| 【発明の名称】 |
スピニングリールの釣り糸案内機構 |
| 【発明者】 |
【氏名】落合 浩士 【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内
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| 【要約】 |
【課題】スピニングリールの釣り糸案内機構において、ラインローラの強度を高く維持しながら、釣り糸に関する不具合を防止する。
【解決手段】ラインローラ44の案内部44aは、アルミニウム合金製の部品本体17と、部品本体17の表層側にニッケルめっき処理によって形成されたニッケルめっき層18と、ニッケルめっき層18の表層側に硬質クロムめっき処理によって形成された硬質クロムめっき層19とを有している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1ロータアーム及び第2ロータアームの先端に糸案内姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着され、釣り糸をスプールに案内するスピニングリールの釣り糸案内機構であって、 前記第1ロータアーム及び前記第2ロータアームの先端に揺動自在に装着された第1ベール支持部材及び第2ベール支持部材と、 前記第1ベール支持部材に一端が固定された固定軸と、 前記固定軸の他端に前記第1ベール支持部材と間隔を隔てて設けられた固定軸カバーと、 前記固定軸に回転自在に支持され、周面に前記釣り糸を案内する案内部を有する筒状のラインローラと、 前記第2ベール支持部材と少なくとも前記固定軸及び前記固定軸カバーのいずれかとに両端が固定され、前記スプールの周方向外方に湾曲して配置され、前記釣り糸を前記ラインローラに導くベールとを備え、 前記案内部は、アルミニウム合金製の部品本体と、前記部品本体の表層側に硬質クロムめっき処理によって形成された硬質クロムめっき層とを有している、スピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項2】 前記硬質クロムめっき層は、金属蒸着法によって形成されている、請求項1に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項3】 前記硬質クロムめっき層は、イオンプレーティング法によって形成されている、請求項2に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項4】 前記硬質クロムめっき層は、湿式めっき法によって形成されている、請求項1に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項5】 前記硬質クロムめっき層は、前記釣り糸が接触する可能性がある部分にのみ形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項6】 前記部品本体と前記硬質クロムめっき層との間には、ニッケルめっき処理によって形成されたニッケルめっき層をさらに有している、請求項1から5のいずれか1項に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項7】 前記ニッケルめっき層は、膜厚が10μm以上15μm以下になるように形成されている、請求項6に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項8】 前記硬質クロムめっき層は、膜厚が8μm以上10μm以下になるように形成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項9】 前記部品本体は、前記硬質クロムめっき処理を施す前に亜鉛置換処理が施されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。 【請求項10】 前記第1ベール支持部は、前記ラインローラ側に突出する環状の突出部を有しており、 前記ラインローラは、前記案内部の前記第1ベール支持部材側端部に径方向外方に向かって突出して形成され前記突出部の外周を覆うフランジ部を有している、請求項1から9のいずれか1項に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、釣り糸案内機構、特に、第1ロータアーム及び第2ロータアームの先端に糸案内姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着され、釣り糸をスプールに案内するスピニングリールの釣り糸案内機構に関する。 【背景技術】 【0002】 スピニングリールには釣り糸をスプールに案内する釣り糸案内機構が設けられている。