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【発明の名称】 藻場用ブロック及びその製造方法
【発明者】 【氏名】金澤 稔
【住所又は居所】大阪市中央区北浜東4―33 株式会社大林組本店内

【要約】 【課題】表面に藻類の胞子が付着するための微細穴を多数有するとともに内部に胞子が根を伸張させる空隙を多数有し、藻類の着生が行われるようにする。

【解決手段】本発明に係るに藻場用ブロック10は、複数の徐冷スラグ塊1を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32(図3参照)に充填固化された粘性固化材としてのモルタル2を介して複数の徐冷スラグ塊1を一体化させて構成してある。このようにすると、モルタル2と接触している部分以外の徐冷スラグ塊1はすべて露出している。加えて、上述したように複数の徐冷スラグ塊1は、モルタル2を介して一体化させてあるため、藻場用ブロック10全体の表面には塊による凹凸が多数形成され、その分該藻場用ブロックの表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の徐冷スラグ塊を相互に隣接させるとともに、隣接された前記複数の徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に充填固化された粘性固化材を介して前記複数の徐冷スラグ塊を一体化させてなることを特徴とする藻場用ブロック。
【請求項2】
箱状の型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込み、該徐冷スラグ塊に前記型枠上方から粘性固化材を流し込むことによって前記徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に前記粘性固化材を充填し、該粘性固化材の固化によって一体化された前記徐冷スラグ塊を前記型枠から取り出し又は該型枠を脱型して藻場用ブロックとすることを特徴とする藻場用ブロックの製造方法。
【請求項3】
箱状の型枠の中央近傍にて注入管を設置し、該型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込み、該徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に粘性固化材が均等に充填されるように前記注入管を上方に引き抜きながら該注入管に前記粘性固化材を注入し、前記間隙に充填された前記粘性固化材の固化によって一体化された前記徐冷スラグ塊を前記型枠から取り出し又は該型枠を脱型して藻場用ブロックとすることを特徴とする藻場用ブロックの製造方法。
【請求項4】
固化材注入口が設けられた多孔管体と該多孔管体の頂板に昇降自在に貫通配置されたロッドと該ロッドの先端に取り付けられ前記多孔管体の内部空間を塞ぐ密封栓体とからなる固化材注入機構を前記多孔管体の解放端部が下方を向くように箱状の型枠の中央近傍に設置し、該型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込み、前記ロッドを操作して前記密封栓体を前記多孔管体内において連続的又は断続的に降下させながら、前記固化材注入口から所定の粘性固化材を注入することによって前記多孔管体に形成された複数の吐出孔から前記粘性固化材を吐出させて前記徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に前記粘性固化材を充填し、該粘性固化材の固化によって一体化された前記徐冷スラグ塊を前記型枠から取り出し又は該型枠を脱型して藻場用ブロックとすることを特徴とする藻場用ブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、藻類を定着させて藻場を創生するための藻場用ブロック及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川や海域の防災・安全事業により、沿岸域では護岸整備が行われている。護岸を形成するコンクリートは水生植物の育成に適さないため、このような護岸工事によって水棲動物の棲みかでもありえさ場でもある藻場が消失するという現象が引き起こされている。藻場は生物生産・水質浄化など重要な機能を有しているため、藻場の消失を食い止めるべく近年藻場の創生に関する技術開発が盛んに行われている。
【0003】
コンクリートが藻等の水生植物の生育に適さない理由の一つには、コンクリート材料であるセメントに強アルカリ性の成分が多量に含まれていることにある。そのため、アルカリ成分の少ない高炉セメントを材料とするコンクリートブロックを使用してコンクリート表面に藻類を着生させて藻場を創生する方法や、多孔質の結晶である徐冷スラグを混入させたコンクリートブロックを使用して徐冷スラグ表面の微細穴に藻類を着生させて藻場を創生する方法などが行われている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−35366
【特許文献2】特開2002−2384101
【特許文献3】特開2001−299129
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高炉セメントを材料とするコンクリートブロックは、単にプレキャストコンクリートを製作するときと同様に製造されるため、その表面に藻類の胞子が付着する微細穴が少ないとともに、内部に胞子が根を伸張させる空隙が少なく、藻類の着生が期待できない。
【0006】
一方、徐冷スラグを含むコンクリートブロックの場合は、徐冷スラグを粗骨材として用いて上述と同様プレキャストコンクリートを製作するときと同様に製造されるため、その表面に藻類の胞子が付着する微細穴が少ないとともに、内部に胞子が根を伸張させる空隙が少ない。
【0007】
また、仮にブロック表面に藻類の胞子が付着するための微細穴を確保するために粗骨材としての徐冷スラグを表面に露出させようとすると、例えばウォータージェット等によってブロック表面のコンクリートの斫り作業が必要となり、手間がかかるという問題が生じている。加えて、コンクリートの斫り作業によってブロック表面に微細穴を確保したとしても、内部に胞子が根を伸張させる空隙が少ないため、藻類の着生が困難という問題が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、表面に藻類の胞子が付着するための微細穴を多数有するとともに内部に胞子が根を伸張させる空隙を多数有し、藻類の着生が行われることが可能な藻場用ブロックを製造することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る藻場用ブロックは請求項1に記載したように、複数の徐冷スラグ塊を相互に隣接させるとともに、隣接された前記複数の徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に充填固化された粘性固化材を介して前記複数の徐冷スラグ塊を一体化したものである。
