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【発明の名称】 釣り竿
【発明者】 【氏名】岡本 寿久
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内

【要約】 【課題】竿管強度を維持しつつ尻栓螺合部を設けることができる釣り竿を提供すること。

【解決手段】元竿1は、主に2層の本体プリプレグ(本体層)で構成されている。元竿1の本体層は、一対の端部を有する、相対的に内側の層である第1の本体層11と、一対の端部を有する、相対的に外側の層である第2の本体層12と、第1の本体層11の後端部に連接して配置されたねじ形成層13と、第2の本体層12の尻栓螺合領域Xを含む領域上に配置された補強層14と、第1の本体層11の内側に配置された補強層15と、で主に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化樹脂プリプレグを巻回してなる管状体を有する釣り竿であって、前記管状体は、一対の端部を有する本体層と、前記一対の端部の一方の端部に連接して設けられたねじ形成層と、を具備し、少なくとも前記ねじ形成層に尻栓螺合用ねじが形成されていることを特徴とする釣り竿。
【請求項2】
繊維強化樹脂プリプレグを巻回してなる管状体を有する釣り竿であって、前記管状体は、一対の端部を有する複数の本体層と、前記複数の本体層の最内層における前記一対の端部の一方の端部に連接して設けられたねじ形成層と、を具備し、少なくとも前記ねじ形成層に尻栓螺合用ねじが形成されていることを特徴とする釣り竿。
【請求項3】
前記本体層と前記ねじ形成層との間の連接面の位置が本体層の厚さ方向において異なることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の釣り竿。
【請求項4】
前記ねじ形成層は、前記本体層の厚さと略同じ厚さを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の釣り竿。
【請求項5】
前記ねじ形成層は、強化繊維の繊維方向が周方向である繊維強化樹脂プリプレグで構成されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の釣り竿。
【請求項6】
前記ねじ形成層は、30重量%〜60重量%の樹脂含浸率を有する繊維強化樹脂プリプレグで構成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の釣り竿。
【請求項7】
前記本体層は、10重量%〜20重量%の平均樹脂含浸率を有する繊維強化樹脂プリプレグで構成されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の釣り竿。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は釣り竿に関し、特に尻栓螺合部に特徴を有する釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、釣り竿は、強化繊維を引き揃えた状態で合成樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂プリプレグを芯金に巻回し、その状態で加熱焼成してなる管状体で構成されている。釣り竿は、その元竿の後端部に尻栓を有するので、通常、管状体の端部に尻栓螺合用のねじが形成される。従来、管状体の尻栓螺合部に対応する領域に樹脂層を設けて肉厚を厚くしている。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録公報2516019号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、尻栓螺合部に対応する領域に肉厚部を設けた場合において、その肉厚部の上に繊維強化樹脂プリプレグを巻回すると、肉厚部の境界部分で段差ができ、その段差部に巻回した繊維強化樹脂プリプレグにおいて皺や強化繊維の蛇行が生じてしまい、その皺部分での竿管強度が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、竿管強度を維持しつつ尻栓螺合部を設けることができる釣り竿を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の釣り竿は、繊維強化樹脂プリプレグを巻回してなる管状体を有する釣り竿であって、前記管状体は、一対の端部を有する本体層と、前記一対の端部の一方の端部に連接して設けられたねじ形成層と、を具備し、少なくとも前記ねじ形成層に尻栓螺合用ねじが形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の釣り竿は、繊維強化樹脂プリプレグを巻回してなる管状体を有する釣り竿であって、前記管状体は、一対の端部を有する複数の本体層と、前記複数の本体層の最内層における前記一対の端部の一方の端部に連接して設けられたねじ形成層と、を具備し、少なくとも前記ねじ形成層に尻栓螺合用ねじが形成されていることを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、尻栓螺合領域に対応する本体層に、本体層とは別にねじ形成層が設けられており、尻栓螺合領域で肉厚が厚くならないので、段差のない本体層上に補強層が形成されている。その結果、補強層に皺や強化繊維の蛇行などが発生しにくくなるので、補強層の強度低下を防止することができる。