釣り糸案内機構は、第1ロータアーム及び第2ロータアームの先端に装着され、ロータとともに回転しかつ糸開放姿勢と糸案内姿勢との間で揺動自在に設けられている。この釣り糸案内機構は、第1ベール支持部材及び第2ベール支持部材と、第1ベール支持部材の先端に一端が固定された固定軸と、固定軸の他端に固定された固定軸カバーと、固定軸カバーに一端が挿入され固定軸に取り付けられたベールと、固定軸に支持されたラインローラとを備えている。ベールの一端は、固定軸カバーに挿入されて固定軸に回転不能に固定され、ベールの他端は、第2ベール支持部材の先端に取り付けられている。 【0003】 このような釣り糸案内機構を有するスピニングリールでは、釣り糸をスプールに巻き取る際に、ベールを糸案内姿勢側に揺動させハンドルを回す。すると、釣り糸はベールに誘導されてラインローラの外周面に案内されて接触する。そして、釣り糸は、ラインローラに案内されて方向が変えられ、スプール外周に巻き取られる。 【0004】 このような釣り糸案内機構では、ラインローラは、真鍮、セラミックス、ステンレス合金等の耐摩耗性に優れた材質の部材によって形成されている(たとえば、特許文献1参照)。ここでは、耐摩耗性に優れた材質の部材によってラインローラが形成されているので、釣り糸がラインローラに接触を繰り返しても、ラインローラの損傷を防止することができる。 【特許文献1】特開2002−218872号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 前記従来の釣り糸案内機構は、耐摩耗性に優れた材質の部材によってラインローラが形成されているので、ラインローラの損傷を防止することができる。しかし、このような耐摩耗性に優れた材質の部材は、一般に、釣り糸の接触によって生じた摩擦熱が表面に滞留してしまうことがある。このようにラインローラの表面に摩擦熱が滞留すると、特に釣り糸がポリアミド樹脂等の耐熱性が低い材質である場合には、摩擦熱によって釣り糸が変形したり、切断したりする不具合が生じるおそれがある。 【0006】 本発明の課題は、スピニングリールの釣り糸案内機構において、ラインローラの強度を高く維持しながら、釣り糸に関する不具合を防止することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 発明1に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、第1ロータアーム及び第2ロータアームの先端に糸案内姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着され、釣り糸をスプールに案内するスピニングリールの釣り糸案内機構であって、第1ロータアーム及び第2ロータアームの先端に揺動自在に装着された第1ベール支持部材及び第2ベール支持部材と、第1ベール支持部材に一端が固定された固定軸と、固定軸の他端に第1ベール支持部材と間隔を隔てて設けられた固定軸カバーと、固定軸に回転自在に支持され、周面に釣り糸を案内する案内部を有する筒状のラインローラと、第2ベール支持部材と少なくとも固定軸及び固定軸カバーのいずれかとに両端が固定されスプールの周方向外方に湾曲して配置され釣り糸をラインローラに導くベールとを備えている。案内部は、アルミニウム合金製の部品本体と、部品本体の表層側に硬質クロムめっき処理によって形成された硬質クロムめっき層とを有している。 【0008】 この釣り糸案内機構では、ラインローラの案内部は、アルミニウム合金により形成され、表面側に光沢性及び硬質性を有する硬質クロムめっき層が形成されている。ここでは、案内部の表面側に硬質クロムめっき層が形成されているので、案内部の耐摩耗性を向上でき、このためラインローラの強度を高く維持できる。さらに、案内部は放熱性に優れたアルミニウム合金により形成されているので、釣り糸の接触によって摩擦熱が生じても、案内部の表面に摩擦熱が滞留しにくくなる。したがって、釣り糸がポリアミド樹脂等の耐熱性が低い材質であっても、案内部の表面に摩擦熱が滞留しなくなるので、釣り糸の変形等を防止でき、このため釣り糸に関する不具合を防止することができる。 【0009】 発明2に係る釣り糸案内機構は、発明1の釣り糸案内機構において、硬質クロムめっき層は、金属蒸着法によって形成されている。この場合、硬質クロムめっき層は、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の金属蒸着法により形成されているので、非常に硬い薄膜で形成することができる。 【0010】 発明3に係る釣り糸案内機構は、発明2の釣り糸案内機構において、硬質クロムめっき層は、イオンプレーティング法によって形成されている。