【0010】
また、本発明に係る藻場用ブロックの製造方法は請求項2に記載したように、箱状の型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込み、該徐冷スラグ塊に前記型枠上方から粘性固化材を流し込むことによって前記徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に前記粘性固化材を充填し、該粘性固化材の固化によって一体化された前記徐冷スラグ塊を前記型枠から取り出し又は該型枠を脱型して藻場用ブロックとしたものである。
【0011】
また、本発明に係る藻場用ブロックの製造方法は請求項3に記載したように、箱状の型枠の中央近傍にて注入管を設置し、該型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込み、該徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に粘性固化材が均等に充填されるように前記注入管を上方に引き抜きながら該注入管に前記粘性固化材を注入し、前記間隙に充填された前記粘性固化材の固化によって一体化された前記徐冷スラグ塊を前記型枠から取り出し又は該型枠を脱型して藻場用ブロックとしたものである。
【0012】
また、本発明に係る藻場用ブロックの製造方法は請求項4に記載したように、固化材注入口が設けられた多孔管体と該多孔管体の頂板に昇降自在に貫通配置されたロッドと該ロッドの先端に取り付けられ前記多孔管体の内部空間を塞ぐ密封栓体とからなる固化材注入機構を前記多孔管体の解放端部が下方を向くように箱状の型枠の中央近傍に設置し、該型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込み、前記ロッドを操作して前記密封栓体を前記多孔管体内において連続的又は断続的に降下させながら、前記固化材注入口から所定の粘性固化材を注入することによって前記多孔管体に形成された複数の吐出孔から前記粘性固化材を吐出させて前記徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に前記粘性固化材を充填し、該粘性固化材の固化によって一体化された前記徐冷スラグ塊を前記型枠から取り出し又は該型枠を脱型して藻場用ブロックとしたものである。
【0013】
本発明に係る藻場用ブロックにおいては、複数の徐冷スラグ塊を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に充填固化された粘性固化材を介して複数の徐冷スラグ塊を一体化させて構成してある。
【0014】
このようにすると、本発明に係る藻場用ブロックは、粘性固化材と接触している部分以外の徐冷スラグ塊はすべて露出している。加えて、上述したように複数の徐冷スラグ塊は、粘性固化材を介して一体化させてあるため、藻場用ブロック全体の表面には塊による凹凸が多数形成され、その分該藻場用ブロックの表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。
【0015】
加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって塊状化させたものであるが、その冷却過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり、表面には微細穴が形成される。
【0016】
したがって、本発明に係る藻場用ブロックは、本発明の作用による表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着しやすい状況になるとともに、付着した胞子は、徐冷スラグ内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する。
【0017】
そのため、藻類が定着して成長しやすい藻場用ブロックを製造することが可能となる。
【0018】
なお、徐冷スラグは、鉄鋼製造工程において発生する産業副産物であり、製鉄所で発生する徐冷スラグ塊のうち、例えば形状・寸法が比較的揃ったもの適宜選択して使用すればよい。
【0019】
粘性固化材は、所定の粘性を持つとともに所定時間経過後に固化するものであって、例えばモルタル等の水硬性固化材があるが、本発明においては、粘性が低いと徐冷スラグ塊同士で形成された間隙に充填固化される前に自重で流出してしまうおそれがあるため、モルタルを使う場合には、例えば単位水量が小さくなるように配合設計を行うことでコンシステンシーを大きくすればよい。なお、コンシステンシーが大きく粘性の高いモルタルは、充填作業が容易でないため、必要に応じてバイブレーター等で振動を与え充填性を高めるようにする。
【0020】
本発明に係る藻場用ブロックを製造するにあたっては、箱状の型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込むとともに、該徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に粘性固化材を充填させる。
【0021】
すなわち、藻場用ブロックの製造方法に係る第1の発明においては、まず、箱状の型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込む。
【0022】
次に、徐冷スラグ塊が詰め込まれた型枠に該型枠上方から粘性固化材を流し込む。
【0023】
このようにすると、徐冷スラグ塊が詰め込まれた型枠に該型枠上方から流し込まれた粘性固化材は、その自重によって隣接する徐冷スラグ塊同士で形成される間隙間を上方から下方へ移動するとともに、その粘性によって間隙に徐々に充填されるため、上方から供給することと、自重による下方への移動とがバランスし、結果として、粘性固化材は隣接する徐冷スラグ塊同士で形成される間隙全体に均等に充填されることとなり、かくして徐冷スラグ塊全体をその内部から結合させて一体化させることが可能になる。
【0024】
なお、徐冷スラグ塊が詰め込まれた型枠に粘性固化材を流し込むにあたっては、例えばグラウトホースを介して型枠上方から粘性固化材を流し込むようにすればよい。
【0025】
また、藻場用ブロックの製造方法に係る第2の発明においては、まず、箱状の型枠の中央近傍にて注入管を設置し、該型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込む。
【0026】
次に、隣接する徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に粘性固化材が均等に充填されるように、注入管を上方に引き抜きながら該注入管に粘性固化材を注入する。
【0027】
このようにすると、徐冷スラグ塊全体をその内部から結合させて一体化させることが可能になる。
【0028】
