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【発明の名称】 水位低下追い込み式定置網
【発明者】 【氏名】浅見 和弘
【住所又は居所】東京都千代田区九段北4丁目2番6号 応用地質株式会社内

【氏名】齋藤 大
【住所又は居所】東京都千代田区九段北4丁目2番6号 応用地質株式会社内

【氏名】入沢 賢一
【住所又は居所】新潟県新潟市入船町一丁目3663番地 株式会社イリサワ内

【要約】 【課題】定置網の設置環境(特に水底の状態)の如何に関わらず、捕獲対象としている水際部にいる魚類を殆ど逃散させることなく一網打尽に捕獲でき、それによって正確な魚類相の調査や外来魚の効果的な駆除が行えるようにする。

【解決手段】両側が岸に至るように捕獲対象としている水際部を包囲し、水位の低下を利用して、包囲した定置網内の魚類を袋網に追い込み捕獲する方式の定置網である。袋網と袖網を組み合わせ、袖網は、その下縁から網で包囲した水域の内側に向けて補助網を立ち上げることにより袋状の底部を形成する。あるいは袖網の下縁及びその近傍に間隔をおいて複数連となるように重りを設け、幅を持った面で袖網の下縁部が水底に接する構造でもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋網の両側に、下縁が水底に位置するように重りを設けると共に上縁が水面以上に突出するようにフロートを設けた袖網を配置することによって定置網ユニットを構成し、該定置網ユニットを複数、直接もしくは別の袖網を介して連結することで長さを自由に調整可能とし、両側が岸に至るように捕獲対象としている水際部を包囲し、水位の低下を利用して、包囲した定置網内の魚類を袋網に追い込み捕獲する方式の定置網において、
前記袖網の下縁から網で包囲した水域の内側に向けて補助網を立ち上げることにより袋状の底部を形成したことを特徴とする水位低下追い込み式定置網。
【請求項2】
袋網の両側に、下縁が水底に位置するように重りを設けると共に上縁が水面以上に突出するようにフロートを設けた袖網を配置することによって定置網ユニットを構成し、該定置網ユニットを複数、直接もしくは別の袖網を介して連結することで長さを自由に調整可能とし、両側が岸に至るように捕獲対象としている水際部を包囲し、水位の低下を利用して、包囲した定置網内の魚類を袋網に追い込み捕獲する方式の定置網において、
前記袖網の下縁及びその近傍に間隔をおいて複数連となるように重りを設け、幅を持った面で袖網の下縁部が水底に接するようにしたことを特徴とする水位低下追い込み式定置網。
【請求項3】
袋網の開口部を塞ぐことが可能な侵入防止網を、前記袋網の開口部に設置・除去可能とし、袋網内への魚類の侵入開始時期を制御可能とした請求項1又は2記載の水位低下追い込み式定置網。
【請求項4】
袖網の両側及び袋網の両側を着脱可能な結合構造として、長さ及び袋網の設置個数を自由に調整可能とした請求項1乃至3のいずれかに記載の水位低下追い込み式定置網。
【請求項5】
袖網の上縁部は、フロートごと網で囲った構造をなしている請求項1乃至4のいずれかに記載の水位低下追い込み式定置網。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の水位低下追い込み式定置網を、複数段、間隔をあけて浅い位置と深い位置に設置して、捕獲する魚類の量を分散させる魚類の捕獲方法。
【請求項7】
浅い位置の網目は粗く、深い位置の網目は細かくする請求項6記載の魚類の捕獲方法。
【請求項8】
網で包囲した水域の内側の水が流入する部分に、スクリーンもしくは土嚢を配置することにより、流入土砂を低減する請求項6又は7記載の魚類の捕獲方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、湖沼などの水位低下を利用して、捕獲対象としている水際部内の魚類のほぼ全てを捕獲可能とした水位低下追い込み式定置網、及びその水位低下追い込み式定置網の使用による魚類の捕獲方法に関するものである。この技術は、特に限定されるものではないが、湖沼や貯水池などにおける魚類相の把握、及びオオクチバスやブルーギルなどの侵略的外来魚の駆除に有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、野生生物の保護管理における重点課題として、移入種(外来種)問題への対応が求められている。この移入種問題の中で最も注目を集めているのはオオクチバス(通称ブラックバス)をはじめとする外来魚対策である。特に、オオクチバスとブルーギルは捕食や餌の競合などを通じて在来の固有種ならびに有用生物資源に深刻な影響を及ぼし、生態系に大きな影響を与えることが懸念されている。
