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【発明の名称】 活魚輸送装置及びそれを用いた活魚輸送方法
【発明者】 【氏名】鬼丸 良道

【氏名】長島 徳雄

【氏名】山中 英明

【氏名】山根 昭彦

【氏名】北島 忠造

【要約】 【課題】従来の方法よりも低コスト、少ない労力及び作業時間で、しかも生産地及び配送先の情報を容易に得ながら、共喰い性の活魚及び高級活魚を傷付けることなく安全に輸送し得る活魚輸送装置を提供する。

【解決手段】防水性シートからなる袋状体を内部に装着した上方開放型平箱と、複数匹の活魚を収容可能で、かつ活魚の自由な方向転換を阻止し得るサイズの区画を形成させるために平箱内に配置された格子状仕切板と、平箱外壁に着脱自在に取り付けられた電子荷札と、平箱の外側適所に付設された空気供給ポンプと、この空気供給ポンプの排気孔から袋状体に連通したエアレーション用配管とを有する活魚輸送用容器及びこの容器の複数個を収納し得る棚段を備えたロールボックスパレットで構成された活魚輸送装置とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性シートからなる袋状体を内部に装着した上方開放型平箱と、複数匹の活魚を収容可能で、かつ活魚の自由な方向転換を阻止し得るサイズの区画を形成させるために平箱内に配置された格子状仕切板と、平箱外壁に着脱自在に取り付けられた電子荷札と、平箱の外側適所に付設された空気供給ポンプと、この空気供給ポンプの排気孔から袋状体に連通したエアレーション用配管とを有する活魚輸送用容器及びこの容器の複数個を収納し得る棚段を備えたロールボックスパレットで構成されていることを特徴とする活魚輸送装置。
【請求項2】
格子状仕切板を構成する各側板に相互に連通可能な空気流通孔を設けた請求項1記載の活魚輸送装置。
【請求項3】
平箱が上部に開閉可能な蓋板を有する請求項1又は2記載の活魚輸送装置。
【請求項4】
上方開閉型平箱と格子状仕切板のいずれか一方又は両方を折畳み可能に形成した請求項1、2又は3記載の活魚輸送装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の活魚輸送装置の平箱の仕切られた各区画に海水を満たし、複数匹の活魚を頭尾方向にそろえて収容し、電子荷札に経歴情報及び配送先情報を記録したのち、海水温度を5℃以下に保ち、エアレーションしながら輸送することを特徴とする活魚輸送方法。
【請求項6】
複数台の活魚輸送装置を冷凍車又は冷蔵車に格納し、電子荷札の情報に従って所定の場所に配達しながら輸送する請求項5記載の活魚輸送方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、活魚、特にイカ、フグ、ウナギ、ハモ、アナゴのような共喰い性を有する活魚、タイ、ブリ、カンパチ、アジ、スズキのような高級魚を傷付けることなく、しかもその経歴情報及び配送情報を記録しながら、能率よく配送するための活魚輸送装置及びそれを用いた活魚輸送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、輸送中の活魚の共喰いなどによる損傷を防止する方法としては、輸送中冬眠状態にして、活魚の活動を停止させる方法(特許文献1参照)、互いに隔離された複数の筒状収納空間を有し、その内部に照明手段を備えた活魚の輸送用魚槽を用いる方法(特許文献2参照)、タイカゴ、パッチンカゴなどに活魚を収容し活魚車の水槽に収納し、照明、エアレーション、海水浄化を行って輸送する方法などが知られている。
【0003】
また、共喰い性を有する活イカを長時間にわたって輸送する方法としては、適正温度に保温した海水を満たし、エアレーションを施し、さらに収容する活イカの生息深度に対応した圧力をかけた水槽内に活イカを1尾ずつ自然な姿勢で収容できる大きさ及び形状の収容室を形成し、これに活イカを1尾ずつ収納して輸送する方法(特許文献3参照)が知られている。
また、格子状仕切り板で分割した区画に複数の活魚を収容し、各区画のサイズを活魚の方向転換を阻止するように調整した容器も提案されている(特許文献4参照)。
【0004】
しかしながら、輸送中に冬眠状態に保つ方法では、その状態を維持するための特殊な装置を必要とする上に、活魚に一時的にせよ生理的な変化が起るのを避けることができないし、また筒状の収納空間や収容室に活魚や活イカを1尾ずつ収納する方法では、独立の収容部を多数形成させ、それぞれに1尾ずつ活魚や活イカを分配するのに多大の労力や時間を要し、非能率的であるという欠点がある。
また、一般に活魚輸送に際しては、長時間生存させるには、水槽に海水浄化装置、アンモニア除去装置、溶存酸素供給装置などを付設しなければならないため、コスト高になるのを免れない。
【0005】
他方、上記の方法は、特定の工夫を施した活魚の収容容器を人力により個別に輸送車両に積み込む方法であるため、大量の輸送を行う場合には、多くの労力と時間を必要とする上に、異なった配送先を経由するには、それぞれの容器ごとに対応する伝票を照合して配送先ごとに活魚の種類及び数量を確認しなければならないし、さらに生産地の情報を得るには、そのための余分の記録を準備しなければならないという煩わしさがあった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−9830号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献2】特開平9−262041号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献3】特開平5−91828号公報(特許請求の範囲その他)