なお、粘性固化材が均等に充填されるように粘性固化材を間隙に注入するには、例えば、注入管にグラウトホースを介して圧送ポンプを連結し、注入管を上方に引き抜く速度を一定にするとともに圧送ポンプの圧力を段階的に引き上げるように該圧送ポンプを制御することによって、注入管から吐出される粘性固化材の量を該注入管を上方へ引き抜くに従って増加させるようにすればよい。
【0029】
一方、粘性固化材の粘度が高い場合には、粘性固化材の充填の度合いを確認しながら、注入管を断続的に引き上げるようにしてもよい。
【0030】
また、藻場用ブロックの製造方法に係る第3の発明においては、まず、固化材注入口が設けられた多孔管体と該多孔管体の頂板に昇降自在に貫通配置されたロッドと該ロッドの先端に取り付けられ多孔管体の内部空間を塞ぐ密封栓体とからなる固化材注入機構を多孔管体の解放端部が下方を向くように箱状の型枠の中央近傍に予め設置し、次いで、該型枠内に複数の徐冷スラグ塊を詰め込む。
【0031】
次に、ロッドを操作して密封栓体を多孔管体内において連続的又は断続的に降下させながら、固化材注入口から所定の粘性固化材を注入することによって多孔管体に形成された複数の吐出孔から粘性固化材を吐出させる。
【0032】
このようにすると、固化材注入口から注入された粘性固化材は、多孔管体に形成された複数の吐出孔のうち、密封栓体よりも上方に位置する吐出孔からのみ吐出されるため、各吐出孔から粘性固化材が吐出される時間は、多孔管体に対する吐出孔の位置が下方になるに従って短くなる。すなわち、多孔管体の上方に位置する吐出孔から吐出される粘性固化材の量は、下方に位置する吐出孔から吐出される粘性固化材の量より多くなる。
【0033】
一方、粘性固化材は、その自重によって間隙間を下方へ移動するとともに、その粘性によって間隙に徐々に充填されるため、上方への吐出量を多くすることと、自重による下方への移動とがバランスし、結果として、粘性固化材は、隣接する徐冷スラグ塊同士で形成される間隙全体に均等に充填されることとなり、かくして、徐冷スラグ塊全体をその内部から結合させて一体化させることが可能となる。
【0034】
次に、粘性固化材の固化によって一体化された徐冷スラグ塊が型枠と干渉しない場合には、該一体化された徐冷スラグ塊を型枠から取り出す。一方、粘性固化材の固化によって一体化された徐冷スラグ塊が型枠と干渉する場合には、型枠を脱型する。
【0035】
このように製造された本発明に係る藻場用ブロックは、上述したように粘性固化材と接触している部分以外の徐冷スラグ塊はすべて露出しているとともに、藻場用ブロック全体の表面には塊による凹凸が多数形成されるため、その分該藻場用ブロックの表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって冷却する過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり、表面には微細穴が形成されることとなり、本発明の作用による表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着し、付着した胞子が徐冷スラグ内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する。
【0036】
したがって、藻場用ブロックを河川や海域の沿岸域にしずめることによって、藻場用ブロックの表面にある微細穴に藻類の胞子が付着し、付着した胞子は、藻場用ブロック内部に存在する空隙内にその根を伸張させながら生育することとなり、その結果、藻場用ブロックの表面から藻類が育成されて藻場が創生される。
【0037】
徐冷スラグは、上述したと同様、製鉄所で発生する徐冷スラグ塊のうち、例えば形状・寸法が比較的揃ったもの適宜選択して使用すればよい。
【0038】
粘性固化材は、本発明に係る藻場用ブロックで既に説明したので、ここではその説明を省略する。
【0039】
型枠は、箱状のものであればどのような構成でもよいが、粘性固化材が徐冷スラグ塊同士で形成される間隙に均等に充填されるように、型枠の外から粘性固化材の充填状況を目視するとともに充填状況に応じて粘性固化体の注入に関する諸条件を適宜変更できるように構成してあるのが望ましい。例えば、藻場用ブロックの製造方法に係る第1の発明においては、粘性固化材の性状及び粘性固化材の供給量、第2の発明においては、粘性固化材の性状及び注入管に注入する粘性固化材の注入圧力並びに注入管の引き上げ速度、第3の発明においては、粘性固化材の性状及び固化材注入口から注入される粘性固化材の注入圧力並びに密封栓体の降下速度を各々適宜調整すればよい。
【0040】
型枠は、例えば、徐冷スラグ塊の寸法よりも小さい網目を有する鋼棒メッシュで構成してもよいし、透明性を有するポリカーボネートを用いて構成してもよい。
【0041】
なお、徐冷スラグ塊同士の結合強度を強くしたい場合には、粘性固化材としてコンシステンシーの大きな繊維補強モルタルを使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明に係る装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
(第1実施形態)
【0044】
図1は、本実施形態に係る藻場用ブロック10を示した図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。図2及び図3は本実施形態に係る藻場用ブロック10を製造する手順を示した斜視図及び断面図である。また、図4は本実施形態に係る藻場用ブロック10の製造方法を示したフローチャートである。図1からわかるように、本実施形態に係る藻場用ブロック10は、複数の徐冷スラグ塊1を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32(図3参照)に充填固化された粘性固化材としてのモルタル2を介して複数の徐冷スラグ塊1を一体化させて構成してある。
【0045】
このようにすると、本実施形態に係る藻場用ブロック10は、モルタル2と接触している部分以外の徐冷スラグ塊1はすべて露出している。加えて、上述したように複数の徐冷スラグ塊1は、モルタル2を介して一体化させてあるため、藻場用ブロック10全体の表面には塊による凹凸が多数形成され、その分該藻場用ブロックの表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。
【0046】
加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって塊状化させたものであるが、その冷却する過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり表面には微細穴が形成される。
【0047】
したがって、本実施形態に係る藻場用ブロック10は、上述した表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着しやすい状況になるとともに、付着した胞子は、徐冷スラグ塊1内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する。
