| 【発明の名称】 |
魚類加工方法及び魚類加工品 |
| 【発明者】 |
【氏名】櫻井 健三 【住所又は居所】新潟県長岡市高畑町777番地1 株式会社オンスイ内
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| 【要約】 |
【課題】水中における魚類の生体反応である鰓呼吸を利用することにより、魚類の飼育環境水中に混入した各種成分を効率的に魚類の体内に吸収蓄積させて、煩雑な作業を伴うことなく個々の魚類に均一に品質及び味覚の改善を施すことが可能な極めて有用な魚類加工方法及び魚類加工品を提供すること。
【解決手段】燻煙、又は該燻煙を水若しくは水溶液と接触させて燻煙成分を溶解させた燻液を、魚類の回遊する飼育環境水に分散若しくは混入し、該飼育環境水に燻煙成分を溶解させ、該飼育環境水に溶解した燻煙成分を魚類の鰓呼吸によって魚類の体内に吸収蓄積させ、魚類の品質及び味覚の改善を行う魚類加工方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燻煙、又は該燻煙を水若しくは水溶液と接触させて燻煙成分を溶解させた燻液を、魚類の回遊する飼育環境水に分散若しくは混入し、該飼育環境水に燻煙成分を溶解させ、該飼育環境水に溶解した燻煙成分を魚類の鰓呼吸によって魚類の体内に吸収蓄積させ、魚類の品質及び味覚の改善を行うことを特徴とする魚類加工方法。 【請求項2】 前記燻煙は、無酸素乾留燻煙若しくは酸素量を限定し燃焼させ発生した燻煙からすすやタール成分などの不要物を除去したものを採用したことを特徴とする請求項1記載の魚類加工方法。 【請求項3】 前記飼育環境水に酸化防止剤,pH調整剤,調味料などの食品添加物を混入し、該食品添加物を飼育環境水に溶解させ、該飼育環境水中に溶解した食品添加物を魚類の鰓呼吸によって魚類の体内に吸収蓄積させ、魚類の品質及び味覚の改善を行うことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の魚類加工方法。 【請求項4】 前記燻煙若しくは前記燻液を、前記飼育環境水に溶存する一酸化炭素濃度が0.2〜10cc/Lとなるように分散若しくは混入したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の魚類加工方法。 【請求項5】 前記飼育環境水に純酸素を、該飼育環境水に溶存する酸素濃度が前記魚類が安定に生存し得る濃度となるように接触させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の魚類加工方法。 【請求項6】 請求項1〜5記載の魚類の加工方法により得られる魚類をそのまま若しくは解体切断後、燻液に浸漬したことを特徴とする魚類加工方法。 【請求項7】 請求項1〜5記載の魚類の加工方法により得られる魚類に、燻液を灌流液として用い血管を介して肉中に拡散させて、燻液を付与したことを特徴とする魚類加工方法。 【請求項8】 請求項1〜7記載の魚類加工方法により得られる魚類をそのまま若しくは解体切断後、冷凍したことを特徴とする魚類加工品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、魚類加工方法及び魚類加工品に関するものである。 【背景技術】 【0002】 発明人は、さきに、魚類の表皮若しくは皮下組織部位に注入管を挿入し、この注入管から燻煙若しくは燻煙成分を含んだ気体と食塩水又は各種塩類の溶液とを注入してこれら気体及び溶液に含まれる各種成分を短時間で魚類の肉中に拡散させ、魚類に燻製品の味付けを施す魚類加工方法を提案している(特許文献1)。この方法によれば各種成分を極めて短時間に肉中に散在でき、出来あがり活魚味覚を味わう事の出来る燻製品の作成が可能となる点で画期的な意義を有するものであった。 【0003】 また、発明人は、燻煙成分を溶解させた燻液を魚類に付与して魚類に燻製品の味付けを施す魚類加工方法を提案している(特許文献2)。この方法によれば、難しい燻煙処理を行わずに例えば簡単な漬込作業だけで燻煙処理に近い製品ができる点で画期的な意義を有するものであり、業界において好評を博している。 【0004】 【特許文献1】特開2002−369650公報 【特許文献2】特開2004−033014公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上述した従来の魚類加工方法は、気体・液体に含まれる各種成分を浸透させて魚肉に味付けを施す際に、魚体に注射針や注射ノズルなどを挿入して気体・溶液を注入したり、解体切断した魚肉を気体・液体と接触させたり、魚体の心臓部を切開して心臓部から魚体の血管に液体を還流させたりする煩雑な作業が必要となっていた。 