【特許文献4】特開2003−304775号公報(特許請求の範囲その他)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情のもとで、従来の方法よりも低コスト、少ない労力及び作業時間で、しかも生産地及び配送先の情報を容易に得ながら、共喰い性の活魚及び高級活魚を傷付けることなく安全に輸送し得る活魚輸送装置及びそれを用いて効率よく活魚を輸送する方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、活魚特に共喰い性を有する活魚及び高級活魚を傷付けることなく、しかも効率よく輸送するための活魚輸送装置を開発するために鋭意研究を重ねた結果、複数匹の活魚を収容できるが、活魚の自由な方向転換を阻止し得るサイズの多数の区画をもつ平箱に電子荷札と空気供給ポンプを付設したユニットと、それを複数個収容し得るロールボックスパレットとで輸送装置を構成することにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、防水性シートからなる袋状体を内部に装着した上方開放型平箱と、複数匹の活魚を収容可能で、かつ活魚の自由な方向転換を阻止し得るサイズの区画を形成させるために平箱内に配置された格子状仕切板と、平箱外壁に着脱自在に取り付けられた電子荷札と、平箱の外側適所に付設された空気供給ポンプと、この空気供給ポンプの排気孔から袋状体に連通したエアレーション用配管とを有する活魚輸送用容器及びこの容器の複数個を収納し得る棚段を備えたロールボックスパレットで構成されていることを特徴とする活魚輸送装置、及びこのいずれかに記載の活魚輸送装置の平箱の仕切られた各区画に海水を満たし、複数匹の活魚を頭尾方向にそろえて収容し、電子荷札に経歴情報及び配送先情報を記録したのち、海水温度を5℃以下に保ち、エアレーションしながら輸送することを特徴とする活魚輸送方法を提供するものである。
【0010】
本発明は、イカ、フグ、ウナギ、ハモ、アナゴのような共喰い性を有する活魚の共喰いを防止するだけでなく、タイ、ブリ、カンパチ、アジ、スズキのような高級活魚がたがいに接触してすり傷を生じ、商品価値を下げるのを防止するためにも有効である。
【0011】
次に添付図面に従って本発明を説明する。
図1は、本発明の活魚輸送装置における活魚輸送用容器の構造の1例を示す斜視組立図であって、このものは上部が開閉折畳み可能な平箱1の内部に袋状体2を入れ、袋状体2の内部を折畳み可能な格子状仕切板3によって複数の区画4、…に分画し、平箱1の外側に空気供給ポンプ6を付設し平箱1の外面に電子荷札(ICタグ)7を着脱自在に取り付けた構造を有している。
【0012】
図2は、ロールボックスパレット8に電子荷札7を取り付けた活魚輸送用容器9を収納して輸送する1例を示す斜視図であって、ロールボックスパレット8の前面開口部より内部に電子荷札7を取り付けた14個の活魚輸送用容器9、…を収納した構造を有している。
【0013】
図3は、冷凍車10に電子荷札7を取り付けた活魚輸送用容器9を収納したロールボックスパレット8を格納して輸送する1例を示す平面図、図4は、冷凍車10に電子荷札7を取り付けた活魚輸送用容器9、…を収容したロールボックスパレット8、…を格納して輸送する1例を示す側面図であって、輸送車両の冷凍車車内にロールボックスパレット8に電子荷札7を取り付けた活魚輸送用容器9を収納した構造を有している。
【0014】
本発明においては、図1の区画4の内寸法の縦、横及び高さの寸法を、この区画内に2〜5尾程度の活魚を収容したとき、各活魚が方向転換できないような範囲に選ぶことが必要である。
このような寸法は、最も長い方向、すなわち縦方向では、活魚の体長に基づき130%を、それと垂直な方向では50%を、高さ方向では70%をそれぞれ越えない範囲内である。これよりも大きい寸法では、収容した活魚が自由に活動しうるため、共喰いが行なわれる。
【0015】
しかしながら、あまり寸法を小さくすると、各区画内の水質劣化が速まる上に、運動の制限により代謝活動が弱まり、鮮度低下の原因になる。したがって、通常、この区画の寸法としては、収容すべく活魚の体長に基づき、縦110〜130%、横50〜65%、高さ50〜80%の範囲、例えば体長300mmのスルメイカの場合は縦330〜390mm、横150〜200mm、高さ150〜240mmの範囲で選ぶのがよい。
【0016】
本発明容器を構成する上部が開閉し折畳みできる平箱1及び折畳みできる格子状仕切板3の材質としては、金属、木材、プラスチック、防水ダンボールなどが用いられるが、軽量で断熱性が優れている点で、発泡プラスチックが好ましい。袋状体2の材質としては、透明又は半透明、不透明軟質のポリオレフィンやポリ塩化ビニルなどが好ましい。
また、折畳みできる格子状仕切板3には、各区画の海水を相互に連通させるための流通孔5、…が設けられている。
【0017】
本発明の容器には、溶在酸素を補給するために上部が開閉し折畳みできる平箱1の外面に空気供給ポンプ6が付設されている。
