トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 自動搾乳機
【発明者】 【氏名】土井 豊彦

【氏名】永幡 肇

【要約】 【課題】搾乳前に酪農動物の乳頭を効果的に洗浄及び殺菌する。

【解決手段】酪農動物を自動的に搾乳する搾乳ユニット11と、次亜塩素酸水を製造する次亜塩素酸水製造手段40と、次亜塩素酸水を搾乳ユニット11に供給する次亜塩素酸水供給手段45とを具備し、搾乳ユニット11は、ティートカップ12を酪農動物の乳頭Tに自動的に装着して搾乳する搾乳ロボット13と、搾乳ロボット13を制御する第1の制御部18を備え、搾乳ロボット13は、次亜塩素酸水を用いて乳頭Tを洗浄する乳頭洗浄手段14を備え、次亜塩素酸水製造手段40は、次亜塩素酸水の生成装置41と、生成装置41を制御する第2の制御部42を備え、第2の制御部42は、次亜塩素酸水の生成状態が不良である場合にはNG信号を第1の制御部18に送信して、搾乳ユニット11による搾乳作業を停止するようになっていることを特徴とする自動搾乳機10を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酪農動物を自動的に搾乳する搾乳ユニットと、次亜塩素酸水を製造する次亜塩素酸水製造手段と、前記次亜塩素酸水製造手段により製造された次亜塩素酸水を前記搾乳ユニットに供給する次亜塩素酸水供給手段とを具備する自動搾乳機であって、
前記搾乳ユニットは、ティートカップを酪農動物の乳頭に自動的に装着して搾乳する搾乳ロボットと、搾乳ロボットの動作を制御する第1の制御部を備え、
前記搾乳ロボットは、前記次亜塩素酸水を用いて酪農動物の乳頭を洗浄する乳頭洗浄手段を備え、
前記次亜塩素酸水製造手段は、次亜塩素酸水を生成する生成装置と、この生成装置の動作を制御する第2の制御部を備え、
第2の制御部は、次亜塩素酸水の生成状態が不良である場合には、次亜塩素酸水の生成状態が不良であることを示すNG信号を前記第1の制御部に送信し、前記第1の制御部は、前記NG信号を受信したとき前記搾乳ユニットによる搾乳作業を停止するようになっていることを特徴とする自動搾乳機。
【請求項2】
前記搾乳ユニットは、さらに、搾乳を受ける酪農動物を収容する搾乳ブースと、前記搾乳ブースに通じるゲートを開閉するゲート開閉手段を備え、
前記第1の制御部は、前記NG信号を受信したとき、前記ゲートが開かないように前記ゲート開閉手段を制御するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の自動搾乳機。
【請求項3】
前記第2の制御部のNG信号に基づいて、次亜塩素酸水の生成状態が不良である場合に警報を通報する通信手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の自動搾乳機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ティートカップを酪農動物の乳頭に自動的に装着して搾乳する搾乳ロボットを備える自動搾乳機に関し、特に、搾乳に先立って酪農動物の乳頭を洗浄する機能を備える自動搾乳機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乳牛等の酪農動物から搾乳する作業を省力化する目的で、ティートカップを酪農動物の乳頭に自動的に装着して搾乳する搾乳ロボット及び該搾乳ロボットを備える自動搾乳機が開発され、特にヨーロッパでは多用されるようになっている。
この種の自動搾乳機においては、酪農事業者の監視がない状況で搾乳作業が行われるため、設備や乳等の汚染防止が重要である(例えば特許文献1参照)。
また、細菌等による乳汁の汚染や、乳頭とティートカップとの接触を通じた感染症の感染を防止するため、搾乳前に酪農動物の乳頭を洗浄することも行われている(例えば特許文献2,3,4参照)。
特許文献2においては、ティートカップの上面付近から、洗浄流体及び/または消毒流体を乳頭に向けて噴射することにより、乳頭を洗浄及び/または消毒することが開示されている。
特許文献3においては、ローラやブラシ等の洗浄素子2個の間に乳頭を引き込み、洗浄素子を回転させながら乳頭の先端と根元との間を往復動させることにより、乳頭を洗浄することが開示されている。