【0006】 また、魚体の大きさや脂質の含有量によって気体・液体に含まれる各種成分の浸透度合いは異なるため、上述した従来の魚類加工方法においては、気体・液体に含まれる各種成分を個々の魚肉に均一に接触させて魚肉中に浸透させて魚肉に均一に品質及び味覚の改善を施すことが困難であった。 【0007】 本発明は、従来の魚類加工方法により魚類に品質及び味覚の改善を施す際の問題点を見い出し、試行錯誤を繰り返して研究,実験を繰り返すことで、これを解決したもので、水中における魚類の生体反応である鰓呼吸を利用することにより、魚類の飼育環境水中に混入した各種成分を効率的に魚類の体内に吸収蓄積させて、煩雑な作業を伴うことなく個々の魚類に均一に品質及び味覚の改善を施すことが可能な極めて有用な魚類加工方法及び魚類加工品を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の要旨を説明する。 【0009】 燻煙、又は該燻煙を水若しくは水溶液と接触させて燻煙成分を溶解させた燻液を、魚類の回遊する飼育環境水に分散若しくは混入し、該飼育環境水に燻煙成分を溶解させ、該飼育環境水に溶解した燻煙成分を魚類の鰓呼吸によって魚類の体内に吸収蓄積させ、魚類の品質及び味覚の改善を行うことを特徴とする魚類加工方法に係るものである。 【0010】 また、前記燻煙は、無酸素乾留燻煙若しくは酸素量を限定し燃焼させ発生した燻煙からすすやタール成分などの不要物を除去したものを採用したことを特徴とする請求項1記載の魚類加工方法に係るものである。 【0011】 また、前記飼育環境水に酸化防止剤,pH調整剤,調味料などの食品添加物を混入し、該食品添加物を飼育環境水に溶解させ、該飼育環境水中に溶解した食品添加物を魚類の鰓呼吸によって魚類の体内に吸収蓄積させ、魚類の品質及び味覚の改善を行うことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の魚類加工方法に係るものである。 【0012】 また、前記燻煙若しくは前記燻液を、前記飼育環境水に溶存する一酸化炭素濃度が0.2〜10cc/Lとなるように分散若しくは混入したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の魚類加工方法に係るものである。 【0013】 また、前記飼育環境水に純酸素を、該飼育環境水に溶存する酸素濃度が前記魚類が安定に生存し得る濃度となるように接触させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の魚類加工方法に係るものである。 【0014】 また、請求項1〜5記載の魚類の加工方法により得られる魚類をそのまま若しくは解体切断後、燻液に浸漬したことを特徴とする魚類加工方法に係るものである。 【0015】 また、請求項1〜5記載の魚類の加工方法により得られる魚類に、燻液を灌流液として用い血管を介して肉中に拡散させて、燻液を付与したことを特徴とする魚類加工方法に係るものである。 【0016】 また、請求項1〜7記載の魚類加工方法により得られる魚類をそのまま若しくは解体切断後、冷凍したことを特徴とする魚類加工品に係るものである。 【発明の効果】 【0017】 本発明は上述のように構成したから、飼育環境水中に溶解した燻煙成分が鰓呼吸を通じて魚類の体内に取り込まれ、血管を介して極めて短時間のうちに魚肉と接触して魚類の体内に吸収蓄積されるため、例えば、大きさや脂質の含有量の異なる個々の魚類の魚肉にも均一に燻煙成分を吸収蓄積させて煩雑な作業を伴うことなく効率的に行うことができ、このように燻煙成分が吸収蓄積した魚肉は、味覚が複雑化して旨みが向上するとともに、燻煙成分により魚肉に抗酸化性が付与されるので冷凍保存中の血合い部分のメト化が防止でき、更に、魚肉の生臭味や環境水由来の生物臭(ジオスミン)を軽減でき、燻煙成分により魚類が鎮静化して魚体の取り扱いが容易となって加工作業が効率化する。また、例えば燻液を混入した場合には飼育環境水中の燻煙成分濃度の調整が非常に容易化する等、極めて有用な魚類加工方法となる。 【0018】 また、請求項2に記載の発明によれば、本発明の魚類の品質及び味覚の改善効果を一層確実に発揮する極めて実用性に秀れた燻煙成分が溶解した飼育環境水を用いた魚類加工方法となる。 【0019】 また、請求項3に記載の発明によれば、例えば食品添加物として調味料等を浸透させた魚肉は味付けがされて旨みが向上し、酸化防止剤,pH調整剤等を浸透させた魚肉は、保存性が向上する等、本発明の魚類の品質及び味覚の改善効果を一層確実に発揮する魚類加工方法となる。 【0020】 また、請求項4に記載の発明によれば、前記飼育環境水中の一酸化炭素の溶解量が0.2〜10cc/Lとなるように前記燻煙を拡散又は前記燻液を混入することで、魚体を鎮静化できる。