【0009】
本発明の釣り竿においては、前記本体層と前記ねじ形成層との間の連接面の位置が本体層の厚さ方向において異なることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、連接面の位置をずらすことにより、せん断破壊に比較的弱い突き合わせ位置が本体層の厚さ方向において揃わないので、連接面におけるせん断破壊強度を向上させることができる。
【0011】
本発明の釣り竿においては、前記ねじ形成層は、前記本体層の厚さと略同じ厚さを有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ねじ形成層を配置することによる本体層における皺の発生を確実に防止することができるので、尻栓螺合領域における強度低下を防止することができる。
【0013】
本発明の釣り竿においては、前記ねじ形成層は、強化繊維の繊維方向が周方向である繊維強化樹脂プリプレグで構成されたことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ねじ形成層に尻栓螺合用ねじを形成しても強化繊維を切断しにくく、ねじ形成部における欠けや脱落を防止することができる。また、この場合、ねじを形成する際に樹脂部分を切削するので、切削性が良くなり、良好にねじ形成を行うことができる。
【0015】
本発明の釣り竿においては、前記ねじ形成層は、30重量%〜60重量%の樹脂含浸率を有する繊維強化樹脂プリプレグで構成されたことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ねじ形成を良好に行うことができ、ねじ形成部における欠けや脱落を防止することができる。
【0017】
本発明の釣り竿においては、前記本体層は、10重量%〜20重量%の平均樹脂含浸率を有する繊維強化樹脂プリプレグで構成されたことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、尻栓螺合領域における強度を維持しながら、釣り竿全体の重量を軽くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の釣り竿は、繊維強化樹脂プリプレグを巻回してなる釣り竿であって、前記釣り竿は、一対の端部を有する本体層と、前記一対の端部の一方の端部に連接して設けられたねじ形成層と、を具備し、少なくとも前記ねじ形成層に尻栓螺合用ねじが形成されているので、竿管強度を維持しつつ尻栓螺合部を設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本体層を構成する2つの本体層のうち、最も内側の本体層の後端部にねじ形成層が連接して配置された場合について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る釣り竿の尻栓螺合部を含む領域を示す部分断面図である。図2は、図1に示す尻栓螺合領域を有する元竿を構成するプリプレグの配置例を示す図である。なお、本実施の形態においては、本体層を構成する繊維強化樹脂プリプレグが2つの層である場合について説明しているが、本発明においては、本体層を構成する繊維強化樹脂プリプレグが1層又は3層以上であっても良い。
【0021】
図1に示す元竿1は、引き揃えた強化繊維に合成樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂プリプレグで構成された管状体であり、後端部(図1において向って右側)に尻栓螺合領域Xが設けられている。この尻栓螺合領域Xに対応するねじ形成層に尻栓螺合用の雌ねじが形成され、その雌ねじに尻栓の雄ねじが螺合することにより、尻栓(図示せず)が元竿1の後端部に装着されるようになっている。なお、元竿1の竿管は、図2に示すように、繊維強化樹脂プリプレグを芯金Mに巻回して加熱することにより形成する。
【0022】
元竿1は、主に2層の本体プリプレグ(本体層)で構成されている。元竿1の本体層は、一対の端部を有する、相対的に内側の層である第1の本体層11と、一対の端部を有する、相対的に外側の層である第2の本体層12と、第1の本体層11の後端部に連接して配置されたねじ形成層13と、第2の本体層12の尻栓螺合領域Xを含む領域上に配置された補強層14と、第1の本体層11の内側に配置された補強層15と、で主に構成されている。
