| 【発明の名称】 |
植物への二酸化炭素の施用による育成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】桜井 四郎
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| 【要約】 |
【課題】光合成を期待するC3植物への炭酸ガスへの施用時間を最も効果のある時間帯とし、植物の生育及びその糖度高めて増収を図る方法を提供する。
【解決手段】C3植物の葉層群洛中への光合成用のCO2ガスの施用に当たり、夜間にCO2ガスを施用する植物の育成方法であり、CO2ガスの施用において、ポリジメチルシロキサン製のチューブ8を用いるものとし、そのチューブ8を植物葉層群洛の中に配設し、これに工業用炭酸ガスボンベ3のガス圧を圧力調整器1で減圧し、そのCO2ガスをこのポリジメチルシロキサン製のチューブ8により夜間送気し、このチューブ8の膜透過により植物葉層群洛の近辺の空気中へCO2ガスを施用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 C3植物あるいはC4植物やCAM植物などの植物葉層群洛への光合成用のCO2ガスの施用に当たり、夜間にCO2ガスを施用することを特徴とする植物の育成方法。 【請求項2】 植物葉層群洛への光合成用のCO2ガスの施用は、ポリジメチルシロキサン製のチューブを植物葉層群洛に配設し、炭酸ガスボンベからのガス圧を圧力調整器で減圧して送気圧力を0.3〜0.7気圧に減圧したCO2ガスをこのポリジメチルシロキサン製のチューブにより夜間に送気し、このポリジメチルシロキサン製のチューブから植物葉層群洛中の雰囲気中へ膜透過によりCO2ガスを放出し、植物葉層群洛へCO2ガスを施用することを特徴とする請求項1に記載の植物の育成方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、米、麦、大豆などの穀物や、野菜や、果樹や、花卉などの、C3植物を栽培するに当たり、それら植物の葉層群落の環境への二酸化炭素の施用の方法に関し、特に夜間の施用方法に関する。 【背景技術】 【0002】 植物の栽培に当たり、二酸化炭素を植物に施用する意義は、次の表1に示す植物体の必須元素必要量の比較に示すO、C、Hの3元素の必要量に基づいている(例えば、非特許文献1参照。)。 【0003】 【表1】
【0004】 この表1のO、C、Hの3元素は、光合成作用により、植物体内に固定されるもので、その元素の濃度は、合計で96%(960,000μg/g)にもなっているから、光合成作用が、実に植物体の栄養の基本といえる。表1のMo〜Nまでの元素とHの元素は、土壌に肥料や水分として施用されるが、O、Cの2つの元素は、気体であるCO2によるために、人為的にコントロールするのが至難で、今日まで露地栽培や施設栽培で正式に施用されていない。このCO2は大気中に、僅かに360ppmしか存在しないといわれており、C3植物にとっては光合成作用には不足し、栄養的に正常な栽培ができない偏った栄養条件での栽培となっている。そのために、このような栽培では各種の農薬類に依存することが多くなっている栽培法といえる。これらの農薬類に依存する方法で栽培された植物を食する人は農薬類による被害から逃れることができないので、このような農薬類に依存する農業を避け、有機農業を信奉する人が依然として多い。 【0005】 ところで、植物の光合成作用には、次の3つの方式があることが知られている(例えば、非特許文献2参照。)。 (1)C3植物(米、麦、大豆、果樹、花卉、野菜など) このC3植物は、多くの栽培植物であり、太陽光の照度がある程度より強い時には光呼吸をする。 (2)C4植物(ハトムギ、トウモロコシ、サトウキビ、モロコシなど) このC4植物は、強い太陽光を受光しても光呼吸をしない。 (3)CAM植物(パイナップル、ベンケイソウ、サボテンなど) このCAM植物は、多肉植物類で、夜間気孔を開き炭酸ガスを取込み、リンゴ酸を生成し、それを液胞に蓄え、日中の太陽光を受けて、液胞からリンゴ酸を取り出し、それを糖に変換する。 【0006】 以上のように、光合成作用には3つの異なる方式があり、ここで、一番問題があるのはC3植物である。ここで、C3植物の光合成作用につき、少し詳しく説明すれば、次の(1)式のようになる。 