| 【発明の名称】 |
魚釣用リールのライニング材 |
| 【発明者】 |
【氏名】小池 守 【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ドラグ力を広範囲にわたって緩やかに調整することができ、細い釣糸を使用する魚釣用リールにも好適に使用することができる耐久性の高い安価な魚釣用リールのライニング材を提供すること
【解決手段】リール本体のフレーム14a,14bに回転可能に支持されたハンドル34の回転で、リール本体に支持されたスプール12に釣糸を巻回保持し、釣糸巻取り状態時における釣糸繰り出し方向へのスプールの回転を許容するドラグ機構に組込まれ、釣糸繰り出し方向へのスプールの回転に摩擦制動力を形成する魚釣用リールのライニング材52であって、少なくとも10mmの長さを有する繊維から薄板状に形成され、この表面に、繊維を直接起毛して形成した起毛層62を有する魚釣用リールのライニング材 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リール本体に回転可能に支持されたハンドルの回転で、リール本体に支持されたスプールに釣糸を巻回保持し、釣糸巻取り状態時における釣糸繰り出し方向へのスプールの回転を許容するドラグ機構に組込まれ、釣糸繰り出し方向へのスプールの回転に摩擦制動力を形成する魚釣用リールのライニング材であって、 少なくとも10mmの長さを有する繊維から薄板状に形成され、この表面に、前記繊維を直接起毛して形成した起毛層を有することを特徴とする魚釣用リールのライニング材。 【請求項2】 前記繊維は、最大繊維径が1μmであることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リールのライニング材。 【請求項3】 前記起毛層を支えるベース層に樹脂が含浸されていることを特徴とする請求項1または2に記載の魚釣用リールのライニング材。 【請求項4】 前記繊維は、ウレタン繊維を10〜50重量%含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の魚釣用リールのライニング材。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、魚釣用リールのライニング材に関し、特に、魚釣用リールのドラグ機構に組込まれるライニング材に関する。 【背景技術】 【0002】 一般に、魚釣用リールには、リール本体に回転可能に支持されたハンドルの回転で、リール本体に支持されたスプールに釣糸を巻回保持し、釣糸巻取り状態時における釣糸繰り出し方向へのスプールの回転を許容するドラグ機構が組込み、釣糸を介して繰り出し方向に大きな力が作用したときに、スプールに制動力を付与しながら、このスプールを釣糸繰り出し方向に回転可能とするものがある。このようなドラグ機構では、スプールや駆動歯車等の回転体がリール本体の支軸に回転可能に摩擦結合されており、この摩擦結合状態を変化させることにより摩擦制動力の調整を行なうことができる。具体的には、このような回転体と支軸との双方に制動板が設けられ、ドラグ操作部材を回転させて制動板間の圧接状態を変化させることにより、ドラグ力すなわちスプールの回転に対する摩擦制動力を変化させることができる。これらの制動板間にはドラグ力を発生するライニング材が介挿されており、互いに隣設する制動板はこのライニング材を介して圧接される。なお、ライニング材と制動板は所定のドラグ収容部(例えば制動板によって押圧される駆動歯車等の内部)内に収容されて保持される。 【0003】 このような魚釣用リールのドラグ機構に通常用いられる、いわゆるドライのライニング材として、羊毛フェルトを使用したものが広く知られている。このライニング材は、繊維を絡み合わせることで形成されており、使用する際にはグリスが塗布される。このようなライニング材には、次のような欠点がある。 【0004】 第1に、圧縮による変形量が大きく調節が容易な利点を有するが、一旦、高い圧力で圧縮すると、元の厚さに復元することができず、頻繁に交換する必要がある。 第2に、磨耗し易く、耐久性が低い。 第3に、釣糸が高速で繰り出されると、このときに発生する高温の摩擦熱により、ライニング材が炭化し、ドラグの耐力が著しく低下する等、熱に対して弱い。 第4に、グリスの保持力が弱く、長期の使用で摩擦面が油膜切れを起こし、焼き付きが発生する。このように油膜切れが起きると、スティックスリップと呼ばれる引っ掛かり現象が生じ、初期の性能を維持できず、ドラグの作動が不安定となって、糸切れや魚をバラしてしまうといった不具合が生じる。 