【0003】
在来種や生態系の保全を重視する観点から、このような影響を与える侵略的(在来の魚を補食する)外来種を抑制する必要性が指摘されている。オオクチバスなどの駆除方法としては、まず捕獲が考えられる。湖沼や貯水池などに生息している魚類の捕獲には、様々な構造の魚網・漁具が使用されている。魚網の代表的な例としては、定置網、刺網、地曳網、投網などがあり、定置網に関しても、例えば特許文献1−3など様々な構造が提案されている。ただし、これら従来の漁網は、専ら食用資源などのために魚を捕獲することを目的としている。
【0004】
湖沼などにおける魚類の実態を把握するため、更には在来種や生態系の保全を図るためには、まず、その湖沼内における魚類相を極力定量的に把握することが必要である。ところが、前記のような従来の漁具や漁法では、漁獲の目的が異なること、漁獲範囲に限りがあることなどにより、魚類相を定量的に把握することは困難である。また、在来種や生態系の保全には、オオクチバスやブルーギルなどの侵略的外来魚の様々なサイズの個体を効率よく捕獲し、駆除することが極めて重要であるが、従来の漁具や漁法では、これらの侵略的外来魚を効率よく捕獲することは困難であり、目立った成果は得られていない。
【0005】
捕獲以外による駆除方法としては、産卵床の破壊や産卵場の干出などがある。しかし、実際には底に溜まった泥などにより水が抜けなかったりするため、良好な結果が得られないことが多い。また、そのような産卵床の破壊や干出は、他の魚種(在来種)の生態系に悪影響を与える恐れが大きい。
【0006】
このような問題を解決できる技術として、本発明者等は先に捕獲対象としている水際部をほぼ完全に包囲する構造の定置網を用い、水位低下を利用して、包囲した定置網内の魚類を全て捕獲可能とした魚類の捕獲方法、及びその方法に好適な定置網を提案した(特願2004−45191参照)。その例を図1に示す。Aは上から見た状態、Bは横から見た状態を示している。止水域もしくは緩流域の水際に沿って、捕獲対象としている水際部を完全に包囲するように定置網10を設置する。定置網10は、上下方向が水面以上の高さから水底にまで達し且つ両側が湖岸12に至るように水際部を完全に包囲するように構成する。この定置網10は、袋網14と、その両側に連続する袖網16とによって定置網ユニット18を構成し、該定置網ユニット18を複数、直接もしくは袖網を介して連結することで長さを自由に変えることができるようにしている。ここで袖網16は、下縁が水底に位置するように重り20を設けると共に上縁が水面もしくは水面を超えるようにフロート22を設けた構造である。そして、このような定置網10を設置した後、ダム放流などによる水位の低下を利用して、包囲した定置網内の魚類を全て袋網14内に追い込み捕獲する。袋網14を船上に引き上げて開き、魚種相の調査を行い、必要に応じて侵略的外来魚を捕獲し、在来魚は再放流する。
【0007】
この定置網10は、水際部において、例えば水深5m程度の位置に張り巡らす。このような定置網を用いて浅瀬に生息する魚類の捕獲を行ったところ、次のような良好な結果が得られた。即ち、
(1)稚魚から成魚まで、様々なサイズの、より数多くの魚類の捕獲が可能であり、溜め池やダム湖などにおけるより正確な魚種相の把握が可能である。
(2)従来の刺し網や投網などに比べて、捕獲時における魚類への損傷が少ない。
(3)多くの魚類を大量に損傷少なく捕獲できるので、在来魚を再放流し、ブルーギルやオオクチバスなどの外来魚を選択的に駆除することが可能である。
などの効果が得られた。しかし、実際に様々な環境下で捕獲作業を試みた結果、定置網で包囲されている水域から逃れ出る魚類も認められた。水底が砂地で平坦な場合には魚類が定置網から逃れ出ることは殆ど無かったが、特に水底に岩や大きな石、あるいは木の根などが散在する場合に、網と水底との間に隙間が生じ、魚類の逃散が比較的多く見受けられた。
【特許文献1】実開平5−67253号公報
【特許文献2】実開平5−74260号公報
【特許文献3】特開平7−203807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、定置網の設置環境(特に水底の状態)の如何に関わらず、捕獲対象としている水際部にいる魚類を殆ど逃散させることなく一網打尽に捕獲でき、それによって正確な魚類相の調査や外来魚の効果的な駆除が行えるようにする点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、袋網の両側に、下縁が水底に位置するように重りを設けると共に上縁が水面以上に突出するようにフロートを設けた袖網を配置することによって定置網ユニットを構成し、該定置網ユニットを複数、直接もしくは別の袖網を介して連結することで長さを自由に調整可能とし、両側が岸に至るように捕獲対象としている水際部を完全に包囲し、水位の低下を利用して、包囲した定置網内の魚類を袋網に追い込み捕獲可能する方式の定置網において、前記袖網の下縁から包囲した水域の内側に向けて補助網を立ち上げることにより袋状の底部を形成したことを特徴とする水位低下追い込み式定置網である。