【0048】
そのため、藻類が定着して成長しやすい藻場用ブロック10を製造することが可能となる。
【0049】
徐冷スラグは、鉄鋼製造工程において発生する産業副産物であり、製鉄所で発生する徐冷スラグ塊のうち、例えば形状・寸法が比較的揃ったもの適宜選択して使用すればよい。
【0050】
また、モルタル2は、徐冷スラグ塊1同士で形成された間隙32に充填固化される前に自重で流出してしまわないように、例えば単位水量が少なくなるように配合設計を行うことでコンシステンシーを大きくすればよい。なお、コンシステンシーが大きく粘性の高いモルタルは、充填作業が容易でないため、必要に応じてバイブレーター等で振動を与え充填性を高めるようにする。
【0051】
図2乃至図4からわかるように、本実施形態に係る藻場用ブロック10を製造するにあたっては、まず、箱状の型枠20内に複数の徐冷スラグ塊1を詰め込む(ステップ101)。
【0052】
ここで、型枠20は、箱状に組み立てられた外枠21と、該外枠の側面及び底面にてそれぞれ設置された格子状の側面鋼棒メッシュ22及び底面鋼棒メッシュ23とから構成してあり、外枠21は、4本の底部骨組部材28を溶接等で矩形枠状に相互に接合するとともに各接合箇所にて4本の側部骨組部材27を立設し、同様に矩形枠状に相互接合された4本の頂部骨組部材26をそれらの接合箇所にて4本の側部骨組部材27の頂部に接合してなる。
【0053】
また、図2(b)からよくわかるように、側面鋼棒メッシュ22は、外枠21の内側に設置されるようにその上端及び下端を該外枠の側面を形成する頂部骨組部材26及び底部骨組部材28にそれぞれピン接合24a,24bしてあり、底面鋼棒メッシュ23は、その四方端を外枠21の底面を形成する底部骨組部材28にそれぞれ剛接してある。
【0054】
次に、徐冷スラグ塊1が詰め込まれた型枠20に該型枠上方からグラウトホース31,31を介してモルタル2を流し込む(ステップ102)。
【0055】
ここで、グラウトホースは内径20mm程度のものを用いればよい。
【0056】
このようにすると、徐冷スラグ塊1が詰め込まれた型枠20に該型枠上方から流し込まれたモルタル2は、その自重によって隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32間を上方から下方へ移動するとともに、その粘性によって該間隙に徐々に充填されるため、上方から供給することと、自重による下方への移動とがバランスし、結果として、モルタル2は隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32全体に均等に充填されることとなり、かくして徐冷スラグ塊1全体をその内部から結合させて一体化させることが可能になる。
【0057】
なお、グラウトホース31,31を介してモルタル2を徐冷スラグ塊1が詰め込まれた型枠20に流し込む際、モルタル2の粘性が高すぎると上方の間隙32内で該モルタルが固化してしまい下方の間隙32に充填されず、一方粘性が低すぎると間隙32に充填する前に該間隙間を流れてしまうため、モルタル2が徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に均等に充填されるように、型枠20の外から目視するとともに充填状況に応じてモルタル2の性状及び該モルタルの供給量を適宜調整する。
【0058】
次に、徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に充填されたモルタル2の固化によって徐冷スラグ塊1が一体化された後、型枠20を脱型する(ステップ103)。
【0059】
ここで、型枠20の脱型は、該型枠と藻場用ブロック10との干渉が生じないようにすればよく、型枠20の側面に設置された側面鋼棒メッシュ22の上端と頂部骨組部材26とのピン接合24aを解除し、側面鋼棒メッシュ22の下端と底部骨組部材28とのピン接合24b廻りに該側面鋼棒メッシュを型枠20の外側に回動させるとともに、外枠21の頂部骨組部材26,26,26,26を取り外すようにすればよい。
【0060】
このように製造された本実施形態に係る藻場用ブロック10は、上述したようにモルタル2と接触している部分以外の徐冷スラグ塊1はすべて露出しているとともに、藻場用ブロック10全体の表面には塊による凹凸が多数形成されるため、その分藻場用ブロック10の表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって冷却する過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり、表面には微細穴が形成されることとなり、上述した表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着し、付着した胞子が徐冷スラグ内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る藻場用ブロック10によれば、複数の徐冷スラグ塊1を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に充填固化されたモルタル2を介して複数の徐冷スラグ塊1を一体化させて構成したので、モルタル2と接触している部分以外の徐冷スラグ塊1はすべて露出しているとともに、藻場用ブロック10全体の表面には塊による凹凸が多数形成されることとなり、その分該藻場用ブロックの表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって冷却する過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり、表面には微細穴が形成されることとなる。
【0062】
そのため、上述した表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着し、付着した胞子が徐冷スラグ内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する藻類の定着能力の高い藻場用ブロック10を製造することが可能となる。
【0063】
したがって、藻場用ブロック10を河川や海域の沿岸域にしずめることによって、藻場用ブロック10の表面にある微細穴に藻類の胞子が付着し、付着した胞子は、藻場用ブロック10内部に存在する空隙内にその根を伸張させながら生育することとなり、その結果、藻場用ブロック10の表面から藻類が育成されて藻場が創生される。
【0064】