【0005】 このような従来のライニング材を改良するため、耐熱性と可撓性とを持つ合成樹脂あるいは金属製の基板に、耐熱性の天然繊維、合成繊維あるいはこれらの混合繊維製の織布を接着したライニング材が開発されている(例えば特許文献1参照)。 また、炭化しにくい耐熱性のある材料によって形成される板状の基材の表面に、この表面に対して垂直方向に、炭化しにくい耐熱性のある材料製の短繊維を植毛状態に接着した釣用ライニング材も開発されている(例えば特許文献2参照)。 【0006】 この特許文献2に記載のライニング材は、基材の表面から垂直方向に繊維を立ち上げることにより、従来のフェルト製のライニング材に比して圧縮変形量が少なく、復元力が高いため、耐久性が向上し、頻繁に交換する必要がない。また、繊維間にグリースを保持して、摩擦面に常に油膜を形成し、接触が繊維の先端のみで行われるため、高速で摩擦係合してもライニング材の炭化が防止され、ドラグの耐力が低下するのを防ぐことができる。更に、これらの繊維で得られる弾力性により、ドラグ力の調整幅が大きくなるため、ドラグノブの調整量に対する制動力の変化が緩やかとなり、細い釣糸を使用する魚釣用リールにも好適に用いることができる。 【特許文献1】実公平4−27338号公報 【特許文献2】特開2002−251997 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 上記特許文献1に記載のライニング材は、剛性の基板の表面に織布を接着しただけであるため、全体の厚さに対する織布の占める割合が少ない。このため、弾力性が低く、ドラグ操作部材を通じてドラグ力を調整しようとしても、ドラグ力の調整幅が小さく、したがって僅かにドラグ操作部材を操作しただけで、制動力が急激に変化することになる。すなわち、調整が困難で、特に細い釣糸を使用する魚釣用リールへの対応が困難である。更に、剛性の基板を用いるため、コスト高で部品単価が高い点で改善が望まれている。 【0008】 一方、特許文献2に記載のライニング材は、上述のように、特許文献1に記載のようなライニング材の不具合を改善するものであるが、基板に短繊維を植毛状態に接着したものであるため、次のような改善の余地が残されている。 【0009】 第1に、ライニング材と制動板との接触面積が少なくなり易く、充分な制動トルクを得難い。すなわち、短繊維のために、大きな柔軟性を与えることは困難であり、このため、繊維の側面を用いて制動トルクを形成することは困難である。 第2に、短繊維が基板に対して接着剤で接着されているため、接着剤の接合強度によりドラグ性能が影響され、弱い接着剤を用いた場合には基板から剥離し、強い接着剤を用いた場合には繊維の柔軟性が損なわれる。 第3に、繊維の先端すなわち制動板に接触する側の端部と基板との間の距離が安定せず、接触圧が強い部分と弱い部分とが形成され、制動ムラが生じる。特に、繊維径を太くして張りを持たせ、制動板に対する接触圧を均一にしようとすると、その柔軟性が損なわれ、逆に、繊維径を細くすると基板の接着剤層上に倒れてしまう。 【0010】 本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、接着剤等の性能に影響されることなく、ドラグ力を広範囲にわたって緩やかに調整することができ、細い釣糸を使用する魚釣用リールにも好適に使用することができる耐久性の高い安価な魚釣用リールのライニング材を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記目的を達成するため、本発明によると、リール本体に回転可能に支持されたハンドルの回転で、リール本体に支持されたスプールに釣糸を巻回保持し、釣糸巻取り状態時における釣糸繰り出し方向へのスプールの回転を許容するドラグ機構に組込まれ、釣糸繰り出し方向へのスプールの回転に摩擦制動力を形成する魚釣用リールのライニング材であって、少なくとも10mmの長さを有する繊維から薄板状に形成され、この表面に、前記繊維を直接起毛して形成した起毛層を有する魚釣用リールのライニング材が提供される。 【0012】 この繊維は、最大繊維径が1μmであることが好ましく、起毛層を支えるベース層は樹脂が含浸されていることが好ましい。また、このような繊維は、ウレタン繊維を10〜50重量%含んでもよい。 【発明の効果】 【0013】 この魚釣用リールのライニング材は、少なくとも10mmの長さを有する繊維から形成された薄板状の表面に形成される起毛層が、この繊維を直接起毛した一体構造に形成されるため、接着剤を必要とせず、耐久性が高くかつ安価に形成され、しかも、この起毛層がその全面にわたって均等な柔軟性及び弾力性を形成するため、ドラグ力を広範囲にわたって緩やかに調整することができ、細い釣糸を使用する魚釣用リールにも好適に使用することができる。 