本願発明者らによる特許文献4に記載の発明においては、乳頭洗浄用の洗浄液として、塩酸を含有する原料水(塩化ナトリウムを実質的に含有しないもの)を電気分解することにより得られる次亜塩素酸水を使用することが開示されている。次亜塩素酸水を用いることにより、洗浄水が金属を腐食することが少なく、殺菌作用も強力になる。また、次亜塩素酸水は仮に蒸発したとしても食塩が析出することがないので、使用後に水洗いによるすすぎが不要という利点もある。
【特許文献1】特表2002−524094号公報
【特許文献2】特開平11−313566号公報
【特許文献3】特開2002−176872号公報
【特許文献4】特開2000−116261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の乳頭の自動洗浄機能を有する自動搾乳機において、乳頭の洗浄に水を用いた場合、噴射やスクラブ等による機械的な作用で汚染物を除去することは可能であるが、乳頭に付着した細菌類の除去は不充分であった。
乳頭に付着した細菌類を除去するためには、殺菌作用のある薬液をタンクに貯留して乳頭の洗浄に用いればよいと考えられる。しかし、タンク内の薬液が不足するたびに酪農事業者が自動搾乳機を訪れて薬液の補充作業をするとなると、自動搾乳機による省力化の効果が失われることとなる。酪農事業者が自動搾乳機を訪れる頻度を少なくするためには、かなり大型のタンクが必要になり、コストや設置スペースが過大になるおそれがある。
【0004】
特許文献4のように、洗浄液として次亜塩素酸水を用いた場合には、次亜塩素酸水の殺菌作用により、乳頭に付着した細菌類を効果的に除去することができる。この場合、次亜塩素酸水を製造するためには、原料水を電気分解する電気分解装置(次亜塩素酸水製造装置)を利用することとなる。酪農事業者が人手で取り扱うタイプの洗浄装置であれば、洗浄の際に酪農事業者が次亜塩素酸水製造装置を点検することにより、いつでも品質の良好な次亜塩素酸水を用いることが可能と考えられる。しかしながら、次亜塩素酸水製造装置を自動搾乳機用の乳頭洗浄装置に組み込んで、次亜塩素酸水の生成状態に万が一異常が生じた場合、乳頭の洗浄や殺菌が不充分なまま搾乳を行うことになり、乳頭や乳汁の衛生を確保できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、搾乳前に酪農動物の乳頭を効果的に洗浄及び殺菌することができ、しかも酪農事業者の負担を軽減することが可能な自動搾乳機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、酪農動物を自動的に搾乳する搾乳ユニットと、次亜塩素酸水を製造する次亜塩素酸水製造手段と、前記次亜塩素酸水製造手段により製造された次亜塩素酸水を前記搾乳ユニットに供給する次亜塩素酸水供給手段とを具備する自動搾乳機であって、
前記搾乳ユニットは、ティートカップを酪農動物の乳頭に自動的に装着して搾乳する搾乳ロボットと、搾乳ロボットの動作を制御する第1の制御部を備え、
前記搾乳ロボットは、前記次亜塩素酸水を用いて酪農動物の乳頭を洗浄する乳頭洗浄手段を備え、
前記次亜塩素酸水製造手段は、次亜塩素酸水を生成する生成装置と、この生成装置の動作を制御する第2の制御部を備え、
第2の制御部は、次亜塩素酸水の生成状態が不良である場合には、次亜塩素酸水の生成状態が不良であることを示すNG信号を前記第1の制御部に送信し、前記第1の制御部は、前記NG信号を受信したとき前記搾乳ユニットによる搾乳作業を停止するようになっていることを特徴とする自動搾乳機を提供する。
この発明においては、前記搾乳ユニットは、さらに、搾乳を受ける酪農動物を収容する搾乳ブースと、前記搾乳ブースに通じるゲートを開閉するゲート開閉手段を備え、前記第1の制御部は、前記NG信号を受信したとき、前記ゲートが開かないように前記ゲート開閉手段を制御するようになっている構成を用いることもできる。
