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【発明の名称】 植物成長調節用栽培用土
【発明者】 【氏名】飯島 義彦
【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

【氏名】林 孝三郎
【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

【要約】 【課題】良好な作業性を有するとともに、環境に優しく、毒性が少なく、植物体の徒長を確実に抑制することにより優れた矮化効果を発揮し、園芸作物や農作物の品質を高めることができる植物成長調節用栽培用土を提供すること。

【解決手段】桂皮酸を含有することを特徴とする植物成長調節用栽培用土。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桂皮酸を含有することを特徴とする植物成長調節用栽培用土。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の矮化に有効な植物成長調節用栽培用土に関する。さらに詳しくは、園芸作物については植物の徒長を抑制し形態を整えることにより商品価値を向上させ、農作物については苗の徒長を防止し省スペースの育苗を実現することにより生産性を改善させ、加えて病原菌による根腐れや葉の枯死の予防にも有効な、安全性の高い植物成長調節用栽培用土に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から植物の矮化は各方面で注目され、研究されてきた。例えば、鉢物は鉢と植物体とのバランスが大切であり、一般的には生育状態のしまった、草丈の短い植物体の鉢が高品質とされており、鉢物の高品質生産のためには適切な矮化技術が必須である。また、農業分野の野菜栽培においてはセル成型苗の利用が急増しているが、セル成型苗は高密度に苗を生産するため徒長しやすく、徒長防止策としての有効な矮化技術が求められている。このように今日では園芸・農業両分野において植物の矮化技術が必要不可欠なものとなっている。
【0003】
植物の矮化技術には、矮化剤の使用、肥料成分の減少、潅水の制限、送風や接触刺激、塩分ストレスなどがあるが、手間やコストそして効果の再現性、さらには実施の際の簡便性を考慮すると矮化剤の使用が有利である。
【0004】
現在、植物の矮化によく使用される薬剤には、ダミノジット剤、クロルメコート液剤、パクロブトラゾール粒剤、ウニコナゾール剤などがあるが、いずれも合成化合物を主成分とする化学農薬であり、これらの中には変異原性が報告されているものもあり、また、過剰使用の際に薬害が心配されるものも少なくない。
【0005】
これらのうち、多くの化学農薬は使用濃度に依存する薬効成分であるため、薬害の回避方法や使用時期の選定などに知識と経験が必要とされ、その使用には細心の注意が必要となるばかりでなく、実際に薬害や環境汚染の発生が現実的なものとなる危惧も生じている。
【0006】
しかしながら、薬害や環境汚染の発生の恐れのない矮化剤の提案は見当たらず、環境に優しく人体に安全で、しかも低コストかつ簡便で作業性の良好な矮化剤の登場が強く望まれている。
【0007】
従来の矮化剤は葉や茎から矮化成分が吸収される葉面散布剤と根から矮化成分が吸収され、矮化効果を発現する土壌潅注剤に分けられる。葉面散布剤は200倍前後の希釈水溶液にして、霧吹きで葉面に散布するもので、新芽が伸び始めたころに処理するのが効果的であるが、植物によっては効果が発現されないものもある。
【0008】
また、葉面や茎に薬剤が残留するので、当該植物体に接触することにより人体に薬剤が移行することがあり、薬剤の毒性が高い場合は安全性が問題となる。一方、土壌潅注剤は直接土壌もしくは栽培土に薬剤を施すもので、比較的矮化効果を発現しやすく、植物体表面には薬剤の付着がないので、植物体表面から人体への薬剤の移行は考慮する必要がないが、土壌潅注剤の場合、使用時に鉢毎に水溶液の量を量りとり潅注しなくてはならず、実際に大量の苗を処理する場合は膨大な手間と時間がかかり、実用的な方法とはなっていない。
【0009】
本発明者らは桂皮酸が園芸作物や農作物の徒長を良好に防止し、優れた矮化剤として機能することを見出し、桂皮酸を含有することを特徴とする植物成長調節剤の発明(特許文献1)を完成し、環境に優しく人体に安全で、低コストに利用できる矮化剤を開示したが、使用形態が液状を主体としており、桂皮酸を栽培用土に添加する手間は必須なものとして作業者の負荷となっており、より手間の掛からない手段が求められていた。
【0010】
【特許文献1】特開2004−298176公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、良好な作業性を有するとともに、環境に優しく、毒性が少なく、植物体の徒長を確実に抑制することにより優れた矮化効果を発揮し、園芸作物や農作物の品質を高めることができる植物成長調節用栽培用土を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、桂皮酸を予め混合した栽培用土を用いることにより、園芸作物や農作物の徒長が良好に防止され、優れた矮化機能が発現されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、桂皮酸を含有することを特徴とする植物成長調節用栽培用土を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、良好な作業性を有するとともに、環境に優しく、毒性が少なく安全で、植物体の徒長を確実に抑制することにより優れた矮化効果を発揮し、園芸作物や農作物の品質を高めることができる植物成長調節用栽培用土が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明をさらに詳しく説明する。本発明で矮化成分として使用される桂皮酸は、植物関連の天然に存在する物質であり、さらに食品添加物でもあるので、極めて安全性が高い物質である。桂皮酸は抗菌・防黴作用をも有する(特開平5−117125号公報)ので、本発明の植物成長調節用栽培用土は、植物体の矮化のみならず、環境衛生の保持にも効果を発揮する。