【0014】 この繊維の最大繊維径を1μmとする場合には、起毛した繊維がしなやかになり、これに摩擦係合する制動板に対して、起毛層の繊維の全体が密着し、これにより、小径の繊維でも大きな摩擦力を形成して、充分な耐力を得ることができる。特に、起毛層がしなやかになることで、局部的な接触圧の上昇が回避され、滑らかに摺動することができるため、スティックスリップの発生を効果的に防ぐことができる。 【0015】 この起毛層を支えるベース層に樹脂が含浸されている場合には、ライニング材の形状が安定すると共に、例えばプレス工程による打ち抜き等の成形加工を容易に行うことができ、量産性が向上し、製造コストを低減することができる。 【0016】 更に、ウレタン繊維を10〜50重量%含む場合には、更に高トルクに対応することができ、ドラグ耐力の向上により、ドラグ機構の制動板およびライニング材の数を減少して魚釣用リールの小型化を図ることが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 図1は、ライニング材を用いる魚釣用リールとして、両軸受型魚釣用リール10を示す。 本実施形態の両軸受型魚釣用リール10は、釣糸が巻回されるスプール12を、リール本体を形成する左右のフレーム14a,14b間に回転自在に支持しており、これらの左右のフレーム14a,14bには側板14c,14dを取り付けてある。 【0018】 右側板14dは、スプール12を回転駆動させる巻取り駆動部16を支持し、この右側板14dと右フレーム14bとの間に形成された空間内に、後述する駆動力伝達系やドラグ系等の各種機構が収容されている。左右のフレーム14a,14b間にはスプール軸18が軸受20,20を介して回転可能に支持されており、また、スプール軸18には釣糸が巻回されるスプール12が一体で固定されている。 【0019】 右フレーム14bから突出するスプール軸18の端部には、スプール軸18の軸方向に沿って移動可能なピニオンギア22が取り付けられている。具体的には、ピニオンギア22は、その両端部の軸受24,24によって回転可能に支持された状態で、スプール軸18と一体のピニオン軸18a上に移動可能に取り付けられている。また、ピニオンギア22は、クラッチ機構をON/OFF操作することによって、スプール軸18に係合してスプール軸18と一体的に回転する係合位置と、スプール軸18との係合状態が解除された非係合位置との間を移動することができるようになっている。具体的には、ピニオンギア22に形成された円周溝22aに係合しているヨーク26が、クラッチ機構のON/OFF操作に連動して、ピニオン軸18aに沿って移動することによって、ピニオンギア22を係合位置(クラッチONの釣糸巻取可能状態)と非係合位置(クラッチOFFのスプールフリー回転状態)とに移動させることができる。 【0020】 ピニオンギア22には、釣糸の繰り出しで回転する回転体としてのドライブギア28が噛合している。このドライブギア28は、巻取り駆動部16を構成する支軸としてのハンドル軸30に回転可能に支持されている。この場合、ハンドル軸30の両端部は、右フレーム14bおよび支持側板14dに設けられた軸受32,32によって回転可能に支持されている。 【0021】 ハンドル軸30の外端部には、ハンドル軸30とともに巻き取り駆動部16を構成するハンドル34が取り付けられている。なお、ハンドル34を回転操作すると、後述するドラグ機構を介してドライブギア28が回転され、それに伴ってピニオンギア22が回転してスプール軸18が回転駆動され、結果として、スプール12が回転される。なお、ハンドル34の両端部にはノブ34aが回転自在に設けられている。 【0022】 ハンドル軸30の途中には、このハンドル軸30の一方向のみの回転を許容する一方向クラッチ36が設けられている。また、ハンドル軸30の内端部には、クラッチ復帰用のラチェットギア38aと連動ギア38bとが支持されている。ラチェットギア38aは、ハンドル軸30に回り止め嵌合されており、また、連動ギア38bは、ハンドル軸30に回転可能に支持されるとともに、ドライブギア28と噛み合ってドライブギア28と一体に回転するようになっている。 【0023】 また、連動ギア38bは、スプール12の前方側に配されたレベルワインド機構40のウォームシャフト40aを駆動するギア40bと噛合している。