例えば、前記燻煙を拡散又は前記燻液を混入することで、一酸化炭素の溶解量を0.2cc/Lから徐々に10cc/Lにまで増大するようにした場合、魚類が正常反応から無反応状態を経て興奮状態となりやがて鎮静化状態となるような一連の制御を非常にスムーズに行うことができ、魚類の加工作業が一層効率化されるとともに、魚肉の肉質変化の原因となり得る魚類の激しい運動を抑制することで魚肉の肉質変化を遅延することができる魚類加工方法となる。 【0021】 また、請求項5に記載の発明によれば、魚類の飼育環境水中の溶存酸素濃度を魚類が安定に生存し得る程度の濃度とすることにより、魚体が安定した状態で飼育環境水中を回遊し、その際の鰓呼吸もスムーズとなって、飼育環境水中の溶解成分の魚体内への取り込みが一層良好とできる等、有用な魚類加工方法となる。 【0022】 また、請求項5,6に記載の発明によれば、例えば従来の出願人の魚類の燻液浸漬若しくは燻液灌流処理により一層秀れた燻煙成分を付与した魚類加工方法となる。 【0023】 また、請求項7に記載の発明によれば、燻煙成分により魚肉に抗酸化性が付与されているので冷凍保存中の血合い部分のメト化が防止され、長期間冷凍保存しても解凍後に高鮮度且つ味覚の複雑な旨みが向上した高品質の魚肉が得られる、極めて付加価値の高い魚類加工品となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0024】 好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。 【0025】 魚類の回遊する飼育環境水に、燻煙、又は該燻煙を水または水溶液と接触させて燻煙成分を溶解させた燻液を分散若しくは混入すると、該飼育環境水に燻煙成分が溶解し、この燻煙成分が、魚類の鰓呼吸によって魚類の体内に吸収蓄積する。 【0026】 即ち、魚類は口から取り込んだ水を櫛歯状の鰓弁の間に通し、鰓蓋の下の体壁の開口部から排出しているが、この一本一本の鰓弁の表面には水流と平行に並ぶ極めて薄い板状の二次鰓弁が並んでおり、この二次鰓弁の極薄な細胞の直下には毛細血管がびっしりと詰まっている。この二次鰓弁の表面を流過する飼育環境水に燻煙成分が溶解していると、該水中の溶存酸素は勿論、該水中に溶解した燻煙成分が毛細血管に取り込まれることとなる。 【0027】 従って、毛細血管に取り込まれた燻煙成分が、魚体全体の血管に隈なく還流して血管を介して魚肉中に吸収蓄積し、魚類の品質及び味覚が改善する。 【0028】 また、前記燻煙は、無酸素乾留燻煙若しくは酸素量を限定し燃焼させ発生した燻煙からすすやタール成分などの不要物を除去したものを採用した場合、一層確実に魚類の品質及び味覚が改善される。 【0029】 また、前記飼育環境水に酸化防止剤,pH調整剤,調味料などの食品添加物を混入し、該食品添加物を飼育環境水に溶解させ、該飼育環境水中に溶解した食品添加物を魚類の鰓呼吸によって魚類の体内に吸収蓄積させた場合、例えば食品添加物として調味料等を浸透させた魚肉は味付けがされて旨みが向上し、酸化防止剤,pH調整剤等を浸透させた魚肉は、保存性が向上する。 【0030】 また、前記燻煙若しくは前記燻液を、前記飼育環境水に溶存する一酸化炭素濃度が0.2〜10cc/Lとなるように分散若しくは混入した場合、一酸化炭素により酸素呼吸が抑制されて魚体が鎮静化する。例えば、前記飼育環境水中の一酸化炭素の溶解量を、0.2cc/Lから徐々に10cc/Lにまで増大するように燻液の混入量を変化させると、魚類が正常反応から無反応状態を経て興奮状態となりやがて鎮静化状態となる。 【0031】 また、前記飼育環境水に純酸素を、該飼育環境水に溶存する酸素濃度が前記魚類が安定に生存し得る濃度となるように接触させた場合、飼育環境水中の酸素濃度が過剰も不足もしない状態となって魚体が安定化し、飼育環境水中を正常に回遊し、その際の鰓呼吸がスムーズとなる。 【0032】 また、請求項1〜4記載の魚類の加工方法により得られる魚類をそのまま若しくは解体切断後、燻液に浸漬若しくは、請求項1〜4記載の魚類の加工方法により得られる魚類に、燻液を灌流液として用い血管を介して肉中に拡散させて、燻液を付与した場合、例えば従来の出願人の魚類の燻液浸漬若しくは燻液灌流処理により、燻液中の燻煙成分がより一層確実に魚類に付与されて魚類の品質及び味覚の改善効果がより一層確実となる。 【0033】 また、請求項1〜6記載の魚類加工方法により得られる魚類をそのまま若しくは解体切断後、冷凍した場合、燻煙成分により魚肉に抗酸化性が付与されているので冷凍保存中の血合い部分のメト化が防止され、長期間冷凍保存しても解凍後に高鮮度且つ味覚の複雑な旨みが向上した高品質の魚肉が得られる。 【実施例】 【0034】 本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。 