上記発明においては、前記第2の制御部のNG信号に基づいて、次亜塩素酸水の生成状態が不良である場合に警報を通報する通信手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次亜塩素酸水を用いて酪農動物の乳頭を洗浄し、殺菌することができるので、搾乳前に酪農動物の乳頭を効果的に洗浄及び殺菌することができる。次亜塩素酸水の生成状態に万が一異常が生じたとしても、乳頭の殺菌が不充分な酪農動物を搾乳して乳房炎の原因になったり、また、乳頭の殺菌が不充分な酪農動物の乳汁が搾乳済みの乳汁に混入して汚染することを防止することができる。
このように、自動搾乳機における乳頭の洗浄に次亜塩素酸水を利用することが可能となるため、酪農事業者の負担を軽減することができ、衛生的で安全な乳汁をより簡単に得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1,図2は、本発明の自動搾乳機の一例を示す図面であり、図1はブロック図、図2は概略平面図である。
図1に示すように、本形態例の自動搾乳機10は、酪農動物を自動的に搾乳する搾乳ユニット11と、次亜塩素酸水を製造する次亜塩素酸水製造手段40と、次亜塩素酸水製造手段40により製造された次亜塩素酸水を搾乳ユニット11に供給する次亜塩素酸水供給手段45とを具備する。
本発明においては、次亜塩素酸水は、少なくとも酪農動物の乳頭を洗浄するために用いられる。この他、ティートカップなど、装置各部を洗浄するために次亜塩素酸水を用いることもできる。
【0009】
搾乳ユニット11は、ティートカップ12を酪農動物の乳頭Tに自動的に装着して搾乳する搾乳ロボット13と、搾乳を受ける酪農動物を収容する搾乳ブース15と、搾乳ブース15に通じるゲート16を開閉するゲート開閉手段17と、搾乳ロボット13及びゲート開閉手段17の動作を制御する第1の制御部18とを具備する。
酪農動物は、例えば乳牛などであり、以下の説明中、単に牛と言う場合がある。酪農動物を自動的に搾乳する搾乳ユニット11は、上記特許文献に記載されているように、当業者によく知られているものである。
【0010】
搾乳ロボット13は、ティートカップ12が取り付けられたロボットアーム13aを備え、センサにより酪農動物の乳頭Tの位置を検出して、乳頭Tにティートカップ12を自動的に装着するものである。
搾乳ロボット13は、さらに、乳頭Tを洗浄する乳頭洗浄手段14(図2中、図示略)を備え、センサにより乳頭Tの位置を検出して洗浄することができる。乳頭洗浄手段14としては、ブラシやロールを用いたスクラブ洗浄、スプレー等による洗浄液の噴射による洗浄など、種々の洗浄方式を採用することができる。
【0011】
搾乳ブース15は、一頭の牛を収容できるスペースを有する。搾乳ブース15の側には、搾乳ロボット13が配置されている。搾乳ブース15には、牛の個体識別を行う個体識別手段19が設けられている。個体識別手段19は、牛の首等に取り付けられた個体識別用のIDタグから無線等により個体情報を取得する。
牛が識別されると、第1の制御部18を有するコンピュータの記憶装置に記憶されたデータベース20にアクセスすることができる。該データベース20には、給餌や洗浄、搾乳に関するデータを格納することができる。
【0012】
データベース20には、個体識別手段19により識別された個体の牛が前回搾乳された時刻が格納されている。第1の制御部18は、前回の搾乳時刻と現在の時刻との差を計算し、前回の搾乳から充分な時間が経過しているか否かを判定する。前回の搾乳から充分な時間が経過しており、牛の搾乳を行うために必要な条件が整っている場合には、第1の制御部18はゲート開閉手段17に対してゲート16を開くように指令を与え、牛が搾乳ブース15内に進入できるようにする。
【0013】
搾乳ブース15の一端側(図2の右側)には、牛に飼料を与える給餌装置15aが設けられている。給餌装置15aは、データベース20の情報に基づき、牛ごとに適当な量の飼料を給餌桶15bに排出し、搾乳ブース15に進入した牛が飼料を摂取できるようにする。これにより、牛は搾乳ブース15を自発的に訪れるようになり、自動搾乳機10は、牛が飼料を摂取している間に搾乳を行うことができる。
【0014】
さらに搾乳ユニット11は、乳頭Tから乳汁を吸引する陰圧を与える真空ポンプ23と、真空ポンプ23により吸引された乳汁を一時的に貯えるミルクジャー24と、乳汁をミルクジャー24からバルクタンク27に送る送液ポンプ(ミルクポンプ)25と、ミルクジャー24とバルクタンク27との間で乳汁をろ過するフィルタ28とを備える。
