| 【発明の名称】 |
覆蓋 |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 喜正 【住所又は居所】滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内
【氏名】野口 和裕 【住所又は居所】滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内
【氏名】渡部 昇 【住所又は居所】滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】浄水場、下水処理場、し尿処理場等における各種処理槽、工場に設置される各種処理槽、貯水槽を覆う覆蓋において、軽量な緑化された覆蓋を提供する。
【解決手段】貯水槽や水路の上部開口を覆う覆蓋であって、覆蓋本体の上面を覆って蘚苔類植物担持体を取付けるようにすれば、蘚苔類植物を用いることで、従来用いられてきた例えば樹木や芝生、セダム等の多肉植物等とは異なり、土壌を必要とすることなく生育させることができるため、極めて軽量となすことができ、また、貯水槽や水路の中に土壌が落ちることがないため、土壌中の菌類によって貯水槽内や水路内が汚染されることがなく、衛生面からも好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 貯水槽や水路の上部開口を覆う覆蓋であって、覆蓋本体の上面を覆って蘚苔類植物担持体が取付けられたことを特徴とする覆蓋。 【請求項2】 蘚苔類植物担持体は、2つの繊維集合体の間に蘚苔類植物を挟み、機械的絡合手段により前記2つの繊維集合体をその繊維同士を部分的に絡ませて積層一体化した蘚苔類植物保持シートを有することを特徴とする請求項1に記載の覆蓋。 【請求項3】 蘚苔類植物保持シートに、蘚苔類植物保持シートを貫通し人工芝葉状体が表面から突出するように植設されたことを特徴とする請求項1または2に記載の覆蓋。 【請求項4】 前記蘇苔類植物担持体に担持される蘇苔類植物は、シモフリゴケ属、ハイゴケ属、ツリバリゴケ属、シッポゴケ属からなる群から選ばれた、少なくとも1つに属するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の覆蓋。 【請求項5】 前記蘇苔類植物担持体に担持される蘇苔類植物は、シノブゴケ属に属するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の覆蓋。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、浄水場、下水処理場、し尿処理場における各種処理槽、工場に設置される各種処理槽、貯水槽を覆う覆蓋に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、例えば、浄水場において、処理槽内に太陽光が照射されることによって藻類が繁茂することを防止するために、処理槽の上方が覆蓋により覆われていることがある。係る覆蓋は、一般的に金属材料や合成樹脂材料により形成されているため、無機質なものになりがちで、必ずしも美観上好ましいとは言い難い。そこで、例えば、特許文献1には、下水処理システムの池上に同池を覆うようにして配される覆蓋装置であって、底壁と周壁とを有すると共に上部が開口状とされて植物を成育可能とされ、且つ前記底壁を通じて池内の水を吸い上げて前記植物に供給可能とされている覆蓋装置である覆蓋が開示されている。 【0003】 【特許文献1】実開平4−87788号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、特許文献1に記載の覆蓋では、底壁と周壁で形成される空間に土壌を入れ、植物を成育可能となし緑化することで、美観の向上を図ることはできるものの、土壌を用いることから、土壌の運搬や植物の植え付け等が必要であるため、覆蓋を緑化するには非常に多くの費用と労力が必要であり、更に土壌が風や雨水により処理槽に落ち、土壌が処理槽に堆積する懸念もあった。