【0010】
本発明は、袋網の両側に、下縁が水底に位置するように重りを設けると共に上縁が水面以上に突出するようにフロートを設けた袖網を配置することによって定置網ユニットを構成し、該定置網ユニットを複数、直接もしくは別の袖網を介して連結することで長さを自由に調整可能とし、両側が岸に至るように捕獲対象としている水際部を完全に包囲し、水位の低下を利用して、包囲した定置網内の魚類を袋網に追い込み捕獲する方式の定置網において、前記袖網の下縁及びその近傍に間隔をおいて複数連となるように重りを設け、幅を持った面で袖網の下縁部が水底に接するようにしたことを特徴とする水位低下追い込み式定置網である。
【0011】
これらにおいて、袋網の開口部を塞ぐことが可能な侵入防止網を、前記袋網の開口部に設置・除去可能とし、袋網内への魚類の侵入開始時期を制御可能とするのが好ましい。また、袖網の両側及び袋網の両側を着脱可能な結合構造として、長さ及び袋網の設置個数を自由に調整可能とするのがよい。袖網の上縁部は、フロートごと網で囲った構造とするのが好ましい。
【0012】
更に本発明は、これらの水位低下追い込み式定置網を、複数段、間隔をあけて浅い位置と深い位置に設置して、捕獲する魚類の量を分散させる魚類の捕獲方法である。浅い位置の網目は粗く、深い位置の網目は細かくすることも有効である。
【0013】
また、網で包囲した水域の内側の水が流入する部分に、スクリーンもしくは土嚢を配置することにより、流入土砂を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水位低下追い込み式定置網は、定置網の設置環境(特に水底の状態)の如何に関わらず、捕獲対象としている水際部にいる魚類を殆ど逃散させることなく一網打尽に捕獲できる。そのため、
(1)稚魚から成魚まで、様々なサイズの、より数多くの魚類の捕獲が可能であり、溜め池やダム湖などにおけるより正確な魚種相の把握が可能である。
(2)従来の刺し網や投網などに比べて、捕獲時における魚類への損傷が少ない。
(3)多くの魚類を大量に損傷少なく捕獲できるので、例えば在来魚を再放流し、ブルーギルやオオクチバスなどの外来魚を選択的に確実に駆除することが可能である。
などの効果が得られる。
【実施例】
【0015】
本発明に係る水位低下追い込み式定置網の一実施例を図2に示す。これは定置網ユニット18を表している。実際の設置に際しては、この定置網ユニット18を、必要に応じて複数、直接もしくは他の袖網を介して連結した構造となる。各定置網ユニット18は、袋網14の両側に、下縁が水底に位置するように重り20を設けると共に上縁部が水面よりも上方に突出するようにフロート22を設けた袖網16を配置する構成である。袖網16の両側及び袋網14の両側はファスナ構造24として、自由に着脱可能とする。
【0016】
本発明では、袖網16の下部は水底との間に隙間ができないこと、袖網16の上部は水面との間に隙間が開かないようにすることが重要である。そこで本実施例では、図3に詳細に示すように、袖網16の下部は重り20となる鎖とアンカーフックで横方向(長さ方向)全体にわたって水底に密着させて閉塞すると共に袖網16の下縁から網で包囲した水域の内側に向けて補助網26を立ち上げることにより袋状の底部を形成し、袖網16の上部は多数のフロート22を密に配列することによって水面に達するようにする。なお、底部を袋状に保形するため、数箇所、紐28や棒などで袖網16の中間部と補助網の上縁部を離間した状態で保持するようにする。このような袋状の底部を設けると、包囲した水域内の魚類は袖網16に接近したとき、網に気付いて下降するが、底部にも網があるので、矢印に示すように袋状の底部に沿って上昇する。そのため、袖網16の底部の水底に岩や大きな石、あるいは植物の根などがあって隙間が生じても、その隙間から逃れ出ることは無くなる。補助網26の高さは、たとえば30〜50cm程度でよい。
【0017】
なお、袋網14の内部には、1箇所以上の返し部30を設けて、一旦袋網14に入った魚が逃げ出し難いようにしている。
【0018】