【0015】
本発明における矮化の対象植物としては、園芸作物としてはポインセチア、ゼラニウム、ハイドランジア、ペンタス、キク、ユリ、アサガオ、ペチュニアなどが挙げられるが、特に、ポインセチアおよびペンタスに対して効果が大きい。また、農作物では、広く野菜類が対象植物として挙げられるが、ハクサイ、キャベツ、にんじん、ネギ、玉ネギ、チンゲンサイ、大根、レタス、さやえんどう、カリフラワー、ブロッコリー、ごぼう、二十日大根、蕪、トマト、きゅうり、ナス、かぼちゃ、スイカ、プリンスメロン、まくわうり、メロンなどに対し効果が大きい。
【0016】
矮化成分をその作用性から分類すると抗オーキシン性と抗ジベレリン性に分けられるが、本発明の植物成長調節用栽培用土に用いられる矮化成分は抗オーキシン性類似の作用を示す。すなわち、本発明の植物成長調節用栽培用土中の矮化成分である桂皮酸が細胞の分裂と伸長に関与する植物ホルモンであるオーキシンの作用を撹乱し、細胞分裂の抑制、呼吸作用の異常増進などが生じ、節間伸長が抑制されて矮化効果が発現されると推定される。本発明の植物成長調節用栽培用土は、節間伸長を抑制することにより、草姿を改善した高品位化鉢物の生産を可能にし、セル成型野菜苗の徒長を防止できる他、着花促進効果をも有しているので利用価値が高い。
【0017】
本発明の植物成長調節用栽培用土は、例えば、それを種々の形態の栽培用の鉢やポット、あるいは花壇に充填するか、すでに充填された別の栽培用土上に散布するなどの方法により植物の根の周辺に配置する。このようにすることで、当該植物が根の周辺に存在する有効成分である桂皮酸を水溶液や分散液などとして吸い上げることにより、矮化効果が発揮される。
【0018】
本発明の植物成長調節用栽培用土の使用形態は、特に制限されないが、植物苗などを生産する際に、栽培用の鉢やポット中に通常の栽培用用土の替わりに本発明の植物成長調節用栽培用土を充填して使用する。このようにすれば、後に矮化剤を添加する手間が完全に省け、省エネかつ効率的な植物栽培が可能となる。
【0019】
本発明の植物成長調節用栽培用土を施用する際には、本植物成長調節用栽培用土を栽培用容器や花壇などに充填するか、またはすでに充填した別の用土中に混入させるか、またはその既設の用土面に散布するなどして、水やり時に矮化成分である桂皮酸が用土中に拡散するように配置する。本発明の植物成長調節用栽培用土中の桂皮酸量は植物の種類や大きさに合わせて異なるが、例えば、ポインセチア(ミレニアム)の場合、5号鉢中の用土(約600g、含水率15%程度)に対して0.1〜2.0質量%程度の量である。
【0020】
このようにして、本発明の植物成長調節用栽培用土で野菜・果実・花卉などの農園芸産物を栽培すると、水やり時に矮化成分である桂皮酸が用土中に拡散し、十分な矮化効果が発揮されるとともに、桂皮酸の持つ抗菌・防黴性も有効に作用し、汚染菌や悪臭の発生も抑制される。また、本発明の植物成長調節用栽培用土には本発明の効果を損なわない範囲で添加剤、抗菌剤、防黴剤などを加えることができる。
【0021】
本発明によれば、予め桂皮酸の適当量を栽培用土に混合し、桂皮酸混合栽培用土となし、この桂皮酸混合栽培用土を栽培用基材としてポットや花壇に充填することができる。このようにすれば、量りとった桂皮酸をいちいちポットや花壇に添加する手間が省け、大幅な効率アップが実現できる。桂皮酸の混合量としては、植物の種類により異なるが、桂皮酸混合栽培用土に対して0.0001〜2.0質量%の範囲で好適に用いられるが、特に0.1〜1.0質量%の範囲で好適に用いられる。桂皮酸混合量が多すぎると植物の成育に悪い影響を与える場合があり、少なすぎると十分な効果が発揮されない場合がある。
【実施例】
【0022】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中の「部」または「%」は質量基準であり、桂皮酸の使用量は、桂皮酸および栽培用土の合計量100部に対する量である。
【0023】
実施例1
[ポインセチア苗に対する桂皮酸混合栽培用土の矮化効果試験]
(1)桂皮酸混合栽培用土
市販栽培用土(含水率15.6%)に、その全乾用土に対し0.2%、0.5%、および1.0%相当の桂皮酸粉末を加え、均一になるように良く混合し、桂皮酸混合栽培用土を作成した。
【0024】
(2)桂皮酸混合栽培用土の矮化効果試験
草丈8cmのポインセチア苗を上記の桂皮酸混合栽培用土(約600g、含水率15.6%)入りの5号鉢(直径14.5cm、深さ14.5cm)各6鉢ずつに定植し、栽培を開始し、定植から40日目に、栽培鉢の用土面からポインセチア植物体の頭頂部までの長さ(草丈)を測定し、下記式で矮化率を算出し、桂皮酸混合栽培用土のポインセチア苗に対する矮化効果を調べた。なお、対照は通常の栽培用土(6鉢)を用いて栽培したポインセチア苗の草丈とした。表1に矮化効果試験の結果を示した。
矮化率(%)=〔(対照の草丈−桂皮酸混合栽培用土の草丈)/対照の草丈〕×100
【0025】


【産業上の利用可能性】
【0026】
以上の本発明によれば、良好な作業性を有するとともに、環境に優しく、毒性が少なく安全で、植物体の徒長を確実に抑制することにより優れた矮化効果を発揮し、園芸作物や農作物の品質を高めることができる植物成長調節用栽培用土が提供される。
【出願人】 【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号
【出願日】 平成17年6月3日(2005.6.3)
【代理人】 【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子

【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広

【公開番号】 特開2006−333804(P2006−333804A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−163602(P2005−163602)