| 【発明の名称】 |
振出竿及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】恐田 欣幸
【氏名】谷川 尚太郎
【氏名】川下 剛生
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| 【要約】 |
【課題】固着現象が起こることを未然に回避でき、かつ、曲がりの滑らかさを確保できるとする良さを維持しながら、耐久性に優れた合わせ部を備える振出竿を提供する点にある。
【解決手段】大径竿体2に対して出退自在な小径竿体1の竿尻端部外周面に、大径竿体2から小径竿体1を引き出した状態で、大径竿体2の竿先側内周面2Aに圧接する合わせ部4を形成する。合わせ部4を、突起形成用塗料aで構成されている突起3と突起3に使用した突起形成用塗料aに比べて軟質の被覆用塗料bから構成されるとともに突起3を被覆している被覆体とで形成してある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大径竿体に対して出退自在な小径竿体の竿尻端部外周面に、前記大径竿体から前記小径竿体を引き出した状態で、前記大径竿体の竿先側内周面に圧接する合わせ部を形成し、前記合わせ部を、突起形成用塗料で構成されている突起と前記突起に使用した突起形成用塗料に比べて軟質の被覆用塗料から構成されるとともに前記突起を被覆している被覆体とで形成してある振出竿用の竿体。 【請求項2】 前記小径竿体の竿尻端部外周面の軸線方向の一部に大径の膨出部を形成するとともに、前記膨出部とその膨出部より竿先側の小径裾部分とに亘って前記合わせ部を形成し、前記膨出部と前記小径裾部分との少なくとも一方の小径裾部分に、前記被覆体で覆われた前記突起を形成している請求項1記載の振出竿用の竿体。 【請求項3】 大径竿体に対して出退自在な小径竿体の竿尻端部の外周面に、前記大径竿体から前記小径竿体を引き出した状態で、前記大径竿体の竿先側内周面に圧接する合わせ部を形成する振出竿用の竿体の製造方法であって、前記合わせ部を形成するに、複数の貫通孔を形成した第1マスキング材で前記合わせ部形成位置を覆うとともに、前記第1マスキング材の上から突起形成用塗料を施して突起を形成し、前記第1マスキング材を取り外すとともに、突起形成位置以外の部分を貫通孔のない第2マスキング材で覆い、前記突起形成部位に対して突起形成用塗料に比べて軟質の被覆用塗料を施して被覆させてある振出竿用の竿体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は大径竿体に対して出退自在な小径竿体の竿尻端部外周面に、前記大径竿体から前記小径竿体を引き出した状態で、前記大径竿体の竿先側内周面に圧接する合わせ部を形成してある振出竿及びその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 この種の振出竿において、合わせ部を構成するに、従来は、小径竿体の後端部に膨出部を形成し、この膨出部の外周面を凹凸のない平滑面に仕上げ、小径竿体を引き出した状態でこの膨出部を大径竿体の先端内周面に内嵌圧接させる構成を採っていた。 このように膨出部の外周面が大径竿体の先端内周面に全面に亘って圧接する形態を採る場合には、嵌合固定時のガタ付が少ない分、嵌合操作する際の操作感覚が良好であり、かつ、大径竿体の先端位置が、膨出部の先端より後方の中間位置に設定されていると、魚が針がかりして、竿が大きく湾曲する場合にも、その曲がりの状態がこの嵌合部位で節のように折れ曲がることなく、竿の屈曲線は滑らかに連続性をもってつながっていくので、負荷の分散が連続的で扱い易い面がある。しかし、膨出部が全面に亘って接触する構成を採っているので、その嵌合部位に水が付着した場合に、小径竿体と大径竿体とが固着した状態となる場合があり、その固着状態を解除できず小径竿体を大径竿体内に収納しにくいことが多々あった。又、小径竿体の出退時に大径竿体の先端内周面にゴミや砂等が付着した場合には、膨出部等が傷むだけでなく、この膨出部より先端側の外周面も膨出部と殆ど外径においては違いが少ないところから、先端側の外周面も傷むことがあった。 このような欠点を解消するものとして、本出願人らによって次ぎのような構成の合わせ部を有する技術が提案された。