転自在に支持されハンドルが回転不能に装着されたフェースギアと、筒状部と歯部と装着部とを有するピニオンギアと、ロータを装着部に固定するために筒状部の前端から装着されるナット部材と、リール本体に装着され筒状部の外周を回転自在に支持する第1支持部と、リール本体に装着され第1支持部より後方に配置され、筒状部の外周を回転自在に支持する第2支持部と、リール本体に装着され筒状部の前端部より前方のスプール軸外周を支持する第3支持部と、筒状部の後端部より後方のスプール軸外周を支持する第4支持部とを備えている。筒状部は、内周部にスプール軸が隙間をあけて貫通する部材である。歯部は、筒状部の後部外周に設けられフェースギアに噛み合う部材である。装着部は、筒状部の前部外周に設けられロータが回転不能に装着される部材である。
【0011】
このスピニングリールでは、ピニオンギアの筒状部の前端部より前方及び筒状部の後端部より後方のスプール軸外周をそれぞれ支持する第3支持部及び第4支持部を設けることにより、ピニオンギアの内周部とスプール軸との間に全長にわたって隙間が生成される。したがって、ピニオンギアの内周部とスプール軸の外周部とが接触しなくなるので、スプール軸とピニオンギアとの摩擦力がさらに増加することがなくなり、このためロータの回転効率の低下をさらに抑えることができる。
【0012】
発明2に係るスピニングリールは、発明1のスピニングリールにおいて、第2支持部は、前端内周部が筒状部の後端部を支持する位置に配置されている。第4支持部は、第2支持部の後端内周部に装着されている。この場合、第2支持部は、筒状部の後端部と第4支持部とをともに支持しているので、スプール軸支持構造が簡素になる。
【0013】
発明3に係るスピニングリールは、発明2のスピニングリールにおいて、第4支持部は、後端部が第2支持部の後端部より前側に位置するように配置されている。この場合、第4支持部の後端部が第2支持部の後端部より前側に位置するように配置されているので、第4支持部を前方に配置することができ、このためスプール軸支持構造全体の前後長さを短くすることができる。したがって、スプール軸支持構造をコンパクトに配置できるので、リール全体の大型化を防止することができる。さらに、ここでは、第4支持部を前方に配置することができるので、特に、大径のフェースギアを使用する場合でも、第4支持部がフェースギアに干渉するのを防止することができる。
【0014】
発明4に係るスピニングリールは、発明1のスピニングリールにおいて、第2支持部は、筒状部の歯部より前部を支持する位置に配置されている。第4支持部は、リール本体に装着されている。この場合、第1支持部及び第2支持部が、筒状部の歯部より前部を支持する位置に配置されているので、ピニオンギア全体の前後長さを短くできるので、リール全体の大型化を防止できる。
【0015】
発明5に係るスピニングリールは、発明1から4のいずれかのスピニングリールにおいて、第1支持部及び第2支持部は、転がり軸受である。この場合、一般に、静摩擦係数が低い転がり軸受を用いることにより、比較的小さい力でピニオンギアを回転させやすくなる。
【0016】
発明6に係るスピニングリールは、発明1から5のいずれかのスピニングリールにおいて、第4支持部は、滑り軸受である。この場合、たとえば筒状のブッシュ部材等の汎用の滑り軸受を用いることにより、安価な構成で、スプール軸を支持することができる。
【0017】
発明7に係るスピニングリールは、発明6のスピニングリールにおいて、第4支持部は、合成樹脂製の部材である。この場合、合成樹脂製のブッシュ部材を用いることにより、金属製のブッシュ部材に比して、より安価な構成で形成できるとともに、耐食性を向上できる。
【0018】
発明8に係るスピニングリールは、発明1から7のいずれかのスピニングリールにおいて、スプール軸及びピニオンギアは、ステンレス合金製の部材である。この場合、ピニオンギアの内周部とスプール軸の外周部とが接触しなくなるので、従来のようにピニオンギアの内周部に支持部を設けたときにピニオンギアの内周部とスプール軸の外周部とが接触し焼き付きを起こすことがなくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スピニングリールにおいて、筒状部の前端部より前方及び筒状部の後端部より後方のスプール軸外周をそれぞれ支持する第3支持部及び第4支持部を設けることにより、ピニオンギアの内周部とスプール軸の外周部とが接触しなくなるので、スプール軸とピニオンギアとの摩擦力がさらに増加することがなくなり、このためロータの回転効率の低下をさらに抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、図1及び図2に示すように、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。なお、図1ではハンドル1がリール本体2の左側に、図2では右側に装着している。このように、ハンドル1はリール本体2の左右いずれにも装着可能である。