ティートカップ12は、途中にカットバルブ21が設けられた配管22を介して、真空ポンプ23及びミルクジャー24と接続されている。真空ポンプ23は、吸引期と休止期が交互に繰り返されるように断続的に吸引を行い、吸引期に陰圧により牛の乳頭Tの管口を開かせ、ティートカップ12を介して搾乳された乳汁がミルクジャー24に流れ込むようにする。カットバルブ21は、ティートカップ12を洗浄するときに、洗浄排水がミルクジャー24に流れ込まないように、配管22の排出経路を切換可能にする三方弁である。
【0015】
ミルクジャー24に貯えられた乳汁は、配管26に設けられた送液ポンプ25によりバルクタンク27に送られ、バルクタンク27内に貯留される。配管26には、乳汁をろ過するフィルタ28が設けられており、乳汁中のゴミ等をこし取ることができる。
なお、特に図示しないが、配管26には、洗浄時の排水等を排出するための三方弁をミルクジャー24とバルクタンク27との間の1箇所又は複数箇所に有している。
【0016】
さらに搾乳ユニット11は、ティートカップ12及び乳頭洗浄手段14に向かって洗浄液を放出するためのジェッター31,32と、CIP(定置洗浄)のための湯(温水)を製造可能なヒータを備える洗浄タンク33と、洗浄タンク33からジェッター31,32に洗浄液を供給する配管34と、洗浄液の流路を切り換える切換バルブ35を備える。
【0017】
ここで、本形態例の自動搾乳機10においては、次亜塩素酸水供給手段45を介して次亜塩素酸水製造手段40により製造された次亜塩素酸水が通液される配管49が切換バルブ35に接続されている。
次亜塩素酸水製造手段40は、原料水の電気分解により次亜塩素酸水を生成する生成装置41と、この生成装置41の動作を制御する第2の制御部42と、第2の制御部42による判定結果に基づいて、次亜塩素酸水の生成状態が不良である場合に警報を通報する通信手段43を備える。
【0018】
次亜塩素酸水供給手段45は、生成装置41により生成された次亜塩素酸水(微酸性次亜塩素酸水)を貯留するリザーバタンク46と、リザーバタンク46内の次亜塩素酸水を配管47,49を介して搾乳ユニット11に送液する送液ポンプ48を備える。生成装置41とリザーバタンク46との間には次亜塩素酸水が通液される配管44が設けられている。微酸性域に調整された次亜塩素酸水は、配管44を介してリザーバタンク46に送られる。リザーバタンク46の容量は、例えば10リットルまたは20リットル程度とすることができる。
【0019】
次亜塩素酸水を用いて乳頭Tやティートカップ12の洗浄を行う場合には、切換バルブ35は、リザーバタンク46内の次亜塩素酸水が配管49,34を介してジェッター31,32に供給されるように切り換えておく。
第1の制御部18は、洗浄が必要な場合には、送液ポンプ48により所要の次亜塩素酸水がジェッター31,32に供給されるように、次亜塩素酸水供給手段45を制御する。
【0020】
本発明において、生成装置41に利用される原料水は、塩酸を添加した水又は化学物質が溶解した水溶液に塩酸が添加された塩酸添加原水である。本発明の効果を最大限に発揮するためには、比較的高濃度の塩酸を水に添加した塩酸添加原水を用いることが望ましい。換言すれば、塩化水素のみを含有する塩酸添加原水を用いることが望ましい。
塩酸が添加される前の原水は、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留水、精製水(RO水、膜処理水)、これらの混合水等であって、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水である。ここで、「実質的に塩化ナトリウムを含有しない」とは、原水に人為的なナトリウムの添加等が無く、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であることを意味している。
【0021】
電気分解により得られた次亜塩素酸水は、原水で希釈することにより、希釈後のpHを微酸性域(pH5〜6.5)に調整される。微酸性域に調整された次亜塩素酸水(微酸性次亜塩素酸水ともいう。)は、特許文献4に記載されているように、殺菌剤として好適である。