【0007】 リブロース・1,5−リン酸+CO2+H2O→2(3−ホスホグリセリン酸) (1) 【0008】 この式における炭酸ガスの取込みは、リプロース二リン酸カルボキシラーゼの触媒作用により、二つの3−ホスホグリセリン酸を合成するが、大気中の炭酸ガスが、現在、360ppmという程度が存在するといわれているように、炭酸ガスの濃度が低いので、植物により違いがあるが、ある程度、太陽の照度が高いと、葉にある葉緑体が、太陽光により損傷を受けるために、呼吸作用で炭酸ガスを排泄し、葉緑体の損傷を防ぐといわれている。 【0009】 この時の呼吸作用の、基質は、次の(2)式の反応式により生成される。 【0010】 リブロース・1,5−二リン酸+O2→3−ホスホグリセリン酸+2−ホスホグリコール酸 (2) 【0011】 この2−ホスホグリコール酸が光呼吸の基質とされている。リブロース・1,5−二2リン酸への大気中に多量に存在する酸素(O2)を、還元して反応させるのが、リプロース二リン酸カルボキシラーゼで、これがCO2と同じような作用でO2を反応させるので、この酵素をリプロース二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼと呼んでいる(例えば、非特許文献3参照。)。 【0012】 このC3植物の光呼吸するときの、大気中の炭酸ガス濃度は、水稲の見掛け光呼吸が0.03%(300ppm)〜0.05%(500ppm)の炭酸ガスの濃度下で、最大になるといわれている(例えば、非特許文献4参照。)。これから推定すると、この程度の炭酸ガス濃度で、多くのC3植物は光呼吸をするものと思われる。従って、光合成を行わせるためには、炭酸ガス濃度を現在の360ppmよりは幾分高める必要がある。 【0013】 ところで、多くのC3植物などの光呼吸と光合成についての詳細は、なお研究中である(例えば、非特許文献5、非特許文献6参照。)。 【0014】 【非特許文献1】熊沢 喜久雄著「植物栄養学大要」、株式会社養賢堂出版、昭和49年9月10日、p.14 【非特許文献2】西村 光雄著「光合成」、株式会社岩波書店出版、昭和62年6月29日、p.188〜204 【非特許文献3】西村 光雄著「光合成」、株式会社岩波書店出版、昭和62年6月29日、p.189〜190 【非特許文献4】秋田 重誠著「作物の光合成、光呼吸の種間差」、農業研究報告D第31号、昭和55年、p.88 【非特許文献5】浅田 浩二他著「炭酸ガスの化学」、共立出版株式会社、昭和51年3月1日、p.147〜151 【非特許文献6】矢吹 万寿著「作物の生育環境と光合成」、農業及び園芸、第51巻第11号、昭和51年、p.1333 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0015】 本発明が解決しようとする課題は、光合成を期待するC3植物への炭酸ガスの施用時間の最も効果のある時間帯を1日の24時間の内で定めてこの植物の生育及び植物中の糖度高め、増収を図り、さらにC4植物やCAM植物においても収量の増収を図る方法を提供することであり、さらにそのための器具による炭酸ガスの施用方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0016】 ところで、一般には晴天日の太陽光は100〜110キロルックスであり、このような光飽和度以上の光を受光すると植物の葉は光合成ができず光呼吸をする。そこで、光呼吸ではなく光合成を行わせるためには、大気中の炭酸ガス濃度を、現在の360ppmよりは幾分高める必要がある。その濃度を、昼間か夜間のいずれかに高める必要があるかについて、長年、研究を重ねてきて来た結果、今日、夜間に炭酸ガスを植物に施用すべきであると考えるに至り、本発明を得たものである。 【0017】 すなわち、夜間に二酸化炭素を施用をしたものが、植物体内にいかにして取り込まれるかを考察するとき、次の表2のBunsenのCO2の水への呼吸係数が考えられる。 【0018】 【表2】