【0035】 本実施例は、図1に図示したように、飼育環境水を所定量導入した閉鎖水槽1内に、酸素を供給する気体分散器2を付設するとともに、燻煙を発生させる燻煙発生装置3を付設して、前記飼育環境水に酸素及び燻煙成分を分散・溶解させ、この飼育環境水に溶解した酸素及び燻煙成分を魚類の鰓呼吸によって魚類の体内に吸収蓄積させ、魚類の品質及び味覚の改善を行う場合である。 【0036】 前記閉鎖水槽1は、魚類等の養殖に一般的に使用される水槽を使用している。また、この閉鎖水槽1に導入する前記飼育環境水は、海水や河川水等の水若しくは魚類の生存環境水として必要となる成分を含有する水溶液を目的に応じ適宜採用している。 【0037】 前記気体分散器2は、純酸素を前記飼育環境水中に効率良く供給するためのもので、具体的には、微細泡分散器等を採用している。具体的には、前記気体分散器2にチューブを接続して酸素ボンベと連結させて水中に純酸素を供給している。更に具体的には、前記純酸素は、飼育環境水中において魚類が安定に生存し得る程度の溶存酸素濃度を保つようにしている。このように飼育環境水中の酸素濃度が魚類の生存にとって過不足ない状態とすることにより、魚体が安定化し、この飼育環境水中の魚類が正常に回遊することとなり、その際の魚類の鰓呼吸がスムーズに行われる。 【0038】 また、本実施例の純酸素以外に空気を分散させても良いが、純酸素を用いると飼育環境水中に酸素をより効率的に溶存させることができる。 【0039】 前記燻煙発生装置3は、燻煙若しくは乾留燻煙を前記飼育環境水に効率よく供給するため、例えば出願人が開発した燻煙発生装置(特開平8−298925号)等を採用している。 【0040】 前記燻煙発生装置3から発生した燻煙は、前記燻煙発生装置3に接続される燻煙供給管4より一時貯留するバッファバッグを経てから、循環ポンプ6に導入される。尚、前記配管4には流量計5が付設され、循環ポンプ6に注入される燻煙の流量を把握できるようにしている。 【0041】 前記循環ポンプ6はまた、この循環ポンプ6に前記閉鎖水槽1内の飼育環境水を導入する導入管7が連設されるとともに、この循環ポンプ6を介して前記閉鎖水槽1内へ飼育環境水を導出する導出管8が連設されている。 【0042】 よって、前記燻煙供給管4から循環パイプ6に供給された燻煙と、前記導入管7から導入された飼育環境水とは、前記循環パイプ6内で混合・分散され、飼育環境水に燻煙成分が溶解して、この燻煙成分が溶解した飼育環境水が導出管8から閉鎖水槽1へ導出される。 【0043】 更に、本実施例は、前記循環ポンプ6の導出管8の途中にバルブ9を付設することにより燻煙の溶解度を任意に設定するとともに、静止型ミキサー10及び加圧タンク11を付設することにより、瞬間的に燻煙を飼育環境水に過飽和溶解させることもでき、その結果、燻煙成分は一層効率的に飼育環境水に溶解し得ることとなる。即ち、この際の閉鎖水槽1の飼育環境水には気泡は目視では全く存在せずほぼ完全溶解状態となっている。従って、飼育環境水に溶解しない燻煙がそのまま作業環境大気中に放出されてしまうことを防止できる。 【0044】 尚、燻煙は、本実施例以外にも、エアストーン等の気体分散器を用いて飼育環境水に分散させても良いが、燻煙成分の飼育環境水への溶解効率は低下する。 【0045】 本実施例は、前記燻煙を、前記飼育環境水中の一酸化炭素の溶解量が0.2cc/Lから徐々に10cc/L以下にまで増大するような量として分散させている。 【0046】 このように燻煙の指標である一酸化炭素の溶解量を変化させることで、魚類の活動を制御できる。即ち、魚類は、一酸化炭素の溶解量が増大するにつれて正常反応から無反応状態を経て興奮状態となりやがて鎮静化状態となる。従って、魚肉の肉質変化の原因となり得る魚体の興奮が抑制されるとともに魚体が取り扱い易くなって、魚類加工における作業性を向上させることができる。 【0047】 尚、溶解する燻煙成分のうち、アセチレンを除く(CO,CH4,C2H4,C2H6,C3H8,C3H6)等は、溶解度が常圧で0.01〜0.16mL/mLと一定の範囲にありいずれも指標となりうるが本実施例は、比較的成分量比率の大きい一酸化炭素を指標としている。 【0048】 また、本実施例は、作業環境大気中の燻煙汚染を最小限とするため、閉鎖水槽1内に閉鎖槽12を設けている。具体的には、飼育環境水に溶解せずに大気中に放出される燻煙がダクト13を経て作業環境外に排出されるようにしている。 【0049】 また、本実施例における燻煙の代わりに燻液を水中に混入しても良い。その場合、例えば出願人が開発した燻煙発生装置(特開平8−298925号)等により発生させた燻煙を洗気筒などによりすすやタール成分を除去した後、空気を絶ったあるいは空気が混入しない状態で、ミキサーまたは、接触筒により加圧状態で水若しくは水溶液に燻煙成分を溶解した燻液を液体分散器等により混入させると良い。このように、燻煙発生装置より発生させた燻煙(燻煙成分)を液体化してあらかじめ所望の濃度の燻煙成分を含有させた燻液とすることで、魚類の飼育環境水中の燻煙成分濃度の調整が非常に容易化して、魚類の品質及び味覚の改善において再現性に優れた方法となる。 