つまり、複数の貫通孔を形成したマスキング材で前記合わせ部形成位置を覆うとともに、前記マスキング材の上から突起形成用塗料を施して突起を形成して、合わせ部を構成していた(特許文献1参照)。 このような合わせ部を構成することによって、小径竿体の合わせ部が大径竿体の内周面に嵌合した際に、前記突起によって、その膨出部分は全面当たり状態とはならない。したがって、水が付着しても突起の間に水が逃げることによって、小径竿体と大径竿体との固着状態を招来することは少なくなっていた。又、ゴミ等が付着してもゴミが突起の間に入り込むので、そのゴミは膨出部と前記内周面との間に挟まることはなく、直接膨出部が傷つくことは少ない。又、突起自体が塗料材を使用するものであるから、多少の弾力性がありしかもそれが突起として形成してあるので、小径竿体の膨出部分が大径竿体の内周面に嵌合した際に、僅かではあるが突起の弾性変形が見込まれ、その為に、従来のように突起の先端径をミクロンオーダで精度高く製作しなくても、嵌合固定状態をしっかりしたものにできる。大径竿体の先端内周面に接触する突起を広い範囲に形成できるので、この突起による接触力は小さなものでも、全体としては安定した圧接力を発揮させるものにできる。 また、竿に大きな負荷がかかった場合にも、その突起を通して応力が分散されるので、竿の曲がりが一定の曲率を持った滑らかなものになり、破損等を起し難いものとなる。 【0003】 【特許文献1】特許2588351号(段落番号〔0003〕、〔0008〕図1,3) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記した合わせ部はこのような効果を備えた優れたものであるが、突起を塗料で固めて作ったものであるので、長期使用の間に圧接力の低下を起こすものが見られ、耐久性の面で問題があった。 【0005】 本発明の目的は、従来技術が持っている、固着現象が起こることを未然に回避でき、かつ、曲がりの滑らかさを確保できるとする良さを維持しながら、耐久性に優れた合わせ部を備える振出竿を提供する点にある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 〔構成〕 請求項1に係る発明の特徴構成は、大径竿体に対して出退自在な小径竿体の竿尻端部外周面に、前記大径竿体から前記小径竿体を引き出した状態で、前記大径竿体の竿先側内周面に圧接する合わせ部を形成し、前記合わせ部を、突起形成用塗料で構成されている突起と前記突起に使用した突起形成用塗料に比べて軟質の被覆用塗料から構成されるとともに前記突起を被覆している被覆体とで形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。 【0007】 〔作用〕 つまり、突起に被覆された被覆体は、突起を形成する突起形成用塗料よりも軟らかい塗料で形成されているので、相手側の大径竿体の先端部内周面に圧接した状態では、弾性変形力が大きく接触追従性が高く相手側からの反力を小さくできる。 しかも、突起自体は被覆体よりは硬度の高い塗料で構成されているので、保形性の高い確りしたものにでき、相手側接触面からの反力を受けても十分持ち応えるだけの強度を維持するものにできる。 【0008】 〔効果〕 その結果、嵌合状態でのガタツキを抑える構成を維持しながら、突起の形成により、水の付着による固着現象を未然に防止できるとともに、ゴミの付着による竿の傷つき等のトラブルを抑制できる。更に、突起にする点とその突起が塗料材からできている点との相乗効果によって、精度を比較的ゆるやかなものにしても嵌合状態を従来と同等にできるので、ゆるやかな分だけ製作等が容易になる。また、竿に大きな負荷がかかった場合にも、その突起を通して応力が分散されるので、竿の曲がりが一定の曲率を持った滑らかなものになり、破損等をおこし難いものとなる。 以上のような基本的な効果に加えて、軟質性塗料の被覆によって相手側面への接触追従性を高めることができるとともに、突起部分は硬質性塗料による保形性の高い確りした強度を維持するものにできる。このように、相手側面に直接接触する面には軟質性塗料を使用し、相手側面からの反力を受ける突起自体は硬質性塗料で構成することによる、塗料を使用しながら硬質軟質の使い分けによって、使い勝手の良い振出竿を提供できるに至った。 