レベルワインド機構40は、外周面にトラバース溝が形成され且つ端部にギア40bが取り付けられたウォームシャフト40aと、このウォームシャフト40aを収容する筒体41aと、前記トラバース溝と係合してウォームシャフト40aの回転により筒体41aに沿って左右に摺動する係合子41bとを有しており、係合子41bに形成された孔を介してスプール12に巻回された釣糸を案内する。したがって、ハンドル34を回転操作すれば、スプール12の回転および係合子41bの左右の摺動により、スプール12には釣糸が均等に巻回される。 【0024】 なお、左フレーム14aから突出するスプール軸18の端部には、スプール軸18の過回転を防止して、釣糸放出時のバックラッシュを防止するバックラッシュ防止機構42が設けられている。 【0025】 本実施形態の両軸受型リール10は、釣糸の繰り出しで回転するスプール12に制動力を付与しながらスプール12の釣糸繰り出し方向への回転を許容するドラグ機構(制動装置)を備えている。なお、本実施形態の両軸受型リール10では、スプール12に回転力を伝える(スプール12から回転力を受ける)ドライブギア28に制動力を付与することにより、スプール12の釣糸繰り出し方向への回転を制動できるようになっている。 【0026】 図2に具体的に示すように、本実施形態のドラグ機構は、ドライブギア28と噛み合ってこれと一体回転する複数の第1の制動板(ワッシャ)44a,44bと、ハンドル軸30に回り止め支持(嵌合)されてハンドル軸30と一体に回転する第2の制動板(ワッシャ)46a,46bと、ハンドル軸30の外端部に螺合されたドラグ操作部材48(図1参照)と、ハンドル軸30に回り止め支持(嵌合)され且つドラグ操作部材48の回転によって制動板44a,44b,46a,46bを押圧するように移動される押圧部材50と、制動板44a,44b,46a,46bの互いに燐設する摩擦面(制動面)間に介挿されたライニング材52とを備えている。 【0027】 押圧部材50と共に第2の制動板46a,46bをハンドル軸30の軸方向に沿ってスライドできるようにするため、第2の制動板46a,46bは、ハンドル軸30の矩形の断面形状に対応する矩形の穴47を介してハンドル軸30に嵌合支持される。この矩形の穴47により、第2の制動板46a,46bは、ハンドル軸30に回り止めされ、このハンドル軸30と共に一体的に回転する。また、第1の制動板44a,44bは、ハンドル軸30よりも大径の穴43を有し、第2の制動板46a,46bの外径とほぼ同じその外周縁部から、本実施形態ではほぼ等間隔に配置された4つの凸部45がこの外周縁部を超えて半径方向外方に突出する。これらの凸部45は、ドライブギア28の内周面にほぼ等間隔に離隔した位置で軸方向に沿って延設された4つの凹部54に係合されることによって、ドライブギア28と噛み合ってこれと一体回転する。また、制動板44a,44b,46a,46bの互いに燐設する摩擦面(制動面)間に介挿されたライニング材52は、第1の制動板44a,44bの穴43とほぼ同じかあるいはこれよりも僅かに大きい中央孔51を有し、その外径は、第2の制動板46a,46bの外径とほぼおなじかあるいはこれよりも僅かに小さい外径を有し、このドラグ機構に組込まれたときに、ハンドル軸30とドライブギア28とのいずれとも直接接触することのない大きさに形成されている。これらの制動板44a,44b,46a,46bとライニング材52とは、一括して、ドライブギア28の凹状の収容部56内に収容され、この収容部56の底壁57に向けて押圧部材50で押圧される。 【0028】 なお、ライニング材52は、後述するように不織布に樹脂を含浸させて形成されており、また、制動板44a,44b,46a,46bは、このライニング材52よりも強度が高い例えばSUS材によって形成されている。また、収容部56の底壁57から最も離隔した制動板46bの外側面からは、その穴47の周部に沿って突部49が突出し、この突部49に当接する押圧部材50から、全面に沿って均等に押圧力を受けることができる。 【0029】 このようなドラグ機構では、ドラグ操作部材48が一方向に回転操作されると、押圧部材50が制動板44a,44b,46a,46bを押圧するようにハンドル軸30の軸方向に沿ってスライドされ、制動板44a,44b,46a,46bの摩擦面同士がライニング材52を介して圧接されるとともに、制動板44aがドライブギア28の底壁57に所定の押圧力で押さえ付けられる。そして、この時の押圧力が連動ギア38bを介してハンドル軸30と一体回転するラチェットギア38aに作用することにより、ドライブギア28がハンドル軸30に対して摩擦結合され、スプール12に所定のドラグ力が発生する。 