また、土壌の重量に耐え得る強度を有した覆蓋が必要であるため、既設の覆蓋であれば、補強や更新が必要であったり、新設の覆蓋を設計する時には、土壌の重量を考慮した堅牢な構造にしなければならず、それらにかかる費用も少なからず必要となってくる。 【0005】 本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、浄水場、下水処理場、し尿処理場等における各種処理槽、工場に設置される各種処理槽、貯水槽を覆う覆蓋において、軽量な緑化された覆蓋を提供せんとするものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。すなわち、本発明に係る覆蓋は、貯水槽や水路の上部開口を覆う覆蓋であって、覆蓋本体の上面を覆って蘚苔類植物担持体が取付けられたことを特徴とするものである。 【0007】 また、前記蘚苔類植物担持体は、2つの繊維集合体の間に蘚苔類植物を挟み、機械的絡合手段により前記2つの繊維集合体をその繊維同士を部分的に絡ませて積層一体化した蘚苔類植物保持シートを有することを特徴とするものである。 【0008】 また、本発明に係る覆蓋は、蘚苔類植物保持シートに、蘚苔類植物保持シートを貫通し人工芝葉状体が表面から突出するように植設されたものであってもよい。 【0009】 また前記蘇苔類植物担持体に担持される蘇苔類植物は、シモフリゴケ属、ハイゴケ属、ツリバリゴケ属、シッポゴケ属からなる群から選ばれた、少なくとも1つに属するものであれば、これらの蘇苔類植物は好日性であるため覆蓋に直射日光が照射される環境においても生育でき、また亜硫酸ガスに曝されても枯死することがないため、劣悪な環境下においても蘇苔類植物が継続して生育及び繁茂することができるようにでき好ましい。 【0010】 また前記蘇苔類植物担持体に担持される蘇苔類植物は、シノブゴケ属に属するものであれば、蘇苔類植物は覆蓋が日陰になるような日照が少なく湿った場所でも生育でき、また亜硫酸ガスに曝されても枯死することがないため、劣悪な環境下においても蘇苔類植物が継続して生育及び繁茂することができるようにでき好ましい。 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、貯水槽や水路の上部開口を覆う覆蓋であって、覆蓋本体の上面を覆って蘚苔類植物担持体を取付けるようにすれば、蘚苔類植物を用いることで、従来用いられてきた例えば樹木や芝生、セダム等の多肉植物等とは異なり、土壌を必要とすることなく生育させることができるため、極めて軽量となすことができ、また、貯水槽や水路の中に土壌が落ちることがないため、土壌中の菌類によって貯水槽内や水路内が汚染されることがなく、衛生面からも好ましい。更に、蘚苔類植物は、保水性が高く、自重の10〜20倍の水分を保水することができ、保持した水分や、その水分の蒸散により、覆蓋本体の温度を下げてヒートアイランド現象の軽減を好適に図ることができる。 【0012】 また、蘚苔類植物は乾燥状態が続いても仮死状態となるだけで枯死することがなく、降雨等により再度水が与えられると再生することから潅水する必要がなく、従って潅水にかかわる設備も必要としない。更には、光合成の効率も樹木や芝生と大差ないものであるから、炭酸ガスの固定化にも高いレベルで貢献できるものである。 【0013】 前記蘚苔類植物担持体を、2つの繊維集合体の間に蘚苔類植物を挟み、機械的絡合手段により前記2つの繊維集合体をその繊維同士を部分的に絡ませて積層一体化した蘚苔類植物保持シートを有するようにすれば、機械的絡合手段により繊維集合体と蘚苔類植物とを積層一体化することにより、接着剤や粘着剤などを用いる必要もなく、糸を用いて縫製などにより固定することもなく、蘇苔類植物が均一に分散した積層体を形成することができる。また、2つの繊維集合体の間に蘚苔類植物を挟み、機械的絡合手段により積層一体化された蘚苔類植物保持シートは、非常に柔軟であるため、既設の覆蓋本体に取付ける場合、現場での切断、取付けと言った所謂現場加工を容易に実施でき、覆蓋を形成することができる。 