【0009】 請求項2に係る発明の特徴構成は、前記小径竿体の竿尻端部外周面の軸線方向の一部に大径の膨出部を形成するとともに、前記膨出部とその膨出部より竿先側の小径裾部分とに亘って前記合わせ部を形成し、前記膨出部と前記小径裾部分との少なくとも一方の小径裾部分に、前記被覆体で覆われた前記突起を形成している点にあり、その作用効果は次の通りである。 【0010】 〔作用〕 つまり、突起は裾部分と膨出部とに形成してあるものとでは実質的な高さがことなっているので、弾性変形度合いが裾部分に形成されている突起の方が大きく、両竿体が嵌合する際にはまず、裾部分の突起から相手側面に接触することになり、嵌合状態が後に成る程きつくなる、操作感覚の良好さもある。 【0011】 〔効果〕 その結果、嵌合固定力の設定が容易であり、かつ、嵌合操作感覚も良好である。 【0012】 本第3発明による特徴構成は、大径竿体に対して出退自在な小径竿体の竿尻端部の外周面に、前記大径竿体から前記小径竿体を引き出した状態で、前記大径竿体の竿先側内周面に圧接する合わせ部を形成する振出竿用の竿体の製造方法であって、前記合わせ部を形成するに、複数の貫通孔を形成した第1マスキング材で前記合わせ部形成位置を覆うとともに、前記第1マスキング材の上から突起形成用塗料を施して突起を形成し、前記第1マスキング材を取り外すとともに、突起形成位置以外の部分を貫通孔のない第2マスキング材で覆い、前記突起形成部位に対して突起形成用塗料に比べて軟質の被覆用塗料を施して被覆させてある点にあり、その作用効果は次の通りである。 【0013】 〔作用〕 つまり、成形終えた竿素材の合わせ部に第1マスキング部材を巻き付け、この上から塗装材を吹き付け、シゴキ等の塗装方法を用いて、塗装すると、貫通孔を通して塗装材が合わせ部の表面に付着し、突起を形成する。そして、第1マスキング部材を取り払うと突起が現出する。 次に、突起形成位置以外の部分を貫通孔のない第2マスキング材で覆い、前記突起形成部位に対して突起形成用塗料に比べて軟質の被覆用塗料を施すと、その軟質の被覆用塗料が突起を覆う。 【0014】 〔効果〕 その結果、被覆体を塗料で構成することによって、突起と同様に塗装工程で被覆体の形成を行うことができ、突起の形成工程が塗装工程と同時に行うことができる良さを被覆体の形成にも生かすことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 鮎竿等の振出竿に使用される合わせ部の構造について説明する。図1に示すように、小径竿体1の後端外周面に膨出部1Aを形成するとともに、この膨出部1Aの外径を大径竿体2の先端玉口の内周面2Aに圧接嵌合(竿素材の段階では塗装代を見込んで加工し、その竿素材に塗装を施した状態で圧接嵌合)するように形成し、小径竿体1を大径竿体2に対して出退自在で、かつ、引き出した状態で膨出部1Aが先端玉口の内周面2Aに圧接して、その状態を固定可能な振出竿を構成する。膨出部1Aの一部に、塗装材でなる複数の突起3を、外周面全面に亘って形成し、この突起3の先端が先端玉口の内周面2Aに圧接するようにしてある。突起3を含む膨出部1Aと先端玉口の内周面2Aとで合わせ部4を形成する。小径竿体1を引き出した状態で、大径竿体2の先端は膨出部1Aの軸線長内より小径側に突出しないようにしてある。 【0016】 次に、この合わせ部4の製造方法について説明する。 (1)別工程で形成した竿素材の後端外周面の膨出部に、研磨加工を施すが、竿素材自体は次のようにして製造する。つまり、炭素繊維を強化繊維として熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグを複数枚芯金に重巻きして円錐状の管状体を形成するとともに、その管状体の後端にプリプレグ製の補助パターンを巻き付けて、前記膨出部を形成し、竿素材となす。このようにして形成した竿素材をセンタレスの加工機で研磨加工を施す。膨出部については、別個のセンタレス加工機で研磨加工を行う。 (2)この研磨工程を終えた竿素材に対して、シゴキ塗装機によって下塗り塗装を行う。 (3)この下塗り塗装の後再度研磨加工を施して、下塗り塗装した表面にバフ研磨を行う。 【0017】 (4)次に、図3(ロ)に示すように、竿素材Aに本塗装を行うが、図3(イ)に示すように、膨出部については、第1マスキング部材として紙(樹脂)製の突起用マスキングテープ7をその膨出部に被せる。このマスキングテープ7に、複数個の貫通孔7Aを形成している。 (5)このようにマスキングテープ7を装着した状態で、図3(ロ)に示すように、吹き付けガン9で吹き付け塗装を行う。ここで、使用される塗料としては、硬質性の塗料aを使用する。代表的な材質としては、アクリル・ウレタン系の塗料であり、密着性が良好で施工後硬化した状態で所定の硬度を呈するものである。この硬質性の塗料aを突起形成用塗料と称する。この塗料aとしては、吹き付け塗装後硬化した状態で鉛筆芯硬度2H以上のものに相当する硬さを備えるものとする。ここでは吹き付け塗装を行ったが、シゴキ塗装で行ってもよい。 【0018】 (6)吹き付け塗装を行った後、マスキングテープ7を取りはがすと図3(ハ)に示すように、竿素材Aの膨出部に複数の突起3を形成することができる。 (7) 次ぎに、図3(ニ)に示すように、第2マスキング材としての第2マスキングテープ8を突起3の形成部位とは異なる位置に装着する。第2マスキングテープ8には第1マスキングテープ7のような貫通孔7Aは設けられてはいない。第2マスキング材としては紙(樹脂)等が使用される。 【0019】 (8) 図3(ホ)に示すように、第2マスキングテープ8を装着した状態で、突起3を形成した部位に吹き付けガン9で吹き付け塗装を行う。ここで、使用される塗料としては、軟質性の塗料bを使用する。この塗料bとしては、吹き付け塗装後硬化した状態で鉛筆芯硬度2H未満のものに相当する硬さを備えるものとする。代表的な材質としては、エラストマ系の塗料であり、密着性が良好で施工後硬化した状態で所定の硬度を呈するものである。図2に示すように、吹き付け塗装を行うと突起3とともに突起3の周辺部分にその塗料bを被覆することができる。ここに軟質性の塗料bを被覆用塗料と称し、この塗料bで被覆した後のものを被覆体と称する。ここでは吹き付け塗装を行ったが、シゴキ塗装で行ってもよい。 (9) 本塗装を行った後はクリアー等による仕上げ塗装を行うとともに、突起3に嵌合径を設定寸法にする仕上げを施し、竿体1,2を形成する。 【0020】 〔別実施例〕 (1)合わせ部4の構造としては次のようなものでもよい。図4に示すように、膨出部1Aを凹凸のない平滑外周面に形成するとともに、膨出部1Aよりも先端側で小径の裾部分1Bに突起3を複数個形成し、小径竿体1を引き出した状態で、大径竿体2の玉口内周面2Aに突起3と膨出部1Aの外周面を圧接嵌合するように構成してもよい。 (2) 合わせ部4の構造としては次のようなものでもよい。図5に示すように、膨出部1A外周面から裾部分1Bに掛けての全域に亘って複数個の突起3を形成し、大径竿体2の玉口内周面2Aにその突起3を圧接嵌合するように構成してもよい。 【図面の簡単な説明】 【0021】 【図1】合わせ部を示す縦断側面図 【図2】合わせ部の突起と被覆体とを示す縦断側面図 【図3】竿素材の膨出部に突起を形成する状態を示し、(イ)は仕上け加工後の竿素材に第1マスキング材を施す状態を示す斜視図、(ロ)は硬質材の塗料を吹き付ける状態を示す斜視図、(ハ)は吹き付け後に突起が形成された状態を示す斜視図、(ニ)は第2マスキング材を施す状態を示す斜視図、(ホ)は軟質材の塗料を吹きつける状態を示す斜視図、(へ)は吹き付け後の状態を示す斜視図 【図4】突起と被覆体とを裾部分に形成した状態を示す縦断側面図 【図5】突起と被覆体とを裾部分から膨出部に掛けて形成した状態を示す縦断側面図 【符号の説明】 【0022】 1 小径竿体 2 大径竿体 3 突起 4 合わせ部 7 第1マスキング材 7A 貫通孔 8 第2マスキング材
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002439 【氏名又は名称】株式会社シマノ
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| 【出願日】 |
平成17年4月1日(2005.4.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2006−280302(P2006−280302A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月19日(2006.10.19) |
| 【出願番号】 |
特願2005−106394(P2005−106394) |
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