【0021】
ハンドル1は、T字状のハンドル把手1aと、先端にハンドル把手1aが回転自在に装着されたハンドルアーム1bとを有している。ハンドルアーム1bの基端部には、ハンドルアーム1bと交差する方向に延びて形成され、後述するハンドル軸10に回転不能に装着されるハンドル軸部1cをさらに有している。
【0022】
リール本体2は、内部に空間を有するリールボディ2aと、リールボディ2aの空間を塞ぐためにリールボディ2aに着脱自在に装着される蓋部材2bとを有している。
【0023】
リールボディ2aは、たとえばアルミニウム合金製であり、上部に前後に延びるT字形の竿取付脚2cが一体形成されている。図2に示すように、リールボディ2aの空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2a及び蓋部材2bの前端には、円形のフランジ部2dと、フランジ部2dより小径で先端が開口する円筒部2eとが形成されている。円筒部2eには、断面が円形状に切り欠かれた装着溝2fが形成されている。
【0024】
リールボディ2aの側部には、図2及び図3に示すように、後述するスプール軸15が貫通し、かつ後述する第2支持部14bを前方から収納可能な有底筒状の取付凹部2gが形成されている。取付凹部2gは、前部が開口し、後部中央にスプール軸15が貫通する貫通孔が形成された底部を有するボス部であって、リールボディ2aの側方に突出した部分をTスロットによる切削加工によって形成されている。また、リールボディ2a及び蓋部材2bの側部には、ハンドル軸10が挿通可能な図示しない円形の貫通孔がそれぞれ形成されている。リールボディ2a及び蓋部材2bの内側面の貫通孔の周囲には、ハンドル軸10を回転自在に支持する図示しない転がり軸受が収納可能な装着凹部2hがそれぞれ凹んで形成されている。ここでは、取付凹部2gは、Tスロットによる切削加工によって形成されているので、装着凹部2hは、側面から見て取付凹部2gの後端部の一部がオーバーラップする位置に配置することができる。このため、従来のように取付凹部2gの後端部の一部を切り欠く加工を施す必要がなくなるとともに、装着凹部2hを大径化できるのでハンドル軸10を支持する転がり軸受を大きくできるので、転がり軸受にかかる耐荷重を増加できる。
【0025】
蓋部材2bは、たとえばアルミニウム合金製の部材であり、たとえば3箇所でリールボディ2aにビス止めされている。
【0026】
ロータ3は、図2に示すように、ロータ本体16と、ロータ本体16の先端に糸開放姿勢と糸巻き取り姿勢とに揺動自在に装着されたベールアーム17と、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻き取り姿勢に戻すためにロータ本体16に装着されたベール反転機構18とを有している。
【0027】
ロータ本体16は、リールボディ2aにスプール軸15回りに回転自在に装着された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とを有している。円筒部30と第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とは、たとえばアルミニウム合金製であり、一体成形されている。
【0028】
円筒部30の前部には、前壁33が形成されており、前壁33の中央部には、ボス部33aが形成されている。ボス部33aの中心部には、貫通孔が形成されており、この貫通孔をピニオンギア12の前部12a及びスプール軸15が貫通している。前壁33の前部にロータ3の固定用のナット部材13が配置されている。
【0029】