【0050】 本実施例は、溶存酸素量を所定量としながら、指標である一酸化炭素の溶解量を0.2cc/L以上にし、時間をかけて、興奮しないように徐々に濃度を上げると、やがて外部刺激に対して無反応となりその後溶解濃度を10cc/L以下まで上昇させ最終的には横臥の後、仰向けとなり処理を終了する。 【0051】 本実施例により、飼育環境水中に溶解した燻煙成分を、魚類の鰓呼吸により極めて短時間のうちに体内に取り込ませることができる。即ち、前記燻煙に含まれる燻煙由来の調味成分が、該魚類に一般に調理で行われる「隠し味」的な調味を施す。 【0052】 尚、本実施例の前記閉鎖水槽1には、食品添加物を混入しても良い。食品添加物としては、魚類の鰓呼吸で取り込まれて該魚類の魚肉の調味,品質の保持若しくは品質の向上をなし得る、固体状,液体状若しくは気体状の酸化防止剤,pH調整剤,調味料等を目的に応じて適宜採用する。また、前記食品添加物の添加量としては、飼育環境水中の魚体の生存に支障がなく、且つ確実に魚類の鰓呼吸で取り込まれて該魚類の魚肉の調味,品質の保持若しくは品質の向上をなし得る程度の量を混入する。 【0053】 また、上述した本実施例の魚類の加工方法により得られる魚類は、そのまま若しくは解体切断後、前記燻液に浸漬若しくは前記燻液を灌流液として用い魚体の心臓部を切開して心臓部から魚体の血管に液体を還流させても良く、その場合、燻液中の燻煙成分が、鰓吸収のみならず、体外から魚肉に浸透吸着することとなり、より一層確実に魚肉の品質及び味覚の改善効果が発揮できる。 【0054】 尚、以上の処理を施した魚類をそのまま若しくは解体切断後、冷凍保存しても良く、その場合、燻煙成分により魚肉に抗酸化性が付与されているので冷凍保存中の血合い部分のメト化が防止され、長期間冷凍保存しても解凍後に高鮮度且つ味覚の複雑な旨みが向上した高品質の魚肉が得られる。 【0055】 次に、本実施例の燻液と燻煙との違いについて説明する。 【0056】 燻液の定義は不明な部分もあるが、日本国における判断は、「水溶液に溶解したものに限る」としていることから、ここでは燻煙(気体成分)を水溶液に溶解したもの、とした場合、燻煙処理品と燻液処理品の違いの原因は燻煙を水溶液に溶解するときに各成分の溶解度の違いにより各成分の溶解度比率が異なり、さらに燻液に魚肉を接触させ燻煙成分を移動させる過程で、移動成分含量に大きな差を生じ、特に気体成分でその差が大きい事が主因である。 【0057】 また燻煙中でも乾留燻煙は、木ガスともよばれ、各主成分濃度が高いだけでなく、不安定な成分が多いことから、燻液としたときの酸素の存在下では急速に酸化が進み燻煙臭に変化を生ずることが経験的に知られている。 【0058】 燻煙成分の特徴は固体、気体、液体成分の混合物であることであり、主要成分が不明である点である。各成分も水に対する溶解度が異なることから、燻煙とそれを水に溶解した燻液は個々の溶解比率は異なることになる。このことは燻煙処理したものと、燻液処理をしたものの違いとなることが予想される。燻煙成分は現在判明している成分だけでも400種を超えていることから、その組成の違いについて述べることは極めて困難である。しかし、燻煙処理品と燻液処理品が明らかに違うことは感覚的に知られていることは周知の事実である。特開2004−033014には以上の内容を元に、燻液処理で燻煙処理に近づける方法を述べている。下記表1に燻煙中に確認されている気体成分の溶解度を示す。
【0059】 【表1】
【0060】 淡水魚に時折発生する特有のカビ臭は環境水中に繁茂したジオスミンの悪臭が鰓呼吸を通じて魚体内に吸収されることが知られ、同様に淡水魚養殖池の上流で灯油漏洩事故が発生すると、極めて短時間で魚肉に臭気は移行する。一方これ等の事故がおきた魚体から臭気を除去する手段として、長時間をかけて清水中で臭気が抜けるまで養生させる手段が取られている。 【0061】 また窒素や酸素が過飽和に溶解する飼育環境水では、体内で気泡を生じ血管閉塞を引き起こす(ガス病)事が養殖現場では知られ、その対策も取られている。 【0062】 海水魚は体液より高濃度に存在する各塩類が鰓を通じて体内に取り込まれる。その為、海水魚では体内のナトリウムポンプ作用により体外に排出し体内の塩濃度一定に維持することが知られている。また魚病発生時に抗生物質等の治療薬を水溶液とし薬浴し鰓吸収させるため、体内に残留蓄積し社会問題化されることがある。これ等の現象は鰓呼吸の際に水中に溶解している気体、液体、固体の各成分が鰓を介して、体内に吸収され蓄積したり体外に放出されたりすることを物語っている。 【0063】 各鰓弁の形は多種多様であるが葉状の二次鰓弁はきわめて薄く、薄い上皮の直下を赤血球がかろうじて通過できるほどの毛細管が並びここがガス交換の本舞台になっている。 