【0014】 また、前記蘚苔類植物保持シートに、蘚苔類植物保持シートを貫通し人工芝葉状体が表面から突出するように植設するようになせば、外観を植物様にすることができ、外観を向上させることができる。特に、蘚苔類植物担持体を作製した当初においては、蘚苔類植物は、生育が十分でないため蘚苔類植物担持体の中に埋没している。ヒートアイランド現象の緩和や二酸化炭素の固定化という植物の作用は発揮されるものの、外観上の緑化がやや不足している。人工芝葉状体を取付けることによって、蘚苔類植物担持体を作製した当初から外観上も生き生きとしたものとなすことができる。 【0015】 尚、本発明における貯水槽とは、浄水場、下水処理場、し尿処理場、工場に設置される各種処理槽、貯水槽を示すものであり、水路とは、農業用水、生活排水や各種処理水を導くものを示すものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 本発明に係わる実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。 図1は、本発明に係る覆蓋の実施の一形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示した覆蓋のA−A断面図である。1は貯水槽Sの上方に架設され貯水槽Sの上方開口部を覆う覆蓋であって、覆蓋本体11の上面を覆って蘚苔類植物担持体10が取付けられている。覆蓋本体11の材質としては、特に限定されるものではなく、軽量で耐久性を有する繊維強化プラスチック(FRP)、硬質フォーム材、樹脂注入木材、チップ材、合成樹脂廃材、ボード材、ハニカム材等の素材が好適に用いられる。また覆蓋本体11を単層板で形成する場合には、その表面に繊維強化樹脂層(FRP樹脂層)を被覆して強化させてもよい。また、薄板を積層して覆蓋本体11を形成する場合には、覆蓋本体11の表面や積層される薄板同士の間に繊維強化樹脂層を設けて強度を増した構成とすることもできる。更に、アルミニウム、スレンレスなどの金属材料を用いてもよいし、金属材料と樹脂材料を組み合わせたものを用いてもよい。 【0017】 また、覆蓋本体11の形態については、上述の如く貯水槽Sの上方に架設されるタイプに係わらず、液面Wに浮かべて上方開口部を覆うタイプであってもよく、この場合には、プラスチック発泡体等、浮力を有する素材であり、且つ独立気泡の集合体等に、蘚苔類植物担持体を取付けることによって、軽量な緑化された覆蓋が形成できる。プラスチック発泡体としては、ポリスチレン発泡体、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS樹脂)発泡体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)発泡体、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂)発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリエステル発泡体、エチレン−プロピレン共重合体発泡体等であるが、機械的強度、軽量性、接着性、リサイクル性等において、ポリスチレン発泡体、AS樹脂発泡体、PMMA樹脂発泡体が好ましい。 【0018】 また、プラスチック発泡体の代わりに射出成形、真空成形、ブロー成形等により作製した中空状タンクのような合成樹脂成型体の内部に空気を入れることで浮力を発生させる成形体を用いても良い。 【0019】 覆蓋本体11の上面に取り付けられた蘇苔類植物担持体10の、蘇苔類植物によって上述のヒートアイランド現象の軽減や炭酸ガスの固定化といった効果に加え、土壌がなく軽量であるにも係わらず保温効果が得られる。例えば浄水場においては真夏に直射日光が照射された場合、覆蓋本体11の下方の温度は60〜70℃程となり、分解性微生物の活動に支障を来す恐れがあるが、覆蓋本体11の上面が蘇苔類植物により覆われていることで、外気温の覆蓋本体11下方への伝達を抑制すると共に、蘇苔類植物が太陽光に含まれる赤外線を吸収し輻射熱の発生を抑制することで、覆蓋本体11下方における温度上昇を防ぐことができる。