第1ロータアーム31の先端の外周側には、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第2ロータアーム32の先端内周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。第1ベール支持部材40の先端には、釣り糸をスプール4に案内するためのラインローラ41と、ラインローラ41を挟んで第1ベール支持部材40に固定された固定軸カバー47とが装着されている。ラインローラ41は、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されている。固定軸カバー47は、先端が尖った変形円錐形状である。固定軸カバー47の先端部と第2ベール支持部材42との間には線材を略U字状に湾曲させた形状のベール43が固定されている。これらの第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42、ラインローラ41、ベール43及び固定軸カバー47により、釣り糸をスプール4に案内するベールアーム17が構成される。
【0030】
ベール反転機構18は、第1ロータアーム31の収納空間48内に配置されている。ベール反転機構18は、ベールアーム17を糸開放姿勢から糸巻き取り姿勢にロータ3の回転に連動して復帰させるとともに、両姿勢でその状態を保持するために設けられている。
【0031】
スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にドラグ機構60を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に一体で形成されたフランジ部4cとを有している。
【0032】
ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。
【0033】
ピニオンギア12は、ステンレス合金製の筒状部材であって、ピニオンギア12の前部12aはロータ3の中心部を貫通し、ナット部材13によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、図2及び図3に示すように、中間部12iと後部12fとが、それぞれ転がり軸受からなる第1支持部14a及び第2支持部14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。
【0034】
ピニオンギア12は、図3に示すように、釣竿の軸方向に沿う軸回りに回転自在にリール本体2に装着されており、ピニオンギア12の前部12aはロータ3の中心部を貫通し、ナット部材13によりロータ3に固定されている。ピニオンギア12は、内周部にスプール軸15が隙間12eをあけて貫通する筒状部12bと、筒状部12bの後部12f外周に設けられフェースギア11に噛み合う歯部12cと、筒状部12bの前部12a外周に設けられロータ3に回転不能に装着される装着部12dを有している。
【0035】
筒状部12bは、図3に示すように、ステンレス合金製の筒状の部材であり、中間部12iと後部12fとが、それぞれ第1支持部14a及び第2支持部14bを介してリール本体2に回転自在に支持されている。筒状部12bの内部には、スプール軸15が貫通しており、筒状部12bとスプール軸15との間には、隙間12eが生成されている。
【0036】
歯部12cは、図3に示すように、筒状部12bの中間部12iと後部12fとの間の外周にはす歯状に形成されており、フェースギア11に噛み合っている。歯部12cは、後述するオシレーティング機構6の中間ギア20にも噛み合っている。
【0037】
装着部12dは、図3に示すように、筒状部12bの前部12a外周に面取り形成された対向する平坦面からなる面取り部12hと、面取り部12hの前側に形成された雄ねじ部12gとにより構成され、ロータ3に回転不能に装着される。雄ねじ部12gは、装着部12dの前側外周面に形成されており、雄ねじ部12gにナット部材13が螺合する。ナット部材13は、図2及び図3に示すように、リテーナ13aにより回り止めされている。リテーナ13aは、ロータ3の前壁33に前方から装着される複数のねじ部材13bにより固定されている。
【0038】
第1支持部14a及び第2支持部14bは、図3に示すように、筒状部12bの中間部12iと後部12f外周に装着された転がり軸受である。第1支持部14aは、外輪が円筒部2eの内周部に装着され、内輪が筒状部12bの面取り部12h形成部分の後側に形成された中間部12iに装着されている。第2支持部14bは、有底筒状の取付凹部2gに前方から収納されており、外輪が取付凹部2gの内周部に装着され、内輪が歯部12cより後側の筒状部12bの後部12fに装着されている。
【0039】