【0030】 図3および図4に拡大して示すように、本実施形態のライニング材52は、少なくとも10mmの長さを有する長尺の繊維の集合体を絡ませて薄板状に圧縮した不織布のシート材58から所要形状に打ち抜いて形成される。特に図4に詳細に示すように、このシート材58は、樹脂を含浸させた剛性構造のベース層60と、このベース層60の表面に、ベース層60の繊維を直接起毛して形成した起毛層62とを有する。 【0031】 このシート材58を形成する場合は、まず、上述のように、少なくとも10mmの長さを有する長尺の繊維の集合体を適宜の方法で絡ませ、薄板状に圧縮した後、樹脂を含浸し、ベース層60を形成する。この際、ベース層60の表面に樹脂が染み出ない程度に樹脂を含浸し、硬化させる。ベース層60の表面から樹脂が染み出るのを防止するためには、ベース層60を少なくとも0.3mmの厚さとすることが好ましい。ベース層62の厚さが0.3mmよりも薄くなると、ベース層60の表面に樹脂が染み出て、この表面に起毛層62を形成することができなくなる。逆に、このような起毛層62を形成できるものであれば、どのような厚さであってもよく、ライニング材52を組込むドラグ機構の必要に応じた適宜の厚さに形成することが可能である。 【0032】 起毛層62は、ベース層60に含浸させた樹脂が硬化した後、その表面に残った樹脂分を除去しつつ、表面に露出する繊維を適宜の鑢状部材あるいは針状部材により、その全体にわたって起こし、均等に毛羽立てることにより形成する。起毛層62を形成する繊維の長さは、0.1mm〜1mmの範囲とすることが好ましい。したがって、ベース層60の両側に起毛層62を形成する場合は、このシート材58の最小の厚さは0.5mmとなる。起毛繊維長が0.1mmよりも短いと繊維の柔軟性がなくなり、ライニング材52としてドラグ機構に組込んだときに、ドラグ力の調整幅が狭くなることに加え、0.1mm以下とすることは不可能ではないとしても、その起毛工程における起毛繊維長の制御が極めて困難となるためである。一方、起毛繊維長が1mmを超えると、繊維のコシが無くなり、特に、繊維径が例えば1μm以下では起毛せずに倒れてしまい、ドラグ力の調整範囲を確保することができなくなる。 【0033】 この起毛層62はベース層60と一体構造すなわちベース層60の繊維を直接起毛することで形成してあり、接着剤等を必要としない。換言すると、起毛層62の繊維はベース層60から延びた、ベース層60と連続した繊維であり、ベース層60が含浸した樹脂により剛性構造とされた繊維で形成されているのに対し、起毛層62は、ベース層60で支えられ、自由に撓みあるいは起伏可能な繊維で形成されている点でのみ相違する。このようなシート材58を形成する繊維は、互いに絡み合い、起毛層62がベース層60から脱落することのない強固な構造に形成するために、少なくとも10mmの長さを有するものであれば、どのような長さであってもよい。 【0034】 また、繊維の太さは、最大繊維径を1μmとし、可能な限り細く形成することが好ましい。このように繊維径を細くすることで繊維の密度を高め、ドラグ機構に組込んだときに、制動板44a,44b,46a,46bの隣接する摩擦面と起毛層62の繊維との接触面積を大きくし、これにより、耐力を向上させることができる。また、繊維密度が高まることにより、適度な弾力性が得られ、ドラグ力を適度な範囲で調整することが可能となる。更に、繊維径が細くなることで、繊維の柔軟性が増大してしなやかになり、制動板44a,44b,46a,46bの隣接する摩擦面に対する追従性が向上する。この結果、制動力の変化がドラグ操作部材48(図1)の調節量に対してほぼ比例する状態となり、このドラグ操作部材48の調節値に応じた制動力変化が得られると共に、制動摩擦力を超える力が作用したときの滑り出しがスムーズとなり、スティックスリップの発生を大幅に抑えることができる。 【0035】 このようなシート材58を形成する繊維は、綿、羊毛、ポリエステル繊維、ポリアミド系繊維、フェノール繊維、ウレタン繊維等を用いるのが好ましく、ベース層60に含浸する樹脂は、耐熱性の面からフェノール樹脂が好ましいが、エポキシ、ポリイミド、ウレタン等を用いることも可能である。また、繊維に、ウレタン繊維を10〜50重量%含む場合には、更に高トルクに対応することができ、ドラグ耐力の向上により、ドラグ機構の制動板およびライニング材の数を減少して魚釣用リールの小型化を図ることが可能となる。このようなシート材58の具体例として、0.5μm径のポリエステル繊維に、0.5μm径のウレタン繊維を20重量%混入した不織布を形成し、この不織布にフェノール樹脂を含浸させ、硬化させた後、その両面を起毛して形成することができる。 