この場合、硬質クロムめっき層は、金属蒸着法の一方法であるイオンプレーティング法により形成されているので、比較的容易な方法で非常に硬い薄膜で形成することができる。 【0011】 発明4に係る釣り糸案内機構は、発明1の釣り糸案内機構において、硬質クロムめっき層は、湿式めっき法によって形成されている。この場合、電気めっき法や化学めっき法等の湿式めっき法により、案内部の内周部に硬質クロムめっき層を容易に形成できる。 【0012】 発明5に係る釣り糸案内機構は、発明1から4のいずれかの釣り糸案内機構において、硬質クロムめっき層は、釣り糸が接触する可能性がある部分にのみ形成されている。この場合、たとえば、マスキングを行うことによって案内部の釣り糸が接触する可能性がある部分にのみ硬質クロムめっき層を形成することにより、釣り糸の変形を確実に防止できる。 【0013】 発明6に係る釣り糸案内機構は、発明1から5のいずれかの釣り糸案内機構において、部品本体と硬質クロムめっき層との間には、ニッケルめっき処理によって形成されたニッケルめっき層をさらに有している。この場合、たとえば部品本体の表面に無電解ニッケルめっき処理等のニッケルめっき処理によって光沢性のあるニッケルめっき層を硬質クロムめっき層の下地層として形成することにより、硬質クロムめっき層の密着性を向上できる。 【0014】 発明7に係る釣り糸案内機構は、発明6の釣り糸案内機構において、ニッケルめっき層は、膜厚が10μm以上15μm以下になるように形成されている。この場合、膜厚が10μm以上15μm以下になるように比較的薄いニッケルめっき層を形成することにより、表層側の硬質クロムめっき層の形成が容易になる。 【0015】 発明8に係る釣り糸案内機構は、発明1から7のいずれかの釣り糸案内機構において、硬質クロムめっき層は、膜厚が8μm以上10μm以下になるように形成されている。この場合、膜厚が8μm以上10μm以下になるように比較的薄い硬質クロムめっき層を形成することにより、案内部の外径寸法の精度を高く維持することができる。 【0016】 発明9に係る釣り糸案内機構は、発明1から8のいずれかの釣り糸案内機構において、部品本体は、硬質クロムめっき処理を施す前に亜鉛置換処理が施されている。この場合、亜鉛置換処理としてたとえばアルミニウム合金製の部本本体の酸化皮膜を除去するジンケート処理を硬質クロムめっき処理の前処理として行うことにより、表層側の硬質クロムめっき層の形成が容易になる。 【0017】 発明10に係る釣り糸案内機構は、発明1から9のいずれかの釣り糸案内機構において、第1ベール支持部は、ラインローラ側に突出する環状の突出部を有している。ラインローラは、案内部の第1ベール支持部材側端部に径方向外方に向かって突出して形成され突出部の外周を覆うフランジ部を有している。この場合、ラインローラは、第1ベール支持部材の突出部の外周を覆うフランジ部を有しているので、ラインローラの端部と第1ベール支持部材の突出部との間の隙間に釣り糸が入り込むのを防止できる。 【発明の効果】 【0018】 本発明によれば、スピニングリールの釣り糸案内機構において、ラインローラの案内部をアルミニウム合金により形成し、表面側に硬質クロムめっき層を形成することにより、ラインローラの強度を高く維持しながら、釣り糸に関する不具合を防止することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 〔全体構成及びリール本体の構成〕 本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、図1及び図2に示すように、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを主に備えている。ロータ3はリール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。 【0020】 ハンドル1は、T字状の把手部1aと、先端に把手部1aが回転自在に装着されたL字状のクランクアーム1bとを有している。 リール本体2は、図1及び図2に示すように、側部に開口を有するリールボディ2aと、リールボディ2aから斜め上前方に一体で延びるT字状の竿取付脚2bとを有している。リールボディ2aは、図2に示すように、内部に機構装着用の空間を有しており、その空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。 【0021】 スプール4は、図1及び図2に示すように、後述するロータ3の第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32の間に配置されており、このスプール4の中心部がスプール軸15の先端部にドラグ機構60(図2参照)を介して連結されている。 