第2支持部14bの外輪は、取付凹部2g内周部及び底部の一部のみに接触しており、第2支持部14bの内輪は、前側部分において筒状部12bの後部12f外周を支持し後側部分において後述するスプール軸15支持用の第4支持部14d外周を支持している。なお、第2支持部14bの内輪は、取付凹部2gの底部との間に僅かな隙間が生成されており、このため取付凹部2gの底部と接触しないようになっている。
【0040】
スプール軸15は、図2及び図3に示すように、ステンレス合金製の軸部材であり、前端部にはドラグ機構60を介してスプール4が連結され、後端部には後述するオシレーティング機構6のスライダ22が固定されている。スプール軸15は、ピニオンギア12の内周部を貫通しており、筒状部12bの前部12aより前方及び筒状部12bの後部12fより後方のスプール軸15外周は、それぞれ第3支持部14c及び第4支持部14dによって回転自在に支持されている。
【0041】
第3支持部14cは、図3に示すように、スプール軸15の外周に装着された転がり軸受である。第3支持部14cは、外輪がナット部材13の前端側内周部に装着され、内輪が筒状部12bの前部12aより前方のスプール軸15外周に装着されている。
【0042】
第4支持部14dは、図3に示すように、合成樹脂製の筒状部材であって、ブッシュ部材等の汎用の滑り軸受である。第4支持部14dは、外周が第2支持部14bの後端内周部に装着され、内周が筒状部12bの後部12fより後方のスプール軸15外周に装着されている。ここでは、第2支持部14bが、筒状部12bの後部12fと第4支持部14dとをともに支持しているので、スプール軸15の支持構造が簡素になる。また、第4支持部14dは、後端部が第2支持部14bの後端部より前側に位置するように配置されている。このため、第4支持部14dを前方に配置することができるので、スプール軸15の支持構造全体の前後長さを短くできる。
【0043】
オシレーティング機構6は、図2に示すように、スプール4の中心部にドラグ機構60を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、トラバースカム式のものであり、ピニオンギア12の歯部12cに噛み合う中間ギア20と、リールボディ2aにスプール軸15と平行な軸回りに回転自在に装着された螺軸21と、螺軸21の回転により前後移動するスライダ22とを有している。スライダ22にスプール軸15の後端部が回転不能かつ軸方向移動不能に取り付けられている。
【0044】
次に、リールの操作及び動作について詳細に説明する。
【0045】
キャスティング時には図示しない逆転防止機構によりロータ3を逆転禁止状態にして手でベールアームを持ってベールアーム17を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム17が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。
【0046】
この状態で釣竿を握る手の人差し指で釣り糸を引っ掛けながら釣竿をキャスティングする。すると釣り糸は仕掛けの重さにより勢いよく放出される。
【0047】
キャスティング後に、ベールアーム17を糸開放姿勢に維持したままの状態でハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻き取り方向に回転する。ロータ3が糸巻き取り方向に回転すると、ベールアーム17がベール反転機構18により糸巻き取り姿勢に復帰する。
【0048】
このようなスピニングリールでは、ピニオンギア12の筒状部12bの前部12aより前方及び筒状部12bの後部12fより後方のスプール軸15外周をそれぞれ支持する第3支持部14c及び第4支持部14dを設けることにより、ピニオンギア12の内周部とスプール軸15との間に全長にわたって隙間12eが生成される。したがって、ピニオンギア12の内周部とスプール軸15の外周部とが接触しなくなるので、スプール軸15とピニオンギア12との摩擦力がさらに増加することがなくなり、このためロータ3の回転効率の低下をさらに抑えることができる。
【0049】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、フロントドラグ式のスピニングリールを例に説明したが、リアドラグ式のスピニングリールやレバーブレーキ式のスピニングリール(図4及び図5参照)等の全ての形式のスピニングリールに本発明を適用できる。
【0050】