また逆に寒冷時においても同様に外気温の伝達を防止し、低温による分解性微生物の活動低下を防止することができる。 【0020】 更にまた、蘇苔類植物が自重の10〜20倍の水分を保水することができることで、上述の覆蓋本体11の温度低下の効果に加え、覆蓋本体11上面に降り注ぐ雨水の急激な流下を抑制し、大雨時などにおける雨水の集中による周辺の浸水等の環境悪化を軽減することができる。 【0021】 次に、覆蓋本体11の上面に取付けられる蘚苔類植物担持体10の構成について説明する。 図3は蘚苔類植物担持体10の斜視図であり、図4は蘚苔類植物担持体10の実施形態の一例を示す断面図である。2つの繊維集合体21a、21bとの間に蘚苔類植物22が挟み込まれて、機械的絡合手段により繊維同士が絡まり合い積層一体化されてシート化され蘚苔類植物保持シート2が構成されている。また、蘚苔類植物保持シート2表面には、機械的絡合手段により主に繊維集合体21aを表面に突出させた部分cが平行に複数本設けられ、更に、主に繊維集合体21aを表面に突出させた部分cと垂直に交わるように人工芝葉状体3が植設されている。この人工芝葉状体3は、蘚苔類植物保持シート2を貫くように植設されており、人工芝葉状体3が抜け落ちないように裏面シート4が取付けられている。このようにすれば、接着剤や粘着剤等を用いる必要なく、また別の糸を用いて縫製等により固定することもなく、蘚苔類植物22が均一に分散した積層体を形成することができる。接着剤等を用いる必要がないため、接着剤等から出る成分が蘚苔類植物22に悪影響を及ぼす心配もなく、接着剤自身が立体的障害となったり植物同士が接着されたりして生育が阻害される懸念もない。また、繊維以外に蘚苔類植物22を留める糸等も必要ないことから工程が簡略となる。 【0022】 更に、主に繊維集合体21aを表面に突出させた部分cは、繊維が表面より突出しているために蘇苔類植物22を外部から保護すると同時に蘇苔類植物22が蘚苔類植物保持シート2側面からこぼれ出るのを防ぐことができ、また、植物が植生されているかのように見えるため、外観も向上させることもできる。特に、蘇苔類植物担持体10の作製当初においては、蘇苔類植物22は、生育が十分でないため蘇苔類植物担持体10の中に埋没している。ヒートアイランド現象の緩和や二酸化炭素の固定化という植物の作用は発揮されるものの、外観上の緑化が不足している。繊維集合体21aを表面に突出させて絡ませた部分cが蘚苔類植物保持シート2の表面より突出していることによって、蘇苔類植物担持体10の作製当初から外観上も植物様に見え、見栄えを向上することができる。また、このとき、蘚苔類植物22と下側の繊維集合体21aのシートとの間に比較的伸縮の少ない繊維シート23を挟持しておくと、蘚苔類植物保持シート2の寸法安定性が高くなり好ましい。尚、蘇苔類植物担持体10の平面視縦横の比率については、1:1やそれに近いものに限定されるものではなく、状況や取付け対象物により適宜設定すればよい。 【0023】 前記蘚苔類保持シート2は、次のように形成されている。まず、予め蘚苔類植物22を5〜50mm程度の大きさに裁断しておき、繊維集合体21a上に均等になるように置く。その上から、もう一方の繊維集合体21bを載せて、2つの繊維集合体21a、21bとの両側から、機械的絡合手段であるニードルパンチを行う。蘚苔類植物22を繊維集合体21a上に均等に置く場合、裁断した蘚苔類植物22をばら撒くようにしても良いし、予め蘚苔類植物22をポリビニルアルコール等の生育に影響のない材料で接着してシート化したものを繊維集合体21a上に置き、その上から繊維集合体21bを載せても良い。蘚苔類植物22を予めシート化しておけば、均一に蘚苔類植物22を挟み込むことができるとともに、ニードルパンチで繊維集合体21a、21bと一体化した後も蘚苔類植物22の脱落を好適に防ぐことができる。そして、この蘚苔類保持シート2を貫くように、人工芝葉状体3を植設すればよい。 