【0022】 ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するマスターギア11と、このマスターギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ハンドル軸10の両端は軸受を介してリール本体2に回転自在に支持されている。ハンドル軸10の両端にはネジ方向及び径が異なる雌ネジ部がそれぞれ形成されており、両雌ネジ部にハンドル1が回転不能に装着可能である。 【0023】 ピニオンギア12は筒状に形成されており、ピニオンギア12の前部はロータ3の中心部を貫通しており、ナット33によりロータ3と固定されている。そして、ピニオンギア12の軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受を介してリール本体2に回転自在に支持されている。 【0024】 オシレーティング機構6はスプール4を前後方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、図2に示すように、スプール軸15の略直下方に平行に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有している。スライダ22にはスプール軸15の後端が回転不能に固定されている。中間ギア23はピニオンギア12に噛み合っている。 【0025】 〔ロータの構成〕 ロータ3は、図2に示すように、ピニオンギア12に固定された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32と、釣り糸をスプール4に案内するための釣り糸案内機構としてのベールアーム34とを有している。円筒部30と第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とは、たとえばアルミニウム合金製であり、一体成形されている。円筒部30の先端中心部分が前述したようにナット33によりピニオンギア12の先端部に回転不能に固定されている。 【0026】 〔ベールアームの構成〕 ベールアーム34は、第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32の先端に、糸案内姿勢と糸開放姿勢との間で揺動自在に装着されている。ベールアーム34は、第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32の先端にそれぞれ揺動自在に装着された第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42を有している。第1ベール支持部材40は第1ロータアーム31の外側に揺動自在に装着され、第2ベール支持部材42は第2ロータアーム32の内側に揺動自在に装着されている。ベールアーム34は、図3から図5に示すように、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42を連結するベール41と、第1ベール支持部材40に先端が固定された固定軸43(図5参照)と、固定軸43に支持されたラインローラ44と、固定軸43を覆う固定軸カバー46とをさらに有している。ここでは、固定軸カバー46、ベール41及び第2ベール支持部材42の外形が滑らかに連続するようにステンレス合金により一体成形されている。 【0027】 第1ベール支持部材40は、図4及び図5に示すように、第1ロータアーム31に揺動自在に装着されたアーム部40aと、アーム部40aの先端に一体成形されたリング状の装着部40bとを有している。装着部40bには段付きの貫通孔40c(図5参照)が形成されており、貫通孔40cには固定軸43を第1ベール支持部材40に固定するための固定ボルト52が貫通している。また、図5に示すように、貫通孔40cの先端周縁部には、後述する固定軸43の第1係合部43dが回転不能に係合可能な2つの凹部からなる第1被係合部40dが形成されている。また、第1ベール支持部材40は、図5に示すように、固定軸43側に突出する環状の第1突出部40eが形成されている。 【0028】 また、第1ベール支持部材40は、図1、図2、図4及び図6に示すように、アーム部40a先端の側部内側部分がラインローラ44の外周に沿って他の部分より突出して形成され、フランジ部44fと第1突出部40eとの間に釣り糸が噛み込むのを防止する糸噛み防止部37が一体成形されている。糸噛み防止部37は、アーム部40aの他の部分から滑らかに連続するように隆起して形成されており、図4及び図6に示すように、後述するラインローラ44のフランジ部44fの外周部の一部を覆うように配置されている。 