【0022】
第2の制御部42は、次亜塩素酸水製造手段40の動作を制御する制御装置である。第2の制御部42は、リザーバタンク46内の次亜塩素酸水の残量が所定の下限を下回った場合には、運転開始の制御信号を生成装置41に送信する。また、リザーバタンク46内の次亜塩素酸水の残量が所定の上限に達した場合には、運転終了の制御信号を生成装置41に送信する。生成装置41は、第2の制御部42の制御信号に基づき、運転を開始または終了し、必要な次亜塩素酸水を製造する。
【0023】
第2の制御部42は、生成装置41による次亜塩素酸水の生成状態を判定し、次亜塩素酸水の生成状態に異常が発見された場合には、次亜塩素酸水の生成状態が不良であることを示すNG信号を、通信手段43および搾乳ユニット11の第1の制御部18に送信する。生成装置41は、生成状態が異常の有無を判定するため、原水の給水圧を測定する圧力計、電解電流を測定する電流センサを備えており、第2の制御部42は、いずれか一つのパラメータでも設定範囲外になると、生成状態が異常であると判定する。
【0024】
通信手段43は、第2の制御部42からNG信号を受信した場合、RS232C信号等の有線通信または携帯電話等の無線により所定の管理者への連絡先(酪農事業者やメンテナンス事業者等)に警報を通報する。管理者の所在が自動搾乳機から比較的近距離であれば、管理者の所在地まで通信ケーブルを布設し、受信機能を有するパソコン等の受信機により、警報を受信することもできる。また、管理者の所在が自動搾乳機から比較的遠距離であれば、電話線やインターネット等の公共通信網を介し、パソコン等で警報を受信することができる。
これにより、管理者が自動搾乳機10から離れた場所にいる場合でも、次亜塩素酸水製造手段40の異常発生を速やかに知り、点検等の適切な対処をとることができる。なお、通信手段43は、第1の制御部18に設けることもできる。
【0025】
また、搾乳ユニット11側の第1の制御部18は、第2の制御部42からNG信号を受信した場合、搾乳作業を停止するように搾乳ユニット11を制御する。これにより、酪農事業者等が点検や修理等の対処を取るまでの間に、乳頭の洗浄や殺菌が不充分なまま搾乳を行うことがないので、ミルクジャー24やバルクタンク27に貯留された搾乳済みの乳汁が汚染されるおそれがない。
搾乳作業の停止は、例えば、IDタグの読み取りの停止や、ゲートオープンの停止など、搾乳作業が開始する前の任意の段階を停止することにより実現することができる。
【0026】
以下、本形態例の自動搾乳機の動作について、図3,図4を参照して説明する。
図3,図4においては、紙面の都合から一つのフローチャートを図3と図4に分割し、搾乳工程を除く部分を図3に、搾乳工程の部分を図4に図示した。動作の流れは、図3の下方に[1]で示したところが図4の上方に[1]で示したところにつながり、図4の下方に[2]で示したところが図4の左上に[2]で示したところにつながるようになっている。
【0027】
自動搾乳機10の運転を開始すると、搾乳ユニット11側の第1の制御部18と、次亜塩素酸水製造手段40側の第2の制御部42とが動作を開始し、第1の制御部18の制御により搾乳ユニット11の運転が開始されるとともに、第2の制御部42の制御により次亜塩素酸水製造手段40の運転が開始される。
【0028】
まず、図3を参照して、次亜塩素酸水製造手段40側の動作を説明する。
第2の制御部42は、リザーバタンク46内の次亜塩素酸水の液位(残量)を確認する(S201)。次亜塩素酸水の残量が所定の下限を下回った場合には、第2の制御部42は運転開始の制御信号を生成装置41に送信し、これに基づき、生成装置41は原料水の電気分解を開始する(S202)。
【0029】
第2の制御部42は、生成装置41による次亜塩素酸水の生成状態を判定する(S203)。生成状態が正常であれば、リザーバタンク46内の次亜塩素酸水の残量を確認する(S204)。次亜塩素酸水の残量が所定の上限に達していない場合には、生成装置41による原料水の電気分解が続行される(S202)。これに対して、次亜塩素酸水の残量が所定の上限に達した場合には、第2の制御部42は生成装置41に運転停止の制御信号を送信し、電気分解を停止する(S205)。電気分解の停止後、第2の制御部42による制御は、ステップS201に戻る。このように、S201〜S205によって構成されるループによって、リザーバタンク46の液位は所定の範囲に維持される。