本発明の他の実施形態によるスピニングリールは、図4に示すように、ハンドル101を備えたリール本体102と、リール本体102の前部に回転自在に支持されたロータ103と、ロータ103の前部に配置された釣り糸を巻き取るスプール104とを備えている。
【0051】
リール本体102は、釣竿に装着される前後に長い装着部102cと、装着部102cと間隔を隔てて配置されたリールボディ102aと、装着部102cとリールボディ102aとを連結する脚部102bとを有している。リールボディ102aは、内部に機構装着空間を有し、脚部102bと一体形成され側部が開口する筐体部102fと、筐体部102fを塞ぐ図示しない蓋部材とを有している。リールボディ102aの前部には、取付フランジ付きの金属製の筒状の取付部材102eが装着されている。
【0052】
リールボディ102aの側部には、図4及び図5に示すように、後述するスプール軸115が貫通し、かつ後述する第4支持部114dを収納可能な筒状の取付凹部102gが形成されている。取付凹部102gは、リールボディ102aの側方に突出した部分をTスロットによる切削加工によって形成されている。また、リールボディ102a及び図示しない蓋部材の側部には、ハンドル軸110が挿通可能な図示しない円形の貫通孔がそれぞれ形成されている。リールボディ102a及び図示しない蓋部材の内側面の貫通孔の周囲には、ハンドル軸110を回転自在に支持する図示しない転がり軸受が収納可能な装着凹部102hがそれぞれ凹んで形成されている。ここでは、取付凹部102gは、Tスロットによる切削加工によって形成されているので、装着凹部102hは、側面から見て取付凹部102gの後端部の一部がオーバーラップする位置に配置することができる。このため、従来のように取付凹部102gの後端部の一部を切り欠く加工を施す必要がなくなるとともに、装着凹部102hを大径化できるのでハンドル軸110を支持する転がり軸受を大きくできるので、転がり軸受にかかる耐荷重を増加できる。
【0053】
リールボディ102aの内部には、ロータ103を回転させるためのロータ駆動機構105と、ロータ103の糸繰り出し方向の回転(逆転)を制動するためのレバーブレーキ機構107と、スプール軸115を介してスプール104を前後に往復移動させるオシレーティング機構106とが設けられている。
【0054】
ロータ103は、リール本体102に回転自在に支持されている。ロータ103は、円筒部130と、円筒部130の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム131及び第2ロータアーム132とを有している。円筒部130の前壁133の中央部には貫通孔を有するボス部133aが形成されている。この貫通孔に後述するスプール軸115及びピニオンギア112が貫通している。第1ロータアーム131の先端と第2ロータアーム132の先端部とには、揺動自在にベールアーム117が設けられている。このベールアーム117により釣り糸がスプール104に案内される。
【0055】
スプール104は、ロータ103の第1ロータアーム131と第2ロータアーム132との間に配置されており、スプール軸115の先端に着脱自在かつ回転不能に装着されている。
【0056】
スプール104は、筒状の糸巻胴部104aと、糸巻胴部104aの後端部に糸巻胴部104aより大径に形成された筒状のスカート部104bと、糸巻胴部104aの前部に前方に傾斜して形成されたフランジ部104cとを有している。
【0057】
ロータ駆動機構105は、ハンドル101が回転不能に固定されたハンドル軸110とともに回転するフェースギア111と、このフェースギア111に噛み合うピニオンギア112とを有している。
【0058】
ハンドル軸110は、リール本体102に回転自在に支持されている。ピニオンギア112は筒状に形成されており、ピニオンギア112の前部112aはロータ103の貫通孔を貫通してスプール104側に延びている。ピニオンギア112の前部112aで、ロータ103はナット部材113によりピニオンギア112に回転不能に固定されている。
【0059】
ピニオンギア112は、ステンレス合金製の筒状部材であって、ピニオンギア112の前部112aはロータ103の中心部を貫通し、ナット部材113によりロータ103と固定されている。ピニオンギア112は、図4及び図5に示すように、中間部112iの2箇所が、それぞれ転がり軸受からなる第1支持部114a及び第2支持部114bを介してリール本体102に回転自在に支持されている。
【0060】
