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【発明の名称】 建物の緑化構造
【発明者】 【氏名】中村 健二
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設株式会社内

【氏名】林 豊
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設株式会社内

【氏名】那須 守
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設株式会社内

【氏名】薬師寺 圭
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設株式会社内

【氏名】藤井 一徳
【住所又は居所】岡山県赤磐市下市447番地 みのる産業株式会社内

【氏名】森下 照久
【住所又は居所】岡山県赤磐市下市447番地 みのる産業株式会社内

【要約】 【課題】軽量化した簡易な構造としたことで、施工性を向上させ、しかも建物外観の緑化デザインに自由度をもたせた。

【解決手段】緑化構造1は、建物の壁面や傾斜屋根などの設置面2に沿って延設されたワイヤー3と、ワイヤー3に案内されて移動可能に支持されていて固化された発泡体を主成分とする軽量材からなる培土基盤4と、培土基盤4に植栽された植物5とを備えている。培土基盤4をワイヤー3に沿った任意の位置で固定する係止部材6が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面や傾斜屋根などの設置面に沿って延設された線状の案内支持部材と、
前記案内支持部材に案内されて移動可能に支持されていて軽量材からなる培土基盤と、
前記培土基盤に植栽された植物と、
を備えていることを特徴とする建物の緑化構造。
【請求項2】
前記培土基盤は、発泡体を主成分とした材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の緑化構造。
【請求項3】
前記培土基盤には、前記案内支持部材を挿通させる貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の緑化構造。
【請求項4】
前記培土基盤を前記案内支持部材に沿った任意の位置で固定する係止部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の建物の緑化構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面や傾斜屋根などを緑化する建物の緑化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市部におけるヒートアイランド現象の緩和や大気の浄化、アメニティ空間の創出などを目的に、建物の壁面、傾斜屋根などの緑化が試みられている。
緑化構造として、壁面又は傾斜屋根などの設置面に植栽基盤を設置する構造が、例えば以下の特許文献1乃至特許文献3に開示されている。
特許文献1及び特許文献2は、枠体に土壌を組み込んで構成したユニット型の植栽基盤(以下、植栽ユニットとする)を、壁面又は傾斜屋根の設置面に、例えば棒状の鋼材からなるフレーム部材を縦横方向に組み合わせて設置しておき、このフレーム部材にコケやセダム等の植物を植栽させてなる植栽ユニットを取り付けている。
特許文献3は、屋上やベランダなどの上方に支持をとってワイヤーなどの支持部材を吊り下げ、この支持部材の所定位置に植栽ユニットを固定させる構造である。このような吊り下げによる植栽ユニットは、いわゆるプランターと同様に植物の植栽面を上向きにして、例えば蔓性植物が植栽され、支持部材に沿わせるように誘導させたり、又は植栽ユニットから垂下させたものである。
【特許文献1】特開2004−150139号公報
【特許文献2】特開2002−95347号公報
【特許文献3】特開2004−248550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2で提案されている植栽ユニットを壁面又は傾斜屋根に設置する緑化構造は、植栽ユニットがフレーム部材の所定位置で固定されているため、他の植栽ユニットに取り替えることが難しく、例えば商用の建物において他の植物に変更したい場合など、建物外観のイメージを自由に変更することが困難であり、緑化デザインの自由度が低いという欠点があった。
そして、植栽ユニットは、枠内全体にわたって土壌が敷き詰められていることから単体重量が大きくなっている。このため、フレーム部材は、植栽ユニットを壁面や傾斜屋根で支持させるため、その資材や固定状態を強固なものにする必要があり、資材コストが大きくなっている。さらに、予め設置面にフレーム部材を組み込んだ構造としておく必要があることから、施工が手間となりコストがかかる。
また、特許文献3は、設置面に固定したフレーム部材に蔓性植物を沿わせることで設置面を覆って緑化させるため、設置後に植物を移動させることが難しく、建物外観における緑化デザインの自由度が低いという問題があった。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、軽量化した簡易な構造としたことで、施工性を向上させ、しかも建物外観の緑化デザインに自由度をもたせた建物の緑化構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る建物の緑化構造では、建物の壁面や傾斜屋根などの設置面に沿って延設された線状の案内支持部材と、案内支持部材に案内されて移動可能に支持されていて軽量材からなる培土基盤と、培土基盤に植栽された植物とを備えていることを特徴としている。