【0024】 機械的絡合手段であるニードルパンチの針は、通常のニードルパンチ用の針でもよいが、先端がU字型に凹みを有する針を用いると、一度にニードルパンチで押し込むことのできる繊維数が増え、表面で絡ませた繊維であるパイルを太く、効率的に作成することができ、蘚苔類植物担持体10を強く接合させることができる。また、このように一度のニードルの嵌入で、押し込む繊維の量を増やすことができるので、ニードルパンチの回数を減らすことができ、効率が良くなるとともに挟み込む蘚苔類植物22へ与える損傷も少なくすることができる。 【0025】 蘚苔類植物担持体10に用いる蘚苔類植物22の種類は、設置場所によって選定することができる。蘚苔類植物22には大きく分けて、好日性、半日陰性、日陰性のものがあり、それぞれ生育に太陽光が必要なもの、太陽光があまり必要でないもの、太陽光が不要なものがある。例えば、設置方向の関係で太陽光が当たらない場所や、当たりにくい場所には、日陰性、半日陰性の蘚苔類植物22を用いると良い。 【0026】 好日性の蘇苔類植物としては、シモフリゴケ属、ハイゴケ属、ツリバリゴケ属、シッポゴケ属からなる群から選ばれた、少なくとも1つに属するものが挙げられる。これらに属する蘇苔類植物として、シモフリゴケ属はマルバスナゴケ、ナミカワスナゴケ、コバノスナゴケ、スナゴケ、チョウセンスナゴケ、ハイスナゴケ、ミヤマスナゴケ、ナガエノスナゴケ、クロカワキゴケ、ハリスナゴケ、エゾスナゴケ(アオスナゴケ)、シモフリゴケ、ワタゲシモフリゴケ、タテヤマスナゴケ、クロミヤマスナゴケ、ヒメスナゴケ等が挙げられる。この内、比較的容易に入手が可能であるスナゴケが好適に用いられる。 【0027】 ハイゴケ属は、ナガエノユミハイゴケ、チチブハイゴケ、ハイヒバゴケ、イトハヒバゴケ、クチキハイゴケ、タマキチリメンゴケ、ヒラハイゴケ、コマノハイゴケ、フジハイゴケ、エゾハイゴケ、ヒメハイゴケ、キノウエノコハイゴケ、ミヤマチリメンゴケ、ハイゴケ、アナチリメンゴケ、シマチリメンゴケ、コハイゴケ、オオハイゴケ、サイトウハイゴケ、オオベニハイゴケ、ウスベニハイゴケ、ヤマハイゴケ、イトハイゴケ、コエイトハイゴケ、ウイハイゴケ等が挙げられる。この内、比較的容易に入手が可能であるハイゴケが好適に用いられる。 【0028】 ツリバリゴケ属は、クロツリバリゴケ、マユハケゴケ、ヤマトフデゴケ、ヒロスジツリバリゴケ、フデゴケ、ヤクシマツリバリゴケ等が挙げられる。この内、比較的容易に入手が可能であるフデゴケが好適に用いられる。 【0029】 シッポゴケ属は、ヌマシッポゴケ、アオシッポゴケ、デワシッポゴケ、ユキミシッポゴケ、ヒメカモジゴケ、フジシッポゴケ、チャシッポゴケ、ゴウノシッポゴケ、カラフトシッポゴケ、カギカモジゴケ、シッポゴケ、シワシッポゴケ、ナスシッポゴケ、チシマシッポゴケ、コカモジゴケ、タツナミカマシッポゴケ、オオシッポゴケ、ナミシッポゴケ、コクロベシッポゴケ、カモジゴケ、オニカモジゴケ、イシヅチカモジゴケ、ケシッポゴケ、ヤマシッポゴケ、ナガエノシッポゴケ、タカネシッポゴケ等が挙げられる。この内、比較的容易に入手が可能であるカモジゴケが好適に用いられる。これらシモフリゴケ属、ハイゴケ属、ツリバリゴケ属、シッポゴケ属からなる群から選ばれた少なくとも1つに属する蘇苔類植物を用いることで、覆蓋が直射日光に曝されるような環境下においても枯死せず、生育及び繁茂させることができる。 【0030】 また日陰性、半日陰性の蘇苔類植物としてはシノブゴケ属のものが挙げられる。シノブゴケ属としては、イボエシノブゴケモドキ、ヒメシノブゴケ、リュウキュウシノブゴケ、アソシノブゴケ(トヤマシノブゴケ)、スギバシノブゴケ、オクヤマシノブゴケ、イボエシノブゴケ、アオシノブゴケ(ロジハシノブゴケ)、ミジンコシノブゴケ、コバノエゾシノブゴケ、チャボシノブゴケ、オオアオシノブゴケ、コマノイトシノブゴケ、チャボシノブゴケモドキ、オオシノブゴケ等が挙げられる。この内、比較的容易に入手が可能であるシノブゴケが好適に用いられる。かかるシノブゴケ属の蘇苔類植物を用いることで、覆蓋が日陰や半日陰となるような環境下においても枯死せず、生育及び繁茂させることができる。 