【0023】
第1の本体層11は、軸長方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(軸長方向繊維層)11aに、周方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(周方向繊維層)11bを内側から裏打ちして構成されており、第2の本体層12は、軸長方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(軸長方向繊維層)12aに、周方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(周方向繊維層)12bを外側から裏打ちして構成されている。したがって、元竿1の本体層は、図1に示すように、内周側から順に周方向繊維層(内層)11b、軸長方向繊維層(中間層)11a,12a、及び周方向繊維層(外層)12bにより構成される。
【0024】
周方向繊維層として用いられるプリプレグ11b,12bの強化繊維は、30トン/mm2〜60トン/mm2の繊維方向弾性率を有し、20重量%〜30重量%の樹脂含浸量を有することが好ましく、軸長方向繊維層として用いられるプリプレグ11a,12aの強化繊維は、40トン/mm2〜65トン/mm2の繊維方向弾性率を有し、10重量%〜25重量%の樹脂含浸量を有することが好ましい。特に、本体層を構成するプリプレグは、尻栓螺合領域Xでの強度を維持しつつ釣り竿の軽量化を図るために、10重量%〜20重量%の平均樹脂含浸量を有することが好ましい。
【0025】
なお、本体層において、第1の本体層11は、ねじ形成層13を配置するために、第1の本体層11の長さは、第1の本体層11の後端に配置するねじ形成層13の分だけ第2の本体層12の長さよりも短くなっている。
【0026】
ねじ形成層13は、第1の本体層11の後端側の尻栓螺合領域Xに対応する領域に設けられており、周方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(周方向繊維層)で構成されている。このようにねじ形成層13を周方向繊維層で構成することにより、ねじ形成層13に尻栓螺合用ねじを形成しても強化繊維を切断しにくく、ねじ形成部における欠けや脱落を防止することができる。また、この場合、ねじを形成する際に樹脂部分を切削するので、切削性が良くなり、良好にねじ形成を行うことができる。
【0027】
ねじ形成層13を構成する周方向繊維層の強化繊維は、20トン/mm2〜40トン/mm2の繊維方向弾性率を有し、30重量%〜60重量%の樹脂含浸量を有することが好ましい。このようにねじ形成層13に比較的高い樹脂含浸量のプリプレグを用いることにより、ねじ形成を良好に行うことができ、ねじ形成部における欠けや脱落を防止することができる。本実施の形態においては、ねじ形成層13は、26トン/mm2の繊維方向弾性率を有し、30重量%の樹脂含浸量を有する。
【0028】
また、ねじ形成層13は、0.1mm〜0.2mmの厚さを有することが好ましい。本実施の形態においては、ねじ形成層13は、0.135mmの厚さを有し、周方向繊維強化樹脂プリプレグを1プライで巻回して形成されている。なお、プリプレグの巻数については特に制限はない。ねじ形成層13は、本体層(本実施の形態では第1の本体層11)の厚さと略同じであることが好ましい。これにより、ねじ形成層13を配置することによる本体層における皺の発生を確実に防止することができるので、尻栓螺合領域Xにおける強度低下を防止することができる。なお、ねじ形成層13は、本体層の少なくとも一部(本実施の形態では第1の本体層11)と連接して設けられていれば良い。
【0029】
補強層14は、尻栓螺合領域Xを補強するために配置するものであり、周方向に強化繊維を引き揃えた補強プリプレグ(周方向繊維層)で構成されている。この補強プリプレグは、10トン/mm2〜30トン/mm2の繊維方向弾性率を有し、25重量%〜60重量%の樹脂含浸量を有することが好ましい。本実施の形態においては、補強層14を構成する補強プリプレグは、26トン/mm2の繊維方向弾性率を有し、30重量%の樹脂含浸量を有する。
【0030】
補強層14は、0.1mm〜0.3mmの厚さを有することが好ましい。本実施の形態においては、補強層14は、0.174mmの厚さを有し、周方向繊維強化樹脂プリプレグを3プライで巻回して形成されている。なお、本体層との間の段差を小さくするために、補強層14の厚さを薄くしたり、プライ数を少なくしても良い。
【0031】