袖網の縦(高さ)横(長さ)や袋網の大きさは任意であってよく、捕獲対象の規模などに応じたものを使用する。例えば袖網は、設置する水深に合わせて縦5m程度とし、横寸法は取り扱い性を考慮して10m〜30m程度とするのがよい。また侵略的外来魚を捕獲する場合には、網目はブルーギルの繁殖に関与しうる最小の雄個体が通り抜けられないサイズ(1cm程度)とする。なお、網目は魚類が刺さり難いように(魚類を保護するために)、斜めの網目ではなく、ます目とし、網の色も暗色系(茶色〜黒色)とするのがよい。
【0019】
実際の使用に際しては、このような定置網ユニット18を、複数、互いに連結して所望の長さとする。その連結に際しては、袖網16の側部のファスナを使用する。そのように定置網ユニットを直接連結するほか、間に別の袖網を1枚以上介して連結してもよい。その場合も、連結に際しては、袖網の側部のファスナが使用できる。従って、設置現場で、状況に応じて、長さ及び袋網の設置個数を自由に且つ容易に調整でき、捕獲対象としている水際部をほぼ完全に包囲できる。
【0020】
このような定置網10を設置した後、ダム放流などによる水位の低下を利用して、包囲した定置網内の魚類を全て袋網14内に追い込み捕獲する。袋網14を船上に引き上げてファスナを開き、捕獲した魚類を取り出す。これによって魚種相の正確な調査を行うことができる。その際、必要に応じて侵略的外来魚を選択的に捕獲し、在来魚は再放流することで、在来魚を保護することができる。あるいは病気にかかっている魚類を選択的に捕獲し、病気の蔓延を防ぐことができる。
【0021】
図4は、袖網の他の実施例を示している。この例では、袖網16の下縁及びその近傍に間隔をおいて、2連となるように重り20(あるいは鎖)を設け、幅を持った面で袖網16の下縁部が水底に接するように構成している。このように袖網16の下部の重り20を2重にし、幅を持った面で袖網16の下縁部が水底に接するようにすると、たとえ水底に岩や大きな石などが散乱していても、袖網と水底との間で隙間ができるのを防ぐことができ、魚類が逃げ出るのをより一層確実に防ぐことができる。重りと重りの間隔(袖網の下縁部が水底に接する面の幅)は、たとえば20〜50cm程度であってよい。
【0022】
図5は、定置網ユニット18の他の例を示している。この例では、袋網14の開口部を塞ぐことが可能な侵入防止網32を、前記袋網の開口部に設置・除去可能とした構成としている。これによって、袋網14内への魚類の侵入開始時期が制御可能となる。つまり、侵入防止網32を設置することによって、定置網を設置した後、ある程度水位が下がるまでは袋網14に魚類が入るのを阻止することができる。その後、侵入防止網32を除去すると、袋網14に魚類が入るのが許容される。定置網を設置してから、水位を十分に低下させて、網を引き上げ魚類を完全捕獲するまでには、ある程度の期間(たとえば10日間程度)が必要である。当初から袋網14に魚類が入ると、長期間狭い領域にいることになるため、魚類へのダメージが大きく、甚だしい場合には弱って死んでしまうことも起こりうる。しかし、この実施例のように袋網14内への魚類の侵入開始時期を遅らせれば、魚類へのダメージが少なくてすみ、在来魚を弱らせることなく再放流することができる。侵入防止網32は、下端縁に重り20を設け、上端縁にフロート22を設けた構造でよい。この侵入防止網は、袋網14の開口部を完全に封止するような構造でもよいが、開口部の大部分を覆っていれば多少の隙間などがあっても構わない。
【0023】
図6は、袖網16の更に他の例を示している。前述のように、魚類を逃がさないためには、袖網16の上部は水面との間に隙間が開かないようにすることが重要である。そこで前記の実施例では、袖網16の上部は多数のフロート22を密に配列することによって水面に達するようにしている。しかし、多くのフロートが必要となり、取り扱い難い。そこで、この実施例では、フロート22は間隔をあけて配列しているが、ロープ34や棒などで連結し、それらをフロート22ごと袖網の上部で取り囲んだ構造とし、それによって魚類の飛び越えを防止している。この構成は、フロートの数を少なくでき、取り扱いが容易であるし、袖網をフロートに巻き付けることで水深が変化しても袖網の高さを調整できる利点がある。
【0024】