【0064】 従って、鰓の表面を流れる水は、鰓部各細胞(被蓋細胞、支持細胞、基底膜及び壁柱細胞)の縁辺部を通して血管内皮に接触することになる。そしてこれ等の層はみな薄くその薄さは0.2〜23μm(平均値は0.5〜5.6μm)で肺胞上皮とよく似た状態にあり、ガス交換を容易にしている。魚類における呼吸作用は水中に溶解した酸素を鰓呼吸で体内に取り込み、体内中で生成した二酸化炭素を鰓を通じて環境水中に排出しているのである。また海水魚においては、鰓を通じ過剰の塩類を排出し体内濃度を一定に保持している。そして魚類を含む水棲動物のえら呼吸には水溶液に溶解している酸素成分の取り込みには優れるが、直接空気から酸素を吸収する能力は、肺呼吸生物に比べ劣ることが知られている。 【0065】 これ等の事実より、呼吸作用に必要な酸素、二酸化炭素のみならず鰓を介して他の燻煙中に含まれる成分で水溶液に溶解した成分が、鰓呼吸を通じ体内に取り込まれることは予想できるところである。又燻煙中に多く存在するメタンを含む低級炭化水素群には生体中においては、他の成分の移動を容易にする同伴ガス(キャリア)の性質があることが知られている。 【0066】 次に、前記飼育環境水中に燻煙を分散して燻煙成分を溶解した際に、燻煙成分がどの程度魚類の鰓呼吸で取り込まれ魚肉中に移行するか確認を行った。 【0067】 <測定対象> 1)乾留燻煙ガス成分 2)乾留燻煙ガス成分を30分間溶解接触した燻液中の燻煙成分 3)上記2)の燻液中に真鯛(1.1,1.35kg)を泳がせ20分間放置後取り上げ、魚肉に浸透した燻煙成分 4)無処理の真鯛のバックグラウンド(1.3,1.35kg) 【0068】 <燻液および魚肉中の燻煙各成分の測定方法> 試料中に残留するガス状成分の回収法には熊沢法を用いた。その概略はつぎの通りである。 【0069】 魚肉所定重量(50〜60g)の試料をフラスコ中で沸騰する水中に入れ、試料中から脱離,放散してくる気体を一定流量のキャリアガス(ヘリウムまたは窒素ガス)に同伴させ、テドラーバッグ中に採取する。このとき沸騰水から蒸発する水蒸気はフラスコとテドラーバッグの間に設けられたコンデンサーで凝縮されフラスコに戻される。試料中から脱離、放散する気体混合物を完全に回収するまでに流す窒素ガス量はあらかじめ予備実験で明らかにされている。例えば、仕込み試料重量が50g程度であれば全窒素ガス量は約1.5Lである。テドラーバッグ中に回収した気体混合物中のCO2,COおよびCH4等低級炭化水素の濃度を測定した。 【0070】 pH,DO,L*a*b*値は、以下の方法で決定した。 【0071】 CO2:気体中の二酸化炭素はガステック社の検知管2HTを用いた。液体は熊沢法により回収された成分をガステック社の検知管2LCを用いた。魚肉はBGが大きいため測定困難であった。 【0072】 CO:メタナイザー〈shimadzu,MTN・l)付きガスクロマトグラフ(shimazu,GC・14B)を用い、分離カラム(SUS I.D.3mm)にモレキュラーシープ13X(60〜80メッシュ,2.3m,90℃)を充壊し、キャリアーガスにHe(80mL/min)、CO還元用に水素(75mL/min,400℃)を用いてFIDで検出し濃度を決定した。メタナイザー付きガスクロマトグラフのFIDは感度の高い検出器であるが、COの検出はできない。メタンであれば検出できるので分離カラムの後段にメタナイザー(メタン化反応を行わせる触媒反応管)を取り付け、分離カラムで他の共存ガスから分離されたCOのピークに水素(H2)を混合しメタナイザー中でCH4に転換し(CO+3H2→CH4+H2O)、転換したCH4をFIDで検出するというものである。分離カラム中でCOから分離したCH4のピークはメタナイザー中で反応せずCH4として検出される。分離カラムでCOとCH4は分離されているので、COに由来するCH4と、もともとCH4であったCH4は別々に(異なった保持時間で)検出される。COに由来するCH4の保持時間はもともとCH4であったCH4の保持時間より長い。両ピークの面積から物質量が求められ、ガスクロマトグラフへの注入量を考慮すれば濃度に変換できる。尚、CO2は分離カラムに充填されているモレキュラーシープ13Xに吸着されてしまいメタナイザーを通過しない(ピークは生じない)。又燻煙中の一酸化炭素濃度は、窒素希釈により1000倍で測定し、液体中の一酸化炭素量は検体10ccを採取し、加熱又は硫酸等により1000ccの窒素中に放出させ上記ガスクロにて測定した。 【0073】 低級炭化水素:分離カラム(SUS I.D.3mm)にUnipak S(ジーエルサイエンス,100〜150メッシュ)を2m充填したガスクロマトグラフ(shimadzu,GC−14B)を用いてキャリアーガスにはHe(流量40mL/min)を用い、昇温条件下(40〜150℃,昇温速度5℃/min)で分離後、FIDで検出し、濃度を決定した。 