【0031】 また、これらシモフリゴケ属、ハイゴケ属、ツリバリゴケ属、シッポゴケ属及びシノブゴケ属の蘇苔類植物は、少量の亜硫酸ガスに曝されても枯死することがない。通常の植物は、空気中の亜硫酸ガス濃度が0.003%以上となると枯死すると言われており、例えば浄水場では汚水の処理時に亜硫酸ガスが発生し、生活排水が流れる水路では自然発生的に亜硫酸ガスが発生し、上述の濃度を超えることがあるが、このような劣悪な環境下においても、蘇苔類植物を継続して生育及び繁茂させることができる。 【0032】 また本実施形態においては、蘇苔類植物担持体10に蘇苔類植物を担持させて覆蓋本体11に取り付けているが、蘇苔類植物を塗料に混合し、その塗料を覆蓋本体11に吹き付けて覆蓋本体11上に蘇苔類植物を担持させることもでき、また覆蓋本体11の上面に接着性物質を塗布し、該接着性物質により蘇苔類植物を覆蓋本体11上に接着させることもできる。 【0033】 また、2つの繊維集合体21a、21bに蘚苔類植物22を挟み込むときに、蘚苔類植物22と共に他の機能性材料を加えてもよく、例えば保水性を有する材料や、蘚苔類植物22の成長を助ける材料等が挙げられる。この時加える材料は、シート状に一体化しやすいように、蘚苔類植物22と絡み合いやすいものがよい。具体的には、例えばミズゴケを加熱して死滅させたものを加えてもよく、保水効果が高く、蘚苔類植物22との絡み合いもしやすい。また、植物どうしであるので蘚苔類植物22の生育に悪影響を及ぼすこともない。 【0034】 また、繊維集合体21a、21bの材質や形態は、繊維からなるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル、セルロース、ポリウレタン、芳香族ナイロン、ポリベンズイミダゾール、ノボロイド等の合成繊維やそれらの複合繊維、アセテート等の半合成繊維、キュプラ、レーヨン等の再生繊維、絹、綿、羊毛等の天然繊維、またはそれらの混合繊維等からなる織布や不織布等のシート状のもの、繊維ウェッブ状のものを組み合わせて用いることができる。例えば、下側の繊維集合体21aには不織布シートを用い、上側の繊維集合体21bには、繊維ウェッブを用いるとよい。また、生分解性の樹脂繊維を用いてもよく、上記繊維に混合して用いても良い。 【0035】 前段落で記述した繊維ウェッブ状のものは、ワタ状の繊維のかたまりであって、繊維と繊維のすき間が多い。この繊維ウェッブ状のものをニードルパンチのような機械的絡合手段で押し込めば、繊維の一本一本が内部に侵入しやすく、また絡まりやすいため、比較的少ない量で好適に蘚苔類植物22を固定することができる。また、すき間が大きく、繊維の使用量も比較的少ないので、蘚苔類植物22の生育を阻害しにくいとともに、生育に必要な太陽光も内部の蘚苔類植物22まで行き届く。 【0036】 繊維集合体21a、21bの繊維の太さは、機械的絡合手段により蘚苔類植物22や繊維集合体に入り込んで一体化できる太さであれば、特に限定されるものではないが、0.1〜50デニール程度が好ましい。これ以上細いと、繊維は抜けやすくなりまた、接合強度が弱くなってしまう。また、機械的絡合の密度は1平方センチメートルあたり10〜80回程度が好ましい。これ以上絡合点が多いと、接合の強度は大きくなるが、蘚苔類植物22の自由度が下がり生育が阻害される可能性がある。また逆に絡合点が少ないと十分に固定されなく、蘚苔類植物22や繊維が脱落する恐れがある。 【0037】 また、繊維集合体21a、21bの繊維には水溶性繊維と非水溶性繊維を混合して用いてもよい。その配合量は、繊維量の20〜90パーセント程度が好ましく、さらには、50〜80パーセントが好ましい。水溶性繊維の配合量が大きすぎると、水溶性繊維が溶解した後に、蘚苔類植物22を担持する繊維が少なくなるため、蘚苔類植物22が脱落しやすくなる。また、配合量が小さいと、溶解した後の繊維の間隙が少なく、蘚苔類植物22が生育するスペースが限られ、生育を阻害する可能性がある。また、水溶性繊維の配合量が少ないとその粘着性が十分に発現しない。 【0038】 水溶性繊維は特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコールが好適である。