図7は、本発明に係る水位低下追い込み式定置網の設置状態の一例を示している。定置網10を、十分な間隔をあけて浅い位置と深い位置とで、複数段(ここでは2段)となるように設置している。本発明の定置網によれば、水際部にいる魚類を一網打尽に捕獲するため、湖沼環境によっては漁獲量が非常に多くなる。これを1段のみの定置網で捕獲すると、袋網14に入る魚類の量が多くなりすぎるために処理が大変困難となる。魚類の詰まった袋網14を船上に引き上げる作業は容易ではない。侵略的外来魚の駆除に際しても、在来魚はダメージを少なくして手早く再放流する必要がある。処理に手間取ると、在来魚に大きなダメージを与えかねない。定置網を内外2段に設置すると、捕獲する魚類を分散させ、一つの袋網当たりの漁獲量を減少でき、まず上流側(浅い方)の定置網の魚類を処理し、次いで下流側(深い方)の定置網を処理することで、迅速に且つ比較的容易に魚種相の調査や在来魚の再放流などを行うことができる。
【0025】
具体的には、一方の定置網は水深1m程度の位置に、他方の定置網は水深3m程度の位置に、設置する。この場合、浅い位置の網目は粗く、深い位置の網目は細かくすることも有効である。小さな魚類は上流側の定置網にはかからず、大きな魚類のみ上流側の定置網で捕獲されるため、漁獲される魚類を大きさに応じてある程度分類でき、しかも小さな魚類に与えるダメージを抑えることができる。
【0026】
図8及び図9は、本発明に係る水位低下追い込み式定置網の設置状態の他の例を示している。定置網10を、特に河口など水の流れがある水域に設置するような場合には、土砂が流入して定置網10の底部が流入土砂で埋まり、網が損傷する恐れがある。そこで、図8に示す例ではスクリーンネット40を分散配置している。ここでは、スクリーンネット40の長さは3〜5mとし、2列に交互に設置している。また、図9では土嚢42を一列に設置している。このようにすることで流入土砂の一部を阻止し、網の保護を図ることができる。
【0027】
ところで、前述したように、網の大きさは任意であるが、作業性などを考慮して袖網の縦寸法は5m程度としている。しかし、湖沼環境によっては、水深が深い位置(例えば水深5mよりも深い位置)に定置網を設置したい場合もある。勿論、縦寸法の長い網を用いてもよいが、特別に製作することは高価となるし、設置や回収などの作業性も悪くなる。そこで、そのような場合には、水深よりも短い縦寸法の網(例えば水深8mであっても縦寸法が5mの網)を張設する方法がある。フロートによる浮力を大きく設定しておけば、当初、定置網は水面から水中に垂れ下がるが、やがて水位が低下すると、網下縁部の重りが水底に着地し、完全包囲状態にできる。当初の水位が高い状態では、定置網の下縁部と水底との間に隙間が生じるが、底部からの魚類の逃散は僅かであり、十分な捕獲効果が期待できる。逆に、フロートの浮力よりも重りの重量を大きく設定しておく方法もある。当初、定置網は水中から水底に垂れ下がり、やがて水位が低下すると、フロートが水面に現れ、やはり完全包囲状態にできる。当初の水位が高い状態では、定置網の上縁部と水面との間に隙間が生じるが、この隙間を利用して水面に漂うゴミや流木などを流し出すことができるので網の損傷を防止することができる。なお、隙間が比較的小さければ、魚類の逃散は僅かで済む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】水位低下追い込み式定置網による魚類の捕獲方法の説明図。
【図2】本発明で用いる定置網ユニットの一実施例を示す説明図。
【図3】その袖網の一例を示す説明図。
【図4】袖網の他の例を示す説明図。
【図5】本発明で用いる定置網ユニットの他の実施例を示す説明図。
【図6】袖網の更に他の例を示す説明図。
【図7】水位低下追い込み式定置網の設置状況の一例を示す説明図。
【図8】水位低下追い込み式定置網の設置状況の他の例を示す説明図。
【図9】水位低下追い込み式定置網の設置状況の更に他の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0029】
14 袋網
16 袖網
18 定置網ユニット
20 重り
22 フロート
24 ファスナ
26 補助網
28 紐
30 返し部
【出願人】 【識別番号】000121844
【氏名又は名称】応用地質株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区九段北4丁目2番6号
【識別番号】302046942
【氏名又は名称】株式会社イリサワ
【住所又は居所】新潟県新潟市入船町1丁目3663番地
【出願日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【代理人】 【識別番号】100078961
【弁理士】
【氏名又は名称】茂見 穰

【公開番号】 特開2006−197854(P2006−197854A)
【公開日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願番号】 特願2005−13097(P2005−13097)