【0074】 K値:前処理は、魚肉10gに1M過塩素酸25mLを加えホモジナイズし、3000rpmで5分間遠心分離し上澄みを取り1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH6.5に調整。上澄みを0.45μmミリポアフィルターでろ過し、10μLをHPLCに注入した。 【0075】 <分析条件> カラム:STR ODS−移動相,A液/B液100/1(V/V)(A液:リン酸(トリエチルアンモニウム)緩衝液(pH6.8),B液:アセトニトリル),カラム温度:40℃,流量:1.0L/min,検出器:shimadzu SPD−10:AVP,紫外線吸光度波長:260nm pH:HORIBAガラス電極水素イオン濃度計D−23 DO:IIJIMA DO METER ID−100 L*a*b*:コニカミノルタセンシングColorReaderCR−13 燻煙処理ガスの組成指標として燻煙中の一酸化炭素を含む低級炭化水素群(CO,CH4,C2H4,C2H6,C3H8,C3H6,n−C4H10,iso−C4H10)を用いた。 【0076】 <測定結果> 1)燻煙ガス成分 【表2】
【0077】 2)上記1)のガスで直接30分間溶解の燻液中の燻煙成分濃度(v/w) 【表3】
【0078】 3)上記2)の燻液に真鯛を泳がせ10分後に横臥した後魚肉中の各燻煙成分を測定(w/w) 【表4】
【0079】 4)無処理の魚肉(バックグラウンド)(w/w) 【表5】
【0080】 表4と表5を比較した場合、明らかに鰓呼吸により燻液中の燻煙成分(一酸化炭素を含む低級炭化水素群)の増大が見られる。表1に示した成分中溶解度の大きいアンモニア、塩化水素、二硫化硫黄、二酸化炭素を除く他の低溶解度の燻煙成分は凡そ燻液と魚肉との間にはほぼヘンリーの法則が成立するが、魚肉中の一酸化炭素濃度が他の低級炭化水素群に比べ大きいのは、魚肉中のヘモグロビン、ミオグロビン等に配位する為と考えられる。 【0081】 臭気成分や各塩類が鰓呼吸を通じ体内に蓄積される事実や前述の試験結果より鰓呼吸には測定成分に関し選択的に必要成分を取り込んでいるのではないことが判明した。 【0082】 そして燻煙成分を水溶液に溶解した成分は活魚遊泳中に生体の反応である鰓呼吸により酸素以外のこれ等の成分が魚肉体内に吸着蓄積することが確認され、新しい燻製品の製造方法となった。 【0083】 次に、前記飼育環境水中の一酸化炭素の溶解量を0.1cc/Lから徐々に20cc/Lにまで増大するように燻煙を混入した際の、この飼育環境水中の養殖魚の挙動並びにこの養殖魚の冷凍保存後のpH,色調,食感について、代表例として養殖カンパチを用いて検討を行った結果について以下に説明する。 【0084】 <試験方法> 200Lタンクに海水を100L注入し水温を20℃設定とし酸素分散器により酸素飽和状態6.2mg/Lの維持に努め、カンパチ1.5kg平均5匹を投入し更に、タンク内で一定の安定遊泳を確認後、乾留燻煙を80〜150cc/min通気し、pHを維持するために炭酸ナトリウムでpH8以上を維持し一酸化炭素溶解度の変化と魚体の反応を調査した。 【0085】 <養殖魚の挙動> 表6は、一酸化炭素の溶解量の変化と魚体の反応を調査した結果を示したものである。 【0086】 【表6】
【0087】 表6に示したように、水中の一酸化炭素の溶解量を0.1cc/L以上にし、時間をかけて、興奮しないように徐々に0.5cc/L以上に上げると、養殖カンパチは正常反応から無反応状態を経て興奮状態となりやがて鎮静化状態となった。無反応状態とは外部刺激に対し反応しなくなる状態であり、この状態を確認したら燻煙の供給量を上昇させても、興奮状態にはならなかった(但し、魚種によって興奮期の状態の出現は大幅に違うため、各魚種ごとの誘導濃度、温度及び時間の設定を行う必要がある。)。 【0088】 <養殖魚の冷凍保存後のpH,色調,食味> 養殖魚の冷凍保存後のpH,色調,食味を確認するため、以下に示すような試験区及び対照区にて比較検討を行った。 【0089】 (試験区):上述の処理条件で処理が施され、仮死状態となった魚体を放血し、三枚卸、真空パック後、急速凍結(マイナス40℃エアブラスト)しその後マイナス18℃で約一ヶ月(28日)保管後解凍し、皮を剥いだ魚肉(6〜8℃保管)について、赤部(血合い部)の色調及び食味等を6時間の差を置いて調べた結果を下記表7に示す。 【0090】 (対照区):試験当日市場より2匹(3kgサイズ)の活魚を購入し血抜き後三枚卸フィレー加工し、試験区と同じ6℃設定インキュベータ内にて保管(6〜8℃)し鮮魚の状態で皮を剥いだ魚肉について、試験区と同様に色調並びに食味を調べた結果を下記表8に示す。 【0091】 更に試験区、対照区の視覚、味覚試験の結果を下記表9に示した。 【0092】 【表7】
【0093】 【表8】
【0094】 【表9】