補強層15は、元竿1の先端部を補強するために配置するものであり、本体層を構成する強化繊維の繊維方向に対して傾斜した繊維方向を有する複数の補強プリプレグで構成されている。この所定の角度は、せん断弾性率が最大となる±45°が最も好ましいが、巻き付け時の作業性やつぶれ防止効果を考慮して±30°〜±60°の範囲であることが好ましい。
【0032】
この補強プリプレグは、20トン/mm2〜46トン/mm2の繊維方向弾性率を有し、20重量%〜30重量%の樹脂含浸量を有することが好ましい。本実施の形態においては、補強層15を構成する補強プリプレグは、40トン/mm2の繊維方向弾性率を有し、25重量%の樹脂含浸量を有する。
【0033】
元竿1を作製する場合、芯金M上に補強層15用のプリプレグを巻回し、第1の本体層11用のプリプレグを周方向繊維層11bが芯金Mに接触するように巻回し、第1の本体層11の後端に連接してねじ形成層13用のプリプレグを巻回し、第1の本体層11上に第2の本体層12用のプリプレグを巻回し、さらに第2の本体層12の尻栓螺合領域Xを含む領域上に補強層14用のプリプレグを巻回して加熱する。その後、芯金Mを取り外し、ねじ形成層13に尻栓螺合用ねじを形成する。なお、ねじ形成層13用プリプレグと第1の本体層11用のプリプレグとは、プリプレグ同士を突き合わせた状態で一括して巻回しても良く、別々に巻回しても良い。
【0034】
図3は、ねじ形成層に尻栓螺合用ねじを形成した状態を示す図である。図3から分かるように、尻栓螺合用ねじ16がねじ形成層13と、第1の本体層12と、一部の補強層14とに形成される。この尻栓螺合用ねじ16の深さD1は、0.35mmである。なお、尻栓螺合用ねじ16の深さD1については特に限定はない。
【0035】
上記の構成を有する元竿1においては、尻栓螺合領域Xに対応する本体層の内側に、本体層とは別にねじ形成層13が設けられており、尻栓螺合領域Xで肉厚が厚くなっていないので、段差のない本体層上に補強層14が形成されている。従来の元竿においては、ねじ形成層用のプリプレグを巻回し、その上に本体層用のプリプレグを巻回していたため、尻栓螺合領域だけ肉厚が厚くなってしまっていた。本実施の形態においては、本体層の尻栓螺合領域を取り除き、その領域にねじ形成層13を配置している(本体層の後端に連接してねじ形成層13を配置している)。したがって、尻栓螺合領域に段差が生じず、補強層14に皺や強化繊維の蛇行などが発生しにくくなるので、補強層14の強度低下を防止することができる。
【0036】
また、図3に示すように、ねじ形成層13を構成するプリプレグと第2の本体層12の裏打ちプリプレグ12bがいずれも周方向繊維層であるので、すなわち第2の本体層12の軸長方向繊維層12aが2つの周方向繊維層で挟持されているので、つぶれに強い構造となり、尻栓螺合領域Xにおける強度が向上する。
【0037】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本体層を構成する2つの本体層の後端部にねじ形成層が連接して配置された場合について説明する。図4は、本発明の実施の形態2に係る釣り竿の尻栓螺合領域を示す部分断面図である。図5は、図4に示す尻栓螺合領域を有する元竿を構成するプリプレグの配置例を示す図である。なお、本実施の形態においては、本体層を構成する繊維強化樹脂プリプレグが2つの層である場合について説明しているが、本発明においては、本体層を構成する繊維強化樹脂プリプレグが1層又は3層以上であっても良い。
【0038】
図4に示す元竿2は、引き揃えた強化繊維に合成樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂プリプレグで構成された管状体であり、後端部(図4において向って右側)に尻栓螺合領域Yが設けられている。この尻栓螺合領域Yに対応するねじ形成層に尻栓螺合用の雌ねじが形成され、その雌ねじに尻栓の雄ねじが螺合することにより、尻栓(図示せず)が元竿2の後端部に装着されるようになっている。なお、元竿2の竿管は、図5に示すように、繊維強化樹脂プリプレグを芯金Mに巻回して加熱することにより形成する。
【0039】
元竿2は、主に2層の本体プリプレグ(本体層)で構成されている。元竿2の本体層は、一対の端部を有する、相対的に内側の層である第1の本体層21と、一対の端部を有する、相対的に外側の層である第2の本体層22と、第1の本体層21の後端部に連接して配置されたねじ形成層23aと、第2の本体層22の後端部に連接して配置されたねじ形成層23bと、第2の本体層22の尻栓螺合領域Yを含む領域上に配置された補強層24と、第1の本体層21の内側に配置された補強層25と、で主に構成されている。
【0040】