また、本実施形態に係る藻場用ブロック10によれば、鉄鋼製造工程において発生する産業副産物である徐冷スラグを材料としたので、環境負荷の軽減に貢献することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態に係る藻場用ブロック10の製造方法によれば、箱状の型枠20内に複数の徐冷スラグ塊1を詰め込み、該型枠上方からグラウトホース31,31を介してモルタル2を流し込むようにしたので、該モルタルは、その自重によって隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32間を上方から下方へ移動するとともに、その粘性によって該間隙に徐々に充填されるため、上方から供給することと、自重による下方への移動とがバランスし、結果として、モルタル2は隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32全体に均等に充填されることとなり、かくして徐冷スラグ塊1全体をその内部から結合させて一体化させることが可能になる。
【0066】
本実施形態では、型枠20を箱状に組み立てられた外枠21と、該外枠の側面及び底面にてそれぞれ設置された徐冷スラグ塊1の寸法よりも小さい網目を有する側面鋼棒メッシュ22及び底面鋼棒メッシュ23とから構成するようにしたが、箱状に構成してあればどのようなものでもよく、例えば透明性を有するポリカーボネートで構成してもよい。なお、モルタル2が徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に均等に充填されるように、型枠20の外からモルタル2の充填状況を目視するとともに充填状況に応じてモルタル2の注入に関する諸条件、つまり該モルタルの性状及び該モルタルの供給量を適宜変更できるように構成してあるのが望ましい。
【0067】
また、本実施形態では、粘性固化材としてコンシステンシーの大きなモルタル2を使用したが、徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙に充填されるとともに該徐冷スラグ塊同士を一体化させるようにコンシステンシーの大きなものであればどのようなものでもよく、例えば徐冷スラグ塊1同士の結合強度を強くしたい場合には、コンシステンシーの大きな繊維補強モルタルを使用してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、藻場用ブロック10を単体で使用するようにしたが、複数の徐冷スラグ塊1を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に充填固化された粘性固化材を介して複数の徐冷スラグ塊を一体化させてなる藻場用ブロックならばどのようなものでもよく、複数の藻場用ブロック10を任意の形状に合体させて新たな藻場用ブロックを製造するようにしてもよい。具体的には図5でわかるように、型枠20内で徐冷スラグ塊1を一体化させて藻場用ブロック10を製造し、型枠20の上方に新たな型枠20を形成して該型枠内でも同様に藻場用ブロック10を製造し、さらに該型枠の側方及び上方にて新たに5つの型枠20を形成して該各型枠内でも同様に藻場用ブロック10をそれぞれ製造し、モルタル2の固化後各型枠20を脱型するようにすればよい。
【0069】
上述したように型枠20の側方に新たな型枠20を形成する際、該側方側の側面鋼棒メッシュ22は予めそれぞれ取り外しておく。このようにすると、藻場用ブロック10同士が隣接するとともにモルタル2を介して一体化することができ、複数の藻場用ブロック10を任意の形状に合体させて新たな藻場用ブロック40を製造することが可能となる。
【0070】
なお、複数の藻場用ブロック10を合体させる際、該藻場用ブロック同士の結合強度を強くしたい場合には、各徐冷スラグ塊1同士を結合させる前に隣接する型枠20内に予め鉄筋を配筋して複数の藻場用ブロック10同士を結合するようにしてもよい。
【0071】
(第2実施形態)
【0072】
次に、第2実施形態について説明する。まず、上述の実施形態と実質的に同一の部品については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
図6は、本実施形態に係る藻場用ブロック10を製造する手順を示した断面図である。また、図7は本実施形態に係る藻場用ブロック10の製造方法を示したフローチャートである。これらの図からわかるように、第1実施形態に係る藻場用ブロック10を製造するにあたっては、まず、箱状の型枠20の中央近傍にて注入管41を設置し、該型枠内に複数の徐冷スラグ塊1を詰め込む(ステップ111)。
【0074】
徐冷スラグは、第1実施形態で述べたように、鉄鋼製造工程において発生する産業副産物であり、製鉄所で発生する徐冷スラグ塊のうち、例えば形状・寸法が比較的揃ったもの適宜選択して使用すればよい。また、注入管41は、内径30mm程度の円筒状の管を用いればよい。なお、型枠20の構成については、第1実施形態で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
【0075】
次に、隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に粘性固化材としてのモルタル2が均等に充填されるように、注入管41を上方に引き抜きながら該注入管にモルタル2を注入する(ステップ112)。
【0076】
注入管41の引抜きは、例えば、型枠2を覆うように架台(図示せず)を組み上げ、該架台から吊持した電動ブロック、レバーブロック等を用いて適宜行うことができる。
【0077】
モルタル2は、第1実施形態で述べたように、徐冷スラグ塊1同士で形成された間隙32に充填固化される前に自重で流出してしまわないように、例えば単位水量が少なくなるように配合設計を行うことでコンシステンシーを大きくすればよい。なお、コンシステンシーが大きく粘性の高いモルタルは、充填作業が容易でないため、必要に応じてバイブレーター等で振動を与え充填性を高めるようにする。
【0078】
ここで、注入管41にグラウトホース42を介して圧送ポンプ43を連結し、注入管41を上方に引き抜く速度を一定にするとともに圧送ポンプ43の圧力を段階的に引き上げるように該圧送ポンプを制御する。
【0079】
このようにすると、注入管41から吐出されるモルタル2の量は、該注入管を上方に引き抜くに従って増加する。一方、モルタル2は、その自重によって間隙32間を下方へ移動するとともに、その粘性によって間隙32に徐々に充填されるため、上方への吐出量を多くすることと、自重による下方への移動とがバランスし、結果として、モルタル2は、隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32全体に均等に充填されることとなり、かくして、徐冷スラグ塊1全体をその内部から結合させて一体化させることが可能となる。
【0080】
なお、注入管41からモルタル2を吐出する際、モルタル2の粘性が高すぎると上方の間隙32内で該モルタルが固化してしまい下方の間隙32に十分に充填されず、一方粘性が低すぎると間隙32に充填する前に該間隙間を流れてしまうため、モルタル2が徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に均等に充填されるように、型枠20の外から目視するとともに充填状況に応じてモルタル2の性状及び注入管41に注入するモルタル2の注入圧力並びに注入管41の引き上げ速度を適宜調整するようにする。