ポリビニルアルコールは、水溶したときに中性を示し、蘚苔類植物22の生育に害を与えることが無いため、好適である。また、非水溶性繊維は、特に限定されるものではなく、前記の繊維集合体に用いることのできる繊維で示したものを用いればよい。繊維に水溶性繊維を混合する際は、上下両方の繊維集合体21a、21bに入れてもよいが、上側の繊維集合体21bにのみ水溶性繊維を混合するだけでもよい。上側の繊維集合体21bに水溶性繊維を添加していれば、蘚苔類植物22は上方に向かって生育するので、繊維の溶解後、繊維密度が小さくなり植物の生育を阻害しない。また、粘着成分が蘚苔類植物22の上部から覆い被さり、十分に粘着性を発現できる。 【0039】 繊維集合体21bの表面に突出させた人工芝葉状体3の長さは、突出部分が3〜20mm程度が好適である。これ以上長すぎると太陽光の入射を妨げたり、蘚苔類植物22の生育を立体的に阻害してしまう可能性があり、逆に短すぎると保湿性や保護性能が小さくなり、また抜けやすくなるため、上記の範囲が好ましい。 【0040】 また、繊維集合体21bの表面に突出させた人工芝葉状体3のピッチは、10〜20mm程度が好ましい。この間隔以下になると蘚苔類植物22の生育できる有効スペースが小さくなるため好ましくない。また逆に間隔が20mmより大きいと蘚苔類植物22の保持性や保護性が低下し、生育を促進させる保水性や保湿性も低下するため、好ましくなく上記の範囲内とするのがよい。 【0041】 また、植設する人工芝葉状体3を生分解性としてもよい。このようにすれば、蘚苔類植物22が十分に発育したときに、人工芝葉状体3が消滅するようにすることもできる。蘚苔類植物22が十分に発育すれば、人工芝葉状体3の役割である外観の維持や蘚苔類植物22の保護、担持等が不要になるため、このように生分解性を保持させておくとよい。 【0042】 また、蘚苔類保持シート2の、下側の繊維集合体21aと、蘚苔類植物22との間に比較的伸縮の少ない繊維シート23を挟んでもよく、この比較的伸縮の少ない繊維シート23としてはスパンボンドを好適に用いることができる。また、このとき繊維集合体21aと比較的伸縮の少ない繊維シート23は予めニードルパンチ法で一体化しておくとよい。 【0043】 また図5は、蘚苔類植物担持体10の他の例を示す断面図である。非水溶性繊維の不織布の繊維シート24と水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布繊維シート25との間に、5〜50mm程度の適度に裁断された蘚苔類植物22を介装する。その後、蘚苔類植物22が介装されたシートを貫くように、人工芝葉状体3が植設されている。 【0044】 水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布繊維シート25に含まれる水溶性物質は、ポリビニルアルコールが好適であり、水をかけると粘接着性が発現し、蘚苔類植物22を好適に担持できる。蘚苔類植物22を2枚のシートに介装したあとに、少量の水をかけることによって、ポリビニルアルコールの一部が溶解して粘接着性を示し、蘚苔類植物22を強固にシートに担持することができる。また、ポリビニルアルコールは降雨等で漸進的に溶出し、消滅するので、蘚苔類植物22の生育を妨げない。また、ポリビニルアルコールは溶解しても中性を示すため、アルカリ成分等で蘚苔類植物22の生育を妨げることもない。 【0045】 水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布繊維シート25は、非水溶性繊維の割合が5〜30%程度が好ましく、さらに言及すれば10%〜30%程度が好ましい。非水溶性繊維の割合が多いと、水溶性物質が溶解したあとに蘚苔類植物22上部に残存する繊維が多くなり、蘚苔類植物22を覆ってしまう。そのため蘚苔類植物22の生育を妨げることもあり、また均一に成長しないため、美観上も好ましくない。逆に、非水溶性繊維の配合量が少ないと、水溶成分が溶出したあとに、蘚苔類植物22を覆う繊維成分が少なく、蘚苔類植物22が脱落し易くなる。 