第1の本体層21は、軸長方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(軸長方向繊維層)21aに、周方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(周方向繊維層)21bを内側から裏打ちして構成されており、第2の本体層22は、軸長方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(軸長方向繊維層)22aに、周方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(周方向繊維層)22bを外側から裏打ちして構成されている。したがって、元竿2の本体層は、図4に示すように、内周側から順に周方向繊維層(内層)21b、軸長方向繊維層(中間層)21a,22a、及び周方向繊維層(外層)22bにより構成される。
【0041】
周方向繊維層や軸長方向繊維層の繊維方向弾性率や樹脂含浸量は実施の形態1と同じである。なお、本体層において、第1の本体層21は、相対的に短いねじ形成層23aを配置するために、第1の本体層21の長さは、第1の本体層21の後端に配置するねじ形成層23aと第2の本体層22の後端に配置するねじ形成層23bとの間の差分だけ第2の本体層22の長さよりも長くなっている。
【0042】
ねじ形成層23aは、第1の本体層21の後端側の尻栓螺合領域Yに対応する領域に設けられており、周方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(周方向繊維層)で構成されている。また、ねじ形成層23bは、第2の本体層22の後端側の尻栓螺合領域Yに対応する領域に設けられており、周方向に強化繊維を引き揃えたプリプレグ(周方向繊維層)で構成されている。このようにねじ形成層13を周方向繊維層で構成することにより、ねじ形成層23に尻栓螺合用ねじを形成しても強化繊維を切断しにくく、ねじ形成部における欠けや脱落を防止することができる。また、この場合、ねじを形成する際に樹脂部分を切削するので、切削性が良くなり、良好にねじ形成を行うことができる。
【0043】
ねじ形成層23a,23bを構成する周方向繊維層の繊維方向弾性率や樹脂含浸量は実施の形態1と同じである。ねじ形成層23a,23bの厚さも実施の形態1と同じである。本実施の形態においては、ねじ形成層23a,23bは、0.135mmの厚さを有し、周方向繊維強化樹脂プリプレグを1プライで巻回して形成されている。なお、プリプレグの巻数については特に制限はない。
【0044】
ねじ形成層23aは、本体層(本実施の形態では第1の本体層21)の厚さと略同じであることが好ましく、ねじ形成層23bは、本体層(本実施の形態では第2の本体層22)の厚さと略同じであることが好ましい。これにより、ねじ形成層23を配置することによる本体層における皺の発生を確実に防止することができるので、尻栓螺合領域Yにおける強度低下を防止することができる。
【0045】
ねじ形成層23aと第1の本体層21との間の突き合わせ位置(連接面)と、ねじ形成層23bと第2の本体層22との間の突き合わせ位置(連接面)とは、ずれた状態になっている(本実施の形態においては、ねじ形成層23aと第1の本体層21との間の突き合わせ位置が後端側に位置する)。このように突き合わせ位置をずらすことにより、せん断破壊に比較的弱い突き合わせ位置が本体層の厚さ方向において揃わないので、突き合わせ位置におけるせん断破壊強度を向上させることができる。
【0046】
補強層24は、尻栓螺合領域Yを補強するために配置するものであり、軸長方向に強化繊維を引き揃えた補強プリプレグ(軸長方向繊維層)24aと周方向に強化繊維を引き揃えた補強プリプレグ(周方向繊維層)24bとで構成されている。これらの補強プリプレグの繊維方向弾性率、樹脂含浸量及び厚さは実施の形態1と同じである。本実施の形態においては、補強層24は、軸長方向繊維強化樹脂プリプレグ24aと周方向繊維強化樹脂プリプレグ24bを貼り合わせた積層プリプレグを軸長方向繊維強化樹脂プリプレグが第2の本体層22と接触するように2プライで巻回して形成されている。なお、本体層との間の段差を小さくするために、補強層24の厚さを薄くしたり、プライ数を少なくしても良い。また、積層プリプレグを周方向繊維強化樹脂プリプレグが第2の本体層22と接触するように巻回しても良い。
【0047】
補強層25は、元竿2の先端部を補強するために配置するものであり、本体層を構成する強化繊維の繊維方向に対して傾斜した繊維方向を有する補強プリプレグで構成されている。この所定の角度、繊維方向弾性率、樹脂含浸量は、実施の形態1と同じである。
【0048】
元竿2を作製する場合、芯金M上に補強層25用のプリプレグを巻回し、第1の本体層21用のプリプレグを周方向繊維層21bが芯金Mに接触するように巻回し、第1の本体層21の後端に連接してねじ形成層23a用のプリプレグを巻回し、第1の本体層21上に第2の本体層22用のプリプレグを巻回し、第2の本体層22の後端に連接してねじ形成層23b用のプリプレグを巻回し、さらに第2の本体層22の尻栓螺合領域Yを含む領域上に補強層24用のプリプレグ(積層プリプレグ)を巻回して加熱する。その後、芯金Mを取り外し、ねじ形成層23aに尻栓螺合用ねじを形成する。