【0029】 ベール41は、図3に示すように、第2ベール支持部材42及び固定軸カバー46に両端が固定された針金状のステンレス合金製部材であり、スプール4の周方向外方に凸に湾曲して配置されている。ベール41は、ベールアーム34が糸開放姿勢から糸案内姿勢に復帰したときに釣り糸をラインローラ44に導くためのものである。ベール41は、図3から図5に示すように、固定軸カバー46と一体成形されている。 【0030】 固定軸43は、図5に示すように、固定軸カバー46と別体で形成されたボルト形状の部材である。固定軸43は、固定軸カバー46装着側から第1ベール支持部材40側に向かって延びており、先端が固定ボルト52により固定されている。 【0031】 固定軸43は、図5に示すように、頭部43aと、外周にラインローラ44が装着される軸部43bとを有している。頭部43aは、図5に示すように、軸部43bより大径に形成され、後述する固定軸カバー46の凹部46bに全体が収納されている。軸部43bは、後述する固定軸カバー46の凹部46bに連通する貫通孔46aを貫通して固定軸カバー46に装着される。 【0032】 軸部43bの先端部には、第1ベール支持部材40の第1被係合部40dにそれぞれ回転不能に係合する2つの第1係合部43dが突出して形成されている。第1係合部43dは、互いに対向する位置に配置されており、外形が第1被係合部40dと略同一になるように形成されている。 【0033】 軸部43bの基端部外周には、後述する固定軸カバー46の第2被係合部46cに回転不能に係合する第2係合部43cが形成されている。第2係合部43cの外形は、軸方向断面が非円形、たとえば対向する平行面を有する長円形になるように形成されている。ここでは、第2係合部43cを第2被係合部46cに回転不能に係合させることにより、固定軸43を固定軸カバー46に対して位置決めできる。 【0034】 軸部43bの内周部には、固定ボルト52の雄ねじ部52a(図5参照)が螺合する雌ねじ部43eが形成されている。ここでは、雌ねじ部43eに雄ねじ部52aを螺合させることにより、第1ベール支持部材40を固定軸43に固定している。 【0035】 ラインローラ44は、図5に示すように、外周面に釣り糸を案内する溝が形成された筒状の案内部44aと、案内部44aの内周側に軸方向に間隔を隔てて配置された2つの軸受44b、44cとを有している。案内部44aは、この2つの軸受44b、44cを介して固定軸43の軸部43bに回動自在に支持されている。案内部44aは、他の部分より凹んで形成されており、釣り糸を案内しやすい形状になっている。 【0036】 ラインローラ44は、図5に示すように、案内部44aの第1ベール支持部材40側端部に形成された筒状の第1筒状部44dと、案内部44aの固定軸カバー46側端部に形成された筒状の第2筒状部44eと、第1筒状部44dの基端部から径方向外方に延び第1ベール支持部材40の第1突出部40eの外周を覆う環状のフランジ部44fとを有している。第1筒状部44dは、第1ベール支持部材40の第1突出部40eの内周に覆われ、第2筒状部44eは後述する固定軸カバー46の第2突出部46dの内周に覆われている。フランジ部44fは、案内部44a、第1筒状部44d及び第2筒状部44eより大径に形成され、案内部44aの第1ベール支持部材40側端部に径方向外方に向かって環状に突出して形成されている。フランジ部44fは、第1ベール支持部材40の第1突出部40eの外周を覆っており、図4に示すように、外周部が第1ベール支持部材40の径方向外方に露出している。また、フランジ部44fの外周部は、糸噛み防止部37(図4及び図6参照)に一部が覆われるように配置されている。 【0037】 ラインローラ44の案内部44aは、図9に拡大して示すように、アルミニウム合金製の部品本体17と、部品本体17の表層側にニッケルめっき処理によって形成されたニッケルめっき層18と、ニッケルめっき層18の表層側に硬質クロムめっき処理によって形成された硬質クロムめっき層19とを有している。 【0038】 部品本体17は、アルミニウム合金製の部材であって、ニッケルめっき処理及び硬質クロムめっき処理を行う前に、表面の酸化皮膜を除去する亜鉛置換処理であるジンケート処理が施されている。 【0039】 ニッケルめっき層18は、無電解ニッケルめっき処理により形成されている。ニッケルめっき層18は、膜厚Aが10μm以上15μm以下になるように形成されている。 硬質クロムめっき層19は、金属蒸着法の一方法であるイオンプレーティング法により形成されている。