【0095】 以上、表6〜表9から、本実施例における養殖魚の冷凍保存後の色調,食味が対照区と比較して優れていることを確認した。 【0096】 比較試験での対照区と比較しての回答で試験区は、1)味がある。2)厚みのある味。3)複雑な味。等極めて抽象的な意見ではあるが明らかに燻煙により鰓を通じて味覚に影響する成分が吸収されていることがうかがわれる。これ等の調味成分は魚肉のうまみ成分であるイノシン酸の生成と複合し、味覚を向上させることが予想される。 【0097】 以上、本実施例の乾留燻煙を水溶液に溶解した燻液(スモーク・フレーバー)の効果の一つは、名前の通り調味、つまり味付けである。従来より魚の美味しさの尺度は幾通りか述べられているが、食品であることの必須の条件は旨いことである。活魚を含む高鮮度の生鮮魚はそのままでは味覚には乏しく、醤油やわさびといった強い味覚を持つ調味料を使って刺身という食文化が生まれたが、鮮度が高い魚肉は、その後、味覚成分でありATP関連物質であるイノシン酸が生成されるタイミングが他の要素(弾力、歯あたり、舌触り)と最もバランスが取れた時間帯に調理消費されることが経験的に知られ、賞味時間の前に即殺後、一定時間冷蔵庫保持し、このタイミングを見計らって調理する高級料亭は多い。本実施例の燻液の効果の一つは、燻煙由来の調味成分が鰓呼吸を通じ体内に簡単に取り込まれる点である。 【0098】 また、本実施例の溶解した乾留燻煙成分を鰓吸収させた魚の血合い部分はその大半が、冷凍保存中のメト化の進行が遅延する。淡水魚では鯉、ティラビアに乾留燻液を鰓吸収させた検体、海水魚では真鯛、ぶり(ハマチ)、カンパチ、ニベ、すぎ、ひらまさ、さば等血合いの発達した魚種は顕著に丸物でも、切り身でも冷凍保存中のメト化は防止された。一方スズキはほとんど色調には影響を与えず、平目では個体差が大きかった。これは後述する燻煙の溶解液に対する個体毎の体力抵抗差とも受け止められる。 【0099】 また、本実施例の燻煙成分による脱臭効果については未だ定説が無いためここでは効果についての結果のみについて述べると、淡水魚養殖池のティラビア(Tilapia・nilotica)で発生したかび臭い藻臭(ジオスミン発生臭)が吸着した活魚をタンク中で酸素を飽和未満とし、燻煙を微量流入し、20分ほどで刺激反応を失った状態で切り身を更にスライスし、対照区と比較したところ、藻臭は顕著に減少した。これ等の効果は即効的に作用し、通常数週間かかる脱臭さらし(無臭の清水中で長時間かけて、鰓排出により臭気成分を体内より排出する。)が極めて短時間で終了することを意味する。応用の範囲は鯉、うなぎ等の閉鎖水路内で鰓呼吸により吸着した環境水臭気に対してであるが、しかし試験の結果では灯油、ガソリン臭には余り効果が無かった。これは燻煙成分の脱臭機能が作用しにくいのではないかと考える。 【0100】 また、本実施例は、燻煙を環境飼育水に溶解させ燻液とする時点で魚体に対して鎮静作用を持つ。このことは、魚体を取り扱う上で作業性を向上させ、魚の興奮を抑制し、魚肉の肉質変化を遅延させることが予想される。 【0101】 尚、本実施例は、海水魚では真鯛、ぶり(ハマチ)、カンパチ、ひらまさ、スキ゛スズキ丸小判、また天然の多獲魚(いわし、秋刀魚、さば)、大型魚であるマグロ類(キハダ、目鉢、南インド、黒)、かつお等の活魚、あるいは淡水魚では、うなぎ、鯉、ティラビア、虹鱒、鮎等の活魚に適用可能で、これらの魚肉の品質改善、冷凍保存性向上、環境飼育水より吸収される臭気の矯正阻止等に利用できる。 【0102】 尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。 【図面の簡単な説明】 【0103】 【図1】本実施例の装置の概略図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】594179801 【氏名又は名称】株式会社オンスイ 【住所又は居所】新潟県長岡市高畑町777番地1
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| 【出願日】 |
平成16年8月27日(2004.8.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091373 【弁理士】 【氏名又は名称】吉井 剛
【識別番号】100097065 【弁理士】 【氏名又は名称】吉井 雅栄
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| 【公開番号】 |
特開2006−61105(P2006−61105A) |
| 【公開日】 |
平成18年3月9日(2006.3.9) |
| 【出願番号】 |
特願2004−249067(P2004−249067) |
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