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【発明の名称】 カッター材および刈込み装置
【発明者】 【氏名】五本上 照正
【住所又は居所】兵庫県三木市鳥町301番地の1 三陽金属株式会社内

【要約】 【課題】摩擦抵抗を少なくして駆動力や摺動音を低減し、切れ味も良好に維持されるようにする。

【解決手段】帯板状基部10の側端部10aより複数の切刃部11を櫛状に突出する一対のカッター材3、4が対向接触され、一方のカッター材3が他方のカッター材4に対して相対的に往復移動されることで切刃部11が擦り合わされて切断作用をなす刈込み装置1に用いるカッター材3、4において、帯板状基部10及び切刃部11の平面状の対向面10b、11aの少なくとも一方は、それぞれの輪郭の内側に形成された凹部14、15を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状基部の側端より複数の切刃部を櫛状に突出する一対のカッター材が対面接触され、前記各カッター材の一方が他方に対して相対的に往復移動されることで前記切刃部が切断作用をなす刈込み装置に用いるカッター材において、
前記切刃部及び前記帯板状基部の平面状の対向面の少なくとも一方は、それぞれの輪郭の内側に形成された凹部を備えていることを特徴とするカッター材。
【請求項2】
前記切刃部及び帯板状基部の両方の平面状の対向面は、前記凹部をそれぞれ独立して備えている請求項1記載のカッター材。
【請求項3】
前記切刃部に形成された前記凹部は前記切刃部の輪郭に沿った形状である請求項1又は2記載のカッター材。
【請求項4】
前記切刃部に形成された前記凹部の平面積は、前記切刃部の平面積の10%〜50%となるよう構成されている請求項1乃至3のいずれか記載のカッター材。
【請求項5】
前記帯板状基部に形成された前記凹部は、前記帯板状基部の幅方向中央で長手方向に間隔をあけて複数形成されている請求項1乃至4のいずれか記載のカッター材。
【請求項6】
前記帯板状基部に形成された前記各凹部の合計の平面積は、前記帯板状基部の平面積の3%〜20%となるよう構成されている請求項5記載のカッター材。
【請求項7】
前記切刃部は突出方向に先細りとなる形状で、前記切刃部に形成された前記凹部は前記切刃部の輪郭に沿った略三角形状である請求項1乃至6のいずれか記載のカッター材。
【請求項8】
前記帯板状基部に形成された前記凹部は、前記帯板状基部の長手方向に長軸を有する長円形状である請求項1乃至7のいずれか記載のカッター材。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか記載のカッター材を用いた刈込み装置であって、
一対の前記カッター材が対面接触され、駆動手段により前記各カッター材の一方を他方に対して相対的に往復移動させることで、対面する前記切刃部同士が擦り合わされて切断作用をなすことを特徴とする刈込み装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生垣の刈込みや樹木の剪定等に用いるカッター材および刈込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生垣の刈込みや草刈りおよび樹木の剪定等に用いる刈込み装置として、ヘッジトリマーと称されるバリカン形式のものが提供されている。
【0003】
例えば、特開平8−172909号公報に開示された刈込み装置は、櫛状に突出する切刃部を有する可動刃と、同じく櫛状に突出する櫛歯部を有する案内板とを上下対向させ、該可動刃の往復運動により互いを差動させることで切刃部と櫛歯部を擦り合わせて切断動作を行っている。
【特許文献1】特開平8−172909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、該刈込み装置では互いに擦り合わされる可動刃と案内板の対向面が平面であるために、接触面積が大きくなり摩擦抵抗が増大する。このように摩擦抵抗が増大すると、可動刃の往復運動を行うために大きな駆動力を要し、モータが大型化して装置重量が増大するなどの問題が生じる。さらに、可動刃と案内板との摩擦抵抗が増大すると、刈込み作業時の摺動音が大きくなるという問題もある。
【0005】
また、切れ味を良好に維持するためには、可動刃の切刃部が案内板の櫛歯部に対して確実に対面接触されることが求められるが、繰り返し使用により切刃部が反り返る等して櫛歯部から離反し、切れ味を損なってしまうという問題もある。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、摩擦抵抗を少なくして駆動力や摺動音を低減し、切れ味も良好に維持されるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、帯板状基部の側端より複数の切刃部を櫛状に突出する一対のカッター材が対面接触され、前記各カッター材の一方を他方に対して相対的に往復移動させることで前記切刃部が切断作用をなす刈込み装置に用いるカッター材において、前記切刃部及び前記帯板状基部の平面状の対向面の少なくとも一方は、それぞれの輪郭の内側に形成された凹部を備えていることを特徴とするカッター材を提供している。