【0081】
次に、徐冷スラグ塊1同士で形成された間隙32に充填されたモルタル2の固化によって徐冷スラグ塊1が一体化された後、型枠20を脱型する(ステップ113)。
【0082】
ここで、第1実施形態で述べたように、型枠20の脱型は、該型枠と藻場用ブロック10との干渉が生じないようにすればよく、型枠20の側面に設置された側面鋼棒メッシュ22の上端と頂部骨組部材26とのピン接合24aを解除し、側面鋼棒メッシュ22の下端と底部骨組部材28とのピン接合24b廻りに該側面鋼棒メッシュを型枠20の外側に回動させるとともに、外枠21の頂部骨組部材26,26,26,26を取り外すようにすればよい。
【0083】
このように製造された本実施形態に係る藻場用ブロック10は、上述したようにモルタル2と接触している部分以外の徐冷スラグ塊1はすべて露出しているとともに、藻場用ブロック10全体の表面には塊による凹凸が多数形成されるため、その分藻場用ブロック10の表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって冷却する過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり、表面には微細穴が形成されることとなり、上述した表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着し、付着した胞子が徐冷スラグ内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る藻場用ブロック10によれば、複数の徐冷スラグ塊1を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に充填固化されたモルタル2を介して複数の徐冷スラグ塊を一体化させて構成したので、モルタル2と接触している部分以外の徐冷スラグ塊1はすべて露出しているとともに、藻場用ブロック10全体の表面には塊による凹凸が多数形成されることとなり、その分該藻場用ブロックの表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって冷却する過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり、表面には微細穴が形成されることとなる。
【0085】
そのため、上述した表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着し、付着した胞子が徐冷スラグ内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する藻類の定着能力の高い藻場用ブロック10を製造することが可能となる。
【0086】
したがって、藻場用ブロック10を河川や海域の沿岸域にしずめることによって、藻場用ブロック10の表面にある微細穴に藻類の胞子が付着し、付着した胞子は、藻場用ブロック10内部に存在する空隙内にその根を伸張させながら生育することとなり、その結果、藻場用ブロック10の表面から藻類が育成されて藻場が創生される。
【0087】
また、本実施形態に係る藻場用ブロック10によれば、鉄鋼製造工程において発生する産業副産物である徐冷スラグを材料としたので、環境負荷の軽減に貢献することが可能となる。
【0088】
また、本実施形態に係る藻場用ブロック10の製造方法によれば、型枠20内に予め設置した注入管41にグラウトホース42を介して圧送ポンプ43を連結するとともに、注入管41を上方に引き抜く速度を一定にするとともに圧送ポンプ43の圧力を段階的に引き上げるように該圧送ポンプを制御するようにしたので、注入管41から吐出されるモルタル2の量は、該注入管を上方に引き抜くに従って増加し、モルタル2はその自重によって間隙32間を下方へ移動するとともにその粘性によって徐々に間隙32に充填されるため、上方への吐出量を多くすることと、自重による下方への移動とがバランスし、結果として、モルタル2は隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32全体に均等に充填されることとなり、かくして徐冷スラグ塊1全体をその内部から結合させて一体化させることが可能になる。
【0089】
また、本実施形態に係る藻場用ブロック10の製造方法によれば、型枠20を、箱状に組み立てられた外枠21と、該外枠の側面及び底面にてそれぞれ設置された格子状の側面鋼棒メッシュ22及び底面鋼棒メッシュ23とで構成したので、粘性固化材であるモルタル2の充填の状況を外部から監視することができるとともに、充填の度合いが低い場合には、側面鋼棒メッシュ22の隙間から徐冷スラグ塊1の隙間へと注入ホースを別途挿入し、該注入ホースを介してモルタル2を適宜充填補充することが可能となる。
【0090】
本実施形態では、第1実施形態で述べたように、型枠20を箱状に組み立てられた外枠21と、該外枠の側面及び底面にてそれぞれ設置された徐冷スラグ塊1の寸法よりも小さい網目を有する側面鋼棒メッシュ22及び底面鋼棒メッシュ23とから構成するようにしたが、箱状に構成してあればどのようなものでもよく、例えば透明性を有するポリカーボネートで構成してもよい。なお、モルタル2が徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に均等に充填されるように、型枠20の外からモルタル2の充填状況を目視するとともに充填状況に応じてモルタル2の注入に関する諸条件、つまり該モルタルの性状及び注入管41に注入される該モルタルの注入圧力並びに該注入管の引き上げ速度を適宜変更できるように構成してあるのが望ましい。
【0091】
また、本実施形態では、粘性固化材にコンシステンシーの大きなモルタル2を使用したが、徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙に充填されるとともに該徐冷スラグ塊同士を一体化させるようにコンシステンシーの大きなものであればどのようなものでもよく、例えば徐冷スラグ塊1同士の結合強度を強くしたい場合には、コンシステンシーの大きな繊維補強モルタルを使用してもよい。
【0092】
また、本実施形態では、藻場用ブロック10を単体で使用するようにしたが、複数の徐冷スラグ塊1を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に充填固化された粘性固化材を介して複数の徐冷スラグ塊を一体化させてなる藻場用ブロックならばどのようなものでもよく、第1実施形態で述べたように、複数の藻場用ブロック10を任意の形状に合体させて新たな藻場用ブロック40(図5参照)を製造するようにしてもよい。具体的な説明は第1実施形態ですでに述べたので、ここではその説明は省略する。
【0093】
また、本実施形態では、モルタル2をその自重と粘性とのバランスによって間隙32に均等に充填するようにしたが、モルタル2の粘度が相対的に高い場合には、自重による自然落下は無視し得る。