【0019】 この表2のBunsenの呼吸係数は、1mlの水に接している1気圧のCO2が溶解するml数で示されている。空気中のCO2濃度は、仮に0.03%(300ppm)とすれば、空気と平衡状態にある1mlの水の中には25℃で0.759×3×10-4mlのCO2すなわち1.03×10-5Mの濃度で溶解していることになる。 【0020】 この学説から、夜間に施用されたCO2は、植物細胞の水分中に溶解する。そして、生体内でCO2は、その大部分が溶解度の高いHCO3-として存在するとする説があるように、HCO3-は、昼間の太陽光で植物の葉の細胞中に存在する酵素カルボニック・アンヒドラーゼにより、HCO3-→CO2のように変換され、下記の(3)式の反応で右に進行し、変換されたCO2が光合成に使われると考えられる。 【0021】 HCO3-+H+→CO2+H2O (3) 【0022】 従って、C3植物への炭酸ガス施用は夜間にすべきであり、それには、植物栽培の葉層群落へCO2を施用するためには、CO2透過性のあるポリジメチルシロキサン製のチューブを使用する方法が最適である。このチューブをCO2を施用する植物群落の環境内に近い場所に配設し、このチューブに例えば工業用の高圧炭酸ガスボンベからのCO2ガスを圧力調整器で約0.5気圧に減圧して、この減圧したCO2ガスを夜間中に給気し、このチューブの膜透過性により、CO2を植物の葉層群落へ供給するものとする。すなわち、この結果CO2のガス圧と経過時間とによりチューブから膜透過して植物群落中の空気中に300〜500ppmのCO2ガスが供給される。 【0023】 この場合、ポリジメチルシロキサン製のチューブは、市販の100m巻きの内径8mmで外径11mm前後の膜厚のものを中心に、内径8mmで外径10mm、又は内径8mmで外径12mm程度のものを採用するのが好ましい。 【0024】 植物の葉の細胞水へCO2が溶解すれば、当然、葉の周辺の空気中の炭酸ガスが減少し、そこに気体の濃度勾配が生じる。この結果、ポリジメチルシロキサン製のチューブの膜透過により、次々とチューブの膜の外にCO2が出て分子運動で、葉の周辺に拡散してくる。 【0025】 すなわち、本発明の上記の課題を解決するための手段は、請求項1の発明では、C3植物あるいはC4植物やCAM植物などの植物葉層群洛への光合成用のCO2ガスの施用に当たり、夜間にCO2ガスを施用することからなる植物の育成方法である。 【0026】 請求項2の発明では、植物葉層群洛への光合成用のCO2ガスの施用は、ポリジメチルシロキサン製のチューブを植物葉層群洛に配設し、炭酸ガスボンベからのガス圧を圧力調整器で減圧して送気圧力を0.3〜0.7気圧に減圧したCO2ガスをこのポリジメチルシロキサン製のチューブにより夜間に送気し、このポリジメチルシロキサン製のチューブから植物葉層群洛中の雰囲気中へ膜透過によりCO2ガスを放出し、植物葉層群洛へCO2ガスを施用することを特徴とする請求項1の手段の植物の育成方法である。 【発明の効果】 【0027】 本発明は、炭酸ガスを夜間に植物に施用する手段とすることにより、C3植物の太陽光の過剰と思える光を受光することによる光呼吸を抑制し、夜間に施用することで、光合成は高まり、いちご、トマト、ぶどう、ナシなどの糖度が昼間施用の場合に比して一層に高くなり、さらにキャベツでは、新鮮時の重量が21%ほど高まり、従来にない収量の増加が見られる、この場合、ポリジメチルシロキサン製のチューブを使用してその膜透過により植物葉層群洛の周辺の雰囲気中へ夜間のみ施用することで、従来にない優れた効果を奏する植物の育成方法である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0028】 以下に、本発明の実施の形態を図1を参照して説明する。図1は、炭酸ガスを施用する植物の周囲に配設する本発明に使用する器具と施用される植物の植栽された畝について示している。本発明は夜間に炭酸ガスを施用するものであるのから、これを人為的に行うことは厄介である。従って、自動的に施用する装置を作動させる必要がある。そこで、炭酸ガスは工業用ガスボンベ3から圧力調整器1を介して酸素ホース2を通じて供給する。この場合、工業用ガスボンベ3の炭酸ガスの圧力は高圧であるので、約0.5気圧程度に圧力調整器1により減圧して送給するものとする。この酸素ホース2は直動式の2ポート電磁弁5のIN側に接続して炭酸ガスを供給し続ける。この電磁弁5には24時間式のタイムスイッチ4を接続しており、このタイムスイッチ4の作動により定めた施用時間、すなわち夜間に自動的に炭酸ガスを連続的に供給し、直動式の2ポート電磁弁5のOUT側の口に接続した酸素ホース7を、さらに植物栽培の畝9に設置されたポリジメチルシロキサン製のチューブ8と連結して供給している。