【0049】
なお、ねじ形成層23a用プリプレグは、第1の本体層21用プリプレグと別に芯金Mに巻回しても良く、第1の本体層21用プリプレグと一緒に芯金Mに巻回しても良い。同様に、ねじ形成層23b用プリプレグは、第2の本体層22用プリプレグと別に第1の本体層21上に巻回しても良く、第2の本体層22用プリプレグと一緒に第1の本体層21上に巻回しても良い。また、補強層24は、上記のように積層プリプレグを第2の本体層22上に巻回しても良く、軸長方向繊維強化樹脂プリプレグ24aと、周方向繊維強化樹脂プリプレグ24bとを別々に芯金Mに巻回して加熱しても良い。
【0050】
図6は、ねじ形成層に尻栓螺合用ねじを形成した状態を示す図である。図6から分かるように、尻栓螺合用ねじ26がねじ形成層23a,23bと、一部の補強層24とに形成される。この尻栓螺合用ねじ26の深さD2は、0.35mmである。なお、尻栓螺合用ねじ26の深さD2については特に限定はない。
【0051】
上記の構成を有する元竿2においては、尻栓螺合領域Yに対応する本体層の後端に、本体層とは別にねじ形成層23a,23bが設けられており、尻栓螺合領域Yで肉厚が厚くなっていないので、段差のない本体層上に補強層24が形成されている。従来の元竿においては、ねじ形成層用のプリプレグを巻回し、その上に本体層用のプリプレグを巻回していたため、尻栓螺合領域だけ肉厚が厚くなってしまっていた。本実施の形態においては、本体層の尻栓螺合領域を取り除き、その領域にねじ形成層23a,23bを配置している(第1の本体層21の後端に連接してねじ形成層23aを配置し、第2の本体層22の後端に連接してねじ形成層23bを配置している)。したがって、尻栓螺合領域に段差が生じず、補強層24に皺や強化繊維の蛇行などが発生しにくくなるので、補強層24の強度低下を防止することができる。
【0052】
また、図6に示すように、ねじ形成層23a,23bを構成するプリプレグがいずれも周方向繊維層であるので、つぶれに強い構造となり、尻栓螺合領域Yにおける強度が向上する。
【0053】
本発明は上記実施の形態1,2に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態1,2で説明した数値や材質については特に制限はなく、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。また、上記実施の形態1,2では、本発明を釣り竿に適用した場合について説明しているが、本発明は端部に螺合領域を有する他の管状体に同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1に係る釣り竿の尻栓螺合部を含む領域を示す部分断面図である。
【図2】図1に示す尻栓螺合領域を有する元竿を構成するプリプレグの配置例を示す図である。
【図3】図1に示す元竿のねじ形成層に尻栓螺合用ねじを形成した状態を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る釣り竿の尻栓螺合部を含む領域を示す部分断面図である。
【図5】図4に示す尻栓螺合領域を有する元竿を構成するプリプレグの配置例を示す図である。
【図6】図4に示す元竿のねじ形成層に尻栓螺合用ねじを形成した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1,2 元竿
11,21 第1の本体層
12,22 第2の本体層
11a,12a,21a,22a 軸長方向繊維層
11b,12b,21b,22b 周方向繊維層
13,23a,23b ねじ形成層
14,15,24,25 補強層
16,26 尻栓螺合用ねじ
X,Y 尻栓螺合領域
M 芯金
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
【出願日】 平成16年10月28日(2004.10.28)
【代理人】 【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司

【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章

【識別番号】100101889
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 俊郎

【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義

【公開番号】 特開2006−121968(P2006−121968A)
【公開日】 平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願番号】 特願2004−314218(P2004−314218)