【0008】
このようにすると、対面接触するカッター材同士の接触面積が凹部の存在により少なくなるため、対面接触する各カッター材が互いに摺動する際の摩擦抵抗が低減される。また、草や樹木等からの樹液等がカッター材の接触面に付着した場合でも、該樹液が凹部に逃げて摺動時の抵抗が低減される。したがって、一対のカッター材を差動状に往復運動させる際の駆動力を低減できると共に摺動音も低減できる。また、摩擦抵抗が低減されることでカッター材の熱膨張も低減されて、カッター材同士の摺動も円滑に保たれる。さらに、各凹部は部分的に形成されるため、カッター材同士の面接触が確保され、対向するカッター材の平行性を維持することができ、切刃部同士が確実に接触されて切れ味を良好に維持することが可能となる。また、各凹部は孔ではないため、カッター材の軽量化を図りつつ強度も確保することができる。
【0009】
本発明のカッター材の前記切刃部及び帯板状基部の両方の平面状の対向面は、前記凹部をそれぞれ独立して備えてもよい。このようにすると、前述した摩擦抵抗の低減効果や樹液の逃げ効果がより発揮されて好適である。
【0010】
本発明のカッター材の前記切刃部に形成された前記凹部は前記切刃部の輪郭に沿った形状としてもよい。このようにすると、該凹部が切刃部の輪郭に沿った形状であることで切刃部の周縁に厚肉部分が均等に残存され、安定的な強度を保つことができる。
【0011】
本発明のカッター材の前記切刃部に形成された前記凹部の平面積は、前記切刃部の平面積の10%〜50%となるよう構成されてもよい。該比率が10%未満であると凹部による摩擦低減効果などが低下する一方、50%を超えると切刃部の対向面の平面部分が減少して対抗する切刃部同士の平行性が確保されにくくなるからである。即ち、該比率が10%〜50%であることで、凹部による抵抗低減等の効果と、カッター材の対向面の平面性の確保とを好適に両立することができる。
【0012】
本発明のカッター材の前記帯板状基部に形成された前記凹部は、前記帯板状基部の幅方向中央で長手方向に間隔をあけて複数形成されてもよい。このようにすると、凹部は帯板状基部の幅方向中央に設けられているので、摩擦抵抗の発生箇所の対称性を保つことができる。さらに、凹部は長手方向に間隔をあけて配置しているので、長手方向にもカッター材同士の平行性を維持することができる。
【0013】
本発明のカッター材の前記帯板状基部に形成された前記各凹部の合計の平面積は、前記帯板状基部の平面積の3%〜20%となるよう構成されるとよい。該比率が3%未満であると凹部による摩擦低減効果などが低下する一方、20%を超えると帯板状基部の対向面の平面部分が減少して各カッター材の平行性が確保されにくくなるからである。即ち、該比率が3%〜20%であることで、凹部による抵抗低減等の効果と、カッター材の対向面の平面性の確保とを好適に両立することができる。
【0014】
本発明のカッター材の前記切刃部は突出方向に先細りとなる形状で、前記切刃部に形成された前記凹部は前記切刃部の輪郭に沿った略三角形状であってもよい。このようにすると、切刃部の強度が弱くなる突出方向の先端側に向けて凹部の面積が小さくなるので、切刃部の強度を安定的に確保することができる。
【0015】
本発明のカッター材の前記帯板状基部に形成された前記凹部は、前記帯板状基部の長手方向に長軸を有する長円形状であってもよい。このようにすると、帯板状基部に形成された凹部の上端エッジのうち摺動方向に直交する部分が少なくなるので、摺動抵抗が低減される。
【0016】
また本発明は、前記カッター材を用いた刈込み装置であって、一対の前記カッター材が対面接触され、駆動手段により前記各カッター材の一方を他方に対して相対的に往復移動させることで、対面する前記切刃部同士が擦り合わされて切断作用をなすことを特徴とする刈込み装置も提供している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、対面接触するカッター材の接触面積が凹部の存在により減少し、各カッター材が差動状に往復運動する際の摩擦抵抗が低減されるので、カッター材を往復運動させる駆動力および摺動音を低減できる。さらに、各凹部は部分的に存在してカッター材の対向面に平面部分が残存されているため、カッター材同士の面接触による互いの平行性が維持され、切れ味を良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は本実施形態の刈込み装置1を示す斜視図である。図2は刈込み装置1の要部分解斜視図である。図3は刈込み装置1が有する上側カッター材3の上面図である。図4は上側カッター材3の下面図で、分かり易さのために凹部14、15に斜線を付してある。図5は上側カッター材3の切刃部11の拡大下面図である。図6(a)は図5のA−A線断面図、(b)はB−B線断面図である。図7は図4のC−C線断面図である。図8(a)は刈込み装置1が有する駆動本体2の要部断面図、(b)は要部上面図である。なお、下側カッター材4は上側カッター材3と略同一構成であるため全体図を省略している。