イオンプレーティング法は、乾式めっき法の1つであるPVD法(真空めっき法)の1種であって、具体的には、真空に近い低圧ガスの中で蒸発させたクロムを含有する原料に高電圧をかけてイオン化し、マイナスの高電圧をかけた部品本体17の表面に付着して硬質クロムめっき層19を形成している。硬質クロムめっき層19は、膜厚Bが8μm以上10μm以下になるように形成されている。硬質クロムめっき層19は、部品本体17の全周にわたって形成されている。 【0040】 固定軸カバー46は、図5に示すように、固定軸43の基端に第1ベール支持部材40の装着部40bと間隔を隔てて設けられている。固定軸カバー46は、先端部が頂点となる略円錐台形状の部材であり、外形は滑らかな曲面で形成されている。 【0041】 固定軸カバー46は、図5に示すように、固定軸43が先端部側から装着可能に先端部から基端部に向けて貫通している。固定軸カバー46の先端部には、有底筒状に切削加工され、固定軸43の頭部43aが収納される凹部46bが形成されている。凹部46bの底部分には、固定軸43の軸部43bが装着され、凹部46bから固定軸カバー46の基端部に向かって連通する小径の貫通孔46aが形成されている。貫通孔46aの内周部には、固定軸43の第2係合部43cが係合可能な第2被係合部46cが形成されている。第2被係合部46cの外形は、第2係合部43cの外形と略同一になるように対向する平行面を有する長円形に形成されている。また、固定軸カバー46は、図5に示すように、ラインローラ44側に突出する環状の第2突出部46dが形成されている。また、固定軸カバー46の先端部は、ベール41の一端と一体成形されている。ベール41の他端は、図1及び図3に示すように、第2ベール支持部材42と一体成形されている。 【0042】 このようなベールアーム34では、ラインローラ44は、第1ベール支持部材40の第1突出部40eの外周を覆うフランジ部44fを有している。ここでは、ラインローラ44の端部と第1ベール支持部材40の第1突出部40eとの間の隙間に釣り糸が入り込むのを防止できる。また、ドラグが作用して釣り糸が強い力で引っ張られるとき、釣り糸はラインローラ44の案内部44aを経由してラインローラ44のフランジ部44fに接触しながら繰り出される。このとき、釣り糸の繰り出し方向にラインローラ44が回転し、釣り糸が第1ベール支持部材40に擦れることがなくなるので、釣り糸の損傷や切断を防止できる。 【0043】 また、このようなラインローラ44では、案内部44aは、アルミニウム合金により形成された部品本体17と、部品本体17の表面側に形成されたニッケルめっき層18及び硬質クロムめっき層19とを有している。ここでは、案内部44aの部品本体17の表面側に硬質クロムめっき層19が形成されているので、案内部44aの耐摩耗性を向上できる。さらに、案内部44aは放熱性に優れたアルミニウム合金により形成されているので、釣り糸の接触によって摩擦熱が生じても、案内部44aの表面に摩擦熱が滞留しにくくなる。このため、釣り糸がポリアミド樹脂等の耐熱性が低い材質であっても、案内部44aの表面に摩擦熱が滞留しなくなるので、釣り糸の変形等を防止できる。したがって、ラインローラ44の強度を高く維持しながら、釣り糸に関する不具合を防止することができる。 【0044】 〔他の実施形態〕 (a) 前記実施形態では、フロントドラグ型のスピニングリールを例に説明したが、リアドラグ型のスピニングリールやドラグを有さないスピニングリールやレバードラグ型のスピニングリール等の任意のスピニングリールに本発明を適用できる。 【0045】 (b) 前記実施形態では、固定軸43、固定軸カバー46、ベール41及び第2ベール支持部材42は、ステンレス合金製であったが、これらの材質はこれに限定されるものではなく、アルミニウム合金やチタン合金等の他の金属製であってもよい。 【0046】 (c) 前記実施形態では、第2ベール支持部材42は、ベール41とステンレス合金により一体成形されていたが、第2ベール支持部材42とベール41とを別体で形成してもよい。 【0047】 (d) 前記実施形態では、ベール41は、固定軸カバー46と一体成形されていたが、図7に示すように、ベール41と固定軸カバー46とを別体で形成してもよい。また、前記実施形態では、固定軸43と固定軸カバー46とが別体で設けられていたが、図7に示すように、固定軸43と固定軸カバー46とを一体成形する構成にしてもよい。 【0048】 (e) 前記実施形態では、糸噛み防止部37は、第1ベール支持部材40と一体成形されていたが、糸噛み防止部37と第1ベール支持部材40とを別体で構成してもよい。また、糸噛み防止部37は、図8に示すように、アーム部40aの内側の固定軸43突出方向に他の部分より突出して形成され、糸ふけした釣り糸をラインローラ44へ誘導するための糸ふけ防止部を兼用したリブであってもよい。