【0094】
かかる場合においては、注入管41を連続的又は断続的に適宜引抜きながら、モルタル2を下方から上方に向けて徐冷スラグ塊1の間隙32に充填するようにしてもかまわない。
【0095】
また、本実施形態では、粘性固化材であるモルタル2を注入管41を介して充填する際、上方に引き抜く速度を一定にするとともに圧送ポンプ43の圧力を段階的に引き上げるように該圧送ポンプを制御したが、モルタル2の粘度が高い場合には、モルタル2の充填の度合いを目視等によって確認しながら、注入管41を断続的に引き上げるようにしてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、注入管41の先端からモルタル2を吐出するようにしたが、これに代えて周壁に注入孔を多数設けた注入管を使用するようにしてもよい。
【0097】
また、かかる変形例において、周壁に設ける注入孔を注入管41の材軸廻りに均等に設けずに偏在させるようにしてもよい。
【0098】
かかる構成によれば、注入管41をその材軸廻りに回転させることによって、モルタル2の吐出方向を所望の方向に調整することが可能となる。
【0099】
(第3実施形態)
【0100】
次に、第3実施形態について説明する。まず、上述の実施形態と実質的に同一の部品については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0101】
図8は、本実施形態に係る藻場用ブロック10の製造方法にしたがってモルタル2を注入している様子を示す図であり、(a)は固化材注入機構50の斜視図、(b)は全体の断面図である。また、図9は本実施形態に係る藻場用ブロック10の製造方法を示したフローチャートである。これらの図からわかるように、第1実施形態に係る藻場用ブロック10を製造するにあたっては、まず、固化材注入機構50を、該固化材注入機構を構成する多孔管体51の解放端部が下方を向くように箱状の型枠20の中央近傍に予め設置し、次いで、該型枠内に複数の徐冷スラグ塊1を詰め込む(ステップ121)。
【0102】
徐冷スラグは、第1実施形態で述べたように、鉄鋼製造工程において発生する産業副産物であり、製鉄所で発生する徐冷スラグ塊のうち、例えば形状・寸法が比較的揃ったもの適宜選択して使用すればよい。
【0103】
また、固化材注入機構50は、図8(a)でよくわかるように、上方に固化材注入口53が設けられるとともに下端が解放された多孔管体51と、該多孔管体の頂板55に昇降自在に貫通配置されたロッド58と、該ロッドの先端に取り付けられ多孔管体51の内部空間を塞ぐ密封栓体57とからなり、該多孔管体は内径30mm程度の円筒状の管で構成してあるとともに、周面にて所定高さごとに複数の吐出孔54が形成してある。
【0104】
なお、型枠20の構成については、第1実施形態で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
【0105】
次に、ロッド58を操作して密封栓体57を多孔管体51内において連続的に降下させながら、固化材注入口53から粘性固化材としてのモルタル2を注入することによって多孔管体51に形成された複数の吐出孔54からモルタル2を吐出させる(ステップ122)。
【0106】
モルタル2は、第1実施形態で述べたように、徐冷スラグ塊1同士で形成された間隙32に充填固化される前に自重で流出してしまわないように、例えば単位水量が少なくなるように配合設計を行うことでコンシステンシーを大きくすればよい。なお、コンシステンシーが大きく粘性の高いモルタルは、充填作業が容易でないため、必要に応じてバイブレーター等で振動を与え充填性を高めるようにする。
【0107】
ここで、固化材注入口53にグラウトホース59を介して圧送ポンプ60を連結するとともに密封栓体57を多孔管体51の上方に位置させておき、該密封栓体が該多孔管体の下方へ押し下げられる速度を一定にするとともに圧送ポンプ60の圧力が一定になるように該圧送ポンプを制御する。
【0108】
このようにすると、固化材注入口53から注入されたモルタル2は、多孔管体51に形成された複数の吐出孔54のうち、密封栓体57よりも上方に位置する吐出孔54からのみ吐出されるため、各吐出孔54からモルタル2が吐出される時間は、多孔管体51に対する吐出孔54の位置が下方になるに従って短くなる。すなわち、多孔管体51の上方に位置する吐出孔54から吐出されるモルタル2の量は、下方に位置する吐出孔54から吐出されるモルタル2の量より多くなる。
【0109】
一方、モルタル2は、その自重によって間隙32間を下方へ移動するとともに、その粘性によって間隙32に徐々に充填されるため、上方への吐出量を多くすることと、自重による下方への移動とがバランスし、結果として、モルタル2は、隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32全体に均等に充填されることとなり、かくして、徐冷スラグ塊1全体をその内部から結合させて一体化させることが可能となる。
【0110】
なお、吐出孔54からモルタル2を吐出する際、モルタル2の粘性が高すぎると上方の間隙32内で該モルタルが固化してしまい下方の間隙32に十分に充填されず、一方粘性が低すぎると間隙32に充填する前に該間隙間を流れてしまうため、モルタル2が徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に均等に充填されるように、型枠20の外から目視するとともに充填状況に応じてモルタル2の性状及び固化材注入口53から注入されるモルタル2の注入圧力並びに密封栓体57の降下速度を適宜調整すればよい。
【0111】
次に、徐冷スラグ塊1同士で形成された間隙32に充填されたモルタル2の固化によって徐冷スラグ塊1が一体化された後、型枠20を脱型する(ステップ123)。
【0112】
ここで、第1実施形態で述べたように、型枠20の脱型は、該型枠と藻場用ブロック10との干渉が生じないようにすればよく、型枠20の側面に設置された側面鋼棒メッシュ22の上端と頂部骨組部材26とのピン接合24aを解除し、側面鋼棒メッシュ22の下端と底部骨組部材28とのピン接合24b廻りに該側面鋼棒メッシュを型枠20の外側に回動させるとともに、外枠21の頂部骨組部材26,26,26,26を取り外すようにすればよい。
【0113】
このように製造された本実施形態に係る藻場用ブロック10は、上述したようにモルタル2と接触している部分以外の徐冷スラグ塊1はすべて露出しているとともに、藻場用ブロック10全体の表面には塊による凹凸が多数形成されるため、その分該藻場用ブロックの表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって冷却する過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり、表面には微細穴が形成されることとなり、上述した表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着し、付着した胞子が徐冷スラグ内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する。