【0046】 非水溶性繊維は特に限定されるものではなく、合成繊維や天然繊維、もしくはそれらの混合繊維が用いられる。また、非水溶性繊維の不織布の繊維シート24に用いられる繊維と、水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布に用いられる繊維は、異なっていてもよい。水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布25に用いられる非水溶性繊維としては、例えば合成繊維であるレーヨン等が好適に用いられる。 【0047】 また、非水溶性繊維の不織布の繊維シート24及び水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布繊維シート25とを貫くように人工芝葉状体3を植設している。このようにすることによって、蘚苔類植物22を介装している上記2枚のシート同士を強固に固定することもでき、2枚のシートが剥がれ落ちることがなく、蘚苔類植物22の保護等にもなる。 【0048】 また、上記のシートの下面に保水性を有するシートを取付けても良く、一定期間水分を溜め込んでおくことができ、降雨の無い期間でも、蘚苔類植物22に水分を補給することができ、生育を促進することができる。その保水性を有するシートの材質は、水分を吸収するとともに水分を維持することのできるものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタラート樹脂系保湿材やグラスウール、ロックウール等の合繊繊維等と言った繊維状物質、吸水性ポリマー、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ゴム製スポンジ、等が好適に用いられる。 【0049】 上記のように作成された蘚苔類植物担持体10を、接着剤や両面テープ等で貼り付けたり、ビス止め等の物理的結合手段を用いる等の方法によって覆蓋本体11の上面を覆うように取付けることにより、軽量で見栄えもよい覆蓋1を形成することができる。 【図面の簡単な説明】 【0050】 【図1】本発明に係る覆蓋の実施の一形態を示す斜視図である。 【図2】図1に示した覆蓋のA−A断面図である。 【図3】蘚苔類植物担持体の斜視図である。 【図4】蘚苔類植物担持体の一例を示す断面図である。 【図5】蘚苔類植物担持体の他の例を示す断面図である。 【符号の説明】 【0051】 1 覆蓋 2 蘚苔類植物保持シート 21a 繊維集合体 21b 繊維集合体 22 蘚苔類植物 23 伸縮の少ない繊維シート 24 非水溶性繊維の不織布の繊維シート 25 水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布繊維シート 3 人工芝葉状体 4 裏面シート 10 蘚苔類植物担持体 11 覆蓋本体 c 繊維集合体を表面に突出させた部分 S 貯水槽 W 液面
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002462 【氏名又は名称】積水樹脂株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目4番4号
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| 【出願日】 |
平成17年11月9日(2005.11.9) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2006−320312(P2006−320312A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月30日(2006.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願2005−324468(P2005−324468) |
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