【0030】
また、S203において次亜塩素酸水の生成状態に異常が発見された場合には、第2の制御部42は、生成装置41にNG信号を送信して生成装置41を異常停止させる(S206)。また、第2の制御部42は、通信手段43にもNG信号を送信し、通信手段43は、酪農事業者等に警報を通報して次亜塩素酸水製造手段40の異常を知らせる(S207)。
生成装置41は、S203において次亜塩素酸水の生成状態を判定した結果の状態評価を行い、生成状態が異常である場合には、搾乳ユニット11側の第1の制御部18にNG信号を送信する(S208)。
【0031】
次に、図3を参照して、搾乳作業を開始するまでの搾乳ユニット11の動作を説明する。
センサにより牛がゲート16の前にいるかどうかを判定する(S101)。牛がゲート16の前にいる場合には、個体識別手段19により牛に取り付けたIDタグを読み取る(S102)。牛の個体識別がなされると、当該牛に関する情報がデータベース20から読み出され、第1の制御部18は、前回の搾乳時刻と現在の時刻との差を計算する(S103)。前回の搾乳から充分な時間が経過していない場合には、牛がゲート16の前から去るまで監視し(S104)、牛がゲート16の前から立ち去ると、制御をS101に戻す。
【0032】
S103において前回の搾乳から充分な時間が経過している場合には、第1の制御部18は、次亜塩素酸水製造手段40が正常に動作しているか否かを確認する(S105)。具体的には、第2の制御部42からNG信号が送られているか否かを確認する。
NG信号を受信している場合には、当該NG信号が取り消されるまで待機する。上述したように、NG信号が発信された場合、S206で次亜塩素酸水の生成装置41が異常停止した後、警報を受けて自動搾乳機10を訪れた酪農事業者や酪農事業者に依頼されたメンテナンス事業者等によって、次亜塩素酸水製造手段40の異常が解消されれば、所定の信号を第1の制御部18に送信することにより、NG信号を取り消すことができる。
【0033】
S105において、次亜塩素酸水製造手段40が正常に動作していることが確認されている場合には、搾乳ブース15内に搾乳中または搾乳後の牛が残っているか否かを確認する(S106)。前に搾乳を受けた牛が搾乳ブース15内に残っていない場合には、第1の制御部18はゲート開閉手段17を介してゲート16を開き、牛が搾乳ブース15内に進入できるようにする(S107)。
【0034】
次に、図4を参照して、搾乳作業の際の搾乳ユニット11の動作を説明する。
牛が搾乳ブース15に進入すると、給餌装置15aは、データベース20の情報に基づき、牛ごとに適当な量の飼料を給餌桶15bに排出する(S300)。これにより、飼料を摂取するため、図2に示すように、牛が給餌装置15aの側を向き、搾乳ブース15内での牛の姿勢が一定に保たれる。
【0035】
搾乳に先立ち、次亜塩素酸水をリザーバタンク46から送液し、ジェッター31から噴出させる。搾乳ロボット13は、センサによって乳頭Tの位置が検出されると、ロボットアーム13aによりブラシ等の乳頭洗浄手段14を乳頭Tに当接させ、乳頭Tを自動的に洗浄する(S301)。
乳頭Tを洗浄する洗浄水が次亜塩素酸水であることにより、乳頭を効果的に殺菌することができる。微酸性次亜塩素酸水は微酸性であるので、乳頭に対する刺激が少なく、金属を腐食することが少ない。また、殺菌作用も強力である。
【0036】
乳頭の洗浄後、搾乳ロボット13は乳頭洗浄手段14を乳頭Tから離して、代わりにティートカップ12を乳頭Tに装着する(S302)。そして、真空ポンプ23の吸引力により、搾乳を行う(S303)。
搾乳後、次亜塩素酸水をリザーバタンク46から送液し、ジェッター32から噴出させることにより、ブラシ等の乳頭洗浄手段14を洗浄する(S304)。
次亜塩素酸水を用いて乳頭洗浄手段14を洗浄することにより、乳頭洗浄手段14を効果的に殺菌できるのみならず、洗浄後に仮に次亜塩素酸水が残留して蒸発したとしても食塩が析出することがない。洗浄後に水によるすすぎを行う必要がないため、作業工程が軽減される。