【0114】
以上説明したように、実施形態に係る藻場用ブロック10によれば、複数の徐冷スラグ塊1を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に充填固化されたモルタル2を介して複数の徐冷スラグ塊を一体化させて構成したので、モルタル2と接触している部分以外の徐冷スラグ塊1はすべて露出しているとともに、藻場用ブロック10全体の表面には塊による凹凸が多数形成されることとなり、その分該藻場用ブロックの表面積は従来のコンクリートブロックに比べて大きくなる。加えて、徐冷スラグは、高炉から生成する溶融スラグを自然放冷によって冷却する過程において空隙が生じるため、内部は多孔質となり、表面には微細穴が形成されることとなる。
【0115】
そのため、上述した表面積の増加とそれに伴う微細穴の増加とが相まって、その表面に藻類の胞子が付着し、付着した胞子が徐冷スラグ内に形成された空隙内にその根を伸張させながら生育する藻類の定着能力の高い藻場用ブロック10を製造することが可能となる。
【0116】
したがって、藻場用ブロック10を河川や海域の沿岸域にしずめることによって、藻場用ブロック10の表面にある微細穴に藻類の胞子が付着し、付着した胞子は、藻場用ブロック10内部に存在する空隙内にその根を伸張させながら生育することとなり、その結果、藻場用ブロック10の表面から藻類が育成されて藻場が創生される。
【0117】
また、本実施形態に係る藻場用ブロック10によれば、鉄鋼製造工程において発生する産業副産物である徐冷スラグを材料としたので、環境負荷の軽減に貢献することが可能となる。
【0118】
また、本実施形態に係る藻場用ブロック10の製造方法によれば、型枠20内に予め設置した固化材注入機構50を構成する多孔管体51の固化材注入口53にグラウトホース59を介して圧送ポンプ60を連結するとともに密封栓体57を多孔管体51の上方に位置させておき、該密封栓体が該多孔管体の下方へ押し下げられる速度を一定にするとともに圧送ポンプ60の圧力が一定になるように該圧送ポンプを制御するようにしたので、多孔管体51の上方に位置する吐出孔54から吐出されるモルタル2の量は、下方に位置する吐出孔54から吐出されるモルタル2の量より多くなり、一方でモルタル2はその自重によって間隙32間を下方へ移動するとともにその粘性によって徐々に間隙32に充填されるため、上方への吐出量を多くすることと、自重による下方への移動とがバランスし、結果として、モルタル2は隣接する徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32全体に均等に充填されることとなり、かくして徐冷スラグ塊1全体をその内部から結合させて一体化させることが可能になる。
【0119】
本実施形態では、第1実施形態で述べたように、型枠20を箱状に組み立てられた外枠21と、該外枠の側面及び底面にてそれぞれ設置された徐冷スラグ塊1の寸法よりも小さい網目を有する側面鋼棒メッシュ22及び底面鋼棒メッシュ23とから構成するようにしたが、箱状に構成してあればどのようなものでもよく、例えば透明性を有するポリカーボネートで構成してもよい。なお、モルタル2が徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に均等に充填されるように、型枠20の外からモルタル2の充填状況を目視するとともに充填状況に応じてモルタル2の注入に関する諸条件、つまり該モルタルの性状及び固化材注入口53から注入されるモルタル2の注入圧力並びに密封栓体57の降下速度を適宜変更できるように構成してあるのが望ましい。
【0120】
また、本実施形態では、粘性固化材にコンシステンシーの大きなモルタル2を使用したが、徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙に充填されるとともに該徐冷スラグ塊同士を一体化させるようにコンシステンシーの大きなものであればどのようなものでもよく、例えば徐冷スラグ塊1同士の結合強度を強くしたい場合には、コンシステンシーの大きな繊維補強モルタルを使用してもよい。
【0121】
また、本実施形態では、藻場用ブロック10を単体で使用するようにしたが、複数の徐冷スラグ塊1を相互に隣接させるとともに、隣接された複数の徐冷スラグ塊1同士で形成される間隙32に充填固化された粘性固化材を介して複数の徐冷スラグ塊を一体化させてなる藻場用ブロックならばどのようなものでもよく、第1実施形態で述べたように、複数の藻場用ブロック10を任意の形状に合体させて新たな藻場用ブロック40(図5参照)を製造するようにしてもよい。具体的な説明は第1実施形態ですでに述べたので、ここではその説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】第1実施形態に係る藻場用ブロックの図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図。
【図2】第1実施形態に係る藻場用ブロックの製造手順を示した図であり、(a)は斜視図、(b)はA−A断面から見た矢視図。
【図3】第1実施形態に係る藻場用ブロックの製造手順を示した断面図。
【図4】第1実施形態に係る藻場用ブロックの製造方法を示したフローチャート。
【図5】変形例に係る藻場用ブロックを示した斜視図。
【図6】第2実施形態に係る藻場用ブロックの製造手順を示した断面図。
【図7】第2実施形態に係る藻場用ブロックの製造方法を示したフローチャート。
【図8】第3実施形態に係る藻場用ブロックの製造方法にしたがってモルタルを注入している様子を示す図であり、(a)は固化材注入機構の斜視図、(b)は全体の断面図。
【図9】第3実施形態に係る藻場用ブロックの製造方法を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0123】
1 徐冷スラグ塊
2 モルタル(粘性固化材)
10,40 藻場用ブロック
20 型枠
32 間隙
41 注入管
50 固化材注入機構
51 多孔管体
53 固化材注入口
54 吐出孔
55 頂版
57 密封栓体
58 ロッド
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜東4番33号
【出願日】 平成16年11月29日(2004.11.29)
【代理人】 【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博

【公開番号】 特開2006−149259(P2006−149259A)
【公開日】 平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願番号】 特願2004−343407(P2004−343407)