【0020】
図1および図2には本実施形態の刈込み装置1(ヘッジトリマー)が示されている。上側カッター材3と下側カッター材4とが互いにスライド可能に対向接触され、該カッター材3、4を上側保持材5と下側保持材6とで上下から挟持した状態で互いがボルト7およびナット8により締結され、上側カッター材3と下側カッター材4の根元側は把持部2aを有する駆動本体(駆動手段)2に接続されている。なお、上側カッター材3と下側カッター材4とは後述する段差部10cの有無以外は同一構成であるため、以下は主に上側カッター材3について代表して説明する。
【0021】
上側カッター材3は、図3および図4に示すように、長尺の帯板状基部10と、帯板状基部10の両側端部10aより互い違いに櫛状に突出された複数の切刃部11と、帯板状基部10の根元側に設けられて長手方向に短軸を有する長孔12aが穿設された係合部12とを備えている。
【0022】
切刃部11は、図5および図6(a)(b)に示すように、突出方向に先細りとなる台形で、その平面状の対向面11aには部分的に凹設された刃側凹部15と、切刃部11の斜辺側端縁に形成された鋭利な側エッジ11bと、切刃部11の先端縁に形成された鋭利な先端エッジ11cとを備えている。
【0023】
刃側凹部15は、切刃部11の輪郭に沿った略三角形状で、切刃部11の周縁ラインおよび帯板状基部10の側端部10aのラインから距離L2をあけた内側に形成されている。なお、刃側凹部15の該三角形の角は丸めた円弧状となっている。刃側凹部15の平面積は切刃部11の平面積の10%〜50%とし、より好ましくは15%〜35%としている。
【0024】
具体的には、刃側凹部15の両斜辺15aは切刃部11の斜辺に対して略平行で、刃側凹部15の斜辺15aと切刃部11の斜辺との間の幅L1は1.5mm〜3.5mmとしていると共に、両斜辺15aの交差角度θは15°〜45°としている。刃側凹部15の底辺15bは帯板状基部10の側端部10aに対して略平行で、刃側凹部15の底辺15bと帯板状基部10の側端部10aのラインとの間の距離L2は1mm〜3.5mmとしている。刃側凹部15の先端15cと切刃部11の先端エッジ11cとの距離L3は1.5mm〜4.5mmとしている。刃側凹部15は、切刃部11の突出方向の長さL4を5mm〜15mmとしている。また、刃側凹部15の深さD1と切刃部11の厚みTの比D1/Tは0.15〜0.35、より好ましくは0.2〜0.3としている。
【0025】
帯板状基部10は、図3および図4に示すように、長手方向に間隔をあけて複数穿設されて長手方向に長軸を有する長円形状のスライド孔13と、各スライド孔13の間で間隔をあけて平面状の対向面10bに凹設された複数の基部側凹部14と、係合部12側において対向面10b側より離反する方向に屈曲する段差部10cとを備えている。なお、帯板状基部10の幅L7は10mm〜25mmとし、帯板状基部10の長さL8は300mm〜600mmとしている。
【0026】
基部側凹部14は、図4に示すように、帯板状基部10の長手方向に長軸を有する長円形状で、帯板状基部10の幅方向の中央に形成されている。夫々の基部側凹部14の合計の平面積は帯板状基部10の平面積の3%〜20%としている。具体的には、基部側凹部14の長軸長さL5は20mm〜40mmとし、短軸長さL6は3mm〜9mmとしている。また、図7に示すように、基部側凹部14の深さD2と帯板状基部10の厚みTの比D2/Tは0.15〜0.35、より好ましくは0.2〜0.3としている。
【0027】
なお、下側カッター材4については、段差部10cを設けていない点以外は前述した上側カッター材3と同様の構成であるため、ここでは同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0028】
上側保持材5は、図1および図2に示すように、断面凹形状で所要位置に貫通孔5aが穿設され、上側カッター材3の帯板状基部10の上面に沿って配置される。
【0029】
下側保持材6は、その長板状の基部6aの根元側で切刃部11より長尺の安全片6bが両側方に突設されていると共に、基部6aの所要位置に貫通孔6cが穿設され、下側カッター材4の帯板状基部10の下面に沿って配置される。
【0030】