本発明では、培土基盤を案内支持部材に案内させて移動させることができる。そして、培土基盤を設置した後で、案内支持部材が延設されている範囲で培土基盤の配置を変更することができる。さらに、例えば種類や色の異なる植物が植栽された培土基盤に取り替える場合や、メンテナンスなどを行う場合に、培土基盤を容易に取り外すことができる。
【0006】
また、本発明に係る建物の緑化構造では、培土基盤は、発泡体を主成分とした材料により形成されていることが好ましい。
本発明では、例えば主成分をなす無機質発泡体に熱融着性を有する繊維材料を配合させて熱処理により固化させることで培土基盤を形成することができる。この繊維同士の接着と繊維及び無機質発泡体の接着とがなされて三次元の網状の補強構造が得られているため、軽量化を図れ、形状を保つことができる。したがって、このような材料からなる培土基盤を支持する案内支持部材を簡易な構造とすることができる。
【0007】
また、本発明に係る建物の緑化構造では、培土基盤には、案内支持部材を挿通させる貫通孔が設けられていることが好ましい。
本発明では、培土基盤の貫通孔に案内支持部材を挿通させることで、培土基盤を設置面に配置することができる。
【0008】
また、本発明に係る建物の緑化構造では、培土基盤を案内支持部材に沿った任意の位置で固定する係止部材が設けられていることが好ましい。
本発明では、係止部材によって、案内支持部材の延設範囲における任意の位置に培土基盤を固定することができる。また、係止部材を案内支持部材から取り外すことで、培土基盤は案内支持部材に沿って移動することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の建物の緑化構造によれば、培土基盤を設置した後で、案内支持部材が延設されている範囲で培土基盤の配置を変更することができ、また、例えば種類や色の異なる植物が植栽された培土基盤に取り替えることができる。したがって、建物外観における緑化デザインの自由度を高くすることができる。
また、培土基盤が軽量であるため、案内支持部材を軽量化させて構造を簡単化でき、資材コストの低減が図れる。そして、案内支持部材や培土基盤の設置作業を簡略化させることができるため、施工時間が短縮されて施工性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態による建物の緑化構造について、図1乃至図3に基づいて説明する。
図1は実施の形態による緑化構造を示す全体図、図2は培土基盤の構造を示す正面図、図3は図2に示す培土基盤のA−A線断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態による緑化構造1は、建物における壁面や傾斜屋根などの設置面2に設置されている。
本緑化構造1は、設置面2に沿って延設されたワイヤー3(案内支持部材)と、ワイヤー3に案内されて移動可能に支持されていて発泡体を主成分とする培土基盤4と、培土基盤4に植栽された植物5とから概略構成されている。
本実施の形態では、設置面2において複数の培土基盤4がチェス盤状に上下左右に互い違いに配置されている。
なお、培土基盤4に植栽される植物5は、例えばコケやセダムなどのグランドカバー植物(下草)などが好ましい。
【0012】
図1に示すように、ワイヤー3は、水平方向に延設され、高さ方向に一定間隔をもって複数設けられている。そして、ワイヤー3は、その両端をアンカーなどの取付け具(図示省略)によって設置面2に固定され、適度に緊張させた状態にしておく。なお、ワイヤー3の固定は、容易に取り外しできるようにしておく。そして、ワイヤー3の延設方向中間に固定箇所を設けないことで、培土基盤4の移動範囲を広くしておく。
【0013】
図1及び図2に示す培土基盤4は、例えば、特開2002−119130号公報に記載されている基材、即ち、パーライトなどの無機質発泡体に熱融着性繊維を配合させて熱処理により固化してなる基材を使用する。
このように固化された培土基盤4は、熱融着性を有する繊維同士の接着と繊維及び無機質発泡体の接着とがなされて三次元の網状の補強構造が得られているため、特別な枠材や袋などによって周囲を覆う必要がなく、その形状を保つことができる。このため、風などの影響により飛散することがない。さらに、培土基盤4の主成分をなす無機質発泡体の単位体積当り重量は、例えば0.5kg/リットル以下となるため、軽量で、適度な保水性能と排水性能を有している。
【0014】
このような材質からなる培土基盤4は、図2及び図3に示すように、例えば略正方形で一定の厚さを有して箱状に形成されている。この培土基盤4の上部及び下部の二箇所には、対向する側面4b、4bの間を貫通させる貫通孔4a、4aが設けられている。そして、この貫通孔4a、4aには、例えば針金などにより井桁状に組まれた網目を有するパイプ41、41が挿入されている。
また、培土基盤4の内部には、培土基盤4の構造を強化させるため、針金状の骨組部材42が縦横方向に適宜数組み込まれている。
【0015】
図2に示すように、培土基盤4には、ワイヤー3と共に貫通孔4aに挿入された灌水管7が備えられている。この灌水管7に水を誘導し、パイプ41を介して培土基盤4に水を供給することができる。
また、図2に示すように、培土基盤4には、略溝形をなし培土基盤4の下端部4cに嵌合される保水用トレー8が備えられている。この保水用トレー8により、水を保水させて、培土基盤4に水を供給することができる。
【0016】
図1に示すように、ワイヤー3には、培土基盤4をワイヤー3に沿った任意の位置で固定する係止部材6が脱着可能に設けられている。この係止部材6は、培土基盤4の両側面4b、4bに当接させるようにしてワイヤー3に係止させることで、培土基盤4の移動を規制することができる。