また、糸噛み防止部37や糸ふけ防止部を設けない構成にしてもよい。 【0049】 (f) 前記実施形態では、ラインローラ44は、2つの軸受44b、44cを有していたが、1つの軸受のみ設けてもよいし、案内部44aを固定軸43に対して回転自在なブッシュ状に形成して軸受を設けない構成にしてもよい。また、第1筒状部44dまたは第2筒状部44eを、第1ベール支持部材40の第1突出部40eまたは固定軸カバー46の第2突出部46dに覆われない構成にしてもよい。また、第1筒状部44dを設けない構成にしてもよい。 【0050】 (g) 前記実施形態では、硬質クロムめっき層19は、部品本体17の全周にわたって形成されていたが、図10に示すように、釣り糸が接触する可能性がある第1部品本体17aの表面側にのみ硬質クロムめっき層19を形成し、釣り糸が接触する可能性がない第2部品本体17bの表面側に硬質クロムめっき層19を形成しない構成にしてもよい。ここでは、第2部品本体17bの表面をマスキングした状態で硬質クロムめっき処理することによって、第1部品本体17aの表面側にのみ硬質クロムめっき層19が形成されている。 【0051】 (h) 前記実施形態では、硬質クロムめっき層19は、イオンプレーティング法により形成されていたが、真空蒸着法やスパッタリング等の他のPVD法(真空めっき法)や、CVD法(化学めっき法)や、溶融めっき法等の他の乾式めっき法によって硬質クロムめっき層19を形成してもよい。また、電気めっき法や、無電解めっき法等の湿式めっき法によって硬質クロムめっき層19を形成してもよい。 【0052】 (i) 前記実施形態では、部品本体17と硬質クロムめっき層19との間にニッケルめっき層18が形成されていたが、図11に示すように、ニッケルめっき層18を設けず、部品本体17の表層側に硬質クロムめっき処理によって形成された硬質クロムめっき層19を設ける構成にしてもよい。 【0053】 (j) 前記実施形態では、ニッケルめっき層18は、膜厚Aが10μm以上15μm以下になるように形成され、硬質クロムめっき層19は、膜厚Bが8μm以上10μm以下になるように形成されていたが、これらの膜厚に限定されるものではない。 【図面の簡単な説明】 【0054】 【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの側面図。 【図2】前記スピニングリールの側面断面図。 【図3】前記スピニングリールの正面図。 【図4】ベールアームの要部斜視図。 【図5】前記ベールアームの要部縦断面図。 【図6】前記ベールアームの要部横断面図。 【図7】他の実施形態の図6に相当する図。 【図8】他の実施形態の図4に相当する図。 【図9】ラインローラの拡大断面模式図。 【図10】他の実施形態の図9に相当する図。 【図11】他の実施形態の図9に相当する図。 【符号の説明】 【0055】 17 部品本体 18 ニッケルめっき層 19 硬質クロムめっき層 31 第1ロータアーム 32 第2ロータアーム 34 ベールアーム 37 糸噛み防止部 40 第1ベール支持部材 40a アーム部 40b 装着部 40c 貫通孔 40e 第1突出部 42 第2ベール支持部材 41 ベール 43 固定軸 44 ラインローラ 44a 案内部 44b、44c 軸受 44d 第1筒状部 44e 第2筒状部 44f フランジ部 46 固定軸カバー 46a 貫通孔 46b 凹部 46d 第2突出部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002439 【氏名又は名称】株式会社シマノ 【住所又は居所】大阪府堺市堺区老松町3丁77番地
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| 【出願日】 |
平成16年12月28日(2004.12.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094145 【弁理士】 【氏名又は名称】小野 由己男
【識別番号】100111187 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 秀忠
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| 【公開番号】 |
特開2006−180831(P2006−180831A) |
| 【公開日】 |
平成18年7月13日(2006.7.13) |
| 【出願番号】 |
特願2004−380311(P2004−380311) |
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