このポリジメチルシロキサン製のチューブ8の末端はめくらとして閉じられている。なお、24時間作動のタイムスイッチ4はAC電源の電線6からその作動用の電気を供給している。 【0029】 さらに、炭酸ガスを植物葉層群落へ施用するに当たって使用するチューブとして、このポリジメチルシロキサン製のチューブ8を使用する点について説明する。炭酸ガスの透過性のあるチューブとしては、例えば、天然ゴム、アクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン(登録商標:テフロン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサンなどで製造されたチューブを使用することができる。ところで、これらの中で、ガスの透過性、耐候性、耐圧性などを考慮すると、ポリジメチルシロキサン製のチューブが最も適している。このポリジメチルシロキサン製のチューブ8の内径8mmで外径10mm、内径8mmで外径11mm、内径8mmで外径12mmのもので、それぞれ長さ100m巻きの市販品を使用する。これを植物栽培の畝9に合わせて配設するものとする。上記のように、炭酸ガスのガス圧を約0.5気圧程度とし、植物葉層群落の空気中に約300ppm〜500ppmを施用する。 【0030】 タイムスイッチ4の作動による炭酸ガスの施用時間内は、ポリジメチルシロキサン製のチューブ8の膜透過性により、炭酸ガスがポリジメチルシロキサン製のチューブ8から外の畝9の植物の周辺に放出され、植物に炭酸ガスが施用される。ポリジメチルシロキサン製のチューブ8は、植物を栽植の畝9などの葉層群落の内部に近い場所に配設されているので、このように光合成作用を主とする葉層群落の空気中に300〜500ppmの炭酸ガスが施用される。この炭酸ガスの施用量は植物の生長に伴い、炭酸ガスの施用濃度を高めるなどの調節をする。24時間式のタイムスイッチ4の作動のために、常法により必要な交流変換器等の電気部品を設置することにより太陽電池を電源とすることもできる。 【0031】 本発明の炭酸ガスの施用方法は、上記したC3植物のみならず、C4植物やCAM植物などの植物葉層群洛へも適用でき、それぞれの成長の促進を図ることできた。 【0032】 なお、ポリジメチルシロキサン製のチューブ8としては、上記の内径を8mm以外の大きいものや小さいものを用いることは可能であるが、炭酸ガスの透過性の点で必要以上の炭酸ガスが施用されたり、あるいは炭酸ガスの不足する場合があるなどの点で問題がある。過剰の炭酸ガスの放出は、温暖化への悪影響などを生じる問題がある。 【図面の簡単な説明】 【0033】 【図1】本発明の炭酸ガスを植物の周囲に施用するための器具と畝の配置を示す図である。 【符号の説明】 【0034】 1 圧力調整器 2 酸素ホース 3 工業用ガスボンベ 4 タイムスイッチ 5 直動式2ポート電磁弁 6 電線 7 酸素ホース 8 酸素ホース 9 畝
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| 【出願人】 |
【識別番号】505231844 【氏名又は名称】桜井 四郎 【識別番号】305033871 【氏名又は名称】桜井 国男
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| 【出願日】 |
平成17年6月20日(2005.6.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101085 【弁理士】 【氏名又は名称】横井 健至
【識別番号】100134131 【弁理士】 【氏名又は名称】横井 知理
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| 【公開番号】 |
特開2006−345829(P2006−345829A) |
| 【公開日】 |
平成18年12月28日(2006.12.28) |
| 【出願番号】 |
特願2005−179734(P2005−179734) |
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