即ち、上側カッター材3と下側カッター材4とが互いにスライド可能に対向接触され、該カッター材3、4が上側保持材5および下側保持材6により上下から挟持された状態で、ボルト7が上側保持材6の貫通孔6c、下側カッター材4および上側カッター材3のスライド孔13、上側保持材5の貫通孔5aの夫々に挿通されてナット8で締結されている。
【0031】
駆動本体2は、図8(a)(b)に示すように、駆動軸16と、駆動軸16に偏芯して固定された円盤状の上側カム17と、上側カム17と反対方向に偏芯して駆動軸16に固定された円盤状の下側カム18とを備えている。上側カム17は上側カッター材3の係合部12の長孔12aに内嵌されていると共に、下側カム18は下側カッター材4の係合部12の長孔12aに内嵌されている。上側カッター材3と下側カッター材4との各係合部12の間には、略U字状に切り欠かれた板状の中間材19が介設され、下側保持材6の根元側の幅広部6dが駆動本体2のハウジングに固定されている。そして、駆動軸16がモータまたはエンジン(図示せず)により回転駆動されることで、上側カム17と下側カム18とが180°位相を異ならせて旋回してクランク機能を果たし、上側カッター材3と下側カッター材4とが長手方向に差動状に往復運動して、上下対向した切刃部11同士が擦り合わされて切断作用が発揮される。
【0032】
以上の構成によれば、基部側凹部14および刃側凹部15の存在により、対向する各カッター材3、4の対向面の接触面積が少なくなるため、各カッター材3、4の摺動時の摩擦抵抗が低減される。また、草や樹木等からの樹液等が各カッター材3、4の接触面に付着した場合でも、基部側凹部14および刃側凹部15が樹液等を逃がすシンク機能を果たし、摺動時の抵抗がさらに低減できる。したがって、各カッター材3、4を往復運動させるための駆動力を低減できると共に摺動音も低減できる。
【0033】
さらに、基部側凹部14および刃側凹部15は夫々の輪郭内に部分的に形成され、対向面10b、11aに平面部分が多く残されているので、各カッター材3、4同士の面接触が確保され、対向するカッター材3、4の平行性を維持することができ、上下の切刃部11同士が確実に接触されて切れ味を良好に維持できる。また、基部側凹部14および刃側凹部15は孔ではないため、カッター材3、4の軽量化を図りつつも十分な強度を確保できる。
【0034】
なお、本実施形態の刈込み装置1は、上側カッター材3と下側カッター材4の両方を相対的に往復移動させて切断動作を行う構成とされているが、上側カッター材3あるいは下側カッター材4のいずれか一方を停止させて、いずれか他方を往復運動させて切断動作を行う構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明に係るカッター材および刈込み装置は、駆動力や摺動音が低減されると共に切れ味が安定確保される優れた効果を有し、このような刈込み装置等に適用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る刈込み装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す刈込み装置の要部分解斜視図である。
【図3】図1に示す刈込み装置が有する上側カッター材の下面図である。
【図4】図3に示す上側カッター材の上面図である。
【図5】図3に示す上側カッター材の切刃部の拡大下面図である。
【図6】(a)は図5のA−A線断面図、(b)はB−B線断面図である。
【図7】図3のC−C線断面図である。
【図8】(a)は図1に示す刈込み装置が有する駆動本体の要部断面図、(b)は要部上面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 刈込み装置
2 駆動本体
3 上側カッター材
4 下側カッター材
5 上側保持材
6 下側保持材
7 ボルト
8 ナット
10 帯板状基部
11 切刃部
12 係合部
13 スライド孔
14 基部側凹部
15 刃側凹部
16 駆動軸
17 上側カム
18 下側カム
【出願人】 【識別番号】390011224
【氏名又は名称】三陽金属株式会社
【住所又は居所】兵庫県三木市鳥町301番地の1
【出願日】 平成17年6月3日(2005.6.3)
【代理人】 【識別番号】100065868
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏

【識別番号】100106242
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 安航

【識別番号】100110951
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 俊男

【公開番号】 特開2006−333799(P2006−333799A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−163475(P2005−163475)