【0037】
さらに、図示しないディッピング液噴霧手段からディッピング液を噴出させ、乳頭に吹きつけることにより、ポストディッピングを行う(S305)。このディッピング液に次亜塩素酸水を利用することも可能であり、感染防止の効果が得られる。
ポストディッピング後、ティートカップ12を洗浄する(S306)。ティートカップ12を洗浄するときには、カットバルブ21は、洗浄排水がミルクジャー24に流れ込まないように自動的に切り替えられ、ティートカップ12の洗浄排水はカットバルブ21から廃棄される。
搾乳工程が完了すると、搾乳ユニット11の状態を待機状態にセットし(S307)、制御をS101に戻す。
【0038】
上記の実施形態例によれば、次亜塩素酸水を用いて酪農動物の乳頭を洗浄し、殺菌することができるので、搾乳前に酪農動物の乳頭を効果的に洗浄及び殺菌することができる。
次亜塩素酸水製造手段は、原料水を電気分解して不足の無いように次亜塩素酸水を製造することができるので、洗浄水として次亜塩素酸水を採用することにより、予め多量の洗浄水を用意する必要が無く、貯留タンクも小型とすることができる。
搾乳ユニットは、次亜塩素酸水製造手段側の第2の制御部から送信されたNG信号に基づき、次亜塩素酸水の生成状態が不良である場合には、搾乳作業を停止するようになっているので、次亜塩素酸水の生成状態に万が一異常が生じたとしても、乳頭の殺菌が不充分な酪農動物の乳汁が搾乳済みの乳汁に混入して汚染することがない。つまり、乳汁の衛生を確保することができる。
【0039】
第2の制御部により、次亜塩素酸水の生成状態が不良であると判定されたときに、搾乳ブースに通じるゲートを閉鎖するように制御されるので、搾乳作業が停止された状態で酪農動物が搾乳ブースに進入することを阻止することができる。これにより、搾乳作業が開始しないことを酪農動物が不審に感じて暴れ出したり、酪農動物の自動搾乳機に対する馴致を損ねたりするおそれがない。
【0040】
また、第2の制御部によるNG信号に基づいて、次亜塩素酸水の生成状態が不良である場合に警報を通報する通信手段を備えるので、酪農作業者が次亜塩素酸水製造手段の異常の通報を受けて、早急に対処することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、乳牛等の酪農動物を自動的に搾乳することに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の自動搾乳機の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の自動搾乳機の一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明の自動搾乳機の動作例を説明するフローチャートであり、搾乳工程を除く部分のフローチャートである。
【図4】本発明の自動搾乳機の動作例を説明するフローチャートであり、搾乳工程の部分のフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10…自動搾乳機、11…搾乳ユニット、12…ティートカップ、13…搾乳ロボット、14…乳頭洗浄手段、15…搾乳ブース、16…ゲート、17…ゲート開閉手段、18…第1の制御部、40…次亜塩素酸水製造手段、41…次亜塩素酸水の生成装置、42…第2の制御部、43…通信手段(通信機)、45…次亜塩素酸水供給手段、T…乳頭。
【出願人】 【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
【識別番号】504322460
【氏名又は名称】永幡 肇
【出願日】 平成16年8月24日(2004.8.24)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【公開番号】 特開2006−61006(P2006−61006A)
【公開日】 平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願番号】 特願2004−243654(P2004−243654)