ピニオンギア112は、図5に示すように、釣竿の軸方向に沿う軸回りに回転自在にリール本体102に装着されており、ピニオンギア112の前部112aはロータ103の中心部を貫通し、ナット部材113によりロータ103に固定されている。ピニオンギア112は、内周部にスプール軸115が隙間112eをあけて貫通する筒状部112bと、筒状部112bの後部112f外周に設けられフェースギア111に噛み合う歯部112cと、筒状部112bの前部112a外周に設けられロータ103に回転不能に装着される装着部112dを有している。
【0061】
筒状部112bは、図5に示すように、ステンレス合金製の筒状の部材であり、中間部112iの2箇所が、それぞれ第1支持部114a及び第2支持部114bを介してリール本体102に回転自在に支持されている。筒状部112bの内部には、スプール軸115が貫通しており、筒状部112bとスプール軸115との間には、隙間112eが生成されている。
【0062】
歯部112cは、図5に示すように、筒状部112bの中間部112iと後部112fとの間の外周にはす歯状に形成されており、フェースギア111に噛み合っている。歯部112cは、後述するオシレーティング機構106の中間ギア120にも噛み合っている。
【0063】
装着部112dは、図5に示すように、筒状部112bの前部112a外周に面取り形成された対向する平坦面からなる面取り部112hと、面取り部112hの前側に形成された雄ねじ部112gとにより構成され、ロータ103に回転不能に装着される。雄ねじ部112gは、装着部112dの前側外周面に形成されており、雄ねじ部112gにナット部材113が螺合する。ナット部材113は、図4及び図5に示すように、リテーナ113aにより回り止めされている。リテーナ113aは、ロータ103の前壁133に抜け止めばね113bにより係止されている。
【0064】
第1支持部114a及び第2支持部114bは、図5に示すように、筒状部112bの中間部112iの2箇所の外周に装着された転がり軸受である。第1支持部114a及び第2支持部114bは、外輪が取付部材102eの内周部に装着され、内輪が筒状部112bの面取り部112h形成部分の後側に形成された中間部112iに装着されている。ここでは、第1支持部114a及び第2支持部114bが、筒状部112bの歯部112cより前部の中間部112iを支持する位置に配置されているので、ピニオンギア112全体の前後長さを短くできる。
【0065】
スプール軸115は、図4及び図5に示すように、ステンレス合金製の軸部材であり、前端部にはドラグ機構160を介してスプール104が連結され、後端部には後述するオシレーティング機構106のスライダ122が固定されている。スプール軸115は、ピニオンギア112の内周部を貫通しており、筒状部112bの前部112aより前方及び筒状部112bの後部112fより後方のスプール軸115外周は、それぞれ第3支持部114c及び第4支持部114dによって回転自在に支持されている。
【0066】
第3支持部114cは、図5に示すように、スプール軸115の外周に装着された転がり軸受である。第3支持部114cは、外輪がナット部材113の前端側内周部に装着され、内輪が筒状部112bの前部112aより前方のスプール軸115外周に装着されている。
【0067】
第4支持部114dは、図5に示すように、合成樹脂製の筒状部材であって、ブッシュ部材等の汎用の滑り軸受である。第4支持部114dは、外周が取付凹部102gの内周部に装着され、内周が筒状部112bの後部112fより後方のスプール軸115外周に装着されている。
【0068】
オシレーティング機構106は、トラバースカム式のものであり、ピニオンギア112に噛み合う中間ギア120と、リールボディ102aにスプール軸115と平行な軸回りに回転自在に装着された螺軸121と、螺軸121の回転により前後移動するスライダ122とを有している。スライダ122にスプール軸115の後端部が回転不能かつ軸方向移動不能に取り付けられている。
【0069】
レバーブレーキ機構107は、制動部107aと、制動部107aの制動力を調整操作するための制動レバー107bと、制動レバー107bを装着部102cから離反する方向に付勢するコイルばね107cとを主に有している。
【0070】
次に、リールの操作及び動作について詳細に説明する。
【0071】