また、培土基盤4の設置後に、係止部材6を取り外すことで、培土基盤4をワイヤー3の延設範囲で移動させることができる。また、ワイヤー3の一端を設置面2から取り外して、培土基盤4をワイヤー3から引き抜き出すことができる。
【0017】
上述した本実施の形態による建物の緑化構造では、図1に示すように、培土基盤4を設置した後で、ワイヤー3に案内される範囲で培土基盤4の配置を変更することができる。また、例えば種類や色の異なる植物5が植栽された培土基盤4に取り替える場合や、メンテナンスなどを行う場合に、培土基盤4を取り外すことができる。したがって、建物外観における緑化デザインの自由度を高くすることができる。
また、上述した本実施の形態による建物の緑化構造では、培土基盤4が軽量であるため、ワイヤー3を軽量化させて構造を簡単化でき、資材コストの低減が図れる。そして、ワイヤー3や培土基盤4の設置作業を簡略化でき、施工時間が短縮されて施工性を向上させることができる。
また、固化培土を使用することにより培土を入れる袋やパレット枠などが不要となり、これにより緑化構造1の構成を簡略化、軽量化させることができ且つ施工が容易となる。
さらに、本緑化構造1では、建物の設置面2の任意の範囲に植物5を設置して緑化させることにより、温度低減効果を奏し、都市のヒートアイランド現象の抑制に寄与することができる。
【0018】
次に、本発明の変形例について、図4及び図5に基づいて説明するが、上述の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施の形態と異なる構成について説明する。
図4(a)、(b)、(c)は実施の形態の変形例による緑化構造の設置工程を示す図、図5は変形例による培土基盤の固定部を示す斜視図である。
図4及び図5に示す変形例は、実施の形態で培土基盤4に形成されている貫通孔4a(図3参照)に代えて、断面視でC型をなし開口部9aを有するワイヤー受け部9が形成されている。このワイヤー受け部9は、開口部9aをワイヤー3の外径より大きく形成させて培土基盤4の周面に位置させている。そして、ワイヤー受け部9の内側9bにC型をなすワイヤー固定具10を嵌合させ、さらにワイヤー固定具10の内側にワイヤー3を通過させている。このとき、ワイヤー受け部9とワイヤー固定具10との開口部9a、10aは、互いに位置がずれた状態で配置されている。
なお、培土基盤4とワイヤー3との取り付け方法としては、ワイヤー固定具10をワイヤー受け部9の内周面に沿って回転させて両開口部9a、10aが一致したときにワイヤー3をワイヤー受け部9内に通す方法、又はワイヤー3をワイヤー受け部9の内側9bに通してから培土基盤4の側面4b(図1参照)よりワイヤー固定具10をワイヤー受け部9の内側9bに挿入させて固定する方法などがある。
上述した変形例による緑化構造1は、実施の形態の効果に加え、さらに設置および取替えが容易となるものである。
【0019】
以上、本発明の実施の形態及び変形例による建物の緑化構造について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、実施の形態及び変形例では設置面において複数の培土基盤4が互い違いにチェス盤状に配置されているが、必ずしもこのような配置に限定されることはない。例えば、培土基盤4を水平方向に隣り合わせで配置してもよく、設置面2における培土基盤4はワイヤー3が備えられている範囲で自由に配置すればよい。
また、実施の形態及び変形例では培土基盤4を、主成分をなす無機質発泡体に熱融着性繊維を配合させて固化させた培土基盤であるが、必ずしもこの材質に限定されることはない。要は、軽量であって、固化された状態において周囲を被覆させる必要がない培土であればよいのである。
また、実施の形態及び変形例では培土基盤4を略正方形の外形としているが、必ずしもこの形状に限定されることはない。例えば長方形や、その他多角形、円形などであってもよい。
さらに、実施の形態及び変形例では培土基盤4に灌水管7や保水用トレー8を設けているが、これら7、8を設けない培土基盤4であってもかまわない。
さらにまた、実施の形態では培土基盤4の上下部の2箇所に貫通孔4aを設けているが、設ける位置は限定されず、例えば培土基盤4の中間の位置に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態による緑化構造を示す全体図である。
【図2】培土基盤の構造を示す正面図である。
【図3】図2に示す培土基盤のA−A線断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は実施の形態の変形例による緑化構造の設置工程を示す図である。
【図5】変形例による培土基盤の固定部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 緑化構造
2 設置面
3 ワイヤー(案内支持部材)
4 培土基盤
4a 貫通孔
5 植物
6 係止部材
7 灌水管
8 保水用トレー
9 ワイヤー受け部
10 ワイヤー固定具


【出願人】 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目2番3号
【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
【住所又は居所】岡山県赤磐市下市447番地
【出願日】 平成17年6月13日(2005.6.13)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【公開番号】 特開2006−345717(P2006−345717A)
【公開日】 平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願番号】 特願2005−172206(P2005−172206)