【0036】 このようなシート材58は、好適な大きさに形成し、例えばプレスにより、所要の形状および大きさに打ち抜くことにより、極めて簡単かつ効率良くライニング材52として形成することができる。ベース層60に樹脂を含浸させてあるため、その形状が安定すると共に、切断縁部が滑らかな外形を形成し、この縁部を成形するための後工程を必要としない。 【0037】 そして、ライニング材52としてドラグ機構に組み込まれ、ドラグ操作部材48の操作量に応じた摩擦制動力を、制動板44a,44b,46a,46bの互いに燐設する摩擦面間に形成する。ライニング材52のベース層60が少なくとも10mmの繊維を絡めた状態で樹脂を含浸させているため、このベース層60は大きな圧縮力および引張り力にも耐え、例えば0.5mmの厚さの薄板構造に形成されている場合であっても、大きな耐久性を持ち、安定した形状及び摩擦力形成機能を長期間にわたって維持することができる。また、このベース層60を比較的平坦構造に形成することができ、起毛層62がこの平坦なベース層60の繊維を直接起毛して形成されているため、起毛層62の厚さがライニング材52の全面にわたって均等となり、接触圧あるいは摩擦制動力も全面にわたって均一の大きさに形成することができる。起毛層62の繊維は、1μm以下の繊維径に抑えてフェルトとほぼ同程度の柔軟性を持たせることができると共に、ベース層60の樹脂で保持されているため、脱落が抑制され、起毛層62の耐久性も大幅に向上する。 【0038】 したがって、このように形成されるライニング材52は、その起毛層62のフェルト並の柔軟性によるドラグ力の大きな調整範囲を確保し、樹脂を含浸したベース層60による形状安定性、容易な成形加工性を備えると共に、起毛層62の脱落を大幅に抑えることにより耐久性を大幅に向上させることができる。 【0039】 以上、本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは言うまでもない。例えば、ライニング材52を形成するシート材58を、少なくとも10mmの繊維を絡ませた不織布に樹脂を含浸させて形成することに代え、同様な繊維で形成した織布に樹脂を含浸させて形成してもよい。また、起毛層62の厚さあるいは繊維密度についても、ベース層60の両側の面毎に変えてもよく、更に、同じ面内においても例えば半径方向内側と外側との領域に分けて変えることも可能である。いずれの場合にあっても、本発明のライニング材は上述の実施形態における両軸受型リールにその用途が限定されるものではなく、スピニングリールのドラグ機構や両軸受形リールのドラグ機構等にも適用可能なことは明らかである。 【図面の簡単な説明】 【0040】 【図1】本発明の好ましい実施形態による魚釣用リールの内部構造を示す断面図。 【図2】図1の魚釣用リールのドラグ機構の分解説明図。 【図3】図2のドラグ機構に用いるライニング材を形成するシート材の斜視図。 【図4】図3のシート材の拡大断面図。 【符号の説明】 【0041】 10…魚釣用リール、12…スプール、14a,14b…リール本体のフレーム、34…ハンドル、52…ライニング材、58…シート材、60…ベース層、62…起毛層。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002495 【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社 【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
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| 【出願日】 |
平成16年6月29日(2004.6.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100091351 【弁理士】 【氏名又は名称】河野 哲
【識別番号】100088683 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 誠
【識別番号】100100952 【弁理士】 【氏名又は名称】風間 鉄也
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| 【公開番号】 |
特開2006−6278(P2006−6278A) |
| 【公開日】 |
平成18年1月12日(2006.1.12) |
| 【出願番号】 |
特願2004−191898(P2004−191898) |
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