キャスティング時にはベールアーム117を糸開放姿勢側に倒し、キャスティングすることにより、スプール104の外周から釣り糸が繰り出される。糸巻き取り時には、ハンドル101を糸巻き取り方向に回転させると、ベールアーム117が図示しない戻し機構により糸巻き取り姿勢に戻る。ハンドル101の回転力は、ハンドル軸110、フェースギア111を介してピニオンギア112に伝達される。ピニオンギア112に伝達された回転力は、ピニオンギア112の前部112aを介してロータ103に伝達される。ピニオンギア112が回転すると、スプール軸115が前後方向に往復移動する。
【0072】
ロータ103を逆転させて魚とやりとりする時には、制動レバー107bをたとえば人差し指により装着部102c側に引き込み操作して制動力を調整する。
【0073】
このようなレバー式のスピニングリールでは、前記実施形態と同様に、ピニオンギア112の筒状部112bの前部112aより前方及び筒状部112bの後部112fより後方のスプール軸115外周をそれぞれ支持する第3支持部114c及び第4支持部114dを設けることにより、ピニオンギア112の内周部とスプール軸115との間に全長にわたって隙間112eが生成される。したがって、ピニオンギア112の内周部とスプール軸115の外周部とが接触しなくなるので、スプール軸115とピニオンギア112との摩擦力がさらに増加することがなくなり、このためロータ103の回転効率の低下をさらに抑えることができる。
【0074】
(b) 前記実施形態では、第3支持部14c、114cは、転がり軸受であったが、図6及び図7に示すように、滑り軸受であってもよい。また、第1支持部14a、114a、第2支持部14b、114b及び第4支持部14d、114dについても、転がり軸受又は滑り軸受のいずれかを任意の組み合わせで選択できる。また、滑り軸受は、合成樹脂製のブッシュ部材に限定されるものではなく、他の材質の部材であってもよい。
【0075】
(c) 図8に示すように、スプール軸115は、最後方へ移動させたとき後端部が第4支持部114dより前側に設けられた第1軸部115aと、第1軸部115aの後部に第1軸部115aより小径に形成され外周が第4支持部114dに支持される第2軸部115bとを有している構成にしてもよい。この場合、第4支持部114dとスプール軸115との摩擦力を減少させることができるので、スプール軸115の摺動効率の低下を抑えることができる。
【0076】
(d) 図9に示すように、歯部112cの前部に設けられた第2支持部114bの前部に、第1支持部114aを隣接して配置する構成にしてもよい。この場合、第1支持部114a及び第2支持部114bが、歯部112cの前部に隣接して配置されているので、リール全体の大型化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの左側面図。
【図2】前記スピニングリールの左側面断面図。
【図3】ピニオンギア周辺の側面断面拡大図。
【図4】他の実施形態の図2に相当する図。
【図5】他の実施形態の図3に相当する図。
【図6】他の実施形態の図3に相当する図。
【図7】他の実施形態の図5に相当する図。
【図8】他の実施形態の図5に相当する図。
【図9】他の実施形態の図5に相当する図。
【符号の説明】
【0078】
1 ハンドル
2 リール本体
2g 取付凹部
2h 装着凹部
3 ロータ
4 スプール
5 ロータ駆動機構
6 オシレーティング機構
10 ハンドル軸
11 フェースギア
12 ピニオンギア
12a 前部
12b 筒状部
12c 歯部
12d 装着部
12e 隙間
12f 後部
12g 雄ねじ部
12h 面取り部
12i 中間部
13 ナット部材
13a リテーナ
13b ねじ部材
13c 雌ねじ部
13d 装着凹部
14a 第1支持部
14b 第2支持部
14c 第3支持部
14d 第4支持部
15 スプール軸
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【住所又は居所】大阪府堺市堺区老松町3丁77番地
【出願日】 平成17年5月31日(2005.5.31)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男

【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣

【公開番号】 特開2006−333705(P2006−333705A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−158424(P2005−158424)