【0018】
本発明装置の輸送用容器9には、その外側の見やすい個所に生産地から配送先に至る情報、すなわち追跡(トラッキング)と遡及(トレースバック)の情報を記録した電子荷札(ICタグ)7が取り付けられている。これは、通常の電子情報を与えるのに用いられているICカードや磁気カードを用いるが、所望ならばICチップを内臓し、電波で通信できるRFタグを用いることもできる。
【0019】
このRFタグはICチップとアンテナで構成され、リーダライターからの電波により、任意の時点でRFタグ内の情報の読み出し、書き込みを行うことにより、自動識別、所在確認、追跡、履歴情報の記録、呼び出しなど状況に応じた使い方ができるので便利である。
【0020】
本発明装置においては、ロールボックスパレット8に複数個の活魚輸送用容器9、…を収納し、そのまま輸送用車両に積載し、配送することができるので、荷役の労力が軽減され、また作業時間も著しく短縮することができる。
また、ロールボックスパレット8に収納できる活魚の3台分は、おおよそ活魚専用車4トン車1台分に相当するので輸送コストも低減される。
【0021】
次に、本発明装置を用いて共喰い性活魚を輸送するには、容器を構成する平箱1、袋状体2に活魚の種類に応じて5℃以下、0℃以下…に保った海水を満たし、各区画毎に2〜5尾の活魚を頭尾方向をそろえて収容する。この作業は、手作業で行ってもよいし、自動分配機を用いて行ってもよい。このようにして、活魚を収容した平箱を、単数又は複数段に重ね、ロールボックスパレット8に収納し、ロールボックスパレット8を冷凍車、冷蔵車又は常温車に格納し、輸送する。この際、季節、地域の外気温度に応じて輸送車両を選定し、海水が5℃以下、0℃以下…より越えないように、冷凍車、冷蔵車又は常温車の温度を管理すれば、容器に特別に温度管理設備を付設する必要がないので輸送コストも安価となり有利である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、共喰い性を有する活魚を複数匹ずつ容器の区画に収容し、共喰いや接触による商品価値の低下なしに、また少ない使役の労力や時間で能率よく輸送し得るので、活魚の輸送手段として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に実施例により本発明を実施するための最良の形態をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
厚さ5mmのプラスチック板及びプラスチックダンボールをもって、縦550mm、横350mm、高さ200mmの上部のみが開閉可能とした平箱を製作し、この中に厚さ0.3mmのビニール製の縦540mm、横340mm、高さ500mmの上部が開口した袋を収納し、その内部を厚さ3mmのプラスチック板をもって格子状仕切板により、縦130mm、横300mm、高さ150mmの区画4個に分割し、かつ各区画間の仕切板に直径20mmの流通孔6個を穿孔し、平箱の外側に付設した空気供給ポンプよりエアレーション用配管を上部開閉部の1隅より付設した。また、平箱の外側に電子荷札(ICタグ)を取り付け、活魚輸送用容器を製造した。
次に、この容器の各区画内にスルメイカ(平均体長270mm)を2〜3尾ずつ収容したのち、空気供給ポンプを作動させて空気を送入した。
このような構成をもつ平箱を5段に積重ね、ロールボックスパレットに収納し、冷凍車に格納して3時間移動させたところ、収容したスルメイカの生活状態は良好で、しかも共喰いによる被害は皆無であった。
また、この時間内に電子荷札からの配送先情報に基づき、途中で2個所の消費地で荷下しをしたのち、最終消費地まで配送することができた。
【産業上の利用可能性】
【0025】
生産地すなわち水揚げ港から、所定の消費地まで、活魚を共喰いや接触による損傷なしに安全かつ迅速に配送することができるので、活魚の輸送手段として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明装置の活魚輸送容器の1例を示す斜視組立図。
【図2】活魚輸送容器をロールボックスパレットに収納して輸送する1例を示す斜視図。
【図3】活魚輸送容器を収納したロールボックスパレットを格納して輸送する冷凍車の平面図。
【図4】活魚輸送容器を収納したロールボックスパレットを格納して輸送する冷凍車の側面図。
【符号の説明】
【0027】
1 上部が開閉折畳みできる平箱
2 袋状体
3 格子状仕切板
4 区画
5 流通孔
6 空気供給ポンプ
7 電子荷札(ICタグ)
8 ロールボックスパレット
9 輸送用容器
10 輸送車
【出願人】 【識別番号】505014834
【氏名又は名称】鬼丸 良道
【出願日】 平成17年1月12日(2005.1.12)
【代理人】 【識別番号】100071825
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 明

【識別番号】100095153
【弁理士】
【氏名又は名称】水口 崇敏

【公開番号】 特開2006−191836(P2006−191836A)
【公開日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願番号】 特願2005−5555(P2005−5555)